JP3796563B2 - 穿孔具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁材等に透孔を穿設する穿孔具に関するもので、特に、被穿孔体の貫通時に穿孔刃が破損するのを防止する穿孔具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の壁材等を穿設する穿孔具として、実開平6−21811号公報に掲載されたものがあり、これを図9に示す。
【0003】
図10において、穿孔具41は先端にセンタドリル42aを有する主軸42に棒状の支持材43が直交して取付けられており、更に、この支持材43には一対
の穿孔刃45を有する刃体44が取付けられている。この刃体44はボルト46が突設されており、ナット47を緩めることにより、支持材43に沿って移動できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記穿孔具41にあっては、主軸42を軸に回転する穿孔刃45が壁材51等の被穿孔体を貫通した際に、位置決めされていたセンタドリル42aの位置決めが解除されるため、貫通時の勢いやはずみ等により、前記穿孔刃45が横方向にぶれて穿設された透孔52の内面52aに衝突する。このため、この衝突により、穿孔刃45が折損することがあり、危険であった。
【0005】
特に、上記構成の穿孔具は、図11に示すように、壁剤51の裏面側に設置した配線ボックス53の開口54を壁表に臨ませるべく、本願出願人による特開平10−42430号公報に記載されているような、二点鎖線で示すダルマ孔等の重合孔55を壁材51に穿設する場合には、第1透孔55aを穿設した後、これに重合する第2透孔55bを穿設する際に、穿孔刃が横方向にぶれて既設の第1透孔55aの内面に衝突し易いので、それによって生ずる穿孔刃の折損や電動ドリルの駆動で作業者の手がねじられるなどの危険を回避できない。
【0006】
ところで、前記特開平10ー42430号公報に掲載された穿孔具によれば、穿孔刃の壁材貫通後も、切粉受けカバーが透孔55の周縁部に圧接しているので、透孔55に対して穿孔具が横方向にぶれるのを阻止できるため、貫通後に穿孔刃が第1透孔55aの内面に衝突して折損したりするのを回避できる。しかし、この穿孔具は切粉受けカバーが不可欠となるので、穿孔具全体が大きなものとなり、構造が複雑で、コスト高になるという不具合がある。
【0007】
また、上記特開平10ー42430号公報に記載された穿孔具は穿設すべき透孔55の周縁部に対する切粉受けカバーの当接スペースがない場合や、柱等の障害物が壁面上に突出して切粉受けカバーを壁材51に当接できない場合などでは、この切粉受けカバーがあることによって穿設作業の妨げとなることも多い。
【0008】
なお、図12に示す特開平6−91417号公報に掲載された構造の穿孔具48は、複数の穿孔刃50が筒状のコア体49の開口縁部に沿って突設されているから、貫通時に、穿孔刃50はコア体49の外周面全体が案内となって横方向にぶれることなく直進するので、上記のような不具合は発生しない。
【0009】
しかし、前記穿孔刃50は極めてコストが高く、穿孔刃50の交換等も全てコア体49ごと一体に取替えなければならないため、面倒でかつ不経済である。更に、異なる径の透孔を穿設する場合には、穿孔径に対応して複数のコア体49を用意しなければならないという不具合がある。
【0010】
そこで、本発明は、穿孔作業の障害となり得る切粉受けカバーを設けることなく、被穿孔体の貫通時に穿孔刃が破損するのを防止して安全に作業できる穿孔具及びその当接部形成体の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る穿孔具は、センタ軸を中心に回転する、それぞれが独立して一端が穿孔具本体に保持されて、被穿孔体側に向けて立設された状態に突出する複数の穿孔刃により、被穿孔体に透孔を穿設する穿孔具であって、
前記センタ軸の長手方向に位置調整自在に前記穿孔刃または穿孔具本体に取着され、且つ、前記穿孔刃とともに前記センタ軸を中心に回転する別体の当接部形成体を備え、
前記当接部形成体は、穿孔時に前記穿孔刃によって切削された前記被穿孔体の切削溝内に挿入され、前記被穿孔体の貫通時に前記透孔の内面に当接して前記穿孔刃が前記透孔の内面に衝突するのを防止し得る前記穿孔刃によって切削される切削溝と同一曲率半径で軸方向に立設する円弧状に形成された内面当接部と、前記被穿孔体の透孔の周縁に当接して前記穿孔刃の前記被穿孔体への一定以上の押込みを防止する周縁当接部とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明に係る穿孔具は、請求項1に記載の穿孔具において、当接部形成体が、前記センタ軸が貫通する金属板により形成されたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明に係る穿孔具は、請求項1または請求項2に記載の穿孔具において、センタ軸が、進退自在に付勢され、前記被穿孔体に位置決めされた状態で前記被穿孔体に押圧されることにより、前記被穿孔体を貫通することなく後退することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1乃至図9に基づいて説明する。
【0015】
図において、穿孔具1は合成樹脂等で一体に形成された穿孔具本体2の中央の貫通孔2aにシャンクシャフト3が挿通され、そのシャンクシャフト3内に一端側からセンタ軸4が軸方向に進退自在に挿着されている。前記シャンクシャフト3は、図6に示すように、その一端に図示しない回転駆動体に着脱自在に挿着される取付部3aが形成されているとともに、他端は開口し、その開口から内部に図2に示すコイル状のスプリング5の収容されるスプリング収容部3bが形成されている。更に、図2に示すように、前記シャンクシャフト3のスプリング収容部3bの内面には前記センタ軸4が軸回りに回転するのを阻止する回り止めスリーブ3cが軸方向に形成されている。前記センタ軸4は、図7に示すように、先端部に設けられた丸穴4aにセンタドリル6が固着されており、後端部に円管4bが強制的に外嵌され、かつ、前記円管4bに2本の波形のスプリングピン4cが半径方向に圧入されている。このセンタ軸4はその一部が前記シャンクシャフト3のスプリング収容部3b内に挿入された状態で前記スプリング5による軸方向に伸張する付勢力に抗して軸方向に進退できるようになっており、前記円管4bの一側面が前記シャンクシャフト3の先端部内面に刻設された環状溝3dに嵌入されたC型止めリング4dの一側面と当接することによってシャンクシャフト3から外部への飛出しが阻止されている。
【0016】
前記穿孔具本体2の穿孔側に形成された底面2bには、図1乃至図3に示すように、穿孔刃7の一端を保持する直方体状の刃保持台8が左右に一対取付けられている。前記刃保持台8はこれを貫通する長孔8aにボルト9を挿通し、このボルト9を前記穿孔具本体2に埋設されたナット10に螺着することによって、軸心に対して直角方向に一定距離移動自在に取付けられている。これは直径の異なる複数の透孔52に対応すべく軸心から穿孔刃7までの距離即ち穿孔半径を変化させて調整できるようにしたものである。この場合、軸心から各穿孔刃7までの距離は当然同一となるよう調整される。前記刃保持台8の外側面には穿孔刃7の板厚より僅かに浅い平行溝8bが軸方向に形成されている。また、前記刃保持台8の外側面の略中央には外方に僅かに突出する係止突起8cが設けられており、一方、前記穿孔刃7の一端部には前記係止突起8cと係止する係止孔7aが穿設されている。したがって、前記穿孔刃7は前記保持台8の平行溝8b内に嵌入するとともに、穿孔刃7の係止孔7aを刃保持台8の係止突起8cに係止させた後、左右両縁部にねじ11を締付けることにより、一端部が前記刃保持台8と前記ねじ11の頭部間とで一定位置に挟持されるようになっている。
【0017】
なお、請求項1において、「独立して突出した穿孔刃」とは、一端が刃保持台8に保持されて壁材51側に立設された状態の穿孔刃を意味し、図12に示す従来の穿孔刃50のようなコア体49の先端部外周に沿って前記コア体49と一体に形成された穿孔刃は除かれる。
【0018】
前記センタ軸4には、図8及び図9に示す、金属板材をプレス加工してなる当接プレート21がこれを貫通する前記センタ軸4に直交して移動自在に配設されている。前記当接プレート21は本願の特徴とするものであり、略円板状をなし、その周端部の対向する位置には一対の取付フランジ22が穿孔具本体2側に直角に折曲されている。
【0019】
また、前記当接プレート21の周端部における他の部分には複数箇所に、穿設しようとする透孔に向けて直角方向に折曲した当接フランジ23が外周の円弧に沿って形成されている。したがって、当接フランジ23はその自由端面も当接プレート21の平面部における外周と同一の曲率半径の円弧状をなしている。この当接フランジ23の高さは当接プレート21から壁材51の方向に突出する穿孔刃7の突出長さより小さく形成されている。なお、前記当接フランジ23は請求項の内面当接部に相当する。
【0020】
更に、前記前記当接プレート21の周端部の前記取付フランジ22及び前記当接フランジ23の間には半径方向に突出し、穿設時に透孔52の周縁部と平面的に当接する当接片24が形成されている。この当接片24は当接プレート21の平面部における外周を基端として僅かに穿孔具本体2側に湾曲した傾斜面に形成されている。なお、前記当接片24は請求項の周縁当接部に相当する。
【0021】
前記当接プレート21の平面中心にはセンタ軸4が挿通する挿通孔25が穿設されているとともに、平面中心から所定距離離間して一対の取付孔26が穿設されている。前記取付孔26の裏側面には当接端側にねじ孔を有する取着棒27が当接し、このねじ孔に当接プレート21の他側面から取着ねじ28が螺着されて、前記当接プレート21に一体に取付けられている。この取着棒27の他端側は穿孔具本体2に設けられた貫通孔2cに移動自在に挿通されている。前記取着棒27は穿孔刃7とともになって当接プレート21を穿孔具本体2の底面2bから所定距離離間して平行に保持している。
【0022】
更に、前記当接プレート21の取付フランジ22のセンタ軸4側の面にはウェルドナット29が溶接、取着されており、前記取付フランジ22の外面に穿孔刃7を当接し、更にその外方から刃挟持片30を当接して2個のねじ31を前記ウェルドナット29に螺着することによって前記取付フランジ22と刃挟持片30とで前記穿孔刃7の長手方向における略中間部を挟持するようになっている。即ち、当接プレート21側から言えば、この当接プレート21は前記ねじ31を緩めて軸方向に移動させ、一端が刃保持台8に取付けられた前記穿孔刃7に対して任意の高さで支持されるようになっている。これにより、穿孔刃7は壁材51の厚さに応じて当接プレート21から透孔52側に突出する長さを任意に調整される。また、穿孔時に側方特に内方である軸側にたわんだり、ぶれたりするのが防止される。
【0023】
なお、前記穿孔刃7は穿孔される透孔52の内径に対応して軸心からの距離を適宜調整でき、これに対応して一対の穿孔刃7間に配設される当接プレート21も直径の異なる複数種類が用意されている。
【0024】
次に、上記のように構成された本実施例の穿孔具を使用して透孔を設ける作業について説明する。
【0025】
まず、図示しないが、壁裏に配設された配線ボックスの前面に取付けられた磁石を磁気探知機を使用して検知し、穿設しようとする所定径の透孔52の中心を決定する。次に、透孔52の大きさに応じて穿孔具1の刃保持台8のボルト9を緩め、前記刃保持台8を横方向に移動させて所定位置に保持するとともに、ねじ11を介してこの刃保持台8の外側面に穿孔刃7を取着する。そして、取着した一対の穿孔刃7の間隔に合致する当接プレート21を選別し、取付フランジ22と刃挟持片30とで前記穿孔刃7を挟持することによって前記当接プレート21を穿孔具本体2の底面2bから所定距離離間して保持する。このとき、前記当接プレート21を前記底面2bから離間する距離はこの当接プレート21から透孔52側に突出する穿孔刃7の長さが壁材の厚さに適合する大きさに調整する。
【0026】
このようにして、穿孔具1について一対の穿孔刃7の間隔を調整し、当接プレート21の保持高さを調整し終えたら、この穿孔具1のセンタドリル6を穿孔中心に当接し、穿孔を開始する。ここで、穿設に伴ってセンタ軸4のセンタドリル6は次第に壁材51から受ける反力が大きくなるが、シャンクシャフト3のスプリング収容部3b内には軸方向に付勢するスプリング5が収容されているので、一定以上の押圧力が加わると、スプリング収容部3bの奥側に後退する。したがって、センタドリル6は壁材51を打抜いてしまうことなく、その先端は一部壁材に埋込まれた状態で止まり、穿孔中、センタ軸4は常に一定位置に安定して保持される。これにより、壁裏の配線ボックス53やケーブル、配線器具等はセンタドリル6が壁材51を打抜いてしまうことによって生ずるきず付きが防止され、保護される。
【0027】
次に、穿孔刃7の先端が壁材51の表面に到達すると、この穿孔刃7によって穿孔が開始される。そして、ある程度の切込み深さまで切削が進むと、図5に示すように、当接プレート21の当接フランジ23の先端が壁材51の表面に達し、以後、穿孔刃7によって切削された壁材51の細幅の切削溝5内に嵌入する。
【0028】
このとき、穿孔刃7は所定幅の平板状に形成されているから、回転すれば必然的に切削溝Sの幅は穿孔刃7の外面両端部の突出分だけその板厚より大きくなる。これに対して、当接フランジ23は円弧状に形成されているから、回転して描く軌道の幅は常にこの当接フランジ23の板厚と一致する。即ち、これを図5で示せば、当接フランジ23の外径R3は切削溝Sの外径を形成する前記穿孔刃7の外面両端部P1までの半径R1より小さく、かつ、当接フランジ23の内径R4は切削溝Sの内径を形成する前記穿孔刃7の内面中心部P2までの半径R2より大きい、即ち、R1>R3>R4>R2の関係にある。したがって、当接プレート21の当接フランジ23は常に穿孔刃7によって切削された細幅の切削溝S内に位置するので、穿設中に当接フランジ23は透孔52の内面52aに強く摺接して大きな抵抗を受けることなく前記切削溝S内に挿入されていく。
【0029】
この結果、壁材51が切削され、打抜かれる直前においては、当接フランジ23の外面は透孔52の内面52aに当接するか極めて僅かの隙間で離間しているだけである。このため、透孔52が打抜かれてセンタドリル6の位置決めが解除されても、前記当接プレート21の当接フランジ23に案内されて穿孔刃7は横方向にぶれることなく透孔52内を直進し、貫通時のはずみで穿孔刃7が横方向にぶれて透孔52の内面52aに強く衝突するのが阻止される。また、対向する一対の穿孔刃7の自由端側はその長手方向の略中間部において1枚の当接プレート21によって連結、保持されている。これらのことから、一対の穿孔刃7は衝突時の衝撃によって折損することがないため、穿孔刃7によってけがをする危険を避けることができる。更に、穿孔刃7は当接プレート21によって横方向の移動が規制され、穿孔時に側方特に軸側にたわむのを阻止されて一定位置に保持されるから、透孔52の寸法精度を高めることができる。
【0030】
また、透孔52を打抜いた直後には、当接プレート21の当接片24が透孔52の周縁の平面部分に当接するので、貫通に必要な長さ以上に穿孔刃7が透孔52内に嵌入するのが阻止される。このため、穿孔刃7が壁材51を打抜いた勢いで配線ボックス内まで嵌入し、先端で前記配線ボックス53や配線ボックス53内のケーブル、配線器具等をきず付けたり、破損させたりするのが防止される。
【0031】
ここで、前記当接片24は外周を境として僅かに穿孔具本体2側に湾曲しているので、貫通後に前記当接片24の折曲部分のみが透孔の周縁平面と当接し、それより自由端側の部分は透孔52の周縁の平面部分から僅かに穿孔具本体2側に離間している。このため、当接片24が穿孔具本体2側に僅かに反ることなく当接プレート21の円板部分と全く同一平面であると、当接片24全体が強く透孔52の周縁の平面部分に押圧されるため、貫通後回転が停止するまでの間に多大な摺動抵抗を受けるが、本願の当接片24は僅かに穿孔具本体2側に湾曲し、前記当接片24と前記透孔52の周縁の平面部分との間の当接面積が小さいから、回転に伴って発生する摺動抵抗は小さい。このため、作業時に作業者及び工具に加わる負荷が軽減され、作業を安全かつ楽に行なうことができるとともに工具の損傷が防止される。また、透孔52の周縁の平面部分に摺りきずが発生するのが防止される。
【0032】
ここで、穿孔具1はねじ31を緩めて当接プレート21の取付高さを調整し、穿孔刃7の前記当接プレート21からの突出長さを壁材51の切削に最小限必要とする長さに調整することによって、任意の壁厚に対応して穿孔することができる。
【0033】
このように、本実施例の穿孔具は、センタ軸4を中心に回転する一対の独立して突出した穿孔刃7により、壁材51に透孔52を穿設するものであって、穿孔時に前記穿孔刃7によって切削された前記壁材51の切削溝S内に挿入され、前記壁材51の貫通時に前記透孔52の内面52aに当接して前記穿孔刃7が前記透孔52の内面52aに衝突するのを防止し得る内面当接部としての当接フランジ23と、前記壁材51の透孔52の周縁に当接して前記穿孔刃7の前記壁材51への一定以上の押込みを防止する周縁当接部としての当接片24とを備えたものである。
【0034】
したがって、穿孔作業の障害となり得る切粉受けカバーを設けることなく、被穿孔体である壁材51の貫通時に穿孔刃7が破損するのを防止して安全に穿孔作業を行なうことができる。
【0035】
ところで、本実施例の当接部形成体としての当接プレート21は、ねじ31を締付けることにより、刃挟持片30を介して穿孔刃7に取付けているが、これに限られるものではなく、各種の取付手段を採り得る。例えば、取着棒27を穿孔具本体2の一定位置に固着することにより、この取着棒27を介して直接前記穿孔具本体2に取付けるものとしてもよい。前記当接プレート21を穿孔具本体2に取付けた場合、前記当接プレート21は穿孔刃7にも取着し、或いは、単に穿孔刃7に軸方向に移動自在に保持するだけの構造とすることもできる。なお、当接プレート21を穿孔刃7に移動自在に保持しただけの場合においても、穿孔刃7は当接プレート21及び刃挟持片30がガイドとなって横方向の移動が規制され、穿孔時に側方特に軸側にたわむのが阻止されるので、穿孔刃7を一定位置に保持して透孔52の寸法精度を高めることができるとともに、穿孔刃7の折損を防止できる。
【0036】
また、上記各実施例の当接プレート21は、1枚の板材で形成して一対の穿孔刃7に取付けることによって穿孔刃7同士を連結しているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、穿孔刃7毎にそれぞれ個別に当接プレート21を取付けるようにしてもよい。但し、当接プレート21は1枚で形成し、穿孔刃7を連結するものとすれば、穿孔刃7をより強固に一定位置に保持できる。
【0037】
そして、当接プレート21に設けた内面当接部は、円弧状の当接フランジ23で形成しているが、これに限られるものではなく、例えば、当接プレート21の周縁に軸方向にピン状体を立設したものとしてもよく、その形態は問わない。
【0038】
更に、上記各実施例では、請求項の内面当接部としての当接フランジ23及び請求項の周縁当接部としての当接片24を穿孔具本体2とは別体の当接プレート21に設けているが、請求項の内面当接部及び周縁当接部は穿孔具本体2に一体に設けてもよい。
【0039】
加えて、上記実施例では、穿孔刃7が一対設けられた穿孔具に適用しているが、これに限られるものではなく、穿孔刃7を3個以上設け、この穿孔具に適用することもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明の穿孔具は、センタ軸を中心に回転する一または複数の独立して突出した穿孔刃により、被穿孔体に透孔を穿設するものであって、穿孔時に前記穿孔刃によって切削された前記被穿孔体の切削溝内に挿入され、前記被穿孔体の貫通時に前記透孔の内面に当接して前記穿孔刃が前記透孔の内面に衝突するのを防止し得る内面当接部を備えたものである。したがって、穿孔作業の障害となり得る切粉受けカバーを設けることなく、被穿孔体の貫通時に穿孔刃が破損するのを防止して安全に穿孔作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の穿孔具を示す斜視図である。
【図2】 図1の穿孔具の一部破断正面図である。
【図3】 図1の穿孔具の側面図である。
【図4】 図1の穿孔具の底面図である。
【図5】 図4の穿孔刃によって切削された切削溝における当接フランジの位置関係を示す説明図である。
【図6】 図1のシャンクシャフトの一部破断正面図である。
【図7】 図1のセンタ軸の縦断面図である。
【図8】 図1の当接プレートの斜視図である。
【図9】 図8の当接プレートの正面図である。
【図10】 従来の穿孔具を示す正面図である。
【図11】 壁材に穿設される重合孔を示す正面図である。
【図12】 従来の別の穿孔具を示す正面図である。
【符号の説明】
1 穿孔具
2 穿孔具本体
4 センタ軸
7 穿孔刃
21 当接プレート
22 取付フランジ
23 当接フランジ
24 当接片
29 ウェルドナット
30 刃挟持片
31 ねじ
51 壁材
52 透孔
52a 内面
S 切削溝
Claims (3)
- センタ軸を中心に回転する、それぞれが独立して一端が穿孔具本体に保持されて、被穿孔体側に向けて立設された状態に突出する複数の穿孔刃により、被穿孔体に透孔を穿設する穿孔具であって、
前記センタ軸の長手方向に位置調整自在に前記穿孔刃または穿孔具本体に取着され、且つ、前記穿孔刃とともに前記センタ軸を中心に回転する別体の当接部形成体を備え、
前記当接部形成体は、穿孔時に前記穿孔刃によって切削された前記被穿孔体の切削溝内に挿入され、前記被穿孔体の貫通時に前記透孔の内面に当接して前記穿孔刃が前記透孔の内面に衝突するのを防止し得る前記穿孔刃によって切削される切削溝と同一曲率半径で軸方向に立設する円弧状に形成された内面当接部と、前記被穿孔体の透孔の周縁に当接して前記穿孔刃の前記被穿孔体への一定以上の押込みを防止する周縁当接部と、を備えたことを特徴とする穿孔具。 - 前記当接部形成体は、前記センタ軸が貫通する金属板により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の穿孔具。
- 前記センタ軸は、進退自在に付勢され、前記被穿孔体に位置決めされた状態で前記被穿孔体に押圧されることにより、前記被穿孔体を貫通することなく後退することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穿孔具。
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