JP3793304B2 - 加工対象物測定方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光を用いて加工対象物を加工するレーザ加工装置等の加工装置に係り、とりわけ加工対象物である円形ワークの中心位置や大きさを求める加工対象物測定方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザ光を用いて加工対象物を加工するレーザ加工装置として、載置された加工対象物を所定位置へ位置決めするとともにXY平面上の任意位置へ移動させるXYテーブルと、XYテーブルを2軸方向(X,Y方向)に駆動する2軸用ドライバと、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、これら2軸用ドライバおよびレーザ発振器を制御して加工対象物上の所望位置にレーザ光を照射させるNC(Numerical Control )コントローラとを備えたレーザ加工装置が知られている。
【0003】
このようなレーザ加工装置において、加工対象物はXYテーブル上に載置され、NCコントローラにあらかじめ入力されたデータに基づいてレーザ光の加工対象物上での照射位置が制御され、これにより加工対象物に対して所望の加工形状でのレーザ加工が行われる。ここで、加工対象物が例えば円形ワークであり、この円形ワーク外周に沿ってレーザ加工を行うような場合を考えると、一般的な簡易NCコントローラのデータとしては、図4に示すように少なくとも円42の中心点43の座標および半径R、さらに必要に応じて円42を描き出す始点44の座標(および円42を描き終わる終点の座標等)のデータが必要とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のレーザ加工装置においては、加工形状に関するデータをあらかじめ数値的に求めてNCコントローラに入力しておく必要がある。しかしながら、中心位置や大きさ等が不定な円形ワークの外周部分をレーザ加工するような場合に、円形ワークの中心点の座標や半径等を測定することは容易ではない。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、不定の位置に配置され中心位置や大きさが不定な円形ワークの中心位置や大きさを容易に求めることができる加工対象物測定方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加工対象物である円形ワークの中心位置をコンピュータを用いて求める加工対象物測定方法において、撮影装置により撮影された円形ワークの画像に基づいて指示された円形ワーク外周の所定2点の情報取り込む工程と、指示された所定2点の中間点を中心とし且つ当該所定2点を通る仮の円を求める工程と、指示された所定2点を通る第1直線に直交するとともに前記中間点を通る第2直線上において前記仮の円外周に交わる点、及び前記仮の円の半径を求める工程と、前記撮影装置により撮影された円形ワークの画像を用いて指示された、前記第2直線上において前記円形ワーク外周に交わる前記円形ワーク外周の3番目の点の情報を取り込む工程と、この指示された前記円形ワーク外周の3番目の点と、前記第2直線上において前記仮の円外周に交わる点と距離を求める工程と、この求められた距離と、前記仮の円の半径とに基づいて前記円形ワークの中心位置を求める工程と、を備えたことを特徴とする加工対象物測定方法を提供する。
【0007】
また本発明は、載置された円形ワークを任意位置へ移動させる可動テーブルと、前記可動テーブルを所定軸方向に駆動するドライバと、前記円形ワークを撮影する撮影装置と、撮影された前記円形ワークの画像を表示する表示装置と、前記ドライバを制御して前記可動テーブルに載置された前記円形ワークを移動させつつ、前記表示装置上に表示された前記円形ワークの画像を用いて前記円形ワーク外周の所定点のティーチングを行うティーチング装置と、ティーチングされた所定点に基づいて前記円形ワークの中心位置を求める演算装置とを備え、前記演算装置は、ティーチングされた前記円形ワーク外周の所定2点の中間点を中心とし且つ当該所定2点を通る仮の円を求める手段と、ティーチングされた所定2点を通る第1直線に直交するとともに前記中間点を通る第2直線上において前記仮の円外周に交わる点、及び前記仮の円の半径を求める手段と、ティーチングされた、前記第2直線上において前記円形ワーク外周に交わる前記円形ワーク外周の3番目の点と、前記第2直線上において前記円形ワーク外周に交わる点との距離を求める手段と、この求められた距離と、前記仮の円の半径とに基づいて前記円形ワークの中心位置を求める手段とを有することを特徴とする加工対象物測定装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、指示(ティーチング)された円形ワーク外周の所定点に基づいて、不定の位置に配置され中心位置や大きさが不定な円形ワークの中心位置や大きさを容易に求めることができるので、このようなワークに対する加工に、一般的な簡易NCコントローラを用いることができ、レーザ加工装置によるレーザ加工等をきわめて簡易かつ安価に実現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3は本発明による加工対象物測定方法およびその装置をレーザ加工装置に適用した場合の一実施の形態を示す図である。
【0010】
まず、図1により、本発明による加工対象物測定方法およびその装置が適用されるレーザ加工装置について説明する。図1に示すように、レーザ加工装置は、載置された円形ワーク(加工対象物)1を所定位置へ位置決めするとともにXY平面上の任意位置へ移動させるXYテーブル(可動テーブル)2と、XYテーブル2を2軸方向(X,Y方向)に駆動する2軸用ドライバ3と、レーザ光7を発生させるレーザ発振器6と、これら2軸用ドライバ3およびレーザ発振器6を制御して円形ワーク1上の所望位置にレーザ光7を照射させるNCコントローラ4とを備えている。
【0011】
また、レーザ発振器6と円形ワーク1との間にはダイクロイックミラー8および集光レンズ9が配置されている。さらに、円形ワーク1を撮影するテレビカメラ(撮影装置)10と、撮影された円形ワーク1の画像を映し出すテレビモニタ(表示装置)11と、テレビモニタ11上に映し出された画像をモニタリングしながら円形ワーク1に対するティーチングを行うためのティーチングボックス(ティーチング装置)5とが設けられている。なお、NCコントローラ4にはティーチングボックス5を操作して得られたデータを演算するためのコンピュータ(演算装置)12が接続されている。
【0012】
このようなレーザ加工装置において、円形ワーク1はXYテーブル2上に載置され、NCコントローラ4およびティーチングボックス5からの指令に基づいて所定位置への位置決めおよび任意位置への移動が行われる。また、円形ワーク1の移動が制御されている状態において、NCコントローラ4からの指令に基づいてレーザ発振器6の発光が制御され、ダイクロイックミラー8により折り返され集光レンズ9により集光されたレーザ光7により円形ワーク1に対して所望の加工形状でのレーザ加工が行われる。
【0013】
次に、図1に示すレーザ加工装置において、円形ワーク1の中心位置および大きさを求める手順について図2および図3により説明する。
【0014】
まず、円形ワーク1をXYテーブル2上に載置し、テレビモニタ11に映し出された円形ワーク1の画像をモニタリングしながらティーチングボックス5を操作することにより、XYテーブル2を所要距離だけ移動させて円形ワーク外周20(図3参照)上の任意の一点Aを予めテレビモニタ11にマークされた基準位置(以下単に「基準位置」という)に合わせる。ここで、基準位置に合わせられた点Aの座標データ(AX,AY)はNCコントローラ4を介してコンピュータ12に転送される(ステップ101)。
【0015】
次に、ティーチングボックス5を操作してXYテーブル2をY軸方向に移動させ、第1直線22(x=AX)上に位置する円形ワーク外周20上の他の点Bを基準位置に合わせる。なお、このようなティーチングボックス5の操作中においては、XYテーブル2がX軸方向へ移動しないようにインターロックがかけられる。ここで、基準位置に合わせられた点Bの座標データ(AX,BY)も同様にNCコントローラ4を介してコンピュータ12に転送される(ステップ102)。
【0016】
その後、コンピュータ12において、NCコントローラ4から転送された点A,Bの座標データ(AX,AY),(AX,BY)に基づいて点A,Bの中間点23を中心とし、かつ点A,Bを通る仮の円21を求め、第1直線22に直交するとともに中間点23を通る第2直線24と交差する仮の円外周21上の点Cの座標(CX,CY)を次式(1)(2)により算出する(ステップ103)。なお、次式以降においてABS(x)はxの絶対値をとる関数を意味する。
CX=AX−ABS((AY−BY)/2) … (1)
CY=(AY+BY)/2 … (2)
【0017】
上式(1)(2)により算出された点Cの座標データ(CX,CY)がNCコントローラ4に転送され、この点Cが基準位置に合うように円形ワーク1の載置されたXYテーブル2を移動させる。なお、このとき同時に仮の円21の半径Dが次式(3)により算出される(ステップ103)。
D=ABS((AY−BY)/2) … (3)
【0018】
続いて、ティーチングボックス5を操作してXYテーブル2をX軸方向に移動させ、円形ワーク外周20上の点Hを基準位置に合わせる。なお、このようなティーチングボックス5の操作中においては、XYテーブル2がY軸方向へ移動しないようにインターロックがかけられる。ここで、基準位置に合わせられた点Hの座標データ(HX,CY)はNCコントローラ4を介してコンピュータ12に転送され、補正量Lが次式(4)により算出される(ステップ104)。
L=ABS(HX−CX) … (4)
【0019】
また、上式(3)(4)により算出された仮の円21の半径D、および補正量Lから円形ワーク1の半径R、および中心点Gの座標(GX,GY)が次式(5)(6)(7)により算出される(ステップ105)。
R=((2D2 +L2 +2DL)/2)/(D+L) … (5)
GX=HX+R … (6)
GY=CY … (7)
【0020】
以上のようにして、円形ワーク1の中心位置および大きさが、始点は現在位置である点H(HX,CY)、中心点は点G(GX,GY)、半径はRというように特定される。このようにして求められたデータ(円補間用データ)はコンピュータ12からNCコントローラ4に転送され、NCコントローラ4からの指令に基づいて2軸用ドライバ3およびレーザ発振器6が制御され、これにより円形ワーク1に対して所望の加工形状でのレーザ加工が行われる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、不定の位置に配置され中心位置や大きさが不定な円形ワークの中心位置や大きさを容易に求めることができるので、このようなワークに対してもレーザ加工装置によるレーザ加工等をきわめて簡易かつ安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による加工対象物測定方法およびその装置の一実施の形態を示す図である。
【図2】本発明による加工対象物測定方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明による加工対象物測定方法の原理を説明するための図である。
【図4】NCコントローラで必要とされる円補間用データを示す図である。
【符号の説明】
1 円形ワーク
2 XYテーブル
3 2軸用ドライバ
4 NCコントローラ
5 ティーチングボックス
6 レーザ発振器
7 レーザ光
8 ダイクロイックミラー
9 集光レンズ
10 テレビカメラ
11 テレビモニタ
12 コンピュータ

Claims (4)

  1. 加工対象物である円形ワークの中心位置をコンピュータを用いて求める加工対象物測定方法において、
    撮影装置により撮影された円形ワークの画像に基づいて指示された円形ワーク外周の所定2点の情報取り込む工程と、
    指示された所定2点の中間点を中心とし且つ当該所定2点を通る仮の円を求める工程と、
    指示された所定2点を通る第1直線に直交するとともに前記中間点を通る第2直線上において前記仮の円外周に交わる点、及び前記仮の円の半径を求める工程と、
    前記撮影装置により撮影された円形ワークの画像を用いて指示された、前記第2直線上において前記円形ワーク外周に交わる前記円形ワーク外周の3番目の点の情報を取り込む工程と、
    この指示された前記円形ワーク外周の3番目の点と、前記第2直線上において前記仮の円外周に交わる点と距離を求める工程と、
    この求められた距離と、前記仮の円の半径とに基づいて前記円形ワークの中心位置を求める工程と、
    を備えたことを特徴とする加工対象物測定方法。
  2. 載置された円形ワークを任意位置へ移動させる可動テーブルと、
    前記可動テーブルを所定軸方向に駆動するドライバと、
    前記円形ワークを撮影する撮影装置と、
    撮影された前記円形ワークの画像を表示する表示装置と、
    前記ドライバを制御して前記可動テーブルに載置された前記円形ワークを移動させつつ、前記表示装置上に表示された前記円形ワークの画像を用いて前記円形ワーク外周の所定点のティーチングを行うティーチング装置と、
    ティーチングされた所定点に基づいて前記円形ワークの中心位置を求める演算装置とを備え、
    前記演算装置は、ティーチングされた前記円形ワーク外周の所定2点の中間点を中心とし且つ当該所定2点を通る仮の円を求める手段と、
    ティーチングされた所定2点を通る第1直線に直交するとともに前記中間点を通る第2直線上において前記仮の円外周に交わる点、及び前記仮の円の半径を求める手段と、
    ティーチングされた、前記第2直線上において前記円形ワーク外周に交わる前記円形ワーク外周の3番目の点と、前記第2直線上において前記円形ワーク外周に交わる点との距離を求める手段と、
    この求められた距離と、前記仮の円の半径とに基づいて前記円形ワークの中心位置を求める手段とを有することを特徴とする加工対象物測定装置。
  3. 前記第2直線上において前記仮の円外周に交わる点と前記円形ワーク外周に交わる点との距離と、前記仮の円の半径とに基づいて前記円形ワークの大きさを求める工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の加工対象物測定方法。
  4. 前記第2直線上において前記仮の円外周に交わる点と前記円形ワーク外周に交わる点との距離と、前記仮の円の半径とに基づいて前記円形ワークの大きさを求める手段をさらに有することを特徴とする請求項2記載の加工対象物測定装置。
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