JP3796855B2 - バイアホールを有する回路基板の製造方法 - Google Patents

バイアホールを有する回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックス回路基板の製造方法に関し、更に詳しくはバイアホールを有するセラミックス絶縁板の両面並びに貫通孔をアルミニウム材で導通せしめた回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路用基板やハイブリットIC用基板として使用される回路基板は、セラミックス基板上に銅板を直接接合する直接接合法や、窒化アルミニウムや窒化珪素等の窒化物セラミックス基板上に活性金属を含むろう材で銅板を接合する活性金属接合法によって製造され、エッチング処理によって所定の回路を形成している。
【0003】
更に最近の電子部品搭載用基板としては、小型化や高実装化が要求されるようになり、この対策として特開平5−105528号公報「ピアを有する銅板接合AIN基板」や特開平6−13726号公報「セラミックス回路基板」に開示するように、セラミックス基板の貫通孔に活性金属ろう材を充填した後、セラミックス基板上に活性金属ろう材を塗布して銅板を加熱接合し、エッチング処理を施して所定の回路を形成したセラミックス回路基板が公知となっている。
【0004】
上記の製造法によって得られたセラミックス回路基板は、セラミックス基板の両主面に金属回路板を接合形成しているため、実装面積を大幅に増加させることが出来るほか、貫通孔に導電材料を充填することによって高密度実装ができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記のセラミックス回路基板は、耐ヒートサイクル特性の面からみれば問題があって、近年、自動車や電車用の大電力用セラミックス基板としての用途には使用出来ないという欠点があった。
【0006】
上述のように従来のセラミックス回路基板は、金属活性ろう材を用いて銅板を接合するため通常数十回から数百回程度の耐ヒートサイクル特性しかないため、高信頼性が要求されている場合には使用できなかった。
【0007】
本発明は、耐ヒートサイクル特性を上げるために上記銅板に代わる新規な金属を用いると共に、貫通孔の充填も従来のようなろう材を用いないで充填させ、高信頼性大電力用セラミックス回路基板を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者等はかかる課題を解決するために鋭意研究したところ、溶湯アルミニウム中を貫通孔を有するセラミックス絶縁板を通過させることで、貫通孔を導電材であるアルミニウム金属で充填させ、且つ、上下の回路面も同一材質であるアルミニウムで形成した新規な大電力用セラミックス回路基板を開発することが出来、本発明を提供することができた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のバイアホールを有する回路基板の製造方法は、貫通孔を有するセラミックス絶縁板をアルミニウム溶湯中を通過させることにより貫通孔内部をアルミニウム材で充填した後、該セラミックス絶縁板の両面にアルミニウム材を接合せしめ、次いでエッチング処理を施すことにより上記セラミックス絶縁板の上記貫通孔内に充填されたアルミニウム材で互いに導通された所定形状の回路面を形成することを特徴とする。
【0010】
上記貫通孔は、直径が0.2mm以上の大きさであることを特徴とする。
【0013】
本発明で使用するセラミックス絶縁板は、アルミナ基板、窒化アルミニウムや窒化珪素からなる窒化物セラミックスであり、使用する金属としてはアルミニウムまたはアルミニウム合金である。この場合、アルミニウムの純度としては純度が高いほどよいが、コスト面から本発明では99.9%程度のアルミニウムを用いた。
【0014】
上記セラミックス絶縁板には、予め0.2mm以上の直径を有する貫通孔を所定数設けてあり、この絶縁板を図4に示す接合装置の中を通過させることにより、貫通孔の中に溶湯アルミニウムを充填せしめると共にセラミックス絶縁板の両面に回路面を形成する。
【0015】
この場合、上記貫通孔の大きさを0.2mm以上と限定したのは、0.2mm以下であれば上記貫通孔内に溶湯アルミニウムが充分に充填されないからである。
【0016】
接合炉が出たアルミニウム−セラミックス複合基板の両面には厚みが0.5mmであるアルミニウム金属が同一幅で長手方向に連接するため、冷却部でアルミニウム溶湯を凝固させた後、所定の大きさにカットする。
【0017】
得られた上記アルミニウム−セラミックス複合基板の一主面に回路を形成するために、エッチングレジストを所定形状に塗布・印刷した後、露光処理を施して塩化鉄溶液あるいは塩化銅溶液で不用部分を除去して目的とする回路を得た。
【0018】
このようにして得た本発明によるバイアホールを有するセラミックス回路基板は、耐ヒートサイクル特性が従来の銅張りセラミックス基板のものに比較して10倍以上の特性を示し、トランジスタ用パワーモジュール基板として有用であることが判明した。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0020】
(実施例1)
【0021】
図4は本発明のバイアホールを有する回路基板の製造装置の模式断面図である。先ず純度99.9%のアルミニウム3を坩堝9の中にセットし、直径0.2mmの貫通孔12を所定数設けた10mm×10mm×0.635mmの大きさのセラミックス絶縁板2を入口側ダイス7の入口から水平に入れて、その先端が坩堝9の内壁から少し坩堝内部に出るようセットしてから、窒素ガス雰囲気中において坩堝9をヒーター4により加熱し、アルミニウム3を溶解して金属溶湯1とする。
【0022】
アルミニウム3の金属溶湯1は出口側ダイス8の中に入るが、ダイス中を流れる間に先端部分の温度が融点以下に下がり、その部分が凝固して出口を塞ぎ溶湯の流出を防ぐ。
【0023】
また、入口側ダイス7及びダイスと坩堝9との間の隙間の中に溶湯が入らないようにするには、そのクリアランスをある寸法以下にしなければならないが、本実施例では、そのクリアランスを0.1mm以下にした。
【0024】
アルミニウム3を750℃に加熱してアルミニウム溶湯にした後、入口側からセラミックス絶縁板2を連続的に供給すると、セラミックス絶縁板2は順番に該溶湯中に入り、先ず各貫通孔に溶湯が充填されてから出口側ダイス8に入り、最後には、セラミックス絶縁板2の両表面に厚さ0.5mmのアルミニウム体が接合した状態で、出口から連続的に押し出され、金属−セラミックス複合部材として回収された(接合工程)。
【0025】
上記の場合、押し出し速度25mm/min、N2 流量30L/minの窒素雰囲気下、セラミックス絶縁板がアルミニウム溶湯に濡れるまでに該溶湯中を移動する最短距離Dminは35mmという上記複合部材を得たが、このアルミニウムの組織は緻密で、ピール強度は35kg/cmを越えていた。
【0026】
次いで得られた複合部材の表,裏面アルミニウム金属表面を交互に研磨機で研磨して、表面を均一な面にした(研磨工程)。
【0027】
次いでアルミニウム板に感光レジスト膜を圧着し、遮光パターンマスクを当てて露光し、更に現像処理を行い遮光した部分のレジスト膜を除去した。この場合、遮光パターンマスクにはセラミックス絶縁板の分割溝に対応する部分が遮光されるように形成した遮光パターンと、製品の回路パターンに対応する非回路パターン部分が遮光されるように形成した遮光パターンを具備しているものを用いた(レジスト形成工程)。
【0028】
次いで上記露光及び現像処理を終えた接合基板をエッチング処理することによって、レジストで形成したマスキング部分を残して他部のアルミニウムを塩化第二鉄−塩酸混合エッチング溶液で溶解することによってセラミックス絶縁板の両面には、図1a、図1bに示すような表側回路面10又は裏側回路面11とを形成したアルミニウム−セラミックス複合基板5を得た。
【0029】
次いで水酸化ナトリウムの水溶液を用いてレジスト膜を除去した。
【0030】
次いで得られた上記基板5の表・裏面をクリーニングした後、通常の無電解メッキ処理を行うために、エッチング−ジスマット酸洗い−ジンケート−酸洗い−ジンケート処理を行った。このようにして基板の表面を均一にして、無電解めっきを行い、約1〜10μmのNiメッキを施した(メッキ処理工程)。
【0031】
得られた処理品を基板の分割線に沿って2分割し、更にその周りのダミー部分を分割除去し最終製品として、図2に示すように26mm×51mm×0.635mmのセラミックス絶縁板の上下面に、厚さ0.5mmの表側回路面10と裏側回路面11とを夫々形成するアルミニウム金属板を貫通孔12に充填したアルミニウム材と直接接合した電子回路基板として製品化することが出来た。
【0032】
この電子回路基板を用いて、以下のようにしてヒートサイクル耐性を求めた。ヒートサイクル条件として+125℃30分、−40℃30′を1サイクルとして、このヒートサイクルを所定回数行った回路基板から回路を除去して基板自体に戻したサンプルを顕微鏡で観察してクラックの発生状況を調べたところ、1000回以上でもクラックの発生が見られなかった。
【0033】
(実施例2)
【0034】
セラミックス絶縁板として、直径0.3mmの貫通孔12を所定数有する10mm×10mm×0.635mmの窒化アルミニウム基板を用いた他は、実施例1に示すと同じように処理して図1及び図2に示す回路基板を得た。
【0035】
この基板ヒートサイクル耐性を調べたところ、3000回以上でもクラックの発生が見られなかった。
【0036】
(比較例1)
【0037】
実施例2に示した窒化アルミニウム基板を用い、これらの貫通孔12にペースト状の活性金属ろう材(Ag:Cu:Ti=71.0:16.5:2.5%)13を充填した後、該基板の両主面に同一のAg−Cu−Tiろう材13をスクリーン印刷により塗布しその上に銅板を重ね合わせ、次いで真空炉内で850℃にて加熱接合させた。
【0038】
得られた銅−セラミックス複合基板を、実施例1と同様なエッチング処理を行って図3に示すようなバイアホールを有する回路基板を得、この基板のヒートサイクル耐性を調べたところ、約100回でクラックが発生した。
【0039】
なお、14は銅板回路面、15は銅板放熱板である。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上述のように従来用いられている銅板のバイアホール回路基板に代えてアルミニウム金属で上下面を導通させたバイアホール回路基板であるが、これにより従来では得られなかったヒートサイクル耐量に富む回路基板を安価に且つ大量に製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1a】
本発明表面回路基板の平面図である。
【図1b】本発明裏面回路基板の平面図である。
【図2】本発明基板の断面図である。
【図3】従来の銅張り回路基板の断面図である。
【図4】本発明回路基板を製造するための装置の模式断面図である。
【符号の説明】
1 金属溶湯
2 セラミックス絶縁板
3 アルミニウム
4 ヒーター
5 アルミニウム−セラミックス複合基板
7 入口側ダイス
8 出口側ダイス
9 坩堝
10 表側回路面
11 裏側回路面
12 貫通孔
13 活性金属ろう材
14 銅板回路面
15 銅板放熱板

Claims (2)

  1. 貫通孔を有するセラミックス絶縁板をアルミニウム溶湯中を通過させることにより貫通孔内部をアルミニウム材で充填した後、該セラミックス絶縁板の両面にアルミニウム材を接合せしめ、次いでエッチング処理を施すことにより上記セラミックス絶縁板の両面に上記貫通孔内に充填されたアルミニウム材で互いに導通された所定形状の回路面を形成することを特徴とするバイアホールを有する回路基板の製造方法。
  2. 上記貫通孔は、直径が0.2mm以上の大きさであることを特徴とする請求項記載のバイアホールを有する回路基板の製造方法。
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