JP3801736B2 - 測量用無線装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動測量機に取り付けられ、自動測量機を遠隔操作し、かつ測量データを送信する無線装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
測点に設置したコーナキューブ等の目標を視準して測点までの距離や方向を測量するトータルステーション等の測量機に対し、手動操作のほかにモータによっても作動し得るようにすると共に目標からの反射光を受光センサで検知して目標を自動追尾できるようにした自動測量機が知られている。そして、該自動測量機にさらに無線装置を取り付け、予め測点の座標を設定することによって、測点で目標を保持する作業者が無線により自動測量機を遠隔操作し、かつ測量データを測点側で受信することにより、測点の作業者が１人で測量し得るようにしたワンマン測量システムが知られている。このようなワンマン測量システムは、予め杭打ちの座標位置が設定されており、その座標位置を座標値として測量機に登録し測定を行ういわゆる測設作業に好適であり、１人の作業者だけで複数の杭の位置を短時間に測量することができる。尚、測量データは無線装置により作業者側にある記憶装置に順次送信され記憶される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記ワンマン測量システムに用いる自動測量機自体の測量精度は極めて高いものの、受光センサやモータ等による駆動系により、ターゲットの自動追尾を行うため、常にターゲットを視準領域、即ち受光センサの受光領域内に捉えていなければならない。上記の造成地等での杭の位置を測量する場合には杭打ち地点が転々と変化するため、常時自動追尾による作業を行っていたのでは移動中も常にターゲットを自動測量機に向けて該ターゲットが受光センサの受光領域内に捉えられるようにする必要があり、作業効率が低下する場合が生じる。そのため、ワンマン測量システムであっても自動測量機を一時的に手動操作に切り替え自動測量機を概略ターゲットに向けてやる補助の作業者が必要となる。この場合、測点にいる作業者と自動測量機に待機して補助する作業者との間では相互に連絡し合う必要がある。両作業者の間の距離が長い場合には肉声では声が届かないので、作業者間の音声連絡のためにトランシーバ等の別途の無線装置を用いなければならない。従って、自動測量機側に補助の作業者が待機する場合には両作業者共に連絡用の無線装置を携帯しなければならないという不具合があった。
【０００４】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、自動測量機側に補助の作業者が待機する場合であっても連絡用の無線装置を別途携帯しなくてよい測量用無線装置を提供することを課題とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、手動操作とモータとのいずれによっても姿勢調節可能であって、測点に配置されたターゲットを視準する自動測量機に取り付けられる無線装置において、測点に配置された他の無線装置との間で音声通信のみを行う音声専用通信モードと、他の無線装置から送信される、モータの作動制御や自動測量機の作動制御のための制御コマンドを受信するローカルコマンドモードと、自動測量機による測量データを他の無線装置に送信するオンラインモードとを備え、他の無線装置からの操作により各モードの内から１つのモードに択一的に切り替えるモード切替手段を有することを特徴とする。
【０００６】
ワンマン測量システムに用いる自動測量機には、自動測量機を遠隔操作し、かつ測量データを送信するための無線装置を備えている。該無線装置に作業者の連絡用の音声専用通話モードを付加することによりトランシーバ等の通信用の無線装置を別途携帯する必要がなくなる。
【０００７】
ところで、ローカルコマンドモード状態で所定時間継続して制御コマンドを受信しない場合や、オンラインモード状態で所定時間継続して自動測量機から測量データが出力されない場合には故障等が考えられるので、制御コマンドを受信し、あるいは測量データが出力されるまで一時的に音声専用通信モードに切り替えることにより両作業者が相互に連絡できるようにすることが望まれる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１を参照して、１はワンマン測量システムに使用される自動測量機であり、本発明にかかる無線装置２が取り付けられている。該自動測量機１は、測点に立設されたポール３に上下動自在に取り付けられた目標であるコーナプリズム３１を視準して、該コーナプリズム３１までの距離及び方向を測定する。予め杭打ちの座標位置が設定されている、いわゆる測設作業の場合には、自動測量機１に作業者が待機せず測点の１人の作業者がポール３を順次他の測点に移動させて各測点の位置を測量する場合がある。その際、作業者はマイコン５に接続された無線装置４を携帯し、無線装置４に対する操作やマイコン５からの操作により自動測量機１を遠隔操作し、測量データをマイコン５に取り込むように構成されている。但し、杭打ち地点が転々と変化するため、移動中であっても常時コーナプリズム３１を自動測量機１に向けて自動追尾による作業を行っていたのでは作業効率が低下する場合が生じる。そのため、作業効率を上げるためにはワンマン測量システムであっても手動操作に切り替え自動測量機を概略ターゲットに向けてやる補助の作業者が必要となる。
【０００９】
図２を参照して、無線装置２は自動測量機１に内蔵された制御装置１１に接続されている。該制御装置１１は自動測量機１の各種作動を制御するものであり、該制御装置１１には自動測量機１の可動部分を駆動するための各種モータ１２や測量データを電気信号として制御装置１１に出力する各種のセンサ１３やその他の機器が接続されている。無線装置２及び無線装置４は共に電源スイッチを入れると強制的に音声専用通信モードになる。音声専用通信モードになると、無線装置２は制御装置１１との間でシリアル通信を行わず、無線装置４はマイコン５との間でシリアル通信を行わない。そして、両無線装置２、４間では音声通信のみが可能な状態になり、両作業者が互いに音声により連絡を取ることができる。このように音声により連絡を取り合う場合とは、例えば自動測量機１に待機している補助の作業者が該自動測量機１を手動操作によってコーナキューブ３１を概略視準する場合や、あるいはコーナキューブ３１が自動測量機１に正対していないため、その旨を測点にいる作業者に伝え、ポール３を回転させてコーナキューブ３１を自動測量機１に正対させる場合である。尚、コーナキューブ３１は自動測量機１に正確に正対していなくても測量は可能であるが、正確に正対している方がより正確な測距測角データを取得できる。このようにして測量の準備が完了すると、無線装置２のスイッチ２１と無線装置４のスイッチ４１との何れか一方を押すことにより両無線装置２、４は共にローカルコマンドモードに切り替わる。無線装置２、４がローカルコマンドモードに切り替わると、音声通信はできなくなると共に、無線装置２は制御装置１１とシリアル通信可能状態になり、無線装置４はマイコン５とシリアル通信可能状態になる。マイコン５に制御コマンドを入力すると無線装置４の表示部４２にその制御コマンドが表示されると共に、マイコン５に入力された制御コマンドが無線装置２に送信される。無線装置２は制御コマンドを受信すると表示部２１に該制御コマンドを表示すると共に制御装置１１に受信した制御コマンドを転送する。制御装置１１は転送された制御コマンドの内容に応じて自動測量機１の各種モータ１２の作動制御や自動測量機１の作動制御を行う。尚、ローカルコマンドモードの状態で再びスイッチ２１、４１の何れか一方を押すと音声専用通信モードに切り替わる。該制御コマンドとしては例えばＡＴコマンドを用いる。
【００１０】
ローカルコマンドモードの状態から特定の制御コマンド、ＡＴコマンドの場合であれば「ＡＴＯ」をマイコン５から無線装置４に出力すると、無線装置４は無線装置２との間でプロトコルの設定等を行いデータ通信可能なオンラインモードに移行する。オンラインモードでは各種センサ１３で検出された測量データは制御装置１１から無線装置２、４を通ってマイコン５に送られる。マイコン５では送られてきた測量データを記憶し統計処理を行う。測量データの取り込みが終了すると、マイコン５は無線装置４に対して特定のコードとして、例えば入力データエスケープコードの前後に所定の無データ入力時間を持つコマンドを転送する。すると、無線装置４は該コマンドを無線装置２に送信すると共にオンラインモードからローカルコマンドモードに切り替わる。無線装置４からコマンドを受信した無線装置２も同様にオンラインモードからローカルコマンドモードに切り替わる。
【００１１】
ところで、オンラインモードの状態で、自動測量機１の制御装置１１から無線装置２に対して測量データが転送されない時間が所定時間継続すると、両無線装置２、４は共に音声専用通信モードに切り替わる。但し、この音声専用通信モードへの切り替えは一時的なものであり、制御装置１１から無線装置２に対して測量データの転送が再開されると、自動的にオンラインモードに戻るように構成されている。従って、一時的に切り替わった音声専用通信モードでは、制御装置１１と無線装置２との間のシリアル通信は閉鎖されない。尚、ローカルコマンドモード状態の時に、所定時間継続してマイコン５から無線装置４にコマンドが転送されない場合にも同様に、一時的に音声専用通信モードに切り替わるようにする。
【００１２】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ワンマン測量システムに用いる自動測量機の無線装置に作業者の連絡用の音声通信機能を付加したので、このような自動測量機を用いて測量をする際、補助の作業員が自動測量機に待機する場合であっても専用の通信機を携帯しなくてよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図２】無線装置の作用の詳細を説明するためのブロック図
【符号の説明】
１ 自動測量機
２ 無線装置
３ ポール
４ 無線装置
５ マイコン

Claims (2)

1. 手動操作とモータとのいずれによっても姿勢調節可能であって、測点に配置されたターゲットを視準する自動測量機に取り付けられる無線装置において、測点に配置された他の無線装置との間で音声通信のみを行う音声専用通信モードと、他の無線装置から送信される、モータの作動制御や自動測量機の作動制御のための制御コマンドを受信するローカルコマンドモードと、自動測量機による測量データを他の無線装置に送信するオンラインモードとを備え、他の無線装置からの操作により各モードの内から１つのモードに択一的に切り替えるモード切替手段を有することを特徴とする測量用無線装置。
2. 上記モード切替手段は、上記ローカルコマンドモード状態で所定時間継続して制御コマンドを受信しない場合と上記オンラインモード状態で所定時間継続して自動測量機から測量データが出力されない場合の少なくとも一方の場合に、制御コマンドを受信し、あるいは測量データが出力されるまで、音声専用通信モードに一時的に切り替えることを特徴とする請求項１記載の測量用無線装置。

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