JP3800252B2 - 濃度測定方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体試料を分析するにあたり、簡単な構成でありながら長時間にわたる安定性に優れ、高精度測定が可能な測定方法および測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酵素電極は、分子認識・変換機能を有する酵素と検出器である電極とを一体化した分析デバイスであり、酵素反応の有する高選択性、迅速性および電気化学検出法の有する簡便性等を併せもち、これらの長所から種々の分野で利用されている。いわゆるバイオセンサーと総称される装置の中で酵素電極を用いたものが最も一般的である。酵素電極を用いた物質あるいは当該酵素反応の基質の測定は、酵素反応により生成あるいは消費される物質の量を測定することで基質に対する物質の濃度情報を得るといった原理にもとづいている。たとえば白金電極上にグルコース酸化酵素を固定化した固定化酵素電極を用いたバイオセンサーでは、酵素を触媒とするグルコースの酸化反応で生成する過酸化水素を一定電圧を印加した白金電極、すなわちトランスデューサーで電気分解し、その際流れる電流を検出する、つまりアンペロメトリック検出を行うことにより、溶液中のグルコース濃度を求める。
【0003】
一般的に過酸化水素は、金、白金、パラジウム等の貴金属作用電極において銀/塩化銀電極や飽和カロメル電極等の基準電圧を示す参照電極に対し、+0.3〜1.0Vの印加電圧で電気分解され、その際に流れる酸化電流を用いて検出される。しかし、このような方法で過酸化水素を測定する場合、長時間の測定に伴い電極感度の変動が認められる場合が多い。これは、長時間にわたる作用電極への比較的高い電圧の連続印加が、電極表面での酸化物被膜の生成を促したり、あるいは被測定溶液中に共存する不純物が電圧印加により作用電極表面に吸着を引き起こし、これらが通電を妨害することにより、見かけ上の抵抗値が上昇し、結果として電極活性を下げて感度低下を起こすことが多い。
【0004】
このような不都合を解決するための手段としてこれまでに種々の方法が考案されている。
【0005】
たとえば、特開昭57−60255号では測定前に、逆の極性の電圧を印加することで、下地白金電極上の通電妨害物質を除去する電極の活性化方法が提示されている。
【0006】
また、特開平4−230841号では測定直前だけではなく所定時間毎に作用電極にリフレッシュ電圧なる逆の極性の電圧を印加することで、下地白金電極上の通電妨害物質を除去するといった電極の活性化方法が提示されている。
【0007】
さらに、特開昭64−28557号では、非測定時に保存用順バイアス電圧供給手段により作用電極に酸化、還元反応を行わない微小な順バイアス電圧を印加することで、下地白金電極表面における通電妨害物質被膜の形成等に起因する電極活性の劣化を阻止する方法が提示されている。
【0008】
さらにまた、特開昭63−198861号では、ポーラログラフ電極、つまりアンペロメトリック法に用いる電極に一定周波数のパルス状電圧を印加して作用電極を能動期と非能動期に交互におくことにより、電極使用開始時における安定化に要する時間を短縮し、加えて、パルスの周波数を適切に設定することで電極感度を増大させるといった方法が示されている。
【0009】
また、作用電極への電圧印加を中止し、電圧解放状態で作用電極電圧を自然分極電圧に保持することで、酸化物被膜の生成や不純物の吸着による感度低下を防ぐといった方法が一般に行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭57−60255号で開示されているように、測定前に電圧操作を行って電極表面の酸化物被膜や吸着物質等の通電妨害物質を除去する場合、濃度測定の間隔が長くなると間隔の増大にともない電極上の妨害物質量が増大するので、活性化処理を行っても通電妨害物質を完全に除去することができないという不都合があった。
【0011】
また、特開昭57−60255号や特開平4−230841号で開示されている、測定前に逆の極性の電圧を印加する方法では、負電圧印加により電極表面の過度の変化を招き、測定電圧に戻した後、残余電流が計測可能な値に減少するまでの時間が長く、濃度測定を迅速に行うことができないといった問題がある。
【0012】
さらに、特開昭64−28557号で開示されているように、非測定時に保存用順バイアス供給手段により作用電極に微小な順バイアス電圧を印加し続けた場合においても、測定時に検出電圧を印加した時には負電圧印加の場合と同様に残余電流が計測可能な値に減少するまでの時間が長くなり、迅速な濃度測定を行うことができない。
【0013】
さらにまた、特開昭63−198861号で提示されている方法では、白金作用極に10Hz以上100kHz以下という高い周波数でパルス状電圧を印加しており、能動期のデータのみを得ようとすると電圧パルス切り換えに同期したデータ取り込みが必要となり、回路の複雑化が避けられないという問題がある。
【0014】
さらに、測定前あるいは非測定時に電圧を開放する場合においては、長時間にわたり高い電圧を印加し続けた電極の自然分極電圧は容易には下がらず、通電妨害物質の離脱が迅速に行われないので、短時間で電極の活性化を行うことは困難である。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みて行われたものであり、固定化酵素を利用するバイオセンサーの検出器となる電極において、使用中の電圧連続印加による電極活性の低下を抑制し、高感度かつ精度良く濃度測定を行うことができる電極活性維持を実現する濃度測定方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の濃度測定方法及び濃度測定装置に関する。
【0017】
項1. 少なくとも白金作用電極と対極を有するアンペロメトリック検出を行う装置を用いる測定方法において、白金作用電極に、銀/塩化銀電極に対し+0.3〜1.0Vの測定対象物質検出電圧を印加し、測定時および非測定時を問わず0.5〜5.0秒に1回の間隔で測定対象物質検出電圧を印加し続けた時間の0.2〜10%の割合に相当する一定時間だけ、0.0〜0.2Vの電圧を印加し、その後再び前記測定対象物質検出電圧に戻すという操作を行いながら測定を行い、検出電圧を印加した状態および0.0〜0.2Vの電圧を印加した状態の両期間の1〜10倍の平均化時間をとって白金作用電極の出力電流値を平均化し、この電流平均値変化から、溶液中の測定対象物質の濃度を電気化学的に測定することを特徴とする測定対象物質の濃度測定方法。
【0018】
項2. 少なくとも白金作用電極と対極とを有するアンペロメトリック検出を行う装置であり、
(1)白金作用電極に銀/塩化銀電極に対して任意の値の電圧を任意の時間印加して保持する保持機構と、
(2)項1で定められた割合の一定時間だけ、作用電極に0〜0.2Vの電圧を印加し、その後検出電圧に戻す機構と、
(3)上記の機構を駆動させながら測定対象物質濃度を測定する機構を
有する濃度測定装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する白金作用電極は、たとえば測定対象物質である過酸化水素、アスコルビン酸、尿酸、アミン類などを適当な電圧で検出することができる。過酸化水素検出電圧は銀/塩化銀参照電極に対して+0.3〜1.0Vであることが望ましい。+0.3V以下であると充分な応答値が得られず、また測定値の安定性にも問題があり、また1.0V以上であると過度の白金表面の酸化をまねく。
【0020】
また、白金電極表面あるいは電極表面近傍に酵素を公知の方法で固定化することにより、機能性酵素電極として利用することができ、固定化酵素リアクターで過酸化水素を生成させ、流れにのせて電極に導く場合も利用可能である。また、酵素を適当な担体に担持させたカラムと白金作用電極を組み合わせた場合には、酵素反応により消費された物質、あるいは生成した物質の検出部として用いることも可能である。さらに、適当な流路系との組み合わせでフローインジェクション方式の濃度測定装置に、あるいはバッチ方式の濃度測定装置における検出器として利用できる。この場合に固定化酵素として用いることが可能な酵素は、グルコース酸化酵素、アルコール酸化酵素、乳酸酸化酵素等の過酸化水素生成型酸化還元酵素であり、また、グルコース酸化酵素とグルコアミラーゼのように過酸化水素生成型酸化還元酵素と測定対象物質より過酸化水素生成型酸化還元酵素の基質を生成する酵素の組み合わせ、さらにはグルコース酸化酵素とムタロターゼとインベルターゼのように過酸化水素生成型酸化還元酵素と測定対象物質より最終検出段階の過酸化水素生成型酸化還元酵素の基質まで導く酵素系の組み合わせを用いることが可能である。
【0021】
本発明は2電極および3電極方式の測定装置に適用可能であるが、2電極方式の場合、電圧切り替え時に流れる大きな突入電流により対極の表面が変化し、対極の自然分極電圧が変動しやすい。その結果、対極を基準として作用電極に印加される電圧が変化するので、常に一定の活性化効果が得られず、活性化処理終了状態における作用電極の表面状態が異なることになり、得られる電気信号レベルが変化すると思われるので、3電極方式がより望ましい。
【0022】
一般的に白金作用電極をアノーディックに分極して物質濃度の測定を実施する場合、白金表面の酸化皮膜形成、吸着物質による検出の妨害などが起こる。そこで作用電極上に形成された酸化物被膜や吸着物質等の通電妨害物質が除去される電圧を作用電極に印加する活性化処理を測定中においても連続的に行うことで、電極表面の通電妨害物質量の増大を抑えることができ、その結果電極の活性低下を防ぐことができる。
【0023】
この電極の活性低下を防ぐために用いる印加電圧としては0.0〜0.2Vが望ましく、該電圧に保持する時間を、作用電極の電圧を検出電圧に保持し続けた時間の0.2〜10%とすることにより、通電継続時間に依存して電極活性が低下する場合でも効果的に活性低下を防ぐことができる。また、2電圧間での電圧切り替え操作を0.5〜5.0秒毎に測定時にも連続的に行うことにより、長時間にわたっての測定の場合においても精度よい測定を行うことが可能となる。
【0024】
電極表面の通電妨害物質等に起因する活性低下は、通電継続時間に依存しており、妨害物質の除去等による活性の回復は通電電流にもとづいて行われるのであるから、活性化処理の時間を通電継続時間に対して一定の比率以上にすることで、活性化処理効果を得ることができる。
【0025】
偶然にも測定開始時に電圧を変化させる、または測定中のみ電圧を変化させると測定精度の低下が避けられない。そこで電圧を変化させてよいかどうかの判断する必要性がある。しかし本発明の方法ではその必要がなく電気回路および制御アルゴリズムを著しく簡単にできる利点がある。
【0026】
上記の電圧で電極の活性化が達成される理由は必ずしも明らかではないが以下のように推定される。
【0027】
図6に白金作用電極を0.1Mの硫酸水溶液中に浸漬し、対銀/塩化銀参照電極に対し−0.35V〜+1.3Vの範囲で、1.0V/秒の速度で電圧を掃引した際の電流値を記録したいわゆるサイクリックボルタモグラムを示す。この図において電流値がプラスの範囲で第2象限に水素の吸着波が観察され、続いて第1象限で一旦電流値はほぼ0を示し、次に0.3V付近からプラス方向に増大する。この増大は白金表面の酸化にもとづくものである。+1.3Vで電圧掃引方向を逆転すると電流値は第4象限をとおり、約+0.25Vにおいて比較的大きな還元電流が記録される。これは前記の正方向電圧掃引において形成された白金酸化皮膜が還元され白金面が復活する際に認められるものである。さらにマイナス方向に電圧を掃引すると酸素の還元電流が観察される(第3象限)。サイクリックボルタモグラムは上記の操作を繰り返し記録したものである。
【0028】
さて、処理電圧を電極のボルタモグラムにおいて還元波がほぼ消失する電圧である0.2V以下に設定することで、通電妨害物質の除去を効果的に行うことが可能であることがわかった。その上処理電圧を0V以上とすることで、電極表面を過度に変化させることなく活性化処理を行い、しかも処理後に検出電圧に戻した際に残余電流が計測可能な値にまで減少する時間を短縮し、迅速かつ高精度な濃度測定が可能となる。
【0029】
活性化処理時に印加する電圧に関しては、より低い電圧では処理電圧印加時間を短くすることができるが、検出電圧に戻した際の残余電流の安定化に時間がかかり、また、白金作用電極のボルタモグラムにおける還元ピーク電圧より高い処理電圧では、充分な活性化の効果が得られないので、活性化処理時に印加する電圧は過度の電極表面の変化をもたらす負電圧を避け0.0Vから白金作用電極のボルタモグラムにおいて還元波が消失する電圧までの範囲、すなわち銀/塩化銀参照電極に対して0.0〜0.2Vの範囲とすることが好ましい。
【0030】
なお、実際の測定に用いられるたとえばリン酸ナトリウム緩衝液中でサイクリックボルタモグラムを記録すると図7のようになる。硫酸水溶液中では観察された白金表面の酸化にもとづく酸化波や、+0.25V付近の還元波は明瞭には観察されない。しかし実際に本発明の測定方法および測定装置を用いると感度の安定性が飛躍的に改善される。したがって、前記の硫酸水溶液中の挙動から推定される電極表面の変化が、硫酸中ほど顕著ではないが、実際には起きていると推定される。
【0031】
処理電圧の印加方法としては、電圧発生回路が発生する電圧を一定の掃引速度で変化させる装置構成を用いた測定方法が考えられるが、+0.3〜1.0Vの電圧を発生させる回路と0.0〜0.2Vの電圧を発生させる回路を所定時間毎に切り替えることができる装置構成が簡便であり、好んで用いられる。
【0032】
通常、電圧印加回路を解放した場合には、白金電極はその電極の有する自然分極電圧となる。この電圧は白金のような不溶性固体電極の場合非常に不安定であり、放置することにより0.0〜0.2Vに保つことは実質上不可能である。
【0033】
本発明では、測定対象物質検出電圧印加状態と0.0〜0.2Vの電圧印加状態の両期間の1〜10倍の平均化時間をとって白金作用電極の出力電流値を平均化し、この電流平均値変化から、溶液中の測定対象物質の濃度の測定を行うが、測定対象物質検出電圧印加状態から0.0〜0.2Vの電圧印加状態への電圧切り替え時に発生する負の突入電流と、逆に0 .0〜0.2Vの電圧印加状態から検出電圧印加状態への電圧切り替え時に発生する正の突入電流それぞれの最大電流値よりも低いレベルに出力制限を設定しても良く、この場合は白金作用電極の平均の出力電流値を小さくすることができ、測定感度をあげ高感度な濃度測定が可能となる。
【0034】
【表1】
【0035】
表1は0.0〜0.2Vの電圧を印加する時間間隔および白金作用電極を過酸化水素検出電圧状態においた時間と0.0〜0.2Vの電圧状態においた時間の割合とベース電流値との関係を示したものである。ポテンショスタットからの出力値を時定数2秒のローパスフィルターにかけてデータ処理を行った。0.0〜0.2Vの電圧印加操作の間隔が短いほど、また印加時間が長いほどベース電流値が大きくなっている。これは、0.0〜0.2Vの電圧印加状態から検出電圧印加状態への電圧切り替え時に観測される大きな正の突入電流が、0.0〜0.2Vの電圧印加状態の時間が長いほど大きくなり、そのため検出電圧印加状態と0.0〜0.2V電圧印加状態の出力電流値の平均が押し上げられるためである。
【0036】
検出部にグルコース酸化酵素を固定化した固定化酵素電極を利用したこの測定系での20mMグルコースに対する電流応答値は600nA程度であることから、検出感度を考慮した場合、0.0〜0.2Vの電圧印加は0.5〜5.0秒間隔で行うのがよく、該電圧に保持する時間は、白金作用電極電圧を測定対象物質検出電圧に保持した時間の0.2〜10%とするのが望ましい。より短い時間間隔、またはより長い電圧印加時間ではベース電流値の増大を招き、検出信号とのS/N比を悪化させ、測定感度の低下を引き起こし望ましくない。また、該電圧を印加する時間を検出電圧印加時間の0.2%未満にした場合、充分な活性化処理が行われず電極感度の低下を防ぐことが出来ない。
【0037】
また、非通電時には、作用電極と参照電極とを電気的に接続することにより、作用電極電圧を0Vに保持する機構を測定装置に組み込むことも可能であり、または、バックアップ回路で作用電極電圧を0.0〜0.2Vに保持する機構を組み込み、非通電時に酸化物被膜の生成や不純物の吸着による感度低下を防ぐことも可能である。
【0038】
本発明の装置に関し、
(1)白金作用電極に印加する電圧を銀/塩化銀電極に対して任意の値に、任意の時間保持する保持機構としては、印加電圧回路に2種類のゼナーダイオードからなる基準電圧回路をつなぎ、保持する電圧に相当するダイオードの両端電圧を加える方法;CPUとPIO(パラレルインターフェース)を接続し、さらにそのPIOにD/A変換用ICをつなぎ、該D/A変換用ICの出力を電圧印加回路に加える、あるいは直接作用電極に出力電圧を加える方法などがある。
【0039】
(2)請求項1で定められた割合の一定時間、作用電極に印加する電圧を0〜0.2Vに保持し、その後検出電圧に戻す機構としては、上記の印加電圧回路の基準電圧回路に用いるゼナーダイオードを接点スイッチを用いて切り替える方法や、CPUからの指示にもとづきD/A変換用ICの出力値を制御する方法などが利用できる。
【0040】
(3)上記の機構を駆動させながら測定対象物質濃度を測定する機構としては、(A)印加電圧回路は独立のCPUで制御するか、もしくは電気回路で構成する。
【0041】
(B)1つのCPUで印加電圧を変化させ、PIO(もしくはD/A出力)をホールドし、時分割処理で電流値を電圧値に変換した後、A/D変換しCPUで取り込む方法などがある。
【0042】
【実施例】
本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
【実施例1】
図2に示すように、緩衝液槽(1)より緩衝液(2)をポンプ(3)により送液し、オートサンプラー(4)より試料10μlを注入し、これをフローセル(5)中で、3mm2の白金にグルコース酸化酵素を公知の方法で固定化した酵素電極を作用極、1.5mm2の白金を対極、銀/塩化銀電極を参照極とする3電極方式で電流検出した。(6)は検出に用いた電気回路である。また(7)は記録計である。
【0044】
図3は、20mMグルコースを電位操作を行いながら15分間隔で5回測定したときの応答電流値の変化を示したものである。測定は作用電極に図1に示すように、参照極に対し+0.6Vの過酸化水素検出電圧を995ミリ秒印加し、その後+0.1の電圧を995ミリ秒に対し0.2%となる5ミリ秒印加し、再び+0.6Vに戻すという電圧操作を繰り返し行いながら行った。ポテンショスタットのローパスフィルターは2秒に設定した。5回の測定における応答電流の平均値は607.3nA、平均変動率(CV%)は0.88%であった。また、図4には応答の初期値を100%とした時の相対応答値の変化を示す。5回目の測定で相対応答値は98.3%であった。
【0045】
【比較例1】
実施例1に示す測定装置において、電圧操作を行わずに20mMグルコースの電流検出を、参照極に対し0.6Vの電圧で15分間隔で行なった。測定毎に応答は低下し、応答電流の平均値は554.1nA、平均変動率(CV%)は3.56%であった。また、相対応答値は図5に示すとおり、5回の測定で91.5%にまで減少した。
【0046】
【発明の効果】
本発明の濃度測定装置を用いることにより、短時間で電極の活性化を行い、高感度に再現性よく濃度測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1での電圧印加モードを示す図である。
【図2】本発明の実施例1で用いた濃度測定装置の図である。
【図3】本発明の実施例1における20mMグルコースの応答電流値の変化を示す図である。
【図4】本発明の実施例1における20mMグルコースの相対応答値の変化を示す図である。
【図5】本発明の比較例1における20mMグルコースの相対応答値の変化を示す図である。
【図6】硫酸水溶液中で記録した白金電極のサイクリックボルタモグラムである。
【図7】リン酸緩衝液中で記録した白金電極のサイクリックボルタモグラムである。
【符号の説明】
1・・・緩衝溶液槽
2・・・緩衝液
3・・・ポンプ
4・・・オートサンプラー
5・・・フローセル
6・・・検出用電気回路
7・・・記録計
Claims (2)
- 少なくとも白金作用電極と対極を有するアンペロメトリック検出を行う装置を用いる測定方法において、白金作用電極に、銀/塩化銀電極に対し+0.3〜1.0Vの測定対象物質検出電圧を印加し、測定時および非測定時を問わず0.5〜5.0秒に1回の間隔で測定対象物質検出電圧を印加し続けた時間の0.2〜10%の割合に相当する一定時間だけ、0.0〜0.2Vの電圧を印加し、その後再び前記測定対象物質検出電圧に戻すという操作を行いながら測定を行い、検出電圧を印加した状態および0.0〜0.2Vの電圧を印加した状態の両期間の1〜10倍の平均化時間をとって白金作用電極の出力電流値を平均化し、この電流平均値変化から、溶液中の測定対象物質の濃度を電気化学的に測定することを特徴とする測定対象物質の濃度測定方法。
- 少なくとも白金作用電極と対極とを有するアンペロメトリック検出を行う装置であり、
(1)白金作用電極に銀/塩化銀電極に対して任意の値の測定対象物質検出電圧を任意の時間印加して保持する保持機構と、
(2)測定対象物質検出電圧を印加し続けた時間の0.2〜10%の割合に相当する一定時間だけ、白金作用電極に0〜0.2Vの電圧を印加し、その後検出電圧に戻す機構と、
(3)上記(1)、(2)の機構を駆動させながら測定対象物質濃度を測定する機構を有する濃度測定装置。
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