JP3793847B2 - 照度分布計測装置および照度分布計測方法 - Google Patents

照度分布計測装置および照度分布計測方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿上の画像を光電変換素子を用いて読み取る画像読取装置の被写体設置部における照度分布を、高精度に計測することができる照度分布計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記したような画像読取装置を設計する際、設計結果を評価する必要があるが、そのような場合の最も一般的な方法は、設計結果に従って画像読取装置を試作することにより評価する方法である。
一方、近年においては、設計結果としての設計データを用いてコンピュータシミュレーションを行なうことにより評価するというような方法も提供されている。例えば、特開平9−6827号公報に示された「電子撮像装置のシミュレーション方法および装置」では、撮像素子と光学系と処理回路を有する電子撮像装置を評価対象にして、任意の被写体に対する光学系による結像画像を算出することにより、試作を行うことなく取得画像の画像品質を予測できるようにして設計結果を評価する。
また、特開2000−235596公報に示された「画像システムハードウェア構成要素シミュレーションシステムおよび方法」では、照明および光学系を含んだ画像システムをシミュレーションの対象にして、その画像システムに含まれる構成要素をモデル化し、そのモデルに基づいてシミュレーションを行い、予測される画像を生成することにより、試作を行うことなく取得画像の画像品質を予測できるようにしている。
しかしながら、特開平9−6827号公報および特開2000−235596公報に示された従来技術においては、被写体設置部における照度分布の計測法については言及していない。
したがって、被写体設置部における照度分布の計測法について具体的に示されている従来技術となると、実際に製作された画像読取装置を対象にして実測する方法に限定される。
つまり、図14に示したように、計測対象の画像読取装置内の原稿設置面に照度計31のプローブ32を設置し、その画像読取装置40の光源を点灯させて、原稿設置面の照度を計測するというのが具体的に示されている従来技術である。なお、そのような従来技術では、照度計31の応答速度が画像読取装置40の線順次読取走査速度に対応できない場合、線順次動作を止めて計測している。また、原稿面照度分布を検出するには、画像読取装置40の線順次動作を止めて点灯状態で固定し、照度計31のプローブ32を動かして、各位置ごとの計測値を記録する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した実測によった従来技術においては、次のような問題がある。
第1に、照度計による計測は1回に1点のみであり、照度分布を検出するには計測に多大な時間が必要である。
第2に、原稿面照度分布計測をするには、画像読取装置のランプを長時間連続点灯する必要があり、温度上昇に伴うランプ点灯状態の変動により正常な照度計測ができない場合がある。
第3に、画像読取装置における実際の線順次読み取りに即した原稿面照度分布を検出できない。
本発明の目的は、このような従来技術の問題を解決することであり、具体的には、画像読取装置の被写体設置部にある拡散透過手段をその画像読取装置の線順次読み取り動作時に撮影した画像データを標準読み値照度テーブルを用いて変換することにより、原稿面照度分布を高精度且つ迅速に計測することができる照度分布計測技術を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、被写体を設置する被写体設置手段と、その被写体設置手段に設置された前記被写体を照明する照明手段と、前記被写体を撮像する撮像手段と、前記照明手段によって照明された前記被写体設置手段に設置された前記被写体の像を前記撮像手段に結像させる結像手段とを備えた画像読取装置の前記被写体設置手段における照度分布を計測する照度分布計測装置において、前記被写体設置手段の設置面に設置される拡散透過手段と、その拡散透過手段を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、その撮影手段から出力される画像信号を入力する画像入力手段と、その画像入力手段により入力された画像信号から得た画像データを記憶する画像記憶手段と、画像データの複数の基準読み値のそれぞれに対する照度を照度テーブルとして記憶しておくデータ記憶手段と、そのデータ記憶手段から取り出した前記照度と前記画像記憶手段から取り出した前記画像データとから前記画像データの照度分布データを算出する照度算出手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記撮影手段の光学的な収差を補正する収差補正データを前記データ記憶手段に記憶しておくとともに、そのデータ記憶手段から取り出した収差補正データにより前記画像データを補正する収差補正演算手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、前記拡散透過手段が、表面反射を防止する減反射構造を備えた。
また、請求項4記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、前記拡散透過手段が、光を吸収するフィルタ構造を備えたことを特徴とする。
【0005】
また、請求項5記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、計測対象の画像読取装置から画像読み取り開始時に出力される制御信号を用いて前記撮影手段の撮影タイミングを決定する構成にしたことを特徴とする。
また、請求項6記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、計測対象の画像読取装置における撮像手段による撮像時間と前記撮影手段の撮影時間とを比例させる構成にしたことを特徴とする。
また、請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、前記撮像手段の撮像時間と撮影手段の撮影時間との比に応じて画像記憶手段に記憶する画像データの信号強度レベルを補正する構成にしたことを特徴とする。
また、請求項8記載の発明では、請求項1記載の画像読取装置の被写体設置手段における照度分布を計測する照度分布計測方法において、前記被写体設置手段の設置面に拡散透過手段を設置した状態で画像読取装置の照明手段を点灯させてその拡散透過手段を撮影し、撮影して得られた画像データと予め記憶しておいた基準読み値照度とを用いて照度分布を算出する構成にしたことを特徴とする。
また、請求項9記載の発明では、請求項8記載の発明において、撮影して得られた画像データを予め記憶しておいた収差補正データにより補正し、補正された画像データと前記基準読み値照度とを用いて照度分布を算出する構成にしたことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明では、請求項8または請求項9記載の発明において、計測対象の画像読取装置から画像読み取り開始時に出力される制御信号を用いて撮影タイミングを決定する構成にしたことを特徴とする。
また、請求項11記載の発明では、請求項8または請求項9記載の発明において、計測対象である画像読取装置内の撮像手段の撮像時間と前記拡散透過手段を撮影する際の撮影時間とを比例させる構成にしたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の照度分布計測装置は、照明装置を搭載した、例えば2次元原稿を読み取るスキャナなど画像読取装置を計測対象としている。なお、このようなスキャナでは、一般に1次元撮像素子による線順次画像読み取り動作の形式が多数を占めている。以下、まず、このような画像読取装置を対象にその機構について説明する。
図15に示したように、この画像読取装置は、被写体である原稿を設置する原稿設置部41、その原稿設置部41を照明する照明装置42、前記原稿設置部41を走査する、前記照明装置42を搭載した第1走行体43、その第1走行体43と一緒に走行する第2走行体44、前記第1走行体43および第2走行体44を駆動するモータ45、その駆動伝達部46、レンズ47、および1次元撮像素子48などを備えている。なお、この画像読取装置では、請求項1記載の被写体設置手段、撮像手段、および照明手段が、それぞれその順に、原稿設置部41、1次元撮像素子48、および照明装置42により実現され、結像手段が、第1走行体43、第2走行体44、モータ45、その駆動伝達部46、およびレンズ47などにより実現されている。
このような構成で、この画像読取装置は、原稿設置部41に設置された原稿の画像をレンズ47により1次元撮像素子48に結像する。第1走行体43および第2走行体44が原稿設置部41を1次元に走査することにより原稿設置部41に設置された原稿の画像を線順次に読み取り、2次元画像として構成するのである。1次元撮像素子48で得られた画像信号は画像信号出力ポート49から出力される。なお、走行体43、44の走行する方向を副走査方向、それと直角な走行体43、44の長手方向を主走査方向と呼ぶことにする。
【0007】
図16に、この画像読取装置の断面図を示す。以下、図16により、画像読取装置の動作を説明する。なお、原稿設置部41はコンタクトガラス51で構成され、その上に原稿Sが設置される。また、照明装置42は原稿を照明する光源であるランプ52と反射・集光のための反射部材であるリフレクタ53から構成されている。
そして、ランプ52から光が出射されると、その光がリフレクタ53により反射され、撮像領域Eに照射される。これにより、原稿の画像面からの反射光が折り返しミラー54、55で反射し、レンズ47を通過して、1次元撮像素子48上で結像し、光電変換されて画像信号として取り込まれる。このような読み取りが、第1走行体43および第2走行体44の走査により原稿の全面で行われ、2次元画像を生成するのである。なお、1次元撮像素子48としては例えば1次元CCDが用いられ、レンズ47により縮小された像がその1次元撮像素子48上に結ばれる。つまり、CCDの画像解像度と、画像読取装置自身の持つ画像解像度は一致しない。一般に、画像読取装置の画像解像度はDPI(ドット/インチ)で表され、300〜800DPI程度である。
図17に、撮像領域Eにおける照度分布を示す。ランプ52やリフレクタ53により、撮像領域E付近に照射される光の強度は一様ではなく、撮像領域Eを中心に図17に示したような強度分布になる。この照度分布は、図18に示したように、ランプ52から出射された照明光がリフレクタ53により反射・集光され(反射・集光された照明光を符号L1で示す)、撮像領域Eに照射されることで形成される。なお、図18に示したように、ランプ52から出射された照明光のうち撮像領域Eでない領域に照射された光が原稿上で反射し、さらに、その反射光が画像読取装置を構成する部品(例えば、リフレクタ53)で反射する多重反射により撮像領域Eを照射する現象が生じることがある(これはフレア光と呼ばれている。図18に、符号L2で示す)。したがって、撮像領域Eにおける照度分布はこれら2つの成分の重ね合わせで形成される。
【0008】
図1は本発明の第1の実施例を示す照度分布計測装置要部を含む説明図である。図示したように、この実施例の照度分布計測装置は、計測対象である画像読取装置のコンタクトガラス51上で撮像領域Eをカバーするように設置する拡散透過板1と、撮像領域Eの画像を撮影する撮影装置2とを備える。なお、この実施例では、請求項1記載の拡散透過手段および撮影手段は、それぞれ拡散透過板1および撮像装置1により実現される。
この拡散透過板1は、光を透過し、透過後は拡散光になるもので、例えば紙などである。また、撮影装置2は、計測対象の画像読取装置における原稿に相当する前記拡散透過板1の拡散透過面の2次元の光画像を撮影するものであり、例えば銀塩カメラやデジタルカメラなどである。
このような構成で、この実施例の照度分布計測装置では、図2に示したように、計測対象である画像読取装置のランプ52から出射された照明光L3が撮像領域Eに到達した後、拡散透過板1によって拡散光L4となり、その拡散光L4による撮像領域Eの画像が撮影装置2によって撮影される。つまり、計測対象の画像読取装置内のランプ52を点灯した状態において、拡散透過板1は照明光L3が拡散透過面1aに到達後、その点を起点に拡散光L4を形成する。複数の照明光L3が拡散透過面1aに到達し、各点で拡散光L4を形成することで、原稿面に相当する拡散透過面1aに照明光L3による照度分布を形成し、撮影装置2がその照度分布を2次元に撮影するのである。
図3は、照度分布計測装置の全体を示す構成図である。図示したように、この照度分布計測装置は、計測対象の画像読取装置40のコンタクトガラス51上に設置した拡散透過板1と、拡散透過板面1aを撮影する撮影装置2と、その撮影装置2から出力された画像データを入力する画像信号入力部11を有する照度分布計測装置本体3、計測結果を表示する画像表示装置4などを備えている。
図4に、照度分布計測装置本体3の構成を示す。このような構成により、画像読取装置40の照明を点灯した状態で、拡散透過板1に照射された照明光を撮影装置2が撮影し、画像信号入力部11を経て、信号制御部12が画像記憶部13に画像データを格納し、演算部14が画像データ中の必要な領域を抽出し、データ記憶部16から基準読み値照度テーブルを読み出して、画像データの読み値に対応する照度をそのテーブルから求め、拡散透過板1上の信号強度分布(照度分布)を算出する。そして、その信号強度分布を操作・表示部15により画像表示装置4に表示する。信号強度分布を、図5に示したように立体状に表示するとか、図6に示したように等高線状に表示するとかするのである。なお、この実施例では、請求項記載の画像記憶手段、データ記憶手段、および照度算出手段が、それぞれ画像記憶部13、データ記憶部16、および演算部14により実現される。
【0009】
図7に、この実施例の照度分布計測方法の動作フローを示す。以下、図7により、この実施例の動作を説明する。
まず、利用者が拡散透過板1を計測対象の画像読取装置40に設置する(S1)。そして、画像読取装置40内のランプ52を点灯させ(S2)、その状態で拡散透過面1aを撮影装置2により撮影する(S3)。これにより、撮影した画像データが画像信号入力部11から照度分布計測装置本体3に入力され(S4)、その画像データを信号制御部12が取得し、画像記憶部13に格納する(S5)。
続いて、信号制御部12は格納した画像データから計測領域を切り出し(S6)、演算部14が、データ記憶部16から基準読み値照度テーブルを読み出し(S7)、その計測領域の画像データの読み値(読み取り値)に対応する照度をそのテーブルから求め、拡散透過板1上の信号強度分布(照度分布)を算出する(S8)。照度は単位がLuxであり、カメラなど撮影装置2の読み取り値とは異なるので、一つには、読み取り値から照度値(Lux値)に変換する処理をおこなうのであるが、撮影装置2によっては、読み取り値−照度値特性が非線形性になることもあるので、Luxへの換算を変換テーブル(基準読み値照度テーブル)を用いておこなうのである。図8に、基準読み値照度テーブルによる変換結果をグラフ化した特性図を示す。
こうして、この実施例によれば、画像読取装置の被写体設置部にある拡散透過手段をその画像読取装置の線順次読み取り動作時に撮影した画像データを標準読み値照度テーブルを用いて変換することができるので、原稿面照度分布を迅速に計測できるだけでなく、高精度に計測することができる。
本発明の第2の実施例では、撮影装置2に搭載されたCCDの特性を用いて暗時出力特性(真っ暗でも読み値が0にならない)の補正などもおこなう。例えば、基本的には真っ暗な画像(レンズを覆ってしまう状態)に対するで読み取り値を計測画像から差し引くというような演算をおこなうのである。CCDの特性を含む撮影装置2の特性の均一性が十分であれば、単純に基準黒レベルを引き算するだけでよいが、一般には、撮影に用いるレンズには収差があり、例えば読み取り画像の端部では読み取り値が暗くなる。また、この値はレンズの絞り値などで変化する。そのため、シェーディング補正など収差補正もおこなうのである。それには、均一な白画像を準備し、これを読み取った画像を用いて1画素ごとに基準白値を設定しておき、次の換算式を用いて1画素ごとに補正読み取り値を算出する。
補正読み取り値=255×(読み取り値/基準白値)
また、黒補正(暗時出力特性補正)も含めた変換式は以下のようになる。
補正読取値=255×(読取値−黒基準値)/(基準白値−黒基準値)
【0010】
図9に、この実施例の照度分布計測方法の動作フローを示す。以下、図9により、この実施例の動作を説明する。
まず、利用者が拡散透過板1を計測対象の画像読取装置40に設置する(S11)。そして、画像読取装置40内のランプ52を点灯させ(S12)、その状態で拡散透過面1aを撮影装置2により撮影する(S13)。これにより、撮影した画像データが画像信号入力部11から照度分布計測装置本体3に入力され(S14)、その画像データを信号制御部12が取得し、画像記憶部13に格納する(S15)。
続いて、信号制御部12は格納した画像データから計測領域を切り出し(S16)、収差補正演算手段でもある演算部14が、データ記憶部16から収差補正データを読み出し(S17)、前記のようにして画像データの補正計算をおこなう(S18)。さらに、演算部14はデータ記憶部16から基準読み値照度テーブルを読み出し(S19)、収差が補正された画像データの読み取り値に対応する照度をそのテーブルから求め、拡散透過板1上の信号強度分布(照度分布)を算出する(S20)。
こうして、この実施例によれば、撮影装置2により拡散透過板1を撮影して得た画像データに対して光学的な収差を補正することができるので、より高精度に原稿面照度分布を求めることができる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
この実施例では、拡散透過手段として、その表面に表面反射を防止する減反射コーティングを付着させた構造の拡散透過板21を用いる(図10参照)。前記拡散透過板1が紙などの材料の場合、照明光L3に対して大量の表面反射光が発生し、画像読取装置40に原稿面反射フレア現象を発生させるため、原稿面反射フレア成分を含まない正確な照度分布計測が困難になるので、減反射コーティングを付着させた構造にすることにより表面反射光を減少させるのである。
図10に示したように、拡散透過面21aが摺りガラスであるもの、乳剤を塗布したもの(オパールガラス)などを用い、その表面21aに減反射コーティング21bを施すことにより、照明光L3に対して表面反射を防ぐ構造にしている。これにより、照明光L3が表面反射して再度画像読取装置内に戻ることがなくなるので、原稿面反射フレア現象(図18参照)を引き起こさなくなる。
【0011】
本発明の第4の実施例は、原稿面反射フレア現象を防ぐ他の実施例であり、図11に示したように、拡散透過板22の拡散透過面22aが摺りガラスであるものや乳剤を塗布したもの(オパールガラス)を用い、照明光L3が入射する側に光吸収フィルタ22bを配置することより、最初に照明光L3を減光してから拡散透過面22aにて拡散光を形成する。これにより、拡散透過面22aにおいて表面反射した照明光成分はさらに光吸収フィルタ22bによって減衰させられるので、画像読取装置内に戻る光量も低下して、原稿面反射フレア現象を引き起こさなくなる。なお、光吸収フィルタ22bにはNDフィルタ(ND:ニュートラルデンシティ)などを用いる。
本発明の第5の実施例では、前記各実施例において、計測対象の画像読取装置から画像読み取り開始時に出力される制御信号を用いて、撮影装置2の撮影タイミングを決定する。
この実施例では、まず、計測対象の画像読取装置内のランプ52を点灯させ、その状態で、画像読取装置内の走行体43、44(図15参照)を副走査方向に走査させる。この走査において、起動開始時の第1走行体43が照度分布計測領域に相当する位置に来るまでの時間をtとする(図12参照)。計測対象の画像読取装置40から起動開始時に出力される画像読取制御信号からt秒後に撮影装置2において撮影タイミング信号を発生させることにより、撮影装置2の撮影タイミングを決定するのである(図13参照)。
こうして、この実施例によれば、画像読取装置40の画像読取動作中の所望の計測領域における照度分布を取得することができる。
【0012】
本発明の第6の実施例では、前記各実施例において、計測対象の画像読取装置内の撮像素子48の撮像時間と撮影装置2の撮影時間とが等倍比であるようにする(比例させる)。計測対象の画像読取装置40の線順次画像読み取り動作における、1ライン画像入力時間と、撮影装置2における画像蓄積時間が同じか、または等倍比になるように、撮影装置2の撮影時間を設定するのである。
これにより、撮影装置2が1回の撮影で取り込んだ光画像の光取り込み量は、画像読取装置内の撮像素子48の1ライン画像入力時の光取り込み量と同一か、または等倍比となり、計測対象の画像読取装置40の線順次画像読取動作における、1ライン画像入力に相当する照度分布計測を容易に実現できる。
本発明の第7の実施例では、前記第6の実施例において、計測対象の画像読取装置内の撮像素子48の撮像時間と撮影装置2の撮影時間とを用いて画像記憶部13に格納する画像の信号強度レベルを算出する。
計測対象の画像読取装置40の照明光が撮影装置2の受光レンジの範囲を超えている場合(つまり、画像データの値が飽和してしまう場合)、撮影時間(シャッタースピード)Tを短くするなどの対応が必要である。しかし、撮影時間を変更した場合、異なる照明光強度の画像読取装置を比較するなどといったことが困難になる。そのため、この実施例においては、画像信号演算時、撮影装置2の1回の画像入力における撮影時間Tを用いて、画像記憶部13に記憶した画像信号値から画像の信号強度レベルを算出する。画像信号値をP、算出する信号強度レベルをLとしたとき、以下の計算式からLの値を求めるのである。
L=P/T
つまり、撮影時間Tを変化させても、この計算式を適用することで、単位時間あたりの光量に換算された信号強度レベルを算出できるのである。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、請求項1および請求項8記載の発明では、画像読取装置の被写体設置手段における照度分布を計測する際、その被写体設置手段の設置面に設けられた拡散透過手段が撮影され、その撮影結果である画像信号から得られた画像データが記憶され、照度テーブルから、画像データの複数の基準読み値のそれぞれに対する照度が取り出され、取り出された照度と前記記憶された画像データとからその画像データの照度分布データが算出されるので、計測のための操作が1回で済み、したがって、原稿面照度分布を迅速に計測することができるし、高精度に計測することができる。
また、請求項2および請求項9記載の発明では、請求項1または請求項8記載の発明において、記憶されている収差補正データを用いて、画像データに影響を与えている撮影手段の光学的な収差分が補正されるので、より高精度に原稿面照度分布を評価することができる。
また、請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、拡散透過手段が表面反射を防止する減反射構造を備えているので、照明光が表面反射によって再度画像読取装置内に戻るフレア現象を引き起こすことがなくなり、したがって、より高精度に原稿面照度分布を評価することができる。
また、請求項4記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、拡散透過手段が光を吸収するフィルタ構造を備えているので、同様に、照明光が表面反射によって再度画像読取装置内に戻るフレア現象を引き起こすことがなくなり、より高精度に原稿面照度分布を評価することができる。
また、請求項5および請求項10記載の発明では、請求項1または請求項2、または請求項8または請求項9記載の発明において、計測対象の画像読取装置から画像読み取り開始時に出力される制御信号を用いて撮影手段の撮影タイミングが決定されるので、画像読取装置でおこなわれる実際の画像読み取り動作の任意位置における原稿面照度分布を計測できる。
また、請求項6および請求項11記載の発明では、請求項1または請求項2、または請求項8または請求項9記載の発明において、計測対象の画像読取装置における撮像手段による撮像時間と撮影手段の撮影時間とが比例しているので、画像読取装置の撮像手段における蓄積時間に相当する光量の原稿面照度分布を簡単に取得することができる。
また、請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、撮像手段の撮像時間と撮影手段の撮影時間との比に応じて画像記憶手段に記憶する画像データの信号強度レベルが補正されるので、照明光が撮影手段の受光レンジの範囲を超えて画像データの値が飽和してしまうという問題を回避しつつ、常に所定時間あたりの原稿面照度値を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測装置要部を含む説明図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測方法の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測装置の全体を示す構成図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測装置要部の構成ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測装置に係わる表示図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測装置に係わる他の表示図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測方法の動作フロー図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示す照度分布計測方法の他の説明図である。
【図9】本発明の第2の実施例を示す照度分布計測方法の動作フロー図である。
【図10】本発明の第3の実施例を示す照度分布計測装置要部の説明図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示す照度分布計測方法の説明図である。
【図12】本発明の第5の実施例を示す照度分布計測方法の説明図である。
【図13】本発明の第5の実施例を示す照度分布計測方法の他の説明図である。
【図14】従来技術の一例を示す照度分布計測方法の説明図である。
【図15】本発明の照度分布計測の対象とする画像読取装置の一例を示す斜視図である。
【図16】上記画像読取装置要部を示す説明図である。
【図17】上記画像読取装置要部の特性例を示す説明図である。
【図18】上記画像読取装置要部を示す他の説明図である。
【符号の説明】
1 拡散透過板、2 撮影装置、3 照度分布計測装置本体、4 画像表示装置、11 画像信号入力部、12 信号制御部、13 画像記憶部、14 演算部、15 操作・表示部、16 データ記憶部、21 拡散透過板、22 拡散透過板、22b 光吸収フィルタ

Claims (11)

  1. 被写体を設置する被写体設置手段と、該被写体設置手段に設置された前記被写体を照明する照明手段と、前記被写体を撮像する撮像手段と、前記照明手段によって照明された前記被写体設置手段に設置された前記被写体の像を前記撮像手段に結像させる結像手段と、を備えた画像読取装置の前記被写体設置手段における照度分布を計測する照度分布計測装置において、
    前記被写体設置手段の設置面に設置される拡散透過手段と、該拡散透過手段を撮影して画像信号を出力する撮影手段と、該撮影手段から出力される画像信号を入力する画像入力手段と、該画像入力手段により入力された画像信号から得た画像データを記憶する画像記憶手段と、画像データの複数の基準読み値のそれぞれに対する照度を照度テーブルとして記憶しておくデータ記憶手段と、該データ記憶手段から取り出した前記照度と前記画像記憶手段から取り出した前記画像データとから前記画像データの照度分布データを算出する照度算出手段と、を備えたことを特徴とする照度分布計測装置。
  2. 請求項1記載の照度分布計測装置において、前記撮影手段の光学的な収差を補正する収差補正データを前記データ記憶手段に記憶しておくとともに、そのデータ記憶手段から取り出した収差補正データにより前記画像データを補正する収差補正演算手段と、を備えたことを特徴とする照度分布計測装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の照度分布計測装置において、前記拡散透過手段が、表面反射を防止する減反射構造を備えたことを特徴とする照度分布計測装置。
  4. 請求項1または請求項2記載の照度分布計測装置において、前記拡散透過手段が、光を吸収するフィルタ構造を備えたことを特徴とする照度分布計測装置。
  5. 請求項1または請求項2記載の照度分布計測装置において、計測対象の画像読取装置から画像読み取り開始時に出力される制御信号を用いて前記撮影手段の撮影タイミングを決定する構成にしたことを特徴とする照度分布計測装置。
  6. 請求項1または請求項2記載の照度分布計測装置において、計測対象の画像読取装置における撮像手段による撮像時間と前記撮影手段の撮影時間とを比例させる構成にしたことを特徴とする照度分布計測装置。
  7. 請求項6記載の照度分布計測装置において、前記撮像手段の撮像時間と撮影手段の撮影時間との比に応じて前記画像記憶手段に記憶する画像データの信号強度レベルを補正する構成にしたことを特徴とする照度分布計測装置。
  8. 請求項1記載の画像読取装置の被写体設置手段における照度分布を計測する照度分布計測方法において、前記被写体設置手段の設置面に拡散透過手段を設置した状態で画像読取装置の照明手段を点灯させ、その拡散透過手段を撮影し、撮影して得られた画像データと予め記憶しておいた基準読み値照度とを用いて照度分布を算出することを特徴とする照度分布計測方法。
  9. 請求項8記載の照度分布計測方法において、撮影して得られた画像データを予め記憶しておいた収差補正データにより補正し、補正された画像データと前記基準読み値照度とを用いて照度分布を算出することを特徴とする照度分布計測方法。
  10. 請求項8または請求項9記載の照度分布計測方法において、計測対象の画像読取装置から画像読み取り開始時に出力される制御信号を用いて撮影タイミングを決定することを特徴とする照度分布計測方法。
  11. 請求項8または請求項9記載の照度分布計測方法において、計測対象である画像読取装置内の撮像手段の撮像時間と前記拡散透過手段を撮影する際の撮影時間とを比例させることを特徴とする照度分布計測方法。
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