JP3791385B2 - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、陽極接合により複数の基板を積層して複数の液体吐出ヘッドが作り込まれた基板積層体を作製し、この基板積層体から個々の液体吐出ヘッドを切り出す工程を含む液体吐出ヘッドの製造方法に関するものである。また、本発明はかかる液体吐出ヘッドの製造方法によって製造された液体吐出ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体吐出ヘッドとしては、インクジェットプリンタに搭載されてインク液滴の吐出を行うインクジェットヘッドが一般的に知られている。インクジェットヘッドには、静電アクチュエータを利用してインク液滴を吐出する静電駆動型のものがある。
【0003】
静電駆動型のインクジェットヘッドは、一般に、特開平9−300630号公報にも開示されているように、多数のインクジェットヘッドが作り込まれた基板積層体を作製し、これを個々のインクジェットヘッドに切り出すことによって製造されている。すなわち、シリコン基板の表面に複数の流路形成用パターンをエッチングにより形成し、このシリコン基板の裏面に複数の個別電極配線パターンが形成された電極ガラス基板を陽極接合により積層し、シリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合により積層して、基板積層体が作製される。
【0004】
シリコン基板に形成される各流路形成用パターンには、複数のインクノズルを形成するためのノズル溝と、各インクノズルに連通しているインク圧力室を形成するためのインク圧力室用凹部と、各インク圧力室にインクを供給するための共通室を形成するための共通室用凹部が含まれている。シリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合することにより、これらの基板の間に、インクノズル、インク圧力室および共通室が区画形成される。また、インク圧力室の底面部分は面外方向に振動可能な振動板として機能し、シリコン基板の裏面に電極ガラス基板を積層することにより、各振動板には、電極ガラス基板の表面に形成されている個別電極がそれぞれ一定の間隔で対峙した状態になる。これら振動板および個別電極によって静電アクチュエータが構成され、これらの間に電圧を印加することによって発生する静電気力により振動板を振動させ、これによって発生するインク圧力室の容積変動によって、インクノズルからインク液滴が吐出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、複数のインク流路パターンが形成されているシリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合する工程においては、インク流路パターンがガラス基板によって密閉された状態となり、この密閉状態で300℃以上の温度に加熱した状態で陽極接合が行われ、接合後には再び常温に戻される。従って、陽極接合時にはシリコン基板とガラス基板の間に区画形成されるインク流路に加熱状態で密閉されている空気が、陽極接合後に冷却されて収縮する。この結果、インク流路を形成している最も撓み易い部分であるインク圧力室の振動板がそれに伴って撓んだ状態になってしまう。
【0006】
振動板に撓みが発生すると、振動板の振動特性が変化してしまうので、各インク圧力室に連通しているインクノズルのインク吐出特性にばらつきが発生し、印字品位の低下を招くので望ましくない。
【0007】
基板積層体を製作後に、これを個々のインクジェットヘッドに切り出すと、各インクジェットヘッドのインクノズルが開口するので、インク圧力室を含むインク流路はインクノズルを介して大気開放状態になる。よって、撓んだ状態の振動板が元の状態に戻ることもある。
【0008】
しかしながら、陽極接合時の撓みがそのまま初期撓みとして残る場合や、陽極接合時の撓みが完全に除去されずに初期撓みとして残る場合なども多い。このために、インクノズルのインク吐出特性にばらつきが発生するおそれが高い。
【0009】
かかる問題は、インク液滴以外の液体を吐出する静電駆動型の液体吐出ヘッドにおいても、陽極接合により複数の液体吐出ヘッドが作り込まれている基板積層体を製作する場合には同様に発生するおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、このような従来の問題点に鑑みて、圧力室の底面を規定している振動板に撓みを発生させることなく、流路パターンが形成されているシリコン基板にガラス基板を陽極接合可能な液体吐出ヘッドの製造方法、および当該製造方法により製造された液体吐出ヘッドを提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、複数の液体流路パターンが表面にエッチングされているシリコン基板の裏面に、複数の個別電極配線パターンが表面に形成されている電極ガラス基板を積層し、
前記シリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合により積層して、複数の液体吐出ヘッドが作り込まれた基板積層体を製作し、
この基板積層体から個々の液体吐出ヘッドを切り出す工程を含み、
前記シリコン基板の表面に前記ガラス基板を陽極接合する工程では、各液体流路パターンを大気開放状態に保持することを特徴としている。
【0012】
そのために、本発明では、
前記シリコン基板に、各液体流路パターンに連通している貫通穴を、各液体流路パターン毎に形成し、
前記電極ガラス基板の表面あるいは前記シリコン基板の裏面をエッチングして、前記シリコン基板の裏面に前記電極ガラス基板を積層した状態において、各貫通穴に連通すると共に大気開放状態とされる連通溝を、各貫通穴毎に形成し、
前記シリコン基板の表面に前記ガラス基板を陽極接合する工程では、各貫通穴および各連通溝を介して、各液体流路パターンを大気開放状態に保持することを特徴としている。
【0013】
本発明による液体吐出ヘッドの製造方法では、シリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合する際に、ガラス基板で密閉された液体流路パターンは、予め形成されている貫通穴および連通溝を介して大気開放状態に保持される。よって、陽極接合前後の温度差に起因して、密閉状態の空気が収縮して振動板に撓みを与えてしまうという弊害を回避できる。
【0014】
ここで、各液体流路パターンは、一般に、複数のノズルを形成するためのノズル溝と、各ノズルに連通している複数の圧力室を形成するための圧力室用凹部と、各圧力室に液体を供給する共通室を形成するための共通室用凹部とを含んでいる。この場合、前記共通室用凹部に前記貫通穴を連通させることができる。
【0015】
この代わりに、前記ノズルの一つに前記貫通穴を連通させるようにしてもよい。
【0016】
次に、ガラス基板によって密閉された液体流路パターンを大気開放状態に保持するために形成した貫通穴および連通溝は、液体吐出ヘッドには不要な部分である。そこで、前記シリコン基板における前記貫通穴が形成されている部分、および前記電極ガラス基板における前記連通溝が形成されている部分を、前記基板積層体から個々の液体吐出ヘッドを切り出す際、あるいは個々の液体吐出ヘッドを切り出した後に、切除することが望ましい。
【0017】
しかるに、これら貫通穴および連通溝をそのまま残すことも可能である。このような部分を備えた本発明の液体吐出ヘッドでは、前記連通溝および前記貫通穴を、外部から供給される液体を前記共通室に取り込むための液体取り込み口として用いることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した静電駆動式のインクジェットヘッドの実施例を説明する。
【0019】
[実施例1]
(インクジェットヘッドの構造)
図1は本例のインクジェットヘッドを示す斜視図であり、図2はその縦断面図であり、図3はその主要部分の分解斜視図である。本例のインクジェットヘッド1は、シリコン基板2と、この下面に積層された電極ガラス基板3と、シリコン基板2の上面に積層されたガラス基板4からなり、これらの後端部にはインク供給管6が取り付けられ、インク供給管6の側面には不図示のインクタンクからインクを供給するインクチューブ7が接続されている。インクジェットヘッド1の前端面には複数のインクノズル8が配列され、その側面部分には不図示の駆動回路から駆動電力を供給するためのフレキシブルプリント配線基板9が接続されている。
【0020】
中間に配置されているシリコン基板2の表面には、複数のインクノズル8を構成するように、その前端から平行に等間隔で形成された複数のノズル溝11と、各々のノズル溝11に連通し、底壁を振動板12とするインク圧力室13を構成することになるインク圧力室用凹部14と、これら凹部14の後部に設けられたオリフィス15を構成することになる細溝16と、各々のインク圧力室13にインクを供給するためのインク供給部である共通室17を構成することになる共通室用凹部18とが形成されている。
【0021】
このシリコン基板2の側方部分はガラス基板4の側面から突出した露出表面部分となっており、ここには、共通電極端子19が形成されている。シリコン基板2への共通電極端子19の付与については、半導体及び電極である金属の材料による仕事関数の大小が重要であり、本例では共通電極端子材料にはチタンを下付けとし白金、またはクロムを下付けとし金を使用している。しかしながら、基板2がP型半導体の場合は仕事関数が共通端子材料の方が大きくなるものであれば何でもよく、N形半導体の場合は仕事関数が共通端子材料の方が小さくなるような材料であれば何でもよい。
【0022】
このシリコン基板2の下面に積層されている電極ガラス基板3はホウ珪酸ガラスからなり、その表面には、各振動板12に対峙する部分に凹部21が形成され、各凹部21の底面には振動板12に対応する長方形の個別電極22が形成されている。各個別電極22はリード部23を介して、シリコン基板2の側面から露出している露出表面部分に形成された端子部24につながっている。
【0023】
次に、シリコン基板2の上面に接合されている上側のガラス基板4は、下側の電極ガラス基板3と同じくホウ珪酸ガラスを用いている。このガラス基板4の接合によって、インクノズル8、インク圧力室13、オリフィス15、および共通室17が構成される。共通室17には、シリコン基板2とガラス基板4を接合する際に、共通室用凹部18がつぶれないように補強することを目的とした複数の補強用リブ25が形成されている。
【0024】
ここで、シリコン基板2と電極ガラス基板3は、例えば、加熱温度300〜500℃、印加電圧500〜1000Vの状態で陽極接合されており、同条件で、シリコン基板2の表面にガラス基板4が陽極接合されている。また、シリコン基板2の振動板12の表面には熱酸化により酸化シリコン膜が形成されており、個別電極22と振動板12が接触しても短絡破壊しないよう構成されている。
【0025】
このように構成されたインクジェットヘッド1には、図示しないインクタンクよりインクチューブ7、インク供給管6を経てインクが供給され、共通室17、オリフィス15、インク圧力室13、インクノズル8を含むインク流路を満たしている。共通電極19および個別電極22の間に駆動電圧を印加することにより発生する静電気力によって、インク圧力室13に容積変動が起こり、これによってインクノズル8からインク液滴が吐出される。
【0026】
(製造方法)
次に、図4、5および6を参照して、インクジェットヘッド1の製造方法を説明する。
【0027】
図4に示すように、本例の製造方法においては、1個のインクジェットヘッド用のインク流路パターン31がエッチングにより複数形成されたシリコンウエハ32を用意する。各インク流路パターン31には、インク溝11、インク圧力室用凹部14、細溝16、共通室用凹部18が含まれている。
【0028】
また、このシリコンウエハ32の裏面に陽極接合される電極ガラス基板33を用意する。この電極ガラス基板33はホウ珪酸系ガラスからなり、シリコンウエハ32とほぼ同一形状の基板である。この電極ガラス基板33の表面には、図3に示される凹部21、凹部21の底面に形成される個別電極22、個別端子24と個別電極22を結ぶリード部23からなる個別電極配線パターン34が、各流路パターン31に対応する位置に、複数組列状に形成されている。
【0029】
さらに、シリコンウエハ31の表面に陽極接合される複数枚の細長い長方形のガラス基板35を用意する。各ガラス基板35は、シリコンウエハ32に形成されている各流路パターン31の幅よりやや大きい幅を有し、シリコンウエハ32の直径よりやや長い長方形状のホウ珪酸ガラス基板である。
【0030】
本例のシリコンウエハ32の表面には、5行7列の状態でインク流路パターン31が形成されおり、両端の列に夫々3個の流路パターン、中央の5列には、1列当たり5個の流路パターンが形成されている。従って、このシリコンウエハ32の表面に陽極接合されるガラス基板35は、シリコンウエハ32に形成された流路パターン31の列数に対応する枚数、本例では7枚用意され、それぞれが、シリコンウエハ32の表面に対して、各列の流路パターン31を覆う位置に陽極接合される。
【0031】
このように構成された各基板32、33、35を製作し、まず、シリコンウエハ32の裏面に電極ガラス基板33を陽極接合により積層し、次に、シリコンウエア32の表面に7枚のガラス基板35を同じく陽極接合により積層して、基板積層体36を構成する。しかる後に、基板積層体36を所定のラインに沿って切断して、31個のインクジェットヘッド1を作製する。
【0032】
各基板32、33、35を陽極接合する手順を更に詳しく説明する。まず、シリコンウエハ32と電極ガラス基板33との陽極接合工程では、個別電極配線パターン34が規則正しく列状に形成された電極ガラス基板33の表面に、流路パターン31および共通端子19が規則正しく列状に形成されたシリコンウエハ32を位置決めする。各基板上に刻まれたしるし37を顕微鏡で観察しながら、各基板32、33の位置を調整することにより、位置決めがなされる。位置決め後、陽極接合を行うことにより両基板32、33を接合する。陽極接合時の基板加熱温度は例えば300〜500℃であり、印加電圧は例えば500〜1000Vとされる。
【0033】
その後、シリコンウエハ32の表面において、各ガラス基板35を等間隔に、かつ平行に保持する治具(不図示)により、一度に、所定の位置に位置決めする。このように位置決めされたシリコンウエハ32と複数のガラス基板35の間を同時に陽極接合する。この場合の接合条件も上記の場合と同様である。
【0034】
ここで、本例の製造方法では、シリコンウエハ32の表面にガラス基板35を陽極接合する工程において、これらの間に形成されるインク流路(インクノズル8、インク圧力室13、オリフィス15、共通室17)が密閉されることの無いように、インク流路を大気開放状態に保持するための貫通穴および連通溝がそれぞれ、シリコンウエハ32および電極ガラス基板33に形成されている。
【0035】
図5および図6を参照して貫通穴および連通溝について詳細に説明する。図5は基板積層体36における切断位置を表すための説明図である。図6は基板積層体36の一部を示す分解斜視図であり、切除される部分を破線で示してある。
【0036】
まず、シリコンウエハ32の表面に形成されているインク流路パターン31は、隣接配置されている列の間では逆向きに形成されている。図5に示すように、隣接配置されているインクジェットヘッド1Aの後端と、インクジェットヘッド1Bの前端が向かい合う状態で形成されている。基板積層体36は、行方向に沿って切り代taで切断され、行方向に分離される。次に、これに直交する列方向に沿って切り代tdで切断される。
【0037】
切断位置となるインクジェットヘッドの後端および前端は、所定の余長部分tb、tcを持ってこれらを構成する共通室用凹部18およびノズル溝11がパターニングされている。本例では、シリコンウエハ32に形成された共通室用凹部18の余長部分18aに、シリコンウエハ32を厚さ方向に貫通させた貫通穴41を予め形成してある。貫通穴41は、各インク流路パターン毎に形成してある。これらの貫通穴41は、インク流路パターン31の形成時に同時に形成することができる。
【0038】
また、電極ガラス基板33の余長部分33aの表面には、上記の貫通穴41に連通した所定深さの連通溝42が行方向(切り代taに沿った方向)が形成され、切り代tdの位置まで延びている。さらに、この切り代tdとされる電極ガラス基板33の表面には、当該切り代に沿って延びる連通溝43が形成されている。この連通溝43の少なくとも一端は、電極ガラス基板33の外周端まで延びて外部に露出している。また、この連通溝43は、これに直交している各連通溝42にそれぞれ連通している。なお、連通溝42および43を、シリコン基板32の裏面に形成することも可能であり、また、一方の溝をシリコン基板に形成し、他方の溝を電極ガラス基板の表面に形成することも可能である。
【0039】
従って、シリコンウエハ32の表面に各ガラス基板35を陽極接合する工程においては、これらの間に形成される各インク流路は、それぞれ貫通穴41、連通溝42および連通溝43を介して外部に連通した状態が保持される。この結果、インク流路は大気開放状態に保持されるので、陽極接合時にインク流路内に密閉された空気が陽極接合後に冷却された収縮することに起因して、振動板12を撓ませてしまうという弊害を回避できる。
【0040】
また、本例では、これら貫通穴41、連通溝42、43は、個々のインクジェットヘッド1を切り出すことにより、同時に除去されることになる。
【0041】
なお、インクジェットヘッド1の行方向の切り出しは、例えば、ダイシング加工によって行うことができる。この場合、切り代taより若干幅の狭い砥石を用いて、共通室17の後端を基準に個々のインクジェットヘッドに分離した後、インクノズル11側の前端面を研磨し、撥水処理等の後処理を行えばよい。
【0042】
また、列方向の分離は、例えば、予め、行方向に隣接するインクジェットヘッド1A、1Bの間の切り代tdの部分に、スクライブ(溝)を形成しておけば、行方向に分離後、ノズル部の撥水処理を行った後、簡単に、短時間で、切断(ブレーク)できる。
【0043】
[実施例2]
実施例1では、基板積層体36から個々のインクジェットヘッド1を切り出す工程において、各インク流路を大気開放状態に保持するために設けた貫通穴41、連通溝42、43が同時に切除される。この代わりに、これらの部分、例えば貫通穴41および連通溝42をそのままインクジェットヘッドに残すことも可能である。
【0044】
この場合には、上記の実施例1において、切り代taの部分から外れた共通室用凹部18内の位置に貫通穴41を形成し、同じく切り代taの部分から外れた電極ガラス基板の表面に連通溝42を形成しておけばよい。図7には、このようにして構成したインクジェットヘッド1Cを示す分解斜視図である。
【0045】
この図に示すように、貫通穴41は共通室17の底面にそのまま残っており、連通溝42も電極ガラス基板3の後端にそのまま残っている。これらの部分41、42は、インクジェットヘッド1Cの後端に取り付けられるインク供給管(図1、2参照)からインク共通室17にインクを供給するための供給路の一部として利用することができる。なお、これ以外の構成は図1ないし6に示すインクジェットヘッド1の場合と同様であるので、図7における対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0046】
[実施例3]
次に、上記の各例では、陽極接合工程においてインク流路を大気開放状態に保持するための貫通穴および連通溝を基板積層体36における各インクジェットヘッドの後端側の部分に設けている。この代わりに、これらの部分を基板積層体36における各インクジェットヘッドの前端側に設けてもよい。
【0047】
図8および図9はかかる構成の基板積層体36Aの一部を示す平面構成図および分解斜視図であり、図9においては切除される部分を破線で示してある。なお、これらの図は、実施例1を示す図5、6に対応するものである。
【0048】
本例では、シリコンウエハ32Aにおける各インクジェットヘッドのインク流路パターンには、切り代taの部分に形成された貫通穴41Aが含まれている。この貫通穴41Aは、ノズル溝11の前端に連通していると共に、シリコンウエハを厚さ方向に貫通した状態で形成されている。
【0049】
また、電極ガラス基板33Aにおける各インクジェットヘッドの前端側の切り代部分taには、当該切り代部分taに沿って延びる連通溝42Aが形成されている。さらに、切り代部分taに直交している切り代部分tdの部分には当該部分に沿って連通溝43Aが形成されている。この連通溝43Aの少なくと一端は電極ガラス基板33Aの外周端まで延びて外部に連通していると共に、各連通溝42Aに連通している。
【0050】
本例においても、シリコンウエハ32Aの表面に各ガラス基板35Aを陽極接合する工程において、これらの間に形成される各インク流路は、そこに含まれる1本のインクノズル8から、貫通穴41A、連通溝42A、43Aを介して大気開放状態に保持される。よって、陽極接合によって振動板12に撓みが発生してしまうことを回避できる。また、これらの各部分は、基板積層体36Aから個々のインクジェットヘッドを切り出す際に同時に切除される。勿論、切り出し後に、個々のインクジェットヘッドから切除してもよい。なお、貫通および連通溝以外の構成は図1ないし6に示すインクジェットヘッドと同様であるので、図8、9においては対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略するものとする。
【0051】
(その他の実施の形態)
なお、上記の各例は本発明をインクジェットヘッドに適用したものであるが、本発明は、インク以外の液体の吐出を行う液体吐出ヘッドに対しても同様に適用可能なことは勿論である。
【0052】
インク以外の液体としては、具体的に、レジスト、有機EL材等を溶解した有機溶剤及び溶融金属並びにその合金などが適用可能である。
【0053】
また、上記の各例は前端にインクノズルが形成されたエッジイジェクトタイプのインクジェットヘッドの例であるが、インクノズルを上面から吐出すように構成されたフェイスイジェクトタイプのインクジェットヘッドに対しても同様に適用可能なことも勿論である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、複数のインクジェットヘッド用の液体流路パターンが形成されているシリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合する工程において、これらの間に形成される底面が振動板として機能する圧力室を含む液体流路を大気開放状態に保持するようにしている。
【0055】
従って、本発明によれば、陽極接合時に圧力室内に密閉された空気が陽極接合後に冷却収縮することに起因して圧力室の振動板に撓みを発生させることを防止できる。これにより、振動板の残留撓みに起因した各ノズルの液体吐出特性のばらつきを抑制あるいは回避でき、高印字品位の液体吐出ヘッドを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッドを一部切り欠いた状態で示す斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの縦断面図である。
【図3】図1のインクジェットヘッドの主要部分の分解斜視図である。
【図4】図1のインクジェットヘッドを作製するための基板積層体の構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4の基板積層体の一部を示す平面構成図である。
【図6】図4の基板積層体の一部を示す分解斜視図である。
【図7】本発明を適用した別の実施例を示す分解斜視図である。
【図8】本発明を適用した更に別の実施例を示す平面構成図である。
【図9】図8の実施例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C インクジェットヘッド
2 シリコン基板
3 電極ガラス基板
4 ガラス基板
6 インク供給管
8 インクノズル
11 ノズル溝
12 振動板
13 インク圧力室
14 圧力室用凹部
15 オリフィス
16 細溝
17 共通室
18 共通室用凹部
19 共通電極
21 凹部
22 個別電極
24 電極端子部
31 流路パターン
32 シリコンウエハ
33 電極ガラス基板
34 個別電極配線パターン
35 ガラス基板
36 基板積層体
41、41A 貫通穴
42、42A、43、43A 連通溝

Claims (6)

  1. 複数の液体流路パターンが表面にエッチングされているシリコン基板の裏面に、複数の個別電極配線パターンが表面に形成されている電極ガラス基板を積層し、
    前記シリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合により積層して、複数の液体吐出ヘッドが作り込まれた基板積層体を製作し、
    この基板積層体から個々の液体吐出ヘッドを切り出す工程を含み、
    前記シリコン基板の表面に前記ガラス基板を陽極接合する工程では、各液体流路パターンを大気開放状態に保持することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 複数の液体流路パターンが表面にエッチングされているシリコン基板の裏面に、複数の個別電極配線パターンが表面に形成されている電極ガラス基板を積層し、前記シリコン基板の表面にガラス基板を陽極接合により積層して、複数の液体吐出ヘッドが作り込まれた基板積層体を製作し、この基板積層体から個々の液体吐出ヘッドを切り出す液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記シリコン基板に、各液体流路パターンに連通している貫通穴を、各液体流路パターン毎に形成し、
    前記電極ガラス基板の表面あるいは前記シリコン基板の裏面をエッチングして、前記シリコン基板の裏面に前記電極ガラス基板を積層した状態において、各貫通穴に連通すると共に大気開放状態とされる連通溝を、各貫通穴毎に形成し、
    前記シリコン基板の表面に前記ガラス基板を陽極接合する工程では、各貫通穴および各連通溝を介して、各液体流路パターンを大気開放状態に保持することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 請求項2において、
    各液体流路パターンは、複数のノズルを形成するためのノズル溝と、各ノズルに連通している複数の圧力室を形成するための圧力室用凹部と、各圧力室に液体を供給する共通室を形成するための共通室用凹部とを含み、
    前記共通室用凹部に前記貫通穴を連通させることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 請求項2において、
    各液体流路パターンは、複数のノズルを形成するためのノズル溝と、各ノズルに連通している複数の圧力室を形成するための圧力室用凹部と、各圧力室に液体を供給する共通室を形成するための共通室用凹部とを含み、
    前記ノズルの少なくとも一つに前記貫通穴を連通させることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 請求項2、3または4において、
    前記シリコン基板における前記貫通穴が形成されている部分、および前記電極ガラス基板における前記連通溝が形成されている部分を、前記基板積層体から個々の液体吐出ヘッドを切り出す際、あるいは個々の液体吐出ヘッドを切り出した後に、切除することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 請求項3に記載の方法により製造された液体吐出ヘッドであって、
    前記連通溝および前記貫通穴を、外部から供給される液体を前記共通室に取り込むための液体取り込み口として用いることを特徴とする液体吐出ヘッド。
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