JP3798484B2 - 架橋導電性ポリマー及びその前駆物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋した導電性ポリマー前駆物質、熱安定性及び環境安定性が高く、導電性の高い、架橋した導電性ポリマー、ならびにその製法及び応用に関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性有機ポリマーは、1970年代後半から、科学技術的関心が持たれている。これらの比較的新しい材料は、金属の特徴である電子的及び磁気的な特性を示すと同時に、従来の有機ポリマーの持つ物理的、機械的特性を保っている。本明細書では、置換または無置換の導電性ポリパラフェニレンビニレン類、ポリパラフェニレン類、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリアジン類、ポリフラン類、ポリピロール類、ポリセレノフェン類、ポリ−p−フェニレンスルフィド類、ポリアセチレン類、これらの混合物、ならびに他のポリマー及びそれらのモノマーのコポリマーとのブレンドについて説明する。これらの材料は、静電帯電放電(ESC/ESD)保護、電磁障害(EMI)遮蔽、レジスト、電気メッキ、金属の防食などの分野で多数の有望な応用例を有し、最終的にははんだ、配線などの分野で金属に取って代わる可能性がある。これらの応用例で成功するためには、これらの材料は良好な環境及び熱安定性を有し、金属に取って代わるためには、高度の導電性が必要である。
【0003】
これらのポリマーは、ドーパントに露出させることにより導電性が得られる。ドーパントは、一般的にはモノマーであるが、重合したドーパントも使用されている。これまで最も一般的に使用されているドーパントは、水、水酸化アンモニウム、ある種の溶剤などで容易にポリマーから洗い流される。さらに、ドーパントは拡散したり、熱によって劣化したりすることがある。前記のような状況では、ポリマーの導電性は低下し、極端な場合にはドーパントが完全に除去されて、ポリマーが非導電性になる。
【0004】
ドーピングした導電性ポリマーは、ある種の環境条件下では容易にドーパントが失われるため、特にモノマーのドーパント及び一部の重合したドーパントでドーピングされたポリマーは、環境によっては使用することができない。
【0005】
ポリアニリン系の導電性ポリマーは、このような材料のうちで、商業的用途に最も適していることが示されている。材料の加工性を高める点で多大の進歩を示し、したがって多くの応用例向けのコーティングの開発と商業化が可能になった。
【0006】
しかし、現在のポリアニリン誘導体にある種の制限があるために、多数の応用例はまだ実現していない。
【0007】
潜在的な応用例の多くでは、導電性ポリアニリンはその応用例に必要な、適切な機械的物理的特性を有する適当な熱硬化性または熱可塑性樹脂とブレンドする必要がある。組成物は通常射出または圧縮成形により加工されるが、これらの工程は高温を必要とする。たとえば、コンピュータのハウジング、キーボードなどの製造に一般に用いられるポリカーボネートは、200℃を超える温度で加工される。
【0008】
このような温度では、現在のポリアニリン誘導体は、ドーパント分子の蒸発または分解により導電性が著しく失われる傾向がある。これまで、200℃を超える温度で長期間導電性をある程度失わない導電性ポリアニリンはない。したがって、ESD及び特にEMI遮蔽用途に必要な十分な導電性を有するブレンドを得るためには、ポリアニリンをポリカーボネートで加工することはできない。
【0009】
ドーパント分子が失われる温度は、ドーパントの特性に依存する。非導電性のすなわちドーピングしない状態のポリアニリンは、400℃を超える温度まで熱安定性を有する。図1は、ポリアニリン・ベース(非導電性の状態)の重量減少と温度との関係を示す熱重量分析(TGA)の曲線である。400℃までの温度では、顕著な重量減少は見られない。塩酸(HCL)など揮発性の酸でドーピングしたポリアニリンは、100℃でも導電性が著しく低下する。スルホン酸などの有機酸を使用すると、熱安定性が高くなる傾向がある。しかし、一般に使用される代表的なスルホン酸でも、200℃では導電性がかなり低下する。図2は、代表的なスルホン酸でドーピングしたポリアニリンであるアライド・シグナル社のVersiconTMのTGAを示す。図に示すように、200から300℃の間で39%の重量減少があり、これに伴って導電性も著しく低下する。したがって、導電性ポリアニリンの熱安定性を増大させることが望ましい。
【0010】
導電性ポリアニリンの環境安定性も改善する必要がある。ポリマーの導電性は通常の外気条件では劣化しないが、水及びアルカリ溶液、場合によっては溶液に露出することにより劣化する。
【0011】
前記の制限はいずれも、ポリアニリンのドーピング機構の本質に原因するものである。ポリアニリンは、材料の非導電性の状態の前駆物質が適当なドーパント、一般にはプロトン酸と反応することによって、導電体に変換される。この過程は、広く研究され、多数の誘導体及び変形が存在する。しかし、N−H結合はきわめて不安定で、したがって塩基及び水が容易にプロトンを引きぬいて材料を非導電性にする。また、これらのドーピングされた状態の熱安定性は、上述の使用する酸の揮発性、安定性により制限される。
【0012】
このドーピング機構の変形のひとつは、メチル化剤や酸塩化物など、ドーパントと共有結合を形成する有機非プロトン酸ドーパントを使用するものであった。これは導電性形態のポリアニリンの安定性をある程度改善する。しかし、これ以上の進歩がさらに必要である。
【0013】
さらに、ポリアニリンと、他の一部の導電性ポリマーの第3の制限は、導電性が金属の導電性の下限にあるということである。これらの材料が、相互接続技術などのある種の応用例で金属と競合するためには、これらの材料の導電性を高める必要がある。導電性はキャリアの易動度、すなわち同時に分子鎖に沿ったならびに分子鎖間のキャリアの易動度に支配される。分子鎖内の易動度は、分子鎖の形態、結合度、及び分子鎖の欠陥に支配される。分子鎖間の易動度は、ポリマーの結晶性、整列度(degree of order)、鎖間距離、及び鎖間相互作用の有無によって決まる。一般には、分子鎖間の易動度は、キャリアがある鎖から他の鎖へ移る必要がある導電性を制限するのによりクリティカルになる傾向がある。分子鎖の間に連結経路がないため、キャリアの移動(hopping)は速度が遅い。したがって、キャリアの分子鎖間の易動度を増大させ、これらのポリマー内の分子鎖内の易動度も改善して、高度の導電性を達成することが望ましい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ドーパント、置換基など、架橋可能な官能基を有する導電性ポリマーの前駆物質及び導電性ポリマーを提供し、架橋した前駆物質及び架橋した導電性ポリマーを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、導電性ポリマーの架橋した前駆物質及び架橋した導電性ポリマーを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、環境安定性を有する導電性ポリマーをもたらす導電性ポリマー用のドーパントを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、導電性ポリマーが溶剤、水、アルカリ溶液などに暴露されても、実質的に洗い流されることのないドーパントを含有する導電性ポリマーを提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、導電性ポリマーが加熱されても実質的に除去されることのないドーパントを含有する導電性ポリマーを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、架橋を誘電して架橋された導電性ポリマーのネットワークを形成するドーパントと、溶剤または高温に暴露されてもドーパントが除去されるのを実質的に防止するネットワークとを含有する環境安定性のある導電性ポリマーを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、ドーパントが容易に抽出されない、架橋した導電性ポリマーのマトリックスを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、導電性材料の膨潤と、水及び溶剤による浸食を防止する架橋したマトリックスを提供することにより、液体、特に水及び溶剤が導電性ポリマー材料中に拡散するのを大幅に減少させることにある。
【0022】
本発明の他の目的は、分子鎖間に共役した通路を設けることにより、導電性ポリマーの導電性を高めることにある。
【0023】
本発明の他の目的は、物理的または化学的架橋による分子鎖間の相互作用を増大させることにより、導電性ポリマーの導電性を高めることにある。
【0024】
本発明の他の目的は、分子鎖間の距離を制御する方法を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、分子鎖間の距離を減少させる方法を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、分子鎖間の距離を増大させる方法を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、分子鎖間に共役した通路を設ける方法を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、金属アイランドの大きさを200Å以上にする方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、整列度を高める方法を提供することにある。
【0030】
本発明の他の目的は、分子鎖内の易動度を増大させる方法を提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的は、分子鎖間の易動度を増大させる方法を提供することにある。
【0032】
本発明の他の目的は、キャリアの易動度を増大させ、発光ダイオード(LED)または装置(トランジスタ)用の導電性ポリマーの前駆物質及び導電性ポリマーのエレクトロルミネッセンス特性を増大させる方法を提供することにある。
【0033】
本発明の他の目的は、アクリレート、エポキシなどの架橋可能なモノマーまたはオリゴマーを、架橋した導電性ポリマーまたは前駆物質に配合して、高度に架橋したマトリックス、耐摩耗性マトリックス、または熱硬化性接着剤を生成する方法を提供することにある。
【0034】
本発明の他の目的は、前記の導電性ポリマーまたは前駆物質を熱可塑性または熱硬化性のポリマーまたはオリゴマーとブレンドする方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
本発明の広義の一態様は、架橋可能な官能基を有する導電性ポリマーの前駆物質及び架橋可能な官能基を有する導電性ポリマーである。
【0036】
本発明のさらに具体的な態様では、架橋可能な官能基を架橋させて導電性ポリマーの架橋された前駆物質及び架橋された導電性ポリマーを生成する。
【0037】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋により、導電性ポリマー分子のネットワーク、または前駆物質の分子のネットワークを形成する。
【0038】
本発明の他のさらに具体的な態様では、前駆物質分子の間または導電性ポリマー分子の間に共役基が取り込まれる。
【0039】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ポリマーの主鎖上の置換基が、ポリマーの分子鎖間の架橋を誘起する。
【0040】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ドーパントが導電性ポリマーの架橋を誘起する。
【0041】
本発明の他のさらに具体的な態様は、架橋が水素結合によるものである、架橋した導電性ポリマー、または導電性ポリマーの前駆物質である。
【0042】
本発明の他のさらに具体的な態様は、架橋が実際の化学結合によるものである、架橋した導電性ポリマー、または導電性ポリマーの前駆物質である。
【0043】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ドーパントはプロトン酸である。
【0044】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ドーパントは架橋可能なペンダント基を有するプロトン酸である。
【0045】
本発明の他のさらに具体的な態様では、プロトン酸でドーピングした導電性ポリマーの対応する陰イオンが、架橋を誘起して架橋したネットワークを形成する架橋可能な基を含有する。
【0046】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ドーパントはルイス酸、またはハロゲン化アルキル、酸塩化物、塩化スルホニル、エポキシ、無水物、ハロゲン化シリルなどの求電子物質である。
【0047】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ドーパントはルイス酸、または架橋可能なペンダント基を有する前記種類の求電子物質である。
【0048】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋剤を含有するルイス酸ドーパントが、導電性ポリマーの前駆物質と共有結合して、架橋が主鎖を通じて行われる架橋した導電性ポリマーを生成する。
【0049】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ポリマー骨格上の置換基が、分子鎖間の水素結合の形態の架橋を誘起して、架橋した導電性ポリマーの前駆物質または導電性ポリマーを生成する。
【0050】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ポリマー骨格上の置換基が化学的架橋を誘起して、架橋した導電性ポリマーの前駆物質または導電性ポリマーを生成する。
【0051】
本発明の他のさらに具体的な態様では、ポリマー骨格上の置換基が分子鎖間に共役基を導入する。
【0052】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋した導電性ポリマーの前駆物質が架橋不能なドーパントでドーピングされる。
【0053】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋した導電性ポリマーの前駆物質が架橋可能なドーパントでドーピングされる。
【0054】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋が放射または熱への露出などの、エネルギーへの露出により開始される。
【0055】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋が二官能性ドーパントにより開始される。
【0056】
本発明の他のさらに具体的な態様では、架橋がポリマー骨格上の置換基により開始される。
【0057】
【発明の実施の形態】
本発明は、ドーピングされると導電性となるポリマー材料の導電性及び熱ならびに環境に対する安定性を増大させることを目的とするものである。これは、ポリマー分子間に架橋を導入することにより達成される。本明細書で使用する架橋の用語は、水素結合による相互作用、及び実際の化学的架橋結合、たとえば炭素・炭素結合形成などを含めて、ポリマー分子間の物理的、化学的相互作用をいう。架橋により、得られたポリマー材料の整列度が増大し、分子鎖間の相互作用が増大し、鎖間の共役または非共役の連結通路が分子鎖間の易動度を増大させる結果、架橋していないドーピングしたポリマーと比較して、導電性が増大する。さらに、架橋により、得られたポリマー材料に、機械特性の良好な前駆物質または導電性ポリマーの自立皮膜が形成されるなど、架橋しない材料にはない物理的特性が得られる。また架橋により、溶剤その他の同様な材料が架橋したマトリックスに拡散するのが困難になり、溶剤による浸食またはドーパントの溶出が妨げられることにより、これらの材料の熱及び環境に対する安定性が増大する。さらに、ドーパントの熱による損失も減少する。本発明の実施に用いることのできるポリマーの例には、置換及び無置換のポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアジン類、ポリチオフェン類、ポリp−フェニレンスルフィド類、ポリフラン類、ポリピロール類、ポリセレノフェン類、ポリアセチレン類、これらの混合物、これらのモノマーのコポリマー、及びこれらのブレンドなど、アニリン、チオフェン、ベンゼン、ビニルベンゼン、ピロール、p−フェニレンスルフィド、アセチレン類、アジン類、セレノフェン類、フラン類の置換及び無置換のホモポリマーまたはコポリマーがある。これらのポリマーの一般式は、Angelopoulosらの米国特許第5198153号明細書に記載されている。本明細書では、ドーピングされていない形態のこれらのポリマーを前駆物質と呼ぶ。前駆物質はドーピングにより導電性となる。
【0058】
本発明では、好ましい実施形態について述べるが、それだけに限定されるものではない。本発明の実施に用いることのできるポリマーの種類の一つは、置換または無置換のポリアニリン、ポリアニリンのコポリマー、ポリアニリンと他のポリアニリン誘導体とのブレンド、またはポリアニリンと他のポリマーとのブレンドである。
【0059】
エメラルジン・ベースの形態のポリアニリンは、各種の有機溶剤、及び各種の水溶液に可溶である。有機溶剤の例には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びN−メチルピロリドン(NMP)がある。
【0060】
ドーピングしない前駆物質の形態のポリアニリンは、図3に示す一般式を有する。式中、各RはHまたは任意の有機または無機の基で、各Rは同じものでも異なるものでもよく、各R1はHまたは任意の有機または無機の基で、各R1は同じものでも異なるものでもよい。xは1以上、好ましくは2以上であり、yは0から1の間の値である。有機の基の例には、アルキル基及びアリール基がある。無機の基の例には、Si及びGeを含有する基がある。このリストは例示的なものであり、限定的なものではない。最も好ましい実施例は、エメラルジン・ベースの形態のポリアニリンで、yの値は約0.5である。ポリアニリンに関しては、参照により本明細書に合体される米国特許第5198153号明細書にさらに詳細に示されている。
【0061】
図4は、ジカチオン・バイポーラロンの形態のドーピングしたポリアニリンを示す。ポリアニリン・ベースが陽イオン種QAに露出されると、ポリマーのイミン窒素原子(電子密度の高い部位)が
【化1】
と反応して、図4に示すような塩を生成する。Q+は窒素と結合して(N−Q)、正に帯電したポリマーの主鎖を形成し、A-はポリマーの対陰イオンになる。Q+はH+及びアルキル基または金属などの有機または無機陽イオンから選択することができる。QはHであるとき、QAはプロトン酸である。ポリアニリンをドーピングするのにプロトン酸HAを使用する場合は、ポリアニリンのイミン部の窒素原子はプロトン化される。
【0062】
ドーピングされた形態のエメラルジン塩は、共鳴効果により大幅に安定化される。電荷は窒素原子と芳香族環に分配されて、イミンとアミンの窒素の区別がつかなくなる。プロトンがドーピングされた形態は、非局在化したポリセミキノンの陽イオンとなる(ポーラロン構造)。その共鳴構造のひとつを図5に示す。
【0063】
R1とQが同一ではない場合、ドーピングされたポリマーは非対称となり、電荷の局在化の原因となる。この場合、ドーピングされたポリマーは、図5に示すポリセミキノン基の陽イオンまたはポーラロン構造とは異なり、図4に示すようなバイポーラロン・ジカチオン構造となって存在し、またはハイブリッド構造となって存在する。簡単のために、本発明はドーピングされたポリマーのモデル構造として、図4を使用して説明する。
【0064】
ドーパント(QA)は、架橋可能な基が(たとえばポリアニリン)構造に導入され、続いて架橋を誘起するのに使用されるように変性させることができる。これは、下記に概要を示すいくつかの方法により行うことができる。また、ポリマーの骨格置換基(R及びR1)を後で架橋を誘起するのに使用されるように変性させることができる。
【0065】
図26は、XQA及びQAZの形のドーパントでドーピングした、導電性ポリマーの前駆物質ポリマー2を示す略図である。下記に詳細に説明するように、X及びZは、水素結合性官能基を持つものでも、化学的架橋可能な官能基を持つものでもよい。
【0066】
図27は、骨格及び環にそれぞれRB基及びRR基を有する前駆物質ポリマー2を示す略図である。下記に詳細に説明するように、これらの基は、水素結合性官能基を持つものでも、化学的架橋可能な官能基を持つものでもよい。
【0067】
図28は、鎖4から鎖6への架橋の例を示す、前駆物質ポリマー分子鎖4と、前駆物質ポリマー分子鎖6を示す略図である。架橋は2つの分子鎖の間のみ示されているが、多数の分子鎖、及び同一の鎖の部位内で行うこともできる。部位8では、鎖4はQA型のドーパントでドーピングされており、Aは、鎖6への結合(たとえば水素結合)を形成する架橋可能な官能基(たとえば水素結合性)を有する。部位12では、鎖4及び鎖6はQAZ型のドーパントでドーピングされており、Zは、鎖4及び6上のZ置換基の間に架橋14を形成する架橋可能な官能基を有する。部位16では、鎖4がQAZ型のドーパントでドーピングされており、Zは、鎖6の主鎖に架橋18を形成する架橋可能な官能基を有する。部位20では、鎖4及び鎖6がQAZ型のドーパントでドーピングされており、Q及びZの両方が、架橋22を形成する架橋可能な官能基を有する。部位24では、鎖4及び鎖6がQA型のドーパントでドーピングされており、鎖4と鎖6との間に架橋26を形成する。代替方法として、鎖4または鎖6をこのようなドーパントでドーピングする前に、ドーパントを架橋して多官能性ドーパントQA−AQとし、鎖4及び鎖6をドーピングするのに使用すると、架橋26が形成される。代替方法として、必ずしも架橋により合成する必要のない多官能基ドーパントQA−AQを使用して、鎖4と鎖6との間にリンク26(本明細書では架橋と呼ぶ)を形成することもできる。部位28では、鎖4及び鎖6はAQX型のドーパントでドーピングされており、Xは、X基間に架橋30を形成する架橋可能な官能基を有する。部位32では、鎖4はAQX型のドーパントでドーピングされており、Xは、鎖6への架橋34を形成する架橋可能な官能基を有する。部位36では、鎖4がAQX型のドーパントでドーピングされており、鎖6はAQX型のドーパントでドーピングされており、X及びAの両方が、それぞれ鎖4と鎖6上のXとAの間の架橋38を形成する架橋可能な官能基を有する。部位40では、鎖4がAQ型のドーパントでドーピングされており、Qは、鎖6の主鎖への架橋42を形成する架橋可能な官能基を有する。部位44では、鎖4及び鎖6がAQ型のドーパントでドーピングされており、Qは、鎖4と鎖6との間に架橋46を形成する架橋可能な官能基を有する。代替方法として、鎖4または6をこのようなドーパントでドーピングする前に、ドーパントを架橋させて多官能性ドーパントAQ−QAとし、鎖4及び鎖6をドーピングするのに使用すると、架橋46が形成される。代替方法として、必ずしも架橋により合成する必要のない多官能性ドーパントAQ−QAを使用して、鎖4と鎖6との間にリンク46(本明細書では架橋と呼ぶ)を形成することもできる。図28に示す架橋の例は代表的なものであり、限定的なものではない。これら及びその他の特定の例については以下に説明する。部位48では、鎖4及び鎖6がAQ型のドーパントでドーピングされており、A及びQはそれぞれ鎖4及び鎖6上のQ及びAの間に架橋50を形成する架橋可能な官能基を有する。部位52では、鎖4がAQZ型のドーパントでドーピングされており、鎖6はQAX型のドーパントでドーピングされており、A及びZが、鎖4と鎖6の間に架橋54を形成する架橋可能な官能基を有する。部位56では、鎖4及び鎖6が骨格上、または架橋58を形成する骨格上の環に、架橋可能な官能基を有する。部位60では、太線で示した架橋62は、上述の鎖4と鎖6の間の架橋のうちのどれでもよい。架橋62は、64及び66で示される置換基(架橋内または架橋中のペンダント基内)を有し、64及び66などの他の架橋(不飽和炭素・炭素結合及び水素結合など)と架橋して、拡張したネットワークを形成する。また、上述の架橋可能な官能基のどれも、拡張した架橋ネットワークを形成することができる図24に示す重合多官能性ドーパント、または図25に示すコポリマーでよい。
【0068】
1.ペンダント水素結合性官能基を有するプロトン酸ドーパント
QA−−Z(Qは水素、Zは水素結合性官能基)の構造を有するペンダント水素結合性官能基を有するプロトン酸でポリアニリン・ベースをドーピングすると、図6に示す構造を有するドーピングしたポリマーが得られる。この構造で、Zが水素結合が形成されるサイトを形成するか、ZがR1またはQ上のサイトと水素結合する水素を生成するか、ZがRと水素結合しており、RがZ上の水素結合サイトに水素結合する水素結合サイトを含有するか、あるいはRが水素もしくはこれらを組み合わせたものを含有することができる場合は、ポリアニリンの対陰イオンA-は、第2の分子鎖もしくは同一の分子鎖の他のZと水素結合し、またはN−QサイトもしくはN−R1サイト(この場合Q及びR1はH)と水素結合することができるペンダント基(Z)を含有する。図7は、水素結合ネットワークを形成する、1個の分子鎖のZと他の分子鎖のZの間、ならびに1個の分子鎖のZと他の分子鎖のQ−Nの間の水素結合を示す。水素結合の結果、鎖間の相互作用が増大する。さらに、ドーパントは水素結合により鎖間に「ロック」される。この例を以下に示す。
【0069】
ポリアニリン・ベースの粉末を4−スルホフタル酸ナトリウム塩の1N水溶液で、粉末をドーパント酸溶液中で12時間攪拌してドーピングした。ドーピングした粉末を濾過し、過剰の酸ドーパント溶液で洗浄し、水洗した後イソプロパノールですすいだ。この粉末を50℃の真空乾燥機に12時間入れて乾燥した。ポリマーの導電性は10S/cmであった。
【0070】
NMPを溶剤として注型したポリアニリン・ベースの皮膜も、前記ドーパントの酸性水溶液でドーピングした。この皮膜は、ドーパント溶液中に24時間浸漬した後、前記と同様に洗浄した。導電性は10S/cmであった。
【0071】
このドーパントを使用する方法の代わりに、酸水溶液の存在下でアニリンをその場で重合する方法がある。4−スルホフタル酸水溶液(5%溶液)13.87gを、アニリン2.5gに添加した。この溶液を0℃に冷却し、これに酸化剤ペルオキソ二硫酸アンモニウム1.53gを添加した。数分以内に反応混合物は緑色になり、4−スルホフタル酸ナトリウム塩でドーピングしたポリアニリンの粉末が沈殿した。この反応混合物を4時間攪拌した後、粉末を濾過して分離し、前記と同様に洗浄した。この粉末の導電性は10S/cmであった。この材料のTGAを図8に示す。この材料は図2に示すVersiconより熱安定性に優れていることがわかる。Versiconの重量が200℃から300℃の間に39%減少するのに対して、本発明により生成したポリアニリンは200℃から300℃の間に重量がわずかに2.5%しか減少しない。さらに、300℃から400℃の間でも7.6%しか減少しないことがわかる。この材料は明らかに高い熱安定性を示す。このことは、図9に示すペンダント・カルボキシレート基が、ドーパントが除去されにくいネットワーク構造を形成する結果生じる、ドーパントが誘起する分子間の水素結合と一致する。スルホフタル酸ナトリウム塩の溶液でドーピングしたポリアニリンは、直接重合した材料と同一の特性を有する。
【0072】
ポリアニリンをN−メチルピロリジノンまたはm−クレゾールに溶解した溶液中でドーパントと反応させることによってドーピングを行うこともできる。ドーパントに応じて、ドーピングしたポリアニリン材料は溶解したままの状態になるか、粉末として沈殿するかのいずれかになる。前者の場合は、この溶液を使用して、スピン・コーティング、スプレイ・コーティングその他により皮膜を処理することができる。ペンダント水素結合性官能基(QA−−Z)を有するプロトン酸のその他の例には下記のものがあるが、それだけに限定されるものではない。酸は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸、ホスホン酸などでよい。水素結合性官能基は、水酸基、カルボキシレート基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホネート基、アミノ基、アミド基、ケト基、チオール基などがある。ドーパントは脂肪族でも芳香族でもよい。QA−−Zの形態と、ペンダント水素結合性官能基を有するドーパントの代表例は、4,4−ジアミノスチルベン−2,2−ジスルホン酸、アミノナフタレンスルホン酸、及び図23に示すものがある。
【0073】
2.ペンダント化学的架橋可能基を有するプロトン酸ドーパント
ポリアニリンの鎖間架橋を形成する他の種類のドーパントは、QA−−Zなどのペンダント化学的架橋可能基を有するプロトン酸である。Zは、エネルギー、たとえば熱または放射に露出することにより化学的に架橋して共有結合、たとえばC−Cを形成することのできる基である。このような材料でポリアニリンをドーピングすると、図10に示すようなドーピングされた形態が形成され、その対陰イオンがペンダント架橋可能基を有する。この形態の材料は溶液注型法により処理して、皮膜状またはある種の構造部品とし、後で放射または熱に露出して化学的架橋を誘起させることができる。架橋は、図11に示すように、ある鎖のZと他の鎖のZとの間、または同じ鎖のあるZと他のZとの間、またはポリアニリン骨格上の架橋可能なRもしくはR1、または他の基との間で行うことができる。この場合も、ドーピングしたポリアニリン骨格中で鎖間の相互作用が増大する。このようなドーパントの例は、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸である。
【0074】
ポリアニリン・ベースを、固形分が約5%になるようにNMPに溶解した。この溶液に、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸の粉末を添加した。ポリアニリン(反復単位:4環、イミン・サイト:2個)とドーパントとの比は、ポリアニリン1モルに対してドーパント2.2モルとした。数分の間に青色の溶液が緑色に変色し、ドーピングされたことを示した。ドーピングされたポリアニリンは溶解したままで、沈殿は生じなかった。反応を12時間続けたが、架橋が生じないように光を遮るように注意して行った。この溶液を、0.45のミリポア・フィルタで濾過した。
【0075】
ドーピングしたポリアニリンのNMP溶液を使用して、各種の基板上に約0.5μmの薄膜をスピン・コートした。さらに、驚くべきことに、この材料のNMP溶液から、厚い(150μm)柔軟性のある自立皮膜を注型することもできる。この材料は、これまで報告された他のドーピングしたポリアニリンと比較して、溶解性及び加工性が優れている。さらに、これらの皮膜は100℃以下に加熱しながら機械延伸することにより延伸皮膜とすることができる。8倍もの延伸比が得られている。
【0076】
NMP溶液から注型したこの材料の皮膜の延伸前の導電性は0.1S/cmであった。従来のドーパントであるしょうのうスルホン酸(CSA)でドーピングしたポリアニリンの導電性は1桁低い10-2S/cmで、NMPに対する溶解度は非常に低く、固形分にして3%以下である。アクリルアミドプロパンスルホン酸でドーピングしたポリアニリンは、NMPに対して固形分5%を超える溶解度を有する。
【0077】
さらに、CSAでドーピングしたポリアニリンは、柔軟な自立皮膜に加工することができず、本発明のポリアニリンのように延伸することもできない。このドーパントの高い導電性は、対陰イオンに共役アクリルアミド基が存在することと一致する。このため、CSA系と比較して、キャリアの移動が容易になる。
【0078】
前記のドーピング反応を、NMP/LiCl、m−クレゾール、ヘキサフルオロイソプロパノール中でも行った。これらの溶剤では導電性がそれぞれ1,50及び100S/cmである。このドーパントをポリアニリンに導入する他の方法は、アニリンをアクリルアミドプロパンスルホン酸水溶液中で重合させるものである。ドーピングしたポリアニリンは溶液から沈殿する。この方法で合成した材料の導電性は1S/cmである。しかし、この材料は溶解できない。
【0079】
ペンダント・アクリルアミド基の架橋を開始させるため、開始剤である過酸化ベンゾイルをこの材料のNMP溶液に添加した。開始剤を含有するポリマー溶液をスピン・コートした後、ホット・プレートで90℃に加熱して、架橋を開始させた。架橋後は、耐摩耗性が比較的高く、水の浸透性が低く、したがって水によるドーパントの流出が少ない皮膜が得られた。
【0080】
架橋可能なモノマーまたは重合可能なオリゴマーをポリアニリン及びアクリルアミドプロパンスルホン酸のNMP溶液とブレンドして、ポリアニリンと相互に浸透する架橋したネットワークを形成させることができる。たとえば、ジアクリル酸1,3−ブチレングリコールまたはメタアクリル酸ヒドロキシエチルを、ポリアニリンに対して1〜25重量%添加した。非相溶性は見られなかった。過酸化ベンゾイルをこの溶液に添加した。次にこの溶液を使用して、混合物の皮膜をスピン・コートした。この皮膜を90℃に加熱して、架橋を開始させた。耐摩耗性が高く、溶剤、アルカリ溶液、及び水の浸透が少ないため環境に対する安定性が高いコーティングが得られた。
【0081】
前記の架橋は、電子線、紫外線/可視光線、X線などの放射により開始させることができる。放射に選択的に露出することにより、導電性レジストが得られる。露出した領域は不溶性となり、露出しない領域はNMPその他の溶剤で除去することができる。
【0082】
ペンダント架橋可能基を有するプロトン酸のその他の例には下記のものがあるが、それだけに限定されるものではない。酸は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸、ホスホン酸などでよい。架橋可能な基には、アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミド、スチレン、エポキシ、ウレタン、アリル、シロキサン、プロパルギルなどがある。具体的な例には、スチレンスルホン酸、β−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−メチル−2−プロパンスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、3−スルホプロピルメタアクリレートなどがある。
【0083】
前記のドーピングしたポリアニリンに配合できる架橋可能なモノマー/オリゴマーには、アクリレート、メタアクリレート、エポキシ、スチレン、ウレタンなどがある。具体的な例と、可能な開始剤及び感光剤のリストは、参照により本明細書に合体する1993年5月10日付の米国特許出願第08/058303号明細書及び1992年4月28日付の米国特許出願第08/875171号明細書に記載されている。
【0084】
3.ペンダント水素結合性官能基を有する非プロトン酸ドーパント
プロトン酸以外のドーパントも、ポリアニリンのドーピングに使用することができる。それには、アルキルハライドなどのアルキル化剤、アルキルトシレート、酸塩化物、酸無水物、塩化スルホニル、金属イオンなどがある。これらの種類のドーパントは、ルイス酸または求電子物質と呼ばれるが、本明細書では有機ドーパントと呼ぶ。有機ドーパントにより、ポリアニリン・ベースのイミンのNと、たとえばアルキル化剤のCとの間に共有結合(N−C)が生じる。ペンダント水素結合性官能基Xを有するX−−QA型の有機ドーパントを、ポリアニリン・ベースのドーピングに使用して、図12に示す構造を形成することができる。
【0085】
このようなドーパントにより、上述の場合に述べたようなポリマーの対陰イオンを介した架橋とは異なり、主鎖の架橋、この場合は水素結合(図13)が生じる。水素結合は、ある分子鎖のXから他の分子鎖のXへ、もしくはある分子鎖のXから同じ分子鎖の他のXへ、または水素結合性官能基を含む、XとRもしくはR1へ生じることができる。図13は、1個の分子鎖のXから第2の分子鎖のXへの水素結合を示す。
【0086】
このようなドーパントの好ましい例は、3−(クロロスルホニル)安息香酸である。これらの反応は、ポリアニリン・ベースのたとえばNMP溶液を不活性雰囲気中で適当なドーパントと反応させることにより行う。
【0087】
他のこのようなドーパント(X−−QA)には、QAが、水素結合性官能基を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、塩化スルホニル、酸塩化物、酸無水物、アルキルトシレート、金属イオンなどで、Xが、水酸基、アミド基、ケト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホネート基、アミノ基などのものがある。これらのドーパントは脂肪族でも芳香族でもよく、多官能性のものでもよい。他の例は図21に示す。
【0088】
4.ペンダント化学的架橋可能基を有する非プロトン酸ドーパント
a.二官能性有機ドーパント
分子鎖間を化学的に架橋する有機ドーパントの種類の一つは、XもQAであるX−−QAの構造を有するもの、すなわち図14に示すような2つのポリアニリンの分子鎖と相互作用を有する二官能性AQQAを有するものである。また、ドーパントが同じ分子鎖の2つのイミン窒素と相互作用することも可能であるが、ポリアニリン中にある程度の鎖間架橋が導入される。さらに、たとえばQ官能基が共役した基で結合される場合、この実施例では分子鎖間に共役した通路が導入され、ドーパントを適切に選択するならば、ポリマーの主鎖上の共役した基が他の分子鎖と相互結合し、これにより、ある分子鎖から他の分子鎖へ単に飛び移るのと比べて、導電性キャリアがある分子鎖から他の分子鎖へ移動するための効率的な通路が得られる。上述のように、QAはハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アルキルトシレート、アリールトシレート、酸塩化物、塩化スルホニル、酸無水物などがある。
【0089】
有機二官能性ドーパント(AQ−−QA)の例のリストを図22に示す。これらは分子鎖間に同じ結合を導入する。
【0090】
b.不飽和ペンダント基、すなわち架橋可能基を有する一官能性有機ドーパントXが不飽和基、すなわち架橋可能基である構造(X−−QA)を有する有機ドーパントをポリアニリンのドーピングに使用して、図15に示す構造を得ることができる。ドーピングされた形態の材料は、加工して皮膜の形態または構造部品に加工した後、架橋させて図16の架橋したポリアニリン・ネットワークを得ることができる。このようなドーパントはまた、分子鎖間に共役した通路を導入することができる。
【0091】
このようなドーパントの好ましい例は、塩化メタクリロイルである。ポリアニリン・ベースを、固形分5%になるようにNMPに溶解した。塩化メタクリロイル(化学量論量)をポリアニリンに添加して、不活性雰囲気中で反応させた。分離したドーピングされたポリアニリンは20S/cmで、同じ実験条件でプロトン酸により得られるものより導電性が高い。この高い導電性は、側鎖の不飽和基が分子鎖間のキャリアの易動度を助けることと一致する。同様な結果が、NMPから注型したポリアニリン・ベース皮膜を塩化メタクリロイルと反応させることによって得られた。
【0092】
ラジカル開始剤を、前記のドーピングした皮膜のNMP溶液に添加することができる。次にこの溶液をスピン・コートして皮膜を形成し、加熱または適当な放射に露出することにより、架橋を開始させる。さらに、不飽和オリゴマーまたは他の材料のモノマーを、前記の方法と同様な方法でドーピングした溶液に添加して、導電性が高く、環境に対する安定性の良好な高度に架橋したコーティングを得ることができる。
【0093】
このようなドーパントの他の例には下記のものがあるが、これらに限定されるものではない。例として、ペンダント不飽和または架橋可能な、臭化プロパルギル、臭化アリル、塩化メタクリロイル(上述)、塩化アクリロイル、あらゆるハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、塩化スルホニル、酸塩化物、酸無水物など、及びアクリレート、メタアクリレート、エポキシ、スチレン、アリル、シロキサン、ウレタン、プロパルギルなどの架橋可能基を含むドーパントがある。
【0094】
前記の例は例示的なものにすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。さらに、前記ドーパントのどのような組み合わせでも、ドーピングしたポリアニリンの特性を調整するために使用することができる。さらに、ポリアニリンの構造を著しく混乱させることなく、キャリアの易動度を増大させるための最適な鎖間増強を得るために、分子鎖間に少量の制御された架橋を導入することが望ましい。これは、前記のドーパントのいずれかと、非架橋可能ドーパントとを様々な比で組み合わせることにより達成される。このようなドーパントには、塩酸、しょうのうスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、酢酸、ギ酸、ヨウ化メチル、ヨウ化ベンジルなどがある。架橋可能なドーパントと非架橋可能なドーパントの比率は0.0001〜100%、好ましくは0.1〜50%、最も好ましくは0.5〜25%である。これは、ポリアニリン・ベースのたとえばNMP、m−クレゾール、ヘキサフルオロイソプロパノールなどの溶液を、適当な比率の2種類以上のドーパントと反応させることにより行う。たとえば、様々な比率のしょうのうスルホン酸とアクリルアミドプロパンスルホン酸をポリマーのNMP溶液に添加して、反応させることができる。最終的に得られるドーピングしたポリアニリンは両ドーパントを包含することができる。架橋可能なドーパントの量を制御することにより、架橋の度合が制御できる。
【0095】
5.芳香族環の架橋可能な置換基
ポリアニリンに架橋を導入するもう一つの方法は、Rが水素結合または実際の化学的結合のいずれかの架橋可能な官能基を含む芳香族の環に置換基を導入することである。Rは、他の分子鎖、同じ分子鎖の他のR基と、または適当であればN−R1と、ドーピングした形態であればそのドーパントと架橋または水素結合することができる。図17は、ドーピングしない形態のポリマーまたは前駆物質内におけるあるR基から他のR基への架橋を示す。すべてのR基が同一である必要はない。
【0096】
ポリアニリン芳香族環への置換基の導入は、一般に適当な置換アニリン・モノマーの重合により行われる。たとえば、2−アミノフェンエチルアルコールをHClの1N水溶液に添加した。この溶液に、酸化剤であるペルオキシジ硫酸アンモニウムをこれもHCl溶液の形で添加した。酸化剤を添加すると、モノマーが重合を開始し、30分以内にポリマーが溶液から沈殿する。重合反応を3ないし4時間続けた後、ポリマーの塩酸塩を濾過し、過剰のHClで洗浄し、水ですすいだ。これによりHClでドーピングしたヒドロキシエチル(−CH2CH2OH)置換のポリアニリンが分離する。この材料を、水酸化アンモニウムで中和して、非導電性ベースの形態に変換することができる。ベース形態のポリマーは、多数の溶剤に対して優れた溶解性を示し、皮膜などに加工することができる。次にこの材料を架橋可能なドーパントを含む一連のドーパントでドーピングすることができる。前記のポリマーは、電気化学的重合によっても生成することができる。
【0097】
コポリマーは、アニリンを2−アミノフェンエチルアルコールと異なる比で重合させることにより得られる。コポリマーに制御された量の水素結合を導入することができる。一連のポリマーは、ヒドロキシエチル含有量が0%のものから100%のものまで生成することができる。
【0098】
ヒドロキシメチル(−CH2OH)置換ポリアニリン、及びヒドロキシメチルアニリンと無置換のアニリンからなるコポリマーも、上述の方法と同様の方法で生成した。
【0099】
従来は、環の置換基をポリアニリン骨格に導入すると、置換しないホモポリマーと比較して常にポリマーの導電性が低下した。これは、置換基が芳香族環の共平面性を阻害することによる立体障害に起因するもので、これにより鎖内の共役結合が減少する。さらに、置換基が鎖間のスペーサとして作用するため、鎖間の距離が増大する。鎖間の距離が増大すると、鎖間でのキャリアの移動が困難となり、このため導電性が低下する。上述のヒドロキシエチル置換基及びヒドロキシメチル置換基は、導電性を低下させず、実際に導電性を増大させることがわかっている。図18は、しょうのうスルホン酸でドーピングした、無置換ポリアニリン、ヒドロキシエチル・ホモポリマー、及びエトキシ置換ポリアニリンの吸収スペクトルを示す。無置換ポリマーもエトキシ置換ポリマーも、局在するキャリアの存在を示す局在性ポーラロン・ピークを有するが、ヒドロキシエチルポリアニリンは近赤外線まで延びる非局在自由キャリアのテールを示し、これはキャリアが分散していることを示す。さらに、ヒドロキシエチル・ポリマーの導電度は3S/cmであるのに対して、無置換のホモポリマーの導電度は10-2S/cmであり、エトキシ置換ポリマーの導電度は10-6S/cmである。エトキシ置換ポリアニリンとヒドロキシエチル置換ポリマーは、基本的に立体障害が同一であるのに対し、ヒドロキシエチル置換ポリマーははるかに高い導電性が得られることに注目されたい。鎖間の水素結合が分子鎖間の距離を短縮させ、鎖間のキャリアの移動を容易にすることがその原因である。実際に、広角X線分散(WAXS)測定により、2Δが無置換ポリアニリンの19から、ヒドロキシエチル置換ポリアニリンの22、ヒドロキシメチル置換ポリアニリンの23へと増大し、このことは水素結合置換基により鎖間の距離が減少したことを示す。さらに、エドロキシエチル置換ポリアニリンを用いると、溶媒と水酸基の相互作用が改善されるためにコイル構造が延伸されるので、溶剤との相互作用を改善することができる。コイル構造が延伸されると、鎖間の移動度が向上する。
【0100】
Rは、ペンダント水素結合性官能基またはペンダント架橋可能官能基を有するものであれば、脂肪族でも芳香族でもよい。水素結合性官能基には、水酸基、アミド基、ケト基、カルボキシレート、カルボン酸、スルホン酸、チオール、及びアミノ基がある。架橋可能官能基には、アクリレート、メタアクリレート、プロパルギル基、アリル基、エポキシ、スチレン、シロキサンなどがある。Rの具体例を図20に示す。
【0101】
6.アミン窒素の架橋可能な置換基
ポリアニリンのアミン窒素に、架橋可能な置換基R1を導入することは、あるR1から他のR1への架橋を示す図19に示すように、ポリマーに架橋を導入するもう一つの経路である。この種の置換は、N置換アニリン・モノマーを適切に酸化重合させることによって行うことができる。たとえば、N−ヒドロキシエチル置換アニリン(Aryl−NH−CH2CH2OH)を上述の方法と同様な方法で酸化重合させた。このモノマーを他のアニリン誘導体と重合させてコポリマーを生成する。置換基は、上述のように水素結合性のものでも化学的架橋可能なものでもよい。
【0102】
本明細書に概要を示す各種の実施例は、どのような形でも組み合わせることができる。さらに、架橋可能な置換基またはドーパントあるいはその両方を、架橋できない置換基またはドーパントあるいはその両方と組み合わせることができる。たとえば、o−エトキシアニリンを2−アミノフェンエチルアルコールと重合させて、架橋できない置換基であるエトキシと、水素結合置換基であるヒドロキシエチルとを有するポリアニリンコポリマーを生成することができる。
【0103】
架橋度は、導入する架橋可能な置換基またはドーパントの比率によって制御することができる。置換基の比率は、重合反応に使用するアニリン・モノマーの供給比により制御することができる。架橋可能なドーパントの量は、ドーピング中に使用する化学量論量により制御することができる。
【0104】
前記の処方を、アクリレート、メタアクリレート、エポキシ、シロキサン、ウレタン、アセチレンなどのモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる他の架橋可能なマトリックスと組み合わせて、高度に架橋した導電性熱硬化性樹脂を生成することができる。前記の処方を、熱可塑性ポリマーと組み合わせて導電性ブレンドを生成することもできる。前記の処方を、導電性接着剤、静電放電保護材料、導電性レジスト、電磁障害遮蔽材料、鋼鉄及び金属表面の腐食防止のための電解もしくは無電解メタライゼーション、電子線リソグラフィ用放電層、走査電子顕微鏡検査用放電層、相互接続、エレクトロルミネッセント層、及びトランジスタ、ダイオードなどの装置用の半導体として使用することができる。
【0105】
本明細書に記載された材料、及び参照により本明細書に合体した1995年1月9日付米国特許出願第08/370127号明細書、ならびに1995年1月9日付米国特許出願第08/370128号明細書に記載された材料は、ガス分離膜として使用することができる。ガスにはHe、H2、CO2、Ar、O2、N2などが含まれる。この材料は、適当な溶剤中で処理し、支持材上に注型して皮膜を形成したり、自立皮膜を注型したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリアニリン・ベースの重量減少と温度との関係を示す熱重量分析(TGA)曲線である。
【図2】代表的なドーパントでドーピングされたポリアニリンであるVersicon(Allied Signal社の商標)の熱重量分析曲線である。
【図3】導電性ポリアニリンの前駆物質であるドーピングされないポリアニリンの一般式である。
【図4】ジカチオン・バイポーラロン型で表した、ドーピングしたポリアニリンの一般式である。
【図5】ポリセミキノン基陽イオン、すなわちポーラロン型のドーピングしたポリアニリンの一般式である。
【図6】QA−Z型ドーパント、たとえばペンダント型水素結合性官能基を有するプロトン酸でドーピングしたポリアニリンを示す図である。
【図7】たとえばZ−Z間及びZ−Q間(QはH)の水素結合を介して架橋した2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図8】スルホン酸中でアニリンを重合して調製した4−スルホフタル酸ナトリウム塩でドーピングしたポリアニリンのTGAである。
【図9】4−スルホフタル酸ナトリウム塩でドーピングしたポリアニリンと、このような2個のポリアニリンの分子鎖の間で可能な水素結合の相互作用を示す図である。
【図10】QA−Z型ドーパント、たとえばペンダント化学的架橋可能基を有するプロトン酸ドーパントでドーピングしたポリアニリンを示す図である。
【図11】架橋がたとえば熱または放射エネルギーにより開始される、Z−Z結合を介して架橋された2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図12】X−QA型のドーパント、たとえばペンダント型水素結合性官能基を有する有機ドーパントでドーピングされたポリアニリンを示す図である。
【図13】たとえばX−X間の水素結合を介して架橋された2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図14】たとえばAQ−QA型の二官能性有機ドーパントにより架橋された2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図15】ペンダント化学的架橋可能基を有する有機ドーパントであるX−QA型ドーパントでドーピングされたポリアニリンを示す図である。
【図16】架橋がたとえば熱または放射エネルギーにより開始される、X−X間の化学結合を介して架橋された2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図17】環置換基R−R間の相互作用を介して架橋された、ドーピングされない、または前駆物質の形態の2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図18】すべてNMPに溶解したしょうのうスルホン酸でドーピングした、無置換ポリアニリン、o−エトキシ基置換ポリアニリン、o−ヒドロキシエチル基置換ポリアニリンの紫外線/可視光線/近赤外線吸収を比較したグラフである。
【図19】アミン置換基(R1−R1)間の相互作用を介して架橋された、ドーピングされない、または前駆物質の形態の2個のポリアニリンの分子鎖を示す図である。
【図20】水素結合性官能基を有するR基の例を示す図である。
【図21】X−QA型(Xは水素結合性官能基)ドーパントの例を示す図である。
【図22】AQ−QA型有機二官能性ドーパントの例を示す図である。
【図23】QA−Z型(Zは水素結合性官能基)ドーパントの例を示す図である。
【図24】本発明の実施に有用な多官能性架橋基を有するポリドーパントの構造を示す略図である。
【図25】図10及び図11に示す多官能性ドーパントのコポリマーを示す略図である。
【図26】各種のドーパントでドーピングした前駆物質ポリマーを示す略図である。
【図27】架橋可能な基RB及びRRを有する前駆物質ポリマーを示す略図である。
【図28】図26及び図27に示す架橋可能なドーパント及び基を介して架橋したポリマーを示す略図である。
Claims (15)
- 導電性ポリマー組成物の生成方法であって、
ヒドロキシエチル基とヒドロキシメチル基からなるグループから選択されるヒドロキシアルキル基を有するポリアニリン及びそのコポリマーからなるグループから選択される前駆物質を用意する工程と、
前記前駆物質をドーパントに露出させる工程と、
前記前駆物質を架橋させる工程と
を含む方法。 - 導電性ポリマー組成物の生成方法であって、
ヒドロキシエチル基とヒドロキシメチル基からなるグループから選択されるヒドロキシアルキル基を有する、ポリアニリン及びそのコポリマーからなるグループから選択される前駆物質のモノマーを用意する工程と、
前記モノマーを重合させると同時に架橋させて、前記前駆物質を形成する工程と、
前記前駆物質をドーパントに露出させる工程と
を含む方法。 - 前記前駆物質は、前記ヒドロキシアルキル基で架橋する、請求項1または2に記載の方法。
- 前記前駆物質は、架橋可能な官能基をさらに有する、請求項1または2に記載の方法。
- 導電性ポリマー組成物の生成方法であって、
ヒドロキシエチル基とヒドロキシメチル基からなるグループから選択されるヒドロキシアルキル基を有するポリアニリン及びそのコポリマーからなるグループから選択される、導電性ポリマーの前駆物質を用意する工程と、
前記前駆物質に、架橋可能な官能基を有するドーパントを添加して、混合物を形成する工程と
前記混合物を架橋させる工程と
を含む方法。 - 前記架橋可能な官能基が、水酸基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基、カルボン酸基、ケト基、アミド基、チオール基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシ、スチレン、プロパルギル基、アリル基、ウレタン、及びシロキサンからなるグループから選択される、請求項5に記載の方法。
- 前記ドーパントが、プロトン酸および非プロトン酸からなるグループから選択されたものであることを特徴とする、請求項5または6のいずれか1つに記載の方法。
- Qが陽イオン種、Aが対応する陰イオン、X及びZが前記架橋可能な官能基を有する基を表すものとして、前記ドーパントが、AQX及びQAZからなるグループから選択された構造式を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 架橋した、ヒドロキシエチル基とヒドロキシメチル基からなるグループから選択されるヒドロキシアルキル基を有するポリアニリン及びそのコポリマーからなるグループから選択される導電性ポリマーまたはその前駆物質と、ドーパントとを含む、導電性ポリマー組成物。
- 前記導電性ポリマーは、前記ヒドロキシアルキル基で架橋されている、請求項9に記載の組成物。
- 前記導電性ポリマーまたはその前駆物質は、架橋可能な官能基をさらに有する、請求項9に記載の組成物。
- ヒドロキシエチル基とヒドロキシメチル基からなるグループから選択されるヒドロキシアルキル基を有するポリアニリン及びそのコポリマーからなるグループから選択される、導電性ポリマーの前駆物質と、架橋可能な官能基を有するドーパントとを含み、前記前駆物質は、前記架橋可能な官能基を介して架橋されている、導電性ポリマー組成物。
- 前記架橋可能な官能基が、水酸基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基、カルボン酸基、ケト基、アミド基、チオール基、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、スチレン、プロパルギル基、アリル基、ウレタン、及びシロキサンからなるグループから選択される、請求項12に記載の組成物。
- 前記ドーパントが、プロトン酸および非プロトン酸からなるグループから選択されたものであることを特徴とする、請求項12または13に記載の組成物。
- Qが陽イオン種、Aが対応する陰イオン、X及びZが前記架橋可能な官能基を有する基を表すものとして、前記ドーパントが、AQX及びQAZからなるグループから選択された構造式を有することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
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