JP3795096B2 - 直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置及びその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、直線案内テーブル等の直線案内機構においてその軌道レールに沿って配設される駆動用のねじ軸について、その軌道レールに対する取付誤差を吸収するための直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、NCマシン等の工作機械のワーク送りや自動生産ラインにおけるテーブル移動等で用いられる直線案内テーブルにおいては、その送り機構としてモーター等による回転運動を直線運動に変換するボールねじが多用されている。
【0003】
そして、このボールねじは、直線案内テーブルの軌道レールと平行に配設されるねじ軸と、このねじ軸に螺合し、直線案内テーブルのテーブルに取り付けられた駆動用ナットとで構成され、ねじ軸を回転させることで軌道レールに沿ってテーブルを直線案内する機構になっている。
【0004】
このため、直線案内テーブルにその送り機構としてボールねじを組み込む場合には、軌道レールとねじ軸との間の平行出しを厳密に行うと共に、ねじ軸と駆動用ナットとの間の芯出しも厳密に行う必要があり、これら平行出しや芯出しの作業に多大な時間と労力とを必要とする。
【0005】
すなわち、上記平行出しや芯出しが不十分であると、ねじ軸と駆動用ナットとの間、駆動用ナットとテーブルとの間、テーブルと軌道レールとの間に偏荷重やこじれ等が発生し、ねじ軸によるテーブルの送り精度が損なわれるだけでなく、ボールねじの寿命を損ね、また、テーブルに組み込まれるボールベアリングや軌道レールの寿命をも損ねるという問題が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、直線案内テーブル等の直線案内機構においてその送り機構としてボールねじを組み込む場合に、厳密な平行出しや芯出しが要求されず、しかも、送り精度や寿命が損なわれるという問題も発生しない直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、このようなねじ軸取付誤差吸収装置を安価に製造することができる製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、送り機構としてねじ軸を備えた直線案内機構の駆動側と従動側との間に取り付けられるねじ軸取付誤差吸収装置であり、外周面には上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面を有し、これら各平行側面には互いに所定の間隔を置いて一対のボールが固着され、従動側に固定される従動側ブラケットと、中央部にはねじ軸が遊嵌する貫通孔を有すると共に、外周面には4個のボールが互いに所定の位置関係で固着された中間ブラケットと、中央部には上記ねじ軸に螺合する駆動用ナットが取り付けられるナット取付孔を有すると共に、外周面には上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面を有し、これら各平行側面には互いに所定の間隔を置いて一対のボールが固着された駆動側ブラケットと、ボールを中子とするダイキャスト鋳造で形成され、上記従動側ブラケットの各平行側面に固着された一対のボールと上記中間ブラケットの互いに相対する位置に固着された一対のボールのうちの一方とがボール受部内に回動可能に保持された一対の従動側ヨークと、ボールを中子とするダイキャスト鋳造で形成され、上記駆動側ブラケットの各平行側面に固着された一対のボールと上記中間ブラケットの互いに相対する位置に固着された一対のボールのうちの一方とがボール受部内に回動可能に保持された一対の駆動側ヨークとを備えている直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置である。
【0009】
また、本発明は、送り機構としてねじ軸を備えた直線案内機構の駆動側と従動側との間に取り付けられるねじ軸取付誤差吸収装置の製造法であり、上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面にそれぞれ2個のボールが固着された従動側ブラケットと、中央部にねじ軸が遊嵌する貫通孔を有すると共に外周面には4個のボールが互いに所定の位置関係で固着された中間ブラケットと、中央部に駆動用ナットのナット取付孔を有すると共に上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面にそれぞれ2個のボールが固着された駆動側ブラケットと、従動側ブラケットの各平行側面に固着された2個のボール及び中間ブラケットに固着された1個のボールのための3つのボール受部を有する一対の従動側ヨークと、駆動側ブラケットの各平行側面に固着された2個のボール及び中間ブラケットに固着された1個のボールのための3つのボール受部を有する一対の駆動側ヨークとを備えたねじ軸取付誤差吸収装置を製造するに際し、3個のボールをボール受部の中子とするヨーク製造金型でボール受部内にボールが保持されたヨークを成形し、一対の従動側ヨークの各ボールと従動側ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接すると共に、一対の従動側ヨークの各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接し、また、一対の駆動側ヨークの各ボールと駆動側ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接すると共に、一対の駆動側ヨークの各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接し、これら各プロジェクション溶接の操作の前あるいは後に各ボールと各ボール受部との間に隙間を形成するねじ軸取付誤差吸収装置の製造法である。
【0010】
本発明において、従動側ブラケットは、例えば直線案内テーブルにおいてその軌道レールに摺動可能に取り付けられて直線案内されるテーブルに固定されるものであり、その外周面に少なくとも一対の互いに平行な平行側面を有し、これら各平行側面には従動側ヨークに形成される一対のボール受部内に回動可能に収容される一対のボールが互いに所定の間隔を置いて固着されている。
【0011】
また、駆動側ブラケットは、例えば直線案内テーブルにおいてそのテーブルの送り機構として取り付けられるねじ軸に螺合する駆動用ナットが固定されるものであり、その中央部には駆動用ナットを取り付けるためのナット取付孔を有すると共に、このナット取付孔を間に挟んで外周面に形成された一対の互いに平行な平行側面には駆動側ヨークに形成される一対のボール受部内に回動可能に収容される一対のボールが互いに所定の間隔を置いて固着されている。
【0012】
そして、これら従動側ブラケット及び駆動側ブラケットについては、それがその外周面に少なくとも一対の互いに平行な平行側面を有するものであればどのような形状であってもよいが、通常、正方形や長方形等の矩形状に形成され、また、従動側ブラケットの中央部に駆動側ブラケットのナット取付孔と同様の開口が設けられていても特に支障がないので、好ましくはこれら従動側ブラケットと駆動側ブラケットとは同じ形状、大きさに形成される。
【0013】
上記従動側ブラケットと駆動側ブラケットとの中間に位置する中間ブラケットは、その中央部にねじ軸が干渉すること無く貫通する貫通孔を有すると共に、その外周面には従動側ブラケットから延びる一対の従動側ヨーク及び駆動側ブラケットから延びる一対の駆動側ヨークのボール受部内にそれぞれ回動可能に収容された4個のボールが所定の位置関係、通常は互いに順次90度づつ離れた位置関係で固着されている。
【0014】
そして、この中間ブラケットの形状や大きさは、特に限定されるものではないが、好ましくは、従動側ブラケットから延びる一対の従動側ヨークが互いに平行になり、また、駆動側ブラケットから延びる一対の駆動側ヨークが互いに平行になるようにするのが望ましく、通常は正方形や長方形、あるいは円形に形成される。
【0015】
上記従動側ブラケット、駆動側ブラケット及び中間ブラケットにおいて、その外周面に固着される各ボールについては、それがどのような方法で固着されていてもよいが、好ましくはボールの真球度が維持されるプロジェクション溶接により固着されているのがよい。
【0016】
本発明において、一対の従動側ヨーク及び一対の駆動側ヨークは、従動側あるいは駆動側に固着されるボールをボール受部の中子とするヨーク製造金型を用い、アルミや亜鉛等のダイキャスト、剛性を有する硬質プラスチックによるプラスチック、焼結金属等で形成される。
【0017】
これら一対の従動側ヨーク及び一対の駆動側ヨークの形状や大きさについては、一対の従動側ヨークがあるいは一対の駆動側ヨークがそれぞれ互いに同じであれば特に制限はないが、1つのヨーク製造金型を用いて従動側ヨークと駆動側ヨークの両者を製造できるように、全ての従動側ヨーク及び駆動側ヨークの形状や大きさが同じであることが望ましい。
【0018】
本発明のねじ軸取付誤差吸収装置の製造法については、基本的には、▲1▼3個のボールをボール受部の中子とするヨーク製造金型でボール受部内にボールが保持されたヨークを成形するヨーク製造工程、▲2▼一対の従動側ヨークの各ボールと従動側ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接する従動側溶接工程、▲3▼一対の従動側ヨークの各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接する従動側中間ブラケット溶接工程、▲4▼一対の駆動側ヨークの各ボールと駆動側ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接する駆動側溶接工程、▲5▼一対の駆動側ヨークの各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接する駆動側中間ブラケット溶接工程、▲6▼これら▲2▼〜▲5▼の各溶接工程におけるプロジェクション溶接の前あるいは後に各ヨークのボール受部内に鋳込んだ各ボールと各ボール受部との間に隙間を形成する隙間形成工程から構成されている。
【0019】
上記ヨーク製造工程▲1▼については、アルミや亜鉛等のダイキャスト溶融金属を用いるダイキャスト鋳造、剛性を有する硬質プラスチックによるプラスチック成形、焼結金属を用いる焼結金属鋳造等があるが、使用時におけるヨークの耐荷重性の観点から、好ましくは、3個のボールをボール受部の中子としてヨーク鋳造金型内にセットし、このヨーク鋳造金型内にダイキャスト溶融金属を鋳込んでボール受部内にボールが保持されたヨークを鋳造するダイキャスト鋳造である。
【0020】
そして、上記各溶接工程▲2▼〜▲5▼の順序については、特に制限されるものではなく、これら各溶接工程▲2▼〜▲5▼について溶接し易い順序を選択してその順序に従って順次行ってもよく、また、従動側溶接工程▲2▼と駆動側溶接工程▲4▼を行った後に従動側中間ブラケット溶接工程▲3▼と駆動側中間ブラケット溶接工程▲5▼とを同時に行ってもよく、更には、プロジェクション溶接の際の治具を工夫することによりこれら全ての溶接工程▲2▼〜▲5▼を同時に行ってもよい。
【0021】
このプロジェクション溶接については、重ねプロジェクション溶接等の方法もあるが、好ましくは突き合わせプロジェクション溶接であり、また、この突き合わせプロジェクション溶接で各ブラケットと各ボールとの間を溶接した後に、そのままの電極接続状態で再度電流を通電し、溶接部分に焼き戻処理を行うのがよい。
【0022】
これら▲2▼〜▲5▼の各溶接工程におけるプロジェクション溶接の前あるいは後に各ヨークのボール受部内に鋳込んだ各ボールと各ボール受部との間に隙間を形成する隙間形成工程では、これら各ボールと各ボール受部との間に外力を付与して行うもので、具体的には、各ボール周辺のボール受部の外周を軽く叩いたり、ロール等で押圧したり、あるいは、各ヨークを固定して各ボールに振動を与える等の方法により外力を作用させる。
【0023】
【作用】
本発明においては、各ブラケットと各ヨークとの間がブラケットに固着されたボールを介して揺動可能に連結されているので、各ブラケットに対して各ヨークが所定の範囲内で揺動可能であり、これによって従動側ブラケットが取り付けられる従動側の軌道レールとこの軌道レールと平行に取り付けられるねじ軸との間に平行出しや芯出しの上で若干の取付誤差があってもこれを吸収することができる。
【0024】
このため、軌道レールに対してねじ軸にその平行出しや芯出しで僅かな取付誤差があっても、それに基づく駆動用ナットの位置ずれに対応してヨークが円滑に揺動し、その応答性に優れ、送り方向のずれも発生せず、ねじ軸の回転に対する駆動用ナットの移動にずれや異常抵抗がほとんどない。それ故、直線案内機構においてその送り機構としてボールねじを組み込む場合に厳密な平行出しや芯出しが要求されず、しかも、送り精度や寿命が損なわれるという問題も発生しない。
【0025】
また、本発明の製造法においては、各ボールを中子として各ヨークをヨーク製造金型で成形し、また、各ヨークのボール受部内に収容されたボールと各ブラケットとの間をプロジェクション溶接で溶接するので、真球度の高いボールを使用してその真球度を維持することができ、また、ボールの真球度をボール受部に反映させてこのボール受部でボールを正確に保持させることができる。
【0026】
このため、本発明の製造法で製造されたねじ軸取付誤差吸収装置によれば、駆動用ナットの位置ずれに対応してヨークが円滑に揺動し、その応答性に優れ、送り方向のずれも発生せず、また、製造工程の簡略化を図ることもできる。
【0027】
【実施例】
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
図1及び図2において、本発明の実施例に係る直線案内テーブルTのねじ軸取付誤差吸収装置Sが示されている。
【0028】
このねじ軸取付誤差吸収装置Sは、軌道レールaと、この軌道レールaに摺動可能に取り付けられて直線案内されるテーブルbと、このテーブルbに取り付けられた駆動用ナットcと、この駆動用ナットcに螺合して上記テーブルbを軌道レールaに沿って移動させるねじ軸dとを備えた直線案内テーブルTに組み込まれるもので、基本的には、互いに平行な平行側面1aにそれぞれ2個のボール6aが突き合わせプロジェクション溶接で固着されたテーブル側ブラケット1と、中央部にねじ軸dが遊嵌する貫通孔2aを有すると共に外周面には4個のボール6bが突き合わせプロジェクション溶接により互いに順次90度づつ離れた位置関係で固着された円形状の中間ブラケット2と、中央部に駆動用ナットcのナット取付孔3bを有すると共に互いに平行な平行側面3aにそれぞれ2個のボール6cが突き合わせプロジェクション溶接で固着されたナット側ブラケット3と、テーブル側ブラケット1の各平行側面1aに固着された2個のボール6a及び中間ブラケット2に固着された1個のボール6bのための3つのボール受部4aを有する一対のテーブル側ヨーク4と、ナット側ブラケット3の各平行側面3aに固着された2個のボール6c及び中間ブラケット2に固着された1個のボール6bのための3つのボール受部5aを有する一対のナット側ヨーク5とで構成されている。
【0029】
この実施例において、上記テーブル側ブラケット1とナット側ブラケット3については、共に中央部に透孔を有する長方形ブロック状に形成されていると共にこれらブラケット1,3をそれぞれテーブルbや駆動用ナットcに取り付けるための4つの取付孔7が設けられ、両者は全く同じ形状に形成されている。
【0030】
また、上記テーブル側ヨーク4とナット側ヨーク5についても、何れもダイキャスト鋳造により同じ大きさの3つのボールを所定の位置に鋳込んで形成され、何れも同じ形状及び大きさに形成されている。
【0031】
次に、このねじ軸取付誤差吸収装置Sの製造法について説明する。
先ず、図3及び図4に示すように、機械加工により、中央部に透孔(ナット側ブラケット3になるものについてはこの透孔がナット取付孔3bとなる)を有すると共に4つの取付孔7が穿設された長方形ブロック状のブラケット1,3と、中央部に貫通孔2aを有する円形のブラケット2をそれぞれ形成する。
【0032】
次に、図5〜図7に示すように、3つのボール6a,6a,6b(又は6c,6c,6b)を中子とするヨーク鋳造金型8a,8bのキャビティ9内にダイキャスト溶融金属を鋳込み、3つのボール6a,6a,6b(又は6c,6c,6b)が保持された4つのヨーク4,5を鋳造する。
【0033】
そして、これら鋳造された4つのヨーク4,5について、そのボール受部4a,5aの外周を軽くを叩いて外力を作用させ、ボール受部4a,5aとボール6a,6a,6b(又は6c,6c,6b)との間に微小な隙間を形成し、ボール受部4a,5aの中でボール6a,6a,6b(又は6c,6c,6b)が回転できるようにする。
【0034】
このようにして製造されたテーブル側ブラケット1と一対のテーブル側ヨーク4とを用い、図8に示すように、図示外の治具を用いて一対のテーブル側ヨーク4のボール受部4a内に回転可能に保持された4つのボール6aの間にテーブル側ブラケット1を挟み込み、このテーブル側ブラケット1の平行側面1aの所定の位置と4つのボール6aとの間を突き合わせ、これらテーブル側ブラケット1と4つのボール6aとの間に溶接電流を通電して突き合わせプロジェクション溶接を行い、テーブル側ブラケット1の互いに平行な平行側面1aに一対のテーブル側ヨーク4が取り付けられた従動側中間品10aを製造する。
【0035】
また、上で製造されたナット側ブラケット3と一対のナット側ヨーク5とを用い、図8に示すように上記と同様の操作により、ナット側ブラケット3の互いに平行な平行側面3aに一対のテーブル側ヨーク5が取り付けられた駆動側中間品10bを製造する。
【0036】
更に、このようにして製造された従動側中間品10aの各テーブル側ヨーク4に鋳込まれたボール6bの間に中間ブラケット2を挟み込み、これらボール6bと中間ブラケット2とを突き合わせてこれらの間に溶接電流を通電して突き合わせプロジェクション溶接を行い、テーブル側ブラケット1、一対のテーブル側ヨーク4及び中間ブラケット2が結合された半製品11を製造する。
【0037】
このようにして製造された半製品11と上で製造された駆動側中間品10bとを用い、図10に示すように、半製品11のテーブル側ブラケット1及び一対のテーブル側ヨーク4が邪魔にならないようにしながら、駆動側中間品10bの各ナット側ヨーク5に鋳込まれたボール6bの間に半製品11の中間ブラケット2を挟み込み、この際に従動側中間品10aと駆動側中間品10bとが中間ブラケット2の円周上でちょうど90度ずれた位置関係に固定し、各ナット側ヨーク5のボール6bと中間ブラケット2とを突き合わせてこれらの間に溶接電流を通電して突き合わせプロジェクション溶接を行い、ねじ軸取付誤差吸収装置Sを製造する。
【0038】
この実施例では、テーブル側ブラケット1と一対のテーブル側ヨーク4との間のプロジェクション溶接をして従動側中間品10aを製造し、また、ナット側ブラケット3と一対のナット側ヨーク5との間のプロジェクション溶接をして駆動側中間品10bを製造し、次いで、従動側中間品10aと中間ブラケット2との間のプロジェクション溶接を行って半製品11を製造し、最後に、この半製品11と中間ブラケット2との間のプロジェクション溶接を行ってねじ軸取付誤差吸収装置Sを製造しているが、これに限定されるものではなく、従動側中間品10a及び駆動側中間品10bと中間ブラケット2との間のプロジェクション溶接を同時に行ってもよく、更には、適当な治具を用いてテーブル側ブラケット1、一対テーブル側ヨーク4、ナット側ブラケット3、一対のナット側ヨーク5及び中間ブラケット2との間の全てのプロジェクション溶接を同時に行うようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明のねじ軸取付誤差吸収装置によれば、直線案内機構に組み込まれ、従動側の軌道レールとねじ軸との間に平行出しや芯出しの上で若干の取付誤差があってもこれを吸収することができる。
【0040】
また、本発明のねじ軸取付誤差吸収装置の製造法によれば、各ヨークのボール受部内に収容されたボールとして真球度の高いボールを使用し、その真球度を維持することができ、また、ボールの真球度をボール受部に反映させてこのボール受部でボールを正確に保持させることができるので、駆動用ナットの位置ずれに対応してヨークが円滑に揺動し、その応答性に優れ、送り方向のずれも発生せず、ねじ軸の回転に対する駆動用ナットの移動にずれや異常抵抗がほとんどなく、直線案内機構にその送り機構としてボールねじを組み込む場合に厳密な平行出しや芯出しが要求されず、しかも、送り精度や寿命が損なわれるという問題も発生しない。
【0041】
更に、本発明のねじ軸取付誤差吸収装置の製造法によれば、各ボールを中子として各ヨークをヨーク製造金型で成形し、また、各ヨークのボール受部内に収容されたボールと各ブラケットとの間をプロジェクション溶接で溶接するので、製造工程の簡略化を図ることができ、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例に係る直線案内テーブルのねじ軸取付誤差吸収装置を示す斜視説明図である。
【図2】 図2は、図1の分解組立図である。
【図3】 図3は、図1のテーブル側ブラケット及びナット側ブラケットに用いるブラケットの説明図である。
【図4】 図4は、図1の中間ブラケットの説明図である。
【図5】 図5は、図1のテーブル側ヨーク及びナット側ヨークを鋳造するヨーク鋳造金型の要部を示す断面説明図である。
【図6】 図6は、図5のヨーク鋳造金型で鋳造されたテーブル側ヨーク及びナット側ヨークを示す斜視説明図である。
【図7】 図7は、図6のVII-VII 線断面説明図である。
【図8】 図8は、図3のテーブル側ブラケット(ナット側ブラケット)に図6及び図7のテーブル側ヨーク(ナット側ヨーク)をプロジェクション溶接で接合して得られた従動側中間品(駆動側中間品)を示す部分断面説明図である。
【図9】 図9は、図8の従動側中間品に図4の中間ブラケットをプロジェクション溶接で接合して得られた中間品を示す説明図である。
【図10】 図10は、図9の中間品に図8の駆動側中間品をプロジェクション溶接で接合して得られた製品を示す説明図である。
【符号の説明】
T…直線案内テーブル(直線案内機構)、S…ねじ軸取付誤差吸収装置、
a…軌道レール、b…テーブル(従動側)、c…駆動用ナット、d…ねじ軸、
1…テーブル側ブラケット(従動側ブラケット)、 1a…平行側面、
2…中間ブラケット、 2a…貫通孔、
3…ナット側ブラケット(駆動側ブラケット)、3a…平行側面、
3b…ナット取付孔、4…テーブル側ヨーク(従動側ヨーク)、
4a…ボール受部、5…ナット側ヨーク(駆動側ヨーク)、
5a…ボール受部、 6a,6b,6c…ボール、7…取付孔、
8a,8b…ヨーク鋳造金型、9…キャビティ、10a…従動側中間品、
10b…駆動側中間品、11…製品中間品。
Claims (6)
- 送り機構としてねじ軸を備えた直線案内機構の駆動側と従動側との間に取り付けられるねじ軸取付誤差吸収装置であり、外周面には上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面を有し、これら各平行側面には互いに所定の間隔を置いて一対のボールが固着され、従動側に固定される従動側ブラケットと、中央部にはねじ軸が遊嵌する貫通孔を有すると共に、外周面には4個のボールが互いに所定の位置関係で固着された中間ブラケットと、中央部には上記ねじ軸に螺合する駆動用ナットが取り付けられるナット取付孔を有すると共に、外周面には上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面を有し、これら各平行側面には互いに所定の間隔を置いて一対のボールが固着された駆動側ブラケットと、ボールを中子とするダイキャスト鋳造で形成され、上記従動側ブラケットの各平行側面に固着された一対のボールと上記中間ブラケットの互いに相対する位置に固着された一対のボールのうちの一方とがボール受部内に回動可能に保持された一対の従動側ヨークと、ボールを中子とするダイキャスト鋳造で形成され、上記駆動側ブラケットの各平行側面に固着された一対のボールと上記中間ブラケットの互いに相対する位置に固着された一対のボールのうちの一方とがボール受部内に回動可能に保持された一対の駆動側ヨークとを備えていることを特徴とする直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置。
- 直線案内機構が軌道レールと、この軌道レールに摺動可能に取り付けられて直線案内されるテーブルと、このテーブルに取り付けられた駆動用ナットと、この駆動用ナットに螺合して上記テーブルを軌道レールに沿って移動させるねじ軸とを備えた直線案内テーブルであり、また、従動側がテーブル側であって駆動側がナット側であり、軌道レールとねじ軸との間の取付誤差を吸収する請求項1に記載の直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置。
- 従動側ブラケット及び駆動側ブラケットの各ボールがそれぞれプロジェクション溶接で固着されている請求項1又は2に記載の直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置。
- 送り機構としてねじ軸を備えた直線案内機構の駆動側と従動側との間に取り付けられるねじ軸取付誤差吸収装置の製造法であり、上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面にそれぞれ2個のボールが固着された従動側ブラケットと、中央部にねじ軸が遊嵌する貫通孔を有すると共に外周面には4個のボールが互いに所定の位置関係で固着された中間ブラケットと、中央部に駆動用ナットのナット取付孔を有すると共に上記ねじ軸の軸方向に平行であって少なくとも一対の互いに平行な平行側面にそれぞれ2個のボールが固着された駆動側ブラケットと、従動側ブラケットの各平行側面に固着された2個のボール及び中間ブラケットに固着された1個のボールのための3つのボール受部を有する一対の従動側ヨークと、駆動側ブラケットの各平行側面に固着された2個のボール及び中間ブラケットに固着された1個のボールのための3つのボール受部を有する一対の駆動側ヨークとを備えたねじ軸取付誤差吸収装置を製造するに際し、3個のボールをボール受部の中子とするヨーク製造金型でボール受部内にボールが保持されたヨークを成形し、一対の従動側ヨークの各ボールと従動側ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接すると共に、一対の従動側ヨークの各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接し、また、一対の駆動側ヨークの各ボールと駆動側ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接すると共に、一対の駆動側ヨークの各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電してプロジェクション溶接し、これら各プロジェクション溶接の操作の前あるいは後に各ボールと各ボール受部との間に隙間を形成することを特徴とするねじ軸取付誤差吸収装置の製造法。
- 従動側ブラケット、中間ブラケット及び駆動側ブラケットを形成する工程と、3個のボールをボール受部の中子とするヨーク製造金型でボール受部内にボールが保持された二対のヨークを成形すると共に、これら各ボールと各ボール受部との間に隙間を形成する工程と、一対の従動側ヨークの各ボールと従動側ブラケットとの間に溶接電流を通電しプロジェクション溶接して従動側中間品を製造する工程と、一対の駆動側ヨークの各ボールと駆動側ブラケットとの間に溶接電流を通電しプロジェクション溶接して駆動側中間品を製造する工程と、従動側又は駆動側の一方の中間品の各ボールと中間ブラケットとの間に溶接電流を通電しプロジェクション溶接して半製品を製造する半製品製造工程と、従動側又は駆動側の他方の中間品の各ボールと半製品の中間ブラケットとの間に溶接電流を通電しプロジェクション溶接して製品を完成させる工程とからなる請求項4に記載のねじ軸取付誤差吸収装置の製造法。
- 3個のボールをボール受部の中子としてヨーク鋳造金型内にセットし、このヨーク鋳造金型内にダイキャスト溶融合金を鋳込んでボール受部内にボールが保持されたヨークを鋳造する請求項4又は5に記載のねじ軸取付誤差吸収装置の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07652395A JP3795096B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 直線案内機構のねじ軸取付誤差吸収装置及びその製造法 |
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