JP3793061B2 - 可変吸気インテークマニホールドおよびその製造方法 - Google Patents

可変吸気インテークマニホールドおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多気筒内燃エンジンに対して、例えばロータリーバルブを用いて可変吸気を行うインテークマニホールド、すなわち、可変吸気インテークマニホールド、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多気筒内燃エンジン(以下、エンジンと記載)は、スロットルボディーを介して吸入される空気をエンジンの各気筒に分配するインテークマニホールドを備えている。
【0003】
このようなインテークマニホールドにおいては、吸気の充填効率を高めてエンジン出力を向上させるために、エンジンの回転数に応じて作動(可変吸気)するロータリーバルブを用いたインテークマニホールド(ロータリーバルブ方式インテークマニホールド(以下、RV方式インテークマニホールドと記載))がある。そして、このRV方式インテークマニホールドは、断熱性に優れる、軽量である、形状の自由度に優れる等の理由により、樹脂で製造されることが多い。
【0004】
上記インテークマニホールドは、スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、このチャンバー部の内部とエンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有している。そのため、その形状は複雑になり、通常、複数の分割体に分割し、後工程において接合する方法により製造される。
【0005】
ここで、従来方法で製造されたインテークマニホールドについて示す。
【0006】
▲1▼特開平7−166875号公報(公開日:1995年6月27日) 、および▲2▼特開平10−231760号公報(公開日:1998年9月2日) には、チャンバー部の一方端にスロットルボディーにつながる開口を有し、複数のパイプがチャンバー部に直列に一体化されたものが開示されている。
【0007】
また、▲3▼特開平10−196373号公報(公開日:1998年7月28日) 、および▲4▼特開平10−299591号公報(公開日:1998年11月10日) には、スロットルボディーにつながる開口がチャンバー部の中央部に設けられたものが開示されている。
【0008】
上記▲1▼〜▲4▼に開示された樹脂製インテークマニホールドは、いずれもその形状が複雑である。そのため、通常、少ない分割体の数で複雑な形状をつくることができるスライド機構を用いて製造される。
【0009】
また、▲5▼特開平10−89170号公報(公開日:1998年4月7日) には、2つの筒(外筒・内筒)を用いて製造されるものが開示されている。このインテークマニホールドでは、図15に示すように、内筒102の外周に、その内筒102の軸方向に一定間隔で複数の鍔状通路壁(溝)103を設け、この内筒102に外筒101を挿入・嵌合して、この溝103を吸気管としている。そのため、少ない分割体で複雑な形状をつくることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の公報に開示されたインテークマニホールドは、例えば、2分割や3分割等による、少ない数の分割体を接合した構造である。そのため、分割体1個のサイズが大きくなり、金型も大きくなってしまう。つまり、製造コストの高い大きな金型が必要となる。このため、インテークマニホールドの製造数が少ない場合には、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0011】
その上、スライド機構を用いた製造方法では、上記チャンバー部の内部にパイプを設けるため、金型とは別部品の仕切り板を組み込むことになるが、この仕切り板は嵌合構造が複雑であり、上記パイプ部の内壁面に偏平な領域(肉厚が厚い領域)ができるという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、その製造数が少ない場合においても、低コストで製造することができる可変吸気インテークマニホールド、およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の可変吸気インテークマニホールドは、スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、上記チャンバー部の内部と多気筒内燃エンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有し、かつ、上記チャンバー部には、上記パイプ部と連通するチャンバー開口部が上記パイプ部毎に複数設けられるとともに、上記パイプ部毎に上記チャンバー開口部を選択的に連通させるロータリーバルブが挿設されたものであり、上記チャンバー部は、一つの上記パイプ部と、このパイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含んで構成されていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、チャンバー部は、一つのパイプ部と該パイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含んで構成されている。すなわち、上記可変吸気インテークマニホールドでは、チャンバー部およびパイプ部は上記ポート部材に分割されている。そのため、上記のチャンバー部およびパイプ部は、小型で製作費の安い金型を用いて形成したポート部材を接合することによって、製造することができる。
【0015】
このため、生産数が少ない場合であっても、金型費を抑制し、可変吸気インテークマニホールドの製造コストを削減することができる。
【0016】
また、接合するポート部材の数を変化させることにより、パイプ部の数の異なるインテークマニホールドが得られるため、エンジンの各々のシリンダ毎の排気量が略同一であれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドを製造することができる。
【0017】
また、上記ポート部材を共通部材として用いれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部を製造することができる。従って、複数種の可変吸気インテークマニホールドの製造コストを全体として削減することができる。
【0018】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記ポート部材は、上記筒状部の軸方向に対して垂直に半割された半割体を接合して構成されていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、従来のスライド機構を用いることなく可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部およびパイプ部を成形することができる。そのため、複雑な嵌合構造をした仕切り板を用いる必要がない。これにより、パイプ部の軸方向に対する断面の形状を、吸気効率の高い形状(例えば、真円形状)にして形成できる。その上、この半割体の金型形状によって、パイプ部の長さや曲げ方(曲率)を任意に設計できる。つまり、パイプ部の長さや曲率等の設計の自由度が向上する。
【0020】
また、半割体の肉厚を略一定にできる。そのため、半割体の形成過程における冷却工程において、半割体を一様に冷却できるため、歪み等が生じない。従って、高品質な可変吸気インテークマニホールドを形成できる。なお、従来の分割体の形状では、パイプ部の内壁面に肉厚が厚い領域(偏平領域)が形成されていた。
【0021】
また、両半割体のパイプ部の断面を半円形状としておくと、これらの半割体を接合した際、パイプ部の断面を真円形状にできる。すなわち、吸気効率を理論値にまで向上させた可変吸気インテークマニホールドを形成することが可能になる。
【0022】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記パイプ部が、上記チャンバー部の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部上をさらにとり巻くように延びて形成されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、例えば、エンジンの特性によって、パイプ部が長くなる場合であっても、該パイプ部をチャンバー部の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部上にさらにとり巻くように配置することができる。そのため、上記パイプ部を上記チャンバー部との間に隙間を作ることなく形成でき、可変吸気インテークマニホールドをよりコンパクトにすることができる。
【0024】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記ロータリーバルブは、1本のパイプ部毎に上記チャンバー開口部の一つを閉じはじめると、他のチャンバー開口部を連通させるバルブ開口部を備えていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、チャンバー開口部を切り換える過程においても、常に空気をエンジンに供給することができる。そのため、エンジンに空気の供給されない時間が存在しなくなり、吸気効率の面で好ましい。
【0026】
また、一方のパイプ開口部から流れる空気と、他方のパイプ開口部から流れる空気とは、パイプ部に流れる距離が異なってくる。つまり、空気の流れる距離を変更できる(流路長が可変できる)。そのため、吸気慣性効果を利用して、エンジン出力を向上させることができる。
【0027】
なお、上記の吸気慣性効果とは、吸気の持つ慣性を利用した作用で、一方のチャンバー開口部からの吸気が閉じはじめると、それまで流れていた空気が該チャンバー開口部でせき止められるため、空気の慣性により圧力が高まる。そのときに生じる高い圧力は、圧力波としてパイプ部内を伝わり他方のチャンバー開口部の近くの圧力を高めて、エンジンに空気を押し込む効果のことである。
【0028】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記ロータリーバルブは、上記バルブ開口部に上記チャンバー部の内壁に当接して、上記ロータリーバルブと上記チャンバー部の内壁との隙間をシールするシール部材を有することが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、シール部材が、上記ロータリーバルブと上記チャンバー部の内壁との隙間を封止する。そのため、上記の隙間からの空気の漏れを防止することができる。
【0030】
また、上記シール部材とチャンバー部の内壁とが当接するようになっている。そのため、ロータリーバルブは、チャンバー部内を滑らかに(スムーズに)回転する。
【0031】
本発明の可変吸気インテークマニホールドの製造方法は、スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、上記チャンバー部の内部と多気筒内燃エンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有し、かつ、上記チャンバー部には、上記パイプ部と連通するチャンバー開口部が上記パイプ部毎に複数設けられるとともに、上記パイプ部毎に上記チャンバー開口部を選択的に連通させるロータリーバルブが挿設されている可変吸気インテークマニホールドの製造方法において、一つの上記パイプ部と、このパイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合して上記チャンバー部を形成するチャンバー部形成工程を含むことを特徴としている。
【0032】
上記の方法によれば、チャンバー部は、一つのパイプ部と該パイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含む構造である。すなわち、上記可変吸気インテークマニホールドでは、チャンバー部およびパイプ部は上記ポート部材に分割されている。そのため、上記方法によれば、チャンバー部およびパイプ部を、小型で製作費の安い金型を用いて形成したポート部材を接合することによって、製造することができる。このため、生産数が少ない場合であっても、金型費を抑制し、可変吸気インテークマニホールドの製造コストを削減することができる。
【0033】
また、接合するポート部材の数を変化させることにより、パイプ部の数の異なるインテークマニホールドが得られるため、エンジンの各々のシリンダ毎の排気量が略同一であれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドを製造することができる。
【0034】
また、上記ポート部材を共通部材として用いれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部を製造することができる。従って、複数種の可変吸気インテークマニホールドの製造コストを全体として削減することができる。
【0035】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドの製造方法では、上記筒状部の軸方向に対して、垂直に半割された半割体を接合して上記ポート部材を形成するポート部材形成工程をさらに含むことが好ましい。
【0036】
上記の方法によれば、従来のスライド機構を用いることなく可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部およびパイプ部を成形することができる。そのため、複雑な嵌合構造をした仕切り板を用いる必要がない。これにより、パイプ部の軸方向に対する断面の形状を、吸気効率の高い形状(例えば、真円形状)にして形成できる。その上、この半割体の金型形状によって、パイプ部の長さや曲げ方(曲率)を任意に設計できる。つまり、パイプ部の長さや曲率等の設計の自由度が向上する。
【0037】
また、半割体の肉厚を略一定にできる。そのため、半割体の形成過程における冷却工程において、半割体を一様に冷却できるため、歪み等が生じない。従って、高品質な可変吸気インテークマニホールドを形成できる。なお、従来の半割体の形状では、パイプ部の内壁面に肉厚が厚い領域(偏平領域)が形成されていた。
【0038】
また、両半割体のパイプ部の断面を半円形状としておくと、これらの半割体を接合した際、パイプ部の断面を真円形状にできる。すなわち、吸気効率を理論値にまで向上させた可変吸気インテークマニホールドを形成することが可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1〜図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0040】
図1は、本発明の一実施の形態に係るロータリーバルブを用いたインテークマニホールド(ロータリーバルブ方式インテークマニホールド(可変吸気インテークマニホールド))が直列3気筒内燃エンジン(以下、エンジンと記載)に吸気する場合を示している。
【0041】
図1に示すように、ロータリーバルブ方式インテークマニホールド(RV方式インテークマニホールド)は、チャンバー本体部8(筒状体、チャンバー部)とロータリーバルブアッシー2とから構成されている。
【0042】
チャンバー本体部8は、ポート部材1a・1b・1c、スロットルボディー取り付け用パイプ部材(筒状体、チャンバー部)3、シリンダヘッド取り付け用板部材4、Oリング5、およびバルブカバー(チャンバー部)6から構成されている。なお、上記ポート部材1a〜1cの形状は同一であり、ポート部材1a〜1cを区別しない場合には、ポート部材1と記す。
【0043】
ポート部材1は、上記ロータリーバルブアッシー2が挿入される筒状部12(筒状体、チャンバー部)と、この筒状部12の外壁に沿って湾曲して周回するパイプ部11とから構成されている。
【0044】
スロットルボディー取付用パイプ部材3は、スロットルボディー91からの空気を吸気するものである。そのため、スロットルボディー取付用パイプ部材3の一端に、該スロットルボディー91に接続する吸気口7を備えている。
【0045】
シリンダヘッド取り付け用板部材4は、パイプ部11とエンジンとを取り付けるための固定部材である。
【0046】
Oリング5は、チャンバー室とバルブカバー6との接合面からのエアー漏れ(空気漏れ)を防ぐものである。
【0047】
バルブカバー6は、ロータリーバルブアッシー2の軸37(後述)を支持するとともに、チャンバー室の開口の一方を塞ぐように接合されている。
【0048】
そして、上記のポート部材1a・1b・1cの筒状部12…は、互いに接合して筒状体を構成している。そして、チャンバー本体部8は、上記筒状体の一方の端部に、上記スロットルボディー取付用パイプ部材3、他方の端部にOリング5を介して、バルブカバー6を接合するように形成されている。
【0049】
なお、本実施の形態において、「チャンバー室」とは、上記ポート部材1が互いに複数個接合して形成された筒状体と、スロットルボディー取付用パイプ部材3と、上記筒状体の一端または両端を塞ぐバルブカバー6とを接合して形成されたチャンバー本体部8の中空部分をいう。
【0050】
ロータリーバルブアッシー2は、上述したように筒状体に挿設され、チャンバー開口部13a・13b(後述)の開口を切り換えるものである。そして、このロータリーバルブアッシー2は、ロータリーバルブ31、シール部材30、蓋部材(ハブ)36 、および軸37から構成されている。
【0051】
ロータリーバルブ31は、円筒形のロータリー弁で、筒状部12に設けられたチャンバー開口部13a・13bに連通するためのバルブ開口部(ポートホール)35a・35bが形成されている。(図1では、ポート部材1が3個あるため、ロータリーバルブ31は合計6個のバルブ開口部35(35a・35b)を形成されている)。
【0052】
シール部材30は、上記バルブ開口部35a・35bに、チャンバー室の内壁に当接して、上記ロータリーバルブ31と上記チャンバー室の内壁との隙間をシールするものである。
【0053】
蓋部材36は、図示しない外部のモーターから軸37を介して伝達された回転駆動をロータリーバルブ31に伝達するものである。
【0054】
軸37は、上記蓋部材36の中心、すなわち真円の中心に突出するように固着されており、後述するバルブカバー6に回動可能に軸受けされている。
【0055】
なお、上記のロータリーバルブアッシー2に関する詳細は後述する。また、上記バルブ開口部35a・35bの形状は同一であり、これらを区別しない場合には、バルブ開口部35と記す。
【0056】
ここで、上記ポート部材1について、詳細に説明する。
【0057】
図2は、ポート部材1の説明図である。なお、筒状部12の断面は円形状である。また、説明の便宜上、この図において、上記筒状部12の断面の中心より上方向12時方向、右方向を3時方向、下方向を6時方向、左方向を9時方向とする。つまり、時計の文字盤の位置を参考にして説明を行う。
【0058】
ポート部材1には、上述したパイプ部11が、筒状部12の外壁面に沿って取り巻くように筒状部12から延び出して設けられている。
【0059】
そして、上記のパイプ部11は、図示しないエンジンの各気筒に接続されている。さらに、図2では、ポート部材1はチャンバー開口部13を2個(13a・13b)形成している。なお、上記チャンバー開口部13a・13bの形状は同一であり、チャンバー開口部13a・13bを区別しない場合には、チャンバー開口部13と記す。また、チャンバー室とパイプ部11とを連通する開口は3個以上であっても構わない。
【0060】
上記チャンバー開口部13aは、筒状部12の周囲の3時〜6時方向の領域に位置し、チャンバー開口部13bは、9時〜12時方向の領域に位置している。
【0061】
そして、パイプ部11は、上記チャンバー開口部13以外の箇所に、パイプ部11と筒状部12とを隔てる第1隔壁14・第2隔壁15を有している。さらに、チャンバー開口部13aからの空気が流れる低速流路21と、チャンバー開口部13bからの空気が流れる高速流路22とを隔てる分割隔壁16を有している。その結果、パイプ部11は、低速流路21・高速流路22と、この低速流路21と高速流路22とが合流する合流流路23とを有する。
【0062】
なお、低速流路21を流れる空気は、エンジンに到達するまでの時間が相対的長くかかる一方、高速流路22を流れる空気は、相対的に短い時間でエンジンに到達する。
【0063】
また、図2に示すように、上記パイプ部11の長さは筒状部12を一周する程度の長さである。しかし、図3に示すように、上記パイプ部11の長さを延長することができる。具体的には、パイプ部11が、筒状部12の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部上をさらにとり巻くように延ばして形成することができる。
【0064】
次に、図2の矢視断面図である図4〜図7を用いて、上記の第1隔壁14・第2隔壁15・分割隔壁16を詳細に説明する。なお、これらの図において、特に指定しない限り、「上」、「下」、「右」、「左」は、図面においての各々の位置を表す。
【0065】
図4は、図2のA−B線矢視断面図である。この図に示すように、左側に位置するパイプ部11は、低速流路21と高速流路22(図2参照)とが合流する合流流路23である。そして、第2隔壁15が、このパイプ部11と筒状部12とを隔てる。一方、右側に位置するパイプ部11は、低速流路21である。そして、チャンバー開口部13aが、このパイプ部11に連通している。
【0066】
図5は、図2のA−C線矢視断面図である。この図に示すように、右側に位置するパイプ部11は、低速流路21である。そして、第1隔壁14が、このパイプ部11と筒状部12とを隔てる。
【0067】
図6は、図2のA−D線矢視断面図である。この図に示すように、右側に位置するパイプ部11は、外側から低速流路21・高速流路22である。そして、このパイプ部11内部に、低速流路21と高速流路22とを隔てる分割隔壁16(16a・16b)が形成されている。そして、パイプ部11の内部から突出する分割隔壁16a・16bは、近接して一体形成されている。
【0068】
図7は、図2のA−E線矢視断面である。この図に示すように、図2における仮想線Dよりも空気の流れる方向に進行した仮想線Eの位置では、上記の分割隔壁16a・16bの突起量が少なくなり、突出する該分割隔壁16a・16bが大きく分離している。
【0069】
すなわち、空気の流れる方向(進行方向)に進むにつれて、分割隔壁16aと分割隔壁16bとが離れるようになっている。そして、低速流路21と高速流路22とが合流して、合流流路23を形成するようになっている。
【0070】
また、低速流路21と高速流路22との合流部分は、下流に進むに従い、低速流路21に位置するパイプ部11の断面形状と、高速流路22に位置するパイプ部11の断面形状とが重なりあう度合いを増やしながら形成される。
【0071】
次に、ロータリーバルブアッシー2(ロータリーバルブ31・シール部材30・蓋部材36・軸37)について詳細に説明する。
【0072】
図8は、ロータリーバルブ31を示している。この図に示すように、ロータリーバルブ31は、3個のバルブ開口部35(35a・35b)を備えている。
【0073】
そして、このロータリーバルブ31の形成材料は、特に限定するものではないが、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン6−6等)とガラス繊維(ガラスファイバー)との混合材料、またはアルミニウムが好適に用いられる。なお、上記混合材料の場合、ガラス繊維の配合量は、20〜40重量%、好ましくは、30〜35重量%である。
【0074】
図9は、シール部材30を示している。この図に示すように、ロータリーバルブ31(図1参照)に取り付けられるシール部材30の数は、ポート部材1の数(図1参照)に対応している。つまり、ポート部材1の数と同じ数のシール部材30が、ロータリーバルブ31に取り付けられるようになっている。なお、複数のシール部材30が1つに結合されていても構わない。
【0075】
図10は、1個のシール部材30を示している。この図に示すように、シール部材30は、シール開口部32a・32bとシール取付部33(33a・33b)とシール補強部34(34a・34b)とから構成されている。なお、シール開口部32a・32bは互いに形状が同一であり、シール開口部32a・32bを区別しない場合には、シール開口部32と記す。
【0076】
シール取付部33は、全体が帯状の部材であり、ロータリーバルブ31(図1参照)を挟みこむような、アルファベットの「C」様の形状となっている。
【0077】
そして、帯の外形となるシール取付部33aと、このシール取付部33aをつなげるシール取付部33bとから構成される。
【0078】
シール開口部32は、環形状であり、バルブ開口部35(図8参照)の開口端を覆うように嵌合し、チャンバー室の内壁に当接して、上記ロータリーバルブ31(図1参照)と上記チャンバー室の内壁との隙間をシールするものである。
【0079】
そして、このシール開口部32は、上記シール取付部33の帯の中で、円周方向に沿って配設され、シール取付部33aに接合されている。
【0080】
シール補強部34は、シール補強部34a・34bから構成されている。
【0081】
シール補強部34aは、シール開口部32a・32bを互いに接合して、補強するものである。
【0082】
シール補強部34bは、上記シール取付部33bと、シール補強部34aに接合していない上記シール開口部32a・32bの端部(シール補強部34aの接合した位置と対向位置の端部)とを接合して、補強するものである。
【0083】
なお、シール取付部33の形状は、帯状に限定されない。また、シール開口部32では、チャンバー室に当接する側は、シール取付部33・シール補強部34と面一になっており、バルブ開口部35に嵌合する側は、該バルブ開口部35に嵌合するために、シール取付部33・シール補強部34よりも厚くなっている。
【0084】
また、図11に示すように、ロータリーバルブ31を挟みこんだ(巻きついた)シール部材30は、チャンバー室の内壁を押す方向(矢印P)の力(押圧力)を与えるようになっている。そして、この押圧がシール部材30とチャンバー室の内壁とを当接させる(シールする)。なお、上記押圧を得るために、シール部材30は、ロータリーバルブ31の外周サイズよりも若干大きな「C」形状となっている。つまり、上記のように若干大きなシール部材30をチャンバー室に挿入したときの反発力により、上記の押圧力としている。
【0085】
ここで、図12を用いて、上記のシール開口部32がバルブ開口部35に取り付けられた状態について詳細に説明する。
【0086】
なお、図12は、シール部材の嵌合したロータリーバルブ31がチャンバー室に挿設した場合でのチャンバー開口部13aの状態を示した説明図である。図12に示すように、シール開口部32がバルブ開口部35に嵌合した状態では、チャンバー開口部13側のシール開口部32の面が、チャンバー室の内壁(筒状部12の内壁)に当接するようになっている。一方、ロータリーバルブ31側のシール開口部32の面は、該ロータリーバルブ31の内壁の壁面と面一になっている。このような構造をバルブシールフローティング構造という。このバルブシールフローティング構造を用いると、上記ロータリーバルブ31と上記チャンバー室の内壁との隙間を封止することになり、この隙間からの空気の漏れを防止することができる。
【0087】
また、上記シール開口部32の内周のサイズを、上記チャンバー開口部13と同サイズにすることもできる。従って、ロータリーバルブ31が有する開口(バルブ開口部35にシール開口部32が取り付けられた開口)のサイズと、チャンバー開口部13のサイズとを同一にできる。
【0088】
また、このシール部材を構成するシール開口部32a・32bは、上記バルブ開口部35と同形状(例えば、バルブ開口部35が楕円形状であれば、シール開口部32a・32bも楕円形状)の環になっている。
【0089】
また、このシール部材の材料は、特に限定するものではないが、自己潤滑性を有する樹脂が好適に用いられる。
【0090】
次に、図13を用いて、蓋部材36・軸37について説明する。
【0091】
この図に示すように、蓋部材36は、ロータリーバルブ31の開口に取付けられている。この取付けは、例えば、ロータリーバルブ31の端部に該ロータリーバルブ31の内壁と外壁とを連通する穴部41(ストッパーホール41)を設ける一方、蓋部材36の外壁にストッパー突部42を設け、これら(ストッパーホール41・ストッパー突部42(以下、これらをストッパーとする))を嵌合させて、該ロータリーバルブ31と蓋部材36とを取り付けるようにしてもよい。
【0092】
また、蓋部材36は、回転を伝えるため、ロータリーバルブ31に取り付けた際、円周方向に回転するおそれ、すなわち、ズレるおそれがある。そのため、上記ストッパーホール41・ストッパー突部42に加えて、回転止めを設けることが好ましい。
【0093】
この回転止めは、例えば、ロータリーバルブ31の内壁・外壁から構成される該ロータリーバルブ31の端部(側面部)に設けられた溝(回転止め凹部43)と、蓋部材36の外周に設けられた突起部(回転止め凸部44)とから構成されている。そして、蓋部材36がロータリーバルブ31に取り付けられた際に、上記の回転止め凹部43と回転止め凸部44とが嵌合して、円周方向へのズレを防止するようになっている。なお、上記ストッパーが、回転止めの機能を兼ねるようにしてもよい。
【0094】
また、蓋部材36の形成材料は、特に限定するものではないが、上述したロータリーバルブ31の形成材料の一つである、ポリアミド樹脂とガラス繊維との混合材料が好適に用いられる。
【0095】
軸37は、SUS材(ステンレス鋼)で形成されており、略真円状の円板部材である蓋部材36の中心、すなわち真円の中心に突出するようにインサート成形で固着されている。なお、この固着の方法を特に限定するものではない。
【0096】
そして、上述した各部材より構成されるロータリーバルブアッシー2は、上記チャンバー室に挿設され(詳細は後述)、上記軸37とつながっている駆動手段の駆動力によって、チャンバー室内を回動するようになっている。
【0097】
ここで、チャンバー開口部13とバルブ開口部35との位置関係について説明する。
【0098】
バルブ開口部35a・35bは、ロータリーバルブ31の円周に沿って、隣合うように形成されている(図1参照)。
【0099】
チャンバー開口部13a・13bは、筒状部12の円周上に離れて形成されている(図2参照)。例えば、筒状部12のある箇所にチャンバー開口部13aが形成されると、その箇所と向かい合う箇所にチャンバー開口部13bが形成される。
【0100】
そして、チャンバー開口部13aとチャンバー開口部13bとは、1個のバルブ開口部35を包含するだけ少なくとも離して形成されている。
【0101】
一方、バルブ開口部35a・35bでは、バルブ開口部35aが、チャンバー開口部13aと完全に連通しているときに、バルブ開口部35bがチャンバー開口部13bと連通しない位置に形成されている(図12参照)。さらに、ロータリーバルブアッシー2が回動して、完全に連通していたバルブ開口部35aが移動し、チャンバー開口部13aを閉じ始めるときに、バルブ開口部35bと連通しはじめる位置にチャンバー開口部13bは形成されている。
【0102】
その結果、ロータリーバルブアッシー2が回動する場合、バルブ開口部35aがチャンバー開口部13aと完全に連通(バルブ開口部35aとチャンバー開口部13aとが完全に重なって一致する状態)となるときには、バルブ開口部35bとチャンバー開口部13bとが閉塞(バルブ開口部35bとチャンバー開口部13bとが全く重ならない状態)となり、さらに、バルブ開口部35a(シール開口部32a)がチャンバー開口部13aを一部塞ぐようになると、バルブ開口部35bとチャンバー開口部13bとが一部連通するようになる。
【0103】
そして、上記の回動では、バルブ開口部35aはチャンバー開口部13aとのみ連通し、バルブ開口部35bはチャンバー開口部13bとのみ連通する。つまり、この回動は、バルブ開口部35aとチャンバー開口部13aとが連通する位置と、バルブ開口部35bとチャンバー開口部13bとが連通する位置との間の往復回動である。
【0104】
次に、本発明のRV方式インテークマニホールドの製造方法について説明する。
【0105】
上記RV方式インテークマニホールドを構成するインテークマニホールドのポート部材1は、図14に示すように、該ポート部材1を2分割したもの(半割体10)を接合することにより形成される。
【0106】
なお、この半割体10は、具体的には、ポート部材1を図4〜図7に示す仮想線F−F’に沿って2分割したものである。また、図1に示すように、ポート部材1は、上記ロータリーバルブアッシー2が挿入される筒状部12と、この筒状部12の外壁に沿って湾曲して周回するパイプ部11とから構成されている。そして、上記パイプ部11の管の中心軸が、上記半割体10(図14参照)の半割面に含まれている。また、半割面は、筒状部12の軸に対して垂直である。
【0107】
なお、ポート部材1の分割位置は、パイプ部11が対称に分割されていればよく、筒状部12を対称に分割する位置でなくてもよい。また、半割されたパイプ部11の管の中心軸に対する垂直面にある断面は、円管を半割した断面である。
【0108】
上記半割体10の接合は、例えば、半割体10の接合面に溶融樹脂用溝51を設け、2つの半割体10・10の接合面を合わせた状態で、溶融樹脂用溝51に溶融樹脂を流し込んで、接合面を溶着することで行う。
【0109】
なお、図4〜図7では、溶融樹脂用溝51に溶融樹脂を流し込むことによりF−F’線に沿って二分割された半割体が接合されてポート部材1が形成されている。
【0110】
溶融樹脂を用いた接合方法としては、具体的には、DSI(Die Slide Injection )法、DRI(Die Rotary Injection)法等が挙げられる。
【0111】
上記DSI法とは、特公平2−38377号公報(公開日:1990年8月30日) に記載された方法である。具体的には、一方の金型に、中空成形品を二つ割りした半割体をそれぞれ成形する雄型と雌型とが設けられ、他方の金型に、上記の雄型・雌型にそれぞれ対向する雌型・雄型が設けられた一組の金型を用いる。
【0112】
まず、上記の互いに対向する雄型と雌型との間に形成される一対のキャビティ内に溶融樹脂を注入して、各半割体を成形する。次いで、一方の上記金型をスライドさせて、各雌型に残された各半割体を互いに対向させ、上記の各金型を型合わせすることにより、これら各半割体を互いに突き合わせた後、その突き合わせ面の周縁に溶融樹脂を射出して、各半割体を互いに溶着するようにした中空製品の成形方法をいう。
【0113】
上記DRI法とは、特公平7−4830号公報(公開日:1995年1月25日) に記載された中空体の製造方法である。具体的には、一方の半割体を成形する工程と、他方の半割体を成形する工程と、両半割体を衝合させる工程とから中空体を製造する方法である。
【0114】
互いに開閉可能に組み合わされ、一方のモールドを他方のモールドに対して回転可能とし、それぞれのモールドに少なくとも一つの雄型部と二つの雌型部とからなる製品成形面を形成した一対のモールドを用いる。雄−雌型部のキャビティにて一方の第1半割体を、雌−雄型部のキャビティにて他方の第2半割体を、そして雌−雌型部のキャビティにて両半割体の衝合部を射出成形する第1型締工程と、型開き工程と、上記一方のモールドを他方のモールドに対して上記一方のモールドの雄型部が上記他方の雌型部のいずれかと組み合わされ、残りの雌型部同士が互いに組み合わされるように所定角度正転または反転させる工程と、再び雄−雌型部のキャビティにて一方の第1半割体を、雌−雄型部のキャビティにて他方の第2半割体を、そして雌−雌型部のキャビティにて上記第1型締工程で成形された第1および第2半割体の衝合部を射出成形する第2型締工程とを繰り返すことを特徴とする中空体の製造方法をいう。
【0115】
上記半割体を接合する方法としては、溶融樹脂を用いる接合法以外に、例えば、摩擦熱により接合面を溶解して接合するバイブレーション溶着法を用いることもできる。なお、バイブレーション溶着法を用いて上記半割体を接合する場合は、上記半割体の接合面に溶融樹脂用溝を形成するための溝を設ける必要はない。
【0116】
上述のように、ポート部材1を形成した後、このポート部材1同士を接合してインテークマニホールドを形成する。具体的には、図4〜図7に示すように、筒状部12の両端における接合面の中央部には、一方に接合凸部52、他方に接合凹部53が、それぞれ、円環状に連続して設けられており、両者は隣接するポート部材1の接合面を接合する際に嵌合されるようになっている。
【0117】
次に、ロータリーバルブアッシー2のロータリーバルブ31の製造方法について説明する。ロータリーバルブ31は上述したように、例えば、ポリアミド樹脂とガラス繊維との混合材料、またはアルミニウムが用いられる。
【0118】
そこで、上記混合材料をロータリーバルブ31に使用する場合、その製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱流動化させた混合材料をダイを通して連続的に押出すことにより成形する押出成形を好適に用いる。なお、本発明のロータリーバルブ31の成形方法は、押出成形以外にも、射出成形等が挙げられる。
【0119】
また、アルミニウムをロータリーバルブ31に使用する場合であっても、その製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、該ロータリーバルブ31の外形の穴型をもつダイスにアルミニウム素材をとおし、引き抜くことによって、このアルミニウム素材を加工する引き抜き加工が好適である。また、ロータリーバルブ31に設けられるバルブ開口部35は、例えば、プレス加工によって、該ロータリーバルブ31を打ち抜くことで形成される。
【0120】
次に、ロータリーバルブアッシー2のシール部材30の製造方法について説明する。このシール部材30の製造方法は、自己潤滑性を持つ樹脂を成形できる方法であれば特に限定されるものではない。従って、押出成形・射出成形等の様々な方法を用いることができる。
【0121】
上述のように、ロータリーバルブ31・シール部材30を形成した後、シール部材30をロータリーバルブ31に嵌合させるとともに、蓋部材36・軸37を取り付けて、ロータリーバルブアッシー2を形成する。
【0122】
そして、RV方式インテークマニホールドの製造方法では、例えば、図1に示すように、上記インテークマニホールドにスロットルボディー取付用パイプ部材3をチャンバー室の開口の一方に接合して、さらに、シリンダヘッド取り付け用板部材4をパイプ部11の開口に接合する。その後、上記ロータリーバルブアッシー2を、上記チャンバー室の他方の開口から挿入して、Oリング5・バルブカバー6を組み付けることで、上記RV方式インテークマニホールドが完成する。
【0123】
なお、ポート部材1、スロットルボディー取り付け用パイプ部材3、シリンダヘッド取り付け用板部材4、およびバルブカバー6を接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、バイブレーション溶着法、レーザー溶着法、接着剤を用いる方法、ボルトを用いて締結する方法、爪嵌合による方法等が挙げられる。
【0124】
以上のように、本発明のRV方式インテークマニホールドにおけるインテークマニホールドのチャンバー室は、一つのパイプ部11とこのパイプ部11の一端が外壁面に連結された筒状部12とを含むポート部材1を複数個接合した筒状体として構成されるものである。
【0125】
すなわち、インテークマニホールドは、ポート部材1に分割されるため、スライド機構を用いた製造方法に比べて小さな金型を用いて製造することができる。従って、RV方式インテークマニホールドの生産数が少ない場合であっても、上記インテークマニホールドの金型費を抑制し、製造コストを削減することができる。
【0126】
また、スライド機構を用いることなく上記インテークマニホールドを製造するため、上記複雑な嵌合構造をした仕切り板を用いる必要がない。そのため、パイプ部11の軸方向に対する断面の形状を吸気効率の高い形状(真円形状)に形成できる。その上、金型の形状によって、パイプ部11の長さや曲げ方(曲率)を任意に設計できる。つまり、パイプ長・曲率の設計の自由度が向上する。
【0127】
なお、両半割体10・10のパイプ部11・11の断面形状を半円形状としておくと、これらの半割体10・10を接合した際、パイプ部11の断面形状を真円形状にできる。そのため、吸気効率を理論値まで向上させたRV方式インテークマニホールドを容易に形成できる。
【0128】
また、従来のインテークマニホールド(図15参照)では、外周に鍔状通路壁(溝103)を備えた内筒102を一体的に樹脂成形している。そのため、この内筒102に中空を設けると、溝103の湾曲部と内筒102の内壁との間の溝部肉厚領域105が、溝103の壁部同士の間の壁部肉厚領域106よりも厚くなっていた。
【0129】
しかし、本発明では、RV方式インテークマニホールドは、半割体10を接合させて形成されるため、この半割体10の肉厚を略一定の肉厚に設定することができる。そのため、半割体10の形成過程における冷却工程において、該半割体10を一様に冷却することができ、歪み等を生じさせない。従って、高品質なRV方式インテークマニホールドを形成できる。
【0130】
また、例えば、エンジンの特性によって、パイプ部11が長くなる場合であっても、該パイプ部11を筒状部12の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部11上にさらにとり巻くように配置することができる。そのため、上記パイプ部11と上記筒状部12との間に隙間を作ることなく形成できるため、RV方式インテークマニホールドをよりコンパクトにすることができる。
【0131】
また、インテークマニホールドのパイプ部11が、空気を流すためのチャンバー開口部13を複数(チャンバー開口部13a・13b)備えている場合、このパイプ部11は、低速流路21・高速流路22・合流流路23を構成する。そして、ロータリーバルブアッシー2の回転によって、空気は、低速流路21→合流流路23→エンジンと流れる場合、高速流路22→合流流路23→エンジンと流れる場合、または両方の流路21・22→合流流路23→エンジンと流れる場合が生じることになる。つまり、空気の流れる距離(流路長)を変更できる。そのため、吸気慣性効果を利用して吸気の充填効率を高め、エンジン出力を向上させることができる。
【0132】
なお、上記の吸気慣性効果とは、吸気の持つ慣性を利用した作用で、例えば、チャンバー開口部13bからの吸気が閉じはじめると、それまで流れていた空気が該チャンバー開口部13bでせき止められるため、空気の慣性により圧力が高まる。そのときに生じる高い圧力は、圧力波としてパイプ部11内を伝わりチャンバー開口部13aの近くの圧力を高めて、エンジンに空気を押し込む効果のことである。
【0133】
また、このロータリーバルブアッシー2の回転によって、上記のように流路を変更しながらも空気をエンジンに常に供給することができる。例えば、バルブ開口部35aがチャンバー開口部13aを一部塞ぐようになると、バルブ開口部35bとチャンバー開口部13bとが一部連通するように回転するようになっている。そのため、エンジンに空気が供給されない時間は存在しないことになり、常に空気をエンジンに供給することができる。従って、吸気効率の面で好ましい。
【0134】
なお、本実施の形態においては、バルブ開口部35が2つ(35a・35b)設けられた場合について説明しているが、このバルブ開口部35が1つであっても同じ効果を得ることができる。
【0135】
また、ロータリーバルブアッシー2は、シール部材30のシール開口部32が、ロータリーバルブ31のバルブ開口部35に嵌合した状態で取り付けられている(バルブシールフローティング構造で取り付けられている)。そのため、このシール部材30は、上記ロータリーバルブ31と上記チャンバー室の内壁との隙間への空気の漏れを防止することができる。その上、シール部材30は自己潤滑性を有しているため、ロータリーバルブアッシー2は滑らかに(スムーズに)、チャンバー室内を回転するようにできる。
【0136】
また、接合するポート部材1の数を変化させることにより、パイプ部11の数の異なるインテークマニホールドが得られるため、エンジンの各々のシリンダ毎の排気量が略同一であれば、気筒数の異なるエンジンに使用されるRV方式インテークマニホールドを製造することができる。
【0137】
また、上記ポート部材1を共通部材として用いると、気筒数の異なるエンジンに使用されるインテークマニホールドを製造することができるため、RV方式インテークマニホールドの製造コストを削減することができる。
【0138】
なお、本実施の形態においては、ポート部材1を3個接合して直列3気筒内燃エンジンに適用するRV方式インテークマニホールドとしているが、ポート部材1の数は、特にこれに限定するものでなく、任意の数とすることができる。
【0139】
また、本発明を以下のインテークマニホールドとして表現することもできる。
【0140】
インテークマニホールドは、一つの吸気パイプに、チャンバーの一部が一体化された吸気パイプ部材が複数連結されていて、前記各吸気パイプは、一端がチャンバーと第1の吸気孔で繋がっていて、吸気パイプの他端は、エンジンのシリンダヘッドに連結板を介して連結されているようになっており、各吸気パイプは、チャンバーと連結されている第2の吸気孔が設けられていて、前記チャンバーの内側に回動(摺動)可能な筒状のロータリーバルブが挿入され、該ロータリーバルブの側壁には、各吸気パイプ毎に設けた上記第1の吸気孔と第2の吸気孔とに相対する位置に連通する孔が少なくとも各一つあって、該ロータリーバルブを回動(摺動)させることにより第1の吸気孔、または第2の吸気孔のどちらかを開口させてチャンバーと吸気パイプを連通させることを可能にすることにより、吸気エアーの流路長を可変することができるものであってもよい。
【0141】
また、インテークマニホールドは、上記のロータリーバルブの側壁開口部にエアー漏れを防止するリング状のシール部材を挿入しているものであってもよい。
【0142】
【発明の効果】
以上のように、本発明の可変吸気インテークマニホールドは、スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、上記チャンバー部の内部と多気筒内燃エンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有し、かつ、上記チャンバー部には、上記パイプ部と連通するチャンバー開口部が上記パイプ部毎に複数設けられるとともに、上記パイプ部毎に上記チャンバー開口部を選択的に連通させるロータリーバルブが挿設されたものであり、上記チャンバー部は、一つの上記パイプ部と、このパイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含む構成である。
【0143】
これによると、チャンバー部は、一つのパイプ部と該パイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含んで構成されている。すなわち、上記可変吸気インテークマニホールドでは、チャンバー部およびパイプ部は上記ポート部材に分割されている。そのため、上記のチャンバー部およびパイプ部は、小型で製作費の安い金型を用いて形成したポート部材を接合することによって、製造することができるという効果を奏する。
【0144】
また、接合するポート部材の数を変化させることにより、パイプ部の数の異なるインテークマニホールドが得られるため、エンジンの各々のシリンダ毎の排気量が略同一であれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドを製造することができるという効果を奏する。
【0145】
さらに、上記ポート部材を共通部材として用いれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部を製造することができる。従って、複数種の可変吸気インテークマニホールドの製造コストを全体として削減することができるという効果を奏する。
【0146】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記ポート部材は、上記筒状部の軸方向に対して垂直に半割された半割体を接合して構成されていることが好ましい。
【0147】
これによると、従来のスライド機構を用いることなく可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部およびパイプ部を成形することができる。そのため、複雑な嵌合構造をした仕切り板を用いる必要がない。これにより、パイプ部の軸方向に対する断面の形状を、吸気効率の高い形状(例えば、真円形状)にして形成できる。その上、この半割体の金型形状によって、パイプ部の長さや曲げ方(曲率)を任意に設計できる。つまり、パイプ部の長さや曲率等の設計の自由度が向上するという効果を奏する。
【0148】
また、半割体の肉厚を略一定にできる。そのため、半割体の形成過程における冷却工程において、半割体を一様に冷却できるため、歪み等が生じない。従って、高品質な可変吸気インテークマニホールドを形成できるという効果を奏する。
【0149】
また、両半割体のパイプ部の断面を半円形状としておくと、これらの半割体を接合した際、パイプ部の断面を真円形状にできる。すなわち、吸気効率を理論値にまで向上させた可変吸気インテークマニホールドを形成することが可能になるという効果を奏する。
【0150】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記パイプ部が、上記チャンバー部の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部上をさらにとり巻くように延びて形成されていることが好ましい。
【0151】
これによると、例えば、エンジンの特性によって、パイプ部が長くなる場合であっても、該パイプ部をチャンバー部の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部上にさらにとり巻くように配置することができる。そのため、上記パイプ部を上記チャンバー部との間に隙間を作ることなく形成でき、可変吸気インテークマニホールドをよりコンパクトにすることができるという効果を奏する。
【0152】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記ロータリーバルブは、1本のパイプ部毎に上記チャンバー開口部の一つを閉じはじめると、他のチャンバー開口部を連通させるバルブ開口部を備えていることが好ましい。
【0153】
これによると、チャンバー開口部を切り換える過程において、常に空気をエンジンに供給することができる。そのため、エンジンに空気の供給されない時間が存在しなくなり、吸気効率が優れているという効果を奏する。
【0154】
また、一方のパイプ開口部から流れる空気と、他方のパイプ開口部から流れる空気とは、パイプ部に流れる距離が異なってくる。つまり、空気の流れる距離を変更できる(流路長が可変できる)。そのため、吸気慣性効果を利用して、エンジン出力を向上させることができるという効果を奏する。
【0155】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドでは、上記構成に加えて、上記ロータリーバルブは、上記バルブ開口部に上記チャンバー部の内壁に当接して、上記ロータリーバルブと上記チャンバー部の内壁との隙間をシールするシール部材を有することが好ましい。
【0156】
これによると、シール部材が、上記ロータリーバルブと上記チャンバー部の内壁との隙間を封止する。そのため、上記の隙間からの空気の漏れを防止するという効果を奏する。
【0157】
本発明の可変吸気インテークマニホールドの製造方法は、スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、上記チャンバー部の内部と多気筒内燃エンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有し、かつ、上記チャンバー部には、上記パイプ部と連通するチャンバー開口部が上記パイプ部毎に複数設けられるとともに、上記パイプ部毎に上記チャンバー開口部を選択的に連通させるロータリーバルブが挿設されている可変吸気インテークマニホールドの製造方法において、一つの上記パイプ部と、このパイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合して上記チャンバー部を形成するチャンバー部形成工程を含む構成である。
【0158】
これによると、チャンバー部は、一つのパイプ部と該パイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含む構造である。すなわち、上記可変吸気インテークマニホールドでは、チャンバー部およびパイプ部は上記ポート部材に分割されている。そのため、上記方法によれば、チャンバー部およびパイプ部を、小型で製作費の安い金型を用いて形成したポート部材を接合することによって、製造することができる。つまり、生産数が少ない場合であっても、金型費を抑制し、可変吸気インテークマニホールドの製造コストを削減することができるという効果を奏する。
【0159】
また、接合するポート部材の数を変化させることにより、パイプ部の数の異なるインテークマニホールドが得られるため、エンジンの各々のシリンダ毎の排気量が略同一であれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドを製造することができるという効果を奏する。
【0160】
また、上記ポート部材を共通部材として用いれば、気筒数の異なるエンジンに使用される可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部を製造することができる。従って、複数種の可変吸気インテークマニホールドの製造コストを全体として削減することができるという効果を奏する。
【0161】
また、本発明の可変吸気インテークマニホールドの製造方法では、上記筒状部の軸方向に対して、垂直に半割された半割体を接合して上記ポート部材を形成するポート部材形成工程をさらに含むことが好ましい。
【0162】
これによると、従来のスライド機構を用いることなく可変吸気インテークマニホールドのチャンバー部およびパイプ部を成形することができる。そのため、複雑な嵌合構造をした仕切り板を用いる必要がない。これにより、パイプ部の軸方向に対する断面の形状を、吸気効率の高い形状(例えば、真円形状)にして形成できる。その上、この半割体の金型形状によって、パイプ部の長さや曲げ方(曲率)を任意に設計できる。つまり、パイプ部の長さや曲率等の設計の自由度が向上するという効果を奏する。
【0163】
また、半割体の肉厚を略一定にできる。そのため、半割体の形成過程における冷却工程において、半割体を一様に冷却できるため、歪み等が生じない。従って、高品質な可変吸気インテークマニホールドを形成できるという効果を奏する。
【0164】
また、両半割体のパイプ部の断面を半円形状としておくと、これらの半割体を接合した際、パイプ部の断面を真円形状にできる。すなわち、吸気効率を理論値にまで向上させた可変吸気インテークマニホールドを形成することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るロータリーバルブ方式インテークマニホールドの分解された状態による説明図である。
【図2】図1のロータリーバルブ方式インテークマニホールドを構成するインテークマニホールドのポート部材の構造を示す側面図である。
【図3】図2のポート部材の他の一例を示す側面図である。
【図4】図2のポート部材のA−B線矢視断面図である。
【図5】図2のポート部材のA−C線矢視断面図である。
【図6】図2のポート部材のA−D線矢視断面図である。
【図7】図2のポート部材のA−E線矢視断面図である。
【図8】図1のロータリーバルブ方式インテークマニホールドを構成するロータリーバルブアッシーのロータリーバルブを示す説明図である。
【図9】図1のロータリーバルブ方式インテークマニホールドを構成するロータリーバルブに取り付けるシール部材を示す説明図である。
【図10】図9に示すシール部材の詳細な説明図である。
【図11】チャンバー部に挿設したロータリーバルブアッシーのシール部材の取り付け状態を示す説明図である。
【図12】シール部材を取り付けたロータリーバルブが、チャンバー部に挿設された状態でのチャンバー開口部の状態を示す説明図である。
【図13】ロータリーバルブアッシーを構成するロータリーバルブ・蓋部材・軸が分離した状態を示す説明図である。
【図14】図4〜図7のポート部材のF−F’線矢視断面図である。
【図15】従来のインテークマニホールドを示す断面図である。
【符号の説明】
1a〜1c ポート部材
2 ロータリーバルブアッシー
3 スロットルボディー取付用パイプ部材(筒状体、チャンバー部)
6 バルブカバー(チャンバー部)
7 吸気口
8 チャンバー本体部(筒状体、チャンバー部)
10 半割体
11 パイプ部
12 筒状部(筒状体、チャンバー部)
13a、13b チャンバー開口部
14 第1隔壁
15 第2隔壁
16a、16b 分割隔壁
21 低速流路
22 高速流路
23 合流流路
30 シール部材
31 ロータリーバルブ
32a、32b シール開口部
33a、33b シール取付部
34a、34b シール補強部
35a、35b バルブ開口部
91 スロットルボディー

Claims (7)

  1. スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、上記チャンバー部の内部と多気筒内燃エンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有し、かつ、上記チャンバー部には、上記パイプ部と連通するチャンバー開口部が上記パイプ部毎に複数設けられるとともに、上記パイプ部毎に上記チャンバー開口部を選択的に連通させるロータリーバルブが挿設されている可変吸気インテークマニホールドにおいて、
    上記チャンバー部は、一つの上記パイプ部と、このパイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合した筒状体を含んで構成されていることを特徴とする可変吸気インテークマニホールド。
  2. 上記ポート部材は、上記筒状部の軸方向に対して垂直に半割された半割体を接合して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変吸気インテークマニホールド。
  3. 上記パイプ部は、上記チャンバー部の外壁面に沿ってとり巻くように湾曲し、かつ、その湾曲したパイプ部上をさらにとり巻くように延びて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の可変吸気インテークマニホールド。
  4. 上記ロータリーバルブは、1本のパイプ部毎に、上記チャンバー開口部の一つを閉じはじめると、他のチャンバー開口部を連通させるバルブ開口部を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可変吸気インテークマニホールド。
  5. 上記ロータリーバルブは、上記バルブ開口部に、上記チャンバー部の内壁に当接して上記ロータリーバルブと上記チャンバー部の内壁との隙間をシールするシール部材を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の可変吸気インテークマニホールド。
  6. スロットルボディーにつながる吸気口を有するチャンバー部と、上記チャンバー部の内部と多気筒内燃エンジンの各気筒とを連通する複数のパイプ部とを有し、かつ、上記チャンバー部には、上記パイプ部と連通するチャンバー開口部が上記パイプ部毎に複数設けられるとともに、上記パイプ部毎に上記チャンバー開口部を選択的に連通させるロータリーバルブが挿設されている可変吸気インテークマニホールドの製造方法において、
    一つの上記パイプ部と、このパイプ部の一端が外壁面に連結された筒状部とを含んでなるポート部材を複数個接合して上記チャンバー部を形成するチャンバー部形成工程を含むことを特徴とする可変吸気インテークマニホールドの製造方法。
  7. 上記筒状部の軸方向に対して、垂直に半割された半割体を接合して上記ポート部材を形成するポート部材形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の可変吸気インテークマニホールドの製造方法。
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