JP3798241B2 - 部材取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体に対し部材を好適に取り付けるための部材取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フック孔にフック爪を引っかけて、オプション部材等の取付部材を、家具本体等の基体に取り付ける方式が知られている。係る方式は、取付部材の着脱が容易でしかも重量支持を好適に行えるという利点がある。特に家具の分野では、目地を形成する有底溝の底壁にフック孔を設けて、見映え等を良好にすることがしばしば行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フック孔にフック爪を引っかけるという方式は、取付部材の重量支持を好適に行えるものの、特に取付部材の左右方向に対する正確な位置決めや取付部材の左右の揺れを防止することが難しい。これは、着脱を容易化するために、フック孔の幅寸法をフック爪の幅寸法よりもかなり大きくとって左右に遊びのある状態に設定せざるを得ないからである。
【0004】
そこで本発明は、家具等において有底溝の底壁にフック孔を設けた構成が既にあることに着目し、前記フック爪とは別に前記有底溝にのみ嵌まり込んで取付部材の左右の揺れや動きを抑制する位置決め片を設けることにより、極めて簡単な構成で、しかもフック爪等の係合凸部とフック孔等の係合凹部との係脱容易性を損なうことなく、取付部材を基体に対して確実に位置決めして取り付けられるようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る部材取付構造は、基体に対し取付部材を取り付けるものであって、基体又は取付部材の一方に取付面を設定し、その取付面に開口する有底溝を設けるとともに、その有底溝の底面に係合凹部を設け、この係合凹部に基体又は取付部材の他方から突出させた係合凸部を係り合わせて、取付部材を基体に支持させるようにする一方、前記他方から位置決め片を突出させ、基体に取付部材を取り付けた状態で前記位置決め片が前記有底溝の各側面に接触又は近接するようにしたことを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、有底溝の延長方向(説明の便宜上、以下縦方向という場合もある)に沿った荷重等を、係合凹部と係合凸部との係り合いにより支持させる一方、有底溝の延長方向と直交する向き(説明の便宜上、以下左右方向という場合もある)に沿った取付部材の揺れや移動等を位置決め片により抑制することができる。したがって、係合凹部と係合凸部とを係り合い状態で左右に遊びが生じるように設定して係脱容易性を担保しつつ、取付部材を基体に対して左右方向にがた無く確実に位置決めして取り付けることができる。
【0007】
取付部材の着脱容易性を損なうことなく、簡単な構成で本発明を実現するには、位置決め片が、有底溝の延長方向に直交するように挿入される一枚板状のものであり、先端に向かって徐々に幅寸法が小さくなるようにその各側縁を傾斜させているものが好ましい。
【0008】
左右の位置決めをより確実に行うには、複数の係合凸部を有するものにおいて、各係合凸部に対応して位置決め片をそれぞれ設けているものが望ましい。
【0009】
本発明の効果が特に顕著となる好ましい実施態様としては、係合凹部が有底溝の底壁に貫通するフック孔であるとともに、係合凸部が屈曲するフック爪であり、これらフック孔とフック爪との係り合い状態において、フック爪が前記底壁裏面に接触してフック爪のフック孔からの離脱を阻止するものを挙げることができる。
【0010】
基体に何ら追加加工等の改造を施さずにすみ、極めて容易に本発明を実現するためには、基体が家具本体であり、取付部材がオプション部材を支持するものが好ましい。家具等の分野において有底溝の底壁にフック孔を設けた構成は既にしばしば用いられているからである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施例を適用した家具本体たるサーバラック100を示している。このサーバラック100は、サーバコンピュータやそれに付随するディスプレイ、あるいはキーボード等を複数収容するためのものであって、左右一対の側部支持体101を、その後端部において図示しない横架材により連結して自立性を持たせ、これら側部支持体101の対向する内側面に開口させたフック孔Fを利用して、側部支持体101間に天板104や上棚105を支持させてなるものである。そして、必要に応じて中間棚106や図示しない配線ダクト等も取り付けられるよう構成してある。
【0013】
この側部支持体101について説明を加えておくと、このものは主として板金素材を塑性変形加工してなる支柱1と、この支柱1の下端を支持する支持ベース2とからなるもので、床上に対をなして対向配置される。支柱1は、図1、図9、図12等に示すように、その外側面を形成し内方に開口する薄肉の化粧材11と、その内側面を形成し外方に開口する厚肉の強度材12とを溶接してなる中空のもので、その上端面には樹脂製のキャップ13が被覆してある。また、支柱1の前面1aにはその上下に略亘って延びる有底溝111を屈曲形成して、その有底溝111の底壁112に上下に長い矩形状のフック孔11aを複数、上下方向に沿って所定ピッチで間欠的に貫通させている。
【0014】
このような構成において、本実施形態では、被着部材たるコンセント5を、その長手方向を有底溝11の延長方向たる上下方向Xに一致させるようにして、ベース装置6を介して取付面たる支柱1の前面1aに取り付けるようにしている。
【0015】
コンセント5は既知のもので、図2、図3に示すように、その長手方向に沿って一列に複数の差込口53が設けられてなる角柱状の本体54と、その両端部に形成した薄板状の被着部51、52とを具備する。そしてこれら被着部51、52に止着孔たるねじ貫通孔51a、52aをそれぞれ設けている。
【0016】
ベース装置6は、互いに分離する取付部材たる第1ベース6A及び第2ベース6Bからなるものである。
【0017】
第1ベース6Aは、図2〜図9に示すように、支柱1側に向く後面を開口させてなる板金製中空箱形のベース本体61と、このベース本体61に爪支持材62を介して固定したフック爪63とを備えたものであり、コンセント5の上部被着部51aと支柱1との間に介在する。
【0018】
より具体的には、このベース本体61における前壁611の上下方向中央部位には、ねじ71を挿通させ得る止着孔61aが貫通させてある。この止着孔61aは、この第1ベース6Aを支柱1に取り付けた状態で左右方向に延びる長孔状のものである。
【0019】
また、第1ベース6Aの内部中央には、側壁612と平行をなすように板状の爪支持材62が上下壁613及び前壁611に支持させてあり、この爪支持材62の後縁上端部及び下端部にそれぞれ下向きのフック爪63がそれぞれ一体に形成してある。このフック爪63は負荷をその肉厚方向と直交する方向から受けるもので前記フック孔11aの左右幅寸法に比して、その左右幅寸法(肉厚寸法)はかなり小さく設定してある。さらに、この爪支持材62の前縁部であって前記止着孔61aに臨む部位には切欠部62aが設けてあって、後述するナット72をこの切欠部62aと前壁611との間に挿入し得るようにしてある。
【0020】
一方、上下壁613それぞれにおける中央後縁からは、矩形板状をなす位置決め片8が後方に向かって一体に延ばしてある。この位置決め片8は、先端(後方)に向かうに連れて徐々に左右幅寸法が小さくなるように、その各側縁8aを対称的に傾斜させている平面視台形状をなすもので、その基端部における幅寸法Tが、前記支柱前面1aに設けた有底溝111の幅寸法tと同一または略同一となるようにしている。
【0021】
第2ベース6Bは、図2〜図9に示すように、第1ベース6Aと略同一の構成をなすもので、各図において対応する部材には同一の符号を付してある。しかして相違点は、前壁611に設けた止着孔61bにある。この止着孔61bは、この第21ベース6Bを支柱1に取り付けた状態において上下方向Xに延びる長孔状のもので、上下方向Xと直交する方向である左右水平方向Yに沿って3つが並び設けられている。このように3つの各止着孔61bを設けたのは、コンセントの規格上、ねじ貫通孔51a、52aを設けてある位置が中心、左側、右側の何れかに設定されていることから、その規格に適合させたものである。また、その規格に合わせてこれら各止着孔61bの左右離間距離を設定している。一方、各止着孔6bの上下有効寸法は、前記フック孔11aのピッチよりも大きく設定している。あらゆる長さのコンセント5に対応できるからである。ここで、「有効寸法」とは、この止着孔6bを利用してベース6Bとコンセント5との位置調整をする場合の調整最大寸法のことである。また、前記第1ベース6Aの止着孔61aの左右長さ寸法は、この第2ベース6Bの左右外側に位置する止着孔6bの外縁間距離と同一又は大きくなるように設定している。
【0022】
次に、このコンセント5を支柱1に取り付ける方法について、その一例を以下に詳述する。
【0023】
まずコンセント5の各被着部51、52に、第1ベース6A及び第2ベース6Bを取り付ける。具体的には、コンセント5の各被着部51、52に設けたねじ貫通孔51a、52aにねじ71を前面からそれぞれ貫通させ、さらに各ベース6A、6Bの前記止着孔61a、61bに当該ねじ71をそれぞれ貫通させたうえで、このねじ71の先端部に、前記切欠部62aと前壁611との間に挿入したナット72を締着し、ベース6A、6Bとコンセント5とを締め付ける。
【0024】
この時、コンセント5の上端部に取り付ける第1ベース6Aは、ねじ71をしっかり締め付けて当該コンセント5に固定してよい。一方、コンセント5の下端部に取り付ける第2ベース6Bは、ねじ71を若干ゆるめにして、第2ベース6Bがコンセント5に対してその長手方向に沿ってスライド可能な程度にしておく。
【0025】
次に、第1ベース6Aのフック爪63を、支柱1のフック孔11aに引掛ける。この時、位置決め片8がその側縁8aを有底溝111の各側面111aに密接又は近接させるように嵌まりこみ、第1ベース6Aの左右方向へのずれや揺れ等を防止する作用を営む。
【0026】
この次にあるいはこれと略同時に、第2ベース6Bをコンセント5に対してスライドさせて位置調整をしつつ、第2ベース6Bのフック爪63を支柱1の対応するフック孔11aに適切に引掛ける。
【0027】
その後、若干ゆるめにしていたねじ71を締め付け、第2ベース6Bをコンセント5に緩み無く固定する。この時、ナット72におけるベース前壁裏面に押し当たる面72aには、細かい凹凸を設けるなど、滑り止め加工を施しているので、ナット72がねじ71と共回りすることなく、しっかりとねじ71を締め付けることができる。
【0028】
このようにして、コンセント5を、第1ベース6A及び第2ベース6Bにより、取付面たる支柱前面に直接的に接することなく、支柱1に取り付けることができる。なお、取り外すときは、ベース6A、6Bごと支柱から外してもよいし、ねじ71を緩めてベース6A、6Bからコンセント5を外してもよい。
【0029】
したがって本実施形態の部材取付構造によれば、有底溝111の延長方向に沿って生じる荷重等を、フック孔11aとフック爪63との係り合いにより支持させる一方、左右方向に生じ得るベース6A、6Bの揺れや移動等を位置決め片8により抑制することができる。したがって、フック孔11aとフック爪63とを係り合い状態で左右に遊びが生じるように設定して係脱容易性を担保しつつ、ベース6A、6Bを支柱1に対して左右方向にがた無く確実に位置決めして取り付けることができる。
【0030】
また、位置決め片8が、ベース本体61が板金製であることを利用してそれに一体に設けた一枚板状のものであるため、製造やコストに負担がほとんどかからないうえ、先端に向かって徐々に幅寸法が小さくなるようにその各側縁8aを傾斜させているため、特に容易に有底溝111に嵌め込むことができる。
【0031】
加えて、各ベース6A、6Bにおいて、位置決め片8がそれぞれ有底溝111の延長方向に沿って複数(2つ)設けられていることから、左右の位置決めをより確実に行うことができる。
【0032】
さらに本実施形態では、予めサーバラック100に設けてある有底溝111及びその底壁112に貫通させたフック孔11aを利用して部材取付構造を実現しているので、サーバラック100に何ら追加加工等の改造を施さずにすみ、極めて容易にかつ安価に実現することができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
【0034】
例えば、位置決め片は、一枚板状のものに限られず、より立体的なものであってもよいし、基体もサーバラックに限られるものではない。取付部材もベースに限られず、種々の変形が可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明によれば、縦方向に沿った荷重等を、係合凹部と係合凸部との係り合いにより支持させる一方、左右方向に沿った取付部材の揺れや移動等を位置決め片により抑制することができる。したがって、係合凹部と係合凸部とを係り合い状態で左右に遊びが生じるように設定して係脱容易性を担保しつつ、取付部材を基体に対して左右方向にがた無く確実に位置決めして取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における家具本体たるサーバラックを示す全体斜視図。
【図2】同実施形態におけるコンセント及びベースを支柱に取り付けた状態を示す斜視図。
【図3】同実施形態におけるコンセント及びベースの分解斜視図。
【図4】同実施形態における第1ベースの正面図。
【図5】同実施形態における第1ベースの背面図。
【図6】同実施形態における第2ベースの正面図。
【図7】同実施形態における第2ベースの背面図。
【図8】同実施形態におけるコンセント及びベースを支柱に取り付けた状態を示す縦断面図。
【図9】同実施形態におけるベースを支柱に取り付けた状態を示す横断面図。
【図10】同実施形態におけるナットを示す側面図。
【図11】同実施形態におけるナットを示す背面図。
【図12】同実施形態における支柱を示す部分正面図。
【符号の説明】
100・・・基体(サーバラック)
1a・・・取付面(支柱前面)
11a・・・係合凹部(フック孔)
111・・・有底溝
111a・・・有底溝の側面
112・・・有底溝の底壁
6A、6B・・・取付部材(ベース)
63・・・係合凸部(フック爪)
8・・・位置決め片
8a・・・位置決め片の側縁

Claims (5)

  1. 基体に対し取付部材を取り付けるものであって、
    基体又は取付部材の一方に取付面を設定し、その取付面に開口する有底溝を設けるとともに、その有底溝の底面に係合凹部を設け、この係合凹部に基体又は取付部材の他方から突出させた係合凸部を係り合わせて、取付部材を基体に支持させるようにする一方、前記他方から位置決め片を突出させ、基体に取付部材を取り付けた状態で前記位置決め片が前記有底溝の各側面に接触又は近接するようにし
    前記位置決め片が、有底溝の延長方向に直交するように挿入されるものであり、先端に向かって徐々に幅寸法が小さくなるようにその各側縁を傾斜させていることを特徴とする部材取付構造。
  2. 位置決め片が一枚板状のものである請求項1記載の部材取付構造。
  3. 複数の係合凸部を有するものにおいて、各係合凸部に対応して位置決め片をそれぞれ設けている請求項1又は2記載の部材取付構造。
  4. 係合凹部が有底溝の底壁に貫通するフック孔であるとともに、係合凸部が屈曲するフック爪であり、これらフック孔とフック爪との係り合い状態において、フック爪が前記底壁裏面に接触してフック爪のフック孔からの離脱を阻止するものである請求項1、2又は3記載の部材取付構造。
  5. 基体が家具本体であり、取付部材がオプション部材を支持するものである請求項1、2、3又は4記載の部材取付構造。
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