JP3795792B2 - 多段油圧緩衝装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作動油が充填されたベースシリンダと、当該ベースシリンダに対して順次小径に形成された複数の筒状プランジャ構成部材が軸方向に同軸にて摺動可能に嵌合されたプランジャとを備えた多段油圧緩衝装置、例えば、エレベータの昇降路床部(ピット)に立設されるエレベータ用の多段油圧緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、エレベータ用の多段油圧緩衝装置は、エレベータかごが昇降路床部に衝突するような不測の事態が発生した場合、エレベータかご内の乗客を安全に保護すべく、衝撃を小さくして停止させる安全装置として機能させるものである。この装置の設置に際しては、昇降路の構築コストの低減、昇降路床部への装置の搬入及び据付の作業効率の点から、床部(ピット)が浅い昇降路で済むことが好ましい。
【0003】
この要望に対応した従来技術として、特開平4−217577号公報に掲載の装置がある。以下、これを図12に基づいて説明する。図12は多段油圧緩衝装置の断面図である。
図12において、70は昇降路の床部(ピット)71に設置されるベースシリンダ、72はベースシリンダ70の内底部中央に立設された油圧制御棒である。油圧制御棒72は、その上部から下部に向って次第に径が拡大されたテーパ形に形成された棒或いは柱状の部材である。
73はプランジャであり、このプランジャ73は、前記のベースシリンダ70に対して中空の下半部74が嵌合された第1のプランジャ構成部材75と、この第1のプランジャ構成部材75の上端開放側からプランジャ73の軸方向に摺動可能に設けられた第2のプランジャ構成部材76と、更に、この第2のプランジャ構成部材76の上端開放側からプランジャ73の軸方向に摺動可能に設けられた第3のプランジャ構成部材77とで構成されている。
【0004】
この多段油圧緩衝装置では、ベースシリンダ70に進入するプランジャ73が、第1、第2、第3のプランジャ構成部材75、76、77を備えた三段構造となっており、作動油2が、ベースシリンダ70の他に、第1のプランジャ構成部材75及び第2のプランジャ構成部材76内に封入されている。
第1のプランジャ構成部材75の下部には、ベースシリンダ70の空部81に通じる連通孔79が穿設され、第2のプランジャ構成部材76の下部には第1のプランジャ構成部材75の空部80に通じる連通孔78が穿設されている。
【0005】
今、仮に、何らかの異常によって、エレベータかご(非図示)が、急降下して多段油圧緩衝装置のプランジャの先端、即ち第3のプランジャ構成部材77の上端面に衝突すると、先ず、衝突された第3のプランジャ構成部材77が降下して第2のプランジャ構成部材76に進入すると共に、同時に、第3のプランジャ構成部材77の下面が第2のプランジャ構成部材76内の作動油2を押圧し、この作動油2が第2のプランジャ構成部材76の連通孔78を通って第2のプランジャ構成部材75内の空部80に噴出すると共に、第2のプランジャ構成部材76の下面に押圧力を伝える。
【0006】
同様に、第1のプランジャ構成部材75内の作動油2が通路79を通ってベースシリンダ70内の空部81に噴出すると共に、第1のプランジャ構成部材75を押圧する。
これにより、第1のプランジャ構成部材75(下半部74)が押し下げられて、ベースシリンダ70内の作動油2がオリフィス孔83から第1のプランジャ構成部材75の下半部74の内空に流入する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の装置では、第1のプランジャ構成部材75が、後続の第2のプランジャ構成部材76を受け入れる軸方向長さを必要とするだけでなく、進入方向側に、ベースシリンダ70に立設された油圧制御棒72を受け入れるために当該油圧制御棒72の長さに略相応する軸方向長さの内空を備えた下半部74を設けねばならないため、軸方向に長い構成となるし、この第1のプランジャ構成部材75の進入を受け入れるベースシリンダ70も、同様に軸方向に長い構成となる。このように、装置の全長が長くなると、その分昇降路の床部を深くしなければならず、昇降路の構築コストが嵩むという問題があった。
【0008】
又、この従来の装置では、プランジャを構成する各段のプランジャ構成部材75、76、77が独立して作用せず、各プランジャ構成部材の動作が相互に影響し合うため、減速パターンを制御するための各段の設計が難しいという問題があった。即ち、この従来の装置では、一段目のプランジャ構成部材75だけが、オリフィス面積により油圧を制御できるものの、二段目、三段目のプランジャ構成部材76、77においては、オリフィス穴の面積が一定で油圧を正確に制御できない。このため緩衝効率を向上させることが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解消し、プランジャを構成する各段のプランジャ構成部材毎のオリフィスを制御し易く、緩衝効率に優れ、設計し易い、小型の多段油圧緩衝装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、作動油が充填されたベースシリンダと、当該ベースシリンダに進入する順次小径に形成されて軸方向に摺動可能に嵌合された複数の筒状プランジャ構成部材からなるプランジャとを備えた多段油圧緩衝装置において、
前記各筒状プランジャ構成部材は、先ずベースシリンダに、当該ベースシリンダに対して同軸で、かつ、複数の連通孔を持つ作動油タンクの内側の隔壁を備えた最大径の筒状プランジャ構成部材が進入し、以下、先に進入した筒状プランジャ構成部材の作動油タンクに次の筒状プランジャ構成部材が進入する度に、先に進入した筒状プランジャ構成部材の作動油タンクの内側の隔壁側で油圧抵抗を発生するように、隣合う筒状プランジャ構成部材を互いに摺動不能に仮固定すると共に、仮固定された一方の筒状プランジャ構成部材が進入すると仮固定が解除される一体化手段を備えた構成とした。
【0011】
又、本発明は、一体化手段は、隣合う筒状プランジャ構成部材の摺動を阻止する施錠装置であり、一体化された一方の筒状プランジャ構成部材が進入すると解除手段に接触して解除される構成とした。
【0012】
又、本発明は、筒状プランジャ構成部材は、隣合う筒状プランジャ構成部材を仮に固定化する一体化手段を備え、各一体化手段は、作動油の油圧回路で構成した。
【0013】
又、本発明は、各筒状プランジャ構成部材は、筒の胴周部が筒状作動油タンクであり、先に進入するプランジャ構成部材の筒状作動油タンクに次の相似的に小型のプランジャ構成部材の筒状作動油タンクを順に進入させる構成とした。
【0014】
又、本発明は、最後に進入する筒状プランジャ構成部材は、胴周部に筒状作動油タンクを有しない構成とした。
【0015】
又、本発明は、上部から下部に向って次第に径が拡大された油圧制御棒を軸芯に有すると共に作動油が充填された上端開放で有底のベースシリンダと、
前記ベースシリンダの上端開放側から当該ベースシリンダの軸方向に摺動可能に浅く嵌合され、深く進入する際に前記油圧制御棒が相対的に侵入する油圧制御孔を底に有すると共に、内周面に沿って内径方向に二重に設けられ作動油が充填された内外二つの筒状作動油タンクと上端開放の軸芯空間とを同軸的に有する第1の筒状プランジャ構成部材、及び当該第1の筒状プランジャ構成部材の上端開放側から当該第1の筒状プランジャ構成部材の外筒状作動油タンクに摺動可能に浅く嵌合された胴周部を有する上端閉鎖の第2の筒状プランジャ構成部材とを備えたプランジャと、
前記ベースシリンダの作動油が充填された内部と第1の筒状プランジャ構成部材の外筒状作動油タンクとを連通可能に閉鎖する開閉弁と、当該第1の筒状プランジャ構成部材の外筒状作動油タンクと内筒状作動油タンクとを仕切る隔壁に軸方向にわたって適当間隔を置いて開設された常開連通孔と、当該第1の筒状プランジャ構成部材の内筒状作動油タンクと軸芯空間とを仕切る隔壁に周方向に適当間隔をおいて開設された連通孔と、当該連通孔を常時には閉鎖する位置にあって当該第1の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間の軸方向に摺動可能に配設された連通孔開閉手段とから成り、
常時は前記連通孔開閉手段によって前記連通孔を閉じ、前記内外の筒状作動油タンクに作動油が封入された状態で第1と第2の筒状プランジャ構成部材を互いに摺動不能に仮に固定し、前記第1の筒状プランジャ構成部材が前記ベースシリンダの底面に接近したときに、前記連通孔開閉手段によって前記連通孔を開き、仮固定を解除する一体化手段と、
前記連通孔開閉手段によって軸方向に隔てられた第1の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間と第2の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間とを常時連通させる常開油路手段と、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材をベースシリンダに浅い嵌合状態に支える支承手段とを備えた構成とした。
【0016】
又、本発明は、上部から下部に向って次第に径が拡大された油圧制御棒を軸芯に有すると共に作動油が充填された上端開放で有底のベースシリンダと、
前記ベースシリンダの上端開放側から当該ベースシリンダの軸方向に摺動可能に浅く嵌合され、深く進入する際に前記油圧制御棒が相対的に侵入する油圧制御孔を底に有すると共に、胴周部に設けられた作動油が充填されていない筒状作動油タンクと上端開放の軸芯空間とを同軸的に有する第1の筒状プランジャ構成部材、及び当該第1の筒状プランジャ構成部材の上端開放側から当該第1の筒状プランジャ構成部材の筒状作動油タンクに摺動可能に浅く嵌合された胴周部を有する上端閉鎖の第2の筒状プランジャ構成部材とを備えたプランジャと、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材に第2の筒状プランジャ構成部材を浅い嵌合状態で仮に固定する一体化手段と、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材をベースシリンダに浅い嵌合状態に支える支承手段と、
非常時に、第1の筒状プランジャ構成部材がベースシリンダに進入していく際に、ベースシリンダから第1の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間に流入した作動油を当該第1の筒状プランジャ構成部材の筒状作動油タンクに流入させるため当該筒状作動油タンクに筒体の軸方向に適当数設けられた常開連通孔と、
第1の筒状プランジャ構成部材がベースシリンダ下限にまで進入する直前に、前記一体化手段による第1の筒状プランジャ構成部材と第2の筒状プランジャ構成部材との仮固定を解除する解除手段とを備えた構成とした。
【0017】
又、本発明は、筒壁を貫通する多数の連通孔が設けられた油圧制御筒を軸芯に同軸で有すると共に作動油が充填された上端部開放で有底のベースシリンダと、
前記ベースシリンダの上端部側から当該ベースシリンダの内周面と前記油圧制御筒との間の環状空間に摺動可能に浅く嵌合され、深く進入する際に前記油圧制御筒の外周面に摺接して、油圧制御筒の多数の貫通孔の一部を塞ぎ他を開通状態のままとする摺接壁面を有する作動油が充填されていない上端部開放の筒状作動油タンクを胴周部として有する第1の筒状プランジャ構成部材、及び前記第1の筒状プランジャ構成部材の上端部側から筒状作動油タンクに摺動可能に浅く嵌合された胴周部を有する第2の筒状プランジャ構成部材とを備えたプランジャと、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材に第2の筒状プランジャ構成部材を仮固定する一体化手段と、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材をベースシリンダに浅い嵌合状態に支える支承手段と、
第1の筒状プランジャ構成部材がベースシリンダ下限まで進入する直前に、前記一体化手段による第1の筒状プランジャ構成部材と第2の筒状プランジャ構成部材との仮固定を解除する解除手段とを備えた構成とした。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
エレベータ用の多段油圧緩衝装置の実施の形態1を図1乃至図3に基づいて説明する。図1は多段油圧緩衝装置の縦断面図、図2はプランジャの一段目の進入状態を示す縦断面図、図3はプランジャの二段目の進入状態を示す縦断面図である。
【0019】
図1において、1はベースシリンダである。ベースシリンダ1は、その上端側が開放された有底の筒状であり、作動油2が充填されている。筒状のベースシリンダ1の底面3の中央には、筒の軸方向に向けて、上部から下部に向って次第に径が拡大されたテーパ形の油圧制御棒4が立設されている。
【0020】
ベースシリンダ1に対して軸方向から進入するプランジャは、この形態1では二段、即ち、プランジャ構成部材としての筒状プランジャ構成部材二つで構成されており、具体的には、前記のベースシリンダ1に対して、順次遠去る方向に、略相似的に小型化された第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが、筒の軸方向に同軸にて摺動可能に嵌合されている。
一段目の第1の筒状プランジャ構成部材10は、ベースシリンダ1の上端開放側から当該ベースシリンダ1の軸方向に摺動可能に浅く、脱落不能に嵌合されており、深く進入し終えると、ベースシリンダ1の上端側と当該第1の筒状プランジャ構成部材10の上端側とが略一致する軸方向の長さを有している。
【0021】
更に、この第1の筒状プランジャ構成部材10は、筒の内周面に沿って内径方向に二重に設けられた内外二つの筒状作動油タンク11、12と上端開放の軸芯空間13とを同軸的に備え、内筒状作動油タンク11及び外筒状作動油タンク12は作動油2で充填されている。
又、第1の筒状プランジャ構成部材10の底面15の中央には、前記軸芯空間13とベースシリンダ1とを連通させる油圧制御孔16がオリフィス孔として設けられている。この油圧制御孔16には、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1に深く進入していく際、相対的に油圧制御棒4が侵入する。油圧制御孔16は軸芯に位置し、第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13の底に開口している。
【0022】
第2の筒状プランジャ構成部材20は、第1の筒状プランジャ構成部材10の上端開放側から当該第1の筒状プランジャ構成部材10の外筒状作動油タンク12に摺動可能に浅く、脱落不能に嵌合された胴周部21を有しており、深く進入し終えると、当該第1の筒状プランジャ構成部材10の上端側と略一致する軸方向の長さを有している。
第2の筒状プランジャ構成部材20の筒部に相応する前記の胴周部21は、先にベースシリンダ1に進入する第1の筒状プランジャ構成部材10の筒状作動油タンクとしての外筒状作動油タンク12に、同軸的に摺動可能なように略相似的で小型の筒状に形成されている。
この胴周部21は、その内部が筒状に形成された空の筒状作動油タンク22を備えている。しかし、この筒状作動油タンク22は必ずしも必要ではない。要は、軸芯空間23を有し、当該胴周部21の下端面が外筒状作動油タンク12に進入する際に作動油2の油圧抵抗を受ける形態に構成されていればよい。
尚、前記第2の筒状プランジャ構成部材20の上端側は、異常の発生により、急降下するエレベータかご(非図示)の衝撃を受ける部分であり、従って、閉鎖されている。
【0023】
第1の筒状プランジャ構成部材10に対して第2の筒状プランジャ構成部材20が摺動可能に嵌合された構成であるが、このように摺動可能な隣合うプランジャ構成部材相互には、この例では、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とには、互いを摺動不能として仮に固定しておく一体化手段30が設けられている。
一体化手段30は、互いに仮固定された一方の筒状プランジャ構成部材、この例では第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1に進入し終えるか、或いはその直前で解除されるもので、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1に十分深く進入するまでは、隣合う筒状プランジャ構成部材(10、20)の摺動を阻止する手段である。
【0024】
このような一体化手段30としては、例えば、機械的な装置として後述するような施錠装置があるが、この形態1の一体化手段30は、作動油2の油圧回路で構成されている。
図1において、この一体化手段30は、ベースシリンダ1の作動油2が充填された当該ベースシリンダ1の内部と第1の筒状プランジャ構成部材10の外筒状作動油タンク12とを連通可能に閉鎖する開閉弁31と、外筒状作動油タンク12と内筒状作動油タンク11とを仕切る隔壁に筒の軸方向にわたって適当間隔を置いて軸方向に配設された常開連通孔としての軸方向配列連通孔32と、内筒状作動油タンク11と軸芯空間13とを仕切る隔壁の周方向に適当間隔をおいて環状に配設された連通孔としての環状配列連通孔33と、当該環状配列連通孔33を常時には閉鎖する位置にあって軸芯空間13の軸方向に摺動可能に配設された連通孔開閉手段34とを有し、内外の筒状作動油タンク11、12に作動油2が封入された状態で、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とを互いに摺動不能状に仮固定している。
【0025】
尚、前記の開閉弁31は、外筒状作動油タンク12が負圧になると開いてベースシリンダ1の作動油2を導入する逆止弁である。又、35は連通孔開閉手段34を軸方向に貫通するように設けられた作動油通路、36は連通孔開閉手段34の降下を阻止する降下ストッパ、37は連通孔開閉手段34を降下ストッパ36に押圧する弾性部材である。これらについては後述する。
【0026】
図1において、内筒状作動油タンク11の環状配列連通孔33は連通孔開閉手段34によって閉じられているため、内筒状作動油タンク11及び外筒状作動油タンク12内の作動油2は逃げ場を失なっているため、第2の筒状プランジャ構成部材20の進入が阻止されている。
従って、連通孔開閉手段34が環状配列連通孔33を塞いだ状態のままでは、第2の筒状プランジャ構成部材20は第1の筒状プランジャ構成部材10に浅く進入(嵌合)した状態のままに固定化されるため、第1及び第2の両筒状プランジャ構成部材10、20は摺動不能に固定化されたまま作動、即ち、ベースシリンダ1に一体となって進入する。
【0027】
連通孔開閉手段34は、常時には、環状配列連通孔33を塞ぐ位置において摺動停止状態となるように、ベースシリンダ1側方向への降下摺動に対しては、軸芯空間13に突設された降下ストッパ36によって下限が設定されて摺動不能に阻止されており、第2の筒状プランジャ構成部材20側への上昇摺動に対しては、当該第2の筒状プランジャ構成部材20との間に設けられた抵抗付勢手段としての弾性部材37の介在によって、常時には不能な程度の阻止抵抗を受けるが、非常時には、当該環状配列連通孔33が流通可能に開口する程度に摺動可能とされている。
【0028】
尚、この形態1の抵抗付勢手段としての弾性部材37は、第2の筒状プランジャ構成部材20との間に、プランジャの軸方向に張設されており、常時には、上記の一体化手段30と相俟って、第2の筒状プランジャ構成部材20の第1の筒状プランジャ構成部材10への進入を阻止する機能も果たしている。又、後述のように装置が作動後の復帰バネとしても作用する。
又、上記の連通孔開閉手段34には、軸方向に隔てられた第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13と第2の筒状プランジャ構成部材20の軸芯空間23とを、常時連通させるため常開油路手段としての作動油通路35が設けられている。
【0029】
一体化手段30によって、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが一体化されたプランジャは、常時には、その第1の筒状プランジャ構成部材10の底部15とベースシリンダ1の底部3との間に介在させた支承手段としての弾性部材5によって、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1に浅く進入した状態で支えられている。又、この弾性部材5は、後述のように装置が作動後の復帰バネとしても作用する。
【0030】
次に、動作を説明する。
初期状態、即ち常時においては、図1に示すように、連通孔開閉手段34が環状配列連通孔33を閉鎖する位置にあって、内外の筒状作動油タンク11、12には作動油2が封入されているため、この一体化手段30によって、プランジャを構成する第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが仮固定された状態にある。
こうして一体化されたプランジャは、支承手段としての弾性部材5によって、作動油2が充填されたベースシリンダ1に浅く嵌合された状態で支承されている。
【0031】
今、何らかの異常によりエレベータかご(非図示)が急降下して、プランジャの頂部、即ち、第2の筒状プランジャ構成部材20の頂部に衝突すると(非常時)、環状配列連通孔33が封鎖されたままなので、内筒状作動油タンク11、及び外筒状作動油タンク12内の作動油2が第2の筒状プランジャ構成部材20の底面で押圧されても、他に流出できない状態に満たされているために容積がほとんど圧縮できず、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが固定されたままの状態で、ベースシリンダ1内に押し下がる。
【0032】
第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが一体のまま、弾性部材5の弾性力に抗して、ベースシリンダ1内に押し下がっていくと、ベースシリンダ1内の作動油2は、油圧制御孔16の内周縁と油圧制御棒4の外周面との隙間を通って、第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13に噴出されて、作動油2の油圧抵抗が発揮されるので、エレベータかごの急降下による衝撃エネルギーが消散され、降下運動が緩衝されながら、減速される。
この際、油圧制御棒4は下部に向って拡大するテーパ形となっているので、第1の筒状プランジャ構成部材10が下がるのに伴って、油圧制御孔16と油圧制御棒4との隙間における作動油2の通過面積は次第に小さくなり、要求された減衰力特性を得ることができる。
【0033】
図2において、第1の筒状プランジャ構成部材10の底面15がベースシリンダ1の底面3側に十分接近すると、油圧制御棒4の頂部が降下してきた連通孔開閉手段34に接触し、弾性部材37の弾性力に抗して連通孔開閉手段34を、第1の筒状プランジャ構成部材10に対して相対的に押し上げて環状配列連通孔33を開通(開口)させる。
この環状配列連通孔33が開通すると、油圧回路から成るこの一体化手段30の仮固定が解除される。即ち、外筒状作動油タンク12内の作動油2が、先ず軸方向配列連通孔32を通って内筒状作動油タンク11に入り、更に、環状配列連通孔33を通って第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13に噴出する。
【0034】
図3において、一体化された一方のプランジャ構成部材、ここでは第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1に進入し終える直前に、上記のように一体化手段30が解除されるので、他方の第2の筒状プランジャ構成部材20が第1の筒状プランジャ構成部材10に対して、より具体的には、第2の筒状プランジャ構成部材20の胴周部21が第1の筒状プランジャ構成部材10の外筒状作動油タンク12に油圧抵抗を受けながら進入していく。
【0035】
これと同時に、進入していく第2の筒状プランジャ構成部材20によって、内筒状作動油タンク11の内周面側に開口する常開連通孔としての軸方向配列連通孔32が上の方向から次第に機能不能とされて閉鎖されていき、流通可能な軸方向配列連通孔32の数が次第に減少する。
この過程において、外筒状作動油タンク12内の圧力はベースシリンダ1の内部の圧力より高いので、外筒状作動油タンク12とベースシリンダ1との間を連通可能に設けられた開閉弁31は閉じられたままとなる。
【0036】
常開連通孔としての軸方向配列連通孔32は、外筒状作動油タンク12と内筒状作動油タンク11との隔壁(仕切壁)に軸方向に位置をずらして多数開設されているが、これらの軸方向配列連通孔32の総開口面積よりも内筒状作動油タンク11の軸芯空間13側に設けられた環状配列連通孔33の総開口面積を小さく設定することによって、孔式オリフィス緩衝構造を実現することができ、外筒状作動油タンク12中の作動油2の流出速度の制御により、プランジャを構成する一段目即ち第1の筒状プランジャ構成部材10とは独立して、二段目に相当する第2の筒状プランジャ構成部材20においても要求される減衰力特性を得ることができる。
【0037】
第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13に、内筒状作動油タンク11から環状配列連通孔33を経て流入した作動油2、及びベースシリンダ1から油圧制御孔16を経て流入した作動油2は、更に、連通孔開閉手段34の作動油通路35を通って、第2の筒状プランジャ構成部材20の軸芯空間23に流入する。
そして、当該軸芯空間23に流入した作動油の一部は、更に、常開の連通孔24、25を経て、第2の筒状プランジャ構成部材20の筒状空タンク22に流入する。
【0038】
図3において、その後、異常原因が解消して、エレベータかごが上昇すると、弾性部材37の復帰力によって、油圧制御棒4と当該油圧制御棒4に載った連通孔開閉手段34とを支えとして、第2の筒状プランジャ構成部材20が押し上げられるが、この押し上の際、図2に示すように、弾性部材37の反力で連通孔開閉手段34が降下ストッパ36まで押し戻されて、環状配列連通孔33が閉鎖されるので、内外の筒状作動油タンク11、12内に作動油2が充填されたまま(開閉弁31は閉じた状態)、第1の筒状プランジャ構成部材10が上昇する。
即ち、一体化手段30として構成された油圧回路が作動油2で充填されて封入された状態となることによって、プランジャを構成する第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが互いに摺動不能に一体化された状態に固定される。
【0039】
こうして一体化されたプランジャは、ベースシリンダ1内の弾性部材5によって押し上げられる。この押し上げによって、筒状空タンク22や軸芯空間23等の第2の筒状プランジャ構成部材20内の作動油2は、連通孔開閉手段34の作動油通路35及び第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13を経て、ベースシリンダ1内に流下し、図1に示す状態に復帰する。
【0040】
この実施の形態1によれば、多段、この例では、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20との二段に構成されたプランジャの各プランジャ構成部材が、一体化手段30によって、順次に独立して減速機能が発揮される構造としてあるため、減速パターンの解析や設計がし易くなる。
又、プランジャの各段においてオリフィスを各別に制御することができるので、緩衝効率を優れたものとすることができる。
又、前述した従来の装置に比べて、ベースシリンダ1及び各段のプランジャ構成部材の軸方向の長さを略同等にすることができるので、装置の全高をより小さくすることができ、従って、床部(ピット)の浅い昇降路を構築することができる。これにより、建設工事での掘削作業を省力化でき、建築コストを低減させることができる。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1に比べ、プランジャの一体化手段を油圧回路に換えて機械的な施錠手段とした点と、これに伴なって作動油の流路を若干変更した点とが異なる構成の装置である。以下、これを図4乃至図6に基づいて説明する。図4は多段油圧緩衝装置の縦断面図、図5はプランジャの一段目の進入状態を示す縦断面図、図6はプランジャの二段目の進入状態を示す縦断面図である。尚、これらの図4において、図1乃至図3と同一の符号は実質的に同一又はこれに相当するものである。
【0042】
図4において、先ず、ベースシリンダ1については、実施の形態1と実質的に同様の構成であるが、ベースシリンダ1の上端側外周縁6に一体化手段40を構成する施錠装置41の解除手段49が配設されている点や、油圧制御棒4の下部を取り巻くように、制御手段としての円筒状の制御板50が設けられている点等が異なる。
制御手段としての制御板50は、後述する第1の筒状プランジャ構成部材10が進入してきた際に、当該第1の筒状プランジャ構成部材10の作動油タンク12の内周面に摺動接触して、当該内周面の軸方向に間隔を置いて配設された連通孔としての軸方向配列連通孔32の一部(後述の拡大連通孔32A)を塞いで、実質的に軸方向配列連通孔32の総開口面積を小さくして油圧抵抗を制御するものであり、これについては更に後述する。
図中の52は第1の筒状プランジャ構成部材10の進入を停止させる下限ストッパであり、ベースシリンダ1の内周面に突設されている。尚、前記の解除手段49については後述する。
【0043】
次に、プランジャを構成する一方のプランジャ構成部材としての第1の筒状プランジャ構成部材10においては、実施の形態1の外筒状作動油タンク12を初期状態において空とした筒状作動油タンクとして有する構成であり、内筒状作動油タンク11及びその軸芯空間13に連通孔開閉手段34等からなる一体化手段30は備えていない。
この第1の筒状プランジャ構成部材10の上端側外周縁には、一体化手段40としての施錠装置41が配設されている。この施錠装置41については後述する。
【0044】
プランジャを構成する他方のプランジャ構成部材としての第2の筒状プランジャ構成部材20は、その胴周部21に実施の形態1における筒状空タンク22が形成されていない。又、実施の形態1では軸芯空間23に張設されていた弾性部材37に代わる弾性部材19が、初期状態において空とされた筒状作動油タンク12内において、第1の筒状プランジャ構成部材20の胴周部21の下面と第2の筒状プランジャ構成部材20の底面15との間に適当数設けられている。
その他の構成は、一体化手段40の具体的構成を別として、実施の形態1と基本的に同じである。
【0045】
一体化手段40は、第2の筒状プランジャ構成部材20が第1の筒状プランジャ構成部材10に浅く侵入(嵌合)した状態において、両構成部材の重なり部分を貫通して通るようプランジャの直径方向に向けて外周面側から開設された係合孔としての差込孔42と、この差込孔42に抜き差し自在に挿し込まれるピン43と、当該ピン43を常時差込方向に付勢する付勢手段としての付勢ばね44と、ピン43及び付勢ばね44を作動可能に第2の筒状プランジャ構成部材20に装置させる保持部45とで構成されており、第2の筒状プランジャ構成部材20の上端側外周に適当数装置されている。
【0046】
解除手段49は、上記の各施錠手段41に対応してベースシリンダ1の上端側外周縁6に配設されており、第1の筒状プランジャ構成部材10の進入に伴って降下してくる前記施錠手段41のピン43と接触して、当該ピン43を付勢ばね44の弾性力に抗して、差込孔42から引抜かせる装置であり、この例では、カム板を解除手段49として設置している。
カム板の習い面48は、当該習い面48にピン43が接触しながら降下するとピン43が引抜き方向に強制摺動されるように形成してある。
【0047】
次に、動作を説明する。
初期状態(常時)においては、図4に示すように、一体化手段40としての施錠装置41のピン43によって、プランジャを構成する一方のプランジャ構成部材としての第1の筒状プランジャ構成部材10と他方のプランジャ構成部材としての第2の筒状プランジャ構成部材20とが、浅く進入(嵌合)された状態で固定され、一体化されている。
こうして一体化されたプランジャは、支承手段としての弾性部材5により、作動油2が充填されたベースシリンダ1に浅く進入(嵌合)した状態で支承されている。
【0048】
今、何らかの異常によりエレベータかご(非図示)が急降下して、第2の筒状プランジャ構成部材20の頂部に衝突すると(非常時)、第2の筒状プランジャ構成部材20は第1の筒状プランジャ構成部材10と一体となった状態のままで、ベースシリンダ1内に押し下がる。
【0049】
第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが一体のまま、弾性部材5の弾性力に抗して、ベースシリンダ1内に押し下がって進入していくと、ベースシリンダ1内の作動油2は油圧制御孔16を通って、第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13に噴出しつつ、作動油2の油圧抵抗が発揮される。
これにより、エレベータかごの急降下による衝撃エネルギが消散され、降下運動は緩衝されながら減速される。
尚、この際、油圧制御棒4は下部に向って拡大するテーパ形となっているので、第1の筒状プランジャ構成部材10が下がるのに伴って、油圧制御孔16との間隙における作動油2の通過可能な面積は次第に小さくなり、要求された減衰力特性が得られる。
【0050】
他方、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1内に押し下げられ、進入してくるに従って、ベースシリンダ1から油圧制御孔16を経て第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13に流入した作動油2は、第1の筒状プランジャ構成部材10の筒状作動油タンク12の軸芯空間13側に、軸方向にわたって開設された軸方向配列連通孔32から流入し、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1内に十分深く進入すると、当該筒状作動油タンク12が作動油2で満たされる。
【0051】
この形態2では、常開連通孔としての上記軸方向配列連通孔32のうち、最下方側に開設された連通孔32を、特に、作動油2の流入を促進させるための大きな口径をもつ拡大連通孔32Aとして形成しており、その他の連通孔32は、第2の筒状プランジャ構成部材20の進入に対して油圧抵抗を生じさせる作動油2の流出口として、即ち、オリフィス孔として機能させるため、その口径は拡大連通孔32Aの拡大された口径より十分に小さい所要の口径としてある。
【0052】
この拡大連通孔32Aは、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1内に十分深く進入し終えると、即ち、図示の例では、ベースシリンダ1の内周面側に設けられた下限ストッパー52まで下がると(図5)、拡大連通孔32Aをその他の連通孔32の口径即ち開口面積と等しくするように、相対的に摺接する制御手段としてベースシリンダ1の底面3に筒状に設けられた制御板50の外周面によって開口の一部が塞がれて、大経口の拡大連通孔32Aが他の連通孔32の口径と同様の開口面積となるように制御される。
尚、筒状の制御板50の筒壁を貫通して設けられた孔51は、第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1内に十分深く進入する際に、当該第1の筒状プランジャ構成部材10の筒状作動油タンク12の底面とベースシリンダ1の内周面及び底面と制御板50の外周面とに囲われる作動油2を、油圧制御棒4側に逃すためのものである。
【0053】
図5に示すように、プランジャを構成する第1の筒状プランジャ構成部材10が下限ストッパー52までに下がる直前に、施錠装置41のピン43の鉤部43aが、ベースシリンダ1のフランジに配設された解除手段49としてのカム板の習い面48に接触すると、プランジャの降下圧力によって鉤部43aが習い面48を滑り降る作用によって、施錠装置41のピン43が、弾性部材44の弾性力に抗して、差込孔42から引き抜かれる。これにより、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20との仮固定が解除される。
【0054】
仮固定が解除されると、第2の筒状プランジャ構成部材20は、具体的にはその胴周部21は、第1の筒状プランジャ構成部材10、具体的にはその筒状作動油タンク12に進入していく。この胴周部21が筒状作動油タンク12に進入していくにしたがって、当該胴周部21の下面(作動油を押し下げる面)が下がっていくため、当該筒状作動油タンク12内の作動油2が流出可能な連通孔32の数が減少していき、作動油タンク10内の油圧抵抗は逆に高められていく。
即ち、筒状作動油タンク12の軸芯空間13側に軸方向への位置をずらして開設された複数の軸方向配列連通孔32の連通可能な孔数の減少、即ち総開口面積の減少によって、当該筒状作動油タンク12中の作動油2の流出速度を、この孔式オリフィス緩衝構造によって制御することができる。
この外筒状作動油タンク12中の作動油2の流出速度の制御により、プランジャを構成する一段目即ち第1の筒状プランジャ構成部材10とは独立して、二段目に相当する第2の筒状プランジャ構成部材20において、要求される減衰力特性を得ることができる。
【0055】
その後、異常原因が取り除かれてエレベータかごが上昇すると、弾性部材5の弾性力によって第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1から上方に抜け出るように押上げられると共に、同時に弾性部材19の復帰ばねとしての弾性力により第2の筒状プランジャ構成部材20が第1の筒状プランジャ構成部材10から上方に抜け出るように押上げられる。
第1及び第2の筒状プランジャ構成部材10、20はベースシリンダ1を満たす作動油2に浸かった状態であったため、第1及び第2の筒状プランジャ構成部材10、20の上昇に伴って、作動油2はベースシリンダ1に残されていく。
【0056】
この場合、第2の筒状プランジャ構成部材20の筒状作動油タンク12において、第1の筒状プランジャ構成部材10の胴周部21の下面より下方側においては、第2の筒状プランジャ構成部材20の上昇に伴って、筒状作動油タンク12内が一時負圧となり、次第に流通可能に増えていく連通孔32から作動油2が一旦は流入してくるが、第1の筒状プランジャ構成部材10自体の上昇に伴って、上記連通孔32がベースシリンダ1の作動油2の油面から離れた段階で、逆に、連通孔32から軸芯空間13を経てベースシリンダ1内に流下する。他方、第1の筒状プランジャ構成部材10の胴周部21の下面より上方側においては、流入していた作動油2は、当該胴周部21の上昇に伴って、筒状作動油タンク12の連通孔32或いは上端側の開放部分から軸芯空間13を経てベースシリンダ1内に流下する。こうして、筒状作動油タンク12は空となる。
【0057】
第1の筒状プランジャ構成部材20に対する第1の筒状プランジャ構成部材10の上昇に伴って、施錠装置41のピン43は、付勢ばね44の弾性力により、プランジャの軸芯方向に押されながら、第1の筒状プランジャ構成部材10の外周面に摺接しながら、第1の筒状プランジャ構成部材10の差込孔42が到達してくるのを待ち、差込孔42が達した段階で、当該差込孔42に侵入する。こうして、再び、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とが仮固定されて一体化し、この多段油圧緩衝装置は図4に示す元の状態に復帰する。
【0058】
この実施の形態2は、上記実施の形態1と同様の作用効果を奏すると共に、一体化手段40としてプランジャに外付けされる施錠装置41を設けたので、実施の形態1に比べて油圧流路を簡素化することができる。
【0059】
実施の形態3.
図7に示す実施の形態3は、上記実施の形態2と次の構成が異なり、他は同様の構成としたものである。異なる構成は、ベースシリンダ1に設置された油圧制御棒4に換えて、筒壁に多数の貫通孔61が設けられた油圧制御筒60を設置した点や、第1の筒状プランジャ構成部材10の胴周部に設けられた筒状作動油タンク12の内周面を、前記の油圧制御筒60の外周面に摺接させ、当該油圧制御筒60の多数の貫通孔61の一部を塞ぎ他を開通状態のままとする摺接内周面62等を設けた点にある。
【0060】
以下、実施の形態3を図7乃至図10に基づいて説明する。図7は多段油圧緩衝装置の縦断面図、図8は筒状作動油タンク内周面の拡大斜視図、図9はプランジャの一段目の進入状態を示す縦断面図、図10はプランジャの二段目の進入状態を示す縦断面図である。尚、図1乃至図6と同一の符号は同一又は同等の内容のものである。
【0061】
図7において、60は油圧制御筒であり、円筒状の筒壁に多数の貫通孔61が設けられている。他方、第1の筒状プランジャ構成部材10の胴周部としての筒状作動油タンク12の内周面は、当該第1の筒状プランジャ構成部材10がベースシリンダ1に進入する際に、前記油圧制御筒60の外周面と摺接する内周面62に形成し、更に、当該内周面62には、軸方向に長くて面積の広い連通窓63を開設してある。
【0062】
次に、動作を説明する。
初期状態においては、図7に示すように、第1の筒状プランジャ構成部材10と第2の筒状プランジャ構成部材20とは、一体化手段40としての施錠装置41のピン43によって、一体的に仮固定されている。
今、何らかの異常によりエレベータかご(非図示)が、第2の筒状プランジャ構成部材20の頂部に衝突すると、図9に示すように、当該第2の筒状プランジャ構成部材20と第1の筒状プランジャ構成部材10とは一体となってベースシリンダ1内に押し下げられる。
【0063】
第1の筒状プランジャ構成部材10が押し下がると、ベースシリンダ1の内周面と油圧制御筒60の外周面との間の環状空間53内に、第1の筒状プランジャ構成部材10の筒状作動油タンク12が進入し、当該第1の筒状プランジャ構成部材10の内周面62が油圧制御筒60の外周面に摺接しつつ、当該内周面62によって油圧制御筒60の軸方向に間隔を置いて列設された多数の連通孔61(実施の形態2の軸方向列設連通孔32に相当)の一部が次第に塞がれていく一方で、その他の少なくない数の連通孔61が連通窓63によって開放されたままとなるため、ベースシリンダ1の環状空間53内の作動油2が、開放されている連通穴61から油圧制御筒60内に噴出する。
【0064】
環状空間53内の作動油2が連通穴61から油圧制御筒60内へと噴出するとき、環状空間53からの作動油2の流出速度は、流通可能な連通孔61の総開口面積によるが、この総開口面積は、筒状作動油タンク12の降下に伴って、作動油2が流通可能な連通孔61の数が次第に減少していくので、次第に小さくなる。こうして孔式オリフィス緩衝構造が実現できるので、要求された減衰力特性を得ることができる。
【0065】
環状空間53から連通穴61を経て筒内へ噴出した作動油2、及び、当初から油圧制御筒60内を満たしていた作動油2は、第1の筒状プランジャ構成部材10の筒状作動油タンク12の進入に伴って若干上昇するものの、進入してくる第1の筒状プランジャ構成部材10の軸芯空間13に流入し、更に連通窓63から空の筒状作動油タンク12内へと流入する。
図9において、こうして第1の筒状プランジャ構成部材10が下限ストッパー52まで下がった段階では、筒状作動油タンク12内は作動油2で満されると共に、油圧制御筒60の外周面が筒状作動油タンク12の内周面62で覆われ、当該内周面62の連通窓63と重なって、当該窓63に臨む位置の複数の連通孔61が新たな多孔オリフィスとして機能する。
【0066】
第1の筒状プランジャ構成部材10が下限ストッパー52まで下がる直前には、実施の形態2と同様に、一体化手段40としての施錠装置41のピン43が解錠装置49としてのカム板に接触して、係合孔としての差込孔42から抜けるので、図10に示すように、プランジャを構成する一体化されていた一方のプランジャ構成部材としての第1の筒状プランジャ構成部材10と他方のプランジャ構成部材としての第2の筒状プランジャ構成部材20との互いの固定が解除されて、第2の筒状プランジャ構成部材20が下降する。
【0067】
第2の筒状プランジャ構成部材20の胴周部21が下降するに伴い、筒状作動油タンク12から作動油2が流通可能な連通孔61の数が次第に減少していく。ここで筒状作動油タンク12内の作動油2の流出速度は、流通可能な連通孔61の総開口面積で制御できる。こうして多孔式オリフィス緩衝構造を実現することができるので、二段目として第2の筒状プランジャ構成部材20においても、要求される減衰力特性を得ることができる。
【0068】
その後、異常原因が取り除かれてエレベータかごが上昇すると、実施の形態1や2で説明したのと略同様の経過を経て、このエレベータ用多段油圧緩衝装置は元の状態に回復する。
【0069】
この実施の形態3によっても、上記実施の形態1や2と同様の作用効果を発揮することができる。
【0070】
実施の形態4.
実施の形態4は、実施の形態3のプランジャの一段目の第1の筒状プランジャ構成部材10と二段目の第2の筒状プランジャ構成部材20との間に、当該第1の筒状プランジャ構成部材10と実質的に同じ構成で、当該第1の筒状プランジャ構成部材10を相似的に小型化した筒状プランジャ構成部材10Aを軸方向に摺動可能に追加してプランジャを三段構成としたものである。これを図11に示す。図1乃至図10の符号と同じ符号は同一若しくは実質的に同一のものである。
【0071】
図11において、二段目のプランジャ構成部材としての筒状プランジャ構成部材10Aは、一段目の第1の筒状プランジャ構成部材10を実質的には相似的に小型化した構成であるが、第1の筒状プランジャ構成部材10の上端側周縁に解錠装置49が配設されている点が、上記実施の形態3の第1の筒状プランジャ構成部材10と異なる。
【0072】
この実施の形態4によれば、追加される筒状プランジャ構成部材10Aの施錠装置41に応じて、追加された筒状プランジャ構成部材10Aが進入する筒状プランジャ構成部材10に解錠装置49を適宜配設することで、この三段構成に限らず、更に、筒状プランジャ構成部材10B、10C・・・(非図示)として、追加することができ、三段以上のプランジャを構成することができる。
【0073】
又、この場合、筒状プランジャ構成部材10Aの筒状作動油タンク12の内周面62は、ベースシリンダ1の油圧制御筒60に先に嵌合している第1の筒状プランジャ構成部材10の筒状作動油タンク12の外周面に摺接しながら進入していくよう内径が大きく形成され、追加された筒状プランジャ構成部材10Aの連通窓63Aは筒状プランジャ構成部材10の連通窓63より小さく形成されているので、筒状プランジャ構成部材10Aが降下するに伴って、先の連通窓63と重なって油圧制御筒60の連通可能な連通孔61の数が更に減少される。
従って、この筒状プランジャ構成部材10Aの段が進入(作動)する際においても、所望のオリフィス効果を発揮させる構成とすることができる。
このように、この実施の形態4によれば、3段以上のプランジャ構成部材から成るプランジャを備えた多段油圧緩衝装置においても、各段毎にオリフィス効果を発揮させることができる。
【0074】
尚、上記実施の形態1乃至4では、各段プランジャ構成部材を一体的に仮固定する一体化手段として、油圧回路や施錠装置及び解除手段を用いて構成したが、これに限定されるものではなく、電磁石等を用いて適宜構成してもよい。
又、本発明に係る多段油圧緩衝装置は、エレベータ用に限らず、広く他の用途に用いることができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、プランジャを構成する各プランジャ構成部材の軸方向の長さとベースシリンダの軸方向長さとを略等しくすることができるので、装置全体の長さ(高さ)が短くなり、装置を小型化することができる。又、これにより、従来に比べて昇降路の床部を浅くすることができるので、昇降路の構築コストを低減させることができる。
【0076】
又、本発明によれば、一体化手段を用いて、プランジャを構成する各段のプランジャ構成部材を各々独立させて、各段のプランジャ構成部材を独自にオリフィス制御機能を備えた構成としたので、各段の減速動きが簡単となり、所望のオリフィス効果を発揮させるように設計することが容易となって、プランジャを構成する各段のプランジャ構成部材毎のオリフィスを制御し易く、緩衝効率に優れ、設計し易い、小型の多段油圧緩衝装置を提供することができる。
【0077】
又、本発明によれば、異常発生による作動後に自動復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の多段油圧緩衝装置の縦断面図である。
【図2】 実施の形態1のプランジャの一段目の進入状態を示す縦断面図である。
【図3】 実施の形態1のプランジャの二段目の進入状態を示す縦断面図である。
【図4】 実施の形態2の多段油圧緩衝装置の縦断面図である。
【図5】 実施の形態2のプランジャの一段目の進入状態を示す縦断面図である。
【図6】 実施の形態2のプランジャの二段目の進入状態を示す縦断面図である。
【図7】 実施の形態3の多段油圧緩衝装置の縦断面図である。
【図8】 内筒作動油タンクの内周面の斜視図である。
【図9】 実施の形態3のプランジャの一段目の進入状態を示す縦断面図である。
【図10】 実施の形態3のプランジャの二段目の進入状態を示す縦断面図である。
【図11】 実施の形態4の多段油圧緩衝装置の縦断面図である。
【図12】 従来の多段油圧緩衝装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ベースシリンダ、2 作動油、4 油圧制御棒、5 弾性部材(支承手段)、10 第1の筒状プランジャ構成部材(筒状プランジャ構成部材)、11 筒状作動油タンク(内)、12 筒状作動油タンク、13 軸芯空間(第1の筒状プランジャ構成部材)、16 油圧制御孔、20 第2の筒状プランジャ構成部材(筒状プランジャ構成部材)、21 胴周部、22 筒状作動油タンク、23 軸芯空間(第2の筒状プランジャ構成部材)30 一体化手段(油圧回路)、31 開閉弁、32 軸方向配列連通孔(常開連通孔)、33 周方向配列連通孔(連通孔)、34 連通孔開閉手段、35 作動油通路(常開油路手段)、40 一体化手段(施錠装置)、41 施錠装置、49 解錠装置、53 環状空間。
Claims (8)
- 作動油が充填されたベースシリンダと、当該ベースシリンダに進入する順次小径に形成されて軸方向に摺動可能に嵌合された複数の筒状プランジャ構成部材からなるプランジャとを備えた多段油圧緩衝装置において、
前記各筒状プランジャ構成部材は、先ずベースシリンダに、当該ベースシリンダに対して同軸で、かつ、複数の連通孔を持つ作動油タンクの内側の隔壁を備えた最大径の筒状プランジャ構成部材が進入し、以下、先に進入した筒状プランジャ構成部材の作動油タンクに次の筒状プランジャ構成部材が進入する度に、先に進入した筒状プランジャ構成部材の作動油タンクの内側の隔壁側で油圧抵抗を発生するように、隣合う筒状プランジャ構成部材を互いに摺動不能に仮固定すると共に、仮固定された一方の筒状プランジャ構成部材が進入すると仮固定が解除される一体化手段を備えたことを特徴とする多段油圧緩衝装置。 - 一体化手段は、隣合う筒状プランジャ構成部材の摺動を阻止する施錠装置であり、一体化された一方の筒状プランジャ構成部材が進入すると解除手段に接触して解除されることを特徴とする請求項1に記載の多段油圧緩衝装置。
- 筒状プランジャ構成部材は、隣合う筒状プランジャ構成部材を仮に固定化する一体化手段を備え、各一体化手段は、作動油の油圧回路で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の多段油圧緩衝装置。
- 各筒状プランジャ構成部材は、筒の胴周部が筒状作動油タンクであり、先に進入するプランジャ構成部材の筒状作動油タンクに次の相似的に小型のプランジャ構成部材の筒状作動油タンクを順に進入させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の多段油圧緩衝装置。
- 最後に進入する筒状プランジャ構成部材は、胴周部に筒状作動油タンクを有しないことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の多段油圧緩衝装置。
- 上部から下部に向って次第に径が拡大された油圧制御棒を軸芯に有すると共に作動油が充填された上端開放で有底のベースシリンダと、
前記ベースシリンダの上端開放側から当該ベースシリンダの軸方向に摺動可能に浅く嵌合され、深く進入する際に前記油圧制御棒が相対的に侵入する油圧制御孔を底に有すると共に、内周面に沿って内径方向に二重に設けられ作動油が充填された内外二つの筒状作動油タンクと上端開放の軸芯空間とを同軸的に有する第1の筒状プランジャ構成部材、及び当該第1の筒状プランジャ構成部材の上端開放側から当該第1の筒状プランジャ構成部材の外筒状作動油タンクに摺動可能に浅く嵌合された胴周部を有する上端閉鎖の第2の筒状プランジャ構成部材とを備えたプランジャと、
前記ベースシリンダの作動油が充填された内部と第1の筒状プランジャ構成部材の外筒状作動油タンクとを連通可能に閉鎖する開閉弁と、当該第1の筒状プランジャ構成部材の外筒状作動油タンクと内筒状作動油タンクとを仕切る隔壁に軸方向にわたって適当間隔を置いて開設された常開連通孔と、当該第1の筒状プランジャ構成部材の内筒状作動油タンクと軸芯空間とを仕切る隔壁に周方向に適当間隔をおいて開設された連通孔と、当該連通孔を常時には閉鎖する位置にあって当該第1の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間の軸方向に摺動可能に配設された連通孔開閉手段とから成り、
常時は前記連通孔開閉手段によって前記連通孔を閉じ、前記内外の筒状作動油タンクに作動油が封入された状態で第1と第2の筒状プランジャ構成部材を互いに摺動不能に仮に固定し、前記第1の筒状プランジャ構成部材が前記ベースシリンダの底面に接近したときに、前記連通孔開閉手段によって前記連通孔を開き、仮固定を解除する一体化手段と、
前記連通孔開閉手段によって軸方向に隔てられた第1の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間と第2の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間とを常時連通させる常開油路手段と、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材をベースシリンダに浅い嵌合状態に支える支承手段とを備えたことを特徴とする多段油圧緩衝装置。 - 上部から下部に向って次第に径が拡大された油圧制御棒を軸芯に有すると共に作動油が充填された上端開放で有底のベースシリンダと、
前記ベースシリンダの上端開放側から当該ベースシリンダの軸方向に摺動可能に浅く嵌合され、深く進入する際に前記油圧制御棒が相対的に侵入する油圧制御孔を底に有すると共に、胴周部に設けられた作動油が充填されていない筒状作動油タンクと上端開放の軸芯空間とを同軸的に有する第1の筒状プランジャ構成部材、及び当該第1の筒状プランジャ構成部材の上端開放側から当該第1の筒状プランジャ構成部材の筒状作動油タンクに摺動可能に浅く嵌合された胴周部を有する上端閉鎖の第2の筒状プランジャ構成部材とを備えたプランジャと、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材に第2の筒状プランジャ構成部材を浅い嵌合状態で仮に固定する一体化手段と、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材をベースシリンダに浅い嵌合状態に支える支承手段と、
非常時に、第1の筒状プランジャ構成部材がベースシリンダに進入していく際に、ベースシリンダから第1の筒状プランジャ構成部材の軸芯空間に流入した作動油を当該第1の筒状プランジャ構成部材の筒状作動油タンクに流入させるため当該筒状作動油タンクに筒体の軸方向に適当数設けられた常開連通孔と、
第1の筒状プランジャ構成部材がベースシリンダ下限にまで進入する直前に、前記一体化手段による第1の筒状プランジャ構成部材と第2の筒状プランジャ構成部材との仮固定を解除する解除手段とを備えたことを特徴とする多段油圧緩衝装置。 - 筒壁を貫通する多数の連通孔が設けられた油圧制御筒を軸芯に同軸で有すると共に作動油が充填された上端部開放で有底のベースシリンダと、
前記ベースシリンダの上端部側から当該ベースシリンダの内周面と前記油圧制御筒との間の環状空間に摺動可能に浅く嵌合され、深く進入する際に前記油圧制御筒の外周面に摺接して、油圧制御筒の多数の貫通孔の一部を塞ぎ他を開通状態のままとする摺接壁面を有する作動油が充填されていない上端部開放の筒状作動油タンクを胴周部として有する第1の筒状プランジャ構成部材、及び前記第1の筒状プランジャ構成部材の上端部側から筒状作動油タンクに摺動可能に浅く嵌合された胴周部を有する第2の筒状プランジャ構成部材とを備えたプランジャと、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材に第2の筒状プランジャ構成部材を仮固定する一体化手段と、
常時には第1の筒状プランジャ構成部材をベースシリンダに浅い嵌合状態に支える支承手段と、
第1の筒状プランジャ構成部材がベースシリンダ下限まで進入する直前に、前記一体化手段による第1の筒状プランジャ構成部材と第2の筒状プランジャ構成部材との仮固定を解除する解除手段とを備えたことを特徴とする多段油圧緩衝装置。
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