JP3796611B2 - 湾曲複合材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状の湾曲複合材を製造する湾曲複合材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外構造物の屋根等には、アルミ又はアルミ系合金の押し出し型材を曲げ加工した角筒状、円筒状等の湾曲材が使用されている。
【0003】
この湾曲材を製造する場合、従来は角筒状、円筒状等の押し出し型材を用い、この押し出し型材を曲げ加工機に通して所定の曲率で曲げ加工することにより湾曲材を製造している。
【0004】
例えば1個のトップロールと2個のボトムロールとがピラミット状に配置された3本ローラ式等の曲げ加工機を使用する場合であれば、そのトップロールとボトムロールとの間に筒状の押し出し型材を通して、その3個のロール間で押し出し型材を送りながら所定の円弧形状に曲げ加工して湾曲材を製造する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように筒状の押し出し型材を用いて円弧状に曲げ加工すると、湾曲材の内周側では押し出し型材が長手方向に収縮し、湾曲材の外周側では押し出し型材が長手方向に伸びて、内外の長手方向の伸縮差が大きくなるため、湾曲材の表面に肌荒れが発生し、また収縮する内側の肉厚が大になり伸びる外側の肉厚が薄くなって、湾曲材の内外で肉厚が大きく異なるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、表面の肌荒れを防止できると共に、内外の肉厚の均一性を確保できる湾曲複合材の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る湾曲複合材の製造方法は、第1部材8と第2部材9とを、それら第1,第2部材8,9の各両側に設けられた接合縁部12の先端側の当接部13同士を突き合わせた状態で、その当接部13同士が当接する一対の接合部18を接合部材10で接合して筒状の複合材19を構成し、該複合材19前記第1部材8及び第2部材9を内外にして曲げ加工することにより湾曲複合材を製造するに際し、前記当接部13から離間して前記接合縁部12の内側に設けられた規制縁部15を一体に備えた前記第1部材8及び第2部材9と、前記接合部18を接合する際に前記第1部材8側と前記第2部材9側とを内側から挟持する挟持部16を一体に備えた前記接合部材10とを用い、前記第1,第2部材8,9の前記当接部13同士を突き合わせた状態で、前記挟持部16を前記第1,第2部材8,9の前記規制縁部15の間に嵌合させつつ、互いに独立した一対の前記接合部材10により一対の前記接合部18を夫々接合し、その後に前記複合材19を曲げ加工するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1及び図2は通路用の屋根構造物1を示し、この屋根構造物1は水平方向に円弧状に湾曲する一対の湾曲桁材2,3と、地面G上に立設され且つ各湾曲桁材2,3を支持する一本又は複数本の支柱4,5と、一対の湾曲桁材2,3上に放射状に架設された複数個の梁6と、各梁6に跨がって設けられた屋根材(図示省略)とを備えている。
なお、湾曲桁材2,3の両端等を他の構造物に連結する場合には、その支柱4,5は省略しても良い。
【0009】
湾曲桁材2,3には、図3に示すように角筒等の筒状の湾曲複合材7が使用されている。この湾曲複合材7は、内外方向に相対向して配置された第1部材8及び第2部材9と、この第1部材8及び第2部材9の両端縁を突き合わせ状態で内側から接合する一対の接合部材10とを備えている。各部材8〜10にはアルミ又はアルミ系合金の押し出し型材が用いられている。
【0010】
第1部材8、第2部材9は断面略コ字状の略同一断面形状であって、板状の本体部11と、この本体部11の幅方向の両側から相対向する側へと屈曲する板状の接合縁部12とを長手方向の全長にわたって一体に備えている。各接合縁部12には、その端縁から本体部11の幅方向の内側へと屈曲する当接部13と、各当接部13の内端から本体部11側へと屈曲する外れ止め縁部14と、各当接部13から本体部11側に離間し且つ接合縁部12から内側に突出する規制縁部15とが長手方向の全長に一体に形成されている。そして、第1部材8と第2部材9は両者で角筒を構成するように、その接合縁部12の当接部13同士が当接する長手方向の接合部18で接合部材10により接合されている。
【0011】
接合部材10は断面角型C字状であって、第1部材8と第2部材9との当接部13を突き合わせ状態で挟持する一対の挟持部16と、各当接部13の内端側の外れ止め縁部14が嵌合する一対の凹部17とを一体に備え、その挟持部16が各部材8,9の当接部13と規制縁部15との間に嵌合されている。なお、接合縁部12の当接部13、外れ止め縁部14及び規制縁部15と接合部材10とにより長手方向の接合部18が構成されている。
【0012】
この湾曲複合材7を製造する場合には、図4に示すような構成の曲げ加工機20を使用して、図5に示すような製造工程で行う。即ち、湾曲複合材7の製造に際しては、図5(A)に示すように、先ずアルミ又はアルミ系合金の押し出し型材である真っ直ぐな第1部材8、第2部材9及び接合部材10を準備する。そして、図5(B)に示すように、第1部材8と第2部材9との各接合縁部12の当接部13同士を突き合わせた状態で、その両当接部13を挟む一対の接合部材10により長手方向の接合部18で接合して、全体として角筒状の複合材19を構成する。
【0013】
なお、接合部材10は、第1部材8と第2部材9との当接部13同士を突き合わせた後に、その両当接部13に外嵌するように長手方向の一端側から打ち込んでも良いし、他の方法で当接部13に嵌合させても良い。また接合部18は第1部材8、第2部材9及び接合部材10が完全な固着状態にならずに、次の曲げ加工時に三者が長手方向に相対的に若干摺動する程度の接合力で接合するようにしておくことが望ましい。
【0014】
次にこの真っ直ぐな角筒状の複合材19を図4に示すように曲げ加工機20に通して、この複合材19をその長手方向に連続的に送りながら曲げ加工することにより、図5(C)に示すように所定の曲率に円弧状に湾曲させて湾曲複合材7を製造する。この場合、例えば第1部材8が内側となり第2部材9が外側となるように、各部材8,9を内外方向に向けた状態で複合材19を曲げ加工機20に通す。
【0015】
曲げ加工機20は、例えば図4に示すように基台20a上に1個のトップロール21と2個のボトムロール22,23とがピラミット状に配置された3本ローラ式であり、その各ロール21〜23には複合材19が嵌合する周溝が形成されている。また基台20aには、複合材19の入り側と出側とにサイドロール24,25と修正ロール26,27とが配置されている。
【0016】
このような曲げ加工機20に入り側から複合材19を挿入して、トップロール21とボトムロール22,23との間で複合材19を送りながら、その複合材19を所定の円弧状に湾曲させる曲げ加工を行うことにより、湾曲複合材7を製造する。
【0017】
この場合、複合材19を第1部材8、第2部材9及び一対の接合部材10の4部材により構成すると共に、第1部材8、第2部材9が湾曲後の内外方向の両側にあり、一対の接合部材10が内外方向の中間にあって、しかも各部材8,9,10がその接触部分で長手方向に相対的に摺動できる程度に接合されているので、各部材8,9,10がその内外方向(曲げ方向)の略中央部の内側で収縮し外側で伸びるように夫々塑性変形する。
【0018】
従って、各部材8〜10毎にその内外が伸縮して、全体として1個の湾曲複合材7となるため、全体が一体の角筒状の押し出し型材を使用して曲げ加工を行う場合に比較して、各部材8〜10毎の内外の伸縮差が小さくなり、湾曲複合材7の表面の肌荒れを防止できると共に、湾曲複合材7の内外の肉厚の均一性を容易に確保できる。
【0019】
また第1部材8と第2部材9との当接部13同士を突き合わせ状態で挟持する接合部材10は、曲げ加工時に直接ロール21〜23等に接触しない。しかし、接合部材10の凹部17側で当接部13の内端の外れ止め縁部14を抱き込み、また挟持部16が接合縁部12の当接部13と規制縁部15との間で内外両側から挟まれており、第1部材8、第2部材9に対して内外方向(曲げ方向)及びその直交方向に移動しないように規制されているため、その状態で第1部材8、第2部材9を介して接合部材10に曲げ力がかかる。
【0020】
従って、第1部材8と第2部材9とを一対の接合部材10で接合状態に保持しているにも拘わらず、第1部材8、第2部材9の湾曲に伴って接合部材10を容易且つ確実に湾曲させることができる。
【0021】
図6(A)〜(C)は湾曲複合材7の断面形状が異なる場合の別の実施形態を例示する。図6(A)の湾曲複合材7は、第1部材8と第2部材9とを一対の接合部材10で内側から接合すると共に、第1部材8に断面略コ字状の押し出し型材を使用し、第2部材9に円弧状の本体部11を備えた断面略U字状の押し出し型材を使用したものである。第1部材8は図3の場合と略同一の断面形状であり、第2部材9は円弧状の本体部11の両側に接合縁部12を備えた断面略U字状である。なお、各接合縁部12側に当接部13、外れ止め縁部14、規制縁部15が設けられている等、他の構成は図3と同様である。
【0022】
図6(B)の湾曲複合材7は、第1部材8と第2部材9とに幅の異なる断面略コ字状の押し出し型材を使用し、その第1部材8と第2部材9とを一対の接合部材10で内側から接合したものである。第2部材9には、本体部11の一方に屈曲部28を介して接合縁部12が本体部11と略平行に設けられている。そして、この接合縁部12は、その先端側である一方の当接部13と、規制縁部15を有し且つ第2部材9の一方の接合縁部12に対応して設けられた突縁部29とを一体に備え、その当接部13及び外れ止め縁部14との間で接合部材10の一方の挟持部16を挟むようになっている。第2部材9、接合部材10の断面形状、その他の構成は図3と同様である。
【0023】
図6(C)の湾曲複合材7は、半円状の本体部11の両側に接合縁部12を備えた第1部材8と第2部材9とを使用し、その接合縁部12の当接部13を一対の接合部材10で突き合わせ状態に接合して、全体として円筒状にしたものである。接合縁部12、接合部材10、その他の構成は図3と同様である。
【0024】
図7(A)は湾曲複合材7を第1部材8と第2部材9との2個の部材8,9で構成する場合、図7(B)は湾曲複合材7を第1部材8と第2部材9と第3部材32との3個の部材8,9,32で構成する場合の実施形態を例示する。
【0025】
即ち、図7(A)の湾曲複合材7は、第1部材8及び第2部材9を断面略コ字状に構成すると共に、その接合縁部12の端縁側を、嵌合突部30と嵌合凹部31とからなる長手方向の接合部18を介して直接接合したものである。嵌合突部30及び嵌合凹部31は共に接合縁部12の内側に突出しており、その嵌合突部30が蟻構造、嵌合凹部31が蟻溝構造となっている。なお、第1部材8に嵌合凹部31を、第2部材9に嵌合突部30を夫々設けても良い。
【0026】
図7(B)の湾曲複合材7は、第1部材8と第2部材9との間に第3部材32を介在し、これらの接合縁部12側を嵌合突部30と嵌合凹部31とからなる長手方向の接合部18を介して接合したものである。第1部材8及び第2部材9は本体部11と接合縁部12とを備えた断面コ字状であって、その接合縁部12の端縁側に、内側に突出する嵌合突部30と規制縁部15とが設けられている。
【0027】
第3部材32は内外方向の略中央に配置された板状の連接部33と、この連接部33の幅方向の両端から湾曲複合材7の内外方向の両側に突出する板状の接合縁部12とを備えた断面H状であって、接合縁部12の端縁に、各部材8,9の嵌合突部30に嵌合し且つ規制縁部15で規制される嵌合凹部31が幅方向の内側に突出して設けられている。なお、嵌合突部30が蟻構造、嵌合凹部31が蟻溝構造となっているが、第1部材8、第2部材9側に嵌合凹部31を、第3部材32側に嵌合突部30と規制縁部15とを設けても良い。
【0028】
このように第1部材8と第2部材9とを主たる構成部材として湾曲複合材7を構成する場合には、図6(A)〜(C)に示すように、第1部材8と第2部材9は一対の接合部材10により接合しても良いし、図7(A)に示すように両者を直接接合しても良い。また湾曲複合材7は、図7(B)に示すように第1部材8、第2部材9及び第3部材32を主たる構成部材として構成しても良い。その場合にも各部材8,9,32を直接接合しても良いし、他の実施形態のように夫々を接合部材10を介して接合しても良い。
【0029】
第1部材8と第2部材9、又は第1部材8と第2部材9と第3部材32とを直接又は接合部材10により接合する場合でも、その各部材8,9,32の断面形状は、図6(A)〜(C)に示すように種々の変更が可能である。湾曲複合材7は、第1部材8を内側とし、第2部材9を外側として湾曲させても良いし、その逆でも良い。また第1部材8、第2部材9を共に断面略U字状に構成する等、他の形状にすることも可能である。
【0030】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では第1部材8と第2部材9、又は第1部材8と第2部材9と第3部材32とを直接又は一対の接合部材10を介して接合して、複合材19を2部材、3部材又は4部材で構成する場合を例示しているが、複合材19を構成する場合の部材数は5部材でも良く、2部材以上の複数の部材で構成するものであれば良い。一対の接合部材10は、図3に仮想線で示すように中間の連接部33を介して一体に構成しても良い。
【0031】
複合材19の主たる構成部材が曲げ方向(内外方向)に2個の場合には、その接合部18を複合材19の曲げ方向の略中央に配置し、複合材19の主たる構成部材が曲げ方向(内外方向)に3個の場合には、その各接合部18を複合材19の内外方向にその略1/3づつの間隔を置いて配置する等、主たる構成部材の数に応じて接合部18は複合材19の曲げ方向(内外方向)の略均等位置又は略等間隔に配置することが望ましい。
【0032】
接合部18は加工時にその曲げ方向の両側の部材同士が相対的に若干移動できるように接合する構造であれば良く、接合部材10を使用するか否かを問わず各種の変更が可能である。また湾曲複合材7の用途は何であっても良く、屋外構造物、屋内構造物等の他、機械器具類の部品等でも良い。使用する材料は、アルミ、又はアルミ系合金の押し出し型材に限定されるものではなく、鉄、ステンレス、その他の金属材でも同様に実施可能である。曲げ加工機20は1個のトップロール21と2個のボトムロール22,23とがピラミット状に配置された3本ローラ式に限定されるものではなく、各種のものを使用することが可能である。
【0033】
【発明の効果】
本発明では、第1部材8と第2部材9とを、それら第1,第2部材8,9の各両側に設けられた接合縁部12の先端側の当接部13同士を突き合わせた状態で、その当接部13同士が当接する一対の接合部18を接合部材10で接合して筒状の複合材19を構成し、該複合材19第1部材8及び第2部材9を内外にして曲げ加工することにより湾曲複合材を製造するに際し、当接部13から離間して接合縁部12の内側に設けられた規制縁部15を一体に備えた第1部材8及び第2部材9と、接合部18を接合する際に第1部材8側と第2部材9側とを内側から挟持する挟持部16を一体に備えた接合部材10とを用い、第1,第2部材8,9の当接部13同士を突き合わせた状態で、挟持部16を第1,第2部材8,9の規制縁部15の間に嵌合させつつ、互いに独立した一対の接合部材10により一対の接合部18を夫々接合し、その後に複合材19を曲げ加工するので、湾曲複合材の表面の肌荒れを防止できると共に、内外の肉厚の均一性を確保できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す屋根構造物の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す屋根構造物の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す湾曲複合材の断面斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す曲げ加工状態の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す湾曲複合材の製造工程図である。
【図6】(A)〜(C)は本発明の他の実施形態を示す湾曲複合材の断面斜視図である。
【図7】(A)(B)は本発明の別の実施形態を示す湾曲複合材の断面斜視図である。
【符号の説明】
7 湾曲複合材
8 第1部材
9 第2部材
18 接合部
19 複合材

Claims (1)

  1. 第1部材(8)と第2部材(9)とを、それら第1,第2部材(8)(9)の各両側に設けられた接合縁部(12)の先端側の当接部(13)同士を突き合わせた状態で、その当接部(13)同士が当接する一対の接合部(18)を接合部材(10)で接合して筒状の複合材(19)を構成し、該複合材(19)前記第1部材(8)及び第2部材(9)を内外にして曲げ加工することにより湾曲複合材(7)を製造するに際し、前記当接部(13)から離間して前記接合縁部(12)の内側に設けられた規制縁部(15)を一体に備えた前記第1部材(8)及び第2部材(9)と、前記接合部(18)を接合する際に前記第1部材(8)側と前記第2部材(9)側とを内側から挟持する挟持部(16)を一体に備えた前記接合部材(10)とを用い、前記第1,第2部材(8)(9)の前記当接部(13)同士を突き合わせた状態で、前記挟持部(16)を前記第1,第2部材(8)(9)の前記規制縁部(15)の間に嵌合させつつ、互いに独立した一対の前記接合部材(10)により一対の前記接合部(18)を夫々接合し、その後に前記複合材(19)を曲げ加工することを特徴とする湾曲複合材の製造方法。
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