JP3791558B2 - カラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタやファクシミリや複写機等に用いられる電子写真方式による画像形成装置に関し、さらに詳しくは、複数色の画像を重畳して最終画像としてカラー画像を形成するカラー画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラー画像形成装置においては、一般に、感光体等の像担持体上に順次形成された複数色の画像を順次転写手段もしくは転写手段上に担持された転写材に重畳転写することにより、カラー画像を形成する。そのため、色重ねを行う場合に色ずれを防止することが非常に重要となっている。したがって、像担持体上の各色画像それぞれについて転写手段との先端位置合せを行う必要がある。
【0003】
しかしながら、従来のカラー画像形成装置においては、転写手段と潜像形成手段が非同期で制御されているために、転写手段もしくは転写手段上に担持される転写材の先端位置を検出するための同期信号(垂直同期信号)と潜像形成手段を制御するための同期信号(水平同期信号)との間に位相ずれが生じた場合、その位相ずれが色ずれとして生じてしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する方法として、特開平4−195071号公報には潜像形成手段の駆動源と転写手段の駆動源を共通の基準信号発生手段に基づいて制御する方法が開示されている。また、特開平2−282276号公報や特開平4−459号公報には、垂直同期信号と水平同期信号の位相差に基づいて潜像形成手段を、具体的には回転多面鏡を駆動するためのモータを制御する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平4−195071号公報に開示されているように、単に潜像形成手段の駆動源と転写手段の駆動源を共通の基準信号発生手段に基づいて制御するだけでは、垂直同期信号と水平同期信号の位相ずれを完全に防止することはできない。
【0006】
例えば、転写手段と転写手段の駆動源との間に滑りが生じる場合には、垂直同期信号と水平同期信号との間にはやはり位相ずれが生じてしまうという問題がある。この滑りは転写手段とその駆動源の駆動伝達にベルトを用いる場合等に生ずる。特に、転写手段として可撓性を有する無端ベルトを用いる場合には、転写ベルトと転写ベルトを駆動するローラとの間の滑りが直接的に位相ずれとして現れるために重要な問題となる。当然ながら、従来のカラー画像形成装置においても、転写手段と転写手段の駆動源との間に、特に画像形成中に、大きな滑りが生じるような場合は実用上問題となるため、そのような滑りを最小限にするように設計されてはいる。しかしながら、同一位置に重ねられるべきn色目の画像の走査線とn+1色目の画像の走査線が、転写手段と転写手段の駆動源との間の滑りにより、微小にずれて重ねられてしまうような、すなわち各色画像形成毎に画像後端の走査線において水平同期信号1周期分以下の微小な色ずれが生ずるような程度の滑りを機械的に防止するためには多大なコストを要する。一方、このような転写手段と転写手段の駆動源との間の滑りによる微小な色ずれは、同一の最終画像を形成する間に累積され、例えば、4色の画像を重ね合わせる場合、水平同期信号最大4周期分の色ずれを生じさせる。したがって、少なくとも、各色画像形成毎に画像先端位置で垂直同期信号と水平同期信号の位相ずれを補正し、両者の位相を合わせることが必要である。また、n色目の画像とn+1色目の画像の間の非画像形成領域(色間領域)において、転写手段と転写手段の駆動源との間に滑りが生じるような場合も同様である。
【0007】
さらに例えば、転写手段としてベルトを用いる場合には、転写手段として剛体の円筒状ドラムを用いる場合と比較すると、温度や湿度の影響によるベルトの伸縮が大きいため、環境の変動に伴い垂直同期信号と水平同期信号の位相ずれが生じ、やはり色ずれが生じるという問題がある。
【0008】
さらに、潜像形成手段の駆動源と転写手段の駆動源を共通の基準信号発生手段に基づいて制御するためには、当然、潜像形成手段と転写手段の一方の基準信号の周波数を他方に合わせなければならず、設計上問題となる。また、一般に潜像形成手段と転写手段のそれぞれの駆動源は隔たった位置に配置されるため、基準信号発生手段から潜像形成手段と転写手段までの信号伝達経路が長くなり、信号伝達経路上に雑信号が入り、両者の駆動が不安定になりやすいという問題がある。また、一般に潜像形成手段としては回転多面鏡が用いられるが、回転多面鏡の偏向面の向きと潜像形成手段の駆動源との基準信号の位相は必ずしも一致しない、すなわち色重ねの間で紙詰まり等により潜像形成手段が一時的に停止した等の場合には基準信号と水平同期信号の位相が潜像形成手段の一時停止前後でずれてしまうという問題がある。
【0009】
また、特開平2−282276号公報や特開平4−459号公報に開示されているように、垂直同期信号と水平同期信号の位相差に基づいて潜像形成手段の駆動源を制御する方法では、一般に回転多面鏡を駆動するためのモータは転写手段を駆動するためのモータと比較して極めて高い(1桁以上)周波数、回転数で駆動されるために、垂直同期信号と水平同期信号の位相ずれを補正するのに要する時間が長くなり、ひいては画像形成速度が遅くなるという問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラー画像形成装置は、上記の課題を解決するものであって、潜像形成手段に同期した信号を発生する第1の同期信号発生手段と、像担持体または/及び転写手段に同期した信号を発生する第2の同期信号発生手段と、を有する画像形成装置において、第1の同期信号発生手段から発生した信号と第2の同期信号発生手段から発生した信号との位相差を計測する計測手段と、計測手段により計測された位相差に基づき転写手段の駆動速度を制御する制御手段を有し、前記転写手段はベルト及び該ベルトを駆動するローラとを含み、前記制御手段は、2色目以降の画像形成時には、第1の同期信号発生手段から発生した信号と第2の同期信号発生手段から発生した信号の位相差が1色目とは異なる所定値となるように補正し、前記ベルトの速度切替時に生じる前記ベルトと前記ローラとの間の滑り量を見込んで、前記ローラの駆動速度を制御することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、制御手段が、各色画像毎に、前記ベルトの速度切替時の前後の速度差に基づいて滑り量をそれぞれに設定して前記ローラの駆動速度を制御することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、制御手段が、前記ベルト1周期当たりに発生する前記ベルトと前記ローラとの間の滑り量を見込んで制御することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づき本発明を詳しく説明する。
【0015】
図1は本発明の画像形成装置の駆動制御系を示す概略構成図である。
【0016】
水平同期検出器71は水平同期信号を発生し、垂直同期検出器40は垂直同期信号を発生する。
【0017】
計測手段100は水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する。
【0018】
制御手段101は計測手段100により計測された水平同期信号と垂直直同期信号の位相差に基づき転写手段102を、具体的には、転写手段の駆動速度を制御する。
【0019】
本発明の実施の一形態である画像形成装置は、図1に示される駆動制御系により、図2に示される構成の画像形成装置が制御されるものであって、さらに、図2に示される構成の画像形成装置の潜像形成手段としては、図3に示されるレーザー走査光学系が用いられている。
【0020】
さて、図1に示される本発明の画像形成装置の駆動制御系についてさらに詳しく説明する前に、まず、図2に示される画像形成装置の全体構成及び図3に示される潜像形成手段であるレーザー走査光学系について説明する。
【0021】
図2は本発明の画像形成装置の一実施例の全体構成を示す装置断面図であり、カラー画像記録が可能なプリンタ装置である。この実施例の概略動作を図2で説明する。
【0022】
図2において、潜像担持体である感光体1はニッケル電鋳管または表面にアルミ層をコーティングしたポリエチレンテレフタレート樹脂などの無端ベルト基材上に有機感光体を塗布して構成され、その内周に当接して矢印A方向に回転する感光体駆動ローラ2によって回転駆動される。尚、本実施例では、潜像担持体として、感光体駆動ローラ2によりベルト状の感光体1を駆動する構成を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、潜像担持体として、周知の感光体ドラムを用いることもできる。また、感光体駆動ローラ2の周長(潜像担持体として感光ドラムを用いる場合はその周長)は中間転写媒体16の周長の整数分の1であることが望ましい。
【0023】
感光体1の外周には、帯電手段として帯電ローラ3が配置され、図示しない高圧電源から約−1200Vの電圧が印加され、感光体1に当接回転しながら感光体1の表面を一様に帯電させる。ここで、帯電ローラ3の周長は感光体1の周長の約数となるように構成されている。尚、本実施例では帯電手段として帯電ローラ3を用いたが、コロナ帯電器を用いることも可能である。
【0024】
帯電手段によって表面が一様に帯電された感光体1は、潜像形成手段であるレーザー走査光学系4によって第1色目として例えばブラックの画像情報に応じて選択的に走査露光されることにより、ブラック用の静電潜像が形成される。
【0025】
ここで、本実施例において潜像形成手段として用いたレーザー走査光学系4について図3を用いて説明する。図3はレーザー走査光学系4の斜視図である。
【0026】
半導体レーザー11より射出されたレーザービームは、コリメータレンズ12により略平行なビーム断面形状に整形される。整形されたビームはシリンドリカルレンズ13によって、図示しないモータにより回転駆動される回転多面鏡14の偏向面15上に走査方向に平行な線像を結ぶよう結像する。回転多面鏡14により偏向された光束は、2枚のレンズ51a、51bで構成されfθ特性を有する走査レンズ51によって、集束ビームとなる。この偏向された集束ビームは折り返しミラー61で反射され方向を変え、被走査面上に所定のスポット形状に結像される。また、偏向されたビームは被走査面の走査に先立ち、同期検出用ミラー72で反射され、水平同期検出器71に入射し、走査毎の信号処理に必要な同期信号(水平同期信号)を発生する。これらの構成要素は、プラスチックで一体に成形された光学ベース91に固定されている。尚、本実施例では潜像形成手段としてレーザー走査光学系4を用いたが、LEDアレイまたは液晶シャッタ等の露光光学系等を用いることも可能である。
【0027】
さて、図2に戻り、本実施例の概略動作についてさらに説明する。
【0028】
レーザー走査光学系4の感光体回転方向下流側には、感光体1を感光体駆動ローラ2に当接させる方向に付勢する感光体補助ローラ5が配置され、感光体補助ローラ5からの駆動力を円滑に感光体1へ伝達すると同時に、現像装置の離接動作等によって感光体1上の露光位置がずれることを防止している。
【0029】
感光体補助ローラ5の感光体回転方向下流側には、現像剤としてそれぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのトナーを貯蔵し、感光体1に対して離接自在な現像装置6、7、8、9が配置されている。
【0030】
レーザー走査光学系4で形成されたブラック用の静電潜像は感光体1の矢印A方向への回転に伴い、予め二点鎖線位置から矢印B方向に移動して感光体1と圧接されたブラック現像装置6によって現像され、ブラックのトナー像が形成される。この時、他の色の現像装置7、8、9は感光体1から離間されている。
【0031】
現像装置の感光体回転方向下流側には、感光体1に隣接して中間転写媒体16が転写媒体ローラ17、18、19に掛け回されており、感光体1の周速度と同一速度で駆動されている。本実施例においては、図示しないハイブリッド型ステッピングモータを駆動源として感光体1及び中間転写媒体16を駆動している。具体的には、ステッピングモータは図示しないギア等による駆動伝達系により感光体駆動ローラ2と連結され、さらに感光体駆動ローラ2と転写媒体ローラ17または18の少なくとも一方とは図示しないギアで連結された構成として、感光体1及び中間転写媒体16を同期させて駆動している。
【0032】
尚、本実施例においては、感光体駆動ローラ2と転写媒体ローラ17または18の一方を機械的に連結する構成としたが、感光体1と中間転写媒体16との間に静電気力あるいは摩擦力を作用させることにより中間転写媒体16を感光体1に直接的に従動させる構成としてもよい。また、本実施例においては、中間転写媒体16と転写媒体ローラ17または18との摩擦力により転写媒体ローラ17または18から中間転写媒体16へ駆動伝達する構成としたが、中間転写媒体16と転写媒体ローラ17または18との間の滑りを防止するために、中間転写媒体16の内周面にギア様の歯を設け、さらにそれと噛み合うように転写媒体ローラ17または18の表面にも同様に歯を設けて、歯付きベルトをギヤにより駆動する構成としたり、中間転写媒体16の両端周面に等間隔に複数の貫通孔を設け、さらにそれと噛み合うように転写媒体ローラ17または18の両端周面に突起を設けて、スプロケット駆動する構成としてもよい。また、本実施例においては、潜像担持体と転写手段は同一の駆動源により駆動される構成としたが、潜像担持体と転写手段は独立して別々の駆動源により駆動する構成としてもよい。またさらに、本実施例においては、ステッピングモータのローターの歯数とステッピングモータの出力軸に取り付けられたギアの歯数の関係を一方が他方の整数倍となるように構成しており、このためステッピングモータのステップ応答時のトルク変動に起因する色重ね時の色ずれを防止することができる。
【0033】
中間転写媒体16は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の材質に対してカーボン等の導電剤を付与し、適度の導電抵抗を有する導電性フィルムとして構成してある。
【0034】
また、中間転写媒体16は、中間転写媒体16の特定位置を検出するための図示しないインデックス部を少なくとも1つ有する。インデックス部は中間転写媒体16の表面あるいは裏面の特定領域の光学的特性や磁気的特性を他の領域と異ならしめる標識や穴等により構成される。中間転写媒体16の駆動に伴い図示しないインデックス部が移動し、垂直同期検出器40とインデックス部が対向する位置において、垂直同期検出器40はインデックス部を検出して色重ね毎の信号処理に必要な同期信号(垂直同期信号)を発生する。尚、本実施例においては、中間転写媒体16にインデックス部を設け、これを検出することにより垂直同期信号を得る構成としたが、感光体1にインデックス部を設け、これを検出して垂直同期信号を得る構成としてもよい。ただし、中間転写媒体16としてベルトを用いる構成では、ベルトの伸縮やベルトと駆動伝達系との間の滑りが生じる場合があるため、感光体1のインデックスを検出するよりも中間転写媒体16のインデックス部を検出して垂直同期信号を得る構成とする方がより高い精度で色重ねを行うことが出来るので好ましい。
【0035】
転写媒体ローラ17または18は図示しない高圧電源に接続され、図示しないスイッチ手段で選択的に高電圧が印加される。また、感光体1は転写媒体ローラ17および18間に支持された中間転写媒体8と一次転写部20で当接している。前述のように、感光体1の表面に形成されたブラックのトナー像は感光体1の矢印A方向への回転に伴って一次転写部20に至る。この時、転写媒体ローラ17または18には図示しない高圧電源から約+2000Vの電圧が印加され、一次転写部20で感光体1の表面に形成されたブラックのトナー像が中間転写媒体16に転写される。
【0036】
中間転写媒体16にブラックのトナー像を転写した感光体1は更に矢印A方向へ回転し、クリーナーブレード等で構成された感光体クリーナ21によって感光体1の表面に残留するトナーが掻き取られ、更に、除電器22によって感光体1の表面を一様に露光して感光体1上の残存電荷が除去され、再び画像形成が可能となる。
【0037】
所望のブラックのトナー像が中間転写媒体16にすべて転写されると、ブラック現像装置6は矢印Bとは逆方向に移動し、当初の待機位置に退避する。
【0038】
引き続き、第1色目と同様の手順で第2色目から第4色目の画像(マゼンタ、シアン、イエロー)が中間転写媒体16上に順次重ね合わせて転写される。
【0039】
中間転写媒体16へのカラートナー像の重ね合わせが終了すると、記録シート載置台23に積み重ねて載置された記録シート24は、給紙ローラ25で給送が開始され、図示しない摩擦分離式または爪分離式の1枚分離手段で最上部の1枚のみが給送される。1枚分離して給送された記録シート24の搬送方向先端は図示しないクラッチ手段で駆動が一時的に解除されて停止したレジストローラ26に至る。記録シート24は搬送方向先端がレジストローラ26のニップ部と当接することで斜め送りが補正され、中間転写媒体16に重ね合わされたカラートナー像の位置と同期してレジストローラ26が図示しないクラッチ手段によって駆動を開始することで二次転写部27の方向に給送が再開される。これにより、記録シート24は二次転写部27に至る。
【0040】
二次転写部27に記録シート24の先端が進入すると、二次転写ローラ28には図示しない高圧電源から約+2500Vの電圧が印加され、中間転写媒体16の表面に形成されたカラートナー像が記録シート24の表面に転写される。カラートナー像の転写を終えた中間転写媒体16にはクリーナーブレード等で構成された転写媒体クリーナ29が矢印E方向へ移動して当接し、中間転写媒体16の表面に残留したトナーが掻き取られ、掻き取りが終了すると転写媒体クリーナ29は矢印Eとは逆方向へ移動して退避する。
【0041】
カラートナー像が転写された記録シート24は、ベルト搬送装置30によって搬送され、内部に棒状のハロゲンランプ31を備えたヒートローラ32と、ヒートローラ32に加圧当接して回転する加圧ローラ33、34で構成された定着装置に至り、カラートナー像が転写された記録シート24が加熱加圧しながら挟持搬送されてトナー像が定着される。トナー像が定着された記録シート24は排紙ローラ群35によって装置外部へと排出され、カラー画像記録が完了する。
【0042】
尚、本実施例においては、転写手段として中間転写媒体16を用い、この中間転写媒体上において順次色重ねを行い、さらに記録シート24に色重ねされた画像を一括して転写する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間転写媒体16上に記録シート24を機械的あるいは静電的に担持せしめた後、記録シート24上に直接順次色重ねを行い、色重ねが終了した後に中間転写媒体16から記録シート24を剥離する構成であってもよい。また、本実施例においては、転写手段として無端ベルトを用いたが、ドラムを用いる構成としてもよい。その他、本発明は本実施例の構成に限定されないことはもちろんである。
【0043】
さて、ここで、以上のように構成された画像形成装置の駆動制御系について図1を用いて説明する。図1は本発明の画像形成装置の一実施例の駆動制御系を示す概略構成図である。
【0044】
水平同期検出器71は水平同期信号を発生し、垂直同期検出器40は垂直同期信号を発生する。
【0045】
計測手段100は水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する。水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測する際の時間精度は、水平同期信号1周期に要する時間よりも充分に短いことが必要であり、少なくとも水平同期信号1周期に要する時間の8分の1以上の時間精度で、より好ましくは16分の1以上の時間精度であることが好ましい。具体的には、例えば、水平同期信号1周期よりも充分に高い周波数のクロックパルスを発生する図示しないクロックパルス発振器からのパルス数を計数することにより、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測することができる。
【0046】
制御手段101は計測手段100により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差に基づき転写手段102を、特にその駆動速度を制御する。
【0047】
転写手段102は、前述のように、中間転写媒体16、転写媒体ローラ17、18、19、図示しない駆動源及び駆動伝達系により構成される。さらに具体的には、本実施例においては駆動源としてステッピングモータを用い、制御手段101は図示しないパルス発振器からステッピングモータへ入力されるパルス速度(単位時間当たりのパルス数)を制御する、もしくはステッピングモータのステップ角を制御する。制御手段101が、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正するために、転写手段の駆動速度または駆動源の駆動パターンを決定する方法としては、計測手段100により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差及びその位相差を補正するために許容される時間(画像形成開始までの時間)に基づき演算する方法や、予め水平同期信号と垂直同期信号の位相差及びその位相差を補正するために許容される時間に基づき転写手段の駆動速度または駆動源の駆動パターンを設定したルックアップテーブルを参照する方法を用いることができる。尚、本実施例においては制御手段101は転写手段102の駆動源を制御する構成としたが、駆動伝達系の一部に電磁クラッチ等のクラッチ機構を設け、制御手段101がこのクラッチ機構を制御する構成としてもよい。ただし、クラッチ機構の応答時間は比較的遅いため、より高速に転写手段を制御するためにはステッピングモータを直接的に制御する構成とした方が好ましい。
【0048】
また本実施例においては、前述のように、転写手段102の駆動源であるステッピングモータは感光体1をも駆動する構成としている。レーザー走査光学系4が画像情報に応じて感光体1を走査露光する際のステッピングモータの駆動速度は、レーザー走査光学系4が1.7本の走査線を形成する間にステッピングモータがステップ角1.8度で1ステップ駆動するように設定されている。さらに本実施例においては、ステッピングモータ単体の慣性モーメントがステッピングモータにより駆動される被駆動系全体の慣性モーメントよりも充分に小さくなるように構成されている。すなわち、本実施例においては、被駆動系全体がフライホイール効果を生じることにより、ステッピングモータがスルー領域(ステッピングモータが実質的に連続的に駆動される領域)においてステップ駆動毎に速度変動を生じることなく平滑に駆動することができるため、1ステップ駆動毎にレーザー走査光学系4が1を越える数の走査線を形成する構成としても、走査線をほぼ等間隔に形成することができる。さらにこのような構成とすることにより、本実施例とは逆に複数ステップ駆動毎に1走査線を形成する場合と比較すると、ステッピングモータへ入力するパルス数(単位走査線当たり)を少なくすることができるために、ステッピングモータを制御するCPU等の制御手段の負荷を少なくすることができる。さらにまた、このような構成とすることにより、ステッピングモータから感光体1を駆動伝達する系の減速比を小さくして駆動伝達系による機械振動等による色ずれを防止しつつ、副走査方向の走査線密度の高い画像を形成することができる。
【0049】
尚、本発明は、制御手段101が計測手段100により計測された水平同期信号と垂直直同期信号の位相差に基づき転写手段102を制御するところにその本質があり、その範囲を逸脱しない限りにおいて、本実施例の上記の構成、例えば転写手段の駆動源や駆動速度等に限定されるものではない。
【0050】
以下、本実施例の画像形成装置の動作を示すタイミング図を用いて、本発明について詳細に説明する。
【0051】
(実施例1)
本発明の画像形成装置の動作を示す一実施例のタイミング図を図4に示す。
【0052】
図4は、水平同期信号を基準として垂直同期信号との位相差を計測し、その位相差に基づいて転写手段を制御する例を示すものである。
【0053】
本実施例においては、転写手段である中間転写媒体にはインデックス部が1つ設けられ、中間転写媒体が1周する毎に垂直同期信号を1回発生する。ここで図4において、中間転写媒体のインデックス部が、垂直同期検出器との対向部を通過し垂直同期信号が発生する位置をxで示す。中間転写媒体が駆動されることにより、中間転写媒体のインデックス部は位置xからさらに移動し、位置xから所定距離Lだけ離れた位置yを通過して、中間転写媒体が1周すると再び位置xに戻り、画像形成動作が行われている間はこの運動が繰り返し行われる。尚、後述のように本実施例では、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時点と一致して画像データ信号に基づきレーザー走査光学系による潜像形成が開始されるように、制御手段が中間転写媒体を制御する構成となっており、即ち、位置yは画像先端の位置に一意に対応する。より正確に説明すると、中間転写媒体上での画像先端の位置は、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達してからさらに感光体周面上での露光位置(潜像形成位置)から一次転写部までの距離z分だけ進んだ位置y+zとなる。
【0054】
また図4において、中間転写媒体のインデックス部の位置の軌跡が成す傾きは、中間転写媒体表面の駆動速度を示すものであって、少なくとも画像データ信号に基づき潜像形成が開始されてから、その画像後端が一次転写部を通過し終えるまでは、色重ねにおいて色ずれが生じないように、一定の速度Viで駆動される。
【0055】
計測手段は、基準となる水平同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、垂直同期信号が発生するまでの時間を計測する。具体的には基準となる水平同期信号の立ち下がりから垂直同期信号の立ち下がりまでの時間t0を計測する。尚、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測方法は、例えば、前回の垂直同期信号が発生した後に発生した水平同期信号を計数し、水平同期信号の計数値が所定値に達した時の水平同期信号を基準としてそれ以降に発生した垂直同期信号までの位相差を計測する方法や、水平同期信号が発生する毎に計測手段を初期値に設定するとともに水平同期信号の立ち下がりから時間計測を開始することを繰り返し、垂直同期信号の立ち上がり後は垂直同期信号発生直前の水平同期信号を基準として、それ以降に発生した水平同期信号により計測手段が初期値に戻ることを禁止して、そのまま時間計測を継続し、垂直同期信号の立ち下がりまでの時間を位相差として計測する方法等があるが、何れの方法を用いることも可能である。
【0056】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。本実施例では、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間の中間転写媒体の駆動速度は潜像形成時の駆動速度と同じ速度Viで駆動している。ただし、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間の中間転写媒体の駆動速度は、必ずしも潜像形成時もしくは一次転写時の速度と等しい必要はなく、一定の速度であればよい。また、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間のみ、転写手段を駆動するステッピングモータを潜像形成時のステップ角よりも小さい角度で駆動(マイクロステップ駆動)する構成としてもよい。
【0057】
本実施例においては、垂直同期信号の立ち下がり以降に発生した水平同期信号を計数し、その計数値が所定値に達した時に、潜像形成が許可されて画像データ信号が発生し、レーザー走査光学系により色毎の画像形成が開始される。
【0058】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度を制御する。
【0059】
図4に即して説明すると、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像形成が開始されるまでの間に、制御手段は中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1となるように制御し、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時、即ち、潜像形成開始位置において水平同期信号と垂直同期信号の位相差が実質的に0もしくは一定値となるように制御し、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した以降は、中間転写媒体の駆動速度を潜像形成時の速度Viとなるように制御する。尚、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを補正するために中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御している領域において、転写手段を駆動するステッピングモータを潜像形成時のステップ角よりも小さい角度で駆動する構成としてもよい。また、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを補正するために中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御している領域とその前後の領域での中間転写媒体の駆動速度が大きく異なる場合、例えば、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測している領域での中間転写媒体の速度(本実施例では潜像形成時と同じ)に対し速度Vc1がかなり増速している場合や、速度Vc1に対して潜像形成時の速度Viがかなり増速している場合等には、転写手段を駆動するステッピングモータがパルス発振器からステッピングモータへ入力されるパルス速度に追従できず脱調(ミスステップ)し易いため、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを補正するために中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御している領域においては、その領域の前後の速度差を考慮して、速度Vc1をスローアップもしくはスローダウン制御することにより、脱調を防止することができる。また、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測している領域での中間転写媒体の速度に対し速度Vc1がかなり増速あるいは減速している場合や、速度Vc1に対して潜像形成時の速度Viがかなり増速あるいは減速している場合で、さらに、本実施例のように転写手段としてベルトを用いる場合においては、加減速時に瞬間的にベルトとそれを駆動するローラの間に滑りが生ずる場合があり、したがって、速度切替時にそのような滑りが生じないようにする点からも、速度切替時の前後の速度差を考慮して、転写手段の駆動速度をスローアップもしくはスローダウン制御することが好ましい。尚、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御している領域を例にとって説明したが、以下、この実施例1以外の実施例においても、特に断りのない限り、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを補正するために中間転写媒体の駆動速度を制御している領域においては、例えば中間転写媒体の駆動速度を速度Vc2に制御している領域でも速度Vc1に制御している領域と全く同様な手順で制御される。
【0060】
さて、このようにしてn色目の画像が形成された後、次のn+1色目の画像形成が同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時点で画像形成が開始されるように、速度Vc2で駆動され、さらに中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した後は中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、n色目の画像及びn+1色目の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差を実質的に同一とし、n色目の画像とn+1色目の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0061】
(実施例2)
本発明の画像形成装置の動作を示す他の実施例のタイミング図を図5に示す。
【0062】
図5は、垂直同期信号を基準として水平同期信号との位相差を計測し、その位相差に基づいて転写手段を制御する例を示すものである。図4と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0063】
さて、本実施例は、計測手段が、水平同期信号ではなく垂直同期信号を基準として、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測する点が、実施例1と異なる。
【0064】
本実施例においては、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間を計測する。具体的には基準となる垂直同期信号の立ち下がりからそれ以降に発生した水平同期信号の立ち下がりまでの時間t0を計測する。尚、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測方法は、例えば、垂直同期信号の立ち下がりからそれ以降に発生した最初の水平同期信号の立ち下がりまでの位相差を計測する方法や、垂直同期信号の立ち下がりからそれ以降に発生した水平同期信号を計数し、計数値が所定値に達した時の水平同期信号の立ち下がりまでの位相差を計測する方法等があるが、何れの方法を用いることも可能である。また、中間転写媒体上のインデックス部が垂直同期検出器と対向する位置にないにも関らず、中間転写媒体上のゴミをインデックス部と誤って検出してしまったり、あるいは垂直同期検出器から計測手段等の間の信号線に雑音等が入ることによって誤って垂直同期信号が発生してしまい、それの結果として計測手段及び制御手段が誤作動することを防ぐために、垂直同期信号が発生してから次の垂直同期信号が発生するはずの時間を見込んで、例えば水平同期信号が所定計数値に達するまでの間は、垂直同期信号の発生を検出しない、もしくは、垂直同期信号を検出しても計測手段または制御手段による垂直同期信号と水平同期信号の位相ずれの補正のための動作を禁止する構成としてもよい。
【0065】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。
【0066】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度(速度Vc1)を制御する。
【0067】
さて、このようにしてn色目の画像が形成された後、次のn+1色目の画像形成が同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時点で画像形成が開始されるように、速度Vc2で駆動され、さらに中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した後は中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、n色目の画像及びn+1色目の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差を実質的に同一とし、n色目の画像とn+1色目の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0068】
本実施例は、実施例1のように垂直同期信号と比較して発生頻度が極めて高い水平同期信号を常時監視する必要がなく、垂直同期信号を基準とし、この信号を検出してから水平同期信号の監視を開始する構成であるため、実施例1と比較すると、計測手段に対する負荷が少なく、より簡単な構成で水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正することができる。
【0069】
(実施例3)
本発明の画像形成装置の動作を示すまた別の実施例のタイミング図を図6に示す。
【0070】
図6は、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを補正するために中間転写媒体の駆動速度を制御している領域において、その速度を実質的に減速制御する例を示すものである。図5と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0071】
さて、本実施例は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差に基づいて制御手段が中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1及びVc2に制御している領域において、制御手段がその速度Vc1及びVc2を実質的に減速制御する点が、実施例2と異なる。
【0072】
本実施例においては、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間t0を計測する。
【0073】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。
【0074】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度(速度Vc1)を減速制御する。
【0075】
このようにしてn色目の画像が形成された後、次のn+1色目の画像形成が同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時点で画像形成が開始されるように、速度Vc2で減速制御されながら駆動され、さらに中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した後は中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、n色目の画像及びn+1色目の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差を実質的に同一とし、n色目の画像とn+1色目の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0076】
さてここで、本実施例の特徴である、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを補正するための、中間転写媒体の駆動速度の減速制御について、さらに説明する。
【0077】
本実施例においては、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が如何なる値であっても、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1及びVc2に制御している領域において、制御手段はその速度Vc1及びVc2を実質的に減速制御するように構成される。
【0078】
図6に即して本実施例を説明する。まず、垂直同期信号の立ち下がり以降に発生した水平同期信号の計数値が所定値に達した時に潜像形成が許可されて画像データ信号が発生し、色毎の画像形成が開始されるが、この水平同期信号の計数値を充分に大きく設定(垂直同期信号が発生してから画像形成が開始するまでの時間を充分に長く設定)する。つまり、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1及びVc2に制御している領域を時間的に充分に長く設定する。このような設定下において、もし、中間転写媒体が、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測している領域における中間転写媒体の駆動速度(潜像形成時と同じ)のまま駆動された場合に、中間転写媒体のインデックス部がどのような軌跡を描くか模式的に示すのが図6中の破線である。すなわち、もし、中間転写媒体が、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測している領域における中間転写媒体の駆動速度のまま駆動された場合、中間転写媒体のインデックス部は、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が如何なる値であろうとも、必ず画像データ信号が発生する前に位置yに到達することとなる。したがって、本実施例においては、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0及びt1が如何なる値であっても、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正するために、制御手段は中間転写媒体の速度Vc1及びVc2を実質的に減速制御することとなる。尚、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1及びVc2に制御している領域において、制御手段がその速度を実質的に減速制御するように構成するための方法は、前記の方法には限定されず、例えば、垂直同期信号の立ち下がり以降に発生した水平同期信号の計数値を基準として画像形成を開始する場合、n色目の画像形成開始の基準となる水平同期信号の計数値の設定pよりもn+1色目の画像形成開始の基準となる水平同期信号の計数値の設定qを大きくする(例えばq=p+1)方法や、水平同期信号と垂直同期信号の位相差に応じて画像形成開始の基準となる水平同期信号の計数値の設定を増減する、等の方法により行うことができる。
【0079】
本実施例においては、制御手段は中間転写媒体を速度Vc1及びVc2に制御する時に常時減速制御を行う構成としたため、ステッピングモータがパルス発振器から入力されるパルス速度に追従できず脱調(ミスステップ)することがなく、安定して中間転写媒体の駆動速度を制御することができるため、n色目の画像とn+1色目の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0080】
(実施例4)
本発明の画像形成装置の動作を示すまた別の実施例のタイミング図を図7に示す。
【0081】
図7は、1色目の画像形成時には水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正せず、2色目以降の画像形成時には、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が1色目と同じとなるように補正する例を示すものである。図6と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0082】
さて、本実施例は、1色目の画像形成時には水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正しない点、2色目以降の画像形成時には水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正するが、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が1色目と同じとなるように補正する点が、実施例3と異なる。
【0083】
本実施例においては、まず1色目の画像形成に先立ち、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間t0を計測する。この計測結果は図示しない記憶手段に記憶保持される。
【0084】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、潜像形成時の駆動速度である速度Viで駆動される。
【0085】
制御手段は、1色目の画像形成時においては、中間転写媒体の駆動速度を変更せずにそのまま潜像形成時の速度Viを維持する。
【0086】
このようにして1色目の画像が形成される。
【0087】
次に、引き続いて、2色目の画像形成が開始される。
【0088】
2色目の画像形成に先立ち、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間t1を計測する。
【0089】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、1色目と同じ速度で駆動される。
【0090】
制御手段は、既に記憶手段に保持されている1色目の水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0と、計測手段により計測された2色目の水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1に基づき、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相差が1色目と同じ量となるように、中間転写媒体の駆動速度を制御する。具体的には、例えば、1色目の水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0と2色目の水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1の差分を計算し、この差分が0となるように、2色目の画像において、制御手段は中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御する。
【0091】
このようにして1色目及び2色目の画像が形成された後、さらに3色目以降の画像形成が2色目と同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時点で画像形成が開始されるように、制御手段により駆動速度が制御され(実施例3の図7中の速度Vc2に相当)、さらに中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した後は中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、1色目の画像及び2色目以降の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差を実質的に同一とし、1色目の画像と2色目以降の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0092】
(実施例5)
本発明の画像形成装置の動作を示すまた別の実施例のタイミング図を図8に示す。
【0093】
図8は、画像データ信号が発生し画像形成が開始されるよりも前に、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の補正を終了させる例を示すものである。図6と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0094】
さて、本実施例は、画像データ信号が発生し画像形成が開始されるよりも前に、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の補正を終了させる点が、実施例3と異なる。
【0095】
本実施例においては、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間t0を計測する。
【0096】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。
【0097】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、その位相差を補正するための制御を、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから開始する。ここで、制御手段は、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了後から画像データ信号が発生し画像形成が開始される時間よりも所定の時間分だけ短い時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度を制御する。即ち、制御手段は、画像形成が開始される時点よりも所定の時間分だけ手前で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の補正を終了するように構成される。
【0098】
図8に即してさらに説明する。水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、制御手段は中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御する。制御手段が中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御開始するのは、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してからである。ところで、n色目の画像の画像形成が開始されるのは、潜像形成が許可されて画像データ信号が発生した時点であり、本実施例においては、垂直同期信号の立ち下がり以降に発生した水平同期信号の計数値が所定値に達した時点である。制御手段は、n色目の画像形成が開始される時点よりも所定の時間分だけ手前で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0の補正が終了するように、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に設定し制御する。本実施例においては、n色目の画像形成が開始される時点の水平同期信号の計数値の1つ前(即ち、n色目の画像形成が開始される時点の水平同期信号よりも水平同期信号1周期分早く)で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0の補正が終了するように、中間転写媒体の駆動速度を制御する。制御手段は、n色目の画像形成が開始される時点よりも所定の時間分だけ手前で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0の補正を終了させると、中間転写媒体の駆動速度を潜像形成開始よりも前に、潜像形成時の速度Viに制御する。
【0099】
制御手段は、色毎の画像形成が開始されるよりも所定の時間分だけ手前で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0の補正が終了するように、中間転写媒体の駆動速度を制御するが、この所定の時間分とは、中間転写媒体の駆動速度を、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正するための速度Vc1から潜像形成時の速度Viへ切換える時に、その駆動速度が速度Viに安定するまでの時間を見込んだ時間である。本実施例においては、この所定の時間分として、前述の様に水平同期信号1周期分の時間を見込んだが、この所定の時間分は、駆動源として用いるモータの応答特性によりそれぞれ異なるものであって、本実施例に限定されるものではない。
【0100】
さて、このようにしてn色目の画像が形成された後、次のn+1色目の画像形成が同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は速度Vc2で駆動され、さらに中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達するよりも所定の時間分手前から、中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、n色目の画像及びn+1色目の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差を実質的に同一とし、n色目の画像とn+1色目の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0101】
本実施例においては、制御手段は、色毎の画像形成が開始されるよりも所定の時間分だけ手前、即ち、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1及びVc2から速度Viへ切換える時にその駆動速度が速度Viに安定するまでの時間を見込んだ時間分だけ手前で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の補正が終了するように、中間転写媒体の駆動速度を制御する構成としたため、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1及びVc2から速度Viへ切換えた直後に中間転写媒体の駆動速度が過渡的に不安定となっても、画像先端及びその近傍において色ずれが生ずることがなく、安定して中間転写媒体の駆動速度を制御することができるため、n色目の画像とn+1色目の画像とが色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0102】
(実施例6)
本発明の画像形成装置の動作を示すまた別の実施例のタイミング図を図9に示す。
【0103】
図9は、色毎の画像形成に先立ち、複数の垂直同期信号を発生し、その垂直同期信号のうち少なくとも1つを基準として水平同期信号との位相差を計測し、その位相差に基づいて転写手段を制御する例を示すものである。図5と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0104】
本実施例においては、転写手段である中間転写媒体にはインデックス部が2つ設けられ、中間転写媒体が1周する毎に垂直同期信号を2回発生する。ここで図9において、中間転写媒体のそれぞれのインデックス部に対応して発生する垂直同期信号をそれぞれ第1の垂直同期信号V1、第2の垂直同期信号V2で示す。また、第2の垂直同期信号が発生する位置をxで示す。
【0105】
本実施例を図9に即して説明する。まず、第1の垂直同期信号が発生することにより、画像形成装置は画像形成を開始するための前準備処理を開始する。前準備処理とは、例えば、レーザー走査光学系の回転多面鏡の回転動作や現像に用いられる現像装置の移動動作や現像装置内部の現像剤の撹伴や定着装置の温度制御動作等、画像形成に関る種々の処理が対象となる。本実施例においては、前準備処理として、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測するための計測手段の立ち上げ動作を行う。即ち、第1の垂直同期信号が発生することを検出して、計測手段を立ち上げてから、第2の垂直同期信号が発生するのを待ち受ける。このような構成とすることにより、計測手段を常時動作させる必要がないため、CPU等の計測手段の負荷を低減することができる。
【0106】
第1の垂直同期信号により立ち上げられた計測手段は、第2の垂直同期信号を基準として、時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間を計測する。具体的には基準となる第2の垂直同期信号の立ち下がりからそれ以降に発生した水平同期信号の立ち下がりまでの時間t0を計測する。
【0107】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。尚、第1の垂直同期信号が発生してから計測手段が水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差を計測を終了するまでの時間t3において、転写手段を駆動するステッピングモータを潜像形成時のステップ角よりも小さい角度で駆動する構成としてもよい。
【0108】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度(速度Vc1)を制御する。
【0109】
さて、このようにしてn色目の画像が形成された後、次のn+1色目の画像形成が同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と第2の垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は、中間転写媒体の第2の垂直同期信号に対応するインデックス部が位置yに到達した時点で画像形成が開始されるように、速度Vc2で駆動され、さらに中間転写媒体の第2の垂直同期信号に対応するインデックス部が位置yに到達した後は中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、n色目の画像及びn+1色目の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差を実質的に同一とし、n色目の画像とn+1色目の画像とを色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0110】
(実施例7)
本発明の画像形成装置の動作を示すまた別の実施例のタイミング図を図10に示す。
【0111】
図10は、色毎の画像形成に先立ち、複数の垂直同期信号を発生し、その垂直同期信号のうち少なくとも1つを基準として水平同期信号との位相差を計測し、その位相差に基づいて転写手段を制御し、さらにまた別の垂直同期信号を基準として水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測する例を示すものである。図9と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0112】
本実施例においては、実施例6と同様に、転写手段である中間転写媒体にはインデックス部が2つ設けられ、中間転写媒体が1周する毎に垂直同期信号を2回発生する。ここで図10において、中間転写媒体のそれぞれのインデックス部に対応して発生する垂直同期信号をそれぞれ第1の垂直同期信号V1、第2の垂直同期信号V2で示す。また、第1の垂直同期信号が発生する位置をxで示す。また、第1及び第2の垂直同期信号それぞれに対応する中間転写媒体のそれぞれのインデックス部間の距離を距離Lvで示す。
【0113】
本実施例を図10に即して説明する。まず、第1の垂直同期信号が発生し、計測手段は第1の垂直同期信号を基準として、時間計測を開始し、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測する。具体的には基準となる第1の垂直同期信号の立ち下がりからそれ以降に発生した水平同期信号の立ち下がりまでの時間t0を計測する。
【0114】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。
【0115】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、その位相差を補正するための制御を、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから開始する。ここで、制御手段は、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから第2の垂直同期信号が発生するまでの距離を見込み、その距離内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度を制御する。具体的には、本実施例においては、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測時の中間転写媒体の駆動速度は速度Viであるので、n色目の画像形成における、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから第2の垂直同期信号が発生するまでの距離は、Lv−Vi・t0 で表され、この距離を見込み、その距離内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、制御手段は中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御する。
【0116】
制御手段は、第2の垂直同期信号が発生した時点で、水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0の補正が終了したと見なし、中間転写媒体の駆動速度を潜像形成時の速度Viに制御する。
【0117】
また、第2の垂直同期信号が発生した時点で、計測手段は、第1の垂直同期信号と水平同期信号の位相差を計測した時と同様にして、第2の垂直基準信号を基準として、時間計測を開始し、水平同期信号と第2の垂直同期信号の位相差tc1を計測する。
【0118】
さらに水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差tc1が所定値以下である場合には、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されたと判断して、n色目の画像の画像形成動作を継続し、第2の垂直同期信号の立ち下がり以降に発生した水平同期信号の計数値が所定値に達した時点で潜像形成を許可し画像データ信号が発生する。しかし、水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差tc1が所定値を越える場合には、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが充分に補正されなかったと判断する。
【0119】
水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差tc1が所定値を越えた場合、本実施例においては、潜像形成を禁止し、潜像形成を行わずにそのまま中間転写媒体を駆動し、再度、前記手順に従って、第1及び第2の垂直同期信号に基づく計測手段及び制御手段による処理を行い、水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差tc1が所定値以下となるまで、これを繰り返す構成とした。
【0120】
尚、水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差tc1が所定値を越えた場合のその後の処理方法は、本実施例に限定されるものではない。例えば、潜像形成を禁止するのみならず全ての画像形成動作を停止する方法を用いることもできる。また別の方法としては、そのまま実施例2等と同様にn色目の画像の画像形成動作を継続する方法を用いることもできる。具体的には、計測手段により計測された水平同期信号と第2の垂直同期信号の位相差tc1に基づき、制御手段は、計測手段による水平同期信号と第2の垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度を再度制御し、画像形成が開始される時点(本実施例では、第2の垂直同期信号の立ち下がり以降に発生した水平同期信号の計数値が所定値に達した時)で水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されたとして、中間転写媒体の駆動速度を速度Viに制御するとともに、潜像形成を許可しn色目の画像の画像形成を行う方法を用いることもできる。この方法では、本実施例で用いた方法と比較すると、水平同期信号と第2の垂直同期信号との位相差tc1が所定値を越えた場合に中間転写媒体上に色重ねせずに空回しすることなく画像形成が行えるので、より好ましい。
【0121】
さて、このようにしてn色目の画像が形成された後、次のn+1色目の画像形成が同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と第1の垂直同期信号の位相差t1が計測され、それに応じて中間転写媒体は速度Vc2で駆動され、さらに第2の垂直同期信号の発生により、中間転写媒体は速度Viで駆動されるとともに、水平同期信号と第2の垂直同期信号の位相差tc2が計測され、その位相差tc2が所定値以下である場合にn+1色目の画像が形成されることにより、または、その位相差tc2が所定値を越える場合には再度位相ずれを補正した後にn+1色目の画像が形成されることにより、n色目の画像及びn+1色目の画像の形成を開始した時点での水平同期信号と垂直同期信号の位相差をより正確に同一とし、n色目の画像とn+1色目の画像とを色ずれすることなく色重ねすることができる。
【0122】
(実施例8)
本発明の画像形成装置の動作を示すまた別の実施例のタイミング図を図11に示す。
【0123】
図11は、2色目以降の画像形成時には、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が1色目とは異なる所定値となるように補正する例を示すものである。図5と同じものについては同一の符号とし、説明は省略する。
【0124】
さて、本実施例は、2色目以降の画像形成時には水平同期信号と垂直同期信号の位相差を補正するが、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が1色目とは異なる所定値となるように補正する点が、実施例2と異なる。
【0125】
本実施例においては、まず1色目の画像形成に先立ち、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間を計測する。具体的には基準となる垂直同期信号の立ち下がりからそれ以降に発生した水平同期信号の立ち下がりまでの時間t0を計測する。
【0126】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、一定の速度で駆動される。
【0127】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t0に基づき、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、その時間内に水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれが補正されるように、中間転写媒体の駆動速度(速度Vc1)を制御する。
【0128】
このようにして、実施例2と同様に、1色目の画像が形成される。
【0129】
次に、引き続いて、2色目の画像形成が開始される。
【0130】
2色目の画像形成に先立ち、計測手段は、基準となる垂直同期信号が発生することにより初期値に設定されるとともに時間計測を開始し、水平同期信号が発生するまでの時間t1を計測する。
【0131】
中間転写媒体は、計測手段が水平同期信号と垂直同期信号との位相差を計測する間、1色目と同じ速度で駆動される。
【0132】
制御手段は、計測手段により計測された水平同期信号と垂直同期信号の位相差t1に基づき、その位相差を補正するための制御を、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから開始する。ここで、制御手段は、計測手段による水平同期信号と垂直同期信号の位相差の計測が終了してから潜像形成が許可され画像データ信号が発生し画像形成が開始されるまでの時間を見込み、かつ、画像形成が開始される時点で1色目とは異なる所定値だけ水平同期信号と垂直同期信号の位相差が生じるように、中間転写媒体の駆動速度を速度Vc2に制御する。具体的には、本実施例においては、1色目の画像の場合は、その画像先端位置を中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した位置に相当するように制御し、2色目の画像の場合は、その画像の先端位置を中間転写媒体のインデックス部が位置yからさらに距離Δmだけ進んだ位置に相当するように制御する。言い換えると、制御手段は、1色目の画像の場合は、中間転写媒体のインデックス部が位置yに到達した時点で水平同期信号と垂直同期信号の位相差が補正されるように中間転写媒体の駆動速度を速度Vc1に制御し、2色目の画像の場合は、中間転写媒体のインデックス部が位置yではなく位置yから距離Δmだけ進んだ位置y+Δmに到達した時点で水平同期信号と垂直同期信号の位相差が補正されるように中間転写媒体の駆動速度を速度Vc2に制御する。
【0133】
制御手段は、水平同期信号と垂直同期信号の位相差の補正を終了させると、中間転写媒体の駆動速度を潜像形成時の速度Viに制御する。
【0134】
さて、このようにして1色目及び2色目の画像が形成された後、3色目以降の画像形成が2色目と同様に繰り返される。即ち、画像形成に先立ち、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が計測され、それに応じて中間転写媒体の駆動速度が制御され、さらに中間転写媒体のインデックス部が位置y+Δmに到達する時点で位相差が補正(即ち、1色目の画像とは異なる所定の位相差が形成)され、中間転写媒体は速度Viに制御されることにより、1色目の画像と2色目以降の画像では、その画像の先端位置を所定距離だけずらして、2色目以降の画像ではその画像の先端位置は同一の位置で色重ねすることができる。
【0135】
このような構成とすることにより、中間転写媒体とそれを駆動する駆動伝達系の間に滑りが生じたり、あるいはまた、中間転写媒体自体が温度や湿度等の環境変動に伴い伸縮する場合について、色重ねの精度の高い画像を形成することができる。
【0136】
本実施例の特徴についてさらに詳細に説明する。例えば、中間転写媒体とそれを駆動する転写媒体ローラの間に滑りが生ずる場合について説明する。まず、中間転写媒体とそれを駆動する転写媒体ローラの間に滑りが全く生じない場合もしくは再現性のある定常的な滑りが生ずる場合、このような画像形成装置においては、1色目と2色目以降の画像について、水平同期信号と垂直同期信号の位相差をその画像の先端位置で同一となるように補正した場合、その先端位置及び後端位置は同一となり、色重ね誤差は実質的に0%となる。ここで色重ね誤差とは、同一位置に重ねられるべきn色目の画像の走査線とn+1色目の画像の走査線が全く色ずれがなく重ねられた場合を0%、n+1色目の画像の走査線が重ねられるべきn色目の画像の走査線ではなくそれに隣接した走査線に重ねられた場合(水平同期信号と垂直同期信号の位相差が水平同期信号1周期分である場合)を100%として示す。さらに色重ね誤差が画像前端部方向(副走査位置が進む方向)に生じた場合は符号を負、画像後端部側(副走査位置が遅れる方向)に生じた場合には符号を正で示す。さて、しかしながら、中間転写媒体と転写媒体ローラの間に再現性のない微小な滑りが生じている場合には、同様に水平同期信号と垂直同期信号の位相差を同一となるように補正した場合、その先端位置は同一となり、色重ね誤差は実質的に0%となるが、滑りが生じた位置から後の画像については、滑りの大きさに応じた色ずれが生じる。この色ずれは、必ず画像後端部方向に生じ、必ず色重ね誤差の符号は正となる。したがって、2色目以降の画像について、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を1色目の画像とは異ならせるように補正した場合、具体的には、1色目の画像に対し2色目の画像をその画像の先端位置において、色重ね誤差が負、例えば−50%、となるようにした場合、実施例2と同様な構成の画像形成装置では、中間転写媒体と転写媒体ローラの間に滑りが生じ、仮に、画像最後端の画像において色重ね誤差が100%であったとするならば、本実施例の画像形成装置においては、画像最後端の画像における色重ね誤差は50%と抑えられ、当該頁の画像全体として見ると、より色重ねの良好な画像を形成することができる。また、例えば、画像形成装置の電源投入直後に画像形成を行う場合について説明する。一般に画像形成装置の電源投入直後は定着装置の昇温が激しく、画像形成装置内部の温度もそれにつれて急上昇する。そのため、中間転写媒体が熱膨張し、その周長が徐々に伸びる。このような環境下では、1色目と2色目以降の画像について、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を同一となるように補正した場合、仮に、その先端位置は同一で、色重ね誤差は実質的に0%であったとしても、その後端位置では色重ね誤差が生じる。さらに著しい場合には、画像の先端位置においても色重ね誤差が生じる。この色重ね誤差の方向は、必ず機内温度の変動方向に応じて生じるものであり、例えば、機内温度が上昇方向にある場合には、必ず画像後端部方向に生じ、必ず色重ね誤差の符号は正となる。したがって、2色目以降の画像について、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を1色目の画像とは異ならせるように補正した場合、具体的には、1色目の画像に対し2色目の画像をその画像の先端位置において、色重ね誤差が負となるようにした場合、画像全体として見ると、色重ね誤差を低減することができ、より色重ねの良好な画像を形成することができる。また、本実施例では、2色目以降の画像について、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を1色目の画像とは異ならせるように補正し、かつ、2色目以降の画像の水平同期信号と垂直同期信号の位相差は同一となるよう補正したが、2色目以降の画像の水平同期信号と垂直同期信号の位相差もそれぞれ異なる値としてもよい。例えば、機内温度を検知しながら、その機内温度に応じて色毎の水平同期信号と垂直同期信号の位相差を変更する構成としてもよい。また例えば、色毎の画像をそれぞれスクリーン角の異なる万線スクリーンで形成し、これを重ね合わせる構成として、色毎の画像に応じて水平同期信号と垂直同期信号の位相差をそれぞれ異なる所定値となるように補正してもよい。また、水平同期信号と垂直同期信号の位相差を計測している領域での中間転写媒体の速度に対し速度Vc1及びVc2がかなり増速あるいは減速している場合や、速度Vc1及びVc2に対して潜像形成時の速度Viがかなり増速あるいは減速している場合で、さらに、本実施例のように転写手段としてベルトを用いる場合においては、加減速時に瞬間的にベルトとそれを駆動するローラの間に滑りが生ずる場合がある。このような場合においては、速度切替時に生じるそのような滑りの量を見込んで、転写手段の駆動速度を制御することにより、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれをより精度良く補正することができる。具体的には、速度切替時に生じるそのような滑りの量をΔmとして見込んで、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が補正されるように、各色画像毎に、速度切替時の前後の速度差に基づいてΔmをそれぞれに設定して転写手段の駆動速度を制御する構成としてもよい。また、中間転写媒体1周期当たりに発生する転写手段と転写手段の駆動源との間の滑り量を計測し、この滑り量をΔmとして見込んで、水平同期信号と垂直同期信号の位相差が補正されるように転写手段の駆動速度を制御する構成としてもよい。
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、第1の同期信号発生手段から発生した潜像形成手段に同期した信号と第2の同期信号発生手段から発生した像担持体または/及び転写手段に同期した信号との位相差を計測手段により計測し、計測された位相差に基づき制御手段が転写手段を制御することにより、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを簡単な構成かつ比較的短時間の補正により防止することができる。
【0138】
さらに、本発明によれば、第2の同期信号発生手段が転写手段に同期した信号を発生することにより、転写手段の伸縮や転写手段とその駆動源との間に滑りが生じた場合でも、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれをさらに良好に防止することができる。
【0139】
さらに、本発明によれば、計測手段が第2の同期信号発生手段から発生した信号を基準として第1の同期信号発生手段から発生した信号との位相差を計測することにより、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれをより簡単な構成で防止することができる。
【0140】
さらに、本発明によれば、第1の同期信号発生手段から発生した信号と第2の同期信号発生手段から発生した信号との位相差に基づき制御手段が転写手段を実質的に減速制御することにより、転写手段の駆動速度の制御を安定して行うことができ、水平同期信号と垂直同期信号の位相ずれを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置における駆動制御系を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例にける画像形成装置の全体構成を示す装置断面図である。
【図3】本発明の実施例における画像形成装置のレーザー走査光学系を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例1における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図5】本発明の実施例2における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図6】本発明の実施例3における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図7】本発明の実施例4における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図8】本発明の実施例5における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図9】本発明の実施例6における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図10】本発明の実施例7における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【図11】本発明の実施例8における画像形成装置の動作を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1…感光体
2…感光体駆動ローラ
3…帯電ローラ
4…レーザー走査光学系
5…感光体補助ローラ
6…ブラック現像装置
7…シアン現像装置
8…マゼンタ現像装置
9…イエロー現像装置
11…半導体レーザー
12…コリメータレンズ
13…シリンドリカルレンズ
14…回転多面鏡
15…偏向面
16…中間転写媒体
17、18、19…転写媒体ローラ
20…一次転写部
21…感光体クリーナ
22…除電器
23…記録シート載置台
24…記録シート
25…給紙ローラ
26…レジストローラ
27…二次転写部
28…二次転写ローラ
29…転写媒体クリーナ
30…ベルト搬送装置
31…ハロゲンランプ
32…ヒートローラ
33、34…加圧ローラ
35…排紙ローラ群
40…垂直同期検出器
51…走査レンズ
61…折り返しミラー
71…水平同期検出器
72…同期検出用ミラー
81…被走査面(感光体)
91…光学ベース

Claims (3)

  1. 像担持体と、前記像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体上に順次形成された複数の可視像を順次重畳転写することにより最終画像を形成する転写手段と、前記潜像形成手段に同期した信号を発生する第1の同期信号発生手段と、前記像担持体または/及び前記転写手段に同期した信号を発生する第2の同期信号発生手段と、を有するカラー画像形成装置において、第1の同期信号発生手段から発生した信号と第2の同期信号発生手段から発生した信号との位相差を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された位相差に基づき前記転写手段の駆動速度を制御する制御手段を有し、前記転写手段はベルト及び該ベルトを駆動するローラとを含み、前記制御手段は、2色目以降の画像形成時には、前記第1の同期信号発生手段から発生した信号と前記第2の同期信号発生手段から発生した信号の位相差が1色目とは異なる所定値となるように補正し、前記ベルトの速度切替時に生じる前記ベルトと前記ローラとの間の滑り量を見込んで、前記ローラの駆動速度を制御することを特徴とするカラー画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、各色画像毎に、前記ベルトの速度切替時の前後の速度差に基づいて滑り量をそれぞれに設定して前記ローラの駆動速度を制御することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記ベルト1周期当たりに発生する前記ベルトと前記ローラとの間の滑り量を見込んで制御することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
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