JP3792542B2 - 転動部品および動力伝達部品 - Google Patents

転動部品および動力伝達部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波焼入れを行なって製造される炭素鋼からなる転動部品および動力伝達部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、転動部品の代表品であるころがり軸受には、SUJ2のような高炭素クロム軸受鋼やSCM420のような肌焼鋼の浸炭品が多く使われてきた。これらは充分な信頼性をもつ軸受用鋼であるが、CrやMoなどの高価な元素を含むので素材が高価であり、稀少資源の消費にも繋がるので避けることが望ましい。とくにSCM420などの肌焼鋼は、熱処理において浸炭という長時間の加熱処理が必要であり、熱エネルギの消費も大きかった。
【0003】
これに対し、近年、自動車の足回り軸受や等速ジョイント(CVJ)、ボールねじなどの転がりまたは転がりとともにすべりを伴う転動部品などには、S53Cなどの中炭素鋼が、転動部位のみ高周波焼入れして用いられている。中炭素鋼は、上記の軸受鋼や肌焼鋼に比べると合金元素の含有率が少なく、安価で良好な加工性を有するが、軸受にとって重要な特性である転動寿命が劣る欠点を有する。
【0004】
上記欠点を克服するため、これまでは部材を大型化することにより、負荷である面圧を軽減し、問題なく使用されてきた。しかし、今後、省エネルギ化、コンパクト化により、これらの部材に関しても、高い面圧が作用するようになるため、より長い転動疲労寿命が要求されるようになっている。さらに、CVJやボールねじでは、転動部位において、転がりに加えてすべりを伴うことがあり、そのような条件下における長寿命化も要求されている。また、コンパクト化されることにより、部材の薄肉化が必要になり、非硬化部である素材自体の疲労強度の向上も要求されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、省エネルギ化、コンパクト化により、転動部位はさらに過酷な条件下で使用されるようになってきており、転動寿命が優れた新たな材料が必要になってきている。上述のように、CVJやボールねじでは、転動部位において、転がりに加えてすべりを伴うことがある。そのため、純粋な転がり条件下で長寿命であるだけでなく、すべりが影響する条件下でも寿命が向上することが必要である。したがって、上記の転動寿命とは、純粋な転がり条件下だけでなく、転がりに加えてすべりを伴う条件下の疲労寿命も含むものである。
【0006】
さらに、上記の要求とともに、コンパクト化に伴う部材の薄肉化により、相対的に大きな負荷を許容する必要があるため、非硬化部における素材自体の疲労強度向上も要求されるようになってきている。素材コストを上昇させずに、このような素材自体の長寿命化を達成するためには、従来用いられてきた中炭素鋼に対し、C、Si、Mnなどの安価な合金元素の含有率を高めることが有効である。すなわち、上記の安価な合金元素の増量により、素材強度も高くなるので、素材自体の疲労強度も向上する。しかし、素材が硬くなりすぎると加工性が劣化してしまう。本発明が対象としている転動部品は、複雑な形状をしていたり、ねじが切られたりするので、素材の加工性も重要な要素である。素材の硬さは鍛造成形後に調質処理などを施して調整することができるが、素材コスト低減のためには、上記調質処理を省いて非調質のままで加工することが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、高価な元素を用いず、C、Si、Mnという安価な元素の最適化によって、軸受鋼を用いた転動部品と同等の特性を有する転動部品およびその転動部品を用いた動力伝達部品を提供することを目的とする。上記の特性とは次のものをさす。
(a)高周波焼入れした硬化部である転動部位:
(a1)純転がりの転動寿命
(a2)すべりを伴う転がり転動寿命
(b)非硬化部:
(b1)一般的な疲労特性である回転疲労の疲労限度
(b2)加工性
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の転動部品は、合金元素として、C:0.5〜0.7wt%、Si:0.6〜1.2wt%、Mn:0.6〜1.0wt%を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、C,Si,Mnの含有率が式(1)および式(2)を満たす鋼が成形加工されてなり、焼入れが実施されることにより硬化された部分である硬化部と、焼入れの効果が及ばない部分である非硬化部とを備えている(請求項1)。
【0009】
L≧5000 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ただし、Lは純転がり条件下での寿命の実測値から求めた回帰式の寿命予測値であり、L=11271(Cwt%)+5796(Siwt%)+2665(Mnwt%)-6955、である。
【0010】
23≦H≦25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ただし、Hは素材硬度の実測値から求めた素材硬度の予測値であり、H=48.0(Cwt%)+5.7(Siwt%)+11.5(Mnwt%)-16.2、である。
【0011】
上記の構成において、化学成分の範囲を設定した理由は次の通りである。
Cは、高周波焼入れで所定値以上の硬度を確保でき、一定量のSiやMnを含む条件下で、大きな荷重条件での転動寿命を確保するのに必要な炭素量が0.5wt%(以下、%)以上である。このため、Cの下限を0.5%とした。一方、Cは炭化物を形成し、安定して硬度を確保するには多いほうがよいが、0.7%を超えると素材硬度が高くなりすぎ加工性が劣化してしまう。また、成分偏析防止のための高温拡散熱処理(ソーキング)や、炭化物球状化処理などの特別な熱処理が必要となり、コストアップに繋がるので、0.7%以下とする。
【0012】
Siは、0.6%含むことにより、素地を強化して転動寿命を増大させ、また高温にさらされた場合に軟化を抑制する。さらに、大きな荷重の繰り返しによる組織変化や、き裂発生を送らせる作用がある。また、後述するMnほど素材硬度の上昇に寄与しない。一方、1.2%を超えると、冷間加工性および熱間加工性が劣化するので、1.2%以下とした。
【0013】
Mnは、0.6%以上含むことにより、焼入性を向上し、鋼中に固溶して鋼を強靭化するとともに、転動疲労寿命に有益な残留オーステナイトを増やす。しかし、MnはSiと同様に、素地を強化するほかに、炭化物中にも入り炭化物の硬度を向上させるので素材硬度を上昇させる。このため、1.0%を超えると、加工性や被削性が劣化する。このため、0.6〜1.0%の範囲とする。
【0014】
上記寿命の予測値を5000以上とするのは、高周波焼入れした硬化部の転動疲労寿命L10を5000×104以上とするために必要である。
【0015】
また、素材硬度の予測値Hは、23以上であれば、非硬化部の非調質状態の部分の回転曲げ疲労強度を400MPa以上とすることができる。しかし、Hが25を超えると硬くなりすぎ、加工性が劣化するので、25以下とする。上述したように、これら硬度は、低温域の焼戻し処理ではほとんど変化せず、高周波焼入れの効果が及ばない部分であって、低温域で焼戻しが行なわれた材料の硬度であってもよい。
【0016】
上記本発明の転動部品においては、焼入れは、高周波焼入れにより実施することができる(請求項2)。
【0017】
高周波焼入れによって硬化部を形成することにより、転動部位において転動疲労寿命およびすべりを伴う転動疲労寿命に優れた転動部品を得ることができる。
【0018】
上記本発明の転動部品は、非硬化部の材料の回転曲げ疲労試験における10回疲労限度が、400MPa以上であることが望ましい(請求項3)。
【0019】
この構成により、従来の中炭素鋼より平均30%以上高い疲労強度を得ることができ、今後の過酷な使用条件、たとえば、高荷重化、高トルク化、コンパクト化に応えることが可能となる。なお、高周波焼入れの効果が及ばない部分は、(a)素材(成形加工も高周波焼入れも行なわない前の状態)、(b)高周波焼入れおよび焼戻しを行なった後の高周波焼入れの効果が及ばない部分、(c)高周波焼入れを行なった後、焼戻しを行なう前の高周波焼入れの効果が及ばない部分、などが対象となる。転動部品において高周波焼入れ後に行なう焼戻しは、350℃程度以下の低温域で行なわれるので、硬度にも疲労特性にもほとんど影響しない。
【0020】
上記本発明の転動部品は、硬化部である転動部位において、転がり疲労試験における転動寿命L10を5000×104回以上とし、すべりを伴う転がりすべり疲労試験における寿命をS53Cの同じ試験における寿命よりも長くすることができる(請求項4)。
【0021】
この構成により、すべりを伴う転動応力が加わる場合でも、充分耐久性のある転動部品を提供することができる。
【0022】
上記のいずれかの転動部品を備える動力伝達部品は、良好な加工性を備え、転動寿命およびすべりを伴う転動寿命に優れ、また非硬化部の疲労特性にも優れるため、高い耐久性を有し、かつ安価となる。
【0023】
【実施例】
本発明の転動部品が用いられるハブユニットを図1および図2に示す。図1は、車輪軸受と等速ジョイントとを合体したハブジョイントである第3世代のハブユニット(H/U)の模式図である。また、図2は、それより進化した第4世代のH/Uの模式図である。図1に示す第3世代H/Uは、内輪レース2の一方がハブ輪4と一体になっており、もう片方の内輪レース5はハブ輪4に加締められる。外輪3は、直接、ナックルに固定される構造になっている。この第3世代H/Uでは、等速ジョイント1は独立した部品となっている。一方、図2に示す第4世代H/Uでは、さらにコンパクトな構造となっている。内輪レースの片方5がハブ輪4と一体なのは第3世代と同じであるが、もう一方の内輪レースはジョイント外輪3と一体となっている。したがって、その部分は、(イ)軸受レース部としての転がり疲労寿命および(ロ)ジョイント部としての、すべりを伴いながらの転がり揺動運動に対する寿命、の両方が要求される。
【0024】
表1に示すように、本発明の実施例として、A1〜A5の化学組成を有する鋼を用いた。また、比較例として、B1〜B18の本発明の範囲を外れる化学成分を有する鋼を用意した。比較例の鋼は、C,Si,Mnの範囲が本発明の範囲内に入っていても、指標LおよびHのいずれかが本発明の範囲を外れている。これらの鋼を素材として、(a)硬化深さ約2mmの高周波焼入れを施した転がり疲労試験片、(b)転がりすべり疲労試験片および(c)非調質状態の素材硬さを模擬する実験に用いる試験片を用意した。なお、備考の欄に記載のように、比較例のB1は従来の中炭素鋼S53Cであり、B18は軸受鋼SUJ2である。
【0025】
【表1】
Figure 0003792542
【0026】
I.試験条件
(1)転がり疲労試験
本発明の実施例の鋼A1〜A5については、高周波焼入れした後、次いで焼戻しした後、いずれの場合も硬度HRC59以上が得られた。したがって、従来の中炭素鋼S53Cに比べて安定して高い硬度が得られるということができる。上述のように、従来の中炭素鋼の欠点は、軸受鋼に比較して転動寿命が劣ることである。将来予測される過酷な条件下での使用を考えれば、軸受鋼並みの転動寿命を持つことが望ましい。この転がり疲労試験は、純粋な転がり条件下における転動寿命を評価するための試験である。試験条件は次の通りである。この試験では、試験のn数を15個とし、転動寿命をL10寿命で評価した。
・試験片寸法:外径12mm×長さ22mm
・相手鋼球寸法:直径19.05mm
・最大接触面圧Pmax:5.88GPa
・負荷速度:46240回/分
(2)転がりすべり疲労試験
上記転がり疲労試験と同様に、高周波焼入れし、焼戻しを行なった後、いずれも硬度HRC59以上が得られた。上述したように、従来の中炭素鋼S53Cに比べて安定して高い硬度が得られることが確認された。CVJやボールねじでは、転動部位において転がりに加え、すべりを伴うことがある。そのため、純粋な転がり条件下で長寿命になるだけでなく、すべりが影響する条件下でも寿命が向上することが必要である。転がりすべり疲労試験は、転がりに加え、すべりを伴う条件下での転動寿命を評価するための2円筒型試験である。試験条件は次のとおりである。この試験では、試験のn数を4個とし、平均寿命で評価した。
・対象試験片:外径40mm×幅12mm、外径副曲率なし(ストレート)
・相手試験片:外径40mm×幅12mm、外径副曲率60mm、材質は軸受鋼SUJ2
・最大接触面圧Pmax:3.5GPa
・回転数:対象試験片1800rpm/相手試験片2000rpm
(3)非調質状態の素材硬度を模擬する実験
素材から直径30mm×長さ30mmの円筒を切りだし、試験片とした。非調質状態とは、たとえば、鍛造後に空冷されたままの状態をさす。その非調質状態での硬度が高すぎると、後の工程で複雑な切削加工や孔あけ加工を行う場合、工具の寿命が短くなったり、曲げ加工などにおいて割れが発生したりする。一方、軟らかすぎると充分な疲労強度が得られず、将来予測される過酷な条件下で使用することは困難である。具体的には、加工性の面からはHRC25以下に抑えることが望ましい。
【0027】
一方、疲労強度としては、今後の高荷重化、高トルク化、コンパクト化により、非焼入硬化部に大きな負荷がかかることになる。このため、従来の中炭素鋼に対して平均で30%以上大きい疲労強度を有することが望ましい。現用の中炭素鋼の回転曲げ疲労限度(107回疲労強度)は、平均で300MPa程度であることから、400MPa以上必要ということになる。従来から、回転曲げ疲労限度σwbと硬度(HV)との間にσwb=1.54HVなる関係が知られている。この式にσwb=400MPaを代入して、必要な硬度を求めると、HRC23となる。したがって、疲労強度の面からは、HRC23以上の硬度を有することが望ましい。そこで、非調質状態の素材硬度を模擬するため、試験片を1200℃に1時間保持した後、直ちに大気中に出して自然空冷し、試験片の中心付近の硬度を測定する実験を行なった。
II.試験結果
表2に、上記の(1)転がり疲労試験、(2)転がりすべり疲労試験、(3)非調質状態の素材硬度を模擬する試験、の各結果を示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003792542
【0029】
純転がり条件下でのL10(10%寿命)の実測値は、標準S53C(比較例B1)が約2600×104、軸受鋼SUJ2(比較例B18)が約7300×104であり、S53CはSUJ2の半分以下であった。本発明に係る鋼は、安価な化学成分のみによる構成であることを考えると、軸受鋼SUJ2には及ばないまでも、少なくともS53Cの2倍程度である、5000×104以上のL10を有することが望ましい。本発明例のA1〜A5はいずれも5000×104以上のL10を有しており、満足すべきL10を有していることが分る。
【0030】
しかも、転がりすべり条件下での平均寿命は、いずれもS53Cに比べると1.5倍以上あり、SUJ2よりも優れている。その上、本発明例の鋼は、いずれも非調質状態を模擬した素材硬度の実測値が、23≦HRC≦25の範囲にある。これに対して、比較例の鋼については、B2〜B9が5000×104以上のL10を示している。このうち、B4,B7,B8では、転がりすべり寿命もS53Cの1.5倍以上ある。しかし、これら比較例の鋼は、いずれも素材硬度の実測値が23≦HRC≦25範囲から外れている。なお、B2,B6は、転がり寿命はS53Cに比べてかなり優れるにもかかわらず、転がりすべり寿命はS53C以下である。化学成分的に見ると、Siが多く、Mnが少ない構成では、転がりすべり寿命は劣る傾向がある。
【0031】
純転がり条件下での寿命の実測値および素材硬度の実測値について、それぞれ、化学成分C,Si,Mnとの相関を求めるために重回帰分析を行なった。この重回帰分析で求められた重回帰式が、式(1)および(2)に示す予測式である。表2に示した純転がり条件下での寿命の予測値Lと素材硬度の予測値Hとは、それぞれ、式(A)および(B)に鋼の化学成分を代入して求めた値である。ただし、%はwt%を表わす。
L=11271(C%)+5796(Si%)+2665(Mn%)-6955・・・・(A)
H=48.0(C%)+5.7(Si%)+11.5(Mn%)-16.2・・・・・(B)
図3および図4は、それぞれ純転がり疲労寿命および素材硬度の予測式と実測値を示す図である。図3および図4より、実測値と予測値との間に非常に良好な相関があることが分る。すなわち、化学成分C,Si,Mnの含有率が分れば、純転がり疲労寿命および素材硬度ともに高精度で予測可能であることを意味している。
【0032】
本発明では、鋼の化学成分だけでなく、式(A)および式(B)から求められる予測値LおよびHが、次の条件を満たす必要がある。
【0033】
L≧5000 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
23≦H≦25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
化学成分C,Si,Mnの範囲とともに、これらの化学成分によって定まる予測値LおよびHが、上記の式(1),(2)を満たすことにより、本発明が対象とする転動部品は必要とされる特性をすべて備えることになる。
【0034】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら実施の形態に限定されない。たとえば、次のものが本発明の範囲に含まれる。
(a)本発明の転動部品は、最も広くは、高周波焼入れされていない成形加工品であってもよい。
(b)高周波焼入れ後に、成形加工品全体に焼戻しが施されていても、本発明の範囲に含まれる。
【0035】
本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0036】
【発明の効果】
本発明の転動部品は、少なくとも合金元素として、質量%で、Cを0.5〜0.7%、Siを0.6〜1.2%、Mnを0.6〜1.0%含有し、かつ、C、Si、Mnの量をそれぞれの範囲内で適切に制御した鋼からなるので、高周波焼入れが施された転動部位は、従来の中炭素鋼では得られなかった軸受鋼に匹敵する転動寿命およびすべりを伴う転動寿命を有する。また、非調質のままでも非硬化部の素材自体の良好な加工性を維持することができ、かつ、平均で従来の中炭素鋼S53Cに比べて130%以上となる400MPa以上の回転曲げ疲労限度(107回疲労強度)を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の転動部品が用いられる、車輪軸受と等速ジョイントとが合体した第3世代H/Uの模式図である。
【図2】 本発明の転動部品が用いられる、車輪軸受と等速ジョイントとが合体した第4世代H/Uの模式図である。
【図3】 純転がりの転動疲労寿命L10の実測値と予測値との関係を示す図である。
【図4】 非調質状態の素材硬度の実測値と予測値との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 等速ジョイント、2 内輪レース、3 外輪、4 ハブ輪、5 内輪レース、6 車輪軸受。

Claims (3)

  1. 合金元素として、C:0.5〜0.7wt%、Si:0.6〜1.2wt%、Mn:0.6〜1.0wt%を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、C,Si,Mnの含有率が式(1)および式(2)を満たす鋼が成形加工されてなり、
    焼入れが実施されることにより硬化された部分である硬化部と、
    前記焼入れの効果が及ばない部分である非硬化部とを備えた、転動部品。
    L≧5000 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
    ただし、L=11271(C wt%)+5796(Si wt%)+2665(Mn wt%)−6955
    23≦H≦25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
    ただし、H=48.0(C wt%)+5.7(Si wt%)+11.5(Mn wt%)−16.2
  2. 前記焼入れは、高周波焼入れにより実施される、請求項1に記載の転動部品。
  3. 請求項1または2に記載の転動部品を備える動力伝達部品。
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