JP3801478B2 - 防水検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスの相互接続を行う際などに使用される防水コネクタにおけるコネクタハウジングの防水性を検査するための防水検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図1に示すように、ワイヤハーネスの相互接続をする際に使用される防水コネクタは、合成樹脂製の雌コネクタハウジング8(以下、「雌ハウジング」という)と、この雌ハウジング8に挿通されることで結合される合成樹脂製の雄コネクタハウジング80(以下、「雄ハウジング」という)とから形成されている。
雌ハウジング8には、基体81の内部に端子収容室82が区画形成されている。端子収容室82の外周には段部83が形成されており、この段部83と外側の基体81との間は、雄ハウジング80の基体86を挿通するための係合溝85となっている。
また、雄ハウジング80は、雌ハウジング8に内嵌可能となるように、雌ハウジング8よりも一回り小さく形成されており、雌ハウジング8の端子収容室82と嵌合する嵌合部87が基体86の内部に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、端子収容室82には、止水材(シール材)であるゴムリングGが雌ハウジング8の段部83の肉厚部84及び端子収容室82の外壁に密着した状態で外嵌されている(適正位置に装着された状態)。このゴムリングGの存在により、雌ハウジング8と雄ハウジング80の結合時において、防水コネクタの防水性が保たれることになるが、挿入忘れや、適正位置に装着されていない場合には、防水コネクタの内部に水が入り込むことによって、種々の不具合が生じてしまう恐れがある。
そのため、雌ハウジング8の適正位置にゴムリングGが装着されているか否かの検査(以下、「防水検査」という)を行う必要があり、従来の防水検査では、ゴムリングGの装着状態を作業員が目視することにより判別していた。
【0004】
しかしながら、雌ハウジング8は小型の製品が多く、ゴムリングGの装着位置は雌ハウジング8の内部であることから、作業員がゴムリングGの装着状態を目視して、その適否を判断することが難しい場合があった。
【0005】
従って、従来の雌ハウジング8の防水検査では、作業効率が低く、さらに、不良品を見落としてしまう場合があるという問題が存在していた。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、止水材の装着状態を作業員が目視することなく、迅速かつ確実に防水コネクタのコネクタハウジングにおける止水材の装着状態を検査することができる防水検査装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、基体と、前記基体の内部の端子収容室と、前記端子収容室の外周に形成された段部と、前記段部と前記基体との間の係合溝とを備え、前記段部の肉厚部と前記端子収容室の外壁とに止水材が密着されるコネクタハウジングにおける、前記止水材の装着状態を検出するための防水検査装置であって、前記止水材に当接可能に形成されている当接体と、前記当接体の位置を検出し、前記当接体の位置から前記止水材の装着状態を判別する判別手段とを備え、前記当接体は、前記係合溝に突出する突出部と、前記肉厚部と対向し、前記突出部よりも幅広である基体部とから構成された段部を備えており、前記止水材が適正位置に装着されている場合に、前記当接体は前記基体部において前記止水材に当接するように構成されているとともに、前記判別手段は、前記当接体が前記基体部において前記止水材に当接した場合には、前記止水材が適正位置に装着されていると判断を行い、前記突出部の先端が前記止水材と当接した場合には、前記止水材が適正位置に装着されていないと判断を行うことを特徴としている。なお、当接体が止水材に当接する際には、当該当接体がコネクタハウジング側に移動しても良く、或いは、コネクタハウジングが当接体側に移動しても良い。
【0008】
ここで、良品であるコネクタハウジング(雌ハウジング)は、その端子収容室の外周に止水材が密着されているが、止水材がねじれてしまった場合や、端子収容室の外周に樹脂ペレット等の異物が付着してしまった場合や、止水材が端子収容室の外周以外の場所に装着されてしまった場合には、コネクタハウジングの結合時において、防水性が保たれないため、コネクタハウジングは不良品となってしまう。
【0009】
本発明によれば、止水材に当接可能な当接体の位置を判別手段によって検出することで、コネクタハウジング内における止水材の位置を検出し、この止水材の位置に基づいて止水材の装着状態を判別している。従って、作業員が止水材の装着状態を目視することなく、止水材が適正位置に装着されているか否かが判別され、止水材が適正位置に装着されている場合には良品であると判断することができるため、迅速かつ正確にコネクタハウジングの防水性を検査することができる。
さらに、本発明によれば、当接体は突出部及び基体部を備えており、前記当接体が前記基体部において前記止水材に当接した場合には、前記止水材が適正位置に装着されていると判断を行い、前記突出部の先端が前記止水材と当接した場合には、前記止水材が適正位置に装着されていないと判断を行うことができるようになっている。従って、止水材がねじれる等の原因により、その一部が適正位置に装着されているが、他の部位が適正位置に装着されていない場合には、突出部の先端が最初に止水材に当接することになるため、止水材が適正位置に装着されていないと判断されることになり、より正確にコネクタハウジングの防水性を検査することができる。
【0012】
また、前記防水検査装置において、前記判別手段は、前記当接体の動きに連動する遮蔽部材と、前記当接体に前記コネクタハウジング方向の付勢力を付与する付勢手段と、発信部及び受信部を有する検出手段と、を有し、前記コネクタハウジングの前記当接体に対する押圧力と前記付勢力とがバランスすることにより、前記止水材が適正位置に装着されている場合には、前記発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されることが妨げられないように前記遮蔽部材が位置するとともに、前記止水材が適正位置に装着されていない場合には、前記発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されることを妨げるように前記遮蔽部材が位置するように構成されているものであってもよい。
【0013】
本発明によれば、コネクタハウジングの前記当接体に対する押圧力と付勢手段の付勢力とをバランスさせ、遮蔽部材と検出手段との位置関係を適切に定めることで、前記検出手段の発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されること、及び、受信を妨げることの切り換えを行うことが可能となり、前記止水材の装着状態を適切に判別することができる。
また、前記防水検査装置において、前記遮蔽部材は、一定の間隙を有した状態で設けられた一対の遮蔽体を備えており、前記止水材が適正位置に装着されている場合には、前記発信部から発信される発信信号が前記一定の間隙を介して前記受信部で受信されることが妨げられないように前記一対の遮蔽体が位置するとともに、前記止水材が適正位置に装着されていない場合には、前記一対の遮蔽体のいずれかにより前記発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されることが妨げられるように前記一対の遮蔽体が位置するように構成されているものであってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明の実施形態に係る防水検査装置1を使用して検査を行う対象となるコネクタハウジングは、従来技術の項で説明を行ったものと同様の雌ハウジング8である。また、防水性が確保されているか否かの検査は、雌ハウジング8の端子収容室82の外周に形成された段部83の肉厚部84及び端子収容室82の外壁(適正位置)にゴムリングG(止水材)が密着されているか否かを判別することにより行われる。
また、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後方向とは、図2における左右方向に対応しており、左右方向とは、図3における左右方向に対応している。
【0015】
[防水検査装置]
本発明の防水検査装置1は、図2及び図3に示されているように、雌ハウジング8において、防水性が確保されている良品であるか否かを検査するための検査部2と、雌ハウジング8が良品であった場合に印字を行うための印字部3とを主要部としている。この検査部2と印字部3は、その四隅に脚部が付設されている基台4上に設置されている。
【0016】
(1)検査部
検査部2は、図2及び図3に示すように、検査台20に取り付けられている検査機構5及び、検査機構5の検査結果を受信して、良品か不良品の判断を行う制御部9とを主要部としている。
【0017】
検査台20は、図2及び図3に示すように、天板21と、天板21を支持する4本の支柱22とから構成されており、天板21の上面の中央部には、雌ハウジング8を載置するための載置板23が配設されている。この載置板23の中央部には、天板21を貫通している正方形形状(平面視)の貫通孔24が設けられている。
【0018】
検査機構5は、図2及び図3に示すように、当接体6と、当接体6を支持するための各種の構造部材と、当接体6の位置を検出する判別手段7とを主要部としている。
【0019】
ここで、当接体6を支持するための各種の構造部材について説明する。
検査台20の天板21の下面には、図2及び図3に示すように、逆L字形状である垂直板50が取り付けられており、垂直板50の下端部には水平状態に下部支持板52が接合されている。さらに、下部支持板52の直上であり、垂直板50の中途部となる高さ位置に上部支持板51が水平状態に配置されている。上部支持板51は、下部支持板52に立設され、周囲にコイルスプリング53(付勢手段)が捲装されたアーム54によって、上方に移動する向きに付勢力が付与された状態で、昇降可能に支持されている。
また、上部支持板51の後端部には、逆L字形状である連結板55を介して、当接体6が取り付けられている。この当接体6は、連結板55に固定された直方体の台座61と、台座61の四方に垂設された4枚の当接板60(平面視で、端子収容室82の段部83に挿入可能な形状に形成されている)とから構成され、当接板60の上部は載置板23の貫通孔24から突出するとともに、当接体6全体が昇降自在に配置されている。
【0020】
さらに、載置板23の貫通孔24を挟んだ両側に、発光部25a及び受光部25bを有する透過型の着座センサ25が固設されている。この着座センサ25により、雌ハウジング8が当該載置板23にセットされた場合に、後記高さ検出センサSを作動させることができるようになっている。
なお、コイルスプリング53の付勢力は、雌ハウジング8の重量に起因する重力と比較して小さい値であり、かつ、後記遮蔽体70,71と高さ検出センサSとの位置関係を満たすように適切に定められている必要がある。
【0021】
当接板60の上面の外側には、突出部62が形成されることで段部64が設けられている(段部64は、突出部62と、当該突出部62より幅広である基体部64a[図2参照]とから構成されている)。この当接板60の突出部62は、載置板23上の雌ハウジング8の係合溝85に突出するように形成されており、図5に示すように、ゴムリングGが雌ハウジング8の端子収容室82の外周に形成された段部83の肉厚部84及び端子収容室82の外壁に密着した状態で装着されている場合(適正位置である場合)には、当該当接体6の段部64の内側方向の下面65がゴムリングGに当接するようになっている。また、ゴムリングGが適正位置に装着されていない場合には、前記当接体6の突出部62の先端63が最初にゴムリングGと当接するようになっている(図7,図8参照、但し、ゴムリングGが装着されていない場合は除く)。
【0022】
また、判別手段7は、上下の遮蔽体70,71(遮蔽部材)と、発光部S1(発信手段)及び受光部S2(受信手段)を有する透過型の高さ検出センサS(検知手段)と、前記コイルスプリング53とを主要部としている。
遮蔽体70,71は、図2及び図3に示すように、高さ検出センサSによる光線(発信信号)を遮断する柱体状の部材であり、上部遮蔽体70と下部遮蔽体71とから構成され、遮断体70,71が一定の間隙72を有した状態で上部支持板51の前端部に吊下されている。上部支持板51は、アーム54及びコイルスプリング53によって下部支持板52に昇降可能な状態で支持されており、前記上部支持板51の動きに連動して、遮蔽体70,71も昇降可能となっている。
高さ検出センサSは、基台4上に設置された発光部S1と受光部S2から構成され、遮断体70,71を挟んで、発光部S1と受光部S2が対向して配置されており、発光部S1から発せられた光線を受光部S2で受光するものである。そして、受光部S2で光線を受光した場合には、当該受光部S2から後記する制御部9に良品信号が送信されることになる(図4参照)。
【0023】
さらに、制御部9は、マイクロコンピュータで構成されており、良品信号受信手段90と、印字部制御手段91とを備えている。
良品信号受信手段90は、高さ検出センサSの受光部S2が受光したときに発信されるハウジングが良品であることを示す良品信号を受信し、印字部制御手段91に指示信号を送信する手段である。
印字部制御手段91は、良品信号受信手段90からの指示信号を受信し、後記する印字部3に始動信号を送信する手段である。
なお、雌ハウジング8が不良品である場合には、制御部9の動作により(詳述せず)、当該雌ハウジング8が不良品箱(図示せず)に投入されなければ、再度、防水検査を行うことができないようになっている。
【0024】
次に、高さ検出センサSの発光部S1及び受光部S2と、上下の遮蔽体70,71の高さ位置の関係について説明する。
ゴムリングGが雌ハウジング8の適正位置に装着されている場合において、図5に示すように、当接体6は段部64の内側方向の下面65でゴムリングGに当接し、当接体6及び連動する遮蔽体70,71は雌ハウジング8の重量によって下降する。このとき、下降した遮蔽体70,71は、遮蔽体同士の間隙72によって発光部S1から受光部S2に発せられた光線を遮断せずに透過可能となる高さ位置になるように設定されている。
【0025】
また、ゴムリングGが雌ハウジング8に全く装着されていない場合において、図6に示すように、当接体6は段部64の内側方向の下面65で、端子収納室82の外周に形成された段部83の肉厚部84に当接し、当接体6及び遮蔽体70,71は雌ハウジング8の重量によって下降する。このとき、下降した当接体6及び遮蔽体70,71は、前記ゴムリングGが適正位置に装着されている場合の高さ位置よりもゴムリングGの高さだけ上昇し、下部遮蔽体71が発光部S1から受光部S2に発せられた光線を遮断する高さ位置になるように設定されている。
【0026】
さらに、ゴムリングGが雌ハウジング8の内部に装着されているが、ねじれた状態となっている場合(図7参照)や、係合溝85内に入り込んでいる場合(図8参照)等、雌ハウジング8の適正位置に装着されていない場合には、当接体6は突出部62の先端63でゴムリングGと当接し、当接体6及び遮蔽体70,71は雌ハウジング8の重量によって下降する。このとき、当接体6及び遮蔽体70,71は、前記ゴムリングGが適正位置に装着されている場合の高さ位置よりも突出部62の高さによって下降し、上部遮蔽体70が発光部S1から受光部S2に発せられた光線を遮断する高さ位置になるように設定されている。
【0027】
(2)印字部
次に、印字部3について、図3を参照して説明する。
印字部3は、検査台20に対向する位置に配置された架台30によって基台4上に固定されている。架台30には、印字手段である油性ペン31を支持するためのフレーム32が設けられている。このフレーム32の上部には雌ハウジング8に対する油性ペン31の当接角度を調節するための角度調節手段としての支軸33が設けられており、支軸33により回動部34が軸支されている。この回動部34には、フレーム32に支持された油性ペン31を雌ハウジング8に対して往復移動させるための移動手段としてのエアシリンダ35が取り付けられており、エアシリンダ35にはピストンロッド36が設けられている。
なお、支軸33はボルト及びナット(図示せず)を含んでおり、これらを緩めることにより、エアシリンダ35の角度が変更されることになる。
【0028】
ピストンロッド36の先端には取付金具37が取り付けられている。また、取付金具37には、油性ペン31の先端が雌ハウジング8に当接したときに、油性ペン31の逃げを許容する手段としての一対のガイドロッド38が固定されており、ガイドロッド38にはガイド筒39が外嵌され、ガイド筒39はガイドロッド38に沿って往復移動できるようになっている。
さらに、ガイド筒39の上面には支持板40が接合されている。この支持板40の上端部にはブラケット41が取り付けられており、ブラケット41には、油性ペン31の突出量を調節するための調節ねじ42が取り付けられている。
【0029】
また、支持板40には、油性ペン31のホルダであるクランプ43が取り付けられており、このクランプ43によって油性ペン31が支持され、その油性ペン31の先端には芯44が露出した状態になっている。
【0030】
このように、印字部3は、ピストンロッド36の伸縮に対応したガイド筒39の移動に伴って、クランプ42により支持されている油性ペン31がガイドロッド38に沿って往復移動できるようになっている。
ここで、印字部3は、前記良品信号を受信した良品信号受信手段90の指示信号によって印字部制御手段91から始動信号が送信された場合、つまり、雌ハウジング8が良品であると判別された場合にのみ、ピストンロッド36が伸張して、油性ペン31により雌ハウジング8に印字するように設定されている。なお、油性ペン31が雌ハウジング8に印字した後には、自動的にピストンロッド36が元の状態となるまで収縮するように設定されている。
【0031】
[コネクタハウジングの防水検査方法]
本発明の実施形態に係る防水検査装置1を使用した雌ハウジング8の防水検査方法について説明をする。
【0032】
(1)ゴムリングGが適正位置に装着されている雌ハウジング8の場合
まず、図5に示すように、ゴムリングGが適正位置に装着された雌ハウジング8を、検査台20の載置板23上に載置すると、着座センサ25が動作し、高さ検出センサSが作動するとともに、載置板23の貫通孔24から突出した当接体6の段部64の内側方向の下面65がゴムリングGに当接し、当接体6及び遮蔽体70,71は雌ハウジング8の重量によって下降する。この下降した遮蔽体70,71は、当該遮蔽体70,71の間隙72を通して、高さ検出センサSの発光部S1から受光部S2に発せられた光線が透過可能な位置に移動する。そして、発光部S1から発せられた光線が受光部S2で受光されることにより、受光部S1から制御部9に良品信号が送信され、さらに、良品信号に基づいて制御部9から送信された始動信号によって印字部3が作動することで、雌ハウジング8が印字される。
その後、印字された雌ハウジング8は良品として後工程に移行し、雌ハウジング8が取り除かれた当接体6及び遮蔽体70,71は、コイルスプリング53の付勢力によって上昇して、予め設定された基準位置に戻る。さらに、着座センサ25により、雌ハウジング8が取り除かれたことが検出され、高さ検出センサSの動作が終了する。
【0033】
(2)ゴムリングGが適正位置に装着されていない雌ハウジング8の場合
次に、ゴムリングGが雌ハウジング8に全く装着されていない場合には、図6に示すように、当接体6の段部64の内側方向の下面65が端子収容室82の外周に形成された段部83の肉厚部84に当接する。このとき、下降した遮蔽体70,71の高さ位置は、前記ゴムリングGが適正位置に装着されている場合よりもゴムリングGの高さだけ上昇し、下部遮蔽体71が発光部S1から受光部S2に発せられた光線を遮断する高さ位置になる。従って、受光部S2から制御部9に良品信号が送信されず、印字部3が作動しないため、雌ハウジング8は不良品であると判断される。
【0034】
また、ゴムリングGが雌ハウジング8の内部に装着されているが、ねじれた状態となっている場合(図7参照)や、係合溝85内に入り込んでいる場合(図8参照)等、雌ハウジング8の適正位置に装着されていない場合には、当接体6の突出部62の先端63は不適切な位置に装着されたゴムリングGに当接する。このとき、下降した遮蔽体70,71の高さ位置は、前記ゴムリングGが適正位置に装着されている場合よりも突出部62の高さによって下降し、上部遮蔽体70が発光部S1から受光部S2に発せられた光線を遮断する高さ位置になる。従って、受光部S2から制御部9に良品信号が送信されず、印字部3が作動しないため、雌ハウジング8は不良品であると判断される。
なお、不良品であると判断された雌ハウジング8は、不良品箱(図示せず)に入れられることにより回収され、良品と混じることがないように処理されることになる。
【0035】
従って、本発明の実施形態に係る防水検査装置1では、ゴムリングGに当接体6を当接させ、この当接体6の高さ位置を判別手段によって検知することで、ゴムリングGの装着状態を判別することができるため、迅速かつ確実に雌ハウジング8の防水性を検査することができる。
【0036】
また、防水検査装置1では、当接体6は突出部62を備えており、ゴムリングGがねじれる等の原因により、その一部が適正位置に装着されているが、他の部位が適正位置に装着されていない場合には、突出部62の先端63が最初に前記ゴムリングGに当接することになる。このような場合には、突出部を備えていない当接体を用いた場合には、ゴムリングGが適正位置に装着されていると判断される恐れがあるが、前記防水検査装置1ではそのような誤認を防止することができるため、より正確に雌ハウジング8の防水性を検査することができる。
【0037】
また、雌ハウジング8の重量と、コイルスプリング53の付勢力が適切に定められていることから、当接体6が、検査後に前記コイルスプリング53の上向きの付勢力によって基準位置に戻ることになる。従って、同型の雌ハウジング8の防水性を連続して検査する場合に、検査毎に当接体6の位置を調整する必要がないため、より迅速に雌ハウジング8の防水性を検査することができる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、当接体6は突出部62を有している方が、ゴムリングGが不適正な位置に装着されていること(特に、前記図7に示されているゴムリングGがねじられている場合)を判断する際に好適であるが、必ずしも突出部62を有していない場合であっても、図9に示すように、当接体6の先端が正規位置に装着されたゴムリングGと当接することで、同様の目的を達成することができる。
また、当接体6の幅や長さ等の形状は限定されるものではない。さらに、雌ハウジング8の形状に対応して当接体6のみを交換することで、本発明の防水検査装置1を各種の雌ハウジング8に適用させることもできる。なお、雌ハウジング8の形状としては、図9に示すように、端子収納室82の外周に段部83が形成されておらず、端子収納室82の基端部にゴムリングGが装着されているものでもよい。
【0039】
さらに、前記実施形態の防水検査装置1では、雌ハウジング8の自重(当接体6に対する押圧力に相当)により、コイルスプリング53の付勢力に抗して当接体6を下降させる構成を示した。しかし、コイルスプリングの付勢力を強くして雌ハウジング8を人力若しくは機械的手段により強制的に押圧することにより、当接体を下降させる構成とするものであってもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の防水検査装置によれば、コネクタハウジング内の止水材に当接可能な当接体の位置を検出することにより、作業員が止水材の装着状態を目視することなく、迅速かつ正確にコネクタハウジングの防水性を検査することができるため、防水検査の作業効率を高めるとともに、不良品が後工程に送られることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る防水コネクタを示した図で、(a)は、雌ハウジングと雄ハウジングを示す斜視図、(b)は、雌ハウジングの底面図、(c)雄ハウジングの底面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る防水検査装置を示す一部破断した側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る防水検査装置を示す図で、図2のA−A断面図である。
【図4】高さ検出センサと印字部との関係を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る検査部の作用(コネクタハウジングが良品である場合)を示す背面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る検査部の作用(コネクタハウジングが不良品である場合)を示す背面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る検査部の作用(コネクタハウジングが不良品である他の場合)を示す背面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る検査部の作用(コネクタハウジングが不良品であるさらに他の場合)を示す背面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る当接体及びコネクタハウジングの他の例を示した側面図である。
【符号の説明】
1・・・・防水検査装置
2・・・・検査部
3・・・・印字部
4・・・・基台
5・・・・検査機構
6・・・・当接体
7・・・・判別手段
8・・・・コネクタハウジング(雌ハウジング)
9・・・・制御部
20・・・・検査台
25・・・・着座センサ
53・・・・コイルスプリング(付勢手段)
60・・・・当接板(当接体)
62・・・・突出部(当接体)
63・・・・突出部の先端
64・・・・段部(当接体)
65・・・・段部の内側方向の下面(当接体)
70・・・・上部遮蔽体(判別手段)
71・・・・下部遮蔽体(判別手段)
72・・・・遮蔽体同士の間隔
80・・・・雄ハウジング
90・・・・良品信号受信手段
91・・・・印字部制御手段
G・・・・ゴムリング
S・・・・高さ検出センサ(判別手段)
S1・・・・発光部
S2・・・・受光部

Claims (3)

  1. 基体と、前記基体の内部の端子収容室と、前記端子収容室の外周に形成された段部と、前記段部と前記基体との間の係合溝とを備え、前記段部の肉厚部と前記端子収容室の外壁とに止水材が密着されるコネクタハウジングにおける、前記止水材の装着状態を検出するための防水検査装置であって、
    前記止水材に当接可能に形成されている当接体と、
    前記当接体の位置を検出し、前記当接体の位置から前記止水材の装着状態を判別する判別手段とを備え、
    前記当接体は、前記係合溝に突出する突出部と、前記肉厚部と対向し、前記突出部よりも幅広である基体部とから構成された段部を備えており、前記止水材が適正位置に装着されている場合に、前記当接体は前記基体部において前記止水材に当接するように構成されているとともに、
    前記判別手段は、前記当接体が前記基体部において前記止水材に当接した場合には、前記止水材が適正位置に装着されていると判断を行い、前記突出部の先端が前記止水材と当接した場合には、前記止水材が適正位置に装着されていないと判断を行うことを特徴とする防水検査装置。
  2. 前記判別手段は、前記当接体の動きに連動する遮蔽部材と、前記当接体に前記コネクタハウジング方向の付勢力を付与する付勢手段と、発信部及び受信部を有する検出手段と、を有し、
    前記コネクタハウジングの前記当接体に対する押圧力と前記付勢力とがバランスすることにより、前記止水材が適正位置に装着されている場合には、前記発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されることが妨げられないように前記遮蔽部材が位置するとともに、前記止水材が適正位置に装着されていない場合には、前記発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されることを妨げるように前記遮蔽部材が位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水検査装置。
  3. 前記遮蔽部材は、一定の間隙を有した状態で設けられた一対の遮蔽体を備えており、
    前記止水材が適正位置に装着されている場合には、前記発信部から発信される発信信号が前記一定の間隙を介して前記受信部で受信されることが妨げられないように前記一対の遮蔽体が位置するとともに、前記止水材が適正位置に装着されていない場合には、前記一対の遮蔽体のいずれかにより前記発信部から発信される発信信号が前記受信部で受信されることが妨げられるように前記一対の遮蔽体が位置するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の防水検査装置。
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