JP3794135B2 - 温水式暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温水式暖房装置に関するものであって、特に暖房用熱交換器(ヒータコア)の複数のチューブ内を温水が全て同じ方向で直線的に流れるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、温水式暖房装置のヒータコアとして、偏平チューブとコルゲートフィンとを積層配置して空気と熱交換するコア部を形成し、コア部の一端側に温水(エンジン冷却水)を偏平チューブに分配する入口タンクを配置し、コア部の他端側に偏平チューブを流れた温水を合流させる出口タンクを配置した一方向タイプのものが周知である。
【0003】
ここで、一方向ヒータコアは、全ての偏平チューブ内を温水が入口タンク側から出口タンク側に向かって同一方向のみに流れるようになっているものを言い、このような構成にすることで、従来、周知のコア部を温水がUターンして流れるUターンタイプのものより、通水抵抗を小さくするができるという利点がある。
また、このような一方向ヒータコアに微小流量温水を流すと、偏平チューブ内を流れる温水の温度は、入口タンク側では高温であるが、出口タンク側の温水は、既に入口タンク側で空気と熱交換されて温度が低下するため、入口タンク側より低温となり、顕著な温度分布が発生することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の温水式暖房装置を適用した車両用空調装置では、冷風と温風との混合割合をエアミックスドアにて調整することで、所望の空調風温度を得るエアミックス方式と、エアミックスドアを設けずにヒータコアでの空気加熱度合いを調整するリヒート方式とが知られている。
【0005】
そして、本発明者は、リヒート方式の暖房装置に、上記一方向ヒータコアを採用することを検討したのであるが、一方向ヒータコアでは、上記温度分布が発生するため、空調風にも同様な吹出温度分布が発生する。このため、吹出モードがバイレベルモードである場合では、例えば、乗員によっては、乗員上半身に向けて送風される空調風の温度と、乗員下半身に向けて送風される空調風の温度とを同等(同温バイレベルモード)にしたいという要望があるが、上記一方向ヒータコアではこれを達成することが困難である。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、温度調整方式がリヒートタイプで、一方向ヒータコアが適用される温水式暖房装置において、一方向ヒータコアの温水流れ方による吹出温度分布に影響されずに、所望の吹出温度分布を設定可能とすることにある。
また、本発明の第2の目的は、温度調整方式がリヒートタイプで、一方向ヒータコアが適用され、上記同温バイレベルモードが達成できる温水式暖房装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、温水源(2)からの温水が供給される暖房用熱交換器(17)を有し、この暖房用熱交換器(17)のうち空気と熱交換するコア部(17e)は、前記温水が一端部から他端部に向かう一方向のみに流れるように構成されている温水式暖房装置において、暖房用熱交換器(17)に供給される温水温度を、温水源(2)から供給される高温温水と、暖房用熱交換器(17)を通過した後の低温温水との混合割合にて調整する混合割合調整手段(7)と、暖房用熱交換器(17)に供給される温水量を設定する温水量設定手段(11、13)とを備えることを特徴としている。
【0008】
つまり、本発明者は、上記暖房用熱交換器を、供給される温水温度を調整する温水式暖房装置に適用し、さらに、温水量設定手段(11、13)にて暖房用熱交換器(17)に供給される温水量を設定することで、暖房用熱交換器の吹出温度分布を所望値にできるのでないかと考えた。
この理由を、図1にて説明する。図1のうち下方部位で、暖房用熱交換器の温水入口側の温水温度は、混合割合調整手段(7)にて図1中矢印Bで示すように温水源(2)から供給される高温温水と、図1中矢印Aで示すように暖房用熱交換器(17)を通過した後の低温温水との混合割合にて調整される。
【0009】
そして、この際、暖房用熱交換器の温水出口側では上述のように温水入口側より温度が低くなる。しかし、この温水温度の低下は、温水量に応じて異なる。つまり、温水出口側の温水温度は、暖房用熱交換器(17)の温水入口側における空気と温水との熱交換量にて決まり、この熱交換量により、温水出口側における温水温度の低下度合いが決まる。このため、上記温水量を設定することで、暖房用熱交換器の温水流れ方による吹出温度分布に影響されずに、温水式暖房装置ごとに予め所望の吹出温度分布を設定することができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の考え方を利用して、空調情報信号に応じて、暖房用熱交換器(17)に供給される温水量を調整する温水量調整手段(11、13)とを備えることを特徴としている。
これにより、空調情報に応じて、暖房用熱交換器の吹出温度分布を調整することができる。
【0011】
また、請求項5記載の発明では、請求項1または請求項3記載の温水式暖房装置を適用した車両用空調装置であって、コア部(17e)の温水入口側を通過した空調風を車室内の下方部位に送風するとともに、コア部(17e)の温水出口側を通過した空調風を車室内の上方部位から送風する吹出モードが設定可能となっており、吹出モードにおいて、温水量設定手段(11、13)にて上方部位から送風される空調風の第1温度を設定し、混合割合調整手段(7)にて前記下方部位から送風される空調風の第2温度を設定することを特徴としている。
【0012】
これにより、車室内の上方部位から送風される空調風の第1温度と、車室内の下方部位から送風される空調風の第2温度とを、暖房用熱交換器の吹出温度分布を設定することで、所望値に設定できる。
また、請求項6記載の発明では、請求項2または請求項4記載の温水式暖房装置を適用した車両用空調装置であって、コア部(17e)の温水入口側を通過した空調風を、車室内の下方部位に送風するとともに、コア部(17e)の温水出口側を通過した空調風を車室内の上方部位から空調風を送風する吹出モードが設定可能となっており、吹出モードにおいて、温水量調整手段(11、13)にて上方部位から送風される空調風の第1温度を調整し、混合割合調整手段(7)にて前記下方部位から送風される空調風の第2温度を調整することを特徴としている。
【0013】
これにより、車室内の上方部位から送風される空調風の第1温度と、車室内の下方部位から送風される空調風の第2温度とを、空調情報に応じて、暖房用熱交換器の吹出温度分布を所望値に調整できる。
また、請求項8記載の発明では、乗員により前記上方部位における空調情報信号である第1設定温度(TSET (上))を設定する第1設定手段(32)と、乗員により前記下方部位における空調環境情報である第2設定温度(TSET (下))を設定する第2設定手段(33)とを有し、第1算出手段(ステップS521)は、少なくとも第1設定温度(TSET (上))に基づいて、前記第1目標温度(TAO(上))を算出し、第2算出手段(ステップS521)は、少なくとも第2設定温度(TSET (下))に基づいて、第2目標温度(TAO(下))を算出することを特徴としている。
【0014】
これにより、車室内の上方部位を第1設定温度に温度制御できるとともに、車室内の下方部位を第2設定温度に温度制御でき、上下独立温度制御が可能となる。
また、請求項9記載の発明では、吹出モードは、上方部位から乗員の上半身および下方部位から乗員の下半身に向けて空調風を送風するバイレベルモードであり、第1温度と、第2温度とをほぼ同一としたことを特徴としている。
【0015】
ところで、上述のように暖房用熱交換器の構造によっては、通常第1温度は第2温度より低くなるが、請求項9記載の発明によれば、この構造的な吹出温度分布に影響されずに、第1温度と第2温度とをほぼ同一にすることができる。
また、請求項10記載の発明では、吹出モードは、上方部位から乗員の上半身および下方部位から乗員の下半身に向けて空調風を送風するバイレベルモードであり、車室内へ入射する空調環境情報である日射量(Ts)が増加すると、温水量を減少することで、乗員の上半身に向けて送風される空調風の温度を下げることを特徴としている。
【0016】
これにより、日射量が増加すると、乗員の上半身に向けて送風される空調風の温度が下がるため、日射によって乗員がほてり感を打ち消すことができ、空調フィーリングを向上できる。さらには、このようにすることで、従来のように暖房用熱交換器をバイパスするバイパス通路を設け、日射量が増加すると、バイパス通路を開けて日射量分の熱量を打ち消すといったことをする必要が無くなり、日射量分の熱量をバイパス通路を設けずに打ち消すことができる。この結果、車両用空調装置の体格を小さくすることができ、車両搭載性を向上できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の温水式暖房装置を車両用空調装置に適用したものである。図1に車両用空調装置1の概要および温水回路100の全体構成図を示す。
先ず、温水回路100について説明する。温水回路100は、温水源であるエンジン2を有する。また、図示しないが図1中エンジン2の左側で、温水回路100には、エンジン冷却水(以下、温水)を冷却する周知のラジエータを有する冷却水回路が接続されている。エンジン2内には、機械式のポンプ4が内蔵されており、ポンプ4はエンジン2が駆動されると、温水を温水回路100に流すようになっている。
【0018】
温水回路100は、エンジン2からの温水を後述のヒータコア17に循環させる温水循環回路を構成している。温水回路100は、図1に示すように単純な閉回路である。温水回路100には、上記ヒータコア17と並列に設けられ、ヒータコア17を通過し、空気と熱交換された後の低温温水が、エンジン2をバイパスして再度ヒータコア17に還流(導く)する還流温水路5が設けられている。
【0019】
温水回路100のうち、エンジン2からヒータコア17に温水を供給する温水供給路100a中には、ヒータコア17への温水供給量と、上記還流温水路5を流れる温水量とを調整する制御する3方タイプの調整弁7が設けられている。具体的には、調整弁7は、図1に示すように温水供給路100aと還流温水路5との合流部位に設けられている。
【0020】
ここで、上記調整弁7について説明する。調整弁7は、図1に示すように樹脂性の有底円筒状のハウジング7a内に、樹脂性の弁体7bが収納されたロータリ式のバルブである。弁体7bには、図1に示すように温水が流れる制御流路7cが形成されている。なお、図1中弁体7bには、その形状および制御流路7cを分かりやすくするため、ハッチングがいれてある。
【0021】
そして、本例では、弁体7bが図1中矢印X方向に回動すると、制御流路7cと、ハウジング7aに開口し、温水供給路100aに接続されてエンジン2を流れた温水の取入口である温水取入口8との重畳面積が変化する。さらには、弁体7bが回動すると、制御流路7cと、ハウジング7aに開口し、還流温水路5用の温水取入口9との重畳面積が変化するとともに、制御流路7cと、ハウジング7aに開口し、ヒータコア17側の温水流入回路100bと連通する温水取出口10の重畳面積が変化する。
【0022】
例えば、ヒータコア5での暖房能力を最大にするためには、図1中弁体7bを反時計回りに回動して、温水取入口9を閉塞して還流温水路5を閉塞するとともに、上記温水取入口8および温水取出口10とを全開とする。一方、ヒータコア5での暖房能力を最低(最大冷房)にするためには、図1中弁体7bを時計回りに回動して、温水取入口8および温水取出口10を閉塞しするとともに、温水取入口9を開口する。なお、図1に示した調整弁7の状態は、弁開度が上記最大暖房と上記最大冷房との中間域の状態を表している。
【0023】
また、調整弁7は、その作動範囲を予め設定された上記最大暖房から上記最大冷房までの範囲に規制するために、例えばハウジング7aには、図示しない一対のストッパー部が形成されており、弁体7b(回動軸心方向の一端部)には、このストッパー部と当接する受け部が形成されている。これにより、調整弁7は、弁体7bの作動位置が上記最大暖房となると、一方のストッパー部と受け部とがぶつかることで、それ以上弁体7bが作動しないようにしている。一方、調整弁7は、弁体7bの作動位置が上記最大冷房となると、他方のストッパー部と受け部とがぶつかることで、それ以上弁体7bが作動しないようにしている。
【0024】
上記温水流入回路100bには、本発明の温水量調整手段を構成する電動ポンプ11が設置されている。電動ポンプ11は、還流温水路5にヒータコア17へ向かう温水流れを発生させるためのものである。具体的には、調整弁7が図1に示すように温水取入口8、9、温水取出口10とをが全て開口している場合では、電動ポンプ11を作動させることで、ヒータコア17および還流温水路5には、図1中矢印Aで示す温水流れが発生するようになっている。
【0025】
また、電動ポンプ11は、車両に搭載されたバッテリー12(定格12V)からの電力を受けて作動するようになっている。バッテリー12と電動ポンプ11との間には、電動ポンプ11の回転数を可変する手段で、上記温水量調整手段を構成し、抵抗値が変化する可変抵抗器13が設けられている。
次に車両用空調装置1について説明する。図2に車両用空調装置1の全体構成図を示す。
【0026】
車両用空調装置1は、車室内への空気通路をなす空調ケース14を有する。空調ケース14には、車室内へ向かう空気流を発生する電動送風機15(以下、送風機)が設けられている。
空調ケース14内で、送風機15の下流側には、車両に搭載された冷凍サイクル(図示しない)のエバポレータ16が配置されている。エバポレータ16は、内部に低温低圧冷媒が流れ、この冷媒の蒸発潜熱により通過する空気から熱を奪うことで、空気を冷却する冷却用熱交換器を構成している。
【0027】
さらに空調ケース14内で、上記エバポレータ16の下流側には、通過する空気を加熱する暖房用熱交換器である上記ヒータコア17が、内部の流路を全域塞ぐようにして収納配置されている。ヒータコア5は、温水回路6内に設けられており、温水回路6を流れる温水が循環するようになっている。これにより、ヒータコア5では、通過する空気と温水とが熱交換することで、空気が加熱される。また、このヒータコア17の構成は、以下のようなものである。図3にヒータコア17の単体図を示す。
【0028】
本例のヒータコア17は、上記従来技術で述べた一方向ヒータコアであって、空気と熱交換するコア部17eを有する。コア部17は、複数の偏平チューブ17fと複数のコルゲートフィン17gとが積層されて構成されている。なお、偏平チューブ17fとコルゲートフィン17gとは、アルミニウム等にて形成されている。コア部17の一端側(図3中右側)で、偏平チューブ17fの入口側には、全ての偏平チューブ17fに温水を分配する入口タンク部17bが設けられている。
【0029】
また、コア部17の他端側(図3中左側)で、偏平チューブ17fの入口側には、全ての偏平チューブ17fを流れ出た温水を合流させて、温水回路100に流す出口タンク部17aが設けられている。このような構成により、コア部17eには、温水が一端側の入口タンク部17bから他端側の出口タンク17aに向かう一方向のみに流れる。
【0030】
空調ケース14のうち、ヒータコア5の下流側には、図1、図2に示すように車両窓ガラス(図示しない)の内面(車室内の上方部位)に向かって空調風を送風するデフロスタ用空気通路18、乗員の上半身(車室内の上方部位)に向けて空調風を送風するフェイス用空気通路19、および乗員の下半身(車室内の下方部位)に向けて空調風を送風するフット用空気通路20が形成されている。なお、デフロスタ用空気通路18およびフェイス用空気通路19にて、本発明の上方吹出通路を構成しており、フット用空気通路20にて下方吹出通路を構成している。
【0031】
そして、本例では、デフロスタ用空気通路18およびフェイス用空気通路19の各入口部は、図1に示すようにコア部17eの温水出口側(出口タンク部17a側)よりに開口している。また、フット用空気通路20の入口部は、図1に示すようにコア部17eの温水入口側(入口タンク部17b側)よりに開口している。
【0032】
デフロスタ用空気通路18は、図2に示すように開閉部材である第1吹出モード切換ドア21にて開閉され、フェイス用空気通路19は、図2に示すように開閉部材である第2吹出モード切換ドア22にて開閉される。また、フット用空気通路20は、開閉部材である第2吹出モード切換ドア23にて開閉される。
これにより、本例では、吹出モードとして、周知のフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモードが切り換え設定可能となっている。以下、簡単にこれら吹出モードについて説明する。
【0033】
▲1▼フェイスモード
フェイスモードでは、第1吹出モード切換ドア21にてデフロスタ用空気通路18を閉塞するとともに、第2吹出モード切換ドア22にてフェイス用空気通路19を開口する。また、第3吹出モード切換ドア23にてフット用空気通路20を閉塞する。これにより、空調風は、フェイス用空気通路19のみに送風される。
【0034】
▲2▼バイレベルモード
バイレベルモードでは、第1吹出モード切換ドア21にてデフロスタ用空気通路18を閉塞するとともに、第2吹出モード切換ドア22にてフェイス用空気通路19を開口する。また、第3吹出モード切換ドア23にてフット用空気通路20を開口する。これにより、空調風は、フェイス用空気通路19およびフット用空気通路20の双方に送風される。
【0035】
そして、バイレベルモードでは、上述の位置にフェイス用空気通路19およびフット用空気通路20が開口しているため、コア部17eの温水出口側を通過した空調風が、フェイス用空気通路19に送風されるとともに、コア部17eの温水入口側を通過した空調風が、フット用空気通路20に送風される。
▲3▼フットモード
フットモードでは、第1吹出モード切換ドア21にてデフロスタ用空気通路18を若干開口するとともに、第2吹出モード切換ドア22にてフェイス用空気通路19を閉塞する。また、第3吹出モード切換ドア23にてフット用空気通路20を開口する。これにより、空調風の大部分は、フット用空気通路20に送風され、残りの若干量は、デフロスタ用空気通路18に送風される。なお、デフロスタ用空気通路18とフット用空気通路20との空調風の風量割合は、約2対8となっている。
【0036】
そして、このフットモードでも、上述の位置にデフロスタ用空気通路18およびフット用空気通路20が開口しているため、コア部17eの温水出口側を通過した空調風が、デフロスタ用空気通路18に送風されるとともに、コア部17eの温水入口側を通過した空調風が、フット用空気通路20に送風される。
▲4▼フットデフモード
フットデフモードでは、第1吹出モード切換ドア21にてデフロスタ用空気通路18を開口するとともに、第2吹出モード切換ドア22にてフェイス用空気通路19を閉塞する。また、第3吹出モード切換ドア23にてフット用空気通路20を開口する。これにより、空調風の約半分は、フット用空気通路20に送風され、残りの半分は、デフロスタ用空気通路18に送風される。コア部17eを通過した空調風の流れ方は、上記フットモードと同様である。
【0037】
▲5▼デフロスタモード
デフロスタモードでは、第1吹出モード切換ドア21にてデフロスタ用空気通路18を開口するとともに、第2吹出モード切換ドア22にてフェイス用空気通路19を閉塞する。また、第3吹出モード切換ドア23にてフット用空気通路20を閉塞する。これにより、空調風は、デフロスタ用空気通路18のみに送風される。なお、このデフロスタモードは、後述の空調用操作パネル31に設けられたデフロスタスイッチ(図示しない)をオンしたときのみに設定されるようになっている。
【0038】
次に車両用空調装置1の制御系について説明する。
車両用空調装置1は、図1に示す制御装置24にて空調制御されるようになっている。制御装置24は、周知のコンピュータ手段であり、空調プログラムが記憶されたROMや、データを一時的に記憶するRAM、A/D変換器、タイマー等を有するものである。制御装置24の概要図を図4に示す。
【0039】
制御装置24は、入力端子として空調情報を検出する手段で、本発明の空調情報信号発生手段をなす各種センサが接続されている。具体的には、制御装置24には、車室内の温度を検出する内気温センサ25、車室外の温度を検出する外気温センサ26と、車室内に入射する日射量を検出する日射センサ27と、ヒータコア5の空気下流側に設置され、ヒータコア5にて温度調整された空調風の吹出温度を検出する吹出温度センサ28、29、エンジン2から吐出された温水温度を検出する水温センサ30と、車室内に配置された上記空調用操作パネル31とが接続されている。
【0040】
なお、本例では、2つの吹出温度センサ28、29を使用するが、吹出温度センサ28は、図2に示すようにコア部17eの温水出口側に配置され、この温水出口側を通過した空調風の吹出温度を検出する。一方、吹出温度センサ29は、図2に示すようにコア部17eの温水入口側に配置され、この温水入口側を通過した空調風の吹出温度を検出する。
【0041】
空調用操作パネル31には、車室内の2つの設定温度を設定する第1、第2温度設定器32、33が設けられている。なお、この第1、第2温度設定器32、33も本発明の空調情報信号を派生する信号発生手段を構成している。そして、第1温度設定器32は、車室内の上方部位の第1設定温度を設定するためのものであり、第2温度設定器33は車室内の下方部位の第2設定温度を設定するためのものである。
【0042】
一方、制御装置24は、出力端子として、上記調整弁7の弁体7bを駆動する電気的駆動手段であるサーボモータ34、上記可変抵抗器13、上記送風機15を駆動する駆動回路35、上記吹出口切換ドア21〜23を駆動するサーボモータ36〜38が接続されている。
次に、上記制御装置24の制御内容を図5〜図7のフローチャートに基づき説明する。
【0043】
先ず、図5において、ステップS100では、空調情報読み込みとして、上記各種センサ25〜30の検出値を読み込むとともに、上記第1、第2温度設定器32の第1、第2設定温度(TSET (上)、TSET (下))を読み込む。
続いて、ステップS200にて、上記ステップS100にて読み込まれた空調情報に基づいて、以下の数式1より空調風の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。
【0044】
【数1】
TAO=KSET ×TSET −Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +C
ここで、Tr は内気温センサ25の検出値、Tamは外気温センサ26の検出値、Ts は日射センサ27の検出値である。KSET 、Kr 、Kam、Ks はそれぞれゲインであり、Cは補正用定数である。また、TSET は、上記TSET (上)とTSET (下)との平均温度である。
【0045】
次にステップS300では、上記ステップS200にて算出された目標吹出温度TAOに基づいて、吹出モードを決定する。具体的には、吹出モードは上記ROM内に記憶された図6のマップより設定される。
続いて、ステップS400では、上記ステップS200にて算出された目標吹出温度TAOに応じて、送風機15による空調風の送風量、つまり送風機15に印加される電圧を決定する。なお、この送風量の設定は、図示しない2つのマップから決定される。すなわち、この2つのマップのうち、1つは上記水温センサ30が検出する水温が所定温度より低いときに行うウォームアップ制御用のものであり、残りの1つは上記水温が所定温度より高いときに行う通常制御用のものである。また、以下の説明は、上記水温が所定温度より高い場合について説明したものである。
【0046】
続いて、ステップS500では、上記ステップS300にて決定された吹出モードに応じて、空調風の吹出温度制御を行う。以下、これについて図7、図8を用いて説明する。
図7において、ステップS510では、上記ステップS300にて設定された吹出モードがフェイスモードであるか否かを判定する。この判定結果がYESでフェイスモードである場合は、ステップS530にて通常温度制御を行う。ステップS530の内容を図8を用いて説明する。
【0047】
先ず、フェイスモードの場合は、ステップS531にて上側目標吹出温度TAO(上)を算出する。このTAO(上)は、以下の数式2より算出される。
【0048】
【数2】
TAO(上)=KSET ×TSET (上)−Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +C
つまり、上記数式1では、TSET の項がTSET (上)とTSET (下)との平均温度であったが、数式2ではTSET の代わりにTSET (上)としてある。
【0049】
次にステップS532では、上記TAO(上)と第1吹出温度センサ28の検出値(以下、第1温度)とを比較して、調整弁7の弁開度を制御する。具体的には、上記TAO(上)が第1温度より低い場合は、調整弁7の弁体7bを図1中時計回りに所定量回動させる。これにより、図10に示すように例えば温水取入口8および温水取出口10が閉じられ、温水取入口9が全開するようになる。この結果、ヒータコア17への温水供給が停止される。
【0050】
一方、上記TAO(上)が第1温度より高い場合は、調整弁7の弁体7bを図1中反時計回りに所定量回動させる。これにより、本例では図示しないが温水取入口8および温水取出口10が若干開口し、温水取入口9はまだ閉塞状態となる。この結果、若干量の温水がヒータコア17へ供給されるため、第1温度は高くなり、上記TAO(上)に近づく。
【0051】
また、上記弁体7bの作動量は、上記TAO(上)と第1温度との差が大きくなるほど、大きく設定する。
一例を述べると、例えば、夏場に急速に車室内を冷却する場合では、上記TAO(上)は、第1温度よりずっと低い値なっている。従って、この場合は、弁体7bは、上記最大冷房状態となる。そして、車室内が十分に冷却されて、上記TAO(上)が高くなると、弁体7bが図1中時計回りに回動して、若干量の温水がヒータコア17に供給されることで、空調風の温度が調整制御される。
【0052】
次にステップS533では、電動ポンプ11を停止状態に設定する。つまり、以上の説明から分かるように、フェイスモードでは、上記温水取入口9が閉塞しているため、電動ポンプ11は停止状態で良く、上記調整弁7は、ヒータコア17への温水量を調整する温水量調整機能を果たす。
そして、図7のフローチャートに戻って、ステップS510の判定結果がNOで、フェイスモード以外である場合、つまり吹出モードがバイレベルモード、フットモード、フットデフモードにおいては、ステップS520にて上下独立温度制御を行う。この上下独立温度制御の制御内容を図9に示す。
【0053】
先ず、上記吹出モードがバイレベルモードであった場合を代表例として説明する。
ステップS521では、下記数式3に基づいて上側目標吹出温度TAO(上)を算出するとともに、下記数式4に基づいて下側目標吹出温度TAO(下)を算出する。なお、このステップS521が本発明の第1、第2算出手段を構成している。
【0054】
【数3】
TAO(上)=f(Ts )×(KSET ×TSET (下)−Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts+C)
【0055】
【数4】
TAO(下)=KSET ×TSET (上)−Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +C
なお、上記f(Ts)は、0より小さく、Tsに基づいて予め設定された値である。そして、f(Ts )は、日射量Tsが増加すると、小さくなるように設定される。
【0056】
また、上記TAO(上)は、車室内の上方空間をTSET (上)にするための、空調風の第1目標温度であり、上記TAO(下)は、車室内の下方空間をTSET (下)にするための、空調風の第2目標温度である。
続いて、ステップS522では、上記TAO(下)と第2吹出温度センサ29の検出値である第2温度とを比較して、調整弁7の弁開度を制御する。これによって、先ず、フット用空気通路20に送風される空調風の温度である第2温度を制御する。
【0057】
具体的には、バイレベルモードは主として春や秋等の中間期に使用されるモードであるため、ヒータコア17で要求される空気加熱能力は小さい。従って、バイレベルモードにおいて、ステップS522での調整弁7の弁開度は、図11のような状態となる。
つまり、温水取入口8、9、温水取出口10は、全て若干開口した状態となり。この場合に電動ポンプ11を作動させると、図1、図11中矢印Aで示すように還流温水路5を流れた低温温水が、ヒータコア17に再度流入する。また、温水回路100からの高温温水は、矢印Bで示すように流れる。即ち、調整弁7の弁開度に応じて エンジン2から供給される高温温水と、ヒータコア17を通過した後の低温温水との混合割合が調整され、ヒータコア17に供給される温水温度が自動的に調整されることになる。
【0058】
例えば、上記TAO(下)が第2温度より高い場合は、調整弁7の弁体7bを図11中反時計回りに所定量回動させる。これにより、図11に示すように例えば温水取入口8および温水取出口10の開口面積が大きくなるとともに、温水取入口9の開口面積が小さくなる。つまり、ヒータコア17へ供給される温水のうち、温水回路100からの高温温水の割合が大きくなり、還流温水路5からの低温温水の割合が小さくなる。このため、ヒータコア17へ供給される温水温度が高くなる。
【0059】
一方、上記TAO(下)が第2温度より低い場合は、調整弁7の弁体7bを図1中時計回りに所定量回動させる。これにより、例えば温水取入口8および温水取出口10の開口面積が小さくなるとともに、温水取入口9の開口面積は大きくなる。つまり、ヒータコア17へ供給される温水のうち、温水回路100からの高温温水の割合が小さくなり、還流温水路5からの低温温水の割合が大きくなる。このため、ヒータコア17へ供給される温水温度が低くなる。この結果、第2温度は低くなり、上記TAO(下)に近づく。
【0060】
このように温水温度が調整され、図11に示すように例えばエンジン2を通過した温水温度が85であっても、調整弁7によりヒータコア17へ供給される温水温度Twは、30〜80度に制御される。なお、上記弁体7bの作動量は、上記TAO(上)と第2温度との差が大きくなるほど、大きく設定する。
そして、次のステップS523では、上記上側目標吹出温度TAO(下)と第1吹出温度センサ28の検出値である第1温度との検出値を比較して電動ポンプ11の回転数(印加電圧であり、ヒータコア17へ供給される温水量Vw(リットル/min)を制御する。つまり、フェイス用空気通路19に送風される空調風の温度である第1温度を制御する。
【0061】
ここで、電動ポンプ11の回転数を制御することで、上記第1温度が制御できるのかを図13を用いて説明する。図13は、電動ポンプ11の印加電圧を可変することで、ヒータコア17へ供給される温水量を制御したときに、ヒータコア17に供給される温水温度Tw(以下、Tw(in))と、コア部17eから出た後の温水温度Tw(out)bとの変化を一般的に表したものである。また、図13は、ヒータコア17を通過する風量を一定として、電動ポンプ11が停止しているときには、温水量Vwを0として記載してある。
【0062】
例えば、上記調整弁7により、温水温度Tw(in)がTw1であったとする。すると、図13に示すように温水量Vwが0〜1リットル/minの範囲では、コア部17eに微小に温水が流れ込んでいる状態であって、コア部17e内の比較的低温な温水中に微小な高温の温水が流れ込んだ状態にある。このため、温水量の増加に伴って、温水温度Tw(in)および温水温度Tw(out)は高くなる。また、この際、温水温度Tw(out)は、コア部17eにて熱交換された後の温度であるため、温水温度Tw(in)より低い値で、Tw1′となる。そして、このような温水温度は、コア部17eの温水入口側から温水出口側に行くほど、低くなるような温度分布となる。
【0063】
また、図13に示すように温水量が1リットル/min以上であると、コア部17e内に存在する温水が入ってくる温水によって全て押し流される状態にある。このため、温水量Vwを増加しても、温水温度Tw(in)はほとんど変化しない。一方、温水温度Tw(out)は、コア部17eでの空気との熱交換により温水温度Tw(in)より低くなるが、温水量が増加したため、温水温度Tw(out)は、1リットル/min以下の場合より、高くなる。
【0064】
つまり、上記課題を解決するための手段にて述べたように、温水温度Tw(out)は、コア部17eの温水入口側における空気と温水との熱交換量にて決まり、これにより、温水温度Tw(out)の低下度合いが決まる。例えば、温水量が増えると、コア部17eの温水入口側においては空気と熱交換しても、温水温度は大きく低下せずに、この温水がコア部17eの温水出口側に流れ込む。このため、コア部17eの温水出口側、つまり上記温水温度Tw(out)の温度は高くなる。
【0065】
そして、このような温水量Vwの増加に応じて温水温度(out)が高くなる傾向は、温水量が0〜6リットル/minまで続き、温水量が6リットル/min以上となると、温水温度(out)は飽和して一定となる。また、このような挙動は、調整弁7による温水温度Twに応じて異なり、温水温度TwがTw2である場合は、コア部17eの温水出口側の温度は、Tw2′となり、さらに温水温度TwがTw3である場合は、コア部17eの温水出口側の温度は、Tw3′となる。
【0066】
従って、ステップS522にて、調整弁7の弁開度を決定したのちに、ステップS523にて、上記TAO(上)と上記第1温度とを比較して、電動ポンプ11の回転数(印加電圧)を可変抵抗器13にて制御すれば、フェイス用空気通路19に送風される空調風の温度を制御できる。
例えば、TAO(上)がTAO(下)より低い場合は、電動ポンプ11の印加電圧を4〜12Vの範囲で、温水量を6リットル/min以下にて使用すれば、図12中▲1▼に示すようにフェイス用空気通路19へ送風される空調風の温度を、フット用空気通路20のそれより所定量下げて所望値にすることができる。なお、図12中ヒータコア17の左側の矢印は、吹出温度分布を表したものである。
【0067】
例えば、ステップS522にて調整弁7の弁開度が調整されて、図13に示すように温水温度TwがTw1、かつこの際電動ポンプ11の印加電圧が12Vである状態aであったとする。そして、この状態でTAO(上)と第1温度との比較により、第1温度の方が高いと、TAO(上)と第1温度との差が大きくなるほど、電動ポンプ11の印加電圧が大きく下げられる。例えば、電動ポンプ11の印加電圧は、温水温度(out)が上記TAO(上)を満足する水温Tw3となるまで下げられて、図13中状態b(印加電圧5V)となる。
【0068】
これにより、図11中▲1▼に示すようにフェイス用空気通路19に所望温度の冷風を送風するとともに、フット用空気通路20に所望温度の温風を送風することができる。この結果、乗員に最も快適と感じる温感(頭寒足熱)を与えることができる。
また、例えばTSET (上)がTSET (上)と同じであれば、TAO(上)とTAO(下)とは、同じ値となるため、図11中▲2▼に示すように電動ポンプ11の印加電圧を最大の12Vとして、温水量を最大とすれば、フェイス用空気通路19とフット用空気通路20とに送風される空調風の温度をほぼ同一に近づけることができ、同温バイレベルモードが設定できる。このように本例では、乗員の温感に応じて、頭寒足熱を達成する上記バイレベルモードと、上記同温バイレベルモードとが任意に設定できる。
【0069】
また、本例では、数式3中f(Ts)によって、日射量Tsが増加すると、上側目標吹出温度TAO(上)が下がるため、電動ポンプ11の印加電圧が下がってヒータコア17への温水量が減少する。このため、乗員の上半身に向けて送風される空調風の温度が下がり、日射によって乗員がほてり感を打ち消すことができ、空調フィーリングを向上できる。
【0070】
さらには、このようにすることで、従来のように暖房用熱交換器をバイパスするバイパス通路を設け、日射量が増加すると、バイパス通路を開けて日射量分の熱量を打ち消すといったことをする必要が無くなり、日射量分の熱量をバイパス通路を設けずに打ち消すことができる。この結果、車両用空調装置の体格を小さくすることができ、車載搭載性を向上できる。
【0071】
次に上記フットモードもしくはフットデフモードであった場合では、冬期等において車室内を暖房する場合であって、ヒータコア17での加熱能力を大きくして使用する。そして、上記TAO(上)が第1温度より高い場合は、調整弁7の弁体7bを図1中反時計回りに所定量回動させる。これにより、図11に示すように例えば温水取入口8および温水取出口10が全開し、温水取入口9が全閉するようになる。これにより、エンジン2を通過した高温温水の全てがヒータコア17へ供給される。この結果、ヒータコア17での空気加熱能力は最大となる。
【0072】
一方、上記TAO(上)が第1温度より低い場合は、調整弁7の弁体7bを図1中時計回りに所定量回動させる。これにより、例えば温水取入口8および温水取出口10が若干閉塞されるが、温水取入口9はまだ閉塞状態となる。この結果、エンジン2を通過した高温温水の温水量が少なくなって、ヒータコア17での空気加熱能力が小さくなる。これにより、第1温度は低くなり、上記TAO(上)に近づく。
【0073】
一例を述べると、例えば、冬場に急速に車室内を暖房する場合では、上記TAO(上)は、第1温度よりずっと高い値なっている。従って、この場合は、弁体7bは、上記最大暖房状態となる。そして、車室内が十分に暖房されて、上記TAO(上)が低くなると、弁体7bが図1中時計回りに回動して、ヒータコア17への温水量が少なくなり、空調風の温度が調整制御される。
【0074】
このようにフットモードおよびフットデフモードでは、上記調整弁7は、ヒータコア17への温水量を調整する温水量調整機能を果たす。そして、このようなフットモードおよびフットデフモードにおいても、上述のステップS522およびステップS523の制御を行うことで、図12中▲1▼で示すように吹出温度に差を付けたり、図12中▲2▼で示すように上下独立温度制御を行うことができる。
【0075】
以上説明したように本例では、上記温水量Twを設定することで、ヒータコア17の温水流れ方による吹出温度分布に影響されずに、TSET (上)、TSET (下)、日射量Ts等の空調環境情報に応じて、所望の吹出温度分布を調整設定可能とすることができる。
また、本例では、上記第1温度と、上記第2温度とを、空調環境情報に応じて、ヒータコア17の吹出温度分布を設定することで、所望値に調整できるため、車室内の上方部位を第1設定温度TSET (上)に、車室内の下方部位をTSET (上)に温度制御でき、上方部位と下方部位とを独立して温度制御できる。
【0076】
また、本例では、上記ヒータコア17は、入口タンク部17bが上方部位、出口タンク部12aが下方部位となるように車両に搭載していた。そして、このような搭載向き等は各種車両に応じて異なり、この搭載向きやヒータコア17を通過する空調風の風速分布等によってはヒータコア17での吹出温度分布が異なる。このため、従来のヒータコアを用いて、吹出温度分布を改善するためには、車両ごとに複雑に対処していかなければならない。しかし、本例のように電動ポンプ11によりヒータコア17の吹出温度分布を制御することができるため、電動ポンプ11の制御仕様を変更すれば、どのようなものでも簡単に対応できる。
【0077】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、電動ポンプ11の印加電圧を調整して可変制御するものであってが、例えば上記バイレベルモードにおいて、予め所望の吹出温度分布となるように電動ポンプ11の印加電圧、つまりヒータコア17への温水量をらじめ決められた値に設定するようにしても良い。これにより、ヒータコア17の構造的な吹出温度分布に影響されずに、第1温度と第2温度とをほぼ同一にすることができる。また、ハイレベルモードにおいて、乗員に頭寒足熱の空調フィーリングを与えることもできる。なお、ここで言う電動ポンプ11は、本発明の温水量設定手段を構成している。
【0078】
(変形例)
また、上記実施形態において、ヒータコア17の車両搭載位置は、限定されるものでは無く、入口タンク部17bと出口タンク部17aとが水平方向に並ぶように配置しても良いし、ヒータコア17を傾斜した状態で配置しても良い。さらには、入口タンク部7bと出口タンク部7aの配置を上下方向において、逆にしても良い。
【0079】
また、上記各実施形態は、本発明の温水式暖房装置を車両用空調装置に適用したものであったが、車両用に限らず、家庭用、船舶用等に使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態における温水回路および車両用空調装置の構成図である。
【図2】上記各実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。
【図3】上記各実施形態におけるヒータコアの単体図である。
【図4】上記各実施形態における車両用空調装置の制御系を表す図である。
【図5】上記第1実施形態における車両用空調装置の制御内容を表すフローチャートである。
【図6】上記第1実施形態におけるTAOと吹出モードとの関係図である。
【図7】上記第1実施形態における車両用空調装置の制御内容を表すフローチャートである。
【図8】上記第1実施形態における車両用空調装置の制御内容を表すフローチャートである。
【図9】上記第1実施形態における車両用空調装置の制御内容を表すフローチャートである。
【図10】上記第1実施形態のフェイスモードにおける調整弁7の状態を示したものである。
【図11】上記第1実施形態のバイレベルモードにおける調整弁7の状態を示したものである。
【図12】上記第1実施形態のフットモードおよびフットデフモードにおける調整弁7の状態を示したものである。
【図13】本発明の発明原理を説明図である。
【符号の説明】
2…エンジン、7…調整弁、17…ヒータコア、11…電動ポンプ、
17e…コア部。

Claims (11)

  1. 温水源(2)からの温水が供給される暖房用熱交換器(17)を有し、この暖房用熱交換器(17)のうち空気と熱交換するコア部(17e)が、前記温水が一端部から他端部に向かう一方向のみに流れるように構成されている温水式暖房装置において、
    前記暖房用熱交換器(17)に供給される温水温度を、前記温水源(2)から供給される高温温水と、前記暖房用熱交換器(17)を通過した後の低温温水との混合割合にて調整する混合割合調整手段(7)と、
    前記暖房用熱交換器(17)に供給される温水量を設定する温水量設定手段(11、13)とを備えることを特徴とする温水式暖房装置。
  2. 温水源(2)からの温水が供給される暖房用熱交換器(17)を有し、この暖房用熱交換器(17)のうち空気と熱交換するコア部(17e)が、前記温水が一端部から他端部に向かう一方向のみに流れるように構成されている温水式暖房装置において、
    前記暖房用熱交換器(17)に供給される温水温度を、前記温水源(2)から供給される高温温水と、前記暖房用熱交換器(17)を通過した後の低温温水との混合割合にて自動的に調整する混合割合調整手段(7)と、
    空調情報信号(Ts、TSET (上)、TSET (上))を発生する信号発生手段(27、32、33)と、
    前記空調情報信号に応じて、前記暖房用熱交換器(17)に供給される温水量を調整する温水量調整手段(11、13)とを備えることを特徴とする温水式暖房装置。
  3. 前記温水源(2)からの温水を前記暖房用熱交換器(17)に循環させる温水循環回路(100)と、
    前記温水循環回路(100)に前記暖房用熱交換器(17)と並列に設けられ、前記温水源(2)をバイパスして、前記低温温水を前記暖房用熱交換器(17)に導く還流温水路(5)とを有し、
    前記混合割合調整手段(7)は、前記温水循環回路(100)のうち、前記温水源(2)から前記暖房用熱交換器(17)に温水を供給する温水供給路(100a)中で、前記温水供給路(100a)と前記還流温水路(5)との合流部位に設けられ、前記混合割合を調整する調整弁(7)にて構成されており、
    前記温水量設定手段(11、13)は、前記還流温水路(5)に前記暖房用熱交換器(17)に向かう温水流れを発生する電動ポンプ(11、13)にて構成されていることを特徴とする請求項1記載の温水式暖房装置。
  4. 前記温水源(2)からの温水を前記暖房用熱交換器(17)に循環させる温水循環回路(100)と、
    前記温水循環回路(100)に前記暖房用熱交換器(17)と並列に設けられ、前記温水源(2)をバイパスして、前記低温温水を前記暖房用熱交換器(17)に導く還流温水路(5)とを有し、
    前記混合割合調整手段(7)は、前記温水循環回路(100)のうち、前記温水源(2)から前記暖房用熱交換器(17)に温水を供給する温水供給路(100a)中で、前記温水供給路(100a)と前記還流温水路(5)との合流部位に設けられ、前記混合割合を調整する調整弁(7)にて構成されており、
    前記温水量調整手段(11、13)は、前記還流温水路(5)に前記暖房用熱交換器(17)に向かう温水流れを発生する電動ポンプ(11、13)にて構成されていることを特徴とする請求項2記載の温水式暖房装置。
  5. 請求項1または請求項3記載の温水式暖房装置を適用した車両用空調装置であって、
    前記コア部(17e)の温水入口側を通過した空調風を車室内の下方部位に送風するとともに、前記コア部(17e)の温水出口側を通過した空調風を車室内の上方部位から送風する吹出モードが設定可能となっており、
    前記吹出モードにおいて、前記温水量設定手段(11、13)にて前記上方部位から送風される空調風の第1温度を設定し、前記混合割合調整手段(7)にて前記下方部位から送風される空調風の第2温度を設定することを特徴とする車両用空調装置。
  6. 請求項2または請求項4記載の温水式暖房装置を適用した車両用空調装置であって、
    前記コア部(17e)の温水入口側を通過した空調風を、車室内の下方部位に送風するとともに、前記コア部(17e)の温水出口側を通過した空調風を車室内の上方部位から空調風を送風する吹出モードが設定可能となっており、
    前記吹出モードにおいて、前記温水量調整手段(11、13)にて前記上方部位から送風される空調風の第1温度を調整し、前記混合割合調整手段(7)にて前記下方部位から送風される空調風の第2温度を調整することを特徴とする車両用空調装置。
  7. 前記空調情報信号に基づいて、前記第1温度の第1目標温度(TAO(上))を算出する第1算出手段(S521)と、
    前記空調情報信号に基づいて、前記第2温度の第2目標温度(TAO(下))を算出する第2算出手段(S521)と、
    前記混合割合調整手段(7)にて前記第2温度が前記第2目標温度(TAO(下))となるように制御する第1制御手段(S522)と、
    前記温水量調整手段(11、13)にて前記第1温度が前記第1目標温度(TAO(上))となるように制御する第2制御手段(S523)とを有することを特徴とする請求項6記載の車両用空調装置。
  8. 乗員により前記上方部位における前記空調情報信号である第1設定温度(TSET (上))を設定する第1設定手段(32)と、
    乗員により前記下方部位における前記空調情報信号である第2設定温度(TSET (下))を設定する第2設定手段(33)とを有し、
    前記第1算出手段(ステップS521)は、少なくとも前記第1設定温度(TSET (上))に基づいて、前記第1目標温度(TAO(上))を算出し、前記第2算出手段(ステップS521)は、少なくとも前記第2設定温度(TSET (下))に基づいて、前記第2目標温度(TAO(下))を算出することを特徴とする請求項7記載の車両用空調装置。
  9. 前記吹出モードは、前記上方部位から乗員の上半身および前記下方部位から乗員の下半身に向けて空調風を送風するバイレベルモードであり、
    前記第1温度と、前記第2温度とをほぼ同一としたことを特徴とする請求項5記載の車両用空調装置。
  10. 前記吹出モードは、前記上方部位から乗員の上半身および前記下方部位から乗員の下半身に向けて空調風を送風するバイレベルモードであり、
    車室内へ入射する前記空調情報信号である日射量(Ts)が増加すると、前記温水量を減少することで、乗員の上半身に向けて送風される空調風の温度を下げることを特徴とする請求項6ないし8いずれか1つに記載の車両用空調装置。
  11. 前記暖房用熱交換器(17)を収納し、車室内への空気通路をなす空調ケース(14)と、
    前記空調ケース(14)のうち、前記暖房用熱交換器(17)の空気下流側に設けられ、前記上方部位に向けて空調風を送風する上方吹出通路(18、19)と、
    前記空調ケース(14)のうち、前記暖房用熱交換器(17)の空気下流側に設けられ、前記下方部位に向けて空調風を送風する下方吹出通路(20)とを有し、
    前記上方吹出通路(18、19)の入口部は、前記コア部(17e)のうち温水下流側に開口しており、前記下方吹出通路(20)の入口部は、前記コア部(17e)のうち温水上流側に開口していることを特徴とする請求項5ないし請求項10いずれか1つに記載の車両用空調装置。
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