JP3797162B2 - 投影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源から出射された照明光を反射型の光変調素子を用いて変調し、レンズを用いて拡大投影する投影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大画面表示を可能とするために、液晶パネル等の光変調素子にランプから照明光を照射し、この液晶パネルに入力された映像信号に応じたパターンが表示され、液晶パネルからの反射光を拡大投影することにより液晶パネルに表示されたパターンを拡大投影する投影装置が用いられている。
【0003】
上述した反射型の液晶パネルを用いる様々な投影装置の光学システムが提案されており、ある特定の波長帯域の偏光方向を90°回転させる機能を持つ偏光回転素子と、偏光ビームスプリッタ(以下では、PBSと称する。)を用いるカラー用の光学システムでは、コントラスト、明るさ共に概して良好な光学システムである。
【0004】
このような光学システムが用いられた投影装置としては、例えば、図5に示すようなプロジェクタ装置100が提案されている。以下、このプロジェクタ装置100について説明する。
【0005】
プロジェクタ装置100は、照明光を出射するランプ101と、このランプ101側から光路順に、フライアイインテグレータ102と、PS変換合成素子103と、メインコンデンサ104と、フィールドレンズ105と、プリ偏光板106と、G偏光回転素子107と、入射PBS108とを備えている。
【0006】
上述したプロジェクタ装置100において、ランプ101から出射された照明光は、フライアイインテグレータ102により照度分布が均一化され、PS変換合成素子103によりP偏光がS偏光に変換され全てS偏光とされ、メインコンデンサ104とフィールドレンズ105とにより集光され、プリ偏光板106により偏光面が揃えられ、G偏光回転素子107により緑の波長帯域が偏光面を90°回転されてP偏光とされる。そして、入射PBS108によりP偏光すなわち緑の波長帯域が透過すると共にS偏光すなわち赤及び青の波長帯域が光路に対して45°傾いた入射PBS108の反射面108aで反射され進行方向を90°変化させる。
【0007】
また、プロジェクタ装置100は、入射PBS108を透過して直進した照明光の光路順に、G−PBS109と、第1の液晶パネル110とを備えている。
【0008】
入射PBS108を透過して直進した照明光は、緑の波長帯域のP偏光であり、G−PBS109を透過して第1の液晶パネル110に導かれ、第1の液晶パネル110により変調され入射方向へ反射される。そして、第1の液晶パネル110で反射された反射光は、緑の波長帯域のS偏光となり、光路に対して45°傾いたG−PBS109の反射面109aで反射されて進行方向を90°変化させる。
【0009】
さらに、プロジェクタ装置100は、入射PBS108の反射面108aで反射された照明光の光路順に、R偏光回転素子111と、RB−PBS112と、RB−PBS112を透過する照明光の進行方向に第2の液晶パネル113と、RB−PBS112の反射面112aで反射された照明光の進行方向に第3の液晶パネル114とを備える。
【0010】
入射PBS108の反射面108aで反射された照明光は、赤及び青の波長帯域のS偏光であり、R偏光回転素子111により赤の波長帯域だけ偏光面が90°回転されてP偏光とされ、RB−PBS112に入射する。
【0011】
RB−PBS112に入射した照明光のうち赤の波長帯域のP偏光は、RB−PBS112を透過して直進し第2の液晶パネル113に導かれ、第2の液晶パネル113により変調され入射方向に反射される。また、RB−PBS112に入射した照明光のうち青の波長帯域のS偏光は、光路に対して45°傾いたRB−PBS112の反射面112aで反射され進行方向を90°変化させ第3の液晶パネル114に導かれ、第3の液晶パネル114により変調され入射方向に反射される。
【0012】
第2の液晶パネル113で変調され反射された反射光は、赤の波長帯域のS偏光となり、光路に対して45°傾いたRB−PBS112の反射面112aで反射され進行方向を90°変化させる。また、第3の液晶パネル114で変調され反射された反射光は、青の波長帯域のP偏光となり、RB−PBS112を透過して直進する。
【0013】
さらにまた、プロジェクタ装置100は、RB−PBS112の反射面112aで反射された第2の液晶パネル113からの反射光とRB−PBS112を透過した第3の液晶パネル114からの反射光との進行方向に、R偏光回転素子115を備えている。
【0014】
RB−PBS112の反射面112aで反射された第2の液晶パネル113からの反射光は、赤の波長帯域のS偏光であり、R偏光回転素子115により偏光面が90°回転されP偏光となる。また、RB−PBS112を透過した第3の液晶パネル114からの反射光は、青の波長帯域のP偏光であり、R偏光回転素子115を透過する。
【0015】
さらにまた、プロジェクタ装置100は、G−PBS109の反射面109aで反射した第1の液晶パネル110からの反射光の進行方向で、R偏光回転素子115により偏光面が90°回転された第2の液晶パネル113からの反射光と、R偏光回転素子115を透過した第3の液晶パネル114からの反射光との進行方向に、出射PBS116を備えている。
【0016】
G−PBS109の反射面109aで反射された第1の液晶パネル110からの反射光は、緑の波長帯域のS偏光であり、光路に対して45°傾いた出射PBS116の反射面116aで反射され進行方向を90°変化させる。また、R偏光回転素子115により偏光面が90°回転された第2の液晶パネル113からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光であり、出射PBS116を透過して直進する。さらに、R偏光回転素子115を透過した第3の液晶パネル114からの反射光は、青の波長帯域のP偏光であり、出射PBS116を透過して直進する。
【0017】
さらにまた、投射装置100は、出射PBS116の反射面116aで反射した第1の液晶パネル110からの反射光と、出射PBS116を透過した第2の液晶パネル113からの反射光と、第3の液晶パネル114からの反射光との進行方向に光路順に、G偏光回転素子117と、出射偏光板118と、投影レンズ119とを備えている。
【0018】
出射PBS116の反射面116aで反射した第1の液晶パネルからの反射光は、緑の波長帯域のS偏光であり、G偏光回転素子117により偏光面が90°回転されてP偏光となり、出射偏光板118で偏光面が揃えられ、投影レンズ119により図示しないスクリーンに拡大投影される。また、出射PBS116を透過した第2の液晶パネル113からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光であり、G偏光回転素子117を透過し、出射偏光板118により偏光面が揃えられ、投影レンズ119により図示しないスクリーンに拡大投影される。さらに、出射PBS116を透過した、第3の液晶パネル114からの反射光は、青の波長帯域のP偏光であり、G偏光回転素子117を透過し、出射偏光板118により偏光面が揃えられ、投影レンズ119により図示しないスクリーンに拡大投影される。
【0019】
このように、プロジェクタ装置100は、第1の液晶パネル110、第2の液晶パネル113、第3の液晶パネル114にそれぞれ入力された緑、赤、青の3色に分離された映像信号に応じた映像を投影レンズ119によりスクリーンに拡大投影するようになっている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したような光学システムを用いた投影装置では、3つの液晶パネルがそれぞれどこに配設されるかによってコントラストが大きく異なってしまう。これは、一般的なPBSの特性から発生してしまう問題である。
【0021】
ここで、一般的なPBSは、薄膜の干渉を利用して光線の分離合成を行うために、例えば、透過するべきP偏光の反射率が10%程度と大きくなってしまう。これにより、上述したような光学システムでは、各液晶パネルで反射された後に、投影レンズ119に至らず、光源ランプ101に戻るべき不要光であるOFF光が、P偏光として各PBSを透過する際に、10%程度反射されてしまい投影レンズ119に至りスクリーンに拡大投影されてしまう。
【0022】
例えば図5において、緑の波長帯域の照明光は、第1の液晶パネル110にP偏光として導かれる。そして、第1の液晶パネル110からの反射光は、変調されたS偏光と不要なP偏光とを含み、G−PBS109のP偏光の透過率は100%にすることができないので、上述したように不要なP偏光すなわちOFF光の10%程度はS偏光と共に反射されてしまう。このようにG−PBS109により反射されたOFF光は、出射PBS116に至り、同様に出射PBS116においても10%程度は反射され投射レンズ119に至りスクリーンに投射されてしまう。
【0023】
このように不要光であるOFF光が投影されることにより、コントラストを劣化させる原因となる。
【0024】
ここで、入射PBS108,G−PBS109,RB−PBS112,出射PBS116のそれぞれのP偏光の透過率TPを90%、反射率RPを10%、S偏光の透過率TSを0.5%、反射率RSを99.5%として実際のコントラストを以下で計算する。
【0025】
緑の波長帯域では、照明光が第1の液晶パネル110で反射光となり投影レンズ119に導かれる間に、入射PBS108でP偏光の透過、G−PBS109でP偏光の透過、G−PBS109でS偏光の反射、出射PBS116でS偏光の反射が行われ、投影レンズ119でスクリーンに投影されるべき光、いわゆる白側の光は、TP×TP×RS×RS=80.2%となる。これに対して第1の液晶パネル110で発生するOFF光が投影レンズ119に導かれる間に、G−PBS109でP偏光の反射、出射PBS116でP偏光の反射が行われるので、投影レンズ119でスクリーンに投影されるべきでない光、いわゆる黒側の光は、TP×TP×RP×RP=0.81%となり、コントラストは略99となる。
【0026】
また、赤の波長帯域では、照明光が第2の液晶パネル113で反射光となり投影レンズ119に導かれる間に、白側の光が、RS×TP×RS×TP=80.2%、黒側の光が、RS×TP×RP×TS=0.005%となり、コントラストは、略16000となる。
【0027】
さらに、青の波長帯域では、照明光が第3の液晶パネル114で反射光となり投影レンズ119に導かれる間に、白側が、RS×RS×TP×TP=80.2%、黒側の光が、RS×RS×TS×TS=0.0025%でコントラストが略32000となる。
【0028】
以上のように、上述した光学システムを用いたプロジェクタ装置100では、コントラストの高い順に青、赤、緑の波長帯域となり、コントラストに最も寄与する緑の波長帯域が最もコントラストが低い状態となっている。
【0029】
このプロジェクタ装置100では、上述した欠点を補うために、出射PBS116の投影レンズ119側にG偏光回転素子117を配設し、赤、緑、青の波長帯域の光線の偏光面を揃えた上で、さらに出射偏光板118を配設し、上述した各波長帯域のコントラストを劣化させるOFF光を吸収、浄化するようにしている。
【0030】
しかし、上述したようにG偏光回転素子117や出射偏光板118を追加することで素子数が増えることにより透過効率を低下させ、これにより明るさが低下する問題が発生する。また、G偏光回転素子117は、非常に高価な光学素子であり、このG偏光回転素子117を配設することでプロジェクタ装置全体のコストが増加してしまう。
【0031】
本発明は上述した問題を鑑みてなされたものであり、システム全体のコントラストを向上させると共に、高価な光学素子の追加を最低限度に抑え、コストダウンを可能にし、安価で高性能な投影装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る投影装置は、照明光を出射する光源と、光源から出射された照明光の偏光成分を揃える偏光手段と、偏光手段で偏光成分が揃えられた照明光の緑の波長帯域の偏光面を回転させる第1の偏光回転素子と、第1の偏光回転素子で偏光面が回転された緑の波長帯域の照明光を反射すると共に、赤及び青の波長帯域の照明光を透過する分離手段と、分離手段を透過した青の波長帯域の照明光を透過し、分離手段を透過した赤の波長帯域の照明光を偏光面を回転する第2の偏光回転素子と、第2の偏光回転素子を透過した青の波長帯域の照明光を変調して反射する第1の光変調素子と、第2の偏光回転素子で偏光面が回転された赤の波長帯域の照明光を変調して反射する第2の光変調素子と、分離手段で反射された緑の波長帯域の照明光を変調して反射する第3の光変調素子と、第2の偏光回転素子を透過した青の照明光を透過して第1の光変調素子に入射させ、第2の偏光回転素子で偏光面が回転された赤の波長帯域の照明光を反射して第2の光変調素子に入射させると共に、第1の光変調素子からの変調された反射光を反射し、上記第2の光変調素子からの変調された反射光を透過する第1の偏光ビームスプリッタと、第1の偏光ビームスプリッタで反射された青の波長帯域の反射光を透過し、第1の偏光ビームスプリッタを透過した赤の波長帯域の反射光の偏光面を回転させる第3の偏光回転素子と、分離手段と第3の光変調素子との間に配され、上記分離手段で反射された緑の波長帯域の照明光を上記第3の光変調素子に入射させると共に、第3の光変調素子からの緑の波長帯域の変調された反射光を分離手段からの照明光の入射方向と直交する方向へ出力する第2の偏光ビームスプリッタと、第3の偏光回転素子を介して出力された青の波長帯域及び赤の波長帯域の光と、第2の偏光ビームスプリッタからの出力された緑の波長帯域の光を合成する合成手段と、合成手段により合成された光を投影する投影レンズとを備え、第1の偏光ビームスプリッタと合成手段との間には、第3の偏光回転素子から出力された青の波長帯域の光を偏光成分に応じて遮光し、赤の波長帯域の光を透過する青色帯域偏光板が配置されていることを特徴とする。
【0033】
本発明に係る投影装置は、光源から出射された照明光を第1の偏光板により偏光方向を揃え、第1の偏光回転素子により緑の波長帯域の偏光面を回転させ、分離手段により照明光を緑の波長帯域と、赤及び青の波長帯域とに分離する。次に、第2の偏光回転素子、第2の偏光ビームスプリッタとで第1の光変調素子に青の波長帯域の照明光を導き、第2の光変調素子に赤の波長帯域の照明光を導き、第1の光変調素子で変調され反射された青の波長帯域の反射光と、第2の光変調素子で変調され反射された赤の波長帯域の反射光とを第3の偏光回転素子、合成手段を構成する第3の偏光ビームスプリッタにより投影レンズに導き、投影レンズにより拡大投影する。さらに、緑の波長帯域の照明光を第2の偏光ビームスプリッタにより反射させ第3の光変調素子に導き、第3の光変調素子により変調され反射された反射光を第2の偏光ビームスプリッタと第3の偏光ビームスプリッタとを透過させ投影レンズにより拡大投影する。このように、緑の波長帯域用の第3の光変調素子を配設し、さらに加えて、第1の偏光ビームスプリッタと合成手段との間に、第3の偏光回転素子から出力された青の波長帯域の光を偏光成分に応じて遮光し、赤の波長帯域の光を透過する青色帯域偏光板を配置したことにより、コントラストを向上させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をプロジェクタ装置に適用して、図面を参照しながら説明する。まず、図1に示すような構成とされた、プロジェクタ装置1について説明する。
【0035】
プロジェクタ装置1は、照明光を出射する光源となるランプ10と、このランプ10側から光路順に、フライアイインテグレータ11と、PS変換合成素子12と、メインコンデンサ13と、フィールドレンズ14と、プリ偏光板15と、G偏光回転素子16と、入射PBS17とを備えている。
【0036】
ランプ10は、カラー画像を表示するために必要とされる、光の3原色である赤,緑,青の波長帯域の光を含む白色光を出射することができるようにされている。このようなランプ10は、白色光を発する発光体10aと、発光体10aから発せられた光を反射するリフレクタ10bとを有している。ランプ10の発光体10aとしては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が好適である。ランプ10のリフレクタ10bとしては、凹面鏡が用いられ、その鏡面が周効率のよい形状とされていることが好ましく、例えば、回転方物面や回転楕円面のような回転対称面の形状とされている。
【0037】
フライアイインテグレータ11は、ランプ10から出射された照明光が後述する液晶パネルの有効面積内を均一に照明するために、照明光を液晶パネルの有効面積の形状の光束とし、照度分布を均一化するようにされている。このようなフライアイインテグレータ11は、マルチレンズアレイとも呼ばれ、複数の小さな凸レンズをアレイ状に設けたものを二つ組み合わせ、ランプ10側のマルチレンズアレイ11aによりランプ10からの照明光を集光し小さな点光源を作り出し、他方のマルチレンズアレイ11bによりそれぞれの点光源からの照明光を合成するようにされている。
【0038】
PS変換合成素子12は、ランプ10からの照明光を有効利用するために、照明光の偏光成分を揃えるようにされている。PS変換合成素子12は、λ/2板や偏光ビームスプリッタ等により構成され、例えば、S偏光をP偏光に変換することができるようにされており、入射した照明光の内でP偏光を透過するとともにS偏光をP偏光に変換して出力するので、照明光を全てP偏光にすることができる。
【0039】
メインコンデンサ13は、PS変換合成素子12を透過した照明光を集光する凸レンズである。
【0040】
フィールドレンズ14は、メインコンデンサ13を透過した照明光を集光する凸レンズである。
【0041】
プリ偏光板15は、フィールドレンズ14を透過した照明光を所定の偏光成分のみ透過させる偏光板であり、例えばP偏光の成分を透過させるようになっている。
【0042】
G偏光回転素子16は、フィールドレンズ14に集光された照明光のうち、緑の波長帯域、すなわち緑色の成分の偏光面を90°回転させるとともに、それ以外の波長帯域、すなわち赤及び青色の成分の偏光状態を保持して透過するように最適化された積層型の位相差フィルムである。
【0043】
入射PBS17は、G偏光回転素子16を透過した照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射させて分離するようにされている。入射PBS17は、例えば、複屈折性の少ない石英やショット社製SF57等の硝材を誘電体多層膜を介して張り合わせた構成とされており、例えば、P偏光を透過させるとともに、S偏光を光路に対して45°傾いた反射面17aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0044】
入射PBS17では、G偏光回転素子16を透過した照明光が、入射PBS17を透過して直進する光と、反射面17aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0045】
また、プロジェクタ装置1は、入射PBS17を透過して直進した照明光の光路順に、第1のR偏光回転素子18と、RB−PBS19とを備えている。
【0046】
第1のR偏光回転素子18は、入射PBS17を透過した照明光のうち、所定の波長帯域、すなわち所定の色の成分の偏光面を90°回転させるとともに、それ以外の波長帯域の偏光状態を保持して透過するように最適化されたの位相差フィルムである。第1のR偏光回転素子18は、例えば、すでに入射PBS17によって緑色の成分が反射分離されているので、透過した青色及び赤色の成分のうち、赤色の照明光だけ偏光面を90°回転させ、他の波長帯域の照明光すなわち青色の照明光の偏光状態を保持して、それぞれ透過させる。
【0047】
RB−PBS19は、第1のR偏光回転素子18を透過した照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射させて分離するようにされている。RB−PBS19は、入射PBS17と略同等の構成とされており、例えば、P偏光を透過させ直進させるとともに、S偏光を光路に対して45°傾いた反射面19aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0048】
RB−PBS19では、第1のR偏光回転素子18を透過した照明光と後述する液晶パネルで変調された反射光とが、RB−PBS19を透過して直進する光と反射面19aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0049】
さらにまた、プロジェクタ装置1は、RB−PBS19を透過した照明光の進行方向に第1の液晶パネル20と、RB−PBS19の反射面19aで反射した照明光の進行方向に第2の液晶パネル21とを備える。
【0050】
第1の液晶パネル20は、光の3原色毎に分離された映像信号のうち青色の映像信号が入力され、この青色の映像信号に基づいたパターンを表示し、照明光が入射されることにより、この照射光を変調し反射するようにされている。この第1の液晶パネル20は、液晶分子が封入された液晶パネルであり、各画素ごとに光を変調することができる。
【0051】
第2の液晶パネル21は、光の3原色毎に分離された映像信号のうち赤色の映像信号が入力され、この赤色の映像信号に基づいたパターンを表示し、照明光が入射されることにより、この照射光を変調し反射するようにされている。この第2の液晶パネル21は、液晶分子が封入された液晶パネルであり、各画素ごとに光を変調することができる。
【0052】
また、RB−PBS19では、第1の液晶パネル20で変調された反射光が反射面19aで反射して進行方向が90°変化するとともに、第2の液晶パネル21で変調された反射光がRB−PBS19を直進して透過する。
【0053】
さらにまた、プロジェクタ装置1は、RB−PBS19の反射面19aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光とRB−PBS19aを透過した第2の液晶パネル21で変調された反射光との光路順に、第2のR偏光回転素子22と、B帯域偏光板23とを備えている。
【0054】
第2のR偏光回転素子22は、RB−PBS19の反射面19aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光とRB−PBS19を透過した第2の液晶パネル21で変調された反射光とのうち、所定の波長帯域、すなわち所定の色の成分の偏光面を90°回転させるとともに、それ以外の波長帯域の偏光状態を保持して透過するように最適化されたの位相差フィルムである。第2のR偏光回転素子22は、例えば、すでに入射PBS17によって緑色の成分が反射分離されているので、透過した青色及び赤色の成分のうち、赤色の光だけ偏光面を90°回転させ、他の波長帯域の光すなわち青色の光の偏光状態を保持して、それぞれ透過させる。
【0055】
B帯域偏光板23は、青の波長帯域の光のうち所定の偏光成分を吸収するようにされた特性を持った偏光板である。B帯域偏光板23は、第2のR偏光回転素子22を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光とが入射され、青の波長帯域の所定の偏光成分を吸収する。
【0056】
さらにまた、プロジェクタ装置1は、入射PBS17の反射面17aで反射された照明光の進行方向にG−PBS24が備えられている。
【0057】
G−PBS24は、入射PBS17の反射面17aで反射され進行方向を90°変化された照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射するようにされている。G−PBS24は、入射PBS17と略同等の構成とされており、例えば、P偏光を透過させ直進させるとともに、S偏光を光路に対して45°傾いた反射面24aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0058】
G−PBS24では、入射PBS17の反射面17aで反射された照明光を反射面24aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0059】
さらにまた、プロジェクタ装置1は、G−PBS24の反射面24aで反射された照明光の進行方向に第3の液晶パネル25を備えている。
【0060】
第3の液晶パネル25は、光の3原色毎に分離された映像信号のうち緑色の映像信号が入力され、この緑色の映像信号に基づいたパターンを表示し、照明光が入射されることにより、この照射光を変調し反射するようにされている。第3の液晶パネル25は、液晶分子が封入された表示パネルであり、各画素ごとに光を変調することができる。
【0061】
また、G−PBS24では、第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させる。
【0062】
さらにまた、プロジェクタ装置1は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光との進行方向で、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光の進行方向に、出射PBS26を備えている。
【0063】
出射PBS26は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光と、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光とを、偏光成分に応じて透過又は反射させて合成するようにされている。出射PBS26は、入射PBS17と略同等の構成とされており、例えば、P偏光を透過させるとともに、S偏光を光路に対して45°傾いた反射面26aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0064】
出射PBS26では、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光とを反射面26aで反射させ進行方向を90°変化させるとともに、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させ、これらを同一方向に出力する。
【0065】
さらにまた、プロジェクタ装置1は、出射PBS26の反射面26aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光と、出射PBS26を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光との進行方向に、投影レンズ27を備えている。
【0066】
投影レンズ27は、出射PBS26の反射面26aで反射された第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光と、出射PBS26を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光とをともに拡大投影することができるようにされた凸レンズであり、図示しないスクリーン等に映像を投影することができるようにされている。
【0067】
上述したように構成されたプロジェクタ装置1をランプ10から出射した照明光の光路に沿って各部の動作を説明する。
【0068】
ランプ10から出射した照明光は、光の3原色となる赤、緑、青の波長帯域を含み、無偏光光としてフライアイインテグレータ11に導かれる。
【0069】
次に、フライアイインテグレータ11に導かれた照明光は、フライアイインテグレータ11により照度分布を均一化され透過し、PS変換合成素子12に入射する。
【0070】
次に、PS変換合成素子12に入射した照明光は、P偏光がそのまま透過するとともに、S偏光がP偏光に変換されて、全てP偏光としてメインコンデンサ13に入射する。
【0071】
次に、メインコンデンサ13に入射した照明光は、メインコンデンサ13により集光されてフィールドレンズ14に導かれ、フィールドレンズ14により集光されプリ偏光板15に入射する。
【0072】
次に、プリ偏光板15に入射した照明光は、さらに偏光成分が揃えられP偏光としてG偏光回転素子16に導かれる。
【0073】
次に、G偏光回転素子16に入射した照明光は、緑の波長帯域だけ偏光面が90°回転してS偏光とされ透過して入射PBS17に導かれるとともに、赤及び青の波長帯域の成分がP偏光のまま透過して入射PBS17に導かれる。
【0074】
次に、入射PBS17に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光と赤及び青の波長帯域のP偏光とであり、入射PBS17の反射面17aにおいてP偏光だけが透過して直進するとともに、S偏光が反射面17aにより反射され進行方向を90°変化させる。すなわち、赤及び青色の波長帯域の照明光は、入射PBS17内を直進して透過して第1のR偏光回転素子18に導かれ、緑の波長帯域の照明光は、入射PBS17の反射面17aで反射されて進行方向を90°変化させG−PBS24に導かれる。
【0075】
ここで、上述した入射PBS17により分離された照明光のうち、入射PBS17を透過して第1のR偏光回転素子18に導かれた、赤及び青の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0076】
第1のR偏光回転素子18に導かれた照明光は、赤及び青の波長帯域のP偏光であり、第1のR偏光回転素子18により赤の波長帯域の偏光面が90°回転されS偏光となり、RB−PBS19に導かれる。
【0077】
RB−PBS19に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光と青の波長帯域のP偏光とであり、青の波長帯域のP偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第1の液晶パネル20に導かれ、赤の波長帯域のS偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2の液晶パネル21に導かれる。
【0078】
次に、第1の液晶パネル20に導かれた照明光は、青の波長帯域のP偏光であり、青色の映像信号に基づくパターンが表示された第1の液晶パネル20により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にS偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0079】
次に、第2の液晶パネル21に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光であり、赤色の映像信号に基づくパターンが表示された第2の液晶パネル21により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0080】
次に、RB−PBS19に戻された第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光とOFF光であるP偏光とであり、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過してランプ10側へ戻され、S偏光が反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2のR偏光回転素子22に導かれる。また、RB−PBS19に戻された第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射されランプ10側へ戻され、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第2のR偏光回転素子22に導かれる。
【0081】
次に、第2のR偏光回転素子22に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、第2のR偏光回転素子22を透過し、B帯域偏光板23に導かれる。また、第2のR偏光回転素子22に導かれた第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光であり、第2のR偏光回転素子22により偏光面が90°回転されてS偏光となり、B帯域偏光板23に導かれる
次に、B帯域偏光板23に導かれた、第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、RB−PBS19の反射面19aでわずかながら反射されてしまったOFF光、すなわちP偏光がこのB帯域偏光板23が吸収し、S偏光のみ透過して、出射PBS26に導かれる。また、B帯域偏光板23に導かれた、第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のS偏光であり、B帯域偏光板23をそのまま透過し、出射PBS26に導かれる。
【0082】
次に、出射PBS26に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、出射PBS26の反射面26aで反射され進行方向を90°変化させ、投影レンズ27に導かれる。
【0083】
一方、上述した入射PBS17により分離された照明光のうち、入射PBS17の反射面17aで反射されG−PBS24に導かれた緑の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0084】
次に、G−PBS24に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、G−PBS24の反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ第3の液晶パネル25に導かれる。
【0085】
第3の液晶パネル25に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、緑色の映像信号に基づくパターンが表示された第3の液晶パネル25により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、G−PBS24に戻される。
【0086】
次に、G−PBS24に戻された第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光が反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ入射PBS17へ戻され、P偏光が反射面24aを透過して出射PBS26に導かれる。
【0087】
次に、出射PBS26に導かれた第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光であり、出射PBS26の反射面26aを透過して直進し、投射レンズ27に導かれる。
【0088】
以上のように、入射PBS17やRB−PBS19により3つの光路に分離されたそれぞれの波長帯域の光は、照明光としてそれぞれの波長帯域に対応した液晶パネルに入射され、それぞれの液晶パネルにより変調され反射される。そして、それぞれの液晶パネルで変調された反射光は、出射PBS26で合成されて投影レンズ27に導かれ、この投影レンズ27によりスクリーン等に拡大投影される。
【0089】
以上のように構成されたプロジェクタ装置1は、最もコントラストの向上が期待できる位置、すなわち液晶パネルで変調された反射光の光路で投影レンズ27に至るまでの間で液晶パネル変調された反射光が各PBSにより反射され進行方向が変化しないような位置に、緑色の映像信号が入力される第3の液晶パネル25を配設し、この第3の液晶パネル25に緑の波長帯域の照明光を導くことで、OFF光が反射され投影レンズ27に至ることを抑制し、プロジェクタ装置1全体のコントラストが向上する。
【0090】
また、プロジェクタ装置1は、次にコントラストの向上が期待できる位置に赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21を配設している。これは、赤の波長帯域の光が最も弱いため、青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20よりも優先的に配置することで、各色のバランスを保つことができる。
【0091】
このように、プロジェクタ装置1は、コントラストに最も影響する緑の波長帯域を最もコントラストに有利な位置に配設することで、システム全体でコントラストが向上する。また、残りの赤及び青の波長帯域において、光源の特性から青の波長帯域の光量が多いため、赤の波長帯域をこの次に有利な位置に配設し、赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21のとなりに青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20を配置することで、赤の波長帯域の光量を維持することができる。
【0092】
また、プロジェクタ装置1は、B帯域偏光板23を配設することにより、コントラストが最も悪い位置に配設された第1の液晶パネル20からの反射光のうち、RB−PBS19の反射面19aで反射されてしまったOFF光をカットすることができる。なお、B帯域偏光板23は、偏光板の偏光特性から、緑の波長帯域にも影響するが、B帯域偏光板23の位置には、緑の波長帯域の光が入射せずに、青及び赤の波長帯域の光しか入射しないため他の波長帯域への影響を考慮する必要がなくなる。
【0093】
以上のように、プロジェクタ装置1は、緑及び赤の波長帯域のコントラストを向上させ、青の波長帯域についてもB帯域偏光板を用いてコントラストを向上させており、鮮明な映像を投影することができる。また、プロジェクタ装置1は、従来に比して高価なG回転偏光素子や出射偏光板の使用点数を削減しているため、透過効率が向上するだけでなく、コストの低減が可能となる。
【0094】
次に、本発明を適用した他のプロジェクタ装置として、図2に示す、プロジェクタ装置40について説明する。
【0095】
なお、上述したプロジェクタ装置1と略同等の部位には同じ符号を付して説明を省略する。
【0096】
プロジェクタ装置40は、照明光を出射する光源となるランプ10と、このランプ10側から光路順に、フライアイインテグレータ11と、PS変換合成素子12と、メインコンデンサ13と、プリ偏光板15と、G偏光回転素子16と、入射PBS17とを備えている。
【0097】
入射PBS17では、G偏光回転素子16を透過した照明光が、入射PBS17を透過して直進する光と、反射面17aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0098】
また、プロジェクタ装置40は、入射PBS17を透過して直進した照明光の光路順に、第1のフィールドレンズ28と、第1のR偏光回転素子18と、RB−PBS19とを備えている。
【0099】
第1のフィールドレンズ28は、入射PBS17を透過した照明光を第1の液晶パネル20と第2の液晶パネル21とに集光する凸レンズである。
【0100】
第1のR偏光回転素子18は、第1のフィールドレンズ28を透過した照明光のうち、所定の波長帯域、すなわち所定の色の成分の偏光面を90°回転させるとともに、それ以外の波長帯域の偏光状態を保持して透過するように最適化されたの位相差フィルムである。
【0101】
RB−PBS19では、第1のR偏光回転素子18を透過した照明光と後述する液晶パネルで変調された反射光とが、RB−PBS19を透過して直進する光と、反射面19aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0102】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、RB−PBS19を透過した照明光の進行方向に第1の液晶パネル20と、RB−PBS19の反射面19aで反射した照明光の進行方向に第2の液晶パネル21とを備える。
【0103】
また、RB−PBS19では、第1の液晶パネル20で変調された反射光が反射面19aで反射して進行方向が90°変化するとともに、第2の液晶パネル21で変調された反射光がRB−PBS19を直進して透過する。
【0104】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、RB−PBS19の反射面19aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、RB−PBS19aを透過した第2の液晶パネル21で変調された反射光との進行方向に、第2のR偏光回転素子22と、B帯域偏光板23とを備えている。
【0105】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、入射PBS17の反射面17aで反射された照明光の光路順に、第2のフィールドレンズ29と、第1のGトリマ30と、G−PBS24とを備えている。
【0106】
第2のフィールドレンズ29は、入射PBS17の反射面17aで反射された照明光を第3の液晶パネル25に集光する凸レンズである。
【0107】
第1のGトリマ30は、第2のフィールドレンズ29を透過した照明光の緑の波長帯域だけを透過するように特性が合わされたトリミングフィルタである。
【0108】
G−PBS24は、第1のGトリマ30を透過した照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射するようにされている。
【0109】
G−PBS24では、第1のGトリマ30を透過した照明光を反射面24aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0110】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、G−PBS24の反射面24aで反射された照明光の進行方向に第3の液晶パネル25を備えている。
【0111】
また、G−PBS24では、第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させる。
【0112】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光の進行方向に第2のGトリマ31を備えている。
【0113】
第2のGトリマ31は、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光の緑の波長帯域だけを透過するように特性が合わされたトリミングフィルタである。
【0114】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光との進行方向で、第2のGトリマ31を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光の進行方向に、出射PBS26を備えている。
【0115】
出射PBS26は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネルで変調された反射光と、第2のGトリマ31を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光とを、偏光成分に応じて透過又は反射させて合成するようにされている。出射PBS26は、入射PBS17と略同等の構成とされており、例えば、P偏光を透過させるとともに、S偏光を光路に対して45°傾いた反射面26aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0116】
出射PBS26では、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光とを反射面26aで反射させ進行方向を90°変化させるとともに、第2のGトリマ31を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させ、これらを同一方向に出力する。
【0117】
さらにまた、プロジェクタ装置40は、出射PBS26の反射面26aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光と、出射PBS26を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光との進行方向に、投影レンズ27を備えている。
【0118】
上述したように構成されたプロジェクタ装置40をランプ10から出射した照明光の光路に沿って各部の動作を説明する。
【0119】
ランプ10から出射した照明光は、光の3原色となる赤、緑、青の波長帯域を含み、無偏光光としてフライアイインテグレータ11に導かれる。
【0120】
次に、フライアイインテグレータ11に導かれた照明光は、フライアイインテグレータ11により照度分布を均一化され透過し、PS変換合成素子12に入射する。
【0121】
次に、PS変換合成素子12に入射した照明光は、P偏光がそのまま透過するとともに、S偏光がP偏光に変換されて、全てP偏光としてメインコンデンサ13に入射する。
【0122】
次に、メインコンデンサ13に入射した照明光は、メインコンデンサ13により集光されてプリ偏光板15に入射する。
【0123】
次に、プリ偏光板15に入射した照明光は、さらに偏光成分が揃えられP偏光としてG偏光回転素子16に導かれる。
【0124】
次に、G偏光回転素子16に入射した照明光は、緑の波長帯域だけ偏光面が90°回転してS偏光とされ透過して入射PBS17に導かれるとともに、赤及び青の波長帯域の成分がP偏光のまま透過して入射PBS17に導かれる。
【0125】
次に、入射PBS17に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光と赤及び青の波長帯域のP偏光とであり、入射PBS17の反射面17aにおいてP偏光だけが透過して直進するとともに、S偏光が反射面17aにより反射され進行方向を90°変化させる。すなわち、赤色、青の波長帯域の照明光は、入射PBS17内を直進して透過して第1のフィールドレンズ28に導かれ、緑の波長帯域の照明光は、入射PBS17の反射面17aで反射されて進行方向を90°変化させ第2のフィールドレンズ29に導かれる。
【0126】
ここで、上述した入射PBS17により分離された照明光のうち、入射PBS17を透過して第1のフィールドレンズ28に導かれた、赤及び青の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0127】
第1のフィールドレンズ28に導かれた照明光は、赤及び波長帯域のP偏光であり、第1の液晶パネル20と第2の液晶パネル21とに集光するように、第1のR偏光回転素子18に導かれる。
【0128】
第1のR偏光回転素子18に導かれた照明光は、赤及び青の波長帯域のP偏光であり、第1のR偏光回転素子18により赤の波長帯域の偏光面が90°回転されS偏光となり、RB−PBS19に導かれる。
【0129】
RB−PBS19に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光と青の波長帯域のP偏光とであり、青の波長帯域のP偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第1の液晶パネル20に導かれ、赤の波長帯域のS偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2の液晶パネル21に導かれる。
【0130】
次に、第1の液晶パネル20に導かれた照明光は、青の波長帯域のP偏光であり、青色の映像信号に基づくパターンが表示された第1の液晶パネル20により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にS偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0131】
次に、第2の液晶パネル21に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光であり、赤色の映像信号に基づくパターンが表示された第2の液晶パネル21により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0132】
次に、RB−PBS19に戻された第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光とOFF光であるP偏光とであり、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過してランプ10側へ戻され、S偏光が反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2のR偏光回転素子22に導かれる。また、RB−PBS19に戻された第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射されランプ10側へ戻され、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第2のR偏光回転素子22に導かれる。
【0133】
次に、第2のR偏光回転素子22に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、第2のR偏光回転素子22を透過し、B帯域偏光板23に導かれる。また、第2のR偏光回転素子22に導かれた第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光であり、第2のR偏光回転素子22により偏光面が90°回転されてS偏光となり、B帯域偏光板23に導かれる。
【0134】
次に、B帯域偏光板23に導かれた、第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、RB−PBS19の反射面19aでわずかながら反射されてしまったOFF光、すなわちP偏光がこのB帯域偏光板23が吸収し、S偏光のみ透過して、出射PBS26に導かれる。また、B帯域偏光板23に導かれた、第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のS偏光であり、B帯域偏光板23をそのまま透過し、出射PBS26に導かれる。
【0135】
次に、出射PBS26に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、出射PBS26の反射面26aで反射され進行方向を90°変化させ、投影レンズ27に導かれる。
【0136】
一方、上述した入射PBS17により分離された照明光のうち、入射PBS17の反射面17aで反射され第2のフィールドレンズ29に導かれた緑の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0137】
第2のフィールドレンズ29に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、第3の液晶パネル25に集光するように第1のGトリマ30に導かれる。
【0138】
次に、第1のGトリマ30に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、緑の波長帯域のみ透過するように、入射PBS17の反射面17aでわずかながら反射されてしまった不要な波長帯域がトリミングされて、G−PBS24に導かれる。
【0139】
次に、G−PBS24に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、G−PBS24の反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ第3の液晶パネル25に導かれる。
【0140】
第3の液晶パネル25に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、緑色の映像信号に基づくパターンが表示された第3の液晶パネル25により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、G−PBS24に戻される。
【0141】
次に、G−PBS24に戻された第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光が反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ入射PBS17へ戻され、P偏光が反射面24aを透過して第2のGトリマ31に導かれる。
【0142】
次に、第2のGトリマ31に導かれた第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光であり、緑の波長帯域のみ透過するように、入射PBS17の反射面17aでわずかながら反射されてしまった不要な波長帯域がトリミングされて、出射PBS26に導かれる。
【0143】
次に、出射PBS26に導かれた第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光であり、出射PBS26の反射面26aを透過して直進し、投射レンズ27に導かれる。
【0144】
以上のように、入射PBS17やRB−PBS19により3つの光路に分離されたそれぞれの波長帯域の光は、照明光としてそれぞれの波長帯域に対応した液晶パネルに入射され、それぞれの液晶パネルにより変調され反射される。そして、それぞれの液晶パネルからの反射光は、出射PBS26で合成されて投影レンズ27に到達し、この投影レンズ27によりスクリーン等に拡大投影される。
【0145】
以上のように構成されたプロジェクタ装置40は、最もコントラストの向上が期待できる位置、すなわち液晶パネルで変調された反射光の光路で投影レンズ27に至るまでの間で液晶パネルで変調された反射光が各PBSにより反射され進行方向が変化しないような位置に、緑色の映像信号が入力される第3の液晶パネル25を配設し、この第3の液晶パネル25に緑の波長帯域の照明光を導くことで、OFF光が反射され投影レンズ27に至ることを抑制し、プロジェクタ装置40全体のコントラストが向上する。
【0146】
また、プロジェクタ装置40は、次にコントラストの向上が期待できる位置に赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21を配設している。これは、赤の波長帯域の光が最も弱いため、青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20よりも優先的に配置することで、各色のバランスを保つことができる。
【0147】
このように、プロジェクタ装置40は、コントラストに最も影響する緑の波長帯域を最もコントラストに有利な位置に配設することで、システム全体でコントラストが向上する。また、残りの赤及び青の波長帯域において、光源の特性から青の波長帯域の光量が多いため、赤の波長帯域をこの次に有利な位置に配設し、赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21のとなりに青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20を配置することで、赤の波長帯域の光量を維持することができる。
【0148】
また、プロジェクタ装置40は、B帯域偏光板23を配設することにより、コントラストが最も悪い位置に配設された第1の液晶パネル20からの反射光のうち、RB−PBS19の反射面19aで反射されてしまったOFF光をカットすることができる。なお、B帯域偏光板23は、偏光板の偏光特性から、緑の波長帯域にも影響するが、B帯域偏光板23の位置には、緑の波長帯域の光が入射せずに、青及び赤の波長帯域の光しか入射しないため他の波長帯域への影響を考慮する必要がなくなる。
【0149】
以上のように、プロジェクタ装置40は、緑及び赤の波長帯域のコントラストを向上させ、青の波長帯域についてもB帯域偏光板を用いてコントラストを向上させており、鮮明な映像を投影することができる。また、プロジェクタ装置40は、従来に比して高価なG回転偏光素子や出射偏光板の使用点数を削減しているため、透過効率が向上するだけでなく、コストの低減が可能となる。
【0150】
また、プロジェクタ装置40は、プロジェクタ装置1におけるフィールドレンズ14を、第1のフィールドレンズ29及び第2のフィールドレンズ30の二つに分けて、光路上の入射PBS17の後方にそれぞれ配置することにより、入射PBS17へ入射する照明光の角度分布を小さくすることができる。また、プロジェクタ装置40は、これら第1のフィールドレンズ28及び第2のフィールドレンズ29の位置を調整することができる。これにより、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整することが可能となる。
【0151】
上述したようにプロジェクタ装置40は、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整をすることが可能となるために、部品公差を緩くすることができるので、安価な部品を用いることができ、製造コストを低減させることができる。また、プロジェクタ装置40では、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整をすることが可能となるために、製造過程での歩留まりが向上し、製造コストを低減させることができる。
【0152】
次に、本発明を適用した他のプロジェクタ装置として、図3に示す、プロジェクタ装置50について説明する。
【0153】
なお、上述したプロジェクタ装置1及びプロジェクタ装置40と略同等の部位には同じ符号を付して説明を省略する。
【0154】
プロジェクタ装置50は、照明光を出射する光源となるランプ10と、このランプ10側から光路順に、フライアイインテグレータ11と、PS変換合成素子12と、メインコンデンサ13と、プリ偏光板15と、G偏光回転素子16と、平板PBS32とを備えている。
【0155】
平板PBS32は、G偏光回転素子16を透過した照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射させて分離するようにされている。平板PBS32は、例えば、誘電体多層膜からなる平板形状の構成とされており、例えば、P偏光を透過させるとともに、S偏光を光路に対して45°傾いた反射面32aで反射させ進行方向を90°変化させる。また、平板PBS32は、微細なグリッド形状の金属からなる偏光分離特性を有する光学素子であってもよい。
【0156】
平板PBS32では、G偏光回転素子16を透過した照明光が、平板PBS32を透過して直進する光と、反射面32aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0157】
また、プロジェクタ装置50は、平板PBS32を透過して直進した照明光の光路順に、第1のフィールドレンズ28と、第1のR偏光回転素子18と、RB−PBS19とを備えている。
【0158】
RB−PBS19では、第1のR偏光回転素子18を透過した照明光と後述する液晶パネルで変調された反射光とが、RB−PBS19を透過して直進する光と、反射面19aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0159】
さらにまた、プロジェクタ装置50は、RB−PBS19を透過した照明光の進行方向に第1の液晶パネル20と、RB−PBS19の反射面19aで反射した照明光の進行方向に第2の液晶パネル21とを備える。
【0160】
また、RB−PBS19では、第1の液晶パネル20で変調された反射光が反射面19aで反射して進行方向が90°変化するとともに、第2の液晶パネル21で変調された反射光がRB−PBS19を直進して透過する。
【0161】
さらにまた、プロジェクタ装置50は、RB−PBS19の反射面19aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光とRB−PBS19aを透過した第2の液晶パネル21で変調された反射光との進行方向に、第2のR偏光回転素子22と、B帯域偏光板23とを備えている。
【0162】
さらにまた、プロジェクタ装置50は、平板PBS32の反射面32aで反射された照明光の光路順に、第2のフィールドレンズ29と、G−PBS24とを備えている。
【0163】
G−PBS24は、第2のフィールドレンズ29を透過した照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射するようにされている。
【0164】
G−PBS24では、第2のフィールドレンズ29を透過した照明光を反射面24aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0165】
さらにまた、プロジェクタ装置50は、G−PBS24の反射面24aで反射された照明光の進行方向に第3の液晶パネル25を備えている。
【0166】
また、G−PBS24では、第3の液晶パネル25からの反射光を透過させ直進させる。
【0167】
さらにまた、プロジェクタ装置50は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で反射された反射光と、第2の液晶パネル21で反射された反射光との進行方向で、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光の進行方向に、出射PBS26を備えている。
【0168】
出射PBS26は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネルで変調された反射光と、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光とを、偏光成分に応じて透過又は反射させて合成するようにされている。
【0169】
出射PBS26では、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光とを反射面26aで反射させ進行方向を90°変化させるとともに、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させ、これらを同一方向に出力する。
【0170】
さらにまた、プロジェクタ装置50は、出射PBS26の反射面26aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光と、出射PBS26を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光との進行方向に、投影レンズ27を備えている。
【0171】
上述したように構成されたプロジェクタ装置50をランプ10から出射した照明光の光路に沿って各部の動作を説明する。
【0172】
ランプ10から出射した照明光は、光の3原色となる赤、緑、青の波長帯域を含み、無偏光光としてフライアイインテグレータ11に導かれる。
【0173】
次に、フライアイインテグレータ11に導かれた照明光は、フライアイインテグレータ11により照度分布を均一化され透過し、PS変換合成素子12に入射する。
【0174】
次に、PS変換合成素子12に入射した照明光は、P偏光がそのまま透過するとともに、S偏光がP偏光に変換されて、全てP偏光としてメインコンデンサ13に入射する。
【0175】
次に、メインコンデンサ13に入射した照明光は、メインコンデンサ13により集光されてプリ偏光板15に入射する。
【0176】
次に、プリ偏光板15に入射した照明光は、さらに偏光成分が揃えられP偏光としてG偏光回転素子16に導かれる。
【0177】
次に、G偏光回転素子16に入射した照明光は、緑の波長帯域だけ偏光面が90°回転してS偏光とされ透過して平板PBS32に導かれるとともに、赤及び青の波長帯域の成分がP偏光のまま透過して平板PBS32に導かれる。
【0178】
次に、平板PBS32に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光と赤及び青の波長帯域のP偏光とであり、平板PBS32の反射面32aにおいてP偏光だけが透過して直進するとともに、S偏光が反射面32aにより反射され進行方向を90°変化させる。すなわち、赤及び青の波長帯域の照明光は、平板PBS32内を直進して透過して第1のフィールドレンズ28に導かれ、緑の波長帯域の照明光は、平板PBS32の反射面32aで反射されて進行方向を90°変化させ第2のフィールドレンズ29に導かれる。
【0179】
ここで、上述した平板PBS32により分離された照明光のうち、平板PBS32を透過して第1のフィールドレンズ28に導かれた、赤及び青の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0180】
第1のフィールドレンズ28に導かれた照明光は、赤及び波長帯域のP偏光であり、第1の液晶パネル20と第2の液晶パネル21とに集光するように、第1のR偏光回転素子18に導かれる。
【0181】
第1のR偏光回転素子18に導かれた照明光は、赤及び青の波長帯域のP偏光であり、第1のR偏光回転素子18により赤の波長帯域の偏光面が90°回転されS偏光となり、RB−PBS19に導かれる。
【0182】
RB−PBS19に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光と青の波長帯域のP偏光とであり、青の波長帯域のP偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第1の液晶パネル20に導かれ、赤の波長帯域のS偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2の液晶パネル21に導かれる。
【0183】
次に、第1の液晶パネル20に導かれた照明光は、青の波長帯域のP偏光であり、青色の映像信号に基づくパターンが表示された第1の液晶パネル20により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にS偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0184】
次に、第2の液晶パネル21に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光であり、赤色の映像信号に基づくパターンが表示された第2の液晶パネル21により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0185】
次に、RB−PBS19に戻された第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光とOFF光であるP偏光とであり、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過してランプ10側へ戻され、S偏光が反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2のR偏光回転素子22に導かれる。また、RB−PBS19に戻された第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射されランプ10側へ戻され、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第2のR偏光回転素子22に導かれる。
【0186】
次に、第2のR偏光回転素子22に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、第2のR偏光回転素子22を透過し、B帯域偏光板23に導かれる。また、第2のR偏光回転素子22に導かれた第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光であり、第2のR偏光回転素子22により偏光面が90°回転されてS偏光となり、B帯域偏光板23に導かれる。
【0187】
次に、B帯域偏光板23に導かれた、第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、RB−PBS19の反射面19aでわずかながら反射されてしまったOFF光、すなわちP偏光がこのB帯域偏光板23が吸収し、S偏光のみ透過して、出射PBS26に導かれる。また、B帯域偏光板23に導かれた、第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のS偏光であり、B帯域偏光板23をそのまま透過し、出射PBS26に導かれる。
【0188】
次に、出射PBS26に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、出射PBS26の反射面26aで反射され進行方向を90°変化させ、投影レンズ27に導かれる。
【0189】
一方、上述した平板PBS32により分離された照明光のうち、平板PBS32の反射面32aで反射され第2のフィールドレンズ29に導かれた緑の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0190】
第2のフィールドレンズ29に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、第3の液晶パネル25に集光するようにG−PBS24に導かれる。
【0191】
次に、G−PBS24に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、G−PBS24の反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ第3の液晶パネル25に導かれる。
【0192】
第3の液晶パネル25に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、緑色の映像信号に基づくパターンが表示された第3の液晶パネル25により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、G−PBS24に戻される。
【0193】
次に、G−PBS24に戻された第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光が反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ平板PBS32へ戻され、P偏光が反射面24aを透過して出射PBS26に導かれる。
【0194】
次に、出射PBS26に導かれた第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光であり、出射PBS26の反射面26aを透過して直進し、投射レンズ27に導かれる。
【0195】
以上のように、平板PBS32やRB−PBS19により3つの光路に分離されたそれぞれの波長帯域の光は、照明光としてそれぞれの波長帯域に対応した液晶パネルに入射され、それぞれの液晶パネルにより変調され反射される。そして、それぞれの液晶パネルからの反射光は、出射PBS26で合成されて投影レンズ27に到達し、この投影レンズ27によりスクリーン等に拡大投影される。
【0196】
以上のように構成されたプロジェクタ装置50は、最もコントラストの向上が期待できる位置、すなわち液晶パネルで変調された反射光の光路で投影レンズ27に至るまでの間で液晶パネルで変調された反射光が各PBSにより反射され進行方向が変化しないような位置に、緑色の映像信号が入力される第3の液晶パネル25を配設し、この第3の液晶パネル25に緑の波長帯域の照明光を導くことで、OFF光が反射され投影レンズ27に至ることを抑制し、プロジェクタ装置50全体のコントラストが向上する。
【0197】
また、プロジェクタ装置50は、次にコントラストの向上が期待できる位置に赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21を配設している。これは、赤の波長帯域の光が最も弱いため、青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20よりも優先的に配置することで、各色のバランスを保つことができる。
【0198】
このように、プロジェクタ装置50は、コントラストに最も影響する緑の波長帯域を最もコントラストに有利な位置に配設することで、システム全体でコントラストが向上する。また、残りの赤及び青の波長帯域において、光源の特性から青の波長帯域の光量が多いため、赤の波長帯域をこの次に有利な位置に配設し、赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21のとなりに青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20を配置することで、赤の波長帯域の光量を維持することができる。
【0199】
また、プロジェクタ装置50は、B帯域偏光板23を配設することにより、コントラストが最も悪い位置に配設された第1の液晶パネル20からの反射光のうち、RB−PBS19の反射面19aで反射されてしまったOFF光をカットすることができる。なお、B帯域偏光板23は、偏光板の偏光特性から、緑の波長帯域にも影響するが、B帯域偏光板23の位置には、緑の波長帯域の光が入射せずに、青及び赤の波長帯域の光しか入射しないため他の波長帯域への影響を考慮する必要がなくなる。
【0200】
以上のように、プロジェクタ装置50は、緑及び赤の波長帯域のコントラストを向上させ、青の波長帯域についてもB帯域偏光板を用いてコントラストを向上させており、鮮明な映像を投影することができる。また、プロジェクタ装置50は、従来に比して高価なG回転偏光素子や出射偏光板の使用点数を削減しているため、透過効率が向上するだけでなく、コストの低減が可能となる。
【0201】
また、プロジェクタ装置50は、プロジェクタ装置1におけるフィールドレンズ14を、第1のフィールドレンズ29及び第2のフィールドレンズ30の二つに分けて、光路上の平板PBS32の後方にそれぞれ配置することにより、平板PBS32へ入射する照明光の角度分布を小さくすることができる。また、プロジェクタ装置50は、これら第1のフィールドレンズ28及び第2のフィールドレンズ29の位置を調整することができる。これにより、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整することが可能となる。
【0202】
上述したようにプロジェクタ装置50は、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整をすることが可能となるために、部品公差を緩くすることができるので、安価な部品を用いることができ、製造コストを低減させることができる。また、プロジェクタ装置50では、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整をすることが可能となるために、製造過程での歩留まりが向上し、製造コストを低減させることができる。
【0203】
また、通常光学系内に平板形状の光学素子を用いる場合には非点収差を考慮する必要があるが、プロジェクタ装置50では、照明光学系内に平板PBS32を配することで、非点収差を考慮する必要がない。これにより、プロジェクタ装置50は、高価な硝材を用いることなく安価な平板形状のPBSを用いることができ、装置全体でのコストを低減することができるだけでなく、重量も低減することができる。
【0204】
なお、図3に示すプロジェクタ装置50は、各光学素子間における空隙、いわゆるエアギャップをなくして接着する構成とされている。プロジェクタ装置50では、RB−PBS19と、G−PBS24と、出射PBS26とのそれぞれの間において各光学素子を挟み込み接着されている。なお、上述したプロジェクタ装置50では、第1のフィールドレンズ28及び第2のフィールドレンズ29としてフレネルレンズを用いることができ、フレネルレンズが平面形状であるために、他の光学素子と接着することが可能となる。
【0205】
以上のように、プロジェクタ装置50では、各光学素子を接着し一体化を図ることにより、装置全体の小型化を可能とし、材料費を低減することができる。また、プロジェクタ装置50では、各光学素子を接着することにより各素子が固定され、各液晶パネル間でのいわゆる画素ずれを防止することができる。
【0206】
次に、本発明を適用した他のプロジェクタ装置として、図4に示す、プロジェクタ装置60について説明する。
【0207】
なお、上述したプロジェクタ装置1、プロジェクタ装置40及びプロジェクタ装置50と略同等の部位には同じ符号を付して説明を省略する。
【0208】
プロジェクタ装置60は、照明光を出射する光源となるランプ10と、このランプ10側から光路順に、フライアイインテグレータ11と、PS変換合成素子12と、メインコンデンサ13と、プリ偏光板15と、G偏光回転素子16と、G反射ダイクロイックミラー33とを備えている。
【0209】
G反射ダイクロイックミラー33は、G偏光回転素子16を透過した照明光の波長帯域に応じて、この照明光を透過又は反射させて分離するようにされている。G反射ダイクロイックミラー33は、例えば、薄膜を複数層積層した平板形状の構成とされており、例えば、緑以外の波長帯域、すなわち赤及び青の波長帯域の照明光を透過させるとともに、緑の波長帯域の照明光を光路に対して45°傾いた反射面33aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0210】
G反射ダイクロイックミラー33では、G偏光回転素子16を透過した照明光が、G反射ダイクロイックミラー33を透過して直進する光と、反射面33aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0211】
また、プロジェクタ装置60は、G反射ダイクロイックミラー33を透過して直進した照明光の光路順に、第1のフィールドレンズ28と、第1のR偏光回転素子18と、RB−PBS19とを備えている。
【0212】
RB−PBS19では、第1のR偏光回転素子18を透過した照明光と後述する液晶パネルからの反射光とが、RB−PBS19を透過して直進する光と、反射面19aで反射して進行方向が90°変化する光とに分離される。
【0213】
さらにまた、プロジェクタ装置60は、RB−PBS19を透過した照明光の進行方向に第1の液晶パネル20と、RB−PBS19の反射面19aで反射した照明光の進行方向に第2の液晶パネル21とを備える。
【0214】
また、RB−PBS19では、第1の液晶パネル20で変調された反射光が反射面19aで反射して進行方向が90°変化するとともに、第2の液晶パネル21で変調された反射光がRB−PBS19を直進して透過する。
【0215】
さらにまた、プロジェクタ装置60は、RB−PBS19の反射面19aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光とRB−PBS19aを透過した第2の液晶パネル21で変調された反射光との進行方向に、第2のR偏光回転素子22と、B帯域偏光板23とを備えている。
【0216】
さらにまた、プロジェクタ装置60は、G反射ダイクロイックミラー33の反射面33aで反射された照明光の光路順に、第2のフィールドレンズ29と、G−PBS24とを備えている。
【0217】
G−PBS24は、第2のフィールドレンズ29を透過した照明光の偏光成分に応じて、この照明光を透過又は反射するようにされている。
【0218】
G−PBS24では、第2のフィールドレンズ29を透過した照明光を反射面24aで反射させ進行方向を90°変化させる。
【0219】
さらにまた、プロジェクタ装置60は、G−PBS24の反射面24aで反射された照明光の進行方向に第3の液晶パネル25を備えている。
【0220】
また、G−PBS24では、第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させる。
【0221】
さらにまた、プロジェクタ装置60は、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光との進行方向で、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光の進行方向に、出射PBS26を備えている。
【0222】
出射PBS26では、B帯域偏光板23を透過した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光とを反射面26aで反射させ進行方向を90°変化させるとともに、G−PBS24を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光を透過させ直進させ、これらを同一方向に出力する。
【0223】
さらにまた、プロジェクタ装置60は、出射PBS26の反射面26aで反射した第1の液晶パネル20で変調された反射光と、第2の液晶パネル21で変調された反射光と、出射PBS26を透過した第3の液晶パネル25で変調された反射光との進行方向に、投影レンズ27を備えている。
【0224】
上述したように構成されたプロジェクタ装置60をランプ10から出射した照明光の光路に沿って各部の動作を説明する。
【0225】
ランプ10から出射した照明光は、光の3原色となる赤、緑、青の波長帯域を含み、無偏光光としてフライアイインテグレータ11に導かれる。
【0226】
次に、フライアイインテグレータ11に導かれた照明光は、フライアイインテグレータ11により照度分布を均一化され透過し、PS変換合成素子12に入射する。
【0227】
次に、PS変換合成素子12に入射した照明光は、P偏光がそのまま透過するとともに、S偏光がP偏光に変換されて、全てP偏光としてメインコンデンサ13に入射する。
【0228】
次に、メインコンデンサ13に入射した照明光は、メインコンデンサ13により集光されてプリ偏光板15に入射する。
【0229】
次に、プリ偏光板15に入射した照明光は、さらに偏光成分が揃えられP偏光としてG偏光回転素子16に導かれる。
【0230】
次に、G偏光回転素子16に入射した照明光は、緑の波長帯域だけ偏光面が90°回転してS偏光とされ透過してG反射ダイクロイックミラー33に導かれるとともに、赤及び青の波長帯域の成分がP偏光のまま透過してG反射ダイクロイックミラー33に導かれる。
【0231】
次に、G反射ダイクロイックミラー33に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光と赤及び青の波長帯域のP偏光とであり、赤及び青の波長帯域の照明光は、G反射ダイクロイックミラー33内を直進して透過して第1のフィールドレンズ28に導かれ、緑の波長帯域の照明光は、G反射ダイクロイックミラー33の反射面33aで反射されて進行方向を90°変化させ第2のフィールドレンズ29に導かれる。
【0232】
ここで、上述したG反射ダイクロイックミラー33により波長帯域に応じて分離された照明光のうち、G反射ダイクロイックミラー33を透過して第1のフィールドレンズ28に導かれた、赤及び青の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0233】
第1のフィールドレンズ28に導かれた照明光は、赤及び波長帯域のP偏光であり、第1の液晶パネル20と第2の液晶パネル21とに集光するように、第1のR偏光回転素子18に導かれる。
【0234】
第1のR偏光回転素子18に導かれた照明光は、赤及び青の波長帯域のP偏光であり、第1のR偏光回転素子18により赤の波長帯域の偏光面が90°回転されS偏光となり、RB−PBS19に導かれる。
【0235】
RB−PBS19に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光と青の波長帯域のP偏光とであり、青の波長帯域のP偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第1の液晶パネル20に導かれ、赤の波長帯域のS偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2の液晶パネル21に導かれる。
【0236】
次に、第1の液晶パネル20に導かれた照明光は、青の波長帯域のP偏光であり、青色の映像信号に基づくパターンが表示された第1の液晶パネル20により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にS偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0237】
次に、第2の液晶パネル21に導かれた照明光は、赤の波長帯域のS偏光であり、赤色の映像信号に基づくパターンが表示された第2の液晶パネル21により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、RB−PBS19に戻される。
【0238】
次に、RB−PBS19に戻された第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光とOFF光であるP偏光とであり、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過してランプ10側へ戻され、S偏光が反射面19aで反射され進行方向を90°変化させ、第2のR偏光回転素子22に導かれる。また、RB−PBS19に戻された第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光がRB−PBS19の反射面19aで反射されランプ10側へ戻され、P偏光がRB−PBS19の反射面19aを透過して、第2のR偏光回転素子22に導かれる。
【0239】
次に、第2のR偏光回転素子22に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、第2のR偏光回転素子22を透過し、B帯域偏光板23に導かれる。また、第2のR偏光回転素子22に導かれた第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のP偏光であり、第2のR偏光回転素子22により偏光面が90°回転されてS偏光となり、B帯域偏光板23に導かれる。
【0240】
次に、B帯域偏光板23に導かれた、第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、RB−PBS19の反射面19aでわずかながら反射されてしまったOFF光、すなわちP偏光がこのB帯域偏光板23が吸収し、S偏光のみ透過して、出射PBS26に導かれる。また、B帯域偏光板23に導かれた、第2の液晶パネル21からの反射光は、赤の波長帯域のS偏光であり、B帯域偏光板23をそのまま透過し、出射PBS26に導かれる。
【0241】
次に、出射PBS26に導かれた第1の液晶パネル20からの反射光は、青の波長帯域のS偏光であり、出射PBS26の反射面26aで反射され進行方向を90°変化させ、投影レンズ27に導かれる。
【0242】
一方、上述したG反射ダイクロイックミラー33により分離された照明光のうち、G反射ダイクロイックミラー33の反射面33aで反射され第2のフィールドレンズ29に導かれた緑の波長帯域の照明光の光路について説明する。
【0243】
第2のフィールドレンズ29に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、第3の液晶パネル25に集光するようにG−PBS24に導かれる。
【0244】
次に、G−PBS24に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、G−PBS24の反射面24aで反射され進行方向を90°変化させ第3の液晶パネル25に導かれる。
【0245】
第3の液晶パネル25に導かれた照明光は、緑の波長帯域のS偏光であり、緑色の映像信号に基づくパターンが表示された第3の液晶パネル25により変調され反射されて進行方向を180°変化させ、この際にP偏光が生成され、G−PBS24に戻される。
【0246】
次に、G−PBS24に戻された第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光とOFF光であるS偏光とであり、S偏光が反射面24aで反射され進行方向を90°変化させG反射ダイクロイックミラー33へ戻され、P偏光が反射面24aを透過して出射PBS26に導かれる。
【0247】
次に、出射PBS26に導かれた第3の液晶パネル25からの反射光は、緑の波長帯域のP偏光であり、出射PBS26の反射面26aを透過して直進し、投射レンズ27に導かれる。
【0248】
以上のように、G反射ダイクロイックミラー33やRB−PBS19により3つの光路に分離されたそれぞれの波長帯域の光は、照明光としてそれぞれの波長帯域に対応した液晶パネルに入射され、それぞれの液晶パネルにより変調され反射される。そして、それぞれの液晶パネルからの反射光は、出射PBS26で合成されて投影レンズ27に到達し、この投影レンズ27によりスクリーン等に拡大投影される。
【0249】
以上のように構成されたプロジェクタ装置60は、最もコントラストの向上が期待できる位置、すなわち液晶パネルで変調された反射光の光路で投影レンズ27に至るまでの間で液晶パネルで変調された反射光が各PBSにより反射され進行方向が変化しないような位置に、緑色の映像信号が入力される第3の液晶パネル25を配設し、この第3の液晶パネル25に緑の波長帯域の照明光を導くことで、OFF光が反射され投影レンズ27に至ることを抑制し、プロジェクタ装置60全体のコントラストが向上する。
【0250】
また、プロジェクタ装置60は、次にコントラストの向上が期待できる位置に赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21を配設している。これは、赤の波長帯域の光が最も弱いため、青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20よりも優先的に配置することで、各色のバランスを保つことができる。
【0251】
このように、プロジェクタ装置60は、コントラストに最も影響する緑の波長帯域を最もコントラストに有利な位置に配設することで、システム全体でコントラストが向上する。また、残りの赤及び青の波長帯域において、光源の特性から青の波長帯域の光量が多いため、赤の波長帯域をこの次に有利な位置に配設し、赤の波長帯域に対応する第2の液晶パネル21のとなりに青の波長帯域に対応する第1の液晶パネル20を配置することで、赤の波長帯域の光量を維持することができる。
【0252】
また、プロジェクタ装置60は、B帯域偏光板23を配設することにより、コントラストが最も悪い位置に配設された第1の液晶パネル20からの反射光のうち、RB−PBS19の反射面19aで反射されてしまったOFF光をカットすることができる。なお、B帯域偏光板23は、偏光板の偏光特性から、緑の波長帯域にも影響するが、B帯域偏光板23の位置には、緑の波長帯域の光が入射せずに、青及び赤の波長帯域の光しか入射しないため他の波長帯域への影響を考慮する必要がなくなる。
【0253】
以上のように、プロジェクタ装置60は、緑及び赤の波長帯域のコントラストを向上させ、青の波長帯域についてもB帯域偏光板を用いてコントラストを向上させており、鮮明な映像を投影することができる。また、プロジェクタ装置50は、従来に比して高価なG回転偏光素子や出射偏光板の使用点数を削減しているため、透過効率が向上するだけでなく、コストの低減が可能となる。
【0254】
また、プロジェクタ装置60は、プロジェクタ装置1におけるフィールドレンズ14を、第1のフィールドレンズ29及び第2のフィールドレンズ30の二つに分けて、光路上のG反射ダイクロイックミラー33の後方にそれぞれ配置することにより、G反射ダイクロイックミラー33へ入射する照明光の角度分布を小さくすることができる。また、プロジェクタ装置60は、これら第1のフィールドレンズ28及び第2のフィールドレンズ29の位置を調整することができる。これにより、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整することが可能となる。
【0255】
上述したようにプロジェクタ装置60は、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整をすることが可能となるために、部品公差を緩くすることができるので、安価な部品を用いることができ、製造コストを低減させることができる。また、プロジェクタ装置60では、各波長帯域ごとの照明光による照明範囲を調整をすることが可能となるために、製造過程での歩留まりが向上し、製造コストを低減させることができる。
【0256】
また、通常光学系内に平板形状の光学素子を用いる場合には非点収差を考慮する必要があるが、プロジェクタ装置60では、照明光学系内にG反射ダイクロイックミラー33を配することで、非点収差を考慮する必要がない。これにより、プロジェクタ装置60は、高価な硝材を用いることなく安価な光学素子を用いることができ、装置全体でのコストを低減することができるだけでなく、重量も低減することができる。また、プロジェクタ装置60では、ダイクロイックミラーがPBSに比べ安価であることから、さらなるコストの低減ができる。
【0257】
なお、図4に示すプロジェクタ装置60は、各光学素子間における空隙、いわゆるエアギャップをなくして接着する構成とされている。プロジェクタ装置60では、RB−PBS19と、G−PBS24と、出射PBS26とのそれぞれの間において各光学素子を挟み込み接着されている。なお、上述したプロジェクタ装置60では、第1のフィールドレンズ28及び第2のフィールドレンズ29としてフレネルレンズを用いることができ、フレネルレンズが平面形状であるために、他の光学素子と接着することが可能となる。
【0258】
以上のように、プロジェクタ装置60では、各光学素子を接着し一体化を図ることにより、装置全体の小型化を可能とし、材料費を低減することができる。また、プロジェクタ装置60では、各光学素子を接着することにより各素子が固定され、各液晶パネル間でのいわゆる画素ずれを防止することができる。
【0259】
なお、上述では、光変調素子として液晶パネルを用いているが、これに限定されるものではなく、偏光状態を空間的に変調する素子であれば、その種類を問わない。
【0260】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明に係る投影装置は、最もコントラストに影響する緑の波長帯域用の光変調素子を最も有利な位置、すなわち光変調素子からの反射光が投影レンズにいたるまでにPBS内で反射しない位置に配することにより、OFF光の混入を防ぎ、装置全体でのコントラストを向上させることができる。また、このような光学設計とすることで、従来の光学系において必要であった、偏光回転素子や偏光板の部品点数を削減することが可能であるために透過効率が向上し装置全体での明るさが向上し、コストの低減が可能である。
【0261】
さらに、入射PBSを、平板形状のPBSとすることで、コストの低減が可能となり、装置全体の重量を低減させることができる。
【0262】
さらにまた、各光学素子間の空隙を排除して接着し、一体に形成することで装置の小型化ができるとともに、コストの低減が可能である。また、一体に形成することで、各光変調素子間の画素ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたプロジェクタ装置の構成を示す図である。
【図2】本発明が適用されたフィールドレンズを2枚用いるプロジェクタ装置の構成を示す図である。
【図3】本発明が適用された平板型の入射PBSを用いたプロジェクタ装置の構成を示す図である。
【図4】本発明が適用されたダイクロイックミラーを用いたプロジェクタ装置の構成を示す図である。
【図5】従来のプロジェクタ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ装置、10 ランプ、11 フライアイインテグレータ、13 メインコンデンサ、14 フィールドレンズ、15 プリ偏光板、16 G偏光回転素子、17 入射PBS、18 第1のR偏光回転素子、19 RB−PBS、20 第1の液晶パネル、21 第2の液晶パネル、22 第2のR偏光回転素子、23 B帯域偏光板、24 G−PBS、25 第3の液晶パネル、26 出射PBS、27 投影レンズ、28 第1のフィールドレンズ、29第2のフィールドレンズ、30 第1のGトリマ、31 第2のGトリマ、32 平板PBS、33 G反射ダイクロイックミラー、40 プロジェクタ装置、50 プロジェクタ装置、60 プロジェクタ装置
Claims (18)
- 照明光を出射する光源と、
上記光源から出射された照明光の偏光成分を揃える偏光手段と、
上記偏光手段で偏光成分が揃えられた照明光の緑の波長帯域の偏光面を回転させる第1の偏光回転素子と、
上記第1の偏光回転素子で偏光面が回転された緑の波長帯域の照明光を反射すると共に、赤及び青の波長帯域の照明光を透過する分離手段と、
上記分離手段を透過した青の波長帯域の照明光を透過し、上記分離手段を透過した赤の波長帯域の照明光を偏光面を回転する第2の偏光回転素子と、
上記第2の偏光回転素子を透過した青の波長帯域の照明光を変調して反射する第1の光変調素子と、
上記第2の偏光回転素子で偏光面が回転された赤の波長帯域の照明光を変調して反射する第2の光変調素子と、
上記分離手段で反射された緑の波長帯域の照明光を変調して反射する第3の光変調素子と、
上記第2の偏光回転素子を透過した青の照明光を透過して上記第1の光変調素子に入射させ、上記第2の偏光回転素子で偏光面が回転された赤の波長帯域の照明光を反射して上記第2の光変調素子に入射させると共に、上記第1の光変調素子からの変調された反射光を反射し、上記第2の光変調素子からの変調された反射光を透過する第1の偏光ビームスプリッタと、
上記第1の偏光ビームスプリッタで反射された青の波長帯域の反射光を透過し、上記第1の偏光ビームスプリッタを透過した赤の波長帯域の反射光の偏光面を回転させる第3の偏光回転素子と、
上記分離手段と上記第3の光変調素子との間に配され、上記分離手段で反射された緑の波長帯域の照明光を上記第3の光変調素子に入射させると共に、上記第3の光変調素子からの緑の波長帯域の変調された反射光を上記分離手段からの照明光の入射方向と直交する方向へ出力する第2の偏光ビームスプリッタと、
上記第3の偏光回転素子を介して出力された青の波長帯域及び赤の波長帯域の光と、上記第2の偏光ビームスプリッタからの出力された緑の波長帯域の光を合成する合成手段と、
上記合成手段により合成された光を投影する投影レンズとを備え、
上記第1の偏光ビームスプリッタと上記合成手段との間には、上記第3の偏光回転素子から出力された青の波長帯域の光を偏光成分に応じて遮光し、赤の波長帯域の光を透過する青色帯域偏光板が配置されていることを特徴とする投影装置。 - 上記光源と上記偏光手段との間に、上記光源から出射された照明光を集光するレンズを設けたことを特徴とする請求項1記載の投影装置。
- 上記第2の偏光ビームスプリッタは、上記分離手段で反射された緑の波長帯域の照明光を反射して上記第3の光変調素子に入射させると共に、上記第3の光変調素子からの緑の波長帯域の変調された反射光を透過して出力することを特徴とする請求項1記載の投影装置。
- 上記合成手段は、上記第3の偏光回転素子を透過した青の波長帯域の光と上記第3の偏光回転素子により偏光面が回転された赤の波長帯域の光とを反射し、上記第2の偏光ビームスプリッタから出力された緑の波長帯域の光を透過する偏光ビームスプリッタであることを特徴とする請求項1又は3記載の投影装置。
- 上記分離手段は、偏光成分に応じて照明光を透過又は反射する請求項1記載の投影装置。
- 上記分離手段は、平板型に形成されてなる請求項5記載の投影装置。
- 上記分離手段は、偏光成分に応じて照明光を分離する金属よりなる光学素子が基板上に微細なグリッド形状に形成されてなる請求項6記載の投影装置。
- 上記分離手段は、波長帯域に応じて照明光を透過又は反射する請求項1記載の投影装置。
- 上記分離手段は、平板型に形成されてなる請求項8記載の投影装置。
- 上記分離手段は、ダイクロイックミラーにより形成されてなる請求項9記載の投影装置。
- 更に、上記光源と上記集光レンズとの間に設けられ、上記光源から出射された照明光の偏光成分を揃えて透過する偏光変換素子を備える請求項1記載の投射装置。
- 更に、上記光源と上記集光レンズとの間に設けられ、上記光源から出射された照明光の照度分布を均一にするフライアイインテグレータを備える請求項1記載の投影装置。
- 上記集光レンズは、主レンズとフィールドレンズとからなる請求項1記載の投影装置。
- 上記フィールドレンズは、上記分離手段と上記第1の偏光ビームスプリッタとの間に配された第1のフィールドレンズと、上記分離手段と上記第2の偏光ビームスプリッタとの間に配された第2のフィールドレンズとからなる請求項13記載の投影装置。
- 上記第1の偏光ビームスプリッタと上記第3の偏光ビームスプリッタとが上記第3の偏光回転素子を介して接合され、上記第1の偏光ビームスプリッタと上記第3の偏光ビームスプリッタとが接合されてなる請求項1記載の投影装置。
- 上記第1の偏光ビームスプリッタと上記第3の偏光ビームスプリッタとが上記第3の偏光回転素子及び上記第2の偏光板を介して接合され、上記第1の偏光ビームスプリッタと上記第3の偏光ビームスプリッタとが接合されてなる請求項1記載の投影装置。
- 上記第1のフィールドレンズ及び上記第2のフィールドレンズは、フレネルレンズである請求項14記載の投影装置。
- 上記分離手段と上記第1の偏光ビームスプリッタとが上記第1のフィールドレンズ及び上記第2の偏光回転素子を介して接合され、上記分離手段と上記第2の偏光ビームスプリッタとが上記第2のフィールドレンズを介して接合され、上記第1の偏光ビームスプリッタと上記第3の偏光ビームスプリッタとが上記第3の偏光回転素子を介して接合され、上記第1の偏光ビームスプリッタと上記第3の偏光ビームスプリッタとが接合されてなる請求項17記載の投影装置。
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JP2008158365A (ja) | 投射型映像表示装置 |
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