JP3794663B2 - 無線通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システム、加入者用無線機及び無線通信方法に係り、特に大容量の情報を車などで移動する加入者に伝送する無線通信システム、加入者用無線機及び無線通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信の普及に伴い、屋外での通信への要求が高まっている。その一つとして、車での移動中の通信も盛んになっているが、インターネット等を通じて画像や実行型ファイルなどのアプリケーションにアクセスするには、携帯電話などの現在の移動通信システムでは、伝送容量が不足している。そこで、次世代携帯電話システムなどが検討されている。
【0003】
しかし、検討中のシステムにおいても10Mbps 程度が目標で、将来の大容量マルチメディア通信に対して、十分な容量とは言えないし、また、利用者の分布を一様に仮定しているので、自動車道の様に、システム加入者の密度が濃く、かつ、一様な動きをする環境の下では、特定の基地局に負荷が集中して、一部の加入者しかサービスを受けられない状況が生じ易い。そこで、特に自動車専用道路などでは、専用の無線通信システムを設置することが検討されている。
【0004】
自動車道での専用通信システムとしては、漏洩同軸を用いた情報提供システムがある。これは、漏洩同軸が設置された場所でのみ、交通情報などが受信できるものである。しかし、高い周波数や高電力の伝送が難しいので、大容量の伝送には向かないし、車側から、要求をする上り回線の設定もなかった。
【0005】
データ通信のための専用の無線通信システムには、センターからの情報に加えて、加入者から要求されたサービスもマルチメディア形式で伝送できる十分な伝送容量が必要となる。これを実現するために、準ミリ波やミリ波の高い周波数を利用する無線システムが検討されている。
【0006】
しかし、準ミリ波やミリ波を用いた通信は、装置の性能や降雨減衰を受け易いなどの特性のために、その通信可能範囲が狭い。そのため、多数の基地局が必要になるが、それを個別に管理・制御するのは困難なので、しかも、装置の価格も高いため、基地局を疎にしか配置できない。このため加入者とシステムとの通信が間欠的なものとなる。また、加入者の利用する車は、刻々と移動するため、車とシステムの間の通信の接続ができている時間も短い。従って、特に高速道路に用いた場合、ある一連の通信を行なうのに、一回の通信の接続の間に終了せずに、数回、数十回と接続と断を繰り返しながら通信を進めていくことになる。また、該一連の通信が行われる或るサブシステム内には、複数の車(加入者)が、相互に関係ないタイミング,スピードで走行しており、これらの同期していない(非同期な)加入者に対して通信を提供することになる。
【0007】
ところが、従来の移動通信では、この様な非同期な加入者が存在し繰り返し的にしか通信ができない環境は想定していないので、その上で使用されていた従来のデータ通信方式も、通信が間欠的になるシステムではうまく動作しないという問題が生じる。
【0008】
例えば、(1) 基地局から加入者へデータ転送中に突然加入者からの応答がなくなれば、基地局は再送を行なうが、加入者が通信できる区域から外れている間に再送をするのは、無駄な通信となる。(2) また加入者が情報のリクエストをした場合、加入者がそのリクエストが行われた基地局の通信可能範囲で情報を受けとることができるとは限らない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、従来の移動通信では、準ミリ波やミリ波を使用し加入者が非同期に存在し、しかもそれぞれが繰り返し的にしか通信ができない環境は想定していないので、その上で使用されていた従来のデータ通信方式も、通信が間欠的になるシステムではうまく動作しないという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題を解決するために、加入者が非同期に存在するシステムにおいても、そしてその中でも特に間欠的にしか通信できないシステムにおいても、加入者に効率的にかつスムーズにしかも確実な通信を行うことができる無線通信システム、加入者用無線機及び無線通信方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、請求項1に記載したように、無線通信システム全体をコントロールするセンターと、移動する加入者用無線機と無線信号を送受信する基地局と、複数の基地局を光ファイバなどの広帯域通信手段で収容し、情報信号の送受信を行なう制御局と、センターと制御局とを接続するセンター・制御局間網とを有する無線通信システムにおいて、
前記加入者用無線機は、前記基地局のいずれかを介して受信すべき情報の要求を行う情報リクエスト信号を送信し、
前記制御局が、前記要求を行なった加入者用無線機に対し前記基地局を介して該情報リクエスト信号が示す要求に対する情報を送信する場合には、
前記制御局は、前記基地局のうちの前記加入者用無線機と通信可能な基地局を介して、前記情報リクエスト信号が示す要求に対する情報が準備できたことを示す転送準備完了信号を該加入者用無線機に送信し、
当該加入者用無線機は前記転送準備完了信号を受信した後に、前記基地局のいずれかを介して当該加入者用無線機が受信できることを示す受信可信号を前記制御局に送信し、
該受信可信号を受信した前記制御局は、前記基地局のうちの当該加入者用無線機と通信可能な基地局を介して、前記情報リクエスト信号が示す要求に対する情報を当該加入者用無線機に送信することを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明においては、加入者側の通信装置が受信可能状態にあることを、制御局に通知することにより、制御局からのデータ転送を加入者側から制御できるようにしたものである。これにより、間欠的にしか通信できないシステムにおいても、効率的な通信が可能となる。
【0013】
第2の発明は、請求項2に記載したように、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記加入者用無線機は、当該加入者用無線機前記基地局の通信可能範囲に侵入したことを検出する機能をさらに有し、当該加入者用無線機が受信可信号を送信するタイミングは、当該加入者用無線機前記基地局の通信可能範囲に侵入したことを検出したタイミングに基づいて行われることを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明においては、基地局と基地局との間に不感帯があり、移動する加入者が複数の基地局との間で間欠的にしか通信を行えないシステムにおいて、加入者が基地局の通信可能範囲に侵入したことを検出したとき、或いはその検出タイミングに基づいて計測した時間(基地局と通信可能な残り時間があるとき)に、加入者が受信可信号を制御局に転送する。それに応じて、制御局は特定の加入者が通信可能範囲に居るときに該加入者に対して情報を伝送することができる。
【0015】
第3の発明は、請求項3に記載したように、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記制御局は、前記加入者用無線機が送信した要求情報を無線用信号に変換する一方、該加入者用無線機から上りチャネルを用いて間欠送信される当該加入者用無線機のID及び走行速度の値を受信し、前記基地局の中から加入者用無線機が予め定められた時間内にその近傍を通ると予測される1つあるいは複数の基地局を決定し、この決定した基地局を介して前記無線用信号を送信する機能を有することを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明においては、移動する加入者の通信装置から加入者のID及び移動速度を送信し、制御局がこれを受信して複数の基地局の中から送信に最適な基地局を決定することにより、システム側で基地局−制御局間で協調して、加入者との通信を確実にかつスムーズにしかも継続的に行えるようにすることができる。
【0017】
第4の発明は、請求項4に記載したように、無線通信システム全体をコントロールするセンターと、無線信号を送受信する基地局と、複数の基地局を光ファイバなどの広帯域通信手段で収容し、情報信号の送受信を行なう制御局と、センターと制御局とを接続するセンター・制御局間網とを有する無線通信システムにおける加入者用無線機において、
前記基地局のいずれかに対して、情報リクエスト信号とIDを送信し、その後通信可能な基地局から前記情報リクエスト信号に対する情報の転送準備完了を示す信号を受信した場合には、直ちに、或いは、所定の規則により算出した時間経った後に、前記無線通信システムが有する上りチャネルを用いて、前記基地局のいずれかに対し受信可を示す信号とIDを間欠的に送信するとともに、該無線通信システムが有する下りチャネルを用いて、通信可能な基地局からリクエストした情報を含む信号を受信する機能を有することを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明によれば、加入者からの情報リクエストに対して、加入者側の通信装置は制御局から該リクエストに対応した情報を効率良く確実に受信することができる。
【0019】
第5の発明は、請求項5に記載したように、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記制御局は、或る広帯域通信手段で収容されている一連の基地局が対象とするサービス範囲の中の複数の加入者用無線機に対して該制御局が同報する情報信号について、その情報信号をパケット化し複数回送出する機能をさらに有し、あるいは、該情報信号が複数のパケットになる場合は、さらに、該パケットをランダムな順番で、かつ、それぞれのパケットを複数回送出する機能をさらに有することを特徴とするものである。
【0020】
第5の発明においては、制御局側から同じ情報のパケットを複数回送出することにより、加入者側の通信装置において制御局側からの情報を確実に受信することができる。さらに、情報が複数パケットとなる場合には、この複数パケットをランダムな順番でかつ各パケットを複数回送出することにより、基地局と基地局との間に不感帯が存在し間欠的にしか通信できないシステムにおいても、高速に移動する車などの加入者用通信装置が、各基地局の通信可能範囲に入るたびに同じパケットが受信される確率を低くして、情報を効率的にかつ確実に受信できるようにしている。
【0021】
第6の発明は、請求項6に記載したように、請求項4記載の加入者用無線機において、前記基地局から伝送される、同報されているパケットを受信した際に、該パケットが既に受信したパケットかどうかを調べる機能と、該パケットが初めて受信するものである場合に該パケットを蓄える機能と、該パケットを蓄えることにより、該パケットがその一部を構成している元の情報が再生できるかどうかを検査する機能と、前記情報再生が可能な場合には、元の情報を再生する機能と、受信パケットが既に蓄えられているパケットと重複していた場合、あるいは、それ以外の適当な時に、既に蓄えられているパケットを調べ、元の情報を再生するのに必要な不着パケットを見い出し、該必要な不着パケットの再送を要求するリクエスト信号を前記基地局に送信する機能をさらに備えることを特徴とするものである。
【0022】
第6の発明においては、加入者側の通信装置において制御局側からの情報を確実に受信して蓄え、元の情報を再生することができる。
【0023】
第7の発明は、請求項7に記載したように、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記制御局に、該制御局が収容する基地局の存する地域で提供される情報の一部を蓄積し、必要に応じて更新する機能を有するローカルストリーマをさらに設け、該制御局は、加入者用無線機からの情報リクエスト信号と該加入者用無線機のIDを受信し、必要な場合には、該加入者用無線機の移動方向に存する別の制御局に、該情報リクエスト信号と該加入者用無線機のIDを通知し、該制御局あるいは通知された制御局は、該情報リクエスト信号を解釈し、該情報リクエスト信号が要求する情報が制御局に接続された前記ローカルストリーマに存する内容か否か、および、前記センターデータベースに存する内容か否かを判断し、ローカルストリーマに存在せず、かつ、前記データベースに存する内容である場合に、前記センター・制御局間網を用いて、リクエストされた情報を前記センターからダウンロードする機能をさらに有することを特徴とするものである。
【0024】
第7の発明によれば、よくリクエストのある情報は、制御局が備えるローカルストリーマに蓄えることにより、加入者からのリクエストをセンターに上げることなく、制御局でその要求に対応することができる。また、リクエストする情報がローカルストリーマにない場合は、センターデータベースからダウンロードして要求に応えることができる。システム側で基地局−制御局間、制御局−制御局間、制御局−センター間で協調して、継続的な通信を効率的かつスムーズに行うことができる。
第8の発明は、請求項8に記載したように、情報をリクエストし、かつリクエストした情報を受け取る加入者用無線機と、道路に沿って設けられ、リクエストされた情報を提供し、かつ、光ファイバなどの広帯域通信手段で収容されている基地局との間で双方向通信を行う無線通信方法において、
前記加入者用無線機は予め情報のリクエストを行い、前記加入者用無線機が基地局の通信可能範囲内に進入すると、前記通信可能範囲に対応する基地局に対して前記リクエストされた情報が提供されることを特徴とするものである。
第9の発明は、請求項9に記載したように、情報をリクエストし、かつリクエストした情報を受け取る加入者用無線機と、道路に沿って設けられ、リクエストされた情報を提供し、かつ、光ファイバなどの広帯域通信手段で収容されている基地局との間で双方向通信を行う無線通信方法において、
前記情報のリクエストをする通信手段は前記情報の提供をする通信手段よりも低速な通信システムを使用していることを特徴とする。
第10の発明は、請求項10に記載したように、情報をリクエストし、かつリクエストした情報を受け取る加入者用無線機と、道路に沿って設けられ、リクエストされた情報を提供し、かつ、光ファイバなどの広帯域通信手段で収容されている基地局との間で双方向通信を行う無線通信方法において、
前記情報のリクエストを、前記情報の提供を行う同じ通信可能範囲内の光ファイバを用いた無線通信システムを用いて行うことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図8は本発明に係る無線通信システムを示すもので、図1は無線通信システムの全体構成を示す図、図2は図1におけるセンター構成例を示す図、図3は図1における制御局の構成例を示す図、図4は図1におけるサブシステムの例を示す図、図5は図1における基地局の構成例を示す図、図6は図1における加入者側の通信装置の構成例を示す図、図7は第1の実施の形態における通信の流れの例を示す図、図8は情報パケットの構造の例を示す図である。この無線通信システムは、自動車専用道などにおいて車両などの移動体に大容量のデータ通信環境を提供することを可能とするものである。
【0026】
図1において、無線通信システムは、センター1と、センター・制御局間網2と、m個の制御局11,12,……,1mと、各制御局ごとに設けられたk個のサブシステム21,22,……,2kと、各サブシステムごとに設けられたn個の基地局21−1,21−2,……,21−nとを有して構成されている。センター1は、無線通信システム全体をコントロールしている。センター・制御局間網2は、センター1とm個の制御局11〜1mとを接続している。制御局11〜1mは、地域毎の通信の管理を行なうもので、センター1とセンター・制御局間網2を介して接続されている。また、制御局11,12,……,1mのそれぞれは、複数の基地局をk本の広帯域通信手段(光ファイバなど)で収容した、k個のサブシステム21,22,……,2kに接続しており、複数の基地局との間、或いはセンター1との間で、情報信号の送受信を行なうものである。例えば、基地局21−1,21−2,……,21−nは、光ファイバなどの広帯域通信手段31を用いて、1つのサブシステム21に構成されている。そして、k個のサブシステム21,22,……,2kの広帯域通信手段31,32,……,3kが、1つの制御局例えば制御局11に接続している。つまり、m個の制御局11,12,……,1mのそれぞれは、1つのサブシステム或いは複数のサブシステムを管理している。また、各基地局は、実際に車などの移動体Mに搭載された加入者側の通信装置(加入者用無線機)との間で無線信号の送受信を行う無線送受信装置を備えている。
【0027】
図2に上記センター1の構成を示す。センター1は、制御部41を中心に、制御局11,12,……,1mとの通信に使われる送受信部42と、情報を蓄えるデータベース43や加入者管理のためのデータベース44から成るセンターデータベースと、他の通信システムとの情報交換を行うためのITS(Intelligent Transportation System)統合システムインタフェース(I/Fと略記)45と、インターネットなどの他のネットワークへ接続するためのゲートウェイ46などを有して構成されている。
【0028】
図3に上記制御局11の構成を示す。制御局11は、サブシステムの管理、基地局21との通信、センター1との通信、それらの間での情報の転送・蓄積などを制御する制御部51と、サブシステム用の送受信器52−1,52−2,……,52−kと、センター・制御局間網用送受信部53と、転送する情報を蓄えるローカルストリーマ54などを有して構成されている。
【0029】
図1における各サブシステムの複数の基地局(例えば、21−1,21−2,……,21−n)は、100m間隔位で設置されるが、その基地局がカバーする通信可能範囲は直径30mぐらいの範囲であり、基地局と基地局の間には車Mとの通信が不能の区域(不感帯)がある。
【0030】
図4(a) に上記サブシステム21の部分を示す。路上の車Mは、走行するに従い各基地局21−l〜21−nがそれぞれカバーする通信可能範囲を次から次へと移動する。基地局は、例えば中央分離帯に設けられたポールの上端に設置され、路面を見下ろすようにアンテナが向けられている。これに対して、車側ではアンテナが車Mの上面、出来れば車Mの左の方の領域(車両が道路の左側を走行する交通ルールに対応して)に設置される。これにより、図4(b) に示すように多車線道においても通信可能範囲にいる車両Mは、常に基地局(例えば、21−2,2k−2)との間で見通しで通信が可能になっている。この通信システムの無線部は大容量の通信を車Mとの間で行なうために周波数の高い準ミリ波あるいはミリ波帯を用いている。このため上述のように、通信相手である車Mが常に見通しにいることは、安定な通信に寄与することになる。また、図4(b) に示すように車M側のアンテナの指向性が水平より上の成分ばかりになるように(つまり、水平方向の指向性を削除した指向性となるように)することにより、対向車線を走行する車も含めて車両M間の干渉を軽減することができる。
【0031】
図5に上記基地局21−2の構成を示す。サブシステムでは一組の下り,上りファイバケーブル70−1、70−2により、制御局と基地局が直列に接続されている。ここで、基地局から加入者側へ送られる通信の向きを下り、逆向きを上りと呼ぶ。各基地局では、制御局からの信号を伝送する下りファイバ70−1から信号をカプラ62で分離して、光受信器63で電気信号に再生する。この信号は、複数のチャネルが副搬送波変調多重されたもので、内蔵する発振器OSC1 からの信号と混合器64にて乗算され所望の周波数帯に一括してコンバートされ、サーキュレータ65を通りアンテナ66を介して下り無線信号として、放出される。また、その内の1つのチャネルは、基地局21の制御に使われており、該チャネルだけは、基地局21でフィルタBPFにより抽出され、制御監視部61で復調される。これにより、例えば、発振器OSC1 、OSC2 の周波数が調整されたりする。また、車側からの上り信号の電波は、アンテナ66及びサーキュレータ65を通して入力され、内蔵する発振器OSC2 からの信号と混合器67にて乗算され、所定の周波数帯にダウンコンバートされる。このダウンコンバートされた信号は、制御監視部61が生成したチャネル信号に対して加えられて光送信器68に供給される。光送信器68では電気信号が光信号に変換され、この光信号はカプラ69を介して上りのファイバ70−2で制御局方向へ伝送される。通常は、上り信号は量が少ないので、サブシステム内の各基地局で、発振器OSC2 の発振周波数は同一にしておく。このとき、上りファイバ70−2中では、ファイバ70−2に接続した各基地局からの上り信号は同じ副搬送波の周波数帯に多重され、上流の制御局では、これを一括して受信することができる。
【0032】
なお、上り信号として伝送されるデータ量が多い場合は、各基地局で、発振器OSC2 の発振周波数を調整することにより、上り信号がダウンコンバートされる周波数帯を基地局によって異なるようにすることができる。従って、このときは上りファイバ70−2中でも、各上り信号の周波数が重なることはなく、制御局側では、光信号から検出された信号を周波数分離することにより、各基地局からの上り信号を区別して検波・復調することができる。
【0033】
前記の様に、1つのサブシステムの中の複数の基地局(図4(a) に示す21−1〜21−n)へは、同じ下り信号が制御局から、光ファイバなどの広帯域通信手段31を介して伝送される。また、下り信号は、1チャネル分の信号だけではなく、各基地局から車(加入者)側へ複数の周波数で信号を送信するために、数チャネル分の信号が副搬送波に変調されて多重されている。該多重伝送方式としては、時間多重など他の方式も考えられ、方式により基地局の構成は多少異なってくるが、いずれにしても、制御局は、一種類の下り信号を各基地局へ分配するものであり、各基地局は、上りファイバ70−2中の上り信号へ、車(加入者)側から受信した上り信号をどんどん多重しながら、制御局へ向けて上り信号を中継するものである。
【0034】
次に、通信手順について示す。
まず、加入者が基地局の通信可能範囲に入ったことを検出する手段について説明する。下り回線では、システム側(センター,制御局,及び基地局)からの情報が常時放送されている。情報は、センター1や制御局11〜1mで収集・製作され、制御局で最終的な内容が構成される。センター1からは広範囲の道路・渋滞状況,天気予報,工事予定,観光案内など各種情報が提供され、制御局11〜1mにおいて、局地的な情報が加えられる。この下り信号を基地局(例えば、21−1〜21−n)から送信するためのチャネル(以下、下りチャネル)に周波数f1 が割り当てられている。加入者は、自動車道で該無線通信システムを利用する時は、常にこの周波数f1 の下りチャネルを受信しており、そのチャネル信号を受信することで、基地局(例えば、21−1〜21−n)との通信が可能な範囲に侵入したことを検出する。加入者は、下りチャネルの周波数f1 で受信することにより、情報を次々と視聴することができる。
【0035】
下りチャネルの周波数f1 の値や通信システム固有の他の項目は、規格として決まっていることもあれば、受信機がシステムの利用する周波数帯をサーチ(探索)するなどして、自動的に認知することもある。或いは、他の自動車向け通信システムを介して該項目の情報を入手したり、自動車道に入る際のゲートで受けとる通行証に磁気記録されていて、それを受信機のリーダで読みとる等の手段も使うことができる。地域毎の電波利用事情やサービス提供者の方針などにより、いくつかの項目は、実際の通信システム毎に設定を変える必要がある。
【0036】
前述したとおり、1つのサブシステム(例えば、21)の区間では、どの基地局(図4の21−1〜21−n)からも同じ下り信号が送信される。従って、その区間内を走行中の同じ周波数(例えば、f1 )を受信する加入者は、皆同じ信号を受信している。これは本通信システムでは、1つの基地局(例えば、21−1〜21−nのいずれか1つ)とある車両Mとが通信できる時間が短く、その間に少量のデータ転送しかできない上に、多数ある基地局毎に下り信号を用意するのは、制御局11への負荷が重くなりすぎるからである。1つのサブシステム内のどの基地局も同じ下り信号を加入者側へ送出することにより、制御局11では、1つの送信器でサブシステム内の全ての基地局がサポートできるし、基地局への伝送に使われる広帯域通信手段としての光ファイバも、前記図5の通り1本で途中で分岐していく構成にできるので、システム構成が簡単になる。サブシステム21,22,……,2kが変われば、流れてくる情報の内容は異なり得る。さらに管轄する上流の制御局11,12,……,1mが変われば、情報の内容がさらに大きく変わる。
【0037】
図6に、車に設置される加入者用無線機の例を示す。加入者用無線機は、無線機本体71と、表示部72とで構成されている。無線機本体71は、基地局との通信や情報の管理、表示部72の制御などを行なう制御部73と、基地局との無線信号のやり取りをする送受信部74と、基地局との無線信号の送受信を行うアンテナ75と、受信した情報などを保存するメモリ76と、USB(Universal Serial Bus)やIEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394などの標準I/Fを介して汎用のコンピュータや加入者の端末などを接続できるようにするためのインターフェース部(汎用I/Fと略記)78と、情報を表示する表示部72を駆動する表示部ドライバ77などを有して構成されている。本システムが普及すると、表示部72も本体71も最初から車に内蔵されていて、汎用I/F78は、ドア内壁やシートの表,裏などに取り付けたり、光空間伝送を用いたコードレスの状態で装備されることになる。
【0038】
図7に、制御局から車側への情報伝送における通信の流れを示す。図7は、横軸が時間で、時間の経過と共に制御局で、ある情報源から発生したパケットP−1〜P−10が、基地局を介して車に向かって伝送される様子を矢印で示している。基地局を示す−線が表示されている時間区間が、車両Mが当該基地局1,2,3のいずれかの通信可能範囲内に居ることを示している。制御局で生成されたパケットが基地局から、周波数f1 で次々に車へ送られてくる。加入者側では、基地局のカバー範囲にいる時にそれを次々に受信していく。そして、パケットP−1からP−10をすべて受信するとそれらを再構成して情報を再生する。このようにシステムが提供する情報は、パケット形式で伝送される。多量のデータからなる情報は、制御局で短いデータに分割された上で、それぞれがパケット化される。これにより本無線通信システムのように、複数の車がそれぞれ非同期に間欠的にしか通信ができないシステムにおいても、それぞれが通信可能状態にある時間を有効に利用して、効率的に情報を伝送することができる。
【0039】
図8(a),(b),(c) は情報パケットの構造の例を示す。図8(a),(b)は、ある情報90が伝送のために10個のデータ91,92,93,……に分けられそれぞれのデータ部112にヘッダ部111と誤り検出部113が付けられて、パケットP−1〜P−10を発生した状態を示している。図8(c) は、生成されたパケットP−1〜P−10(符号101、102,…で示す)の内のパケットP−3のヘッダ部を詳細に示している。ヘッダ部中の「種別」114は、そのパケットが同報情報か、ある個人宛か、それとも制御情報かの種類を示す。「宛先」115はパケットの送付先アドレスを示し、同報情報の場合は同報アドレスがつく。「情報ID」116は、パケットに分けられる前の情報の状態で付けられたIDで、10個のパケットP−1〜P−10に共通に同じ数値(ここでは00111)が付けられており、システム全体で異なる情報が同じIDを持つことがないように、センターで管理している。そして、「パケット総数」117はその情報がパケット化された際にいくつのパケットに分割されたかを示す値(ここでは10個)で、次の「シーケンス」118が、当該パケットがそのうちの何番目(ここでは3番目)にあたるのかを表示する。
【0040】
加入者用無線機は、基地局から伝送される各加入者に同報されているパケットを受信した際に、そのパケットが既に受信したパケットかどうかを調べる機能と、そのパケットが初めて受信するものである場合にそのパケットを蓄える機能と、そのパケットを蓄えることにより、そのパケットが一部を構成している元の情報が再生できるかどうかを検査する機能と、その情報再生が可能な場合には、元の情報を再生する機能と、受信パケットが既に蓄えられているパケットと重複していた場合、あるいは、それ以外の適当な時に、既に蓄えられているパケットを調べ、元の情報を再生するのに必要な不着パケットを見い出し、その必要な不着パケットの再送を要求するリクエスト信号を基地局に送信する機能を備えている。
【0041】
加入者用無線機では、受信したパケットを蓄積していき、蓄積されたパケットから元の1つの情報が再生できて、ユーザに対して提供できる状態になったら、逐次それをユーザに知らせる、あるいは、その情報を表示する。車がある基地局の通信可能範囲を通過する間に全ての情報、あるいは、ある情報を構成する全てのパケットが揃う訳ではなく、数基地局かけて情報全体が受信される。
【0042】
加入者用無線機は、受信したパケットを、まず既に蓄積されているパケットと重複していないかチェックする。さらに、該受信パケットにより、元の情報が再生できるかどうかをチェックする。このため、図8に示したようにどのバケットを見ても、そのパケットがどのサブシステム用のものかとか、全体の情報の様子(総パケット数や情報の中身、形式、表示法等)やその中での占める位置が分かる様にパケットのヘッダ部111に記述がある。このヘッダ部111の記述を基にして、車側の受信器即ち加入者用無線機では、受信パケットを、情報IDごとに整理して蓄積していき、並べ直して、必要なパケットが揃ったものから、元の情報を再生する。
【0043】
なお、後述するように、加入者用無線機ては、全パケットの受信を確実に行うために、受信パケットが既に蓄えられているパケットと重複していた場合、あるいは、それ以外の適当な時に、既に蓄えられているパケットを調べ、元の情報を再生するのに必要なパケットを見い出し、該必要なパケットの再送を要求するリクエスト信号を基地局に伝送することにより、制御局より必要なパケットを再送してもらうこともできるようになっている。
【0044】
図7にて説明した通り、この通信システムでは、基地局と車とは間欠的な通信しか行なえない。これに対して、制御局からは、一方的に一連の情報パケットを流す。ところで、あるサブシステムがサポートしている区間を走行している車は、その区間に侵入してくる時間も、そこを通過するスピードも一様ではない。全く、非同期である。従って、情報を分割してパケット化し、そのままの順番でパケットを送出すると、加入者側では、順調にパケットを受信しても、その一部しか受信できないことが生じる。これを防ぐために、まず、高速な車がサブシステム区間を通過する間でも、最低複数回は情報が繰り返される様に、送信する情報の総量を制限する必要がある。つまり、短い通過期間に、全ての情報が送れるように、伝送情報自体の量を制限する。具体的には、全ての情報の転送に必要な時間が、高速な車がサブシステム区間を通過する時間の内の各通信可能範囲内にいる時間の合計のさらに3〜5分の1程度であると良い。例えば、最高120km/hで走行する車がいると仮定すると、平均的な基地局間隔100mを3秒で駆け抜ける。基地局のカバー範囲が直径30mとすると、1基地局の通信可能範囲を通過する時間は0.9秒。サブシステム内の基地局数が100とすれば、サブシステム内で通信可能な時間の合計は90秒である。実際には、受信同期の確立などがあるため、この時間全てがデータ受信に使える訳ではないが、その点を無視すると、90秒の3〜5分の1に相当する18〜30秒ぐらいで伝送できる情報量に総量を制限すると良い。この時間(18〜30秒)内でも、情報の伝送速度を155Mbpsとすると、350Mバイト〜580Mバイトの情報量に相当し、全部画像とすれば5分〜10分程度の6Mbps級の動画が転送されることになる。
【0045】
また、1パケットの長さを平均0.1秒とすると情報全体は、上記時間(18〜30秒)では約200〜300パケットに変換されることになる。もともとの情報が、インターネットで使われているIP(Internet Protocol)形式や広帯域網で使われるATM(Asynchronous Transfer Mode)形式などのパケットで制御局に提供されている場合は、これらの形式でのパケット長は、155Mbpsでせいぜい0.1ミリ秒なので、パケットの数はさらに増える。
【0046】
そこで、これらのパケットは同報されるので、行き先は同じであることを利用して、これらのパケットを集合化(グループ化)して、更に長いパケットにカプセル化して転送すれば、制御局が送出するパケット数は減り、制御局や加入者用無線機でのパケット管理のための処理も軽減できる。
【0047】
制御局は、情報をパケット化し、サブシステム区間においてこのパケットを複数回繰り返し送信する。さらに、長時間で見た場合には全パケットが同じ回数送られているような条件の範囲で、パケットの送信順序をランダムにすると良い。ランダムにすることにより、車のスピードによっては、車が通信可能範囲に入るタイミングとパケット送出の繰り返し周期が同期して、加入者用無線機が同じパケットばかり受信するようになる現象を防ぐことができる。情報が複数のパケットになる場合、パケットをランダムな順番で、かつ、それぞれのパケットを複数回送信するようにする。これにより、加入者用無線機で同じパケットばかり受信する現象を防ぐとともに、情報伝送過程においてバースト的な誤りに対して強い通信が可能となる。
【0048】
以上のように、パケット送出を設計することにより、高速な車でもサブシステム内でそれぞれのパケットを受信するチャンスが複数回生まれ、かつ自動車が通信可能範囲に入る度に同じパケットを受信する確率が低くなり、サブシステム区間を走行する間に、全情報を効率良く受け取ることが可能となる。
【0049】
なお、以上述べた手段では、まだ確率的にしか全パケットの受信は保証できない。これを確実に保証するため、サブシステム区間の出口に近付いた加入者用無線機は、まだ受信していないパケットを受信したい場合には、そのパケットをリクエストすることができる。前記のように、個々のパケット中のヘッダ部中の情報から、不足しているパケットのヘッダ部を計算することができ、そのパケットを個人的な受信希望情報として、システム側に再送要求する。この際の通信の手順は後で述べるが、これにより、受信していなかったパケットが、その加入者宛に、該加入者の車がいずれかの基地局の通信可能範囲に居る時に、(必要ならば、当該のサブシステム区間を通過し終えて、他のサブシステム区間内を走行中でもその最寄りの基地局の通信可能範囲に居る時に、)送信される。これにより、加入者用無線機は制御局から提供される情報を効率的に、かつ確実に、スムーズに取り込むことができる。また、最高速の車を基準に手順を設計しているため、渋滞等で、車の速度が異常に遅くなった場合でも、情報の受信は全て問題なく行なえる。逆に、同じパケットを複数回受信するケースが増えるため、多少伝送効率が悪くなる問題もある。このためシステム側は、伝送する情報の総量やパケットの繰り返し周期をサブシステム内の走行車両の最高速度あるいは平均値を基に調整するようにする。
【0050】
また、不感帯で車が停止した場合には、この通信システムでは、加入者用無線機は通信不能になるので、車車間通信や他のシステム(携帯電話システムやITS統合システムなど)を介して情報の一部のみ入手するなどの対応を行えるようにする。つまり、道路上では、低速な通信は、携帯電話や低速通信用自動車道通信システムなどの他のシステムでも提供されており、そのようなシステムでは、一般に不感帯も存在しない。従って、渋滞などで、路上の任意の場所に停止しても、本発明に係る通信システムと異なり、通信が可能である。そういった他のシステムと協調する形で、本発明に係る通信システムを使うことにより、ビデオ信号等、大容量で連続的なデータの転送、つまり広帯域な伝送容量を必要とする情報を流すことが本通信システムで可能となり、それが本システムの重要な役割となってくる。
【0051】
しかし、本通信システムのように間欠的にしか通信が行えない環境で、前記のようにランダムに情報パケットが転送されてくる場合、ビデオ信号などの連続的な情報は、受信側(加入者側)では、並べ直す時間をあらかじめ考慮して、その時間分の遅延を与えておいた上で、再生を始めるようにする。例えば、車がサブシステム間を移ったり、制御局間を移った時でも、再生するのに必要なパケットが加入者用無線機のメモリ部に溜るまでの時間、既に受信していたデータを再生するなどして時間を繋ぎ、ユーザに良好なビデオ画像を提供することができる。
【0052】
また、このようなビデオ信号などの連続的な情報を転送する場合、データがセンターなどから次々と制御局に届くので、前記の繰り返し送信を行なうために、制御局で或る時間毎にまとめてグループ化して加入者に転送することになる。転送を遅延少なく行なうために、当該の情報をグループ化する時間幅を高速車が基地局を通る度に最新のパケットグループが受信できるように設定する。そして当該グループ化時間内で、当該時間の直前の時間帯に送られてきたパケットグループの送信を繰り返す。繰り返し中のパケットの順序もランダムにする。これにより、前記の例とは少し異なり、パケットグループが、いずれの車においても一基地局の通信可能範囲内でほとんど受信でき、基地局が変わる度に受信するパケットが変わるようになる。制御局では、車の速度を考慮しての送信周期の決定をする必要があり、さらにパケットグループを設定する手間と、それの更新処理の回数が増えるが、実時間的な情報(リアルタイム型或いはストリーム型の情報と言われる)に対しては、或る時間ごとにまとめられた情報パケットを受信するので、実時間情報を自然な形で加入者側に提供することができるようになる。また、相変わらず非同期に通信が可能であるとともに、位置的に不感帯に入る加入者の動きに関わらず、それぞれの加入者に効率良く必要なパケットを同報することができる。
【0053】
制御局での処理能力に余裕がある場合には、前述の実時間情報と同様にして、逆に蓄積型の情報(ストア型或いは非リアルタイム型の情報と言われる)にも同様にグループ化した転送方法を適用することができる。このグループ化した転送の場合、一基地局の通信可能範囲内でほとんど受信でき、数箇所の基地局に亘ってパケットを溜める必要がなく、各基地局を通過する度に受信したパケットグループから情報を再生することができるので、加入者用無線機のメモリ部を減らすことができる。
【0054】
加入者用無線機では、受信したグループ化したパケット情報を次々と表示することも可能であるし、或いは、受信したグループ化パケット情報をメニューに登録していき、ユーザが見たい情報を選択できるようにすることも可能である。
【0055】
なお、制御局で情報からパケットを生成する際に、どのパケットにも情報の全体像が含まれるようにパケット内のデータを加工することも可能である。この場合は、加入者用無線機では、受信したパケットを逐次的に再生処理して表示しても良い。例えば、JPEGにおけるプログレッシブ伝送方式のように、静止画を送るのに、どのパケットにも画面全体の情報が少しずつ含まれるようにする場合である。この場合、加入者用無線機で逐次的に再生を行なうと、絵の全体が最初はぼんやりと表示され、少しずつ明細になっていく。絵の内容によっては、最後のパケットが届く以前に、加入者によって有益な情報が、いち早く読み取れるようになり、便利である。
【0056】
次に、車側から情報リクエストを行ったことに対して、センター及び制御局から車側へリクエスト情報を伝送する場合における、通信の流れの実施形態について、図9を参照して説明する。
【0057】
図9において、加入者が或る特定の情報が欲しい場合には、まず、加入者用無線機から上りの制御用チャネルを用いて情報リクエスト信号を送信する。このとき同時に加入者IDを送信する。リクエスト信号は、基地局Aを介して制御局で受信され、リクエスト内容がセンターに転送される。センターでは、要求のあった情報を用意し、制御局に転送する。ユーザの要求した情報は、センターの情報データベース内にある詳細な観光地情報かもしれないし、インターネットで公開されている海外の音楽ビデオかもしれない。或いは、インターネットを介して自宅の監視カメラの画像を中継(受信)しようとしているのかも知れない。センターには、外部ネットワークとのデータのやりとりができるゲートウェイがあるので、このような幅広いユーザの要求に応えることができる。情報は、蓄積されていた有限サイズのものでも良いし、実時間で生成、公開されているデータの流れであっても良い。蓄積型などの有限量データの場合、制御局はセンターのデータベースなどからその情報を転送してもらい、制御局に附属するローカルストリーマに蓄える。実時間型のデータ流の場合は、センターとの間でそのデータ用のコネクションのセットアップを行なう。以上の準備が整い、センターから情報転送準備の終了を知らされると、制御局は直ちに、基地局を通して加入者用無線機に対して情報リクエストが成功し転送準備ができたこと(準備OK)を通知するパケットを周波数f1 で送出する。このパケットは、前述の周波数f1 の下りチャネルによる同報情報の合間に挿入される。準備OKの通知を受信した加入者用無線機は、今度は、情報受信可を示すパケット(受信可信号)を送出し、基地局を通して制御局にリクエスト情報の転送を促す。この受信可信号に応じて、制御局から車(加入者)への情報パケットの転送が基地局を経て開始される。
【0058】
この受信可信号と制御局からの情報転送のタイミングであるが、車がある基地局の通信可能範囲に入ったら、加入者用無線機はランダム時間待ち後、受信可信号を送出することも可能である。また、場合によっては、車の方で、基地局との距離や基地局と通信可能か否かが判らない場合、或いはその判断に時間がかかることもある。車が高速で移動している場合、判断に時間がかかると、判断前には通信可能であったが、判断後には通信不能になっている場合が生じる。このようなことを勘案し、図中( )で示したように、車が基地局からの転送準備ができたこと(準備OK)を通知するパケットを受信した後、基地局と通信可能か否かを判断せずに、直ちに、或いは、ランダム時間待ち後に、予め定められた時間毎に、あるいは、予め定められたランダム化の手法に則って算出された時間毎に、複数の受信可信号を間欠的に送出することも可能である。このとき受信可信号と同時に加入者IDを送信する。なお、後述するような、上り信号の衝突が発生し難いシステム構成を取った場合は、ランダム時間に待つ必要はない。
【0059】
ここで、本無線通信システムに用いる周波数配置及び、本システムの上り,下り回線に使用するチャネルの信号内容、及び加入者用無線機の無線部について説明する。
【0060】
図10に本無線通信システムに用いる周波数配置の例を示す。この例は、下り回線(基地局→加入者)と上り回線(加入者→基地局)に同じ周波数チャネルを使用し、時分割で複信通信を行うTDD(Time Division Duplex)システムを採用した場合の例を示している。システム帯域内に、制御用チャネルと通信用チャネルを設ける。通信用チャネルに関しては、道路情報など多くの車において共通の要求がある情報を定時的に送信するコモン情報通信用チャンネルと、車からの加入者のリクエストに対応して情報を送信するカスタム情報通信用チャンネルと、を設けている。ここでは、コモン情報通信用チャネルとして2チャネル、カスタム情報通信用チャンネルとして5チャネルを設けた場合について示している。
【0061】
図11に本無線通信システムにTDD方式を用いる場合の制御用チャンネルと通信用チャネルの信号バーストの例を示す。制御用チャネルの下りには同期用バースト、発ID、制御用情報領域、及びテールビットがあり、制御用チャネルの上りにはコンテンション領域がある。また、コモン情報用通信用チャネルの下りには同期用バースト、発ID、コモン情報領域、及びテールビットがあり、同チャネルの上りにはコンテンション領域がある。カスタム情報用通信用チャネルの下りには同期用バースト、発ID、カスタム情報領域、及びテールビットがあり、同チャネルの上りにはコンテンション領域がある。
【0062】
図11に示す信号バーストの特徴は、個々の基地局でユニークな基地局の発IDを下りチャネルで必ず付加することにより、車側が下りチャネルを受信した際、車がみずからの速度を判断したり、車が通信相手(基地局)を確認することができること、上りのトラヒックの大小を考慮して、制御用チャネルやカスタム情報通信用チャネルの上りの時間率を定めるとともに、コモン情報通信用チャネルの上りの時間率を小さくしたり、あるいは、場合によっては上りの時間を無くすことにより、リソース配分の最適化を図ること、それぞれの上りチャネルに関しては、殆どをアロハ(Aloha)などのパケット通信方式に用いるコンテンション領域とすること、である。なお、アロハ方式とは、複数の加入者が自由に上り信号を送出することができ複数の加入者による上り信号によって上りの回線に衝突が起こった場合には、次に複数の加入者から上り信号を送出するタイミングは、加入者それぞれがランダムに待ち時間を設定して行うようにする方式であり、これによって次に上り衝突が起こる確率を低下させることができる。
【0063】
図12に図11における上りのコンテンション領域の例を示す。制御用チャネル内のコンテンション領域については、車(加入者)の置かれている状況に応じて、その1、その2、のそれぞれのバースト構成がある。その1では、同期用バースト、発ID、車速情報、リクエスト用チャネル割当要求(または通信用チャネル割当要求)、及びテールビットで構成され、その2では、同期用バースト、発ID、車速情報、情報リクエストの内容(含む、プライオリティ要求)、及びテールビットで構成されている。
【0064】
また、コモン情報用又はカスタム情報用通信用チャネル内のコンテンション領域についても同様に、車(加入者)の置かれている状況に応じて、その1、その2、その3、のそれぞれのバースト構成がある。その1では、同期用バースト、発ID、車速情報、情報リクエストの内容(含む、プライオリティ要求)、及びテールビットで構成され、その2では、同期用バースト、発ID、車速情報、情報送信する内容、及びテールビットで構成され、その3では、同期用バースト、発ID、車速情報、リクエスト情報受信可通知、及びテールビットで構成されている。
【0065】
図12に示すコンテンションバーストの特徴は、いずれの場合も、個々の車に関してユニークな車の発IDと車速情報を付加することにより、移動中の車(加入者)に対して間欠的に通信する本通信システム特有の制御局での制御を簡易なものにすることができること、制御用チャネルでは、リクエスト用の通信用チャネルあるいは制御用チャネルの割り当て要求、あるいは一般の通信用チャネルの割り当て要求をするフォーマット、あるいは情報リクエストの内容を通知する(場合によっては、要求のプライオリティを併せて指定する)フォーマットを設けること、通信用チャネルでは、情報リクエストの内容を通知する(場合によっては、要求のプライオリティを併せて指定する)フォーマット、一般の通信内容を送信するフォーマット、さらに、リクエスト情報が受信可状態であることを通知するフォーマットを設けること、である。
【0066】
図13にTDDシステムの場合の加入者用無線機の無線部の例を示す。該無線部は、アンテナ、アンテナスイッチ、受信回路、送信回路で構成されている。受信回路は、RF増幅部、バンドパスフィルタ(BPF−1)、第1ミキサ、局部発振器(RFLO)、バンドパスフィルタ(BPF−2)、IF増幅部、第2ミキサ、局部発振器(IFLO)、ベースバンド復調器(BB復調器)、図示しない信号処理部とのインタフェース等を含むデジタル回路で構成されている。送信回路は、ディジタル回路、ベースバンド信号発生器(BB信号発生器)、変調器、局部発振器(IFLO)、バンドパスフィルタ(BPF−3)、バッファアンプ、送信用ミキサ、局部発振器(RFLO)、バンドパスフィルタ(BPF−4)、電力増幅部で構成されている。
【0067】
図13に示す丁DDシステムの無線部においては、送受信に同一の周波数を用いるので、高周波部分の局部発振器(RFLO)や中間周波部分の局部発振器(IFLO)の周波数を送信回路側と受信回路側とで共通にでき、送信回路と受信回路との動作の干渉を起こしにくく、かつ無線部の小型化を図ることができる。また、IFLOにシンセサイザを設けることにより、RFLOを可変にするよりも安価な無線部を構成することも可能である。
【0068】
図14に本無線通信システムに用いる周波数配置の他の例を示す。この例は、下り回線(基地局→加入者)と上り回線(加入者→基地局)に異なった周波数チャネルを使用し、周波数分割で複信通信を行うFDD(Frequency Division Duplex)システムを採用した場合の例である。TDDと同様、システム帯域内に、制御用チャンネルと通信用チャネルを設け、通信用チャネルに関しては、道路情報など多くの車において共通の要求がある情報を定時的に送信するコモン情報通信用チャネルと、車からの加入者のリクエストに対応して情報を送信するカスタム情報通信用チャネルと、を設けている。また、一般に上りの方が下りよりも情報量が少ないため、上りの通話用チャネルを狭帯域にして、周波数効率を向上させ、車に搭載する無線送信部を安価に構成することも可能である。また、下り用制御用チャネルfCNTLDNと上り用制御用チャネルの周波数fCNTLUPとの差を加入者用無線機の無線部の受信IF周波数に最適な周波数に選ぶことにより、図15や図16のFDDシステムの場合の加入者用無線機の無線部の例に示すように、RFLOやIFLOの周波数を送受信共通にでき、車に搭載する無線送信部を安価に構成することが可能となる。なお、図15はダブルコンバージョン方式のFDD用無線部の例を示し、図16はシングルコンバージョン方式のFDD用無線部の例を示している。
【0069】
図17と図18に本無線通信システムにFDD方式を用いる場合の制御用チャネルと通信用チャネル(コモン情報用通信用チャネル及びカスタム情報用通信用チャネル)の信号バーストの例を示す。信号バーストの特徴は、TDDの場合とほぼ同じく、制御用チャネル及び通信用チャネルそれぞれの下りチャネルに関しては、図17に示すように個々の基地局でユニークな基地局の発IDを下りチャネルで必ず付加することにより、車が自らの速度を判断したり、車が通信相手(基地局)を確認することができること、制御用チャネル及び通信用チャネルそれぞれの上りチャネルに関しては、図18に示すように殆どアロハなどのパケット通信方式に用いるコンテンション領域とすること、である。
【0070】
ここで、再び図9に戻って説明する。車(加入者)が基地局からの情報転送の準備ができたこと(準備OK)を通知するパケットを受信した後、受信可信号を通信可能範囲に侵入後0.2秒ぐらいまでに送出し終えれば、制御局はすぐに下り回線中にその加入者のための帯域を割り当てて、情報をパケット化して転送する。この0.2秒は、車が最短0.9秒で通信可能範囲を出ていく一方、制御局で、受信可信号を得て、パケット送出順序を変更して、加入者宛のパケットを送出部に送るのに0.1〜0.2秒程処理時間がかかることを考慮して決まるので、これらの時間が異なるシステムでは、時間も異なる。
【0071】
図9に示すように、加入者は受信可信号を送り出したのと同じ基地局から、情報のパケットを受け取る。パケットの受信に成功したら、情報が1つのパケットから成る場合は、これで転送終了である。また、受信可信号を送出しても、その基地局との通信可能範囲内で、パケットが得られなかった場合、次の基地局との通信可能範囲内に侵入した際に、再度、前記と同様にして受信可信号を送出して、パケットの受信を試みる。なお、受信可信号と同時に加入者IDが送信されることは勿論である。
【0072】
次に、加入者の移動状況を予測し、予め定められた時間内に通ると考えられる1つ或いは複数の基地局を決定する機能について説明する。
【0073】
前述の事柄に関連して、車(加入者)が基地局からの情報転送の準備ができたこと(準備OK)を通知するパケットを受信した後、受信可信号を送出するのが0.2秒より遅れる場合は、受信可信号に加入者IDのほかに走行速度の値を含ませて、次或いは次以降の複数の基地局との通信でパケットを受信することを指定することも可能である。この場合、制御局では、走行速度を基に、車が次の基地局との通信可能範囲に入るタイミングを計算することにより、その計算値に合わせてパケットを下り信号に挿入する準備を余裕を持って行なうことができる。周囲の状況により、基地局の間隔が均一でない場合もあるが、この場合、受信可信号にさらに、そのサブシステムに入ってから、加入者側で何番目の通信可能範囲を経過したかをカウントした情報も受信可信号に多重することにより、制御局では車が次の基地局との通信可能範囲に入るタイミングの計算をより正確に行うことができる。
【0074】
或いは、サブシステムにおいて、制御局で、受信した上り信号を各基地局毎に独立に分離できるように構築されている場合は、どの基地局から、受信可信号(加入者ID及び走行速度の値を含む)が送られてきたかを調べて、車が次の基地局との通信可能範囲に入るタイミングの計算をすることもできる。
【0075】
また、一車線対向道路などで、両方向の車線の通信を一台の基地局でサポートする場合も考えられるが、この場合は、さらに受信可信号にどちら向きに進行中かを示す情報を多重することにより、制御局に知らせることができる。
【0076】
このように加入者からの上り信号に基づき、加入者に対して送出する下り信号の伝送に適した制御局、或いはサブシステム、基地局を決定し、その決定したシステム部分から用意した無線信号を送出できるようにすることにより、システム部分での上り信号受信から下り信号送出までの時間を、加入者が1つの基地局の通信可能範囲を通過する時間とは関係なく(独立に)設定することができ、例えば次或いは次以降の複数の基地局を通過する時間に設定することが可能である。そのため、制御局で下り信号の用意に時間がかかる場合や、加入者がサブシステムや制御局間を移動する場合、基地局あたりの通信可能範囲が狭い場合などでも、効率的にかつスムーズに加入者側への情報転送が行われる。
【0077】
以上に示してきた通り、加入者側からの受信可信号を基準に、加入者主導で、制御局から加入者への情報のパケットの転送を行うことにより、制御局側では、サブシステムのサービス範囲内に存在する車両の動きを管理する必要がなくなる。本無線通信システムのような、間欠的にしか通信が行えない環境下であっても、制御局に負担をかけることなく通信が行なえる利点を有する。
【0078】
要求した情報が複数のパケットで加入者に転送されてくる場合、予め制御局から転送される転送の準備OKを通知するパケット或いは前記複数のパケットの内の最初に受信したパケットから、加入者側で、転送されてくるパケットの総数(図8の符号117参照)を認識することができる。加入者側は、パケットが全て揃うまで、受信可信号を繰り返し送信し続ける。図9に示すように、制御局は加入者側からの1つの受信可信号に対して、複数の情報パケットを連続して車に向けて送出することもできる。例えば、加入者用無線機に、基地局の通信可能範囲に侵入して(なお、加入者が通信可能範囲に入ったことは、先述したように常時システム側から放送されている周波数f1 の下りチャネル信号を受信することによって検出することができる。)からの時間を計測する機能を設け、それを基に基地局と通信が可能な残り時間を推測し、該残り時間あるいはその時間内に受信できるパケットの数を計算し、そのパケット数を受信可信号とともに、制御局に知らせる。これにより、1つの受信可信号に対して、制御局は、複数のパケットを連続して車に向けて送出することができる。その結果、受信可信号を受ける度に、パケットを1つずつ転送するのに較べて、複数パケットが連続して受信できるので、受信完了が速くなる。従って、加入者側からの受信可信号の送出回数が減り、制御局からの情報転送も効率的になり、結局大幅な情報転送時間の低減につながる。通信可能範囲を抜け出す時間の推定が外れたり、通信エラーが生じたことにより受信できなかったパケットが生じた場合は、特にそのパケットの再送を要求する受信可信号を制御局に送出して、明示的に再送をしてもらうことも可能である。
【0079】
次に、再度受信したいパケットを特定し再送する機能について説明する。
パケットの再送も、加入者が再送要求をすることにより行われる。前述の通り、加入者用無線機では、受信したパケットを元の情報が再生できるまで、どんどんパケットを蓄積していく。その中で、足りないパケットを見い出して、再送を要求するが、パケットはランダムに送られているので、既存のプロトコルのように、シーケンス番号が飛んだら該抜けたシーケンス番号を持つパケットの再送を要求するという手法は使えない。そこで別の手段として、本発明に係る加入者用無線機は、各受信パケットの受信回数を記憶する機能を備えている。これにより、全パケットを受信し終えていないにも関わらず、既受信パケットを再度受信することが頻発した場合、未受信パケットは、何らかの理由で既に受信に失敗したと分かるため、そのパケットの情報IDとシーケンス番号を受信可信号につけて、制御局に知らせる。制御局では、該受信可信号から、加入者が再度受信したいパケットを特定し、それを再度、加入者宛に再送する。例えば、10個のパケットからなる情報を受信中、シーケンス番号7のパケット以外は、受信済みでさらにそのうち2種類のパケットは、既に3回受信したとなると、シーケンス番号7のパケットは、何らかの理由で受信しにくくなっていると判断できるので、加入者用無線機は該パケットの再送を要求する。
【0080】
或いは、タイマを用いて、事前に設定した時間内に受信されなかったパケットを再送要求しても良いし、サブシステムを抜ける時間を推定し、その一定時間前に揃っていないパケットを再送要求しても良い。これらの場合は、パケットの受信回数を記憶する必要がないが、タイマの設定が必要になる。
【0081】
次に、制御局側で保持しているデータの取扱いについて説明する。
制御局では、加入者側から受信可信号が来ている間は、その内容に応じてパケットの転送あるいは再送を繰り返す。受信可信号が来なくなって、かつ、タイマー計測にて予め決めておいた時間を経た制御局側のデータは順次廃棄していく。或いは、加入者が受信可以外の信号を送信してきた場合には時間を経なくても、受信可信号による通信が問題なく成功したと判断できるので、データを廃棄する。
【0082】
次に、制御局に設けたローカルストリーマの働きについて説明する。
【0083】
制御局に設けたローカルストリーマは、制御局が収容する基地局の存する地域で提供される情報の一部を蓄積し、必要に応じて更新する機能を有し、制御局は、加入者からの情報リクエスト信号と加入者のIDを受信し、必要な場合には、加入者の移動方向に存在する別の制御局に、該情報リクエスト信号と該加入者のIDを通知する。前記の制御局あるいは通知された制御局は、その情報リクエスト信号を解釈し、その情報リクエスト信号が要求する情報が制御局に接続された前記ローカルストリーマに存在する内容か否か、及び、センターに設けられているセンターデータベースに存在する内容か否かを判断し、ローカルストリーマに存在せず、かつ、センターデータベースに存在する内容である場合に、センター・制御局間網を用いて、リクエストされた情報をセンターからダウンロードする機能を有する。
【0084】
制御局からの転送を終えたデータは、制御局ではそのまま廃棄されるとは限らず、よく要求のある情報は、制御局が備えるローカルストリーマに蓄えられる。これにより、他の加入者から同じ情報への要求がきた場合には、リクエスト内容をセンターに上げることなく、制御局でその要求に対応することができる。課金・ポリシーなどの関係で、要求があったことだけはセンターに知らせ、センターから許可を受けた後に要求に対応する場合もあるが、いずれにしろ、センターでの処理やセンターから制御局へのデータの転送が軽減されるメリットがある。
【0085】
また、ローカルストリーマ内に保存されているこれらの情報のうち一部の更新が頻繁なものについては、定期的にあるいは、予めスケジューリングされた予定に従いつつ、センター・制御局間網のトラヒックが比較的少なく、支障のないときを見はからって、センターから更新情報をダウンロードすることにより、常に最新のデータがローカルストリーマ内に保存されるようになる。このようにローカルストリーマを用いることにより、加入者のリクエストに対してその都度センターからダウンロードするのではなく、センター・制御局間網のトラヒックが比較的少なく支障のないときを見はからって、センターからダウンロードすることができ、通信回線の有効利用を図ることができるという効果がある。
【0086】
さらに、前述の加入者の移動状況を予測する機能により、制御局などを移動する加入者に対しても、要求された情報を基地局−制御局間、制御局−制御局間で協調して、通信を継続的にスムーズに提供できる効果が生じる。
【0087】
実時間で流れてくる情報の転送を行なう場合にも、制御局はローカルストリーマを有効に活用する。この場合、車が通信可能範囲内に入る度に、加入者は受信可信号を送出すると、制御局は、車に向けて通信可能な時間内に情報パケットを次々に送出する。加入者が不感帯などに入り通信不能な時間帯は前記情報をローカルストリーマに溜めていく。車が次の基地局との通信可能範囲内に入ってくると、また受信可信号が制御局に送出され、制御局は、蓄積しておいた情報と実時間で届いている情報を加入者に向けて送出する。さらに、受信可信号に走行速度や通信可能範囲を逸脱する予定時間を毎回一緒にしておくことにより、制御局では、車が次の基地局で通信可能になると推定される時間から、蓄えられた情報とセンターから実時間で転送されてくる情報を次々と加入者に送出する。特に加入者から応答がなければ、転送は成功したと見なされる。蓄えられた情報は送出後、一定時間して問題がなければ消去される。制御局では、該情報に関わる全パケット送出後、加入者から受信可信号が一定時間到来しなかったり、加入者から要求終了信号が通知されると、その転送を終了する。それとともに、ローカルストリーマに残っている情報は廃棄する。
【0088】
本無線通信システムでは、上り回線の容量や信頼性があまり大きくなくても良いように、図9に示した如く、情報を受け取ったことを確認する信号を加入者が制御局に送信することはしない設計の例を主に説明してきた。そこで、そのような点を考慮した上で、加入者が制御局からリクエスト情報を受信した際には加入者から要求終了信号を送出することもできる。このように要求終了信号を送ってきた場合は、制御局側では、タイマー計測にて所定時間経過するのを待つことなく、転送済みの情報パケットをローカルストリーマ上から、削除することができる。これは、ローカルストリーマの容量の効率的な利用に有効である。
【0089】
グループで数台の車に分乗して旅行する場合や、数台のトラックが連なって現場に向かう途中、このグループの車全部に同じ情報を同報したい場合もある。これを図19を参照しながら説明する。
【0090】
図19に示すように、このような要求を持つリクエスト信号を受けた制御局は、その要求を同報要求としてセンターに転送する。センターでは、要求された情報を制御局に転送し、情報転送の準備終了を通知する。制御局では、個々の車に準備OKを知らせることなく、該情報のパケットを、今度は、下り回線に挿入していく。各車から受信可信号や受取り確認も要求せず、制御局では、各情報パケットを数回ずつランダムに繰り返すことにより、各車で受信できるようにする。各車は、受信できなかったパケットを検出すると個別に再送を要求する。これにより、本無線通信システムにおいて、グループに属する車の一部が通信可能で、残りが通信不能な状態で同報を行わなければならない状況にあつても、効率的に情報の同報が実現できる。
【0091】
加入者側から制御局への上り回線のアクセスプロトコルには、アロハ方式を用いることにより、前述の様に、各加入者が勝手なタイミングで上り信号を発生することができる。もし、制御局からの応答が一定時間内にない場合、加入者用無線機では、信号の衝突あるいは車の陰になったなどで上り信号が、制御局において受信できなかったと判断して、再送を行なう。サブシステム毎に上り回線は多重化されているので、信号の衝突は、同じ基地局にアクセスしている車間のみで生じる訳ではない。例えば、車1が基地局bの通信可能範囲で送出した上り信号パケットは、制御局に向かって伝送される際、基地局c、基地局d…の上り信号と多重されていく。もし、基地局fで別の車2からの上り信号が、車1からのものと同じタイミングで送出された場合、この2つの上り信号は衝突して制御局では、受信不能になり、受け付けられない。
【0092】
複数の加入者からの上り信号が衝突するのを回避するための手段(1〜7)について説明する。
【0093】
第1の手段では、加入者が上り信号の再送を行なう場合、前の送信から、再送をするまでの時間は、ランダムに変化させるように設定され、かつ、再送を繰り返すほどその時間が長くなるように設定される。これにより、あるタイミングで2台の車の上り信号が衝突した場合、次にそれぞれが再送した場合の衝突する確率が下がり、あるいは、上り回線が混んでいる場合の再送でも、再送要求信号で回線が輻輳する確率を低減する。これは、例えば道路状況が渋滞になって、各基地局の通信可能範囲内に停留する車が増え、さらに情報転送サービスの需要も高まり、リクエスト信号が大量に生起した状況でも、最低限のスループットを提供するのに効果がある。
【0094】
第2の手段は、図5に示す基地局における上り信号回路中の局部発振器OSC2 の周波数を基地局毎に異なる値に設定して、上り信号をダウンコンバートする周波数を変えることにより、上流の制御局で各基地局からの上り信号を区別して受信することが可能となる。この場合は、上り信号の衝突は、複数の基地局のうち同じ基地局の通信可能範囲内にいる加入者のみの間で生じるので、衝突の発生する確率は低くなる。
【0095】
第3の手段は、アロハ方式を改良したスロッテドアロハ方式等を用いることにより、上り信号の衝突による通信効率の低下を抑える効果を得る。これはそれぞれの加入者がランダムに待ち時間を設定するが、一定時間おきに設けた時間スロットでのみ上り信号を送出するようにするもので、衝突をする際にはこれを時間スロットで揃えることで複数の上り信号が1つの上り信号の送出中に衝突する確率を低くして、通信効率を上げることができる。この場合、スロット同期信号は、制御局で発生して、周波数f1 の同報チャネルを通じて各加入者に分配すると良い。
【0096】
第4の手段では、無線部で使用される変復調方式によっては、各加入者と基地局との距離の遠近で不公平が出る場合がある。ケーブルテレビシステムの双方向データ通信等で使われる上りアクセス競争を行なう時間スロットを設ける方式を応用すると、これを避けることができる。この方式では、該時間スロットにおいては、各加入者は上り回線にアクセスするための要求を示す信号、例えば極く短いパルスを送信する。短パルスはほとんど重なることがないので、制御局側では、短パルスが複数あれば上りへのアクセス要求が衝突していることを検出でき、それを下り信号を介して、同報する。上りアクセス要求を出した加入者は、上りアクセス要求が衝突しているという通知を受けて、ランダム時間待機した後に再度上りアクセス要求を出せば、今度は各加入者の上りアクセス要求が衝突する可能性は低く、制御局は衝突がなければ、下り信号を介して送信許可を出し、該加入者は、上り回線に信号を送信することができる。これにより、公平な上り回線へのアクセスが実現できるが、間欠的にしか通信ができない本通信システムにおいては、さらに、該アクセス競争を行なう前記時間スロットの設定間隔をかなり頻繁にし、また、その間隔をランダムにして、いずれの加入者も、十分に許容できる短い時間の待機で、該加入者が通信可能範囲内にいる時にアクセス競争スロットルに出会えるようにすると良い。
【0097】
第5の手段は、各基地局で上り信号を受信することにより、キャリアセンス型の衝突回避制御を行なう場合である。各基地局で上りファイバより信号を一部分岐して、下流側から来る上り信号チャネルを受信し、該基地局でアンテナ受信された上り信号チャネルと比較し、衝突を検出する。衝突が検出された場合は、あらかじめ設定された確率にしたがって、該基地局でアンテナ受信した上り信号をそこで止めて廃棄し、下流側から来た上り信号を優先させたり、逆に、下流側から来た上り信号を止めて、該基地局でアンテナ受信した上り信号を優先して制御局へ伝送したりする。これにより、上り要求が衝突している場合でも、下流の上り信号、上流の上り信号のどちらが特に有利となることもなく、公平にかつ効率良く該上り要求を処理することができる。
【0098】
下流からの上り信号を止める手段としては、図20(a) に示すように上りファイバ70−2に該衝突が発生する共用の上り信号チャネルしかない場合は、上りファイバ70−2より光信号を一部分岐して、下流側からの上り信号チャネルを光受信器RXで検出し、この検出信号を基地局21のアンテナ66及びミリ波受信器RX1 で受信された上り信号チャネルと比較器COMで比較して、衝突を検出する。衝突を検出した場合は、上りファイバ70−2による上り回線を光スイッチSWPを用いて光信号レベルのままでオフにする処理を行う。或いは、図20(b) に示すように、上りファイバ70−2による上り回線に光受信器RX(光→電気への変換)及び光送信器TX(電気→光への変換)から成る再生中継系を介挿し、さらに該再生中継系における光受信器RXと光送信器TXとの間に電気的スイッチSWEを介在し、電気信号の状態でオフにする処理を行う、ことにより実現できる。
【0099】
また、上りファイバ70−2内に複数の上りチャネルがある場合は、下流からくる衝突の発生に関係のない上りチャネル信号を区別して中継できるように、上り回線を光受信器と光送信器とによる再生中継系にして電気的に切分けて、衝突の生じるチャンネルのみは前述の様な切替え処理を行い、関係のないチャンネルはそのままスルーさせて、さらにこれらを再度多重して送信したり、或いは、下流からくる上りチャネル信号と区別できるように、基地局が自局でアンテナ受信した上り信号を上り回線に光多重する際にそのレベルを十分に上げて多重することにより衝突回避を実現できる。
【0100】
上記第5の手段による衝突回避制御を行うための、上りファイバからの光信号分岐は、基地局の構成の複雑化、上り回線の光レベル設計の複雑化をもたらす。或いは、再生中継系を用いる場合も同様に構成及び設計が複雑化する。
【0101】
第6の手段としては、これを避けるため、制御局、あるいは、一番上流(つまり、制御局に最も近い)の基地局で上り回線信号を電気的或は光的に折り返して、全基地局に下りファイバを介して再送することにより上り信号検出を行うものである。ただし、この場合は、折り返しのための遅延があるため、それを考慮し、なおかつ、衝突回避ができるように、タイミングやパケットの形式が設計される必要がある。例えば、上り信号送出後から衝突検出までのガード時間を十分に取ったり、パケットに十分長い冗長部を持たせるなどの、設計が必要である。
【0102】
さらに、第7の手段としては、当該上り信号の衝突を検出した際に、両方の上り信号を活かすために、基地局にパケットを遅延させる機能を設けておくものである。基地局では、衝突を検出すると、自局がアンテナ受信した上り信号を一旦、パケットを遅延させる機能に保持させて、上り回線を流れる信号がなくなってから、該パケットを上り回線に多重する。これにより該遅延機能がなければ、衝突してどちらかしか、制御局には受信され得なかった上り信号が、両方とも制御局に届き、上り回線のより効率的な利用が可能となる。
【0103】
次に、車(加入者)の渋滞時におけるシステム側の対応について説明する。
渋滞的には、各基地局、あるいは、各サブシステムが対象とする加入者の絶対数が増えるため、そこから生じる個別サービス要求も増えるが、下りファイバや無線回線の制限による下り回線容量は変わらない。このため、全てのサービス要求には伝送容量の点で応えられない状況が生じ易い。このような、容量不足によるサービス低下・不公平の発生を避けるため、渋滞時には、システム側は、個人的な情報要求を受け付けないようにする、あるいは、各要求に割り当てる下り帯域幅を制限し、代わりに同報情報の内容を増やすようにする。例えば、「個別に要求される映画の配信は全て断り、普段は有料で提供している映画を数種類だけ無料にして放送する。」などである。ユーザ個人に要望に応えられない代わりに、システム側が特別サービスを提供して、ユーザの不満を低減するとともに、システム側が過負荷を負うのを避ける効果がある。
【0104】
本発明に係る無線通信システムは、主に加入者とセンターが制御局を介して通信を行なうシステムである。しかし、加入者は本システムの外部からの情報入手や本システムの外部との通信を要求することもある。この場合、該システムは、加入者に対して標準的な通信インターフェース、例えばATM(Asynchronous Transfer Mode)接続やIP(Internet Protocol)接続を与えることが必要となる。このために、本システムでは、上り回線での加入者からのパケットは、制御局で終端され、その中身が、本システム固有のコマンドなのか、それとも、IPパケットやATMセル等の他の形式のコマンドなのかを区別される。そして、それぞれの場合に応じた、仮想的な論理接続の上を通ってセンターに送られる。例えば、制御局とセンターの間には、インターネットで使われるIP接続に用いるための論理的なチャネルをセンター・制御局間網上に設定していて、加入者からの上り信号の中身がIP形式のパケットの場合は、該IPパケットを前記の論理チャネルを介してセンターに転送する。センター側では、この仮想論理チャネルの出力は、ルータに接続されており、該ルータにより該IPパケットは、その宛先に向かって転送される。この際に、制御局では、加入者のIDとその加入者が送り出すIPパケットの発信元IPアドレスとを関連づけるデータベースを更新して、下り方向に転送されるIPパケットを制御局−加入者間通信用のパケットに変換できるようにする。センターに設置されたルータでも、外部から来るIPパケットをどの制御局にルーティングすれば良いかのルーティングテーブルを更新する。当該ルーティングテーブルや前記データベースは、加入者がその移動につれてサブシステム間/制御局間を越える度に、更新されていく。
【0105】
この機能により、制御局から加入者までの通信路上にも、前記標準的なサービスに対応した論理チャネルができることになり、本無線通信システムは、上位層からは、リンク装置として扱える。一方、それ以上の上位層に特化した処理、例えば、制御局で、TCPプロトコルの終端処理をするなど、は行なわない。
【0106】
制御局に、IPやATM等の良く使われる標準的なネットワーク層インターフェースを区別して設けることにより、制御局よりもセンター側での処理が軽減できる。本システムにおける加入者−基地局間の無線通信部は、前記標準的なサービスが仮定してない振舞いをする独特の物理層部であるが、そのために制御局−加入者間で独自フォーマットのパケットを使い、そのための特殊な処理をしている部分、特に下り方向のデータ転送が加入者側の制御により円滑に行なえるようにしている部分でのデータの通過は時間的、距離的にできるだけ短くなっているので、IPやATMなどの前記の標準的なサービスが他のシステムの上で使用するのと同じ上位プロトコルを本無線システムにおいてもそのまま使用しても、ほとんど問題の発生はない。また、既存のあるいは、新たに作られる種々の上位プロトコルに本システム側が個々に対応する必要もない。また、制御局においてあらゆるインターフェースの処理を行なう訳ではなく、ATMサービスのシグナリングやあまり使われないネットワーク層サービスなどは、そのパケットを、システム独自のコマンド転送などに使う制御局−センター間の独自の通信方式によりセンターに転送して、センターで処理され、センターにより該サービス用のチャネルがセンター・制御局間網に設定され、その出口が制御局につくられる。従って、種々の標準的なサービスを提供するマルチサービスや、そのサービスのパケット振り分けのために、制御局の負荷を極端に重くすることはない。
【0107】
大容量情報や実時間系情報をリクエストして転送を受けている場合は、1つのサブネット内で通信は終了せず、続きを次のサブネットで受信することになる。この際には、受信周波数が変わったり、センターからの情報転送先の切替とその切替えのタイミングが必要となる。同じ制御局が管理するサブシステム間を移る時は、制御局が移行の管理を行い、異なる制御局に属するサブシステム間を移る時は、関係する制御局間で、センターの指示に従って、移行の管理を行なうことになる。
【0108】
なお、光ファイバなどの広帯域通信手段が、歪みや雑音などの影響で、距離に制限が生じる場合は、図21に示した本発明の無線通信システムの他の実施の形態のように、制御局1001から道路に沿って、互いに反対方向に複数の光ファイバなどの広帯域通信手段1002を延ばしていくことにより、無線通信システム全体の制御局1001の数を減らすことができる。
【0109】
以上の実施の形態においては、あるサブシステム内の全ての基地局はほぼ同じ下り無線信号を送出するシステムでの例を説明したが、下り信号の伝送容量拡大および効率化を図った、各基地局専用の下り信号を送出するチャンネルを下り信号に含ませたようなシステムにおいても、本発明は同様の効果を持つものである。
【0110】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、加入者側の装置ではシステム側からのデータ転送を制御できるようにし、システム側では基地局−制御局間、制御局−制御局間で協調して、通信を継続的に提供できるようにすることにより、間欠的にしか通信できないシステムにおいても、制御局またはセンターにおいて各加入者の位置及び通信状態を正確に把握することなく、効率的に、かつスムーズで確実な通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る無線通信システムの全体構成を示す図。
【図2】 図1におけるセンター構成例を示す図。
【図3】 図1における制御局の構成例を示す図。
【図4】 図1におけるサブシステムの例を示す図。
【図5】 図1における基地局の構成例を示す図。
【図6】 図1における加入者側の通信装置の構成例を示す図。
【図7】 第1の実施の形態における通信の流れを示す図。
【図8】 情報パケットの構造の例を示す図。
【図9】 車側から情報リクエストを行ったことに対して、センター及び制御局から車側へリクエスト情報を伝送する場合における、通信の流れの第2の実施形態を示す図。
【図10】 本無線通信システムに用いる周波数配置の例を示す図。
【図11】 本無線通信システムにTDD方式を用いる場合の制御用チャンネルと通信用チャネルの信号バーストの例を示す図。
【図12】 図11における上りのコンテンション領域の例を示す図。
【図13】 TDDシステムの場合の加入者用無線機の無線部の例を示す図。
【図14】 本無線通信システムに用いる周波数配置の他の例を示す図。
【図15】 FDDシステムの場合の加入者用無線機の無線部の一例を示す図。
【図16】 FDDシステムの場合の加入者用無線機の無線部の他の例を示す図。
【図17】 FDD方式を用いる場合の制御用チャネルと通信用チャネルの信号バーストの例を示す図。
【図18】 FDD方式を用いる場合の制御用チャネルと通信用チャネルの信号バーストの例を示す図。
【図19】 車側からの同報要求に対して、センター及び制御局から車側へ情報パケットを伝送する場合における、通信の流れの第3の実施形態を示す図。
【図20】 下流からの上り信号を止める手段を示す図。
【図21】 本発明の無線通信システムの他の実施の形態を示す図。
【符号の説明】
1…センター、2…センター・制御局間網、11〜1m…制御局、21−1〜21−n,22−1〜22−n,2k−1〜2k−n…基地局、31〜3k…広帯域通信手段、43,44…センターデータベース、54…ローカルストリーマ、70−1…下りファイバ、70−2…上りファイバ、71…無線機本体、1001…制御局、1002…広帯域通信手段。

Claims (5)

  1. 無線通信システム全体をコントロールするセンターと、移動する加入者用無線機と無線信号を送受信する基地局と、複数の基地局を光ファイバなどの広帯域通信手段で収容し、情報信号の送受信を行なう制御局と、センターと制御局とを接続するセンター・制御局間網とを有する、前記複数の基地局の間に不感帯が生じる場合が存す無線通信システムにおいて、
    前記加入者用無線機は、前記基地局のいずれかを介して受信すべき情報の要求を行う情報リクエスト信号を送信し、
    前記制御局が、前記要求を行なった加入者用無線機に対し前記基地局を介して該情報リクエスト信号が示す要求に対する情報を送信する場合には、
    前記制御局は、前記情報リクエスト信号を受信した基地局を含む前記複数の基地局の一部を介して、前記情報リクエスト信号が示す要求に対する情報が準備できたことを示す転送準備完了信号を該加入者用無線機に送信し、
    当該加入者用無線機は前記転送準備完了信号を受信した後に、前記基地局のいずれかを介して当該加入者用無線機が受信できることを示す受信可信号を前記制御局に送信し、
    該受信可信号を受信した前記制御局は、前記受信可信号を受信した基地局を含む前記複数の基地局の一部をて、前記情報リクエスト信号が示す要求に対する情報を当該加入者用無線機に送信することを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記加入者用無線機は、当該加入者用無線機が前記基地局の通信可能範囲に侵入したことを検出する機能をさらに有し、当該加入者用無線機が受信可信号を送信するタイミングは、当該加入者用無線機が前記基地局の通信可能範囲に侵入したことを検出したタイミングに基づいて行われることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  3. 前記制御局は、前記加入者用無線機からの情報リクエスト信号が要求する情報を無線用信号に変換する一方、該加入者用無線機から上りチャネルを用いて間欠送信される当該加入者用無線機のID及び走行速度の値を受信し、前記基地局の中から該加入者用無線機が予め定められた時間内にその近傍を通ると予測される1つあるいは複数の基地局を決定し、この決定した基地局を用いて前記無線用信号から生成した無線信号を送信する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 前記制御局は、或る広帯域通信手段で収容されている一連の基地局が対象とするサービス範囲の中の複数の加入者用無線機に対して該制御局が同報する情報信号について、その情報信号をパケット化し複数回送出する機能をさらに有し、あるいは、該情報信号が複数のパケットになる場合は、さらに、該パケットをランダムな順番で、かつ、それぞれのパケットを複数回送出する機能をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  5. 前記制御局に、該制御局が収容する基地局の存する地域で提供される情報の一部を蓄積し、必要に応じて更新する機能を有するローカルストリーマをさらに設け、該制御局は、加入者用無線機からの情報リクエスト信号と該加入者用無線機のIDを受信し、必要な場合には、該加入者用無線機の移動方向に存する別の制御局に、該情報リクエスト信号と該加入者用無線機のIDを通知し、該制御局あるいは通知された制御局は、該情報リクエスト信号を解釈し、該情報リクエスト信号が要求する情報が制御局に接続された前記ローカルストリーマに存する内容か否か、および、前記センターのデータベースに存する内容か否かを判断し、ローカルストリーマに存在せず、かつ、前記データベースに存する内容である場合に、前記センター・制御局間網を用いて、リクエストされた情報を前記センターからダウンロードする機能をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
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