JP3798694B2 - 触媒化合物、それらを含む触媒系及びそれらの重合法への使用 - Google Patents

触媒化合物、それらを含む触媒系及びそれらの重合法への使用 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、触媒化合物、これらの化合物を含む触媒系、及びオレフィンの重合法におけるそれらの使用に関する。より具体的に言えば、この触媒化合物は、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物及びそれらの触媒系である。また、本発明は、各種の製品に加工するのを容易にする特性の組み合わせを有する重合体を製造するために、この触媒系をオレフィンの重合において使用することにも関する。
【0002】
発明の背景
加工性とは、重合体を経済的に加工処理し且つ一律に成形することができることである。加工性には、重合体がいかに容易に流動するか、溶融強度、及び押出物がゆがみを含むか否かのような要素が伴う。典型的な嵩高配位子メタロセン型触媒で製造したポリエチレン(mPE)は、高圧重合法で製造された低密度ポリエチレン(LDPE)よりも加工処理するのが幾分困難である。一般には、mPEより多くの電動力を必要とし、そしてLDPEの押出速度に整合するようにより高い押出圧を生じる。このことは、典型的には、重合体が低いメルトインデックス比を示す場合に明白である。また、典型的なmPEはより低い溶融強度(これは、例えば、インフレートフィルムの押出においてバブル安定性に悪影響を及ぼす)を有し、そしてそれらは工業的な剪断速度では溶融破壊しがちである。しかしながら、他方において、mPEは、LDPEと比較して優秀な物理的特性を示す。
【0003】
現在、産業界では、各種レベルのLDPEをmPEに添加して溶融強度を向上させ、剪断感性を向上させ、即ち、工業的な剪断速度での流れを向上させ、且つ溶融破壊する傾向を減少させることが共通の方法である。しかしながら、これらのブレンドは、一般には、純mPEと比較して貧弱な機械的特性を有する。
【0004】
慣例では、メタロセン触媒は、狭い分子量分布を有する重合体を生成する。狭い分子量分布の重合体は、加工処理するのがより困難になる傾向がある。重合体の分子量分布が広くなるほど、重合体は加工処理するのが容易になる。mPEの加工性を向上させる技術は、有意に異なる分子量を有する2種又はそれ以上のmPEをブレンドすることによって、又は広いMWD重合体を生成する重合触媒若しくは触媒混合物に変更することによって生成物の分子量分布(MWD)を拡げることである。
【0005】
斯界では、特定の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物の特性は、加工処理するのがより容易な重合体をもたらすことが示されている。例えば、米国特許第5,281,679号は、より広い分子量分布の重合体を製造するための嵩高配位子メタロセン型触媒化合物であって、該嵩高配位子は第二又は第三炭素原子を有する置換基で置換されているものについて論じている。米国特許第5,470,811号は、嵩高配位子メタロセン型触媒の混合物を使用して加工処理の容易な重合体を製造することについて記載している。また、米国特許第5,798,427号は、嵩高配位子が特定的に置換されたインデニル配位子である嵩高配位子メタロセン型触媒を使用して向上した加工性を有する重合体を製造することについて記載している。
【0006】
産業界では、重合プロセスにおいて種々の最終用途で使用するための特性の組み合わせを有する重合体を生成する触媒化合物及び触媒系が要求されている。
【0007】
発明の概要
本発明は、触媒化合物、その触媒系、及び重合プロセスでのそれらの使用に関する。この触媒化合物は、環状架橋、好ましくは環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型化合物である。一具体例では、この環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、触媒系を形成するために活性剤で活性化され又は活性剤と組み合わされる。他の具体例では、本発明は、この触媒系を使用する重合法に向けられている。好ましい重合法は、特に触媒系が担体付である場合には、気相又はスラリー相法、最も好ましくは気相法である。
【0008】
一好ましい具体例では、本発明は、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物、好ましくは環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤との触媒系の存在下にエチレンを単独で又は1種又はそれ以上の他のオレフィンと組み合わせて重合させる方法を提供する。
【0009】
発明の具体的な説明
序論
本発明は、触媒化合物、その触媒系、及び重合体をフィルムの如き種々の最終用途に加工処理するのに要求される特性のバランスを有する重合体を製造するための重合プロセスにおいてのその使用に関する。驚いたことに、本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒を特にスラリー又は気相重合法で使用すると、高いメルトインデックス比(MIR)及び高い溶融強度(MS)を有する重合体が製造されることが発見された。従来、環状架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系は高いMIRを有する重合体を生成することが分かっていたが、溶融強度は改善を必要としていた。例えば、1999年5月6日付け出願の米国特許願第09/306,142号及びその対応PCT出願であるWO00/68279は、高いMIRを有する重合体を製造するための環状珪素架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系を例示している。また、1998年12月30日付け出願の米国特許願第09/222,973号及びその対応PCT出願であるWO00/40622は、より良好な溶融強度を有する重合体を製造するための重合法におけるゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系について論じている。触媒化合物の構造の組み合わせが互いに別個に生成する特定の重合体生成物に対して利益を提供することは斯界では極めて異例である。かくして、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が重合プロセスにおいて高いMIR及びMSの両方を有する重合体を生成することは驚くべきことであり全く予想されないことであった。
【0010】
環状Ge(ゲルマニウム)架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物
一般的に、嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、少なくとも1個の金属原子に結合した1個以上の嵩高配位子を有する半サンドイッチ及び完全サンドイッチ型化合物を包含する。典型的な嵩高配位子メタロセン型化合物は、一般的に、少なくとも1個の金属原子に結合した1個以上の嵩高配位子及び1個以上の離脱基を含有するものと説明される。好ましい一具体例では、少なくとも1個の嵩高配位子が金属原子にη−結合され、更に好ましくは金属原子にη5−結合される。
【0011】
本明細書及び請求の範囲のためには、環状のゲルマニウム架橋とはゲルマニウム原子が少なくとも2個の嵩高配位子の間の架橋元素として働いているものであり、また“環状”とはゲルマニウム元素を含有する環又は環系を形成する原子をいう。
【0012】
嵩高配位子は、一般的に、1個以上の開環した非環式の系、或いは縮合した環又は環系或いはこれらの組合せによって表わされる。これらの嵩高配位子、好ましくは環又は環系は、典型的には、元素の周期律表の第13〜16族の原子から選択される原子から構成され、好ましくはその原子は炭素、窒素、酸素、珪素、硫黄、燐、硼素及びアルミニウム又はこれらの組合せよりなる群から選択される。最も好ましくは、環又は環系は炭素原子から構成され、例えば、シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型配位子構造、或いはその他の類似の機能性配位子構造、例えばペンタジエン、シクロオクタテトラエンジイル又はイミド配位子であるが、これらに限定されない。金属原子は、好ましくは、元素の周期律表の第3〜15族並びにランタニド又はアクチニド系列から選択される。好ましくは、金属原子は、第4〜12族、好ましくは第4、5及び6族の遷移金属、最も好ましくは第4族の金属である。
【0013】
一具体例では、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は次式:
A(R'GeR')xBMQn (I)
により表わされる。
ここで、Mは、元素の周期律表から選択される金属原子であって、元素の周期律表の第3〜12族の金属或いはランタニド又はアクチニド系列の金属であることができ、好ましくはMは第4、5又は6族の遷移金属であり、更に好ましくはMは第4族の遷移金属であり、更にはMはジルコニウム、ハフニウム又はチタンである。嵩高配位子のLA及びLBは、開環した非環式の系、或いは縮合した環又は環系、例えば、非置換若しくは置換のシクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型配位子、ヘテロ原子置換及び(又は)ヘテロ原子含有シクロペンタジエニル型配位子である。嵩高配位子の例は、シクロペンタジエニル配位子、インデニル配位子、ベンゾインデニル配位子、フルオレニル配位子、オクタヒドロフルオレニル配位子、シクロオクタテトラエンジイル配位子、アゼニル配位子、アズレン配位子、ペンタレン配位子、ホスホリル配位子、ピロリル配位子、ピラゾリル配位子、カルバゾリル配位子、ボラベンゼン配位子などを包含する(これらの水素化変換体、例えばテトラヒドロインデニル配位子も含めて)が、これらに限定されない。一具体例では、LA及びLBは、Mにη−結合でき、好ましくはMにη3−結合でき、最も好ましくはMにη5−結合できる任意のその他の配位子構造であることができる。他の具体例では、LA及びLBは、炭素原子と共に1個以上のヘテロ原子、例えば、窒素、珪素、硼素、ゲルマニウム、硫黄及び燐を含んで、開環した非環式の系、或いは好ましくは縮合した環又は環系、例えば、ヘテロシクロペンタジエニル補助配位子を形成することができる。その他のLA及びLBである嵩高配位子は、嵩高なアミド、ホスフィド、アルコキシド、アリールオキシド、イミド、カルボリド、ボロリド、ポルフィリン、フタロシアニン、コリン及びその他のポリアゾ巨大環系を包含するが、これらに限定されない。LA及びLBのそれぞれは、独立して、Mに結合した同一又は異なったタイプの嵩高配位子であることができる。
【0014】
A及びLBのそれぞれは、独立して、非置換であるか、又は置換基Rの組合せにより置換されていてもよい。置換基Rの例は、水素、又は線状若しくは分岐状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アロイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル若しくはジアルキルカルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アロイルアミノ基、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状アルキレン基、或いはこれらの組合せから選択される基の1種以上を包含するが、これらに限定されない。アルキル置換基Rの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニル基を包含し、またこれらの全ての異性体、例えば、t−ブチル、イソプロピルなどを包含する。その他のヒドロカルビル基は、フルオルメチル、フルオルエチル、ジフルオルエチル、ヨードプロピル、ブロムヘキシル、クロルベンジル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基(トリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリルなどを含む)、ハロカルビル置換有機メタロイド基(トリス(トリフルオルメチル)シリル、メチルビス(ジフルオルメチル)シリル、ブロムメチルジメチルゲルミルなどを含む)、二置換硼素基(例えばジメチル硼素を含む)、二置換ニクトゲン(pnictogen)基(ジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを含む)、カルコゲン基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィド、エチルスルフィドを含む)を包含するが、これらに限定されない。非水素性の置換基Rは、炭素、ケイ素、硼素、アルミニウム、窒素、燐、酸素、錫、硫黄、ゲルマニウムなどの原子を包含し、またオレフィン、例えば、3−ブテニル、2−プロペニル、5−ヘキセニルなどのようなビニル末端配位子を含めてオレフィン性不飽和置換基も包含するが、これらに限定されない。また、少なくとも2個のR基、好ましくは2個の隣接R基は結合して、炭素、窒素、酸素、燐、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、硼素又はこれらの組合せから選択される3〜30個の原子を有する環構造を形成する。また、1−ブタニルのような置換基Rは、金属Mにσ−結合した炭素を形成することができる。
【0015】
その他の配位子、例えば、少なくとも1個の離脱基Qが金属Mに結合することができる。本明細書及び請求の範囲のためにに、用語“離脱基”とは、1種以上のオレフィンを重合させることができる嵩高配位子メタロセン型触媒作用を作るように嵩高配位子メタロセン型触媒化合物から引き抜かれる任意の配位子である。一具体例では、Qは、Mに対してσ−結合を有する1価の陰イオン性の不安定な配位子である。金属の酸化状態に応じて、nの値は、上記の式(I)が中性の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物を表わすように0、1又は2である。Q配位子の例は弱塩基、例えば、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド又はハロゲンなど或いはこれらの組合せを包含するが、これらに限定されない。他の具体例では、2個以上のQが縮合環又は環系の一部を形成する。Q配位子の他の例として、上記のようなRについての置換基が含まれ、シクロブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、トリル、トリフルオルメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N−メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスフィド基などがある。
【0016】
Aは、Ge原子を含有し、好ましくは3個以上の非水素性原子、好ましくは4個よりも多い炭素原子を含有してGe原子の周りに環又は環系を形成するような環状の環又は環系である。Aの環又は環系を形成する原子は、Rについて上で定義したような置換基により置換されていてよい。環状架橋基Aの例は、シクロトリ又はテトラアルキレンゲルミル、例えば、シクロトリメチレンゲルミル基又はシクロテトラメチレンゲルミル基を含むが、これらに限定されない。
【0017】
環状架橋基のその他の例は、下記の構造式により表わされる。
【化1】
Figure 0003798694
【化2】
Figure 0003798694
【化3】
Figure 0003798694
【0018】
好ましい具体例では、本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロテトラメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミルビス(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロテトラメチレンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化o−キシリデンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3,4−ジメチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5,−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3−メチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムを包含する。また、上記の命名の化合物のいずれか又は嵩高配位子メタロセン型触媒化合物のいずれかとの組合せにおいて、次の環状架橋基:3,4−ジメチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル、3−メチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル及びo−キシリデンゲルミルが含有される。
【0019】
他の具体例では、本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、次式:
(C54-dd)(R'GeR')x(C54-dd)MQg-2 (II)
により表わされる。
ここで、Mは第4、5又は6族の遷移金属であり、(C54-dd)はMに結合した非置換若しくは置の換シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、Rのそれぞれは同一であっても異なっていてもよく、水素或いは50個までの非水素性原子を含有する置換基又は1〜30個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル又はこれらの組合せであり、或いは2個以上の炭素原子は一緒に結合して4〜30個の炭素原子を有する置換又は非置換の環又は環系の一部を形成し、(R'GeR')xは環状架橋基であり、Geはゲルマニウムであり、1個以上のGe原子が2個の(C54-dd)環を架橋し、2個のR'はGeと共に環状の環又は環系を形成し、特に、環状架橋基Geの例はR'2Ge(ここで、2個のR'は環又は環系を形成するように結合している)により表わすことができる。一具体例では、R'は、ヘテロ原子を、例えば硼素、窒素、酸素又はこれらの組合せを含有するヒドロカルビルである。2個のR'は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、ハロカルビル置換有機メタロイドであることができ、2個のR'は2〜100個の非水素性原子を、好ましくは3〜50個の炭素原子を有する環又は環系を形成するように結合され、Qのそれぞれは、独立して、同一であっても異なっていてもよく、ヒドリド、置換若しくは非置換の線状、環状若しくは分岐状の、1〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビル、ハロゲン、アルコキシド、アリールオキシド、アミド、ホスフィド又は任意のその他の1価の陰イオン性配位子又はこれらの組合せであり、また、2個のQは、一緒になって、アルキリデン配位子若しくはシクロメタレートヒドロカルビル配位子又はその他の2価の陰イオン性キレート配位子を形成することができ、gはMの正規の酸化状態に相当する整数であり、dは0、1、2、3又は4から選択される整数で、置換度を表わすんものであり、xは1〜4の整数である。
【0020】
一具体例では、環状架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、式(I)及び(II)の嵩高配位子LA、LB及び(C54-dd)が嵩高配位子のそれぞれの上で同数又は異なった数の置換基で置換しているものである。他の具体例では、式(I)及び(II)の嵩高配位子LA、LB及び(C54-dd)は、互いに異なっている。
【0021】
好ましい具体例では、式(I)及び(II)のメタロセン型触媒化合物の嵩高配位子は、非対称に置換されている。他の好ましい具体例では、式(I)及び(II)の嵩高配位子LA、LB及び(C54-dd)の少なくとも1個は非置換である。
最も好ましい具体例では、本発明の環状ゲルマニウム架橋メタロセン型触媒化合物はアキラルである。
【0022】
本発明で有用なその他の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、環状ゲルマニウム架橋ヘテロ原子、単一嵩高配位子メタロセン型化合物を包含する。これらのタイプの触媒及び触媒系は、例えば、PCT公開WO92/00333、WO94/07928、WO91/04257、WO94/03506、WO96/00244及びWO97/15602、米国特許第5,057,475号、同5,096,867号、同5,055,438号、同5,198,401号、同5,227,440号及び同5,264,405号、ヨーロッパ公開EP−A−0420436に記載されているので、必要ならばそれらを参照されたい。本発明で有用なその他の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物及び触媒系は、米国特許第5,064,802号、同5,145,819号、同5,149,819号、同5,243,001号、同5,239,022号、同5,276,208号、同5,296,434号、同5,321,106号、同5,329,031号、同5,304,614号、同5,677,401号、同5,723,398号及び同5,753,578号、PCT公開WO93/08221、WO93/08199、WO95/07140及びWO98/11144、ヨーロッパ公開EP−A−0578838、EP−A−0638595、EP−B−0513380、EP−A1−0816372、EP−A2−0839834及びEP−B1−0632819(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されているものを包含する。
【0023】
他の具体例では、環状架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、次式:
C(Ge)JMQn (III)
により表わされる。
ここで、Mは元素の周期律表の第3〜10族の金属原子又はアクチニド若しくはランタニド族から選択される金属であり、好ましくはMは第4〜10族の遷移金属であり、更に好ましくはMは第4、5又は6族の遷移金属であり、最も好ましくはMは任意の酸化状態にある第4族の遷移金属、特にチタンであり、LCはMに結合した置換又は非置換の嵩高配位子であり、JはMに結合し、GeはL及びJに結合し、Jはヘテロ原子補助配位子であり、Geは環状架橋基であり、Qは1価の陰イオン性配位子であり、nは0、1又は2の整数である。上記の式(III) において、LC、Ge及びJは、縮合した又は連結した環系を形成する。一具体例において、式(III) のLCは式(I)のLAについて上で定義したとおりのもであり、式(III) のM及びQは式(I)で上で定義したとおりのものである。
【0024】
本発明の更に他の具体例では、本発明で有用な嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、次式:
Figure 0003798694
により表わされる。
ここで、Mは任意の酸化状態にある第4族からの遷移金属、最も好ましくは+2、+3又は+4のいずれかの酸化状態にあるチタンである。式(IV)により表わされる化合物と異なった酸化状態にある遷移金属との組合せも意図される。LCは(C55-y-xx)により表わされ、上で説明したような嵩高配位子である。式(IV)のためには、R0は置換基がないことを意味する。更に詳しくは、(C55-y-xx)は、0〜4個の置換基Rにより置換されたシクロペンタジエニル環又はシクロペンタジエニル型環若しくは環系であり、“x”は0、1、2、3又は4であって、置換度を表わす。Rのそれぞれは、独立して、1〜30個の非水素性原子よりなる群から選択される基である。更に好ましくは、Rは、1〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基若しくは置換ヒドロカルビル基、又はヒドロカルビル置換メタロイド基(ここで、メタロイドは第14又は15族の元素、好ましくは珪素又は窒素又はこれらの混合物である)、ハロゲン基及びこれらの組合せである。また、置換基Rは、シリル、ゲルミル、アミン、及びヒドロカルビルオキシ基並びにこれらの混合物も包含する。また、別の具体例では、(C55-y-xx)は、2個のR基が、好ましくは2個の隣接R基が結合して3〜50個の原子、好ましくは3〜30個の炭素原子を有する環又は環系を形成するシクロペンタジエニル配位子である。この環系は、飽和又は不飽和の多環式シクロペンタジエニル型配位子、例えば、上記した嵩高配位子、例えばインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル又はオクタヒドロフルオレニルを形成することができる。
【0025】
式(IV)の(JR'z-1-y)は、Jが元素の周期律表の第15族の3の配位数を持つ元素又は第16族の2の配位数を持つ元素であるヘテロ原子含有配位子である。好ましくは、Jは、窒素、燐、酸素又は硫黄原子であり、窒素が最も好ましい。R'のそれぞれは、独立して、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基又は上記の式(I)においてRについて定義しようなものよりなる群から選択される基であり、“y”は1〜4、好ましくは1〜2であり、最も好ましくはyは1であり、“z”は元素Jの配位数である。式(IV)において、一具体例では、式(III) のJは(JR'z-1-y)により表わされる。
【0026】
式(IV)において、Qのそれぞれは、独立して、任意の1価の陰イオン性配位子、例えば、ハロゲン、ヒドリド、又は1〜30個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル、アルコキシド、アリールオキシド、スルフィド、シリル、アミド又はホスフィドである。また、Qは、エチレン性不飽和を有し、これによりMに対してη3−結合を形成するヒドロカルビル基も包含する。また、2個のQは、アルキリデン、シクロメタレートヒドロカルビル又は任意のその他の2価の陰イオン性キレート配位子であることができる。整数nは0、1、2又は3であり得る。
【0027】
式(IV)の(R"GeR")yは、Geがゲルマニウムであり及び2個のR"がGeの周りに環又は環系を形成し、好ましくは2個のR"が一緒になって3〜100個の非水素性原子、好ましくは3〜50個の炭素原子を有し、yが好ましくは1〜4の整数であるような環状架橋基である。
【0028】
式(IV)と随意に会合しているのがL'のルイス塩基、例えば、ジエチルエーテル、塩化テトラエチルアンモニウム、テトラヒドロフラン、ジメチルアニリン、アニリン、トリメチルホスフィン、n−ブチルアミンなどであり、wは0〜3の数である。更に、L'はR、R'又はQのいずれかに結合でき、nは0、1、2又は3である。
【0029】
嵩高配位子メタロセン型触媒化合物のための活性剤及び活性化方法
上記の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、オレフィンと配位して、これを挿入し重合させる空いた配位部位を有する触媒化合物を生じさせるように種々の方法により典型的に活性化される。
【0030】
本明細書及び請求の範囲のためには、用語“活性剤”とは、上記のような本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物のいずれかを活性化できる任意の化合物又は成分或いは方法であると定義される。例えば、活性剤は、ルイス酸又は非配位性イオン性活性剤若しくはイオン化性活性剤、又はルイス塩基、アルミニウムアルキル、在来型の助触媒及びこれらの組合せを含めて任意のその他の化合物であって中性の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物を触媒活性の嵩高配位子メタロセン陽イオンに転化させることができるものを包含するが、これらに限定されない。アルモキサン若しくは変性アルモキサンを活性剤として使用すること及び(又は)中性の若しくはイオン性のイオン化性活性剤、例えばトリス(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオルフェニル)硼素若しくはトリスペルフルオルフェニル硼素メタロイド先駆物質若しくはトリスペルフルオルナフチル硼素メタロイド先駆物質であって中性の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物を活性化させるものを使用することも本発明の範囲内にある。
【0031】
一具体例では、活性プロトンを含有しないが嵩高配位子メタロセン型触媒陽イオンと非配位性陰イオンの両方を生成させることができるイオン化性のイオン性化合物を使用する活性化方法も意図され、EP−A−0426637、EP−A−0573403及び米国特許第5,387,568号(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されている。
【0032】
アルモキサン及び変性アルモキサンを製造するための種々の方法があり、その例としては、米国特許第4,665,208号、同4,952,540号、同5,091,352号、同5,206,199号、同5,204,419号、同4,874,734号、同4,924,018号、同4,908,463号、同4,968,827号、同5,308,815号、同5,329,032号、同5,248,801号、同5,235,081号、同5,157,137号、同5,103,031号、同5,391,793号、同5,391,529号、同5,693,838号、同5,731,253号、同5,731,451号、同5,744,656号、ヨーロッパ公開EP−A−0561476、EP−B1−0279586及びEP−A−0594218、PCT公開WO94/10180(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されている。
【0033】
イオン化性化合物は、活性なプロトン又は該化合物の残りのイオンと会合するがこれとは配位せず若しくはごく緩く配位するに過ぎない若干のその他の陽イオンを含有し得る。そのような化合物などが、EP−A−0570982、EP−A−0520732、EP−A−0495375、EP−A−500944、EP−A−0277003及びEP−A−0277004、米国特許第5,153,157号、同5,198,401号、同5,066,741号、同5,206,197号、同5,241,025号、同5,384,299号及び同5,502,124号、並びに1994年8月3日出願の米国特許願第08/285,380号(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されている。
【0034】
その他の活性剤としては、PCT公開WO98/07515に記載されたもの、例えばフルオロアルミン酸トリス(2,2’,2”−ナノフルオルビフェニル)が包含される。また、本発明では活性剤の組合せ、例えば、アルモキサンとイオン化性活性剤と組合せが意図される(例えば、PCT公開WO94/07928及びWO95/14044、米国特許第5,135,157号及び同5,453,410号を参照されたい)。WO98/09996には、過塩素酸塩、過沃素酸塩及び沃素酸塩(これらの水和塩も含めて)による嵩高配位子メタロセン型触媒化合物の活性化が記載されている。WO98/30602及びWO98/30603には、嵩高配位子メタロセン型触媒化合物のための活性剤としてリチウム(2,2’−ビスフェニル−ジトリメチルシリケート)・4THFを使用することが記載されている。また、放射線(EP−B1−0615981を参照)、電気化学的酸化などを使用することのような活性化方法も、中性の嵩高配位子メタロセン型触媒化合物又は先駆物質をオレフィンを重合できる嵩高配位子メタロセン型陽イオンにするための活性化方法として意図される。
【0035】
更に、本発明により、その他の触媒を本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と併用できることが意図される。例えば、米国特許第4,937,299号、同4,935,474号、同5,281,679号、同5,359,015号、同5,470,811号及び同5,719,241号を参照されたい。
【0036】
本発明の他の具体例では、1種以上の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物又は触媒系を1種以上の在来型の触媒化合物又は触媒系と併用することができる。混合触媒及び触媒系の例は、米国特許第4,159,965号、同4,325,837号、同4,701,432号、同5,124,418号、同5,077,255号、同5,183,867号、同5,391,660号、同5,395,810号、同5,691,264号、同5,723,399号、同5,767,031号、196年8月1に公開されたPCT公開WO96/23010(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されている。
【0037】
担持方法
上記した環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物及び触媒系は、斯界で周知であるか又は以下に説明するような担持方法の一つを使用して、1種以上の担体材料又はキャリアーと結合させることができる。好ましい具体例では、本発明の方法は、担持された形の重合触媒を使用する。例えば、最も好ましい具体例では、嵩高配位子メタロセン型触媒化合物又は触媒系は、担持された形であり、例えば、担体又はキャリアー上に担持され、それに結合され、又はそれと接触させ、又はその中に組み入れ、又はそれに吸着若しくは吸収される。
【0038】
用語“担体”又は“キャリアー”とは、互換的に使用され、任意の担体材料、好ましくは多孔質の担体材料、例えばタルク、無機酸化物及び無機塩化物である。その他のキャリアーとして、ポリスチレンのような樹脂質担体材料、ポリスチレンジンビニルベンゼンポリオレフィン又は高分子量化合物のような官能化又は架橋された有機担体、ゼオライト、クレー、或いは任意のその他の有機又は無機担体材料など、或いはこれらの混合物が包含される。
【0039】
好ましいキャリアーは、無機酸化物であって、第2、3、4、5、13又は14族の金属酸化物を包含する。好ましい担体には、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、塩化マグネシウム及びこれらの混合物が包含される。その他の有用な担体として、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト(EP−B1−0511665)、ゼオライトなどがある。また、これらの担体の組合せ、例えば、シリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニアなども使用することができる。
【0040】
キャリアーが、好ましくは無機酸化物が約10〜約700m2/gの範囲の表面積、約0.1〜約4.0cc/gの細孔容積及び約5〜約500μmの範囲の平均粒度を有することが好ましい。更に好ましくは、キャリアーの表面積は約50〜約500m2/gの範囲にあり、細孔容積は約0.5〜約3.5cc/gの範囲にあり、平均粒度は約10〜約200μmの範囲にある。最も好ましくは、キャリアーの表面積は約100〜約400m2/gの範囲にあり、細孔容積は約0.8〜約3.0cc/gの範囲にあり、平均粒度は約5〜約100μmの範囲にある。本発明のキャリアーの平均細孔寸法は、10〜1000Å、好ましくは50〜約500Å、最も好ましくは75〜約350Åの範囲にある。
【0041】
本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒系を担持させる例は、米国特許第4,701,432号、同4,808,561号、同4,912,075号、同4,925,821号、同4,937,217号、同5,008,228号、同5,238,892号、同5,240,894号、同5,332,706号、同5,346,925号、同5,422,325号、同5,466,649号、同5,466,766号、同5,468,702号、同5,529,965号、同5,554,704号、同5,629,253号、同5,639,835号、同5,625,015号、同5,643,847号、同5,665,665号、同5,698,487号、同5,714,424号、同5,723,400号、同5,723,402号、同5,731,261号、同5,759,940号、同5,767,032号及び同5,770,664号、1994年7月7日出願の米国特許願第271,598号及び1997年1月23日出願の同788,736号、並びにPCT公開WO95/32995、WO95/14044、WO96/06187及びWO97/02297(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されている。
【0042】
一具体例では、本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は活性剤と共に同一又は別個の担体に担持することができ、或いは活性剤は担持しない形で使用することができ又は本発明の担持された嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と異なった担体に担持することができ、或いはこれらの方法の任意の組合せを使用することができる。
【0043】
斯界では、本発明の重合触媒化合物又は触媒系を担持させるための他の種々の方法がある。例えば、本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物は、米国特許第5,473,202号及び同5,770,755号(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されるような重合体結合配位子を含有することができる。本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒系は、米国特許第5,648,310号(必要ならばそれを参照されたい)に記載のように噴霧乾燥することができる。本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系と共に使用される担体は、ヨーロッパ公開EP−A−0802203(必要ならばそれを参照されたい)に記載のように官能基付与され、或いは少なくとも1個の置換基又は離脱基が米国特許第5,688,880号(必要ならばそれを参照されたい)に記載のように選択される。
【0044】
好ましい具体例では、本発明は、PCT公開WO96/11960(必要ならばそれを参照されたい)に記載のように担持された触媒系の製造に使用される静電防止剤又は表面変性剤を含有する担持された環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系を提供する。本発明の触媒系はオレフィン、例えば1−ヘキセンの存在下に製造することができる。
【0045】
本発明の担持された環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系を製造するための好ましい方法は、以下に説明するものとし、また1994年6月24日出願の米国特許願第265,533号及び1994年6月24日出願の同265,532号並びに1996年1月4日に公開されたPCT公開WO96/00245及びWO96/00243(必要ならばそれらを参照されたい)に記載されている。この好ましい方法では、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が液体中でスラリーとされてメタロセン溶液が形成され、また活性剤と液体を含有する別個の溶液が形成される。この液体は、任意の相溶性の溶媒又は本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物及び(又は)活性剤と溶液などを形成できるその他の溶媒であることができる。最も好ましい具体例では、この液体は、環状脂肪族又は芳香族炭化水素、最も好ましくはトルエンである。環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物溶液と活性剤溶液の両方が一緒に混合され、多孔質担体に添加され、或いは多孔質担体が該溶液に、架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物の溶液と活性剤溶液又は嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤の溶液の全容積が多孔質担体の細孔容積の4倍以下、更に好ましくは3倍以下、もっと好ましくは2倍以下であるように溶液に添加される。好ましい範囲は、1.1倍〜3.5倍、最も好ましくは1.2〜3倍の範囲にある。
【0046】
多孔質担体の全細孔容積を測定するための手順は、斯界で周知である。これらの手順の一つの詳細が「触媒研究における実験方法」第1巻(アカデミックプレス社、1968)(特に第67−96頁を参照)に検討されている。この好ましい手順は、古典的なBET窒素吸着装置を使用することを含む。斯界で周知の他の方法が、イネスの「液体滴定による流体触媒の全多孔度及び粒子密度」(Analytical Chemistry Vol.28、No.3、332−334(1956年3月))に記載されている。
【0047】
活性剤成分の金属又はメタロイド対担持された環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物の金属のモル比は、0.3:1〜1000:1、好ましくは20:1〜800:1、最も好ましくは50:1〜500:1の範囲にある。活性剤がイオン化性活性剤、例えば、陰イオンのテトラキス(ペンタフルオルフェニル)硼素に基づくものである場合には、活性剤成分の金属又はメタロイド対環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物の金属成分のモル比は、好ましくは0.3:1〜3:1の範囲にある。担持されない環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系が利用される場合には、活性剤成分の金属又はメタロイド対環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物の金属のモル比は、0.3:1〜10,000:1、好ましくは100:1〜5000:1、最も好ましくは500:1〜2000:1の範囲内にある。
【0048】
本発明の一具体例では、オレフィン、好ましくはC2〜C30オレフィン即ちα−オレフィン、更に好ましくはエチレン又はプロピレン又はこれらの組合せが、主要な重合の前に、本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒系の存在下に予備重合される。予備重合は、高められた圧力も含めて、気相、溶液相又はスラリー相でバッチ式で又は連続式で実施することができる。予備重合は、任意のオレフィン単量体若しくは組合せにより及び(又は)水素のような任意の分子量制御剤の存在下に行なうことができる。予備重合手順の例については、米国特許第4,748,221号、同4,789,359号、同4,923,833号、同4,921,825号、同5,283,278号及び同5,705,578号、ヨーロッパ公開EP−B−0279863並びにPCT公開WO97/44371を参照されたい。
【0049】
一具体例では、重合触媒は、担持されない形で、好ましくは、米国特許第5,317,036号及び同5,693,727号並びにヨーロッパ公開EP−A−0593083(必要ならばそれらを参照されたい)に記載のように液状形態で使用される。液状形態の重合触媒は、PCT公開WO97/46599(必要ならばそれを参照されたい)に記載のように反応器に供給することができる。
【0050】
一具体例では、本発明の環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒は、カルボン酸の金属塩、例えば、1998年7月10日出願の米国特許願第09/113,216号に記載のように、モノ、ジ及びトリステアリン酸アルミニウムや、オクタン酸、ステアリン酸及びシクロヘキシル酪酸のアルミニウム塩と併用することができる。
【0051】
重合プロセス
上に記載した本発明の触媒及び触媒系は、広範囲の温度及び圧力にわたる任意の重合プロセスにおいて使用するのに好適である。温度は−60℃〜約280℃好ましくは50℃〜約200℃の範囲内であってよく、そして使用する圧力は1気圧〜約500気圧又はそれ以上の範囲内であってよい。
【0052】
重合法としては、溶液、気相、スラリー相及び高圧法又はこれらの組み合わせが挙げられる。特に好ましいのは、1種又はそれ以上のオレフィン(この少なくとも1種はエチレン又はプロピレンである)の気相又はスラリー相重合である。
【0053】
一具体例では、本発明の方法は、2〜30個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子そしてより好ましくは2〜8個の炭素原子を有する1種又はそれ以上のオレフィン単量体の溶液、高圧、スラリー又は気相重合法に向けられている。本発明は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び1−デセンのうちの2種又はそれ以上のオレフィン単量体の重合に特によく適している。
【0054】
本発明の方法で有用な他の単量体としては、エチレン式不飽和単量体、4〜18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニル単量体及び環状オレフィンが挙げられる。本発明で有用な単量体としては、限定するものではないが、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンを挙げることができる。
【0055】
本発明の方法の最も好ましい具体例では、エチレンの共重合体が製造されるが、この場合には、4〜15個の炭素原子好ましくは4〜12個の炭素原子そして最も好ましくは4〜8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンを有する共単量体がエチレンと共に気相法で重合される。
【0056】
本発明の方法の他の具体例では、エチレン又はプロピレンが少なくとも2種の異なる共単量体(随意として、この片方はジエンであってよい)と重合されて三元重合体を生成する。
【0057】
一具体例では、本発明は、プロピレンを単独で又はエチレン及び/又は4〜12個の炭素原子を有する他のオレフィンを含めた1種又はそれ以上の単量体と共に重合させるための重合法、特に気相法又はスラリー相法に関する。ポリプロピレン重合体は、米国特許第5,296,434号及び同5,278,264号に記載されるような特に架橋した嵩高配位子メタロセン型触媒を使用して製造されることができる。ここで、両方の米国特許を参照の対照として挙げる。
【0058】
典型的には、気相重合法では連続サイクルが使用されるが、この場合には、反応器系のサイクルの一部分において循環ガス流れ(再循環流れ又は流動化用媒体としても知られる)が反応器において重合熱によって加熱される。この熱は、サイクルの他の部分において反応器の外部にある冷却系によって再循環組成物から除去される。一般には、重合体を製造するための気相流動床法では、1種又はそれ以上の単量体を含有するガス状流れが触媒の存在下に反応条件下で流動床を連続的に循環される。ガス状流れは流動床から抜き出され、そして反応器に再循環して戻される。同時に、反応器から重合体生成物が抜き出され、そして重合した単量体を置換するために新鮮な単量体が加えられる(例えば、米国特許第4,543,399号、同4,588,790号、同5,028,670号、同5,317,036号、同5,352,749号、同5,405,922号、同5,436,304号、同5,453,471号、同5,462,999号、同5,616,661号及び同5,669,228を参照されたい)。
【0059】
気相法での反応器圧は、約100psig(690kPa)〜約500psig(3448kPa)、好ましくは約200psig(1379kPa)〜約400psig(2759kPa)の範囲内、より好ましくは約250psig(1724kPa)〜約350psig(2414kPa)の範囲内を変動することができる。
【0060】
本発明の方法によって使用することが意図される他の気相法としては、米国特許第5,627,242号、同5,665,818号及び同5,677,375号、並びにヨーロッパ公開EP−A−0794200、EP−A−0802202及びEP−B−634421に記載されるものが挙げられるので、必要ならばこれらの公報を参照されたい。
【0061】
好ましい具体例では、本発明で使用される反応器及び本発明の方法は、500ポンド/時間(227Kg/hr)〜約200,000ポンド/hr(90,900Kg/hr)又はそれ以上の重合体、好ましくは1000ポンド/hr(455Kg/hr)〜、より好ましくは10,000ポンド/hr(4540Kg/hr)〜、より一層好ましくは25,000ポンド/hr(11,300Kg/hr)〜、なおより一層好ましくは35,000ポンド/hr(15,900Kg/hr)〜、更になお一層好ましくは50,000ポンド/hr(22,700Kg/hr)〜、そして最も好ましくは65,000ポンド/hr(29,000Kg/hr)〜100,000ポンド/hr(45,500Kg/hr)の重合体を製造することができる。
【0062】
スラリー重合法では、一般には、約1〜約50気圧及びそれ以上さえの範囲内の圧力、並びに0℃〜約120℃の範囲内の温度が使用される。スラリー重合では、液状重合希釈剤媒体中において固体粒状重合体の懸濁液が形成され、そしてこれにエチレン及び共単量体そしてしばしば水素が触媒と一緒に添加される。反応器から希釈剤を含む懸濁液が断続的に又は連続的に取り出され、ここで重合体から揮発性成分が分離され、そして随意の蒸留後に反応器に再循環される。重合媒体中に使用される液状希釈剤は、典型的には、3〜7個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは分岐アルカンである。使用される媒体は、重合条件下に液状で且つ比較的不活性であるべきである。プロパン媒体を使用する場合には、プロセスは、反応希釈剤の臨界温度及び圧力よりも上で操作されるべきである。好ましくは、ヘキサン又はイソブタン媒体が使用される。
【0063】
本発明の好ましい重合技術は、粒子形態重合、又は温度を重合体が溶液状態になるときの温度よりも低く保つスラリー法と称される。かかる技術は斯界において周知であり、そして例えば米国特許第3,248,179号に記載されているので、必要ならばそれを参照されたい。他のスラリー法としては、ループ反応器を使用するもの、及び複数の撹拌機付反応器を連続、平行又はそれらの組み合わせで使用するものが挙げられる。限定するものではないが、スラリー法の例としては、連続ループ又は撹拌機付タンク法が挙げられる。また、スラリー法の他の例は米国特許第4,613,483号に記載されているので、必要ならばそれを参照されたい。
【0064】
一具体例では、本発明のスラリー法で使用する反応器及び本発明の方法は、2,000ポンド/hr(907Kg/hr)以上、好ましくは5,000ポンド/hr(2,268Kg/hr)以上、そして最も好ましくは10,000ポンド/hr(4,540Kg/hr)以上の重合体を製造することができる。他の具体例では、本発明の方法で使用するスラリー反応器は、15,000ポンド/hr(6,804Kg/hr)〜、好ましくは25,000ポンド/hr(11,340Kg/hr)〜約100,000ポンド/hr(45,500Kg/hr)の重合体を製造することができる。
【0065】
溶液法の例は米国特許第4,271,060号、同5,001,205号、同5,236,998号及び同5,589,555号に記載されているので、必要ならば、それらを参照されたい。
【0066】
本発明の好ましい方法は、その方法、好ましくはスラリー又は気相法が本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒系の存在下にそしてトリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム及びトリ−n−ヘキシルアルミニウム、並びにジエチルアルミニウムクロリド、ジブチル錫などのようなスカベンジャーの不在下に又はいかなるスカベンジャーも本質上含めずに操作される場合である。この好ましい方法は、PCT公開WO96/08520、並びに米国特許第5,712,352号及び同5,763,543号に記載されているので、必要ならばそれらを参照されたい。
【0067】
本発明の重合体生成物
本発明の方法により製造された重合体は、広範な種類の製品及び最終用途に使用することができる。本発明の方法により製造された重合体としては、線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリプロピレン共重合体が含まれる。
【0068】
重合体、典型的には、エチレンを主体とした重合体は、0.86g/cc〜0.97g/ccの範囲、好ましくは0.88g/cc〜0.965g/ccの範囲、更に好ましくは0.900g/cc〜0.96g/ccの範囲、更にもっと好ましくは0.905g/cc〜0.95g/ccの範囲、更に好ましくは0.910g/cc〜0.940g/ccの範囲、最も好ましくは0.915g/cc以上〜約0.930g/ccの密度を有する。
【0069】
本発明の触媒を使用して製造された重合体の溶融強度は、6cNよりも大きく、好ましくは7cNよりも大きく、最も好ましくは8cN又はそれ以上である。本明細書及び請求の範囲のためには、溶融強度とは、ゲートフェルト・レオテンス溶融強度装置と接続したインストロン細管レオメーターにより測定される。細管ダイから押出された重合体溶融ストランドが装置上で2本の逆回転する車輪の間でつかみ取られる。巻き取り速度を24mm/sec2の一定の加速度で上昇させる。これは加速プログラマー(モデル45917、12の設定で)により制御される。ストランドが破断し又は引張共振を示し始める前に達成された最大引張力(cNの単位で)が溶融強度として決定される。レオメーターの温度は190℃に設定される。細管ダイは、1インチ(2.54cm)の長さ及び0.06インチ(0.15cm)の直径を有する。重合体溶融物がダイから3インチ/分(7.62cm/分)の速度で押出される。ダイ出口と車輪接触点との間の距離は3.94インチ(100mm)であるべきである。
【0070】
本発明の方法により製造された重合体は、典型的に、1.5よりも大きく約15まで、特に2よりも大きく約10まで、更に好ましくは約2.5よりも大きく約8以下、最も好ましくは3.0〜8の重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw/Mn)である分子量分布を有する。
【0071】
好ましい一具体例では、本発明の重合体は、3以上、好ましくは3よりも大きいMz/Mwを有する。Mzはz−平均分子量である。他の好ましい具体例では、本発明の重合体は、3.0以上から約4までのMz/Mwを有する。更に他の好ましい具体例では、Mz/Mwは3よりも大きく4未満の範囲にある。
【0072】
また、本発明の重合体は、典型的に、組成分布幅指数(CDBI)により測定して狭い分子量分布を有する。共重合体のCDBIを決定することの詳細は、当業者に知られている。例えば、1993年2月18日に公開されたPCT公開WO93/03093を参照されたい。一具体例では、本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒による重合体は、一般に50%よりも大きく100%まで、好ましくは99%までの範囲、好ましくは55%〜85%、更に好ましくは60%〜8%、更にもっと好ましくは60%よりも大きく、更には65%よりも大きいCDBIを有する。他の具体例では、本発明の嵩高配位子メタロセン型触媒系を使用して製造された重合体は、50%未満、更に好ましくは40%未満、もっと好ましくは30%未満のCDBIを有する。
【0073】
他の具体例では、本発明の重合体は、[7.0−5.2(log(MI))](ここで、(MI)は以下に説明するように測定したときのメルトインデックスである)よりも大きく又はこれに等しい上記のように測定される溶融強度を有する。
【0074】
一具体例において、本発明の重合体は、ASTM−D1238−Eにより測定して、0.01dg/分〜1000dg/分、更に好ましくは約0.01dg/分〜約100dg/分、もっと好ましくは約0.1dg/分〜約50dg/分、最も好ましくは約0.1dg/分〜約10dg/分の範囲のメルトインデックス(MI)又は(I2)を有する。
【0075】
ある具体例では、本発明の重合体は、30〜200未満、好ましくは約35〜100未満、最も好ましくは40〜95のメルトインデックス比(I21/I2)(ここで、I21はASTM−D1238−Fにより測定される)を有する。
【0076】
好ましい具体例では、本発明の重合体は、好ましくは30よりも大きく、更に好ましくは35よりも大きく、もっと好ましくは40よりも大きく、更にもっと好ましくは50よりも大きく、最も好ましくは65よりも大きいメルトインデックス比(I21/I2)(ここで、I21はASTM−D1238−Fにより測定される)を有する。
【0077】
本発明の重合体は、任意のその他の重合体とブレンドし及び(又は)同時押出することができる。その他の重合体の例としては、在来のチーグラー・ナッタ触媒及び(又は)嵩高配位子メタロセン型触媒により製造された線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高圧低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが包含されるが、これらに限定されない。本発明の方法により製造された重合体及びそのブレンドは、フィルム、シートのような成形操作、繊維の押出及び同時押出、並びに吹込成形、射出成形及び回転成形に有用である。フィルムとしては、食品と接触し及び食品と接触しない用途における収縮フィルム、固着フィルム、伸縮フィルム、封止用フィルム、延伸フィルム、スナック包装材、重質バッグ、乾物用袋、調理及び冷凍食品包装材、医療用包装材、工業用ライナー、膜などのような同時押出又は積層により成形されるインフレート又はキャストフィルムが包含される。繊維としては、フィルター、おむつ用生地、医療用衣料、幾何学的繊維品などを作成するため織布又は不織布に使用するための溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融インフレート繊維操作が含まれる。押出物品は、医療用チューブ、電線ケーブル被覆、幾何学的膜、池用ライナー材を包含する。押出物品には、瓶、タンク、大型中空物品、硬質食品容器、玩具などが包含される。
【0078】
実施例
本発明をその代表的な利点も含めてよりよく理解するために、以下の実施例を示す。
【0079】
例1
[C 6 4 (CH 2 2 Ge(Me 4 5 2 ]ZrCl 2 の合成
64(CH22Mg(THF)1.9(3.99g、15.0ミリモル)をTHF(300mL)に溶解してなる溶液を、(Me45H)2GeCl2(5.77g、15.0ミリモル)をTHF(250mL)に溶解してなる溶液に室温で滴下した。18時間かkhなした後、揮発物を減圧下に除去し、残留物をペンタン(300mL)で抽出した。この混合物をろ過し、溶液を濃縮し、25℃に冷却した。淡い黄色結晶体を集め、真空乾燥した。第二の収穫物を集めて総収量で3.32g(7.92ミリモル、53%)のC64(CH22Ge(Me45H)2を得た。
このC64(CH22Ge(Me45H)2をEt2O(300mL)に溶解し、1.7Mのt−BuLiペンタン溶液(5.29mL、15.8ミリモル)を注射器により滴下した。添加した後、濁った混合物を室温で4時間攪拌し、次いで固体状ZrCl4(1.85g、7.94ミリモル)を少量づつ添加した。18時間攪拌した後、揮発物を減圧下に除去し、残留物をCH2Cl2(200mL)により抽出した。この混合物をろ過し、溶液を濃縮し、−25℃に冷却した。微結晶質固体を集め、真空乾燥した。第二の収穫物を集めて総収量で0.91g(1.6ミリモル、20%)の、環状ゲルマニウム架橋メタロセン型触媒化合物である[C64(CH22Ge(Me452]ZrCl2を得た。
生じた化合物は次の化学構造式を有する。
【化4】
Figure 0003798694
【0080】
例2
[C 6 4 (CH 2 2 Ge(Me 4 5 2 ]ZrCl 2 のための触媒の製造
31.86gの30重量%メチルアルモキサン(MAO)(アルベマルレ社製、バートンルージュ、ルイジアナ)をトルエン(32.7g、アルドリッチ社製無水等級、モレキュラーシーブ上に貯蔵)に溶解してなる溶液に0.78g(1.35ミリモル)の[C64(CH22Ge(Me452]ZrCl2を添加した。生じたオレンジ色溶液を10分間攪拌し、次いで25.0gのシリカ(MS948、1.6cc/gのP.V.(P.V.=細孔容積)、W.R.グレース、ダビソンケミカル支社製、バルチモア、メリーランド、N2雰囲気下に600℃に3時間予め加熱)を渦巻き状に添加した。混合物がもはや運動できなくなったときに、スパチュラで十分にホモジネートした。揮発物を真空下に室温で18時間除去した。さらさらした触媒をドライボックスにおいて3重量%のステアリン酸アルミニウムAlSt#22と混合し(AlSt#22は(CH3(CH216COO)2Al−OHであり、ウイトコ社製、メンフィス、テネシーから入手できる)、次いで試験のために触媒ボンベに移した。
【0081】
例3
[−CH 2 CMe=CMeCH 2 −]Ge(CpMe 4 H) 2 (化合物1)の合成
GeCl2(ジオキサン)(JACS、120(27)、1998、6743)(3.6g、16.1ミリモル)を40mLのTHFに溶解し、2.0gのブタジエンと反応させた。反応を室温で1時間攪拌した後、CpMe4HLi(4.1g、32.2ミリモル)を添加し、反応を18時間進行させた。次いで、揮発物を真空下に除去し、粗製の反応混合物をEt2Oで抽出した。Et2Oろ液を−35℃に冷却して純粋な化合物1を白色固体として生じた。
【0082】
例4
[−CH 2 CMe=CMeCH 2 −]Ge(CpMe 4 2 ZrCl 2 (化合物2)の合成
例3で製造した5.6gの化合物1の試料をEt2Oに溶解し、nBuLiにより脱プロトン処理した。ジ陰イオンを単離し、Et2O中で再度スラリーとし、ZrCl4(3.0g)と反応させた。粗反応物をガラスフリットでろ過した。集めた粗製の固体をCH2Cl2(3×20mL)で抽出し、ろ液を還元し、−35℃に冷却した。化合物2を非常に淡い黄色乃至白色の固体(2.1g)として単離した。生じた化合物は次の化学構造式により表わされる。
【化5】
Figure 0003798694
【0083】
例5
触媒の製造
上記の例4で製造した0.60gの環状ゲルマニウム架橋メタロセン型触媒化合物2を26gのトルエン中でスラリーとし、26gの30%MAOトルエン溶液(アルベマルレ社製、バートンルージュ、ルイジアナ)と反応させた。これに25gのSiO2(ダビソン948、600℃、W.R.グレース、ダビソンケミカル支社製、バルチモア、メリーランド)を添加した。この触媒系を真空下に周囲温度で18時間乾燥し、気相パイロットプラントで試験するために金属製ボンベに装填した。
【0084】
例6(比較)
化合物[CpMe4−GeMe2−CpMe4]ZrCl2(0.52g)を34.5gのトルエン中でスラリーとし、34.5gの30%MAOトルエン溶液(アルベマルレ社製、バートンルージュ、ルイジアナ)と反応させた。シリカゲル(25g)(ダビソン948、600℃、W.R.グレース、ダビソンケミカル支社製、バルチモア、メリーランド)を増分させて添加し、スパチュラにより混合した。この触媒系を真空下に周囲温度で18時間乾燥し、気相パイロットプラントで試験するために金属製ボンベに装填した。
【0085】
例7(比較)
化合物[CpMe4−SiMe2−CpMe4]ZrCl2(0.74g)を53.5gのトルエン中でスラリーとし、53.5gの30%MAOトルエン溶液(アルベマルレ社製、バートンルージュ、ルイジアナ)と反応させた。シリカゲル(40g)(ダビソン948、600℃、W.R.グレース、ダビソンケミカル支社製、バルチモア、メリーランド)を増分させて添加し、スパチュラにより混合した。この触媒系を真空下に周囲温度で18時間乾燥し、気相パイロットプラントで試験するために金属製ボンベに装填した。
【0086】
例8(比較)
(C36)Si(C5Me42 ZrCl 2 (0.63g、1.33ミリモル)をビーカーに秤量し、32.0gの30%MAOトルエン溶液(アルベマルレ社製、バートンルージュ、ルイジアナ)及び32.0gのトルエンと反応させ、溶解するまで(10分間)攪拌した。この反応混合物に24.0gのシリカゲル(ダビソン948、600℃、W.R.グレース、ダビソンケミカル支社製、バルチモア、メリーランド)を添加し、スパチュラにより混合した。生じた泥状物を室温で15時間真空乾燥し、連続気相パイロットプラントでスクリーニングするためにボンベに移した。
【0087】
例9
例2及び5並びに例6〜8(比較)に関する重合
例2及び5並びに例6〜8(比較)に関する重合研究のために連続サイクル流動床気相重合反応器を使用した。結果を表1及び2に要約する。反応器は、その頂部で10インチ(25.4cm)まで増大する6インチ(15.24cm)の直径の床部分よりなる。ガスは多孔分配板より入って床の内容物の流動化を可能にし、重合体試料は反応器頂部で排出される。反応器と生成物が安定したならば、数回床をひっくり返した後に重合体試料を集めた。
後記の表2から、本発明の触媒系により製造された重合体が高い溶融強度と高いメルトインデックス比の両方を有することがわかる。
【0088】
【表1】
Figure 0003798694
【0089】
【表2】
Figure 0003798694
【0090】
本発明を特定の具体例を参照しながら説明し例示したが、本発明がここに必ずしも例示してない変形例まで及ぶことを当業者ならば理解しよう。例えば、本発明の環状ゲルマニウム架橋メタロセン型触媒化合物は1種以上の非環状の架橋メタロセン型触媒化合物と併用できることが意図される。また、本発明の方法は連速反応器の重合プロセスに使用できることも意図される。例えば、担持された環状ゲルマニウム架橋メタロセン型触媒化合物が一方の反応器に使用され、非環状の架橋された又は架橋されていない嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が他方の反応器使用され、またその逆も実施される。このため、本発明の真の範囲を決定するためには請求の範囲のみが参照されるべきである。

Claims (14)

  1. エチレンを単独で又は1種以上のその他のオレフィンと組み合わせて、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤とを含む触媒系の存在下に重合させて重合体生成物を生じさせるための方法において、該環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が次式:
    A(R'GeR')xBMQn (I)
    [ここで、Mは第4族の遷移金属であり、L A 及びL B はMに結合した非置換若しくは置換シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、(R ' GeR ' x はL A とL B を架橋させる環状架橋基であり、2個のR ' 基はGeと共に環状の環又は環系を形成し、Qのそれぞれは独立して1価の陰イオン性配位子であるか、又は随意に2個のQは2価の陰イオン性キレート配位子を形成し、nはMの正規の酸化状態によって0、1又は2であり、xは1〜4の整数である]
    により表わされることを特徴とする、エチレンを単独で又は1種以上のその他のオレフィンと組み合わせて、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤とを含む触媒系の存在下に重合させて重合体生成物を生じさせるための方法。
  2. エチレンと3〜20個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンを、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤とキャリアーとを含む触媒系の存在下に重合させるための連続気相方法において、該環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が次式:
    A(R'GeR')xBMQn (I)
    [ここで、Mは第4族の遷移金属であり、L A 及びL B はMに結合した非置換若しくは置換シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、(R ' GeR ' x はL A とL B を架橋させる環状架橋基であり、2個のR ' 基はGeと共に環状の環又は環系を形成し、Qのそれぞれは独立して1価の陰イオン性配位子であるか、又は随意に2個のQは2価の陰イオン性キレート配位子を形成し、nはMの正規の酸化状態によって0、1又は2であり、xは1〜4の整数である]
    により表わされ、しかも該方法が0.900g/ccよりも大きい密度、35よりも大きいI21/I2及び7cNよりも大きい溶融強度を有する重合体を生じさせることを特徴とする、エチレンとα−オレフィンを重合させるための連続気相方法。
  3. 重合体生成物が35よりも大きいI21/I2及び7cNよりも大きい溶融強度を有するエチレン共重合体である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が次式:
    A(R'GeR')xBMQn (I)
    [ここで、Mは第4族の遷移金属であり、LA及びLBはMに結合し且つ異なっており、LA及びLBは非置換若しくは置換シクロペンタジエニル配位子又は非置換若しくは置換シクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、(R'GeR')xはLAとLBを架橋させる環状架橋基であり、2個のR'基はGeと共に環状の環又は環系を形成し、Qのそれぞれは独立して1価の陰イオン性配位子であるか、又は随意に2個のQは2価の陰イオン性キレート配位子を形成し、nはMの正規の酸化状態によって0、1又は2であり、xは1〜4の整数である]
    により表わされる請求項2に記載の方法。
  5. 7cNよりも大きい溶融強度及び35よりも大きいI21/I2を有する、請求項1に記載の方法により製造されたエチレン共重合体。
  6. 2が0.5〜2dg/分である請求項に記載のエチレン共重合体。
  7. 式:MS≧[7.0−5.2(log(MI))](ここで、MS(cN)は溶融強度であり、MIはメルトインデックス(dg/分)である)を満たす請求項に記載の方法により製造されたエチレン共重合体。
  8. 重合体生成物が3よりも大きいMZ/MW及び60よりも大きいI21/I2を有する請求項2に記載の方法。
  9. 環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤とを含む、エチレンを単独で又は1種以上のその他のオレフィンと組み合わせて重合させるための触媒系において、該環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が次式:
    A(R'GeR')xBMQn (I)
    [ここで、Mは第4族の遷移金属であり、L A 及びL B はMに結合した非置換若しくは置換シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、(R ' GeR ' x はL A とL B を架橋させる環状架橋基であり、2個のR ' 基はGeと共に環状の環又は環系を形成し、Qのそれぞれは独立して1価の陰イオン性配位子であるか、又は随意に2個のQは2価の陰イオン性キレート配位子を形成し、nはMの正規の酸化状態によって0、1又は2であり、xは1〜4の整数である]
    により表わされることを特徴とする、環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物と活性剤とを含む、エチレンを単独で又は1種以上のその他のオレフィンと組み合わせて重合させるための触媒系。
  10. 環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が次式:
    A(R'GeR')xBMQn (I)
    [ここで、Mは第4族の遷移金属であり、LA及びLBはMに結合した非置換若しくは置換のシクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、(R'GeR')xはLAとLBを架橋させる環状架橋基であり、2個のR'基はGeと共に環状の環又は環系を形成し、Qのそれぞれは独立して1価の陰イオン性配位子であるか、又は随意に2個のQは2価の陰イオン性キレート配位子を形成し、nはMの正規の酸化状態によって0、1又は2であり、xは1〜4の整数である
    により表わされるか、又は環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が次式:
    A(R'GeR')xBMQn (I)
    (ここで、Mは第4族の遷移金属であり、LA及びLBはMに結合し且つ異なっており、LA及びLBは非置換若しくは置換シクロペンタジエニル配位子又は非置換若しくは置換シクロペンタジエニル型嵩高配位子よりなる群から選択され、(R'GeR')xはLAとLBを架橋させる環状架橋基であり、2個のR'基はGeと共に環状の環又は環系を形成し、Qのそれぞれは独立して1価の陰イオン性配位子であるか、又は随意に2個のQは2価の陰イオン性キレート配位子を形成し、nはMの正規の酸化状態によって0、1又は2であり、xは1〜4の整数である
    により表わされる請求項に記載の触媒系。
  11. A及びLBが置換シクロペンタジエニル配位子又は置換シクロペンタジエニル型嵩高配位子であり、又はLA及びLBが置換又は非置換シクロペンタジエニル環であり、又はLA及びLBの少なくとも1個がシクロペンタジエニル環であり、又はLAが置換シクロペンタジエニル環である請求項10に記載の触媒系。
  12. 環状ゲルマニウム架橋嵩高配位子メタロセン型触媒化合物が二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロテトラメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロトリメチレンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロテトラメチレンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化シクロテトラメチレンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3,4−ジメチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3,4−ジメチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3,4−ジメチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3−メチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3−メチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化3−メチルシクロテトラメチル−3−エンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化o−キシリデンゲルミルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム、二塩化o−キシリデンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム及び二塩化o−キシリデンゲルミル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムよりなる群から選択される請求項に記載の触媒系。
  13. 触媒系が担持されているか、又は触媒系がキャリアーを更に含む請求項12のいずれかに記載の触媒系。
  14. 重合体生成物が3よりも大きいMZ/MW及び60よりも大きいI21/I2を有する請求項2に記載の方法。
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