JP4103370B2 - チャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドリル等の工具用オプションチャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11、図12に示すように、従来のドリル等の電動工具55にあっては、電動工具本体50から突設される出力軸51に備えたビットホルダー52内には、ビットホルダー52を先端側に位置させると出力軸51と垂直方向に移動自在となると共にビットホルダー52を後端側に位置させると出力軸51と垂直方向に移動不能となるように鋼球(図示せず)を備えているので、ビットホルダー52を先端側に位置させた状態としておけば出力軸51の挿着穴(図示せず)にチャック53のビット54を挿入することができ、更に、挿入後にビットホルダー52を後端側に位置させておけばビット54に設けた係止溝55に係止された状態で鋼球が固定されるようになっている。上記構造により、電動工具本体50に備えたビットホルダー52を先端側に引張り、チャック53の後端に備えたビット54を出力軸51の装着穴に挿入した後にビットホルダー52を元の位置に戻すことで、出力軸51を装着穴に係止して電動工具本体50へのチャック53の装着を行うことができる。
【0003】
しかし、このような電動工具55にあっては、チャック53を電動工具本体50に装着する際に一旦ビットホルダー52を先端側に位置させたり装着後に後端側に戻したりといった複雑な操作をしなくては確実にチャック53を固定することができず、非常に面倒であった。また、この複雑な操作の為に固定不良となった場合には、電動工具55を使用中にチャック53が先端工具(図示せず)を取付けた状態のまま出力軸51から外れて落下し、作業中断や怪我等の災害の原因となってしまうことがあった。
【0004】
更に、近年は電動工具の高出力化が図られており、それに伴い上記した従来の電動工具55にあってはチャック53を結合させるビット54の強度を高くする必要があることから、高強度の高価な材料を使用したり軸径を大きくしたりして高強度化を図ってきたが、これに対して高強度の材料を使用すればコストが上昇し、ビット54の軸径を大きくすれば出力軸51が巨大化してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、作業者が簡単かつ確実に電動工具本体に装着することのできるチャックを安価で提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明を、先端工具を着脱自在に取付けると共に電動工具本体の出力軸に装着され、筒状の固定ハンドルにより隙間部を介して周りを覆われたシャフトを介して出力軸から先端工具に動力を伝達するチャックにおいて、前記シャフトに出力軸挿入用の装着穴を形成し、装着穴に挿入された出力軸を嵌合係止する脱落防止機構として、出力軸を嵌合係止するロックピンをシャフトの装着穴の内周面から突出自在に備え、ロックピンに接続されるロックピン出入操作用のレバーを、シャフトの回転軸に対してロックピンが位置する側とは反対側にまで延設させて備えると共に、ロックピンを装着穴の内周面から突出させる方向への付勢力をレバーに付与する弾性体を、固定ハンドルとシャフトの間の隙間部内のロックピンとは反対側の位置にてレバーとシャフトで挟持させて備えてあり、上記レバーには外部に露出される操作片を備え、操作片の押下によりロックピンを引込み自在に設けて成ることを特徴としたものとする。このようにすることで、出力軸を装着穴に挿入するという簡単な作業でチャックを脱落させることなく確実に電動工具本体に装着させることができる。
【0007】
また、脱落防止機構を上記構成としたことで、装着穴の内周面から先端部の突出した状態で付勢保持されるロックピンが装着穴に挿入された出力軸に嵌合係止されて、チャックが脱落することなく確実に電動工具本体に装着されると共に、固定ハンドルとシャフトの間の隙間部内のロックピンとは反対側の位置にてレバーとシャフトで挟持させて設けてある弾性体の付勢力に抗して操作片を押下すれば、上記嵌合係止を容易に解除してチャックを取外すことができる。
【0008】
また、ロックピンの先端部にテーパ面を形成することも好ましく、このようにすることで、内周面からロックピンの先端部が突出した状態の装着穴に出力軸を挿入すれば該出力軸の先端部がロックピンのテーパ面に当たり、出力軸を更に挿入すれば該出力軸がテーパ面と摺接しながらロックピンを押し上げるので、ロックピンの嵌合係止される所定位置まで出力軸をそのまま挿入していくことができる。
【0009】
また、装着穴を断面多角形に形成し、ロックピンを前記多角形の角部から出入自在に備えることも好ましく、このようにすることで、ロックピンが嵌合係止される凹状の係止部を断面多角形の出力軸の角部となる個所に形成することができ、これにより出力軸の断面積を大きくとることができる。
【0010】
また、装着穴の開口方向に、装着穴から離れるほど開口面の大きくなる開口部を形成した出力軸ガイド用のカバー部を備えることも好ましく、このようにすることで、出力軸の先端部をカバー部に当ててスライドさせていくことで装着穴まで容易に出力軸をガイドすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図1、図2には、本発明の実施の形態における一例のチャック1を示している。チャック1には、先端工具(図示せず)をその先端部に取付けると共に電動工具本体20の出力軸21と接続されて動力伝達を行うシャフト2を内蔵しており、シャフト2の後部は該シャフト2に固定される筒状の固定ハンドル6にて隙間部8を介して覆われている。また、シャフト2の前部には先端工具をその先端部にて挟持して締付ける為の爪3を、先端側ほどシャフト2の回転軸と近くなるように傾斜させて複数備えている。上記複数の爪3の外側には該爪3の夫々に噛合うと共にシャフト2に対して回転自在な駆動リング4を備え、駆動リング4の更に外周側には該駆動リング4を回転駆動させる筒状の操作ハンドル5を備えており、操作ハンドル5を回転させると駆動リング4がシャフト2に対して回転を行い、駆動リング4と噛合う複数の爪3は夫々シャフト2の径方向に進退を行うようになっている。このとき、夫々の爪3が先端側に移動することで先端工具を締付けによりシャフトの2の先端に固定し、後端側に移動することで先端工具を締付けから開放して取外すことができる。
【0012】
シャフト2の後端面には、シャフト2の回転軸を中心として形成された断面略四角形状の装着穴7を備えており、この装着穴7は電動工具本体20に突設される断面略四角形状の出力軸21が嵌合してその回転をシャフト2に伝達するようになっている。装着穴7の略四角形状断面における一辺の各辺中央位置となる内周面の所定箇所には、装着穴7の内部と隙間部8とを連通させるピン穴9を装着穴7と直交方向に形成しており、このピン穴9には先端にテーパ面10aを備えたロックピン10を装着穴7の内周面から出入自在に嵌入させている。但し、ここでの隙間部8とは既述したようにシャフト2の後部とその周りを覆う固定ハンドル6との間の隙間のことである。回転軸に対してピン穴9を設けた側と反対側の固定ハンドル6には、チャック1の外部と隙間部8とを連通させる連通穴11を形成している。ロックピン10のピン穴9から隙間部8側に突出した部分にはレバー12を接続させており、このレバー12は回転軸に対して反対側にまで延設されて連通穴11内に露出される操作片12aを備えている。また、レバー12には操作片12aよりも内部側の隙間部8内にて係止片12bを突設しており、係止片12bとシャフト2の後部との間でばね13を挟持している。上記ばね13の付勢力により、ロックピン10はそのテーパ面10aを備えた先端部分だけが装着穴7の内周面から突出した状態に付勢保持されており、レバー12の操作片12aをばね13の付勢力に抗して外部から押下すると上記ロックピン10の先端部がピン穴9に引っ込むようになっている。
【0013】
電動工具本体20に突設される出力軸21の略四角形状断面の各辺中央位置となる所定個所には凹状の係止部14を形成しており、図3、図4に示すように、チャック1の装着穴7に出力軸21を挿入して該出力軸21の係止部14にロックピン10が嵌合係止されることで、出力軸21からの動力を伝達されてチャック1に備えられる先端工具が回転し、且つ、チャック1の脱落が防止された状態となる。
【0014】
ロックピン10はシャフト2に対して垂直であり、その先端に備えたテーパ面10aは出力軸21の挿入方向に向かうほど装着穴7の中心軸に近くなるように形成されているので、図5(a)〜(c)に示すように、出力軸21を装着穴7に挿入すれば該出力軸21はまずロックピン10のテーパ面10aと当接し、そのまま出力軸21を挿入させていくことで、ロックピン10は装着穴7の内周面から先端部の突出しない状態にまでばね13の付勢力に抗して自動的に押込められる。この状態で更にロックピン10の先端部が出力軸21の係止部14の開口部と対向する所定位置まで出力軸21を挿入していけば、ばね13の付勢力により自動的にロックピン10が係止部14に嵌合係止され、これにより出力軸21を装着穴7に挿入するだけでチャック1が装着されるワンタッチ装着が可能となる。ロックピン10のテーパ面10aは既述したように出力軸21の挿入方向に向かうほど装着穴7の中心軸寄りとなるように形成されているので、チャック1装着時に出力軸21が抜ける方向に外力が生じてもロックピン10が自動的に押込められることはなく、従ってチャック1の脱落は確実に防止されている。
【0015】
チャック1を取外す際には、まず連通穴11の開口部付近に露出して位置する操作片12aを押下してレバー12全体をばね13の付勢力に抗して出力軸21と垂直方向に押込み、これによりレバー12と連動するロックピン10を装着穴7の内周面から先端部の突出しない状態にまで押込んでロックピン10による嵌合係止の解除された状態にした後に、装着穴7から出力軸21を引き出せば良い。このように、レバー12の操作片12aを押下してからチャック1を抜き取るという簡単な作業でチャック1を容易に取外すことができる。また、チャック1を装着する際にもレバー12の操作片12aを押下してロックピン10を装着穴7の内周面から先端部の突出しない状態にしてから出力軸21を装着穴7に装着するようにしても構わない。
【0016】
次に、本発明の実施の形態における他例のチャック1について説明する。他例のチャック1は上記した一例と略同一な構成を備えているが、一例と異なる特徴的な構成として、図7に示すように装着穴7の略四角形状断面の角部となる所定個所に開口するようにピン穴9´を備え、上記ピン穴9´からロックピン10の先端部分を突出させている。また、ロックピン10が嵌合係止される係止部14´は、出力軸21の径方向の一部分を図8に示すように他の部分の断面略四角形状内に納まる断面略円形状とすることで出力軸21の略四角形状断面の角部となる所定個所に形成している。
【0017】
上記構成とすることで出力軸21の係止部14´近傍の断面積は図6に示す一例のものと比較して大きくなるので、出力軸21を大きくすることができる。また、加工上の問題として、一例のように係止部14を出力軸21の各平面部に形成する場合には出力軸21の各平面毎に加工面を設定する必要があるのに対して、他例のように係止部14を出力軸21の多角形の角部に形成する場合は出力軸21を回転させることで加工することができ、加工時間短縮並びにコスト削減を図ることができる。
【0018】
次に、本発明の実施の形態における別例のチャック1について説明する。他例のチャック1は上記した一例と略同一な構成を備えているが、別例の特徴的な構成として、図7に示すように、装着穴7の開口方向に該装着穴7から離れるほど開口面の大きくなる開口部15を備えた出力軸ガイド用のカバー部16を備えている。カバー部16は略円錐形状としても略角錐形状としても良く、いずれにしても開口部15の内周面に出力軸21の先端部を当ててスライドさせながら装着穴7までガイドするものとする。また、上記カバー部16を一例と同様の構成に限らず他例と同様の構成と共に備えたものであっても良い。
【0019】
上記した一例、他例、別例においては装着穴7を断面略四角形としたが、装着穴7を断面五角形等の他の多角形状として出力軸21をその装着穴7に嵌合する多角形としても良い。
【0020】
【発明の効果】
上記のように請求項1記載の発明にあっては、出力軸を装着穴に挿入するという簡単な作業でチャックを脱落させることなく確実に電動工具本体に装着させることができるので、従来のようにチャックを固定する為にチャック側にビットを備えると共に電動工具本体側にビットホルダーを備えるといった必要がないことから部品点数の減少によりコストダウン及びコンパクト化を図ることができるという効果がある。
【0021】
また、装着穴の内周面から先端部の突出した状態で付勢保持されるロックピンが装着穴に挿入された出力軸に嵌合係止されるので、チャックが脱落することなく確実に電動工具本体に装着されると共に、固定ハンドルとシャフトの間の隙間部内のロックピンとは反対側の位置にてレバーとシャフトで挟持させてある弾性体の付勢力に抗して操作片を押下すれば、上記嵌合係止を容易に解除してチャックを取外すことができるという効果がある。
【0022】
また、請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の発明の効果に加えて、内周面からロックピンの先端部が突出した状態の装着穴に出力軸を挿入すれば該出力軸の先端部がロックピンのテーパ面に当たり、出力軸を更に挿入すれば該出力軸がテーパ面と摺接しながらロックピンを押し上げるので、ロックピンの嵌合係止される所定位置まで出力軸をそのまま挿入していくことができるので、つまり出力軸を装着穴に挿入するという作業だけでチャックを脱落することのないように確実に電動工具本体に装着することができるという効果がある。
【0023】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、ロックピンが嵌合係止される凹状の係止部を断面多角形の出力軸の角部となる個所に形成することができ、これにより出力軸の断面積を大きくとることができるので該出力軸の強度が大きくなるという効果があり、更に、このように係止部を形成する場合は加工が容易になるので加工時間短縮並びにコスト削減を図ることができるという効果がある。
【0024】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項1〜3のいずれか記載の発明の効果に加えて、出力軸の先端部をカバー部に当ててスライドさせていくことで装着穴まで容易に出力軸をガイドすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における一例のチャックの概略断面図である。
【図2】 同上のチャックの概略下面図である。
【図3】 同上のチャックを電動工具本体に装着する前の状態を示す説明図である。
【図4】 同上のチャックを電動工具本体に装着した状態を示す説明図である。
【図5】 同上のチャックを電動工具本体に装着する過程を示す説明図であり、(a)は装着初期段階、(b)は装着中期段階、(c)は装着完了段階である。
【図6】 同上のロックピンと出力軸を示す概略断面図である。
【図7】 同上のチャックの概略下面図である。
【図8】 本発明の実施の形態における他例のロックピンと出力軸を示す概略断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態における別例のチャックの概略断面図である。
【図10】 同上のチャックの概略下面図である。
【図11】 従来のチャックを電動工具本体に装着する前の状態を示す説明図である。
【図12】 従来のチャックを電動工具本体に装着した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 チャック
2 シャフト
7 装着穴
10 ロックピン
10a テーパ面
12 レバー
13 ばね
15 開口部
16 カバー部
20 電動工具本体
21 出力軸
Claims (4)
- 先端工具を着脱自在に取付けると共に電動工具本体の出力軸に装着され、筒状の固定ハンドルにより隙間部を介して周りを覆われたシャフトを介して出力軸から先端工具に動力を伝達するチャックにおいて、前記シャフトに出力軸挿入用の装着穴を形成し、装着穴に挿入された出力軸を嵌合係止する脱落防止機構として、出力軸を嵌合係止するロックピンをシャフトの装着穴の内周面から突出自在に備え、ロックピンに接続されるロックピン出入操作用のレバーを、シャフトの回転軸に対してロックピンが位置する側とは反対側にまで延設させて備えると共に、ロックピンを装着穴の内周面から突出させる方向への付勢力をレバーに付与する弾性体を、固定ハンドルとシャフトの間の隙間部内のロックピンとは反対側の位置にてレバーとシャフトで挟持させて備えてあり、上記レバーには外部に露出される操作片を備え、操作片の押下によりロックピンを引込み自在に設けて成ることを特徴とするチャック。
- ロックピンの先端部にテーパ面を形成したことを特徴とする請求項1記載のチャック。
- 装着穴を断面多角形に形成し、ロックピンを前記多角形の角部から出入自在に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のチャック。
- 装着穴の開口方向に、装着穴から離れるほど開口面の大きくなる開口部を形成した出力軸ガイド用のカバー部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のチャック。
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