JP3798231B2 - アルミニウム合金箔地及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金箔地及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薬品及び食品等の包装材料に使用されるアルミニウム合金箔のアルミニウム合金箔地及びその製造方法に関し、特に経済性が優れ、強度が高く、箔を製造する際の破断及びピンホール等の発生を抑制したアルミニウム合金箔地及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アルミニウム合金箔は用途により5乃至100μm程度の厚さのものが使い分けられている。これらのアルミニウム合金箔は包装用としても使用されている。従来、包装用のアルミニウム合金箔としてはJIS H4160に規定されている1N30が主に使用されていた。
【0003】
また、近時、箔厚を更に一層低下させることが要求されており、1N30材よりも強度が高く、かつ薄肉化した時にピンホールの発生が少ない8079合金及び8021合金等のFeの含有量が比較的多い合金が多用されている。
【0004】
Feの含有量が比較的多い、アルミニウム箔地に関しては、従来から多数提案されている。しかし、Feの含有量が多いことに起因して箔圧延が困難である。このため、箔地を製造する際に、冷間圧延の途中で焼鈍を施し、強度を低下させて圧延しやすくして使用されている(特開平2−50932号公報及び特開平4−41645号公報)。
【0005】
また、経済性を重視した製造方法としては、Si:0.08質量%、Fe:0.84質量%及びCu:0.03質量%を含有し、残部が実質的にアルミニウムからなる組成を有するインゴットを厚さが2.54mmになるまで熱間圧延し、その後、焼鈍することなく、冷間圧延し、実質的に平坦な加工硬化曲線を保ちながら、厚さが18.9μmの箔に圧延できる製造方法が提案されている(特公昭51−18362号公報)。しかし、この製造方法においては、厚さが0.2乃至0.3mmで引張強さが214乃至219MPaに達している。このため、実質的には箔圧延自体は容易ではなく、圧延中に箔地が破断したり、仕上げ箔においてピンホールが発生する等の問題がある。このように、従来のアルミニウム合金箔地においては、冷間圧延工程前又は冷間圧延工程の途中で焼鈍して箔地及び箔の強度の絶対値並びに加工硬化挙動を制御している。
【0006】
一方、熱間圧延を調整し、強度を抑えることにより、実質的に厚さが0.2mmで引張強度を170MPaとし、圧延しやすい状態を得ることができることが提案されている(特開昭63−1804号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、箔地については種々提案されている。しかしながら、近時、箔の価格は低下傾向にあることから、価格が低く、歩留まり良く及び生産性が優れ、経済性が高い箔地が望まれている。このため、箔破断の抑制、ピンホールの抑制及び箔強度の向上について下記に示す課題を解決する必要がある。
【0008】
箔破断の抑制においては、箔圧延時に発生する箔破断は歩留まりを悪化させるだけでなく、破断後、破断部を処置する必要があるので、生産性が低下する。このため、箔破断は可能な限り少なく抑える必要がある。従来のアルミニウム合金箔地では、箔地強度を低くし、箔圧延の段階においても強度を低くし、かつ加工硬化曲線を平坦にすることが実施されていた。しかし、例えば平坦な加工硬化曲線を示しても強度の絶対値が高すぎると、圧延時の負荷が高くなりすぎ、箔破断が生じやすくなり好ましくない。
【0009】
ピンホールの抑制においては、薄箔の場合には、ピンホールが発生しやすい。ピンホールの発生を少なく抑えるためには、仕上げ圧延前の箔にて強度が高すぎないこと、圧延により強度が停滞した状態、即ち、加工硬化が停滞した状態になっていること及び伸びが高いこと等につき、これらを有機的に組み合わせることが必要である。
【0010】
箔強度の向上については、箔製品は長さを基準に販売されており、公称箔厚に対する許容誤差範囲の中で可能な限り薄くすることで経済的メリットを得ることができる。しかしながら、単に製品の箔厚を薄くしただけでは強度が不足し、箔の長さ方向又は幅方向で裁断する時に、箔の破断又はシワの発生原因になる。これを防ぐには、軟質化された箔の強度を向上させる必要があるが、従来の箔地の製造方法では達成することができないという問題点がある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、経済性が優れ、強度が高く、箔を製造する際に破断及びピンホール等が発生することがないアルミニウム合金箔地及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアルミニウム合金箔地は、Fe:0.90乃至1.60質量%、Si:0.03乃至0.20質量%及びCu:0.0005乃至0.030質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、冷間圧延時に中間焼鈍を行わず、引張強度が175乃至210MPaであることを特徴とする。
【0013】
この場合、前記冷間圧延の総圧下率が85乃至95%であることが好ましい。また、箔地厚が0.18乃至0.3mmであるものとすることができる。
【0014】
本発明に係るアルミニウム合金箔地の製造方法は、Fe:0.90乃至1.60質量%、Si:0.03乃至0.20質量%及びCu:0.0005乃至0.030質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊を、400乃至600℃の均熱温度に、2時間以上保持して均質化熱処理を行う工程と、熱間圧延終了温度が260℃以上、熱間圧延終了板厚が3.5mm以下で熱間圧延する工程と、中間焼鈍することなく冷間圧延総圧下率が85乃至95%で冷間圧延する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本願発明者等が箔地用アルミニウム合金材の組成及び加工方法について鋭意実験研究を重ねた結果、成分、熱間圧延条件及び冷間圧延条件を調整することにより、引張強度が170乃至210MPaの間で平坦な加工硬化曲線とする手段を見出した。即ち、本願発明者等は、アルミニウム合金中に添加されるFe、Si及びCuの含有量を適切に規定し、微量不純物量を規制し、熱間圧延条件を規定することにより、箔での圧延加工工程において、加工硬化が進まない箔地を得ることができることを知見した。これより、冷間圧延工程の途中で行われていた中間焼鈍工程を省略することが可能であり、かつ箔地の製作期間も短縮が可能となり経済性が優れた箔地を得ることができる。
【0016】
本発明に係るアルミニウム合金箔地は、加工硬化が進まないか、又は若干加工軟化し、それに伴い高い伸びを示すため、箔圧延が容易であり、箔破断が発生せず、かつピンホールの発生も少なく抑えることができる。また、箔圧延後に軟質材とした際にも高い強度が得られるので、許容公差内で薄箔化することができ、裁断時のシワの発生も防止することができる。
【0017】
以下、本発明のアルミニウム合金箔地及びその製造方法の数値限理由について説明する。
【0018】
Fe:0.90乃至1 . 60質量%
Feはアルミニウム合金の強度の絶対値及び加工硬化挙動を制御するために添加する。Feの含有量が0.90質量%未満では、強度を向上させる効果が十分でない。一方、Feの含有量が1.60質量%を超えると、例えば加工硬化が停滞しても強度の絶対値が高くなりすぎて箔圧延が困難になり、圧延割れの原因となる。従って、Feの含有量は0.90乃至1.60質量%とする。
【0019】
Si:0 . 03乃至0 . 20質量%
SiはFeと共に化合物を形成しやすい。Siの含有量が0.03質量%未満では、アルミニウム合金の鋳造が困難になる。一方、Siの含有量が0.20質量%を超えると、Feの固溶状態及び析出状態が不安定になりやすく、箔圧延時の発熱により突如強度が低下することがある。従って、Siの含有量は0.03乃至0.20質量%をする。
【0020】
Cu:0 . 0005乃至0 . 030質量%
Cuは箔圧延時の発熱による加工軟化を制御するために添加する。Cuの含有量が0.0005質量%未満では、加工軟化を抑制する効果が少ない。一方、Cuの含有量が0.030質量%を超えると、加工硬化が進みやすくなる。従って、Cuの含有量は0.0005乃至0.030質量%をする。なお、加工硬化の停滞又は加工軟化は、Feの含有量が多いほど進みやすい。このため、Cuの含有量はFeの含有量に応じて調整することが望ましい。
【0021】
本発明に係るアルミニウム合金箔地においては、上述の添加元素以外にも他の元素を添加することができる。例えば、Tiは、本発明の効果と直接関係しないが、鋳塊組織の微細化のために0.005乃至0.03質量%添加することが望ましい。Tiの含有量が0.005質量%未満では、鋳塊組織の微細化効果がない。一方、Tiの含有量が0.03質量%を超えると、鋳塊組織の微細化効果は飽和しており、コストが嵩み経済性に欠ける。また、その他の不純物元素としては、例えば8079合金のJIS規格で規定されている不純物の範囲内で含有されている限り、実質上問題はない。
【0022】
引張強度:175乃至210MPa
本発明において、箔強度の向上には、箔地強度を可及的に高くすることが望ましい。箔地の引張強度が175MPa未満では、箔圧延後に軟質材とした場合の強度が不足する。しかしながら、箔地の引張強度が210MPaを超えた場合、加工硬化が停滞し、箔圧延中に強度向上を起こさなくとも、強度の絶対値が高すぎるため、破断の原因となる。従って、引張強度は175乃至210MPaとする。
【0023】
箔地厚さ:0 . 18乃至0.3mm
箔地の厚さは、後の箔圧延工程における負荷が低減されるため、可及的に薄い方が望ましい。しかしながら、箔地厚さを0.18mm未満にすることは設備の性能上困難で、冷間圧延中に圧延割れ等を起こし、箔地を得ることができない。一方、箔地厚さが0.3mmよりも厚い場合は、所定の箔厚を得るために、箔圧延時に圧下率を高くするか、又は箔圧延のパス回数を多くしなければならない。しかし、圧下率を高くすることは、負荷がかかるため、箔圧延中の発熱が大きくなり、加工軟化が起きやすくなる。また、パス回数を多くすることは、生産性を低下させる原因となる。従って、箔地厚さは0.18乃至0.3mmとすることが好ましい。
【0024】
均質化熱処理:400乃至600℃の均熱温度で2時間以上保持
均質化熱処理は、鋳塊に熱間圧延を実施するためになされるものである。経済面からは均熱温度は低いことが望ましい。しかし、均熱温度が400℃未満では、熱間圧延が困難となる。一方、均熱温度が600℃を超えると、アルミニウム合金中のFe等の元素が固溶しすぎ、箔圧延で加工硬化が進みやすくなる。また、熱間圧延にてアルミニウム合金材の表面に焼付き等の表面異常が発生し、ピンホールが大量に発生しやすくなる。また、保持時間についても短い方が望ましい。しかし、保持時間が2時間未満では、鋳塊の幅方向及び長さ方向の均一性に欠ける。本発明においては、保持時間の上限値は特に規定されるものではないが、経済性から24時間以下とすることが好ましい。従って、均質化熱処理は400乃至600℃の均熱温度で2時間以上保持する。
【0025】
熱間圧延:熱間圧延終了温度が260℃以上、熱間圧延終了板厚が3 . 5mm以下
熱間圧延は可能な限り薄く、かつ高温で終了することが必要である。従って、熱間圧延は熱間圧延終了温度が260℃以上、熱間圧延終了板厚が3.5mm以下とする。熱間圧延終了板厚が厚過ぎるか、又は熱間圧延終了温度が低すぎると、箔地強度が高くなりすぎ、箔圧延が困難になる。熱間圧延が可能な板厚は設備の制約上、例えば1.5mm程度であるので、板厚は1.5mm以上とする。また、熱間圧延終了温度はその上限値は高い方が望ましい。しかし、熱間圧延終了板厚が薄い場合には、実質的に熱間圧延終了温度が350℃以下になる。このため、好ましくは、熱間圧延終了温度は270乃至340℃であり、熱間圧延終了板厚は1.7乃至3.5mmである。
【0026】
冷間圧延:冷間圧延総圧下率が85乃至95%
熱間圧延後に、得られた圧延材に対して箔地になるまで冷間圧延が実施される。なお、ここで箔地とは厚さが0.18乃至0.3mmものとする。冷間圧延の冷間圧延総圧下率が85%未満では、強度が175MPaに達せず、かつ箔圧延にて強度が停滞するに至らない。即ち、加工硬化が停滞しない。一方、冷間圧延の冷間圧延総圧下率が95%を超えると、箔地での強度が210MPaを超え、実質的に箔圧延が困難になると共に、箔の段階で材料中の化合物のうち、ノッチ効果を発揮する化合物の比率が高まり、伸びが低下し、箔圧延中の破断が生じやすくなる。従って、冷間圧延の冷間圧延総圧下率は85乃至95%とする。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例に係るアルミニウム合金箔地を製造し、その特性を比較例と比較して具体的に説明する。
【0028】
第1実施例
下記表1に示す成分を有するアルミニウム合金を、半連続鋳造法により厚さが500mmの鋳塊に鋳造し、540℃の温度で10時間の均質化熱処理を施す。その後、直ちにこの鋳塊に熱間圧延を施し、板厚が2.8mm、熱間圧延終了温度が300℃で熱間圧延を施した。次に、得られた圧延材に冷間圧延を行い厚さが0.2mmの箔地を製造した。なお、冷間圧延終了直後のコイルアップ温度は100℃以下であった。なお、表1に示すアルミニウム合金において、Mn、Mg、Cr、Zn及びTiは不純物であり、これらは8079合金で規定される不純物量の範囲内にある。
【0029】
得られた箔地の強度及び箔地から箔を製造する際の箔圧延時の特性を調べた。箔地又は箔の引張強さ及び伸びは、幅が15mmで長さが200mmの短冊状試験片を使用した引張試験で求めた。また、箔を製造する途中で29μm厚の箔の耐軟化性を調べた。耐軟化性とは、160℃の温度で20分の焼鈍した場合、焼鈍の前後において引張強度が低下した値のことであり、数値が大きいほど軟化しやすく、箔圧延時に発熱の影響を受けやすい。即ち、箔圧延時に箔地が不安定になる。これらの結果を表2及び3に示す。表3に示す「−」は試験を実施していないことを示す。
【0030】
なお、箔の最終箔厚は12μmとした。この箔は家庭用の箔であり片面が光沢面、残る面が艶消し面である。また、最終箔厚に仕上げる前の箔の箔厚は29μmであった。ここで、箔厚の絶対値は説明で便宜上使用するものであり、最終箔厚12μmは仕上げ箔の厚さを意味し、29μmの箔厚は仕上げ1パス前の箔の箔厚の意味している。
【0031】
圧延性の評価は箔破断回数により行った。箔破断回数は、箔地から厚さが12μmの箔になるまでの圧延中に生じた破断の回数を、圧延後の12μm厚の箔の総質量で除したものであり、この数値が高い程、箔圧延中の破断が生じやすいことを意味する。
【0032】
【表1】
Figure 0003798231
【0033】
【表2】
Figure 0003798231
【0034】
【表3】
Figure 0003798231
【0035】
上記表2及び3に示すように、実施例No.1乃至5は、軟化及び加工硬化の停滞の結果並びにノッチ効果の発現が少ないため、箔厚が29μmの箔において、伸びも高く、箔破断が少なかった。また、箔強度も178MPa以上であり、シワ等の発生も少なかった。また、29μm厚の耐軟化性も全て10MPa以下であり、箔圧延時の発熱(コイルアップ直後で70乃至120℃)に対しても安定していた。
【0036】
一方、比較例No.11はSiの含有量が本発明の上限値を超えているので、29μm厚の箔の耐軟化性が低く、箔圧延の途中で自己焼鈍効果により軟化してしまった。また、最終箔厚の軟質材でも強度が低下し、箔の裁断時にシワ等が発生しやすかった。比較例No.12はFeの含有量が本発明の上限値を超えているので、箔地の引張強さが高くなりすぎ、圧延が困難であった。また、29μm厚箔における伸びが2%以下となり、箔圧延中に破断しやすくなった。
【0037】
比較例No.13はCu含有量が本発明の上限値を超えているので、箔地の引張強さが高くなりすぎ、圧延が困難であった。また、29μm厚箔における伸びが2%以下となり、箔圧延中に破断しやすくなった。比較例No.14はSiの含有量が本発明の下限値未満であるため、鋳造時に湯もれが発生し、鋳塊を得ることができなかった。このため、箔地の強度及び箔地から箔を製造する際の箔圧延時の特性については、評価しなかった。
【0038】
比較例No.15はFeの含有量が本発明の下限値未満であるため、箔の強度向上が充分でなかった。比較例No.16はCuの含有量が本発明の下限値未満であるため、箔圧延中に発熱の影響を受けやすい。このため、箔厚が29μmの箔の耐軟化特性が低下した。また、軟質材でも強度が低下し、箔の裁断時にしわが入りやすかった。
【0039】
第2実施例
上記表1に示す合金No.1の組成を有する箔地を第1実施例と同様の工程により製造した。この箔地を圧延し、箔厚が6μmの箔を製造した。また、比較例として、上記表1に示す合金No.7の組成を有するアルミニウム合金の鋳塊に610℃の温度で4時間の均質化熱処理を施した。その後、直ちに鋳塊を熱間圧延し、板厚が3.2mm、終了温度が330℃で熱間圧延を終了した。次に、冷間圧延し箔地を製造した。その後、第1の実施例と同様の工程により箔地を製造した。そして、この箔地を圧延し、箔厚が6μmの箔を製造した。なお、表4に示す13μm厚箔硬質材特性とは、6μmの箔を製造する際の1パス前の箔のことである。
【0040】
箔地及び箔について、第1実施例と同様の試験を行った。また、光照射式ピンホール検出器を使用して箔のピンホール数を測定した。これらの結果を表4及び5に示す。
【0041】
【表4】
Figure 0003798231
【0042】
【表5】
Figure 0003798231
【0043】
上記表4及び5に示すように、実施例No.6は箔破断回数が0.0であり、圧延時に破断しなかった。また、13μm厚箔の硬質材においては、引張強さ及び伸びが良好であった。6μm厚箔の軟質材においても、ピンホール数が少なく、引張強さ及び伸びも良好であった。
【0044】
一方、比較例No.17はFeの含有量が本発明の上限値を超えているので、箔地の引張強さが高くなりすぎ、箔破断回数が多くなり、箔圧延中に破断しやすかった。また、13μm厚箔の硬質材においては、引張強さが高く、伸びが乏しかった。更に、熱間圧延時の表面品質も相まって、6μm厚箔の軟質材においても、ピンホール数が多く、伸びが乏しかった。
【0045】
第3実施例
上記表1に示す合金No.3の組成を有する箔地を下記表6に示す条件で製造した。得られた箔地を厚さが12μmの家庭用箔に圧延した。
【0046】
箔地及び箔について、第1実施例と同様の試験を行った。これらの結果を表7に示す。なお、表6に示す「均熱条件」とは「均熱化熱処理条件」を示す。
【0047】
【表6】
Figure 0003798231
【0048】
【表7】
Figure 0003798231
【0049】
上記表7に示すように、実施例No.7乃至10は箔地の引張強さが本発明の範囲に入っており、箔破断回数が少なく箔圧延時に破断が少なかった。また、29μm厚の硬質材及び13μmの軟質材についても、いずれも引張強さ及び伸びが良好であった。
【0050】
一方、比較例No.18は冷間圧延総圧下率が本発明の下限値未満であり、かつ箔地の製造途中で焼鈍されているので、軟質材の強度が低かった。また、冷間圧延の途中で焼鈍しているのでコストが嵩み経済的に好ましくない。また、比較例No.19は冷間圧延総圧下率が本発明の上限値を超えているので、箔地の強度が高くなりすぎ、箔破断が生じた。また、29μm厚箔及び12μm厚箔での伸びが低下した。これにより、箔破断が生じる。
【0051】
比較例No.20は均熱温度が本発明の下限値未満であるため、熱間粗圧延時に板割れが生じ、箔地を得ることができなかった。比較例No.21は均熱温度が本発明の上限値を超えているため、Feの固溶量が多く、箔圧延中の発熱の影響を受けやすくなり、大幅な加工軟化を起こし、箔強度が低下した。比較例No.22は均熱温度の保持時間が本発明の下限値未満であるため、鋳塊の均一性が欠け、得られる箔地の組織も不均一であったため、箔圧延中に破断が多発した。
【0052】
比較例No.23は熱間圧延終了温度が本発明の下限値未満であるため、箔地強度が高くなり、箔圧延中に破断が多発した。比較例No.24は熱間圧延終了時の板厚が本発明の上限値を超えているため、箔地強度が高くなり、箔圧延中に破断が多発した。比較例No.25は冷間圧延総圧下率が本発明の下限値未満であるため、箔地強度が低く、かつ箔圧延で強度が停滞しなかったので、箔の強度向上が充分ではなかった。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、アルミニウム合金箔地の組成及び引張強度を適切に規定しているので、箔圧延時に箔破断及びピンホールの発生を抑制することができる。また、焼鈍工程を省略して製造することができるので、コストを低くすることができ経済的に優れる。

Claims (4)

  1. Fe:0.90乃至1.60質量%、Si:0.03乃至0.20質量%及びCu:0.0005乃至0.030質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、冷間圧延時に中間焼鈍を行わず、引張強度が175乃至210MPaであることを特徴とするアルミニウム合金箔地。
  2. 前記冷間圧延の総圧下率が85乃至95%であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金箔地。
  3. 箔地厚が0.18乃至0.3mmであることを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金箔地。
  4. Fe:0.90乃至1.60質量%、Si:0.03乃至0.20質量%及びCu:0.0005乃至0.030質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊を、400乃至600℃の均熱温度に、2時間以上保持して均質化熱処理を行う工程と、熱間圧延終了温度が260℃以上、熱間圧延終了板厚が3.5mm以下で熱間圧延する工程と、中間焼鈍することなく冷間圧延総圧下率が85乃至95%で冷間圧延する工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金箔地の製造方法。
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