JP3795864B2 - S−z方式で撚られた抗張力体を備える屋内用光ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバケーブル(optical fiber cable)に関するもので、特に、屋内用光ケーブル(premises fiber optical cable)に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋内用光ケーブルは電話局と電話局を相互接続するための網や電話加入者に配電ケーブルを接続するための網を構成するために使用されている。一般的に光ファイバ(optical fiber)は、通常の電話線に比べて直径が小さく、広い帯域幅(bandwidth)を有する利点がある。しかし、光ファイバの長手方向に加わる張力及び径方向に加わる外部衝撃により損傷を受けやすいといった短所もある。
【0003】
図1は従来技術による螺旋状に撚り合わせた抗張力体(strength member)を備える屋内用光ケーブルの構成を示す断面図であり、図2は図1に示した屋内用光ケーブルの側面図である。光ケーブルは、12本のタイトコーティングされた光ファイバ110、130と、抗張力体120、140と、リップコード(rip cord)150と、被覆160と、からなる。12本のタイトコーティングされた光ファイバ110、130は、タイトコーティングされた3本の内側光ファイバ110及び9本の外側光ファイバ(tight coated optical fiber)130で構成される。抗張力体120、140は、繊維(yarn)で作られた内側抗張力体120と外側抗張力体140で構成される。
【0004】
前述の構造は、カンディド・ジェイ・アロヨ(Candido J.Arroyo)などにより発明され特許登録された米国特許番号第4、781、433(OPTICAL FIBER PLENUM CABLE AND METHOD OF MAKING)に開示されている。コーティングされた内側光ファイバ110及び外側光ファイバ130のそれぞれは、コア(core)132、クラッド(clad)134、タイトコーティング層(tight coating layer)136で構成される。
【0005】
また、タイトコーティングされた3本の内側光ファイバ110は、S−Z方式で撚られるが、S−Z方式はハインリッヒ・エー・クラフト(Heinrich A.Kraft)により発明され特許登録された米国特許番号第4、828、352(S-Z STRANDED OPTICAL CABLE)に詳細に開示されている。
【0006】
内側抗張力体120は、タイトコーティングされた3本の内側光ファイバ110を囲み、螺旋状に撚られている。また、内側抗張力体120は、タイトコーティングされた内側光ファイバ110の撚り状態(stranding condition)を維持し、外部から圧力が加わった場合に緩衝機能を遂行する。抗張力体120、140にはアラミド繊維(aramid yarn)を使用することができる。
【0007】
タイトコーティングされた9本の外側光ファイバ130はS−Z方式で撚られて、内側抗張力体120及びタイトコーティングされた内側光ファイバ110を囲む。また、外側抗張力体140は、タイトコーティングされた9本の外側光ファイバ130を囲み、螺旋状に撚られている。さらに、外側抗張力体140は、内側抗張力体120と共に、外部から圧力が加わった場合に緩衝機能を遂行する。
【0008】
被覆160は光ケーブルの最外郭に形成され、押出工程により形成される。被覆160の材質にはポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride)のような高分子化合物を使用することができる。リップコード150は被覆160を除去する場合に、作業者の便宜のため被覆160の内壁に隣接するよう配置される。
【0009】
このような屋内用光ケーブルの製造方法を簡略に説明すると、下記の通りである。第一に、タイトコーティングされた内側光ファイバ110をS−Z方式で撚る。第二に、内側抗張力体120を螺旋状に撚る。第三に、タイトコーティングされた外側光ファイバ130をS−Z方式で撚る。第四に、外側抗張力体140を螺旋状に撚る。第五に、被覆160を押出により形成する。
【0010】
前述の屋内用光ケーブルは、タイトコーティングされた内側光ファイバ110及び外側光ファイバ130が、S−Z方式で撚られており、その間に介在する内側抗張力体120は螺旋状に撚られている。このため、外部から圧力が加わると内側抗張力体120が緩衝機能を十分に遂行することができないといった問題点がある。即ち、タイトコーティングされた内側光ファイバ110及び外側光ファイバ130と同一方向に撚られている区間では、内側抗張力体120がタイトコーティングされた内側光ファイバ110及び外側光ファイバ130と平行に配置されているので、緩衝可能な面積が相対的に広い。一方、タイトコーティングされた内側光ファイバ110及び外側光ファイバ130と交差する方向に撚られている区間では、内側抗張力体120がタイトコーティングされた内側光ファイバ110及び外側光ファイバ130と交差するように配置されているので、緩衝可能な面積が相対的に狭い。つまり、このような緩衝可能な面積の不均一により、内側抗張力体120が十分な緩衝機能を遂行することができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の問題点を解決するための本発明の目的は、緩衝機能を向上することができる屋内用光ケーブルを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明による屋内用光ケーブルは、光ケーブルの中心部に位置し、S−Z方式で撚られた多数のコーティングされた内側光ファイバと、このコーティングされた内側光ファイバを囲むようにS−Z方式で撚られた多数の内側抗張力体と、コーティングされた内側光ファイバ及び内側抗張力体を取り囲むようにS−Z方式で撚られた多数のコーティングされた外側光ファイバと、このコーティングされた外側光ファイバを囲むように螺旋状に撚られた多数の外側抗張力体と、この外側抗張力体を囲み、光ケーブルの最外郭に位置する被覆と、を含み、前記内側光ファイバ、前記内側抗張力体及び前記外側光ファイバは、前記屋内用光ケーブルの全区間にかけて平行に配置される。
【0013】
この屋内用光ケーブルは、被覆を除去するために被覆の内壁に隣接するよう配置されるリップコードをさらに含むと好ましい。
【0014】
コーティングされた内側光ファイバは3本以上であり、コーティングされた外側光ファイバは9本以上であるとよい。また、コーティングされた内側光ファイバはコア、クラッド及びコーティング層を含むとよく、そのコーティング層の材質はポリ塩化ビニール、ポリエステルエラストマ、ポリエステル、ポリエチレンまたはナイロンであると好ましい。さらに、コーティングされた外側光ファイバはコア、クラッド及びコーティング層を含むとよく、そのコーティング層の材質はポリ塩化ビニール、ポリエステルエラストマ、ポリエステル、ポリエチレンまたはナイロンであると好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい一実施形態について添付図を参照しつつ詳細に説明する。下記の説明において、本発明の要旨のみを明瞭にする目的で、関連した公知機能又は構成に関する具体的な説明は省略する。
【0016】
図3は本発明の望ましい一実施形態によるS−Z方式で撚られた抗張力体を備える屋内用光ケーブルの構成を示す断面図であり、図4は図3に示した屋内用光ケーブルの側面図である。本発明の屋内用光ケーブルは12本のタイトコーティングされた光ファイバ210、230と、抗張力体220、240と、リップコード250と、被覆260と、からなる。12本のタイトコーティングされた光ファイバ210、230は、タイトコーティングされた3本の内側光ファイバ210及びタイトコーティングされた9本の外側光ファイバ230で構成される。抗張力体220、240は、内側抗張力体220と外側抗張力体240で構成される。
【0017】
タイトコーティングされた光ファイバ210、230のそれぞれは、コア232、クラッド234、タイトコーティング層236で構成され、S−Z方式で撚られている。このタイトコーティングされた光ファイバ210、230は、コア232とクラッド234のみで構成された光ファイバに比べて全体直径が大きいので取り扱いが容易であり、タイトコーティング層236が強度材の役割を果たすので抗張力が向上する。タイトコーティング層236の材質にはポリ塩化ビニール、ポリエステルエラストマ(polyester elastomer(Hytrel))、ポリエステル(polyester)、ポリエチレン(polyethylene)、ナイロン(nylon)のような高分子化合物を使用する。
【0018】
内側抗張力体220はタイトコーティングされた3本の内側光ファイバ210を取り囲み、S−Z方式で撚られている。また、内側抗張力体220は外部から圧力が加わった場合に緩衝機能を遂行する。内側抗張力体220及び外側抗張力体240にはアラミド繊維、ガラス繊維(glass yarn)、紙テープ、ポリエステルテープなどを使用することができる。
【0019】
内側抗張力体220はタイトコーティングされた内側光ファイバ210及び外側光ファイバ230と同一方向で撚られて、タイトコーティングされた内側光ファイバ210及び外側光ファイバ230と平行に配置される。従って、内側抗張力体220が有する緩衝可能な面積は屋内用光ケーブルの全区間にかけて均一となる。
【0020】
タイトコーティングされた9本の外側光ファイバ230は、S−Z方式で撚られ、内側抗張力体220及びタイトコーティングされた内側光ファイバ210を囲む。
【0021】
外側抗張力体240は9本の外側タイトコーティングされた光ファイバ230を取り囲み、螺旋状に撚られている。外側抗張力体240は内側抗張力体220と共に、外部から圧力が加わった場合に緩衝機能を遂行する。
【0022】
被覆260は光ケーブルの最外郭に形成され、押出工程により形成される。被覆260の材質にはポリ塩化ビニール、ポリオレフィン(polyolefin)、ポリエチレンなどのような高分子化合物を使用することができる。
【0023】
リップコード250は被覆260を除去する場合に作業者の便宜のため被覆260の内壁に隣接するよう配置される。リップコード250の材質にはアラミド繊維、またはポリエステル繊維を使用することができる。
【0024】
図5は本発明の望ましい一実施形態による屋内用光ケーブルの製造装置を概略的に示した図であり、図6は図5に示した装置に設けられるガイドの断面図である。製造装置は多数の光ファイバ放出部310、多数の内側抗張力体放出部320、S−Z撚り部330、多数の外側抗張力体放出部340、螺旋状撚り部350、被覆押出部360で構成される。屋内用光ケーブルの製造方法を簡単に説明すると、下記の通りである。第一に、タイトコーティングされた内側及び外側光ファイバ315と内側抗張力体325をS−Z方式で撚る。第二に、外側抗張力体345を螺旋状に撚る。第三に、被覆370を押出すことにより形成する。各光ファイバ放出部310はタイトコーティングされた光ファイバ315を巻き取ったスプール(spool)であることができ、回転運動によりタイトコーティングされた光ファイバ315を放出するようにする。
【0025】
同様に、各内側抗張力体放出部320は内側抗張力体325を巻き取ったスプールであることができ、回転運動により内側抗張力体325を放出するようにする。
【0026】
S−Z撚り部330は多数の光ファイバ放出部310及び多数の内側抗張力体放出部320から伝達された多数のタイトコーティングされた光ファイバ315及び多数の内側抗張力体325をS−Z方式で撚る。この場合、S−Z撚り部330は多数のタイトコーティングされた光ファイバ315及び多数の内側抗張力体325を容易に撚るために、図6に示したようなガイド400を利用することができる。
【0027】
ガイド400は12個の大ホール410と、3個の小ホール420を備えており、大ホール410にはタイトコーティングされた光ファイバ315が通過し、小ホール420には内側抗張力体325が通過するようになる。
【0028】
各外側抗張力体放出部340は外側抗張力体345を巻き取ったスプールであることができ、回転運動により外側抗張力体345を放出するようにする。
【0029】
螺旋状撚り部350は多数の外側抗張力体放出部340から伝達された多数の外側抗張力体345をタイトコーティングされた光ファイバ315及び内側抗張力体325の周りに螺旋状に撚る。この場合、多数の外側抗張力体345をリップコード(図示せず)と共に撚ることができる。
【0030】
最後に、被覆押出部360は多数の外側抗張力体345を取り囲むように被覆370を押出し、この被覆370は屋内用光ケーブルの最外郭に位置するようになる。
【0031】
【発明の効果】
上述したように、本発明による屋内用光ケーブルはタイトコーティングされた内側光ファイバ、内側抗張力体、タイトコーティングされた外側光ファイバをすべてS−Z方式で撚ることにより、緩衝機能を向上させることができるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による螺旋状に撚られた抗張力体を備える屋内用光ケーブルの構成を示す断面図。
【図2】図1に示した屋内用光ケーブルの側面図。
【図3】本発明の望ましい一実施形態によるS−Z方式で撚られた抗張力体を備える屋内用光ケーブルの構成を示す断面図。
【図4】図3に示した屋内用光ケーブルの側面図。
【図5】本発明の望ましい一実施形態による屋内用光ケーブルの製造装置を概略的に示した図。
【図6】図5に示した製造装置に設けられるガイドの断面図。
【符号の説明】
210 内側光ファイバ
220、240 抗張力体
230 外側光ファイバ
232 コア
234 クラッド
236 タイトコーティング層
250 リップコード
260 被覆
Claims (5)
- 屋内用光ケーブルにおいて、
前記光ケーブルの中心部に位置し、S−Z方式で撚られた多数のコーティングされた内側光ファイバと、
前記コーティングされた内側光ファイバを囲むようにS−Z方式で撚られた多数の内側抗張力体と、
前記コーティングされた内側光ファイバ及び内側抗張力体を囲むようにS−Z方式で撚られた多数のコーティングされた外側光ファイバと、
前記コーティングされた外側光ファイバを囲むように螺旋状に撚られた多数の外側抗張力体と、
前記外側抗張力体を囲み、前記光ケーブルの最外郭に位置する被覆と、を含み、前記内側光ファイバ、前記内側抗張力体及び前記外側光ファイバは、前記屋内用光ケーブルの全区間にかけて平行に配置されることを特徴とする屋内用光ケーブル。 - 前記光ケーブルは、前記被覆を除去するために前記被覆の内壁に隣接するよう配置されるリップコードをさらに含む請求項1記載の屋内用光ケーブル。
- 前記コーティングされた内側光ファイバは3本以上であり、前記コーティングされた外側光ファイバは9本以上である請求項1記載の屋内用光ケーブル。
- 前記内側光ファイバのコーティング層の材質はポリ塩化ビニール、ポリエステルエラストマ、ポリエステル、ポリエチレンまたはナイロンである請求項1記載の屋内用光ケーブル。
- 前記外側光ファイバのコーティング層の材質はポリ塩化ビニール、ポリエステルエラストマ、ポリエステル、ポリエチレンまたはナイロンである請求項1記載の屋内用光ケーブル。
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