JP3794400B2 - アルミニウム溶接構造物 - Google Patents

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本発明は、2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金材をアーク溶接等の溶融溶接法により溶接して作製されるアルミニウム溶接構造物に関する。
2.0質量%以上のMgを含有したAl−Mg系アルミニウム合金材は、機械的性質が優れており、耐食性及び溶接性も良好であるため、船舶及び鉄道車両をはじめ一般の溶接構造物に広く適用されている。アルミニウム合金材を溶融溶接する際の溶加材(溶接棒又は溶接ワイヤ等)としては、純Al、Al−Cu系合金、Al−Si系合金、Al−Mg系合金等、種々の溶接材料がJISにより規定されている。但し、溶接構造物には一般に強度及び靭性が要求されるため、JIS Z3604においては、Al−Mg系アルミニウム合金材を溶接する際の溶加材には、Al−Mg系合金からなる溶加材(JIS Z3232における5000系)が推奨されている(例えば、特許文献1参照)。その理由は、Al−Mg系アルミニウム合金材を溶接する際に、純Alからなる溶加材(JIS Z3232における1000系)を使用すると、溶接金属部の強度が弱くなり、Al−Cu系合金からなる溶加材(JIS Z3232における2000系)を使用すると、溶接金属部の溶接割れ感受性が高くなると共に溶接金属部の耐食性が劣化し、Al−Si系合金からなる溶加材(JIS Z3232における4000系)を使用すると、溶接金属部の強度及び靭性が低くなるためである。
特開2000−288773号公報
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。Al−Mg合金材を、Al−Mg系合金からなる溶加材を使用して溶接して、アルミニウム溶接構造物を製造すると、溶接金属部の強度は高くなるものの、耐力が向上せず、母材と同程度となってしまう。このため、アルミニウム溶接構造物に力が印加されると、応力が集中しやすい溶接金属部が比較的低い応力で変形してしまう。この結果、溶接構造物全体としての剛性が低くなる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金材をアーク溶接等の溶融溶接法により溶接して作製した溶接構造物において、従来のAl−Si系合金からなる溶加材により溶接した場合の溶接金属部の強度及び靭性が低くなるという問題、及び従来のAl−Mg系合金からなる溶加材により溶接した場合の比較的低い応力で溶接金属部が変形してしまい溶接構造物全体としての剛性が低くなるという問題を解決し、溶接金属部の強度、靭性、耐力が高く、全体として剛性が高いアルミニウム溶接構造物を提供することを目的とする。
本発明に係るアルミニウム溶接構造物は、2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金からなる母材部と、0.5乃至4.5質量%のSi及び下記数式により規定される組成範囲のMgを含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下に規制されており、前記母材部同士を接合するか又は前記母材部を他の部材に接合する溶接金属部と、を有し、99.00質量%以上のAlを含有する第1の溶加材及び4.0質量%以上のSiを含有するAl−Si系合金からなる第2の溶加材を同時に使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであることを特徴とする。なお、下記数式において、「Mg」及び「Si」は夫々溶接金属部におけるマグネシウム(Mg)及びシリコン(Si)の含有量を示す。
0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%)
本発明に係る他のアルミニウム溶接構造物は、2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金からなる母材部と、0.5乃至4.5質量%のSi及び上記数式により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.01乃至0.3質量%、Ti:0.01乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下に規制されており、前記母材部同士を接合するか又は前記母材部を他の部材に接合する溶接金属部と、を有し、99.00質量%以上のAlを含有する第1の溶加材及び4.0質量%以上のSiを含有するAl−Si系合金からなる第2の溶加材を同時に使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであることを特徴とする。
また、前記溶接金属部の組成は、下記数式を満たすことが好ましい。
0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.6×Si(質量%)
更に、下記数式を満たすことがより好ましい。
2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%)
本発明においては、溶接金属部のSi及びMgの含有量を上述の範囲に規定することにより、継手部である溶接金属部の強度及び靭性を高くすると共に、耐力を高くすることができる。これにより、アルミニウム溶接構造物に力が印加された場合においても、溶接金属部が変形しにくくなり、アルミニウム溶接構造物全体の剛性が向上する。
又は、前記アルミニウム溶接構造物は、1.0乃至4.0質量%のSi及び下記数式により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.05乃至0.3質量%、Ti:0.05乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下に規制された溶加材を使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであってもよい。
Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%)
更にまた、前記アルミニウム溶接構造物は、自動車のサスペンションフレーム又は二輪自動車のフレームであってもよい。
以上詳述したように、本発明によれば、2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金材を溶接したアルミニウム溶接構造物において、溶接金属部のSi及びMgの含有量を適切に規定することにより、溶接金属部の強度、靭性、耐力を高くすることができる。これにより、溶接金属部が変形しにくくなり、アルミニウム溶接構造物全体の剛性が向上する。
本発明者等は、上述の課題を解決するために、溶接金属部の組成と継手強度との関係を詳細に調査した。その結果、継手部である溶接金属部において、従来のAl−Mg系合金からなる溶加材を使用して溶接した場合に形成される溶接金属部よりも、Si含有量を増加させ、且つ、Mg含有量を低減させることにより、溶接金属部の耐力が向上して硬くなり、アルミニウム溶接構造物に外力が印加された場合に、溶接金属部が変形し難くなることを見出した。また、従来のAl−Si系合金からなる溶加材を使用して溶接した場合に形成される溶接金属部においては、溶接金属部のSi含有量が最適な範囲よりも多くなりすぎてしまい、溶接金属部が硬くなりすぎ、溶接継手の破断強度が低下してしまうことを知見した。
そこで、本発明者等は鋭意実験研究を重ねた結果、母材として2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金材を溶接してアルミニウム溶接構造物を作製する場合に、上述の課題を解決し、溶接継手部の破断強度だけでなく、0.2%の永久伸びを起こす応力(0.2%耐力)を高くし、溶接構造物全体としての剛性を高めるためには、溶接金属部の組成が、Si含有量が0.5乃至4.5質量%となり、且つ、Mg含有量が0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%)となるように溶接すればよいことを突き止めた。また、溶接金属部の組成が、0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.6×Si(質量%)となるように溶接すれば更によく、2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%)≦2.5−0.6×Si(質量%)であればより一層よいことを突き止めた。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係るアルミニウム溶接構造物においては、アルミニウム合金からなる第1及び第2の母材部が設けられている。この母材部を形成するアルミニウム合金は、Mgを2.0質量%以上含有した合金であり、例えば、JIS H4000のA5454により規定される合金であり、Mgが2.7質量%、Mnが0.6質量%、Crが0.1質量%含有され、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を持つ合金である。また、母材部は、厚さが例えば3mmであり、調質が例えばO材である板状の部材である。
そして、この第1及び第2の母材部が相互に溶接されており、第1の母材部と第2の母材部との間には、継手部分である溶接金属部が形成されている。溶接金属部は、0.5乃至4.5質量%のSiを含有すると共に、数式(0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%))により規定される量のMgを含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなっている。なお、不可避的不純物としては、Fe、Cu、Znが混入している場合があるが、これらの成分の含有量は、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下である。また、この溶接金属部は、99.00質量%以上のAlを含有する第1の溶加材と、4.0質量%以上のSiを含有するAl−Si系合金からなる第2の溶加材とを同時に使用して、溶接されたものである。
以下、本発明の各構成要件における数値限定理由について説明する。
母材部のMg含有量:2.0質量%以上
Mgはアルミニウム材に添加することにより、引張強度、耐力及び靭性を向上させると共に、溶接性を向上させる効果がある。母材部のMgの含有量が2.0質量%未満だと、前述の効果が不十分であるため、母材部のMg含有量は2.0質量%以上とする。
溶接金属部のSi含有量:0.5乃至4.5質量%
溶接金属部のSi含有量が0.5質量%未満であると、溶接金属部の耐力が低くなって変形しやすくなり、アルミニウム溶接構造体全体の剛性が低下する。一方、溶接金属部のSi含有量が4.5質量%を超えると、溶接金属部の強度及び靭性が低下する。従って、溶接金属部のSi含有量は0.5乃至4.5質量%とする。
溶接金属部のMg含有量:0.3乃至(2.5−0.5×Si(質量%))質量%
溶接金属部のMg含有量が0.3質量%未満であると、溶接金属部の引張強度、耐力及び靭性が不足する。一方、溶接金属部のMg含有量が(2.5−0.5×Si(質量%))より多いと、即ち、(Mg(質量%)+0.5×Si(質量%))の値が2.5を超えると、溶接金属部の耐力が低下し、変形しやすくなる。従って、溶接金属部のMg含有量は、0.3乃至(2.5−0.5×Si(質量%))質量%とする。なお、溶接金属部のMg含有量は、0.3乃至(2.5−0.6×Si(質量%))の範囲にあることがより好ましく、2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%)≦2.5−0.6×Si(質量%)であることがより好ましい。
溶接金属部のZr含有量:0.01乃至0.3質量%
溶接金属部のTi含有量:0.01乃至0.2質量%
溶接金属部のB含有量:0.001乃至0.02質量%
溶接金属部のMn含有量:1.0質量%以下
溶接金属部のCr含有量:0.35質量%以下
Zr、Ti、B、Mn及びCrは、アルミニウム溶加材に添加することにより、結晶粒を微細化させる効果がある。また、引張強度及び伸びを向上させる効果がある。但し、溶接金属部における含有量が、Zr:0.01質量%未満、Ti:0.01質量%未満、B:0.001質量%未満では、いずれも結晶粒微細化の効果が少ない。一方、Zrを0.3質量%を超えて添加した場合、Tiを0.2質量%を超えて添加した場合、Bを0.02質量%を超えて添加した場合、Mnを1.0質量%を超えて添加した場合、Crを0.35質量%を超えて添加した場合は、溶接金属部が脆化する危険性がある。このため、溶接金属部は、Zr含有量:0.01乃至0.3質量%、Ti含有量:0.01乃至0.2質量%、B含有量:0.001乃至0.02質量%、Mn含有量:1.0質量%以下、Cr含有量:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有することが好ましい。これにより、溶接部の延性が向上する。
溶接金属部のFe含有量:0.8質量%以下
溶接金属部のCu含有量:0.3質量%以下
溶接金属部のZn含有量:0.25質量%以下
なお、この他の成分としては、Fe、Cu、Zn等が不可避的に混入する場合があるが、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、Zn:0.25質量%以下であれば、実用上問題がない。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るアルミニウム溶接構造物の製造方法について説明する。図1は本実施形態におけるアルミニウム合金材の溶接方法を示す斜視図である。図1に示すように、先ず、被溶接材として、2枚の板材1及び2を準備する。この板材1及び2の厚さは例えば3mmであり、調質がO材であり、Mgを2.0質量%以上含有するアルミニウム合金により形成されている。このアルミニウム合金は、例えば、JIS H4000の合金番号A5454により規定されている合金であり、その組成は、Mgを2.7質量%、Mnを0.6質量%、Crを0.1質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
次に、この2枚の板材1及び2の端部同士を突合せ、アーク溶接により突合せ溶接を行い、相互に接合する。なお、突合せ溶接の替わりに、重ねすみ肉溶接を行ってもよい。このとき、2台のミグ溶接機3a及び3bにより、2本の溶接ワイヤ4a及び4bを同時に使用し、1つの溶融池10を形成して溶接するダブルアーク溶接を行う。
溶接機3aには、導電体からなり溶接ワイヤ4aを保持する筒状のコンタクトチップ5aが設けられており、このコンタクトチップ5aの内部を溶接ワイヤ4aが挿通するようになっている。また、溶接機3aにはワイヤ送給装置6aが設けられており、コンタクトチップ5aに向けて溶接ワイヤ4aを供給するようになっている。更に、コンタクトチップ5a及び板材1には、電源7aが接続されており、電源7aはコンタクトチップ5aを介して溶接ワイヤ4aに溶接電流を供給するようになっている。同様に、溶接機3bには、コンタクトチップ5b、ワイヤ送給装置6b、電源7bが設けられている。そして、溶接機3a及び3bは、共通して1つのノズル8を備えている。溶接ワイヤ4a及び4bはこのノズル8の内部を挿通して、板材1と板材2との突合せ部付近の所定の溶接位置に供給されるようになっており、また、ノズル8からシールドガスとして例えば100%アルゴンガスを噴射するようになっている。
また、溶接ワイヤ4aには、99.00質量%以上のAlを含有する純アルミニウムからなる溶接ワイヤ、例えば、JIS Z3232において規定されているA1100等の1000系の溶接ワイヤを使用する。一方、溶接ワイヤ4bには、Siを4.0質量%以上、例えば4.5質量%以上含有するAl−Si系合金からなる溶接ワイヤ、例えば、JIS Z3232において規定されているA4043等の4000系の溶接ワイヤを使用する。溶接ワイヤ4a及び4bの直径は、例えば1.2mmである。
更にまた、溶接ワイヤ4a及び4bに流す溶接電流は例えば105〜255kAとする。また、溶接電圧は例えば20〜28Vとし、溶接ワイヤの送給量は例えば5〜16m/分とし、溶接速度は例えば1.5m/分とする。このような条件で、板材1と板材2との突合せ部に対して、溶接機3a及び3bが夫々アーク9a及び9bを発生させ、1つの溶融池10を形成する。そして、アーク9a及び9bの位置を、板材1及び2に対して相対的に移動させることにより、板材1及び2の突合せ部にビード11を形成していき、板材1と板材2とを相互に接合する。このとき、ビード11が溶接金属部になる。溶接金属部の組成は、板材1及び2並びに溶接ワイヤ4a及び4bが混合した組成となり、0.5乃至4.5質量%のSiを含有すると共に、数式(0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%))により規定される量のMgを含有した組成となる。これにより、前述のアルミニウム溶接構造体を形成することができる。
なお、本実施形態においては、溶接ワイヤ4a及び4bを1台の溶接電源に接続して溶接を行ってもよく、溶接ワイヤ4a及び4bを相互に寄り合わせて(ツイストさせて)、1本の溶接ワイヤとし、この1本の溶接ワイヤを使用してティグ溶接又はミグ溶接等のアーク溶接を行ってもよい。また、Siを1.0乃至4.0質量%の範囲で含有し、Mgを(2.5−0.5×Si(質量%))以下含有する溶接ワイヤを作製し、この溶接ワイヤを単独で使用してアーク溶接を行ってもよい。更に、この溶接ワイヤを溶融池に供給しながら、レーザビーム溶接を行ってもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は本実施形態に係る自動車のサスペンションフレームを示す斜視図であり、図3は図2に示すA−A’線による断面図である。図2及び図3に示すように、本実施形態に係るアルミニウム溶接構造物は自動車用のサスペンションフレームである。このサスペンションフレーム21においては、支持部材22及び23が設けられている。支持部材22及び23は湾曲した棒状部材であり、両端部に開口部25が形成されている。
そして、支持部材22と23とを相互に固定するように、2本のパイプ部材26及び27が設けられている。即ち、パイプ部材26及び27の一端部は支持部材23に溶接されており、パイプ部材26及び27の他端部は支持部材24に溶接されている。パイプ部材26及び27は、夫々板厚が例えば3mmである2枚の板材をU字形に湾曲させその両端部を相互に重ねすみ肉溶接することにより、パイプ状に形成されたものである。即ち、例えばパイプ部材26は、2枚の板材26a及び26bにより形成されており、パイプ部材27は2枚の板材27a及び27bにより形成されている。従って、パイプ部材26及び27はその軸方向に平行に2本の溶接ビード28が形成されている。また、パイプ部材26及び27と、支持部材22及び23との接合部には、溶接ビード29が形成されている。
支持部材22及び23並びにパイプ部材26及び27は、Mgを2.0質量%以上含有するアルミニウム合金により形成されている。また、各溶接部、即ち、溶接ビード28及び29の組成は、0.5乃至4.5質量%のSi及び数式(0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%))により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.01乃至0.3質量%、Ti:0.01乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成となっており、例えば、更に上記数式(2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%))を満たす組成となっている。なお、不可避的不純物としては、Fe、Cu、Zn等が混入する場合があるが、これらの成分の含有量は、夫々、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下である。
次に、本実施形態に係る自動車用サスペンションフレーム21の製造方法について説明する。先ず、Mgを2.0質量%以上含有するアルミニウム合金からなり板厚が例えば3mmである板材に対して曲げ加工又はプレス加工を施し、夫々U字形状の板材26a、26b、27a及び27bを形成する。一方、押出成形法、鋳造法又は鍛造法により、支持部材22及び23を成形し、その両端部に開口部25を形成する。
次に、板材26a、26b、27a及び27b、並びに支持部材22及び23に対して、脱脂洗浄等の溶接前処理を施す。次に、板材26a及び26bをジグに設置するか、又は仮付け溶接して端部同士が接触するように相互に固定する。そして、本溶接を行い、板材26a及び26bを相互に溶接して、パイプ部材26を形成する。このとき、溶接方法は交流パルスMIG自動溶接による重ねすみ肉溶接とし、1本の溶接ワイヤを使用して溶接する。この溶接ワイヤは、1.0乃至4.0質量%のSi及び上記数式(Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%))により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.05乃至0.3質量%、Ti:0.05乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、Zn:0.25質量%以下に規制された組成を持つものとする。
また、溶接速度は例えば600mm/分とし、シールドガスの組成は例えば100%アルゴンとし、シールドガスの流量は例えば25リットル/分とし、溶接電流は例えば130乃至150Aとし、溶接電圧は例えば19乃至21Vとし、極性(EN)比率は例えば30%とする。
これにより、板材26aの両端部と板材26bの両端部とが相互に接合され、筒状のパイプ部材26が形成される。このとき、溶接部には溶接ビード28が形成される。また、溶接ビード28の希釈率、即ち、全溶接金属部(溶加材溶着部及び母材溶融部)における母材溶融部の割合(母材溶融部/(溶加材溶着部+母材溶融部))は、例えば10乃至80%となり、溶接ビード28の組成は、0.5乃至4.5質量%のSi及び数式(0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%))により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.01乃至0.3質量%、Ti:0.01乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下である組成となり、例えば、更に上記数式(2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%))を満たす組成となる。同様に、板材27a及び板材27bを相互に溶接してパイプ部材27を形成する。
次に、パイプ部材26及び27並びに支持部材22及び23をジグに設置するか、又は仮付け溶接して、パイプ部材26及び27の一端部が支持部材23に接触し、パイプ部材26及び27の他端部が支持部材24に接触するように相互に固定する。そして、本溶接を行い、パイプ部材26及び27の一端部を支持部材23に溶接し、パイプ部材26及び27の他端部を支持部材24に溶接して、自動車用サスペンションフレーム21を形成する。このとき、溶接方法は、前述のパイプ部材26を形成したときの溶接方法と同様とする。その結果、溶接ビード29の組成は、溶接ビード28の組成と同様になる。
これにより、本実施形態においては、溶接金属部の強度、耐力及び靭性が共に優れ、剛性が高い自動車用サスペンションフレームを得ることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図4は本実施形態に係る二輪自動車のフレームを示す斜視図であり、図5は図4に示すB−B’線による断面図である。図4及び図5に示すように、本実施形態に係るアルミニウム溶接構造物は二輪自動車(バイク)用のフレームである。
このフレーム31においては、馬蹄形状に湾曲したパイプ部材32が設けられており、このパイプ部材32の両端部には、2つの支持部材33及び34が接合されている。また、支持部材33及び34の間には、連結部材35が接合されている、連結部材35は円柱状の部材であり、その一端部が支持部材33に接合され、他端部が支持部材34に接合されている。そして、パイプ部材32、支持部材33及び34、連結部材35により、環状フレームが形成されている。また、パイプ部材32の長手方向中央部における環状フレームの外面側には、筒状部材36が接合されている。
パイプ部材32は、2枚のコ字形状の板材32a及び32bの両端部が相互に重ねすみ肉溶接により接合されて形成されている。なお、パイプ部材32における板材32aと板材32bとの接合部、パイプ部材32の両端部と支持部材33及び34との接合部、支持部材33及び34と連結部材35の両端部との接合部、パイプ部材32と筒状部材36との接合部には、溶接ビード37が形成されている。
パイプ部材32、支持部材33、34、連結部材35、筒状部材36は、Mgを2.0質量%以上含有するアルミニウム合金により形成されている。また、上述の各溶接部、即ち溶接ビード37の組成は、0.5乃至4.5質量%のSi及び数式(0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%))により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.01乃至0.3質量%、Ti:0.01乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下である組成となり、例えば、更に数式(2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%))を満たす組成となっている。本実施形態に係る二輪自動車用フレーム31の製造方法は、上述の第2の実施形態における自動車用サスペンションフレーム21の製造方法と同様である。
本実施形態においては、溶接金属部の強度、耐力及び靭性が共に優れ、剛性が高い二輪自動車用フレームを得ることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
以下、本発明の実施例の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。先ず、実施例1について説明する。図6は、本実施例及び比較例における溶接後の供試材を示す平面図及び側面図であり、図7は、横軸に溶接金属部のSi含有量をとり、縦軸に溶接金属部のMg含有量をとって、本発明における溶接金属部の組成範囲を示すグラフ図である。
前述の本発明の実施形態において説明した方法により、図1に示すダブルミグ溶接機(タンデムミグ溶接機)により、2本の溶接ワイヤを使用して、2枚のアルミニウム合金板を重ねすみ肉溶接し、図6に示すような重ねすみ肉継手12を作製した。図6に示すように、重ねすみ肉継手12においては、幅が250mmである2枚の板材の端部が、10mmの重ね代で相互に重ねられており、一方の板材の端部及び他方の板材の表面に、溶接金属部13が形成されている。重ねすみ肉継手12の長さは190mmである。
この溶接においては、供試材毎に溶接ワイヤの組成を異ならせるか、又は、供試材毎に溶接機の溶接電流を異ならせることにより、ワイヤ送給量を約7乃至14m/分の範囲で異ならせて、溶接金属部13の組成が相互に異なるようにした。溶接ワイヤの直径は1.2mmとし、溶接ワイヤは、JIS Z3232に規定される1000系(純Al系)、4000系(Al−Si系)及び5000系(Al−Mg系)の溶接ワイヤの中から選択した。また、母材として、JIS H4000のA5454により規定されるアルミニウム合金板であり、板厚が4.0mmであり調質がO材である板材を使用した。1台の溶接機あたりの溶接条件を表1に示す。また、使用した母材及び溶接ワイヤの組成を表2に示し、溶接条件を表3に示す。なお、表3に示す「ワイヤ種類」の欄に記載されている記号は、表2に示す「JIS記号」に対応している。
Figure 0003794400
Figure 0003794400
Figure 0003794400
そして、図6に示すような重ねすみ肉継手12を作製した後、溶接金属部13が試験部分になるように、重ねすみ肉継手12からJIS Z2202により規定されている5号試験片を切り出した。次に、この5号試験片を使用して、標点距離(G.L.)が50mmとなるように継手引張試験を実施し、溶接金属部13の機械的性質を評価した。なお、YS(耐力)の値は、0.2%耐力の値を採用した。また、溶接金属部13の成分分析を行い、溶接金属部13の組成と継手の機械的性質との関係を調査した。更に、溶接金属部13の断面形状を調査し、おおよその母材の希釈率を測定した。これらの結果を表4及び図7に示す。
図7に示す領域41は本発明の請求項1で規定する組成範囲を示し、領域42は本発明の請求項2で規定する組成範囲を示し、領域43は本発明の請求項3で規定する組成範囲を示し、領域44は本発明の組成範囲から外れる組成範囲を示す。また、直線45は、数式(Mg=2.5−0.5×Si)を示し、直線46は、数式(Mg=2.5−0.6×Si)を示し、直線47は数式(Mg=2.2−1.4×Si)を示す。領域41は、直線45、直線Mg=0.3、直線Si=0.5により囲まれた直角三角形の領域であり、領域42は、直線46、直線Mg=0.3、直線Si=0.5により囲まれた直角三角形の領域であり、領域43は、直線46、直線47、直線Mg=0.3、直線Si=0.5により囲まれた四角形の領域であり、領域44は、領域41以外の領域である。即ち、領域43は領域42の内部にあり、領域42は領域41の内部にある。更に、図7に示す円により囲まれた数字は、各実施例及び比較例の組成を示すプロットであり、円内の数字は表3及び表4に示す実験No.を示し、円が示された位置は、各実施例又は比較例の溶接金属部のSi含有量及びMg含有量を示す。更にまた、表4の「評価」の欄において、TSが140MPa以上である場合を「TS:○(良好)」とし、TSが140MPa未満である場合を「TS:×(不良)」とし、YSが90MPa以上である場合を「YS:○(良好)」とし、YSが90MPa未満である場合を「YS:×(不良)」とした。更にまた、表4に示す「領域」は、各実施例及び比較例が図7においてプロットされる領域を示している。
Figure 0003794400
表4に示す本発明の実施例及び比較例のうち、実施例No.1乃至4、6及び参考例5は、溶接金属部のSi含有量が0.5乃至4.5質量%であり、Mg含有量が0.25乃至(2.5−0.5×Si(質量%))の範囲内にあるため、強度及び耐力の双方が高かった。これに対して、比較例No.7乃至15は、溶接金属部のSi含有量が1質量%未満であるか、Si含有量が4.5質量%より多いか、溶接金属部のMg含有量が0.3質量%未満であるか、(2.5−0.5×Si(質量%))より多いため、強度及び耐力のうち少なくとも一方が低かった。なお、表4に示す実施例No.1乃至4、6及び参考例5と、比較例No.7乃至15における溶接金属部の組成のうち、Si及びMg以外の組成は、本発明の請求項1又は2に規定する範囲を満たしていた。
次に、実施例2について説明する。図8は、本実施例及び比較例における溶接後の縦裏曲げ試験片を示す平面図及び側面図である。前述の実施例1と同様な方法により、図1に示すダブルミグ溶接機(タンデムミグ溶接機)により、2本の溶接ワイヤを使用して、2枚のアルミニウム合金板を突合せ溶接し、突合せ継手を作製した。
この溶接においては、突合せ部の開先形状を相互に異ならせることにより、母材の希釈率を相互に異ならせて、溶接金属部の組成を相互に異ならせた。溶接ワイヤの直径は1.2mmとし、溶接ワイヤは、JIS Z3232に規定される1000系(純Al系)、4000系(Al−Si系)及び5000系(Al−Mg系)の溶接ワイヤの中から選択した。また、母材として、JIS H4000のA5454により規定されるアルミニウム合金板であり、板厚が4.0mmであり調質がO材である板材を使用した。更に、溶接後に、表裏面の余盛は除去した。使用した母材及び溶接ワイヤの組成を表5に示し、溶接条件を表6に示す。なお、表6に示す「ワイヤ種類」の欄に記載されている記号は、表5に示す「JIS記号」に対応している。
Figure 0003794400
Figure 0003794400
そして、上述の如く突合せ継手を作製した後、図8に示すような縦裏曲げ試験片を作製した。図8に示すように、この縦裏曲げ試験片14は、短辺が80mm、長辺が100mmの矩形状であり、短辺方向の中央部が突合せ溶接されており、溶接金属部15が形成されている。この縦裏曲げ試験片14に対して、曲げ半径Rが10mmのローラ曲げ試験を施し、割れの発生の有無を評価した。試験回数は各条件について3回(n=1、2、3)とした。また、溶接金属部15の組成を分析し、溶接金属部15の組成と継手の靭性との関係を調査した。更に、溶接金属部15の断面形状を調査し、母材のおおよその希釈率を測定した。これらの結果を表7に示す。なお、表7の「縦裏曲げ試験結果」の欄において、割れが発生しなかった場合を「○」とし、割れが発生した場合を「×」とした。また、表7に示す「領域」は、表7に示すNo.21〜28を図7にプロットした場合に、これらのプロットが位置する領域を示している。但し、図7にはNo.21〜28はプロットしていない。
Figure 0003794400
表7に示す本発明の実施例及び比較例のうち、実施例No.21乃至23及び参考例24は、溶接金属部のSi含有量が0.5乃至4.5質量%であり、Mg含有量が0.3乃至(2.5−0.5×Si(質量%))の範囲内にあるため、靭性が良好であった。また、実施例21乃至23は、Mg含有量が(2.2−1.4×Si(質量%))乃至(2.5−0.6×Si(質量%))の範囲内にあるため、靭性が特に良好であった。これに対して、比較例No.25乃至28は、溶接金属部のSi含有量が1質量%未満であるか、Mg含有量が(2.5−0.5×Si(質量%))より多いため、靭性が不良であった。なお、表7に示す実施例No.21乃至23及び参考例24及び比較例No.25乃至28における溶接金属部の組成のうち、Si及びMg以外の組成は、本発明の請求項1又は2に規定する範囲を満たしていた。
本発明の第1の実施形態に係るアルミニウム合金材の溶接方法を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る自動車のサスペンションフレームを示す斜視図である。 図2に示すA−A’線による断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る二輪自動車のフレームを示す斜視図である。 図4に示すB−B’線による断面図である。 実施例及び比較例における溶接後の供試材を示す平面図及び側面図である。 横軸に溶接金属部のSi含有量をとり、縦軸に溶接金属部のMg含有量をとって、本発明における溶接金属部の組成範囲を示すグラフ図である。 実施例及び比較例における溶接後の縦裏曲げ試験片を示す平面図及び側面図である。
符号の説明
1、2;板材
3a、3b;ミグ溶接機
4a、4b;溶接ワイヤ
5a、5b;コンタクトチップ
6a、6b;ワイヤ送給装置
7a、7b;電源
8;ノズル
9a、9b;アーク
10;溶融池
11;ビード
12;重ねすみ肉継手
13;溶接金属部
14;縦裏曲げ試験片
15;溶接金属部
21;サスペンションフレーム
22、23;支持部材
25;開口部
26、27;パイプ部材
26a、26b、27a、27b;板材
28、29;溶接ビード
31;フレーム
32;パイプ部材
32a、32b;板材
33、34;支持部材
35;連結部材
36;筒状部材
37;溶接ビード
41;領域(請求項1で規定する組成範囲)
42;領域(請求項2で規定する組成範囲)
43;領域(請求項3で規定する組成範囲)
44;領域(請求項1から外れる組成範囲)
45;直線(Mg=2.5−0.5×Si)
46;直線(Mg=2.5−0.6×Si)
47;直線(Mg=2.2−1.4×Si)

Claims (8)

  1. 2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金からなる母材部と、0.5乃至4.5質量%のSi及び下記数式により規定される組成範囲のMgを含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下に規制されており、前記母材部同士を接合するか又は前記母材部を他の部材に接合する溶接金属部と、を有し、99.00質量%以上のAlを含有する第1の溶加材及び4.0質量%以上のSiを含有するAl−Si系合金からなる第2の溶加材を同時に使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであることを特徴とするアルミニウム溶接構造物。
    0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%)
  2. 2.0質量%以上のMgを含有したアルミニウム合金からなる母材部と、0.5乃至4.5質量%のSi及び下記数式により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.01乃至0.3質量%、Ti:0.01乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下に規制されており、前記母材部同士を接合するか又は前記母材部を他の部材に接合する溶接金属部と、を有し、99.00質量%以上のAlを含有する第1の溶加材及び4.0質量%以上のSiを含有するAl−Si系合金からなる第2の溶加材を同時に使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであることを特徴とするアルミニウム溶接構造物。
    0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%)
  3. 前記溶接金属部のMg含有量が下記数式を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム溶接構造物。
    0.3≦Mg(質量%)≦2.5−0.6×Si(質量%)
  4. 前記溶接金属部のMg含有量が下記数式を満たすことを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム溶接構造物。
    2.2−1.4×Si(質量%)≦Mg(質量%)
  5. 99.00質量%以上のAlを含有する第1の溶加材及び4.0質量%以上のSiを含有するAl−Si系合金からなる第2の溶加材を同時に使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム溶接構造物。
  6. 1.0乃至4.0質量%のSi及び下記数式により規定される組成範囲のMgを含有し、更に、Zr:0.05乃至0.3質量%、Ti:0.05乃至0.2質量%、B:0.001乃至0.02質量%、Mn:1.0質量%以下、Cr:0.35質量%以下からなる群から選択された1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、及びZn:0.25質量%以下に規制された溶加材を使用して、前記母材部同士又は前記母材部を他の部材に溶接したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム溶接構造物。
    Mg(質量%)≦2.5−0.5×Si(質量%)
  7. 自動車のサスペンションフレームであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアルミニウム溶接構造物。
  8. 二輪自動車のフレームであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアルミニウム溶接構造物。
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