JPH09318587A - 物質の濃度測定方法 - Google Patents
物質の濃度測定方法Info
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- JPH09318587A JPH09318587A JP8138582A JP13858296A JPH09318587A JP H09318587 A JPH09318587 A JP H09318587A JP 8138582 A JP8138582 A JP 8138582A JP 13858296 A JP13858296 A JP 13858296A JP H09318587 A JPH09318587 A JP H09318587A
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- substance
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Abstract
(57)【要約】
【課題】常に一定の感度で測定を開始できる物質の濃度
測定方法。 【解決手段】液体中に少なくとも白金作用電極、対極お
よび銀/塩化銀参照極を設置したアンペロメトリック測
定用装置を用いて白金作用電極に+0.3V以上の測定
電圧を印加してアノーディックに分極させ連続的に通電
中に物質濃度を測定し、適宜の時間経過後その通電を解
除し、白金作用電極の自然分極電位の値を測定し、通電
を開始する前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の
自然分極電位の値とその測定値を比較して、通電の再開
を判断する物質の濃度測定方法。
測定方法。 【解決手段】液体中に少なくとも白金作用電極、対極お
よび銀/塩化銀参照極を設置したアンペロメトリック測
定用装置を用いて白金作用電極に+0.3V以上の測定
電圧を印加してアノーディックに分極させ連続的に通電
中に物質濃度を測定し、適宜の時間経過後その通電を解
除し、白金作用電極の自然分極電位の値を測定し、通電
を開始する前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の
自然分極電位の値とその測定値を比較して、通電の再開
を判断する物質の濃度測定方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体試料を分析する
にあたり、簡単な構成でありながら長時間にわたる安定
性に優れ、高精度測定が可能な物質の濃度測定方法に関
するものである。
にあたり、簡単な構成でありながら長時間にわたる安定
性に優れ、高精度測定が可能な物質の濃度測定方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】酵素電極は、分子認識・変換機能を有す
る酵素と検出器である電極とを一体化した分析デバイス
であり、酵素反応の有する高選択性、迅速性および電気
化学検出法の有する簡便性等を併せもち、これらの長所
から種々の分野で利用されている。いわゆるバイオセン
サーと総称される装置の中で酵素電極を用いたものが最
も一般的である。酵素電極を用いた物質あるいは当該酵
素反応の基質の測定は、酵素反応により生成あるいは消
費される物質の量を測定することで基質に対する物質の
濃度情報を得るといった原理にもとづいている。たとえ
ば白金電極上にグルコース酸化酵素を固定化した固定化
酵素電極を用いたバイオセンサーでは、酵素を触媒とす
るグルコースの酸化反応で生成する過酸化水素を一定電
圧を印加した白金電極、すなわちトランスデューサーで
電気分解し、その際に流れる電流を検出する、つまりア
ンペロメトリック検出を行うことにより、溶液中のグル
コース濃度を求める。
る酵素と検出器である電極とを一体化した分析デバイス
であり、酵素反応の有する高選択性、迅速性および電気
化学検出法の有する簡便性等を併せもち、これらの長所
から種々の分野で利用されている。いわゆるバイオセン
サーと総称される装置の中で酵素電極を用いたものが最
も一般的である。酵素電極を用いた物質あるいは当該酵
素反応の基質の測定は、酵素反応により生成あるいは消
費される物質の量を測定することで基質に対する物質の
濃度情報を得るといった原理にもとづいている。たとえ
ば白金電極上にグルコース酸化酵素を固定化した固定化
酵素電極を用いたバイオセンサーでは、酵素を触媒とす
るグルコースの酸化反応で生成する過酸化水素を一定電
圧を印加した白金電極、すなわちトランスデューサーで
電気分解し、その際に流れる電流を検出する、つまりア
ンペロメトリック検出を行うことにより、溶液中のグル
コース濃度を求める。
【0003】一般的に過酸化水素は、金、白金、パラジ
ウム等の貴金属作用電極において銀/塩化銀電極や飽和
カロメル電極等の基準電圧を示す参照電極に対し、+
0.3〜1.0Vの印加電圧で電気分解され、その際に
流れる酸化電流を用いて検出される。しかし、このよう
な方法で過酸化水素を測定する場合、長時間の測定に伴
い電極感度の変動が認められる場合が多い。この原因は
複雑な因子が絡んでおり明確な理由は分かっていない
が、長時間にわたる作用電極への比較的高い電圧の連続
印加が、電極表面での酸化物被膜の生成を促したり、あ
るいは被測定溶液中に共存する不純物が電圧印加により
作用電極表面に吸着を引き起こし、これらが通電を妨害
することにより、見かけ上の抵抗値が上昇し、結果とし
て電極活性を下げて感度低下を起こすと考えられてい
る。
ウム等の貴金属作用電極において銀/塩化銀電極や飽和
カロメル電極等の基準電圧を示す参照電極に対し、+
0.3〜1.0Vの印加電圧で電気分解され、その際に
流れる酸化電流を用いて検出される。しかし、このよう
な方法で過酸化水素を測定する場合、長時間の測定に伴
い電極感度の変動が認められる場合が多い。この原因は
複雑な因子が絡んでおり明確な理由は分かっていない
が、長時間にわたる作用電極への比較的高い電圧の連続
印加が、電極表面での酸化物被膜の生成を促したり、あ
るいは被測定溶液中に共存する不純物が電圧印加により
作用電極表面に吸着を引き起こし、これらが通電を妨害
することにより、見かけ上の抵抗値が上昇し、結果とし
て電極活性を下げて感度低下を起こすと考えられてい
る。
【0004】このような不都合を解決するための手段と
してこれまでに種々の方法が考案されている。たとえ
ば、特開昭57−60255号では測定前に、逆の極性
の電圧を印加することで、下地白金電極上の通電妨害物
質を除去する電極の活性化方法が提示されている。
してこれまでに種々の方法が考案されている。たとえ
ば、特開昭57−60255号では測定前に、逆の極性
の電圧を印加することで、下地白金電極上の通電妨害物
質を除去する電極の活性化方法が提示されている。
【0005】また、特開平4−230841号では測定
直前だけではなく所定時間毎に作用電極にリフレッシュ
電圧なる逆の極性の電圧を印加することで、下地白金電
極上の通電妨害物質を除去するといった電極の活性化方
法が提示されている。さらに、特開昭64−28557
号では、非測定時に保存用順バイアス電圧供給手段によ
り作用電極に酸化、還元反応を行わない微小な順バイア
ス電圧を印加することで、下地白金電極表面における通
電妨害物質被膜の形成等に起因する電極活性の劣化を阻
止する方法が提示されている。
直前だけではなく所定時間毎に作用電極にリフレッシュ
電圧なる逆の極性の電圧を印加することで、下地白金電
極上の通電妨害物質を除去するといった電極の活性化方
法が提示されている。さらに、特開昭64−28557
号では、非測定時に保存用順バイアス電圧供給手段によ
り作用電極に酸化、還元反応を行わない微小な順バイア
ス電圧を印加することで、下地白金電極表面における通
電妨害物質被膜の形成等に起因する電極活性の劣化を阻
止する方法が提示されている。
【0006】さらにまた、特開昭63−198861号
では、ポーラログラフ電極、つまりアンペロメトリック
法に用いる電極に一定周波数のパルス状電圧を印加して
作用電極を能動期と非能動期に交互におくことにより、
電極使用開始時における安定化に要する時間を短縮し、
加えて、パルスの周波数を適切に設定することで電極感
度を増大させるといった方法が示されている。
では、ポーラログラフ電極、つまりアンペロメトリック
法に用いる電極に一定周波数のパルス状電圧を印加して
作用電極を能動期と非能動期に交互におくことにより、
電極使用開始時における安定化に要する時間を短縮し、
加えて、パルスの周波数を適切に設定することで電極感
度を増大させるといった方法が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明したような
技術では、たとえば活性化をおこなった後、感度が向上
し、使用開始した時の初期感度を上回ることにより、感
度が安定せず、ひいては試料物質濃度を正確に求められ
ないという問題があった。そこで、本発明者等は、初期
感度に回復したことを確認できることを目的に試行し、
検討を重ねた。一番簡単な方法としては、標準試料を測
定してみることが挙げられる。しかし、その測定のため
に、活性化を中断したり、また、活性化が不十分であれ
ば、再度活性化を行ったりすることになり、作業的にも
煩雑になり、時間的にも余計にかかり、好ましくない。
技術では、たとえば活性化をおこなった後、感度が向上
し、使用開始した時の初期感度を上回ることにより、感
度が安定せず、ひいては試料物質濃度を正確に求められ
ないという問題があった。そこで、本発明者等は、初期
感度に回復したことを確認できることを目的に試行し、
検討を重ねた。一番簡単な方法としては、標準試料を測
定してみることが挙げられる。しかし、その測定のため
に、活性化を中断したり、また、活性化が不十分であれ
ば、再度活性化を行ったりすることになり、作業的にも
煩雑になり、時間的にも余計にかかり、好ましくない。
【0008】さらに、検討を重ね、感度に関連が深いと
考えられる電極表面状態を評価することを考えた。そこ
で、本発明では、電極表面状態の指標のひとつとして自
然分極電位に着目し、これを利用して、常に一定の感度
で測定を開始できる方法を開示する。
考えられる電極表面状態を評価することを考えた。そこ
で、本発明では、電極表面状態の指標のひとつとして自
然分極電位に着目し、これを利用して、常に一定の感度
で測定を開始できる方法を開示する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る物質の濃度
測定方法は、液体中に少なくとも白金作用電極、対極お
よび銀/塩化銀参照極を設置したアンペロメトリック測
定用装置を用いて白金作用電極に+0.3V以上の測定
電圧を印加してアノーディックに分極させ連続的に通電
中に物質濃度を測定し、適宜の時間経過後その通電を解
除し、白金作用電極の自然分極電位の値を測定し、通電
を開始する前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の
自然分極電位の値とその測定値を比較して、通電の再開
を判断する。
測定方法は、液体中に少なくとも白金作用電極、対極お
よび銀/塩化銀参照極を設置したアンペロメトリック測
定用装置を用いて白金作用電極に+0.3V以上の測定
電圧を印加してアノーディックに分極させ連続的に通電
中に物質濃度を測定し、適宜の時間経過後その通電を解
除し、白金作用電極の自然分極電位の値を測定し、通電
を開始する前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の
自然分極電位の値とその測定値を比較して、通電の再開
を判断する。
【0010】また、通電の解除後の白金作用電極の自然
分極電位の値の測定を連続的に行うほうが通電を開始す
る前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の自然分極
電位の値とその測定値を比較を常に行うことができより
好ましい。
分極電位の値の測定を連続的に行うほうが通電を開始す
る前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の自然分極
電位の値とその測定値を比較を常に行うことができより
好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用する白金作用電極
は、たとえば測定対象物質である過酸化水素、アスコル
ビン酸、尿酸、アミン類などを適当な電圧で検出するこ
とができる。過酸化水素検出電圧は銀/塩化銀参照電極
に対して+0.3〜1.0Vであることが望ましい。+
0.3V以下であると充分な応答値が得られず、また測
定値の安定性にも問題があり、また1.0V以上である
と過度の白金表面の酸化をまねく。
は、たとえば測定対象物質である過酸化水素、アスコル
ビン酸、尿酸、アミン類などを適当な電圧で検出するこ
とができる。過酸化水素検出電圧は銀/塩化銀参照電極
に対して+0.3〜1.0Vであることが望ましい。+
0.3V以下であると充分な応答値が得られず、また測
定値の安定性にも問題があり、また1.0V以上である
と過度の白金表面の酸化をまねく。
【0012】また、白金電極表面あるいは電極表面近傍
に酵素を公知の方法で固定化することにより、機能性酵
素電極として利用することができ、固定化酵素リアクタ
ーで過酸化水素を生成させ、流れにのせて電極に導く場
合も利用可能である。また、酵素を適当な担体に担持さ
せたカラムと白金作用電極を組み合わせた場合には、酵
素反応により消費された物質、あるいは生成した物質の
検出部として用いることも可能である。さらに、適当な
流路系との組み合わせでフローインジェクション方式の
濃度測定装置に、あるいはバッチ方式の濃度測定装置に
おける検出器として利用できる。この場合に固定化酵素
として用いることが可能な酵素は、グルコース酸化酵
素、アルコール酸化酵素、乳酸酸化酵素等の過酸化水素
生成型酸化還元酵素であり、また、グルコース酸化酵素
とグルコアミラーゼのように過酸化水素生成型酸化還元
酵素と測定対象物質より過酸化水素生成型酸化還元酵素
の基質を生成する酵素の組み合わせ、さらにはグルコー
ス酸化酵素とムタロターゼとインベルターゼのように過
酸化水素生成型酸化還元酵素と測定対象物質より最終検
出段階の過酸化水素生成型酸化還元酵素の基質まで導く
酵素系の組み合わせを用いることが可能である。
に酵素を公知の方法で固定化することにより、機能性酵
素電極として利用することができ、固定化酵素リアクタ
ーで過酸化水素を生成させ、流れにのせて電極に導く場
合も利用可能である。また、酵素を適当な担体に担持さ
せたカラムと白金作用電極を組み合わせた場合には、酵
素反応により消費された物質、あるいは生成した物質の
検出部として用いることも可能である。さらに、適当な
流路系との組み合わせでフローインジェクション方式の
濃度測定装置に、あるいはバッチ方式の濃度測定装置に
おける検出器として利用できる。この場合に固定化酵素
として用いることが可能な酵素は、グルコース酸化酵
素、アルコール酸化酵素、乳酸酸化酵素等の過酸化水素
生成型酸化還元酵素であり、また、グルコース酸化酵素
とグルコアミラーゼのように過酸化水素生成型酸化還元
酵素と測定対象物質より過酸化水素生成型酸化還元酵素
の基質を生成する酵素の組み合わせ、さらにはグルコー
ス酸化酵素とムタロターゼとインベルターゼのように過
酸化水素生成型酸化還元酵素と測定対象物質より最終検
出段階の過酸化水素生成型酸化還元酵素の基質まで導く
酵素系の組み合わせを用いることが可能である。
【0013】アンペロメトリック測定を行う装置として
は作用極と対極のみの2電極方式と3電極方式がある
が、2電極方式では電圧切り変え時に流れる大きな突入
電流により対極の表面が変化し、対極の自然分極電圧が
変動しやすい。そのため3電極方式がより望ましい。一
般的に白金作用電極をアノーディックに分極して物質濃
度の測定を実施する場合、白金表面の酸化皮膜形成、吸
着物質による検出の妨害などが起こる。さらに、本発明
者らの詳細な検討によると、本来電流が流れないはずの
参照電極にリーク電流として微小電流が流れ、ごく微量
の銀が溶出する可能性があることがわかった。この溶出
した銀はわずかながら作用極および対極を汚染し、感度
変動の要因になる。特にひとつの滞留した液体中に電極
の設置された装置では顕著に現れる。
は作用極と対極のみの2電極方式と3電極方式がある
が、2電極方式では電圧切り変え時に流れる大きな突入
電流により対極の表面が変化し、対極の自然分極電圧が
変動しやすい。そのため3電極方式がより望ましい。一
般的に白金作用電極をアノーディックに分極して物質濃
度の測定を実施する場合、白金表面の酸化皮膜形成、吸
着物質による検出の妨害などが起こる。さらに、本発明
者らの詳細な検討によると、本来電流が流れないはずの
参照電極にリーク電流として微小電流が流れ、ごく微量
の銀が溶出する可能性があることがわかった。この溶出
した銀はわずかながら作用極および対極を汚染し、感度
変動の要因になる。特にひとつの滞留した液体中に電極
の設置された装置では顕著に現れる。
【0014】ここで、本発明者等は任意の時間毎に作用
極に印加した電圧を解除することにより、このような望
ましからざる銀による汚染を防ぐことができることを見
いだした。この電圧解除による汚染防御のメカニズムは
よくわからないが、参照電極でのリーク電流も無くな
り、参照極近傍の銀イオンが再度不溶化され、その結
果、電極の活性低下を防ぐことができると考えられる。
極に印加した電圧を解除することにより、このような望
ましからざる銀による汚染を防ぐことができることを見
いだした。この電圧解除による汚染防御のメカニズムは
よくわからないが、参照電極でのリーク電流も無くな
り、参照極近傍の銀イオンが再度不溶化され、その結
果、電極の活性低下を防ぐことができると考えられる。
【0015】このように、電極の活性低下を防ぐことは
可能であるが、どの程度の処理を行えば再度の測定が可
能になるのかの指標に関する情報は得られない。そこで
本発明者等は物質の自然分極電位に着目して検討を進
め、その結果、使用前、すなわち、通電開始前の白金作
用電極の自然分極電位を指標とすればよいことがわかっ
た。つまり、電圧解除中に白金作用極の自然分極電位を
測定して、その測定値と通電開始前の自然分極電位を比
較し、通電開始前の自然分極電位の近傍まで電位が戻っ
た時に再度の測定を開始できることが分かった。従っ
て、電圧解除中に常時白金作用極の自然分極電位を測定
しているほうが、通電開始前の自然分極電位の近傍まで
電位が戻ったことを速やかに判定できるので好ましい。
可能であるが、どの程度の処理を行えば再度の測定が可
能になるのかの指標に関する情報は得られない。そこで
本発明者等は物質の自然分極電位に着目して検討を進
め、その結果、使用前、すなわち、通電開始前の白金作
用電極の自然分極電位を指標とすればよいことがわかっ
た。つまり、電圧解除中に白金作用極の自然分極電位を
測定して、その測定値と通電開始前の自然分極電位を比
較し、通電開始前の自然分極電位の近傍まで電位が戻っ
た時に再度の測定を開始できることが分かった。従っ
て、電圧解除中に常時白金作用極の自然分極電位を測定
しているほうが、通電開始前の自然分極電位の近傍まで
電位が戻ったことを速やかに判定できるので好ましい。
【0016】そのことを利用して、測定時間等の測定条
件に応じて、どの程度の間隔で、何時間位、電圧解除を
行うことが良いかについて試行を繰り返した。その結
果、以下のようなことが分かった。電極表面の通電妨害
物質等に起因する活性低下は、測定電圧をかけて測定を
行っている通電継続時間に依存しており、一定時間間隔
毎に電圧を解除する時間を設ける必要がある。この時間
間隔は、使用する電極や検出対象によって異なるが、白
金を用いて過酸化水素検出を行う電位である+0.6V
の場合、2〜24時間に1回程度が望ましい。また通電
継続時間を長くすると自然分極電位にもどる時間が長く
なる傾向があり、例えば、通電継続時間を連続的に24
時間とした場合は1時間程度、8時間とした場合は15
分程度で初期の自然分極電位にもどることが確認され
た。したがって、頻繁に測定をおこなう系では短時間ご
とに電圧解除を行う必要があり、逆に測定頻度が低い系
では24時間程度に1回の処理で良い。
件に応じて、どの程度の間隔で、何時間位、電圧解除を
行うことが良いかについて試行を繰り返した。その結
果、以下のようなことが分かった。電極表面の通電妨害
物質等に起因する活性低下は、測定電圧をかけて測定を
行っている通電継続時間に依存しており、一定時間間隔
毎に電圧を解除する時間を設ける必要がある。この時間
間隔は、使用する電極や検出対象によって異なるが、白
金を用いて過酸化水素検出を行う電位である+0.6V
の場合、2〜24時間に1回程度が望ましい。また通電
継続時間を長くすると自然分極電位にもどる時間が長く
なる傾向があり、例えば、通電継続時間を連続的に24
時間とした場合は1時間程度、8時間とした場合は15
分程度で初期の自然分極電位にもどることが確認され
た。したがって、頻繁に測定をおこなう系では短時間ご
とに電圧解除を行う必要があり、逆に測定頻度が低い系
では24時間程度に1回の処理で良い。
【0017】さらに測定頻度が均一ではなく、通電継続
時間を一義的に定めることが難しい測定系では、任意の
間隔で測定を停止し、その際に、自然分極電位を測定す
ることで電極表面状態の確認が可能である。本発明の測
定方法を実現するためには、白金作用電極の自然分極電
位を記憶する機構としては、アンペロメトリック検出用
に設けられたポテンシオスタット回路を参照極電位に対
する比較回路として使用して、得られた値を記憶する機
構を設ける。前記の記憶機構はCPUとRAMを組み合
わせたマイクロコンピュータであっても良いし、アナロ
グ電位保持回路とコンパレータを用いた比較回路を構成
しても良い。更に、電圧印加の時間を制御するタイマー
部を有して、電圧印加後一定時間経過したら電圧を解除
する機能を持つ電圧印加回路を電圧印加機構として設け
る。
時間を一義的に定めることが難しい測定系では、任意の
間隔で測定を停止し、その際に、自然分極電位を測定す
ることで電極表面状態の確認が可能である。本発明の測
定方法を実現するためには、白金作用電極の自然分極電
位を記憶する機構としては、アンペロメトリック検出用
に設けられたポテンシオスタット回路を参照極電位に対
する比較回路として使用して、得られた値を記憶する機
構を設ける。前記の記憶機構はCPUとRAMを組み合
わせたマイクロコンピュータであっても良いし、アナロ
グ電位保持回路とコンパレータを用いた比較回路を構成
しても良い。更に、電圧印加の時間を制御するタイマー
部を有して、電圧印加後一定時間経過したら電圧を解除
する機能を持つ電圧印加回路を電圧印加機構として設け
る。
【0018】このような機構を設けて、マイクロコンピ
ュータ等を利用して以下のようなステップで測定を行う
ことになる。 (1) 測定開始前の白金作用電極の自然分極電位の測定
と、その値の記憶(この記憶される値を初期分極電位と
いう。) (2) タイマー部によって通電継続時間を時間的に制御し
た状態での測定電圧の印加と解除 (3) 電圧解除後の白金作用電極の自然分極電位の測定と
あらかじめステップ(1)で得られていた初期分極電位と
の比較を行い、測定値が自然分極電位初期値近傍に戻っ
たことを判断し、(2) のステップに戻る。
ュータ等を利用して以下のようなステップで測定を行う
ことになる。 (1) 測定開始前の白金作用電極の自然分極電位の測定
と、その値の記憶(この記憶される値を初期分極電位と
いう。) (2) タイマー部によって通電継続時間を時間的に制御し
た状態での測定電圧の印加と解除 (3) 電圧解除後の白金作用電極の自然分極電位の測定と
あらかじめステップ(1)で得られていた初期分極電位と
の比較を行い、測定値が自然分極電位初期値近傍に戻っ
たことを判断し、(2) のステップに戻る。
【0019】上記のステップ (3)での自然分極電位の測
定は常時行っていても良いし、適宜間隔をおいて行って
もよい。
定は常時行っていても良いし、適宜間隔をおいて行って
もよい。
【0020】上記の操作は非常に簡単であるが、感度の
低下防止効果が得られ、臨床分野で連続的に生体成分を
モニターする電気化学センサーや発酵液などの連続モニ
ター装置に応用できる。
低下防止効果が得られ、臨床分野で連続的に生体成分を
モニターする電気化学センサーや発酵液などの連続モニ
ター装置に応用できる。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
れに限定されるものではない。
【0022】実施例1 図1に示すように、緩衝液槽(1)より緩衝液をポンプ
(2)により送液し、オートサンプラー(3)より試料
10μlを注入し、これをフローセル(7)中で、3m
m2 の白金にグルコース酸化酵素を公知の方法で固定化
した酵素電極を作用極、1.5mm2 の白金を対極、銀
/塩化銀電極を参照極とする3電極方式で電流検出し
た。(10)は測定後の廃液等を示す。(4)は恒温槽
で、使用する酵素によっては温度制御を行う場合に使用
する。電極から生じる信号(電流)は電流電圧変換回路
(8)で電圧に変換され、次のアナログ−デジタル変換
回路(9)に入力されて最終的にデジタル信号に変換さ
れ、マイクロコンピュータ(5)で演算処理される。ま
た、ポンプ(2)、オートサンプラー(3)はそれぞれ
ポンプ制御信号回路(12)、オートサンプラー制御信
号回路(11)でマイクロコンピュータ(5)に接続さ
れて、以下のような手順で測定がおこなわれる。
(2)により送液し、オートサンプラー(3)より試料
10μlを注入し、これをフローセル(7)中で、3m
m2 の白金にグルコース酸化酵素を公知の方法で固定化
した酵素電極を作用極、1.5mm2 の白金を対極、銀
/塩化銀電極を参照極とする3電極方式で電流検出し
た。(10)は測定後の廃液等を示す。(4)は恒温槽
で、使用する酵素によっては温度制御を行う場合に使用
する。電極から生じる信号(電流)は電流電圧変換回路
(8)で電圧に変換され、次のアナログ−デジタル変換
回路(9)に入力されて最終的にデジタル信号に変換さ
れ、マイクロコンピュータ(5)で演算処理される。ま
た、ポンプ(2)、オートサンプラー(3)はそれぞれ
ポンプ制御信号回路(12)、オートサンプラー制御信
号回路(11)でマイクロコンピュータ(5)に接続さ
れて、以下のような手順で測定がおこなわれる。
【0023】(1) 測定開始前の白金作用電極の自然分極
電位を測定し、その値を記憶(この記憶される値を初期
分極電位という。) する。 (2) 次に20mMグルコースを注入し測定値を記録し、
タイマー部によって通電継続時間を24時間に制御した
状態で測定電圧を印加し、その後解除する。 (3) 電圧解除後の白金作用電極の自然分極電位の測定と
あらかじめステップ(1)で得られていた初期分極電位と
の比較を行い、測定値が自然分極電位初期値近傍に戻っ
たことを判断する。ここでは、自然分極電位が初期分極
電位±0.1 V程度になった場合に、測定値が自然分極電
位初期値近傍に戻ったものと判断した。この場合に要し
た時間は40分間であった。その後、(2) のステップに
戻り、再度電圧を印加し、同じ測定を行った。
電位を測定し、その値を記憶(この記憶される値を初期
分極電位という。) する。 (2) 次に20mMグルコースを注入し測定値を記録し、
タイマー部によって通電継続時間を24時間に制御した
状態で測定電圧を印加し、その後解除する。 (3) 電圧解除後の白金作用電極の自然分極電位の測定と
あらかじめステップ(1)で得られていた初期分極電位と
の比較を行い、測定値が自然分極電位初期値近傍に戻っ
たことを判断する。ここでは、自然分極電位が初期分極
電位±0.1 V程度になった場合に、測定値が自然分極電
位初期値近傍に戻ったものと判断した。この場合に要し
た時間は40分間であった。その後、(2) のステップに
戻り、再度電圧を印加し、同じ測定を行った。
【0024】以上の結果を表1に示す。この結果から感
度が殆ど変わらないことが分かる。
度が殆ど変わらないことが分かる。
【0025】比較例1 実施例1で使用した測定装置において、測定電圧を解除
する電圧解除の操作を行わずに24時間の通電継続時間
後に20mMグルコースの電流検出を行った。この結果
を表1に示す。この場合は感度の低下が認められる。
する電圧解除の操作を行わずに24時間の通電継続時間
後に20mMグルコースの電流検出を行った。この結果
を表1に示す。この場合は感度の低下が認められる。
【0026】比較例2 実施例1で使用した測定装置において、24時間の通電
継続時間後に電圧解除を行い、自然分極電位が初期分極
電位に等しくなる前に、具体的には初期分極電位+0.2
Vで(2) のステップに戻り、電圧を再印加し、20mM
グルコースの電流検出を行った。その結果を表1に示
す。この場合も実施例1と比べ明らかな感度の低下が認
められる。
継続時間後に電圧解除を行い、自然分極電位が初期分極
電位に等しくなる前に、具体的には初期分極電位+0.2
Vで(2) のステップに戻り、電圧を再印加し、20mM
グルコースの電流検出を行った。その結果を表1に示
す。この場合も実施例1と比べ明らかな感度の低下が認
められる。
【0027】
【表1】
【0028】表中の24時間後感度とは測定電圧を再印
加した時の感度のことである。
加した時の感度のことである。
【0029】
【発明の効果】本発明の濃度測定方法では、電極表面状
態の指標のひとつとして自然分極電位に着目し、これを
利用して、常に一定の感度で測定を開始でき、簡単に再
現性よく濃度測定を行うことができる。
態の指標のひとつとして自然分極電位に着目し、これを
利用して、常に一定の感度で測定を開始でき、簡単に再
現性よく濃度測定を行うことができる。
【図1】本発明の実施例および比較例で用いた濃度測定
装置の図である。
装置の図である。
1 緩衝液槽 2 ポンプ 3 オートサンプラー 4 恒温槽 5 マイクロコンピュータ 6 RS232Cケーブル 7 フローセル 8 電流電圧変換回路 9 アナログ−デジタル変換回路 10 廃液 11 オートサンプラー制御信号回路 12 ポンプ制御信号回路
Claims (2)
- 【請求項1】液体中に少なくとも白金作用電極、対極お
よび銀/塩化銀参照極を設置したアンペロメトリック測
定用装置を用いて白金作用電極に+0.3V以上の測定
電圧を印加してアノーディックに分極させ連続的に通電
中に物質濃度を測定し、適宜の時間経過後その通電を解
除し、白金作用電極の自然分極電位の値を測定し、通電
を開始する前にあらかじめ求めておいた白金作用電極の
自然分極電位の値とその測定値を比較して、通電の再開
を判断する物質の濃度測定方法。 - 【請求項2】前記通電の解除後の白金作用電極の自然分
極電位の値の測定を連続的に行う請求項1記載の物質の
濃度測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8138582A JPH09318587A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 物質の濃度測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8138582A JPH09318587A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 物質の濃度測定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09318587A true JPH09318587A (ja) | 1997-12-12 |
Family
ID=15225495
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8138582A Pending JPH09318587A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 物質の濃度測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09318587A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001033419A (ja) * | 1999-06-15 | 2001-02-09 | Lifescan Inc | 電気化学的測定のタイミングを開始するための試料の検出 |
WO2004029611A1 (en) * | 2002-09-24 | 2004-04-08 | Hee-Chan Kim | Mesoporous platinum electrode and method for detecting biochemical substrate using the mesoporous platinum electrode |
-
1996
- 1996-05-31 JP JP8138582A patent/JPH09318587A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001033419A (ja) * | 1999-06-15 | 2001-02-09 | Lifescan Inc | 電気化学的測定のタイミングを開始するための試料の検出 |
JP4573400B2 (ja) * | 1999-06-15 | 2010-11-04 | ライフスキヤン・インコーポレーテツド | 電気化学的測定のタイミングを開始するための試料の検出 |
WO2004029611A1 (en) * | 2002-09-24 | 2004-04-08 | Hee-Chan Kim | Mesoporous platinum electrode and method for detecting biochemical substrate using the mesoporous platinum electrode |
US7892415B2 (en) | 2002-09-24 | 2011-02-22 | Cubiq, Inc | Mesoporous platinum electrode and method for detecting biochemical substrate using the mesoporous platinum electrode |
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