JP3800017B2 - ディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置にあっては、基本的には、運転者の意図を反映したアクセルペダルの開度とエンジンの回転速度とに基づいて燃料噴射量を算出する。ただし、こうして算出した燃料噴射量に対しては、様々な要因に基づく補正を施すことで燃料噴射量を最適化することが望ましい。
【0003】
そして、こうした燃料噴射量の最適化のためには、エンジンやその駆動伝達系において生じるフリクションを考慮することが望ましい。特に冷間時には、ピストン及びシリンダボア間のクリアランスが暖気時と比べて小さいことやエンジンオイルの粘性が大きいことなどに起因して、エンジンの各箇所で生じるフリクションが暖気時と比べて大きなものとなる。また、上記駆動伝達系として、例えばその出力軸が自動変速機に連結されるエンジンにあっては、トルクコンバータ内の流体の粘性係数が冷間時に大きくなることなどに起因してエンジン出力を伝達する際の抵抗(フリクション)がやはり冷間時に大きなものとなる。このようにエンジンやその駆動伝達系のフリクションが大きくなる冷間時においては、その燃料噴射量を暖気時と比べて増量補正することで、燃料噴射量を最適化することが望ましい。
【0004】
そこで、従来より、この燃料噴射量の増量制御に関して、始動時のエンジン冷却水の温度から冷間時の噴射量の増量補正値を算出するとともに、アイドルスイッチのオフ時にはこの増量補正値を徐々に減少させる制御を行う装置が提案されている。このような制御装置によれば、エンジン始動時のみならず、広く冷間時においてフリクションを考慮した燃料噴射量の増量補正を行うことができることとともに、同増量補正値の減少制御を行うことで、始動後のフリクションの減少を考慮した燃料噴射量制御を行うこともできるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記態様にて非アイドル時を含めて冷却水の温度に基づいて増量制御を行う場合、エンジンのフリクションについてはこれを的確に反映することができるとはいえ、駆動伝達系におけるフリクションとなるとこれを的確に反映した制御が行われるとは限らない。これは、例えば上記トルクコンバータ内の流体のフリクションの変化が、エンジンの冷却水温の上昇態様を反映して変化するのみならず、エンジン出力による同流体の撹拌態様によっても変化することに起因している。
【0006】
また、上記態様にてアイドルスイッチのオフ時に噴射量増量補正値を減少制御する場合、運転者の運転態様によって上記噴射量の制御態様が大きく影響されることとなる。すなわち、例えばエンジンの暖機のためにアクセルペダルを踏むことでその回転速度を上昇させると、アイドルスイッチがオフとなるために噴射量は徐々に減少制御されることとなる。この場合、その後の発進時において、トルクコンバータ等、駆動伝達系のフリクションはさほど減少していないために、トルク不足による走行不良が発生するおそれがある。したがって、この場合も結局は、必ずしも駆動伝達系の全体のフリクション変化を的確に反映したものとはならない。
【0007】
なお、従来、例えば特開平2000−18058号公報に見られるように、エンジンの回転速度とエンジン冷却水の温度とから始動時の噴射量を決定する際に、自動変速機のライン圧に基づいて同噴射量を増量補正する燃料噴射量制御装置も知られている。この噴射量制御装置によれば、始動時において、自動変速機を駆動するための機関駆動式のオイルポンプにおけるフリクションの増大をライン圧に基づいて推定することで、同フリクションの増大に対応して燃料噴射量を最適化することができる。
【0008】
しかし、駆動系全体のフリクションとなると、これを上記ライン圧から正確に監視することは困難であるため、始動時のみならず、広く冷間時の制御にこの装置を適用するには無理がある。また、この技術では、オイルポンプにおけるフリクションとはいえこれを的確に反映させるために新たにセンサを設ける必要が生じることからコスト的にも不利である。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、広く冷間時において、駆動伝達系のフリクションの変化をより的確に反映したより精度の高い燃料噴射制御を行うことのできるディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量に対して設けられる上限ガード値を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された上限ガード値を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
上記構成では、ディーゼルエンジンの燃料噴射量を制御するパラメータとしてアクセル開度とエンジン回転速度とに加えて、エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間を用いる。したがって、エンジンの冷却水温に基づいて冷間時におけるエンジンのフリクションの変化を的確に反映することができるようになる。しかも、上記構成によれば、走行時間に基づいて燃料噴射量を制御するために、広く冷間時において駆動伝達系のフリクションの変化を的確に反映して燃料噴射量制御を行うことができるようになる。
【0014】
また、上記構成によれば、増加補正手段及び減少補正手段によって上限ガード値が補正される。このため、フリクションの増大に起因したトルク不足を補うべく運転者がアクセルペダルの踏み込み量を増大させる等、トルク増大の意志表示をした場合に、この意志表示を的確に反映することができるようになる。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記増加補正手段による前記エンジンの冷却水温に基づく増加補正が、同エンジンの回転速度に応じて各別に行われることをその要旨とする。
また、請求項3記載の発明は、アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された燃料噴射量を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含み、前記増加補正手段による前記エンジンの冷却水温に基づく増加補正が、同エンジンの回転速度に応じて各別に行われることを特徴とする。
【0016】
これら請求項2又は請求項3記載の発明によれば、増加補正手段によるエンジン冷却水温に基づく増加補正が、エンジン回転速度に応じて各別に行われる。このため、フリクションの増大量に応じていっそう好適な燃料噴射量に補正することができるようになる。
【0017】
なお、上記各請求項3のいずれか一項に記載の発明は、請求項記載の発明によるように、前記減少補正手段は、前記エンジンの出力軸に連結される駆動伝達系の、前記車両の走行時間に応じたフリクション低下率に基づいて前記増加補正された燃料噴射量を減少補正するものであることが望ましい。
【0018】
請求項記載の発明は、アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された燃料噴射量を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含み、前記減少補正手段は、前記エンジンの出力軸に連結される駆動伝達系の、前記車両の走行時間に応じたフリクション低下率に基づいて前記増加補正された燃料噴射量を減少補正するものであることを特徴とする。
【0019】
上記構成では、ディーゼルエンジンの燃料噴射量を制御するパラメータとしてアクセル開度とエンジン回転速度とに加えて、エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間を用いる。したがって、エンジンの冷却水温に基づいて冷間時におけるエンジンのフリクションの変化を的確に反映することができるようになる。しかも、上記構成によれば、走行時間に基づいて燃料噴射量を制御するために、広く冷間時において駆動伝達系のフリクションの変化を的確に反映して燃料噴射量制御を行うことができるようになる。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記増加補正手段及び減少補正手段は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度未満にあることを条件に前記補正を実行するものであることを特徴とする。
上記構成では、エンジンの回転速度が予め設定された所定値以下であるときに増加補正手段及び減少補正手段による補正を行う。このため、発進時等、冷間時においてトルク不足を体感しやすいときに、燃料噴射量の補正が行われることとなり、同トルク不足に起因するドライバビリティの悪化を回避することができるようになる。
請求項7記載の発明は、アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された燃料噴射量を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含み、前記増加補正手段及び減少補正手段は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度未満にあることを条件に前記補正を実行するものであることを特徴とする。
上記構成では、ディーゼルエンジンの燃料噴射量を制御するパラメータとしてアクセル開度とエンジン回転速度とに加えて、エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間を用いる。したがって、エンジンの冷却水温に基づいて冷間時におけるエンジンのフリクションの変化を的確に反映することができるようになる。しかも、上記構成によれば、走行時間に基づいて燃料噴射量を制御するために、広く冷間時において駆動伝達系のフリクションの変化を的確に反映して燃料噴射量制御を行うことができるようになる。
更にエンジンの回転速度が予め設定された所定値以下であるときに増加補正手段及び減少補正手段による補正を行う。このため、発進時等、冷間時においてトルク不足を体感しやすいときに、燃料噴射量の補正が行われることとなり、同トルク不足に起因するドライバビリティの悪化を回避することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1に、本実施形態にかかるディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置の構成を示す。
同図1に示されるディーゼルエンジン1は、大きくは、シリンダブロック2や、シリンダヘッド4、ピストン6を備えている。更に、これらシリンダブロック2や、シリンダヘッド4、ピストン6によって区画形成される燃焼室8内に燃料を直接噴射すべく、インジェクタ10を備えている。
【0022】
このインジェクタ10から噴射される燃料量は、燃料噴射量制御機構12によって制御される。この燃料噴射量制御機構12としては、任意の機構を想定することができる。例えばコモンレール式のものを想定する場合には、この燃料噴射量制御機構12は、所定の高圧力に調圧された燃料を備蓄するコモンレールと、同コモンレール及びインジェクタ10間に設けられた電磁弁とを備える構成等を想定することができる。そして、この電磁弁の開弁及び閉弁制御によってコモンレール及びインジェクタ10間の導通及び遮断制御がなされることで、インジェクタ10から噴射される燃料量が制御される。
【0023】
更に、このディーゼルエンジンは、上記インジェクタ10から燃焼室8に噴射される燃料の爆発に伴うエネルギを駆動力として取り出す出力軸14を備えている。この出力軸14は駆動伝達系16に接続可能な構成となっており、この駆動伝達系16によって最終的には、同出力軸14の駆動力が当該ディーゼルエンジンを搭載した車両の駆動輪へと伝達される。
【0024】
この駆動伝達系16としては、例えば上記出力軸14と連結されるトルクコンバータや、同トルクコンバータと連結する自動変速機、プロペラシャフト、ディファレンシャル、アクスルシャフト等を備える構成を想定することができる。
【0025】
一方、上記ディーゼルエンジン1の燃料噴射量を制御する本実施形態にかかる燃料噴射量制御装置は、同ディーゼルエンジン1や当該車両の各種状態を検出するセンサと、同センサの検出結果に基づいて上記燃料噴射量制御機構12を制御する電子制御装置30とを備えている。
【0026】
上記センサとしては、ディーゼルエンジン1の冷却水の温度を検出する水温センサ20や、同エンジン1の回転速度を検出する回転速度センサ22、運転者によるアクセルペダル(図示略)の踏み込み具合を検出するアクセルセンサ24、車速センサ26、イグニッションスイッチ28等がある。
【0027】
ここで、本実施形態にかかる燃料噴射制御装置による燃料噴射量制御態様について詳細に説明する。
本実施形態においても、インジェクタ10を介して噴射される燃料量は、アイドル以外の運転時には、基本的には、回転速度センサ22によって検出される回転速度とアクセルセンサ24によって検出されるアクセル開度とに基づいて設定される。この燃料噴射量算出手順を図2に示す。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0028】
すなわち、ステップ100において、回転速度及びアクセル開度等、各種条件から燃料噴射量が算出されると、ステップ110では、この算出された燃料噴射量が上限ガード値よりも大きいか否かが判断される。この上限ガード値は、エンジン回転速度毎に設定されている。そして、算出された燃料噴射量が上限ガード値よりも大きい場合には、燃料噴射量としてこの上限ガード値(ステップ120)が、また、算出された燃料噴射量が上限ガード値よりも小さい場合には、燃料噴射量として算出された燃料噴射量(ステップ130)がそれぞれ設定される。
【0029】
また、冷間時には、上記態様にてアクセル開度及び回転速度に基づいて設定される噴射燃料量に対して、ディーゼルエンジン1及び駆動伝達系16のフリクションの増大量を考慮して増量制御を行うようにしている。詳しくは、上記上限ガード値を増加補正する。このように、図2のステップ100によって算出される燃料噴射量を補正する代わりに上限ガード値のみを補正することで、ドライバビリティを好適に保つことができる。すなわち、上限ガード値を補正することで、運転者がアクセルペダルの踏み込み量を調整することによってトルク不足を回避することができるために、好適な走行感が得られる。
【0030】
この上限ガード値の増量値は、水温センサ20によって検出される水温と、回転速度センサ22によって検出される回転速度とに基づいて決定される。すなわち、エンジン1及び駆動伝達系16のフリクションは冷間時ほど大きくなるために、エンジン水温を用いてこれらの冷間時を把握する。また、同フリクションは、エンジン水温のみならずエンジン1の回転速度にも依存する。したがって、本実施形態では、エンジン水温及び回転速度に基づいて上記フリクションの増大量を算出し、同算出されたフリクションの増大量を相殺するのに必要な燃料量を算出するようにしている。
【0031】
このようにエンジン1の水温及び回転速度によってフリクションの増大量を相殺するのに必要な燃料量を算出するために、本実施形態では、同水温及び回転速度とフリクション増大量との関係を定めた2次元マップと、フリクション増大量及び同増大量を相殺するための燃料量との関係を定めたマップとを用いる。
【0032】
ここで、エンジン1の水温及び回転速度とフリクション増大量との関係を定めた2次元マップは、図3に例示されるようなエンジン水温とフリクション増大量との関係や、エンジンの回転速度とフリクション増大量との関係を予め実験的に求めることで用意される。
【0033】
一方、フリクション増大量を相殺するための燃料量を算出するマップは、フリクションの増大によるトルク損失分を補うのに必要なトルク1Nm当たりの噴射量をエンジン回転速度毎に予め実験的に求めことで用意される。このようにエンジン回転速度毎に必要燃料量を設定することで、所定の燃料噴射量によって発生するトルクがエンジンの運転状態によって変化することを考慮した的確な燃料量の設定が可能となる。
【0034】
なお、これら一連の実験は冷間始動直後を想定して行われることが望ましい。これら各マップに基づいて燃料噴射量増量が算出される。すなわち、エンジン回転速度及び水温とフリクション増大量との関係を定めた2次元マップから、フリクション増加量ベース値ΔFが算出される。また、フリクション増大量を相殺するための燃料量を算出するマップから、そのときのエンジン回転速度における必要燃料量qが算出される。そして、これら各マップから算出されたフリクション増加量ベース値ΔFと必要燃料量qとの積として噴射量増量ベース値ΔQが算出される。
【0035】
ΔQ=q×ΔF …(c1)
ところで、こうして算出された噴射量増量ベース値ΔQは、基本的には、エンジン1の水温を反映したものである。このため、上述したように、この噴射量増量ベース値ΔQは、駆動伝達系16のフリクションを的確に反映したものとはならないおそれがある。すなわち、上記態様にて求められたフリクション増加量ベース値ΔFは、始動直後においてはエンジン1及び駆動伝達系16の全体のフリクションとして適切なものであるとしても、その後においては、駆動伝達系16のフリクションの変化態様が当該車両の運転状態によって大きく異なるために適切なものではなくなるおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、始動時から当該車両が所定速度以上で走行した時間を算出して、この算出した走行時間によって上記噴射量増量ベース値ΔQを減少補正するようにしている。詳しくは、図4(a)に示すように、冷間始動時のエンジン及び駆動伝達系のフリクション(図中、駆動系フリクションと表記)の走行時間に対する減少態様を予め実験的に求める。そして、この減少態様から、図4(b)に示す態様にて走行時間に対するフリクション低下率を減少係数として算出し、これを1次元マップとして用意する。
【0037】
この図4(b)に示す減少係数の算出は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、図4(a)において始動直後の駆動系フリクションの値Aと走行時間が増加してもフリクションがほとんど変化しなくなる時点Cでの駆動系フリクションの値Cとを算出する。次に、走行時間が「0」及び「C」間の各時点xにおける駆動系フリクションの値yを算出する。これにより、走行時間が「0」及び「C」間の各時点xにおける減少係数Kが下式で表される。
【0038】
K=(y−B)/(A−B) …(c2)
なお、走行時間が「C」より大きい場合には、図4(b)に示すように、この減少係数は「0」に設定される。
【0039】
こうして予め用意された走行時間と減少係数との1次元マップに基づいて、駆動系フリクションを考慮した噴射量増量最終値FQが下式にて求められる。
FQ=K×q×ΔF …(c3)
こうして算出された噴射量増量最終値FQに基づいて、本実施形態では、上記上限ガード値が変更される。具体的には、回転速度毎に設定される上限ガード値に同回転速度に対応して算出された噴射量増量最終値FQが都度加算される。
【0040】
以下、上記態様にて噴射量の増量制御を行う上記電子制御装置30の構成について説明する。
図1に示すように、この電子制御装置30においては、水温センサ20及び回転速度センサ22の検出結果が取り込まれる。そして、この取り込まれた値をもとにフリクション増量算出部31において上記2次元マップに基づいてフリクション増加量ベース値ΔFが算出され、更に、噴射量増量算出部32において、フリクション増加量ベース値ΔFと回転速度とから噴射量増量ベース値ΔQが算出される。
【0041】
一方、走行時間算出部34では、イグニッションスイッチ28がオンとなってから車速センサ26によって検出される車速が所定値以上である時間が算出される。この所定値は、駆動伝達系16のフリクションの減少に寄与するに十分な走行状態を判断するためのものである。こうして所定車速以上で走行した時間が算出されると、減少係数算出部33では、これに基づいて上記減少係数Kを算出する。
【0042】
こうして各噴射量増量算出部32及び減少係数算出部33でそれぞれ算出された値が乗算部35で乗算されることで、上式(c3)にて表される噴射量増量最終値FQが算出される。
【0043】
こうして算出された噴射量増量最終値FQは、エンジンの所定の運転状態において、インジェクタ10から噴射される燃料量に反映される。すなわち、本実施形態では、補正領域判定部36によって、エンジン回転速度が所定値α以上であって、且つ所定値β以下であるときに、同噴射量増量最終値FQを噴射燃料量に反映するように設定する。ここで、所定値αは、アイドリング時の回転速度よりも小さく設定されている。一方、所定値βは、運転者の体感する冷間時のフリクションの増大によるトルク損失が無視できる回転速度に設定されている。
【0044】
このように、比較的低回転領域に限って上記噴射量の増量制御を行うことで、冷間時のフリクション増大をトルク不足として運転者が最も体感しやすい発進時において、的確にそのトルク不足を補うことができる。そして、減速時等、アイドル回転速度よりも更に小さい回転速度領域では燃料噴射量の増大制御を行わないことで、燃料消費量の低減を図ることができる。また、高回転領域においては、この燃料噴射量の増量制御を行わないために、燃料量の増大制御による過大トルクの発生等を回避することができる。
【0045】
こうして、補正領域判定部36の判定に基づいて、噴射量算出部37では、基本的には、エンジン回転速度とアクセル開度とによって先の図2に示した処理を行う。そして、フリクション増大量に起因した燃料噴射量の増量制御を行う場合には、図5に示すエンジン回転速度毎に設定された上限ガード値(図中実線)に対して、上記噴射量増量最終値FQが加算される。これにより、上限ガード値は、図5の斜線に示す領域内の値に補正される。したがって、フリクションの増大に応じて運転者がアクセルペダルを踏み込むことでトルクを増大させる意志表示をした場合に、この意志を反映して燃料量の増大制御を行うことができ、ひいては、トルク不足を回避した好適な走行が可能となる。
【0046】
なお、上記噴射量増量最終値FQの算出や、補正領域判定部36による判定についても、本実施形態においては、所定時間毎に行われる構成としている。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0047】
(1)エンジン水温と回転速度とから冷間始動時のエンジン1及び駆動伝達系16のフリクションに対応した噴射量増量ベース値ΔQを求めるとともに、走行時間に応じて同噴射量増量ベース値ΔQを減少制御することで噴射量増量最終値FQを求めた。これにより、エンジン水温が駆動伝達系16のフリクションを的確に反映しない場合であれ、同駆動伝達系16のフリクションを的確に反映した噴射量増量最終値FQを得ることができる。
【0048】
(2)噴射量増量最終値FQを上限ガード値に加算する構成とすることで、好適な走行感を得ることができる。
(3)補正領域判定部36を設けることで、フリクションの増大に起因したドライバビリティの悪化を無視し得る領域においては、上限ガード値の増量補正を行わないこととした。これにより、燃料量の増大制御による過大トルクの発生等を回避することができる。
【0049】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・フリクション増量算出部31によるフリクション増大量の算出及び、噴射量増量算出部32における処理は、エンジン水温及び回転速度と噴射量増量との関係を定めた2次元マップを用意することで、これを一工程で行うようにしてもよい。この2次元マップの生成態様については、上記実施形態のようにして求めたフリクション増大量と、これを相殺するために必要な噴射量とから生成することができる。ただし、各水温と回転速度において必要な燃料噴射量を予め実験的に求めることで、上記2次元マップを生成するようにする方が、同マップの生成工数を削減できるために望ましい。
【0050】
・更に、噴射量増量は必ずしも水温と回転速度とから求めるものにも限られず、適宜のパラメータの値を加味してもよい。また、水温のみを用いても、冷間始動直後のフリクションを概ね把握することはできる。
【0051】
・減少係数についても、これを走行時間のみに基づいて設定する代わりに、適宜のパラメータを更に加味して設定するようにしてもよい。
・噴射量増量ベース値ΔQに走行時間に基づく減少係数を乗算するものにも限られない。例えば、走行時間及び水温の2次元マップから、あるいは、走行時間及び水温に加えていくつかのパラメータの値に基づく多次元マップから直接噴射量増量最終値FQを算出する構成としてもよい。
【0052】
・高回転速度領域における燃料噴射量の増量制御をしても過大トルク等の問題を無視できる場合には、所定値βを設けなくてもよい。
・また、アイドル回転速度よりも小さい回転速度領域についても、上記実施形態及びその変形例と同様の噴射量の増量制御を行うことで制御を簡素化してもよい。
【0053】
・噴射量増量最終値FQについては、これを加算するものにも限られない。例えば、同補正値を適宜設定することによって、先のステップ100において算出された燃料噴射量に乗算する構成とすることもできる。また、同ステップ100において、走行時間やエンジン水温を含んだ燃料噴射量を算出する構成としてもよい。
【0054】
・上限ガード値を補正する代わりに、先のステップ100において算出された燃料噴射量及び上限ガード値の両方を補正する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置及びディーゼルエンジン等の構成を示す図。
【図2】同実施形態における燃料噴射量を決定するフローチャート。
【図3】エンジン水温とフリクション増大量との関係を例示する図。
【図4】走行時間とフリクションとの関係を示す図。
【図5】回転速度と上限ガード値との関係を示す図。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン、2…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、6…ピストン、8…燃焼室、10…インジェクタ、12…燃料噴射量制御機構、14…出力軸、16…駆動伝達系。

Claims (7)

  1. アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、
    前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量に対して設けられる上限ガード値を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された上限ガード値を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含む
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
  2. 前記増加補正手段による前記エンジンの冷却水温に基づく増加補正が、同エンジンの回転速度に応じて各別に行われる
    請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
  3. アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、
    前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された燃料噴射量を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含み、前記増加補正手段による前記エンジンの冷却水温に基づく増加補正が、同エンジンの回転速度に応じて各別に行われる
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
  4. 前記減少補正手段は、前記エンジンの出力軸に連結される駆動伝達系の、前記車両の走行時間に応じたフリクション低下率に基づいて前記増加補正された燃料噴射量を減少補正するものである
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
  5. アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、
    前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された燃料噴射量を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含み、前記減少補正手段は、前記エンジンの出力軸に連結される駆動伝達系の、前記車両の走行時間に応じたフリクション低下率に基づいて前記増加補正された燃料噴射量を減少補正するものである
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
  6. 前記増加補正手段及び減少補正手段は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度未満にあることを条件に前記補正を実行するものである
    請求項〜5のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
  7. アクセル開度とエンジン回転速度と環境パラメータとに基づいて燃料噴射量を制御するディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置であって、
    前記環境パラメータとして前記エンジンの冷却水温と同エンジンが搭載された車両の走行時間とを用いて前記燃料噴射量を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記アクセル開度とエンジン回転速度とに応じて基本的に求められる燃料噴射量を前記エンジンの冷却水温に基づいて増加補正する増加補正手段と、この増加補正された燃料噴射量を前記車両の走行時間に基づいて減少補正する減少補正手段とを含み、前記増加補正手段及び減少補正手段は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度未満にあることを条件に前記補正を実行するものである
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射量制御装置。
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