JP3797618B2 - クロマン化合物誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロマン化合物誘導体、詳しくはα−トコフェロールを高収率、高純度で製造できる製造方法や、クロマン化合物誘導体の製造に使用する触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ビタミンEとして知られているα−トコフェロールは、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチル−トリデシル)−6−クロマノールであるクロマン化合物誘導体であって、ビタミンE群のうち最も活性が高く、医薬品として大量に生産されている。かかるα−トコフェロールは、2位の不斉炭素原子に関して天然品はd形であるが、トリメチルヒドロキノンと、ジエン又はアリルアルコールとを酸触媒存在下、反応させて得られる合成品はdl光学異性体混合物であって、生産コストの削減のため、高収率で、純度の高い製品を合成できる触媒について研究されている。
【0003】
例えば、反応式(VI)に示すように、トリメチルヒドロキノン(a)と非環の1,3−ジエン(b)との反応において、フッ化ホウ素(III)・ジエチルエーテル(BF3・Et2O)や塩化スズ(IV)等を触媒とすると、まず、プロトンの付加が位置選択的に生じて1,3−ジエンの環化(c)が起こり、その後、トリメチルヒドロキノンのヒドロキシ基と環化した1,3−ジエンとが結合してスピロ化合物(d)が主成分として合成されるのに対し、p−トルエンスルホン酸等のブレンステッド酸を触媒としたとき、反応式(VII)に示すように、共役ジエンにプロトン付加が生じ、トリメチルヒドロキノンのヒドロキシ基と共役ジエンが結合して環を形成したクマノール誘導体(e)が形成されることが明らかにされた。そして、ミルセンとトリメチルヒドロキノンとの反応において、(+)−10−カンホルスルホン酸を触媒としたとき、クマノール誘導体(e)が73%の収率で得られ、得られたクマノール誘導体の水素付加によりα−トコフェロールが高収率で得られることが示された(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
【化15】
【0005】
【化16】
【0006】
また、トリメチルヒドロキノンとイソフィトールとの反応において、モンモリロナイトの金属塩がα−トコフェロールの生成を高収率で得られる触媒として有用であることが報告されている。特に、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ等とモンモリロナイトの塩が有効であり、トルエン、イソブチルエーテル等の溶媒中でその作用が顕著であり、反復して使用可能であることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。
また、トリメチルヒドロキノンとイソフィトールとの反応において、極性非プロトン性溶媒、特に、2相溶媒中で、パーフルオロアルカンスルホニルイミンや、ペンタフルオロベンゼンスルホニルイミン等のフッ素化イミン化合物[(Rf 1SO2)(Rf 2SO2)NH]を触媒としたとき、少ない触媒量で高収率で生成物が得られることが明らかにされている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0007】
この他、トリメチルヒドロキノンのイソフィトールとの触媒縮合によるd,l−α−トコフェロールの製造の際、トリフルオロメタンスルホンイミド[HN(SO2CF3)2]、又は式:Met[N(SO2CF3)2]n(式中、Metは、リチウム、スカンジウム等を表す)で示される金属塩と強酸を組み合わせた触媒を用いることが示され(例えば、特許文献1、2参照。)、また、有機溶媒中で一般式(I):〔(R1SO2)2N〕xR2 〔式中、各R1は、独立に、ペルフルオロアルキル基:CnF2n+1又はペンタフルオロフェニルを表す〕等で示されるパーフルオロアルカンスルホンイミド又はその金属塩の存在下で反応を行う方法(例えば、特許文献3参照。)や、エステル形極性溶媒中でブレンステッド酸とハロゲン化亜鉛の存在下で反応を行なう方法(例えば、特許文献4参照。)や、金属イオン交換モンモリロナイト(IV)、金属イオン交換ベントナイト(V)、金属イオン交換サポナイト(VI)存在下に行なう方法(例えば、特許文献5参照。)等が明らかにされている。
【0008】
【特許文献1】
特表2001−504111号公報
【特許文献2】
特開平10−1477号公報
【特許文献3】
特開2002−128775号公報
【特許文献4】
特表2002−526489号公報
【特許文献5】
特開平7−330754号公報
【非特許文献1】
Matsui,M.、Yamamoto,H.著「Bull.Chem.Soc.Jan.,68、No.9」1995年p.2657−2661
【非特許文献2】
Matsui,M.、Yamamoto,H.著「Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,No.1」1996年p.137−139
【非特許文献3】
Bonrath,W.、Haas,A.、Hoppmann,E.、Netscher,T.、Pauling,H.、Schager,F.、Wildermann,A.著「Adv.Synth.Catal.,344、No.1」2002年p.37−39
【非特許文献4】
Ishihara,K.、Kubota,M.、Yamamoto,H.著「SYNLETT」1996年p.1045−1046
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、クロマン化合物誘導体を効率よく高純度で得られる製造方法や、クロマン化合物誘導体の製造に使用し、その使用量を少量とし金属を含有せず環境汚染を抑制することができる触媒を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、既に、トリメチルヒドロキノンとイソフィトールから(±)−α−トコフェロールを生成する縮合反応において、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(スカンジウムトリフレート)がルイス酸触媒として有効であり、次に、スカンジウムトリフルオロメタンスルホンイミド(スカンジウムトリフリルイミド)はスカンジウムトリフラートより触媒として優れていることを明らかにした。更に、トリフルオロメタンスルホンイミド(トリフリルイミド)はブレンステッド酸触媒としてスカンジウムトリフリルイミドより優れており、トリフリルイミドを、塩化亜鉛等のブレンステッド酸触媒やルイス酸触媒と共に使用すると、触媒としての使用量は少量でより高純度の生成物を得ることができることを報告している(非特許文献4参照)。
【0011】
本発明者らは更なる研究の結果、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを触媒とすると、高純度なα−トコフェロールが高収率で得られ、反応系に存在するこれら化合物にメタリルトリメチルシランを添加することにより生成されるアルキルシリル化合物を触媒として反応を行なうことにより、99%の高純度なα−トコフェロールが高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、一般式(I)
【0013】
【化17】
【0014】
(式中、R1〜R3は、互いに独立して水素原子、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表す。)で示されるp−ベンゾキノンと、α−アリルアルコールとを、一般式(II)
【0015】
【化18】
【0016】
(式中、Rf1、Rf2は、互いに独立してパーフルオロアルキル基を表し、Rf3はパーフルオロアルキル基、パーフルオロアリール基又は1H,1H−パーフルオロアルコキシ基を有するフルオロアリール基を表す。)で示される化合物と
一般式(VIII)
SiR 10 R 11 R 12 R 13 (VIII)
(式中、R 10 〜R 12 は独立してアルキル基を表し、R 13 はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体との反応生成物からなるアルキルシラン化合物を含有する触媒存在下で反応させることを特徴とする、一般式(III)
【0017】
【化19】
【0018】
(式中、R1〜R3は、一般式(I)におけるR1〜R3と同じものを表し、R4、R5は互いに独立して水素原子(但し、同時に水素原子である場合を除く。)、未置換若しくは置換基を有するアルキル基、又は未置換若しくは置換基を有するアルケニル基を表す。)で示されるクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項1)や、α−アリルアルコールが、一般式(IV)
【0019】
【化20】
【0020】
(式中、R6又はR7のいずれか一方が、一般式(V)
【0021】
【化21】
【0022】
(式中、nは0〜5の整数を表す。)で示されるアルキル基を表し、他方がC1〜C3のアルキル基を表し、R8、R9が水素原子を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項2)や、α−アリルアルコールがイソフィトールであることを特徴とする請求項2記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項3)や、α−アリルアルコールが、一般式(IV)
【0023】
【化22】
【0024】
(式中、R8又はR9のいずれか一方が、一般式(V)
【0025】
【化23】
【0026】
(式中、nは0〜5の整数を表す。)で示されるアルキル基を表し、他方がC1〜C3のアルキル基を表し、R6、R7が水素原子を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項4)や、α−アリルアルコールがフィトールであることを特徴とする請求項4記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項5)や、一般式(II)で示される化合物が、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項6)や、一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物が、一般式(II)で示される化合物とメタリルトリメチルシランとの反応生成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項7)や、触媒が、一般式(VIII)
SiR10R11R12R13 (VIII)
(式中、R10〜R12は独立してアルキル基を表し、R13はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項8)や、アルキルシラン化合物誘導体が、メタリルトリメチルシランであることを特徴とする請求項8記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項9)や、溶媒中で反応させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項10)や、溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソブチルエーテルであることを特徴とする請求項10記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項11)や、クロマン化合物誘導体が、α−トコフェロールであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法(請求項12)に関する。
【0027】
また本発明は、一般式(I)
【0028】
【化24】
【0029】
(式中、R1〜R3は、互いに独立して水素原子、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表す。)で示されるp−ベンゾキノンと、α−アリルアルコールとを反応させ、一般式(III)
【0030】
【化25】
【0031】
(式中、R1〜R3は、一般式(I)におけるR1〜R3と同じものを表し、R4、R5は互いに独立して水素原子(但し、同時に水素原子である場合を除く。)、未置換若しくは置換基を有するアルキル基、又は未置換若しくは置換基を有するアルケニル基を表す。)で示されるクロマン化合物誘導体製造用触媒であって、一般式(II)
【0032】
【化26】
【0033】
(式中、Rf1、Rf2は、独立してパーフルオロアルキル基を表し、Rf3はパーフルオロアルキル基、パ−フルオロアリール基又は置換基として1H,1H−パーフルオロアルコキシ基を有するフルオロアリール基を表す。)で示される化合物と
一般式(VIII)
SiR 10 R 11 R 12 R 13 (VIII)
(式中、R 10 〜R 12 は独立してアルキル基を表し、R 13 はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体との反応生成物からなるアルキルシラン化合物であることを特徴とするクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項13)や、α−アリルアルコールが、一般式(IV)
【0034】
【化27】
【0035】
(式中、R6又はR7のいずれか一方が、一般式(V)
【0036】
【化28】
【0037】
(式中、nは0〜5の整数を表す。)で示されるアルキル基を表し、他方がC1〜C3のアルキル基を表し、R8、R9が水素原子を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項13記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項14)や、α−アリルアルコールがイソフィトールであることを特徴とする請求項14記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項15)や、α−アリルアルコールが、一般式(IV)
【0038】
【化29】
【0039】
(式中、R8又はR9のいずれか一方が、一般式(V)
【0040】
【化30】
【0041】
(式中、nは0〜5の整数を表す。)で示されるアルキル基を表し、他方がC1〜C3のアルキル基を表し、R6、R7が水素原子を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項13記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項16)や、α−アリルアルコールがフィトールであることを特徴とする請求項16記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項17)や、一般式(II)で示される化合物が、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン又はペンタフルオロフェニルビス(パーフルオロメタンスルホニル)メタンであることを特徴とする請求項13〜17のいずれか記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項18)や、一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物が、一般式(II)で示される化合物とメタリルトリメチルシランとの反応生成物であることを特徴とする請求項13〜18のいずれか記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項19)や、一般式(VIII)
SiR10R11R12R13 (VIII)
(式中、R10〜R12は独立してアルキル基を表し、R13はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体を含有することを特徴とする請求項13〜19のいずれか記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項20)や、アルキルシラン化合物誘導体が、メタリルトリメチルシランであることを特徴とする請求項20記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒(請求項21)に関する。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法としては、一般式(I)(式中、R1〜R3は、独立して水素原子、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表す。)で示されるp−ベンゾキノンと、α−アリルアルコールとを、一般式(II)(式中、Rf1、Rf2は、独立してパーフルオロアルキル基を表し、Rf3はパーフルオロアルキル基、パ−フルオロアリール基又は1H,1H−パーフルオロアルコキシ基を有するフルオロアリール基を表す。)で示される化合物及び/又は一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物を含有する触媒存在下で反応させることを特徴とする、一般式(III)(式中、R1〜R3は、一般式(I)におけるR1〜R3と同じものを表し、R4、R5は独立して水素原子(但し、同時に水素原子である場合を除く。)、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基、アルケニル基を表す。)で示されるクロマン化合物誘導体を製造する方法であれば、特に制限されるものではない。
【0043】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法において用いられるp−ベンゾキノンは一般式(I)で示され、式中、R1〜R3は独立して水素原子、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表し、反応生成物のクロマン化合物誘導体におけるベンゼン環を形成する。式中、R1〜R3が表すアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等を挙げることができるが、C1〜C3のアルキル基が好ましく、このうちメチル基が特に好ましい。かかるR1〜R3が表すアルキル基の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基や、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。一般式(I)で示されるp−ベンゾキノンとしては、2,3,5−トリメチル−p−ペンゾキノンを好ましい具体例として挙げることができる。
【0044】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法において用いられるα−アリルアルコールは、そのヒドロキシ基がp−ベンゾキノンのヒドロキシ基と脱水縮合し、そのアリル基がp−ベンゾキノンのベンゼン環と縮合環を形成し、クロマン環を形成する。α−アリルアルコールとしては、1−プロペン−3−オール、2−ブテニル−4−オール等いずれのものであってもよいが、C3〜C26の直鎖状、あるいは環状の未置換若しくは置換基を有するアルコールであってもよい。かかるα−アリルアルコールの置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等のアルキル基や、ビニル基、メチレン基、エチリデン基、イソプロペニル基等のアルケニル基や、その他、フェニル基等を挙げることができる。
【0045】
かかるα−アリルアルコールの好ましい具体例として、一般式(IV)において、R6又はR7のいずれか一方が、一般式(V)(式中、nは0〜5の整数を表す。)で示されるアルキル基を表し、他方がメチル基、エチル基、プロピル基等のC1〜C3のアルキル基を表し、R8、R9が水素原子を表す第三級アルコールや、一般式(IV)において、R8又はR9のいずれか一方が、一般式(V)(式中、nは0〜5の整数を表す。)で示されるアルキル基を表し、他方がメチル基、エチル基、プロピル基等のC1〜C3のアルキル基を表し、R6、R7が水素原子を表すフィトール等のアルコールを挙げることができ、特に、末端にアリル基を有するα−アリルアルコールが好ましく、一般式(V)中、n=3であるイソフィトールを好ましい具体例として挙げることができる。
【0046】
かかるα−アリルアルコールの使用量は、一般式(I)で示されるp−ベンゾキノンに対して、同当量〜1.2当量等とすることができ、同当量〜1.1当量であることが好ましい。
【0047】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法において触媒として用いられる一般式(II)で示される化合物は、式中、独立してパーフルオロアルキル基を表わす置換基Rf1、Rf2と、パーフルオロアルキル基、パ−フルオロアリール基又は1H,1H−パーフルオロアルコキシ基を有するフルオロアリール基を表す置換基Rf3とを有する嵩高いブレンステッド超強酸である。置換基Rf1、Rf2、Rf3が表すパーフルオロアルキル基としては、特に制限されるものではなく、互いに同一または相異なっていてもよく、具体的に、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基等、C1〜C8のパーフルオロアルキル基を挙げることができる。また、Rf 3 が表すパーフルオロアリール基としては、ペンタフルオロフェニル基、ノナフルオロビフェニル基、ヘプタフルオロナフチル基等を挙げることができ、このうちペンタフルオロフェニル基を好ましい具体例として例示することができる。また、Rf3が表す1H,1H−パーフルオロアルコキシ基を有するフルオロアリール基としては、パーフルオロアリール基のフッ素原子が一般式CF3(CF2)nCH2O基で表される置換基に変わったものであり、ペンタフルオロフェニル基のパラ位又はメタ位のフッ素原子が置換された1H,1H−パーフルオロアルコキシテトラフルオロフェニル基等を例示することができる。
【0048】
また、かかる一般式(II)で示される化合物は高分子樹脂に担持されたものであってもよく、高分子樹脂に担持された一般式(II)で示される化合物は、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等の有機溶媒に対し優れた膨潤能を有し、ブレンステッド酸やルイス酸触媒として、本発明のクロマン化合物誘導体の製造に極めて有効なものとして使用することができる。かかる一般式(II)で示される化合物を担持する高分子樹脂としては、いずれのものであってもよいが、4−ブロモポリスチレン樹脂等のハロアルゲノポリスチレン樹脂を好ましい具体例として挙げることができる。
【0049】
かかる上記一般式(II)で示される化合物としては、具体的に、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)エタン、ペンタフルオロフェニルビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)エタン等を挙げることができる。
【0050】
かかる一般式(II)で示される化合物の使用量は、一般式(I)で示されるp−ベンゾキノンに対して、0.1〜10mol%とすることができ、0.1〜0.5mol%の使用量であっても99%の純度のクロマン化合物誘導体が得られるため好ましい。
【0051】
上記一般式(II)で示される化合物は、公知の方法によって製造することができる。例えば、パーフルオロアリールビス(パーフルオロアルカンスルホニル)メタンは、アリールフルオロメタンとパーフルオロアルカンスルフィン酸塩とを反応させて生成したアリールメチルパーフルオロアルカンスルホンをt−ブチルリチウムや、t−ブチルマグネシウムクロリド等の有機金属又は金属塩からなる脱プロトン化剤と反応させ、得られたアリールメチルパーフルオロアルカンスルホンの金属塩をパーフルオロアルカンスルホン酸無水物と反応させることによって得ることができる。具体的には、テトラブチルアンモニウムヨウ化物、ヨウ化カリウム等のヨウ化物からなる触媒を用い、乾燥不活性ガス雰囲気中、プロピオニトリル等の溶媒中で、100〜120℃の加熱還流下で、アリールフルオロメタンとパーフルオロアルカンスルフィン酸塩とを反応させ、得られたアリールメチルパーフルオロアルカンスルホンをジエチルエーテル等の溶媒に溶解した後、アルキルリチウムを−78℃で加え、5〜10分間反応させ、反応後にトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加えて室温で1〜2時間反応させる方法等を挙げることができる。
【0052】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法に触媒として使用される一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物は、一般式(II)で示される化合物の水素原子がアルキルシラン化合物と置換した化合物であり、嵩高いルイス酸として作用する。かかる一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物としては、一般式(II)で示される化合物と、式(VIII)
SiR10R11R12R13 (VIII)
で示されるアリルトリアルキルシランまたはトリアルキルシラン化合物との反応生成物を挙げることができる。かかる式中、R10〜R12は独立してアルキル基を表し、R13はアリル基又はヒドリド基等を表し、アリル基としては2−プロぺニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−プロピニル基等を挙げることができ、式(VIII)で示されるアルキルシラン化合物としては、R10〜R12がメチル基、エチル基、R13が2−メチル−2−プロペニル基であるメタリルトリメチルシランや、メタリルトリエチルシラン化合物等を挙げることができ、特に、メタリルトリメチルシラン化合物を好ましい具体例として例示することができる。
【0053】
かかる一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物は、予め一般式(II)で示される化合物とメタリルトリメチルシラン(2−メチルプロペニルトリメチルシラン)等の式(VIII)で示されるアルキルシラン化合物とを反応させて反応生成物として得られたシラン化合物を単離した後、反応系に添加してもよいが、一般式(I)で示されるp−ベンゾキノン等と共に一般式(II)で示される化合物が存在する反応系に、直接、式(VIII)で示されるアリルトリアルキルシラン化合物を添加することにより、反応系において一般式(II)で示される化合物の一部又はその全量と容易に反応して生成された一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物を単離せずにそのまま使用することができる。また、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとメタリルトリメチルシランとの反応生成物であるトリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドは単離が可能であるため、予め反応生成物として得られた一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物であるトリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドを反応系に添加してもよい。かかる一般式(II)で示される化合物に添加する式(VIII)で示されるアルキルシラン化合物の使用量は、一般式(I)で示される酸触媒に対して、1〜4当量とすることができ、1当量の使用量であっても99%の純度のクロマン化合物誘導体が得られるため好ましい。
【0054】
上記一般式(II)で示される化合物のアリルトリアルキルシラン化合物としては、トリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)メチド、トリエチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリエチルシリルペンタフルオロフェニルビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)メチド等を挙げることができる。
【0055】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法に使用する触媒は、アルキルシラン化合物誘導体を含有するものであってもよい。アルキルシラン化合物誘導体は、一般式(II)で示される化合物等と共に使用され、得られる反応生成物のクロマン化合物誘導体の純度、収率をより向上することができる。かかるアルキルシラン化合物誘導体としては、式(VIII)
SiR10R11R12R13 (VIII)
で示され、式中、R10〜R12は独立してアルキル基を表し、R13はアリル基又はヒドリド基等を表し、アリル基としては2−プロぺニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−プロピニル基等を挙げることができ、式(VIII)で示されるアルキルシラン化合物誘導体としては、R10〜R12がメチル基、エチル基、R13が2−メチル−2−プロペニル基であるメタリルトリメチルシランや、メタリルトリエチルシラン化合物等を挙げることができ、特に、メタリルトリメチルシラン化合物を好ましい具体例として例示することができる。アルキルシラン化合物誘導体、特に、メタリルトリメチルシランは、反応系中で加水分解した一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物を再生し触媒作用を復活させる作用を有する。アルキルシラン化合物誘導体がかかる作用を有することは、反応系中でアルキルシラン化合物の一部が加水分解して生じる化学式(II)で示されるブレンステッド酸とアンモニウム塩を作って触媒作用を失活させる2,6−ジ(t−ブチル)ピリジンを加えると生成物のクロマン化合物誘導体の純度は向上するが、収率が低下することからも分かる。かかるアルキルシラン化合物誘導体の使用量は、一般式(I)で示されるp−ベンゾキノンに対して、0.2〜7mol%、より好ましくは、0.5〜5mol%である。
【0056】
上記アルキルシラン化合物誘導体は、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン等一般式(II)で示される化合物と式(VIII)で示されるアリルトリアルキルシラン化合物誘導体とを無溶媒条件下に添加し、室温、必要に応じて加熱、例えば、18〜40℃で攪拌することにより、トリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド等反応生成物として得ることができ、これを、蒸留(120℃、7〜10Pa)の方法により単離することができる。
【0057】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法は、一般式(I)で示されるp−ベンゾキノンと、α−アリルアルコールとを一般式(II)で示される化合物及びアリルトリアルキルシラン化合物誘導体又は一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物とを溶媒中で反応させることが好ましく、かかる溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソブチルエーテル等の非プロトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒や、エチレンカルボナート等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を混合して使用してもよく、例えば、ヘプタンとエチレンカルボナートの2相系を例示することができる。溶媒の使用量としては、6mmolのp−ベンゾキノンに対し3〜12mlであり、好ましくは4〜6mlである。
【0058】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法は、上記溶媒中に一般式(I)で示されるp−ベンゾキノンと、一般式(II)で示される化合物、又は一般式(II)で示される化合物及びメタリルトリメチルシランとを添加し、撹拌下、温度100〜130℃、好ましくは、110〜120℃で、共沸脱水した状態で、溶媒に溶解したα−アリルアルコールを、約2mmol/h滴下速度で加え、更に2〜12時間撹拌を継続し、室温に冷却した後、1N水酸化ナトリウムと、飽和食塩水を加え、ヘキサンで抽出することにより行うことができる。生成物は硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等公知の方法により精製することができる。
【0059】
本発明によって製造されるクロマン化合物誘導体は、一般式(III)で表され、式中、R1〜R3は、一般式(I)におけるR1〜R3と同じもの、即ち、独立して水素原子、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基を表し、R4、R5は独立して水素原子、又は未置換若しくは置換基を有するアルキル基、若しくはアルケニル基を表し、但し、同時に水素原子である場合はなく、置換基R4、R5が結合される炭素において不斉炭素を有するものである。一般式(III)におけるR1〜R3が表すアルキル基としては、いずれのものであってもよいが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等を挙げることができるが、C1〜C3のアルキル基が好ましく、このうちメチル基が特に好ましい。かかるR1〜R3が表すアルキル基の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基や、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
【0060】
一般式(III)におけるR4が表すアルキル基としては、いずれであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができ、このうち、C1〜C3のアルキル基を好ましい具体例として例示することができ、また、R4が表すアルケニル基としては、いずれのものであってもよく、具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができ、このうちC3〜C6のアルケニル基を好ましい具体例として例示することができる。また、一般式(III)におけるR4が表すこれらのアルキル基、アルケニル基の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基や、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
更に、一般式(III)におけるR5が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等直鎖状や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等環状のいずれであってもよいが、C1〜C26を具体的に挙げることができ、アルケニル基としては、これらのアルキル基に1又は2以上の不飽和結合を有するものを挙げることができる。また、一般式(III)におけるR5が表すアルキル基、アルケニル基の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基や、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。かかる一般式(III)におけるR5として、一般式(V)で表される置換基を好ましい具体例として挙げることができ、このうち、n=3で表され置換基が、特に好ましい。一般式(III)で表されるクロマン化合物誘導体としては、α−トコフェロールを代表として挙げることができる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
参考例1
トリメチルヒドロキノン0.9g(6mmol)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン(0.5mol%)、ヘプタン3mLを25mL容枝付きフラスコに入れ、この溶液をバス温度、115℃で十分に撹拌し共沸脱水させた状態で、イソフィトール2.2mL(6.2mmol)をヘプタン2mLに溶かした溶液を約3時間かけて滴下した。溶液をさらに共沸脱水条件下で2時間から12時間撹拌した後、室温まで冷却後エーテル2mLを加え、さらに1N水酸化ナトリウム溶液2mL、飽和食塩水4mLを加え、ヘキサンで抽出した。その後、さらに水層をヘキサンで2度抽出した。有機層をあわせたものを硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)を用いて精製し、α−トコフェロールを得た。収率93%、純度98%であった。結果を表1に示す。
【0062】
得られたα−トコフェロールは以下の条件で、分析した。
分析条件
Hewlett Packard,HP 6890 Series,GC System
Column:DB−1 (length:30m,I.D.:0.25mm,Film:0.25um)
Column Temperature:260℃(1min),5℃/min,300℃(10min)
Injection Temp.:320℃
Detection Temp.:320℃
Constant flow mode
Split ratio:50
Carrier gas(He):Total flow:24.1mL,column flow:2.0mL/min
H2 flow:30mL/min
Air flow:400mL/min
α−トコフェロール:6.9min
5員環副生成物A:5.5min
5員環副生成物B:6.1min
【0063】
実施例1
トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンの代わりに、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン(10mol%)を用いた他は参考例1と同様にしてα−トコフェロールを得た。収率99%、純度90%であった。結果を表1に示す。
【0064】
実施例2
ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン6.69g(15mmol)と、メタリルトリメチルシラン2.6mL(15mmol)とを無溶媒中に添加し、18〜40℃等で1時間攪拌し、トリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドを得た。
得られたトリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(0.5mol%)と、トリメチルヒドロキノン0.9g(6mmol)、ヘプタン3mLを25mL容枝付きフラスコに入れ、この溶液をバス温度、115℃で十分に撹拌し共沸脱水させた状態で、イソフィトール2.2mL(6.2mmol)をヘプタン2mLに溶かした溶液を約3時間かけて滴下した。溶液をさらに共沸脱水条件下で2時間から12時間撹拌した後、室温まで冷却後エーテル2mLを加え、さらに1N水酸化ナトリウム溶液2mL、飽和食塩水4mLを加え、ヘキサンで抽出した。その後、さらに水層をヘキサンで2度抽出した。有機層を合わせたものを硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)を用いて精製し、α−トコフェロールを得た。収率は79%、純度は90%であった。結果を表1に示す。
【0065】
参考例2,3 実施例3−6
トリメチルヒドロキノン0.9g(6mmol)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン(0.2mol%)、メタリルトリメシルシラン(0.8mol%)、ヘプタン3mLを25mL容枝付きフラスコに入れ、この溶液をバス温度、115℃で十分に撹拌し共沸脱水させた状態で、イソフィトール2.2mL(6.2mmol)をヘプタン2mLに溶かした溶液を約3時間かけて滴下した。溶液をさらに共沸脱水条件下で2時間から12時間撹拌した後、室温まで冷却後エーテル2mLを加え、さらに1N水酸化ナトリウム溶液2mL、飽和食塩水4mLを加え、ヘキサンで抽出した。その後、さらに水層をヘキサンで2度抽出した。有機層を合わせたものを硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)を用いて精製し、α−トコフェロールを得た。収率は83%、純度は99%であった(参考例2)。同様に、トリス(トリフルオロメタンスルホン)メタン(0.5mol%)(参考例3)、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン(0.5mol%)(実施例3)、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)(メタン5mol%)(実施例4)、実施例2と同様にして得たトリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(0.5mol%)(実施例5)、トリメチルシリルペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(5mol%)(実施例6)について同様に行ない、得られたα−トコフェロールの収率と純度を求めた。結果を表1に示す。
【0066】
実施例7−8
メタリルトリメシルシランの代わりに2,6−ジ(−t−ブチル)ピリジン(5mol%、5mol%)を用いた他は、実施例5と同様に行ない、得られたα−トコフェロールの収率と純度を求めた。結果を表1に示す。
【0067】
比較例1−2
トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンの代わりにトリフルオロメタンスルホニルイミンを用いた他は、参考例1と同様にして反応を行ない、α−トコフェロールを得、得られたα−トコフェロールの収率と純度を求めた(比較例1)。結果を表1に示す。得られた生成物の純度が低下した。同様にしてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、α−トコフェロールを得、得られたα−トコフェロールの収率と純度を求めた(比較例2)。結果を表1に示す。得られた生成物の収率、純度が低下した。
【0068】
比較例3−4
ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリメチルシランの代わりにトリメチルシリル(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた他は、実施例7と同様にして反応を行ない、α−トコフェロールを得、得られたα−トコフェロールの収率と純度を求めた(比較例3)。結果を表1に示す。得られた生成物の収率は向上したが、純度は低下した。同様に、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナートを用いて、α−トコフェロールを得、得られたα−トコフェロールの収率と純度を求めた(比較例4)。結果を表1に示す。得られた生成物の純度が低下した。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例9−11
ポリスチレン樹脂担持型ブレンステッド酸(Ishihara, K.; Hasagawa, A.; Yamamoto, H. Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 4077−4079)(実施例9)及びポリスチレン樹脂担持型ブレンステッド酸のシリルルイス酸(実施例10)、またフルオラスシリルルイス酸(Ishihara, K.; Hasegawa, A.; Yamamoto, H. Synlett 2002, 1299−1301)(実施例11)を用いた場合も高収率、高純度でα−トコフェロールが合成された。ポリスチレン担持型ブレンステッド酸は反応後、濾過により回収できた。フルオラスシリルルイス酸も反応後、ブレンステッド酸としてパーフルオロアルカンにより抽出できた。結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
本発明のクロマン化合物誘導体の製造方法や、クロマン化合物誘導体製造用触媒によれば、一般式(II)で表される化合物や、一般式(II)で表される化合物を高分子樹脂に担持した化合物また、反応系においてこれら一般式(II)で表されるアルキルシラン化合物を添加して得られるアルキルシラン化合物や、これらに更にアルキルシラン化合物誘導体を添加することにより、高純度なクロマン化合物誘導体を高収率で得ることができ、大量に製造されているα−トコフェロールを有機金属を極微量の触媒存在下で、環境破壊を抑制して高純度、高収率で得ることができ、工業化を図ることができる。
Claims (21)
- 一般式(I)
一般式(VIII)
SiR 10 R 11 R 12 R 13 (VIII)
(式中、R 10 〜R 12 は独立してアルキル基を表し、R 13 はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体との反応生成物からなるアルキルシラン化合物を含有する触媒存在下で反応させることを特徴とする、一般式(III)
- α−アリルアルコールが、一般式(IV)
- α−アリルアルコールがイソフィトールであることを特徴とする請求項2記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- α−アリルアルコールが、一般式(IV)
- α−アリルアルコールがフィトールであることを特徴とする請求項4記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- 一般式(II)で示される化合物が、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- 一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物が、一般式(II)で示される化合物とメタリルトリメチルシランとの反応生成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- 触媒が、一般式(VIII)
SiR10R11R12R13 (VIII)
(式中、R10〜R12は独立してアルキル基を表し、R13はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。 - アルキルシラン化合物誘導体が、メタリルトリメチルシランであることを特徴とする請求項8記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- 溶媒中で反応させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- 溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソブチルエーテルであることを特徴とする請求項10記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- クロマン化合物誘導体が、α−トコフェロールであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載のクロマン化合物誘導体の製造方法。
- 一般式(I)
一般式(VIII)
SiR 10 R 11 R 12 R 13 (VIII)
(式中、R 10 〜R 12 は独立してアルキル基を表し、R 13 はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体との反応生成物からなるアルキルシラン化合物であることを特徴とするクロマン化合物誘導体製造用触媒。 - α−アリルアルコールが、一般式(IV)
- α−アリルアルコールがイソフィトールであることを特徴とする請求項14記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒。
- α−アリルアルコールが、一般式(IV)
- α−アリルアルコールがフィトールであることを特徴とする請求項16記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒。
- 一般式(II)で示される化合物が、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン又はペンタフルオロフェニルビス(パーフルオロメタンスルホニル)メタンであることを特徴とする請求項13〜17のいずれか記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒。
- 一般式(II)で示される化合物のアルキルシラン化合物が、一般式(II)で示される化合物とメタリルトリメチルシランとの反応生成物であることを特徴とする請求項13〜18のいずれか記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒。
- 一般式(VIII)
SiR10R11R12R13 (VIII)
(式中、R10〜R12は独立してアルキル基を表し、R13はアリル基又はヒドリド基等を表す)で示されるアルキルシラン化合物誘導体を含有することを特徴とする請求項13〜19のいずれか記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒。 - アルキルシラン化合物誘導体が、メタリルトリメチルシランであることを特徴とする請求項20記載のクロマン化合物誘導体製造用触媒。
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