JP3793800B2 - ヨウ素化合物と半導体光触媒による水素及び酸素の製造方法 - Google Patents

ヨウ素化合物と半導体光触媒による水素及び酸素の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体光触媒を用いた水素及び酸素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽光などの光エネルギーを変換して他の利用しやすいエネルギー、例えば、電気エネルギーや熱エネルギー等に変換して、場合によっては、更に貯蔵するエネルギー変換・貯蔵技術の研究が進められている。例えば、太陽電池は、半導体に太陽光を照射して電気エネルギーとして利用しようとするものである。その材料として単結晶シリコン、アモルフアスシリコン、多結晶シリコン、I I I属−V属半導体などの材料の開発が進められているが、コスト或いは変換効率等の点で、未だ問題があるとされている。
水の存在下に光触媒に光を照射し、水から水素と酸素を製造する方法も注目されている。この反応では、光触媒が酸化物半導体などの特定の物質に限定されること、変換効率が低いことが等が指摘されてきた。この方法において、本発明者らは、かって、Pt−TiO触媒を用いる際に炭酸塩を添加して用いることにより、その活性を飛躍的に増大することができることを見出した。又、植物の光合成方法を模して、半導体光触媒に、Fe3+/Fe2+ の変化を利用するレドックスの存在下に光照射することにより、水の完全分解を行うこと(特許第2876524号、特開平10−87303号)、又電解電圧を下げることができることを見出した。しかしながら、このレドックスは、主に酸性領域では十分に作用することができるものの、塩基性条件下には沈殿が生じ、このようなことから中性や塩基性等の条件下では十分に作用せず、このことが使用できる半導体光触媒の種類を限定することとなっていた。又、レドックスとして用いるFe2+を用いる場合には、水を還元させて効率よく水素を発生させること自体が、困難とされ、又、可視光(400〜800nm)のみを照射して分解できるものではないことが指摘されてきた。このようなことから、これらの問題点を解決すべく、前記Fe3+/Fe2+ 以外の新たなレドックスの開発が望まれていた。しかしながら、新たにレドックスを定めるといっても、酸化状態と還元状態の酸化還元電位の値のみから算出した結果に基づいて、好ましいと定められるものではない。水の分解反応であるから、この反応にレドックスを用いるのであれば、レドックスは、水の還元電位(H/H:0V)と水の酸化電位(O/HO:1.23V)の間の酸化還元電位の範囲にあるレドックスである必要がある。しかしながら、この範囲にあれば、全てレドックスとして用いることができるというものでもない。例えば、Sn4+/Sn2+、NO /NO を用いて水から酸素を発生させようとすると、酸化還元電位は、各々0.154V、0.835Vであり、いずれも前記の1.23Vの範囲にあるから、適した範囲にあるものであるということはできる。しかしながら、実際に反応に用いて観察してみると、殆ど反応は進行しない。又、[Fe(CN)3− /[Fe(CN)4− 又は、NO /NO を用いて水素を発生させようとすると、反応が遅く満足する結果を得ることができない。
このようなことから明らかなように、半導体光触媒反応において、水素発生の場合と酸素発生の場合と双方の反応を進行させることができるレドックスを探索する必要があり、本発明者らは実際に試してみて、反応を進行させることができるレドックスを開発する必要性を感じ、これに着手することとした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、半導体光触媒の存在下に光照射を行って、水から水素と酸素を製造するに際し、効率よく行うことができ、中性や塩基性条件下であっても行うことができ、又、その際に可視光を利用することができる新たなレドックスを提供することである。半導体光触媒を用いて、水から水素及び酸素を製造するに際し、このレドックスを用いることにより、光触媒の分解活性を高めることができ、逆反応を抑えることができ、反応の安全性をより向上させることができるものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題について研究し、以下の事実を見出した。懸濁状態にある半導体光触媒に存在下に光照射させる際に、ヨウ素化合物を存在させておくと、触媒活性を大幅に向上させることができる。即ち、この知見によれば、ヨウ素化合物の存在下に水から水素を発生させる半導体光触媒と、同じく水から酸素を発生させる半導体光触媒を用いることにより、半導体光触媒活性を向上させた状態で反応を進行させることができることが予見される。この結果に基づいて、本発明者らは以下の発明を完成させた。そして、かって発明者らが発明した鉄イオンのレドックスを用いる方法と比較して、酸素及び水素の発生も良好な結果を得ていることを確認した。
【0005】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)半導体光触媒及び還元状態から酸化状態に変化させることができるヨウ素化合物を含む水溶液に、光照射を行って水素を製造する工程、及び半導体光触媒及び酸化状態から還元状態に変化させることができるヨウ素化合物を含む水溶液に、光照射を行って酸素を製造する工程からなることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
(2)前記(1)記載の水素を製造する工程と酸素を製造する工程を同一反応器内で行うことを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
(3)前記(1)記載の酸素を製造する工程の反応器と、同じく水素を製造する工程の反応器が隔膜を介して接続されている状態で両工程を行うことを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
(4)前記(1)乃至(3)のいずれか記載の半導体光触媒が、可視光応答性触媒であることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
(5)(4)記載の可視光応答性触媒が、SrTiO (Crドープ)、TiO (Cuドープ)、又はTiO (Cr及びTaドープ)から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
(6)(1)乃至(3)のいずれか記載の酸素を製造する工程の半導体光触媒が酸素発生触媒であり、水素を製造する工程の半導体光触媒が水素発生触媒であることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の反応は、半導体光触媒の存在下に水から水素及び酸素を製造する方法である。
この反応は、具体的には、以下の二つの反応工程から構成される。一つの反応工程は水から酸素を製造する工程であり、他の一つの反応工程は水から水素を製造する工程である。
4H + Red → 2H + Ox (1)
4OH + Ox → O + Red + 2HO (2)
前記二つの工程を併せると、全体では以下の反応が行われている。
2HO → 2H + O (3)
式中、Redは、還元状態を表すヨウ素化合物を表す。又、Oxは、酸化状態を表すヨウ素化合物である。
反応は、光照射条件下に一つの反応器内で行うこともできるし、光照射下に各々の反応を、その間を隔膜を設けて接続されている個別の反応器行うこともできる。前者の場合には、用いられる水素製造用及び酸素製造用触媒が、レドックスの近くで用いられているので、一緒に用いられるレドックスの移動もスムースに行われることにより、レドックスによる活性はより向上する。各々の反応工程から発生する酸素及び水素は、混合状態となって発生する。これに対して、後者では、各々の反応工程が分かれているので、各々水素と酸素が分かれて生成させることができるが、レドックスの活性が低下することが問題とされている。この場合には反応溶液を循環利用することにより、活性低下を防止することができる。
【0007】
式(1)の反応では、半導体光触媒に光照射されたときに、(a)半導体の伝導帯の電子が水を還元して水素を発生できるポテンシャルがあること、(b)半導体の価電子帯の正孔がレドックス対の還元体を酸化できるポテンシャルがあること、及び(c)反応中で安定であること等の条件を満たすことが必要である。
このような条件を満たす半導体としては、TiO、SrTiO、Ta、ZrO等の水の完全分解を行うことができるとされている化合物を用いることができる。
又、BiWO、In(ZnO)x、In,RuS、GaP、HPbNbO10、PbNb10、InNbO、InTaO 等の半導体は、アルコールなどの不可逆な犠牲試薬の存在下において、水素を発生させることができる。これらの半導体は、これらの伝導体が水素を発生させることができるポテンシャルを有していることを示している。これらの半導体は、本発明においても用いることができる。
又、ドーピングすることで調製した可視光応答性水素発生触媒に関しては、半導体が第1群(Ti、Ta、Zr,Nb、V、W、Zn、Cd、Ga、In、Sn,Bi)から選ばれる少なくとも一つ元素の酸化物であり、第2群(Cr、Ru、Bi,Cu、Mn、Mo、W、Fe、Co、Cd、Pt、Rh、Pd、Au、Ag)から選ばれる、少なくとも一つの元素をドーピングした半導体光触媒を用いることができ、SrTiO(Crドープ)、TiO(Cuドープ)を用いる。これらは可視光応答性の半導体である。この場合のドープ量はホストとなる酸化物半導体の構造を壊さない程度の量であれば差し支えない。具体的には0.01〜10mol%、好ましくは0.1〜5mol%である。価数の異なる元素をドープするときは、価数を合わせるための元素を共ドープすることもできる。具体的には,Ti4+のホストに対してCr3+とTa5+を共ドープすると、価数を一致させることができる。ここで、用いられるドーピングする元素イオンは、ホスト原子のイオン半径に近いものが望ましい。
【0008】
削除
【0009】
式(2)の反応を進行させるには、半導体光触媒に光照射されたときに、(a)半導体の伝導帯の電子がレドックス対の酸化体を還元できるポテンシャルがあること、(b)半導体の価電子帯の正孔が水を酸化して酸素を発生できるポテンシャルがあること、及び(c)反応中に安定であることという条件を満たす必要がある。このような半導体を具体的に挙げれば、以下の例を挙げることができる。TiO 、SrTiO、Ta、 ZrO 等の水を完全分解できると合われているものを使用できるし、WO、BiVO、PbTiWO13、CdIn、FeTiO、CrNbO、CrTi等の半導体は犠牲剤の存在下に酸素発生を発生できると報告されているものであり、そのポテンシャルを有するものであるから、本発明においても用いることができる。又、ルテニウムビピリジル錯体等の色素系光触媒を用いることもできる。
【0010】
前記反応を効率よく進行させるために、前記の半導体光触媒は他の半導体に担持して用いることが有効である。このような担持するものとしては、PtやRh等の貴金属やRuO、IrO等の貴金属酸化物、NiやNiOx等の遷移金属、更に炭素粒子等を挙げることができる。これらの中では、Ptが好ましい。
Ptでは、水素発生の過電圧が一番低い金属であり、水素発生サイトとして有効に作用する。又、半導体と金属が接触しますので、正孔−電子の間の電荷分離も促進される。又、ヨウ素化合物の酸化還元反応がPtの上で起きていることなども考えられる。
【0011】
半導体光触媒に用いられる半導体の調製方法は、以下による。
これら半導体物質の前駆体の化合物や物質から合成して用いることもできる。半導体光触媒として用いる最終物質に含まれる半導体化合物の純度はできるだけ高いものが好ましい。なお、半導体化合物を市販品のまま用いることもできる。
前駆体から半導体光触媒として用いる最終物質を製造する場合には、水酸化物の沈殿として生成させ、これを集めて乾燥焼成させたり、アンモニウム塩として回収した後、熱分解させたり、ゾルゲル法などの種々な方法法により調製される。
得られる最終物質は、できるだけ、結晶性であることが好ましい。又、その結晶は、ある程度、広い面積を有していることが好ましい。しかしながら、半導体の種類によっては、調整方法が限定されるために、結晶径の制御が難しいものがあり、その場合には大きな結晶径のものでも差し支えない。
【0012】
半導体光触媒の結晶型は、反応活性に重要な影響を及ぼす。具体的には、気体発生の速度だけでなく、反応の選択性に影響する。このようなことから、例えば、同じTiOを用いるにしても、水素発生を目的にする場合にはアナタース型、酸素発生の場合にはルチル型を選択することが有効である。
反応に際して用いる場合には、結晶型を定めるためにどの形式のものが好ましいものであるかを、予め予備実験を行って、定めることが好ましい。
【0013】
ここで用いられる半導体光触媒としては、以下の化合物を挙げることができる。水素発生用及び酸素発生用の半導体光触媒は、同一であっても、又別の種類を用いても差し支えない。2種類以上の光触媒を用いるときには、1室反応セルに混合して用いたり、隔膜で分けた2室反応セルに別々に入れて、使用しても差し支えない。
【0014】
半導体光触媒は、粉末状の形状のものを用いる。これを水に懸濁させた状態で利用したり、基板に担持させたり、又膜に担持させて、その状態で用いることもできる。
一般的に触媒の使用量は、反応系に入射させる光が殆ど触媒に吸収させるための量を用いることが必要です。また、用いる光の波長によっても代わります。したがって、反応条件に応じて適宜その量を定めて用いることが行われる。
【0015】
反応溶媒にとしては、一般的には水が用いられる。水は純水である必要はない。電気化学的に安定な有機溶媒であれば、水混合溶媒として用いることができる。具体的には、アセトニトリル及びプロピレン、炭化水素、アルコール等を挙げることができる。
【0016】
本発明では、反応系においてRed及びOxの状態をとり得るレドックス化合物として、ヨウ素化合物を用いる。ヨウ素を用いる場合には、酸化状態と還元状態には、以下の状態の組み合わせが考えられる。
/IO 、I/IO 、I/I 、I/I、I/HIO、I/IO
この場合には、Redは、IO 、IO 、I、HIO、又はHO である。
これに対応する Oxは、I 、又はIである。
しかしながら、これらの中、HIO、IOは、不安定であり、液体中に安定では存在できない。 又、IやIは、Iガスとなって反応系中から出ていきやすい傾向があり、又場合によっては安定な化合物を形成することもある。いづれにしても、安定して継続使用することが困難となる。これらのことから、I/IO 、及びI/IO の組み合わせを用いることが有効である。これらの化合物を用いる場合には、IからIO 又はIO に変化させる場合に、時として、HIO、IO、I、I 等が生成することがある。
これらの組み合わせは、一種類に限定することなく、二種類のものとして使用しても差し支えない。
【0017】
これらの反応系には、他の物質を共存させることができる。共存する物質としては、
各種の陽イオンが存在させることができる。これらの共存させる陽イオンとしては、反応を阻害しない限り差し支えない。陽イオンとしては、例えば、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン等を挙げることができる。これらは、反応系に物質を供給するときに用いられる。
例えば、Iが反応系に供給されるとき、NaI等の化合物として供給される。又、IO はNaIO、IO は、NaIO の状態となっている。又、Iは、遊離状態で存在することとなる。反応系中にあっては、イオンに解離した状態で存在する。このように、反応系に供する場合の陽イオンは、Naイオンに限定されるものではなく、Liイオン、Kイオンも使用することができる。その際には、各々、LiI、KIとして用いられる。
【0018】
前記ヨウ素化合物を、化合物として使用する割合は、半導体光触媒の使用量に応じて適宜用いることができるが、一般的には、レドックスとしての存在量が半導体光触媒に対して、0.1mmol/l〜飽和溶液となる濃度範囲で、用いることができる。この範囲に満たない濃度で用いる場合には、使用量が不足するために満足する結果が得られない。又、飽和溶液の濃度を超えて用いても反応系に析出してしまい満足する結果を得ることができない。一般的には、沈殿を起こさない程度の濃度であって、できるだけ飽和溶液の濃度に近いものであり、僅かに飽和溶液より薄い濃度が最も適している。
反応溶液のpHは反応に重大な影響を及ぼす。酸性側に条件下では、I、及びI を含有するレドックス反応であれば進行しやすく、アルカリ性条件下ではIO やIO を含むレドックス反応であれば進行しやすい。どのpHを採用するかは半導体光触媒の種類やその安定化領域を考慮して決定される。
【0019】
反応器には、水を含む溶液を満たし、半導体光触媒、及びレドックスを供給する。 この反応器は酸素発生用と水素発生用の反応器を一つとしたもの及び、各々を別に設けることとすることができる。反応器には溶液中の半導体光触媒を照射するために、各種の光源を採用することができる。光源は、光源を液体内部に設置し、内部照射を行うこともできるし、液体表面より離れた場所に設置された光源により照射することもできる。太陽光なども使用できる。光照射により照射した光は、溶液中に存在する触媒に効率よく照射されることが必要であり、半導体光触媒を含有する液体を十分に撹拌し、懸濁状態に保持する。撹拌するためには、攪拌機等の水を撹拌するための手段を、場合によっては外部から循環流を供給し撹拌することなどの手段が適宜採用する。これらの光源から発せられる光の波長は、使用する半導体により定まる。
光源として内部照射型光源を採用した場合には、乱反射する光が反射されて、再び反応器内の溶液及び触媒を照射するような構造のものとすることが有効である。光源により外部照射する場合には、光が直接溶液を照射し、逃げることがないようにする。このためには、光路をアルミホイル等で覆うことやミラー等設置することが行われる。
反応器内の氣相は減圧状態に保つことが好ましい。アルゴン等の不活性ガスで置換することも有効である。
【0020】
前記酸素を製造する工程と水素を製造する工程に、水の電気分解工程を結び付けることにより、水の電気分解の効率を向上させることができ、低コストで水素を製造することができる。具体的には、以下の工程の組み合わせからなる方法である。
半導体光触媒及び酸化状態から還元状態に変化させることができるヨウ素化合物を含む水溶液に、光照射を行って酸素を製造する工程において、生成した還元状態にあるヨウ素化合物を電解して酸化状態にあるヨウ素化合物を再生すると共に水素を発生させる電解工程からなる水素の製造方法。
【0021】
この電解工程に結び付ける 前記の酸素及び水素製造工程は、前記(1)及び(2)の反応工程と同じである。
水の電解工程の反応は、2室電解セルで行う。隔膜としては、イオン交換膜や塩橋、セラミック膜などが利用できる。プロトンの移動度がヨウ素化合物イオンの移動度に比べて十分に大きい必要があるので、このことを考慮すると、陽イオン交換膜を用いることが望ましい。水素発生側のカソ−ド電極としては水素過電圧が小さい材料が望ましく、白金やニッケル、白金などを微量に担持したカーボン電極を用いることができる。ヨウ素化合物の酸化を行う電極としては前記の電極の他に白金を担持しないカーボン電極を用いてもよい。
電解電圧を下げるために電極距離を短くしたり、反応温度を高く電極電流密度を下げる、集電材を使用する等の工夫が必要である。電解が進行すると、アノード付近の還元状態にあるヨウ素化合物のイオン濃度が減少するので、電極周辺の水溶液は激しく撹拌したり、前記の(1)及び(2)の反応装置と直結して、絶えず還元状態にあるヨウ素化合物の溶液が循環させて行うことが必要である。
【0022】
【実施例】
本発明について、実施例により更に詳細に説明する。本発明の内容はこれに限定されるものではない。
実施例1
触媒として、酸化チタン(ルチル型、東邦チタニウム(株)製 、HTO210、以下、TiO(R)と言う。)0.25g、白金1wt%を担持した酸化チタン(アナタース型、石原産業(株)製、ST−01、以下、TiO(A)と言う。)0.25gの2種類の触媒を、レドックスであるNaI 40mmol及び水400mlとともに、反応器中に仕込んだ。なお、TiO(A)へのPtの担持は、HPtClのエタノール−水混合溶液に,TiO(A)を混合・撹拌して、懸濁状態とし、光照射して、光電着することにより行った。次に、アルコールを完全に除去するために、高温真空に保って排気を行ったものである。
内部照射型反応器内には、内部照明灯として400Wの高圧水銀灯(理工化学(株)製)が設置されており、閉鎖循環系を形成するようにした。反応器内を真空にして、アルゴンガスを充填し、系内の全圧を約45torrとした。反応器内の触媒をスタラーで十分に撹拌した。
反応容器中のpHは、初めから水酸化ナトリウム及び硫酸を用いて、pH=11とし、この状態を保った。
反応生成物はガスクロマトグラフイー及び圧力計により定性定量を行った。
反応生成ガスの生成速度は、水素:180μmol/h、酸素:90μmol/hであった。この結果は、Fe3+とFe2+の組合せを利用する場合と比較して、得られる生成ガスの生成量は多い結果となっている。この結果については、特開平11−157801号公報に記載されている通りである。
水素と酸素は、生成比が約2対1であり、水の完全分解していることを確認した。
【0023】
実施例2
実施例1の操作を、TiO(R)を使用せずに、Pt−TiO(A)のみを触媒として用いて反応を行った。この結果、水素のみの発生が見られ、酸素は発生しなかった。水素の生成速度は徐々に低下することが観察された。反応後の溶液には、IO 、IO の生成が観測された。この溶液にTiO(R)のみを入れて反応を行うと、酸素の発生が観測された。
以上のことから、Pt−TiO(A)の場合には、Iの酸化が行われて、水素が発生し、TiO(R)ではIO やIO の還元が行われ、酸素の発生が行われていることが確認できる結果となっている。
【0024】
実施例3
実施例1において、2種類のTiO光触媒の代わりに、Pt 0.3wt%担持のSrTiOのみを用いて、反応を行った。その結果、水素及び酸素の生成速度は、各々3.1及び1.6μmol/hであった。
【0025】
実施例4
実施例1において、TiO(R)の代わりに、Pt(1wt%)−WO(高純度化学(株)製を用いた。Pt−TiO(A)は、そのまま系中に混在させた。結果は、水素及び酸素の生成速度は、各々6、及び3μmol/hであった。水素と酸素の生成速度比は約2対1であり、水の完全分解が進行していることがわかった。 WOは可視光応答性の半導体であり、可視光をその一部にしても利用していることが分かった。
【0026】
実施例5
実施例4において、Pt−TiO(A)の代わりに、Pt(0.3wt%)−SrTiO(Cr:1mol%、Ta:1mol%)を用いた。この半導体光触媒はCrとTaをドープしたSrTiOであり、可視光応答性である。この製法は、TiOとSrCO、Cr、Taを混合し、1100℃で20時間焼成した。Pt担持する方法は実施例1と同様な処理によった。Pt(1wt%)−WOは、そのまま系に混在させた。光源には420nmのカットオフフイルターを取り付けた300Wキセノンランプを用いて、可視光のみを照射した。その結果、水素及び酸素の生成速度は、各々1.8及び0.8μmol/hであった。水素と酸素の生成速度比は約2対1であり、可視光のみにより水の完全分解が進行していることが分かった。
【0027】
比較例1
実施例1の条件下に、半導体光触媒を存在させないで操作を繰り返した。水素及び酸素の生成は見られなかった。
【0028】
比較例2
実施例1及び実施例5の条件下に、NaIを添加せずに操作を繰り返した。水素及び酸素の生成は殆ど見られなかった。
【0029】
比較例3
実施例1及び実施例5の条件下に、光を一切照射せずに操作を繰り返した。水素及び酸素の生成は殆ど観察されなかった。
【0030】
比較例4
実施例1の操作条件下に、酸素発生用触媒であるルチル型二酸化チタンを混合せずに反応を行った。水素発生速度は4μmol/hであり、実施例1の結果と比較すると、一桁小さい値であった。長時間継続したが酸素の発生は見られず、水素の発生は時間と共に減少した。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体光触媒を用いる水の完全分解に際し、半導体光触媒と組み合わせて用いるヨウ素化合物からなる新たなレドックスの使用が可能となった。このレドックスは従来のレドックスを用いた場合より効率よく、又従来では採用することができなかった条件であるアルカリ条件下の使用が可能となり、又可視光を光源として用いることが可能となった。このようなことから、半導体光触媒の選択及びその反応条件に広範囲の条件を設定することが可能となった。
又、水の電解工程と結び付けることにより、電気分解の効率を向上させ、低コストで水素を製造することができる。

Claims (6)

  1. 半導体光触媒及び還元状態から酸化状態に変化させることができるヨウ素化合物を含む水溶液に、光照射を行って水素を製造する工程、及び半導体光触媒及び酸化状態から還元状態に変化させることができるヨウ素化合物を含む水溶液に、光照射を行って酸素を製造する工程からなることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
  2. 請求項1記載の水素を製造する工程と酸素を製造する工程を同一反応器内で行うことを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
  3. 請求項1記載の酸素を製造する工程の反応器と、同じく水素を製造する工程の反応器が膜を介して接続されている状態で両工程を行うことを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載の半導体光触媒が、可視光応答性触媒であることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
  5. 請求項4記載の可視光応答性触媒が、SrTiO (Crドープ)、TiO (Cuドープ)、又はTiO (Cr及びTaドープ)から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか記載の酸素を製造する工程の半導体光触媒が酸素発生触媒であり、水素を製造する工程の半導体光触媒が水素発生触媒であることを特徴とする水素及び酸素の製造方法。
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