JP3791345B2 - 無線通信機の送信電力指示方法 - Google Patents

無線通信機の送信電力指示方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信信号に基づいて希望波信号電力と干渉波信号電力との信号電力比を求め、この信号電力比と目標電力比とに応じて送信電力の増加及び低減のうちいずれか一方を基地局に指示する無線通信機の送信電力指示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、3GPP・W−CDMAシステムにおいては、基地局から移動への送信信号(下りの送信信号)の物理チャネルは、図6に示すように、個別物理制御チャネル(DL DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)と、個別物理データチャネル(DL DPDCH:Dedicated Physical Data Channel)とから構成されている。一方、移動から基地局への送信信号(上りの送信信号)の物理チャネルは、個別物理制御チャネル(UL DPCCH)と、個別物理データチャネル(UL DPDCH)とから構成されている。
【0003】
ここで、下りの個別物理制御チャネル(DL DPCCH)としては、図7に示すように、パイロットシンボル(PILOT)、TPCデータ、データ(Dat1)等を時分割多重されて構成されている一方、上りの個別物理制御チャネル(UL DPCCH)としては、パイロットシンボル(PILOT)、TPCデータ、データ(Dat1)等を時分割多重されて構成されている。
【0004】
また、基地局及び移動の間の送信電力制御として、インナーループ電力制御が採用されており、インナーループ電力制御において、基地局は、移動局からの個別物理制御チャネル中のTPCデータの制御情報に基づいて、下りの個別物理制御チャネルの送信電力制御を行う。一方、移動局は、基地局からの個別物理制御チャネル中のTPCデータの制御情報に基づいて、上りの個別物理制御チャネルの送信電力制御を行う。
【0005】
以下、インナーループ電力制御について述べると、移動局は、基地局から送信された個別物理制御チャネルのパイロットシンボルを逆拡散し最大比合成して合成信号を求め、この合成信号に基づいてSIR(Signal−interference−Ratio)を測定する。この測定されたSIR(以下、測定SIRという)を目標SIR(target SIR)に対して評価してこの評価に基づいて上りの個別物理制御チャネルのTPCデータに制御情報を設定する。
【0006】
例えば、移動局において、目標SIRに比べて、測定SIRの方が大きいとき(目標値<測定SIR)、TPCデータをリセット(TPCビット=0)し、基地局は、下りの個別物理制御チャネルの送信電力を下げる。これにより、移動局において、回線品質(伝送品質)が目標値に比べて大きいとき、下りの個別物理制御チャネルの送信電力を下げるように基地局に指示することになる。
【0007】
一方、移動局において、測定SIRに比べて目標値の方が大きいとき(目標値>測定SIR)、TPCデータをセット(TPCビット=1)して、基地局は、下りの個別物理制御チャネルの送信電力を上げる。これにより、移動局において、回線品質(伝送品質)が目標値に未到達であるとき、下りの個別物理制御チャネルの送信電力を上げるように基地局に指示することになる。
【0008】
このように、インナーループ電力制御では、測定SIRが目標値(target SIR)に近づくようにすることにより、回線品質と送信電力とが適正に保たれる。なお、インナーループ電力制御では、SIRにより無線レベルで回線品質を制御するもので、この無線レベルの回線品質は、データレベルでの回線品質、データの信頼性とは異なる。
【0009】
ここで、上述した測定SIRの目標値は、以下に述べる移動局のアウタループ電力制御にて決められる。このアウタループ電力制御は、インナーループ電力制御で無線の回線品質が保たれている状態で、複数の受信データブロックを用いて行われる。この受信データブロックは、個別物理データチャネル(UL DPDCH)に基づいてチャネルコーディング処理されたもので、複数個の情報ビットと複数のCRCビット(誤り検査ビット)とから構成されている。
【0010】
先ず、アウタループ電力制御では、複数の受信データブロックのうち、エラー(CRCエラー)を生じているデータブロック(以下、エラーブロックという)の数が測定されるとともに、この測定されたエラーブロックの数に対する受信データブロックの数の測定誤り率:BLER(Block Error Rate)が測定される。この測定誤り率:BLERは、{(エラーブロックの数)/受信データブロックの数}を示す。
【0011】
次に、上記測定された測定誤り率:BLERをその目標誤り率(targetBLER)に対して評価してこの評価に基づいて、目標SIRを更新する。ここで、目標誤り率は、移動局が基地局から報知信号で指示されて、測定誤り率の方が目標誤り率に比べて大きいとき、(測定誤り率>目標誤り率)、目標値SIRを大きくするように更新する。一方、測定誤り率の方に比べて目標誤り率の方が大きいとき(測定誤り率<目標誤り率)、目標値SIRを小さくするように更新する。このように、SIRの目標値を更新することにより、無線レベルでの回線品質が制御されることにより、データレベルの回線品質が制御される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した3GPP・W−CDMAシステムにおいて、目標誤り率としては、図8に示すように規定されており、例えば、目標誤り率(targetBLER)として「1/10715」{=「−4.030」}が基地局から指示されたとき、目標SIRを更新するには、最低でも10715個のデータブロックを受信する必要がある。こののため、10715個のデータブロックを受信する期間にて、アウタループ電力制御が停止されると、アウタループ電力制御の停止期間中にて、回線品質が劣化し通信が切断する場合も考えられる。
【0013】
本発明は、上記点に鑑み、短期間で目標電力比を更新できる無線通信機の送信電力指示方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、受信信号に基づいて希望波信号電力と干渉波信号電力との信号電力比を求め、この信号電力比と目標電力比とに応じて送信電力の増加及び低減のうちいずれか一方を基地局に指示する無線通信機の送信電力指示方法であって、受信信号を復調して得られたデータブロックの目標誤り率を、基地局からの指示として受ける第1のステップ(400)と、目標誤り率から定まる母数未満のデータブロックが受信されるように選択された所定期間毎にデータブロックの受信数および受信したデータブロックのうちエラーを生じているデータブロックの数であるエラー数求めるとともに、所定期間毎の受信数を累積した累積受信数および所定期間毎のエラー数を累積した累積エラー数を求める第2のステップ(220)と、第2のステップにて受信数およびエラー数の累積を行った後、累積受信数と目標誤り率とから定まると比べて、累積エラー数の方が大きいか否かを判定する第3のステップ(240)と、第3のステップにて累積エラー数の方が大きいと判定されたとき、送信電力を増加させるように目標電力比を更新するとともに、第2のステップによる受信数およびエラー数の累積を新たな所定期間から開始させる第4のステップ(250、260)と、目標誤り率から定まる母数より大きい所定数以上のデータブロックを受信したか否かを判定する第5のステップ(270)と、第5のステップにて所定数以上のデータブロックを受信したことを判定し、かつ測定誤り率が目標誤り率より小さい関係にあることを判定すると、送信電力を低減させるように目標電力比を更新するとともに、第2のステップによる受信数およびエラー数の累積を新たな所定期間から開始させる第6のステップ(280〜310)とを有することを特徴とする。
【0015】
このように、データブロックを目標誤り率から定まる母数分受信することに先だち、累積エラー数が、累積受信数と目標誤り率とから定まる値より大きいときに、送信電力を増加させるように目標電力比を更新することができ、また目標誤り率から定まる母数より大きい所定数以上のデータブロックを受信し、かつ測定誤り率が目標誤り率より小さい関係にあるときに、送信電力を低減させるように目標電力比を更新しているから、信頼性の高い判定に基づいて送信電力を低減させるように目標電力比を更新することができる
【0016】
なお、請求項2に記載の発明のように、第4のステップは、目標電力比を一定レベルだけあげるように目標電力比を更新するようにしてもよく、請求項3に記載の発明のように、第6のステップは、測定誤り率と目標誤り率との差に応じた値だけ目標電力比を下げるように目標電力比を更新するようにしてもよい。また、請求項4に記載の発明のように、第5のステップは、累積受信数と目標誤り率とから定まる値が所定数に相当する値以上であるか否かにより、目標誤り率から定まる母数より大きい所定数以上のデータブロックを受信したか否かを判定するようにしてもよい。
【0020】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に本発明に係るW−CDMAの移動局の一実施形態を示す。図1は、移動局の電気回路構成を示すブロック図である。なお、基地局において、下りの個別物理制御チャネルと下りの個別物理データチャネルとを時分割多重し、この多重信号を、スペクトル拡散されたものを送信信号として移動局に送信する。基地局でのスペクトル拡散にあたっては、スクランブルコード及びチャネライゼイションコードといった拡散コードが採用されている。また、移動局としては、携帯電話(無線通信装置)が採用されている。
【0022】
先ず、移動局は、受信アンテナ10、受信系RF部20、RAKE受信器30、デモジュレータ40、デインターリーブ41、レートマッチング42、チャネルコーディング43、BLER測定部44、アウターループ送信電力制御部50、SIR評価部60、エンコード71、レートマッチング72、インターリーブ73、チャネルコーディング74、DPCCH設定部80、拡散部90、送信系RF部100、及び、送信アンテナ110から構成されている。
【0023】
受信アンテナ10は、基地局からの送信された信号Rxを電波を媒体として受信し、受信系RF部20は、受信アンテナ10の受信信号Rxを直交検波して検波信号の実部、虚部を出力する。RAKE受信器30は、検波信号の実部、虚部に応じて合成信号を求める。具体的には、RAKE受信器30は、符号発生器31、相関器32〜34、及び、合成器35を有する。符号発生器31は、相関器32〜35のそれぞれに、スクランブルコード及びチャネライゼイションコードを出力する。相関器32〜34は、受信パス毎に、検波信号の実部、虚部とスクランブルコードとの第1の相関値を求めこの第1の相関値とチャネライゼイションコードとの第2の相関値を出力する。
【0024】
例えば、相関器32は、第1の受信パス分の検波信号の実部、虚部とスクランブルコードとの第1の相関値を求めこの第1の相関値とチャネライゼイションコードとの第2の相関値を出力する。相関器33は、第2の受信パス分の検波信号の実部、虚部とスクランブルコードとの第1の相関値を求めこの第1の相関値とチャネライゼイションコードとの第2の相関値を出力する。相関器34は、第3の受信パス分の検波信号の実部、虚部とスクランブルコードとの第1の相関値を求めこの第1の相関値とチャネライゼイションコードとの第2の相関値を出力する。
【0025】
なお、スクランブルコードは、Scrambling codeを示し、チャネライゼイションコードは、Channelization codeを示す。
【0026】
合成器35は、相関器32〜34の各々からの第2の相関値を最大比合成し合成信号を出力する。ここで、上述の如く、基地局からの送信信号は、下りの個別物理制御チャネル(DPCCH)と下りの個別物理データチャネル(DPDCH)とを時分割多重されたものであるため、合成器35で、上記合成信号を個別物理制御チャネルと個別物理データチャネルとに分離して出力する。このように、個別物理制御チャネルは、個別物理データチャネルとともに、受信信号を復調して得られ得る。
【0027】
デモジュレータ40は、合成器35から個別物理データチャネルの実部、虚部の双方をシリアルのビットデータに変換する。デインターリーブ41は、デモジュレータ40の出力データをデインターリーブ処理し、レートマッチング42は、デインターリーブ処理されたデータをレートマッチング処理する。チャネルコーディング43は、レートマッチング処理されたデータをコーディング処理して受信データブロック(トランスポートブロック)を出力する。
【0028】
BLER測定部44は、複数の受信データブロックのうちのエラーブロックの数を測定するとともに、測定誤り率:BLERを測定する。アウターループ送信電力制御部50は、測定誤り率:BLERと目標誤り率(target BLER)とを比較してその比較に応じて目標SIRを更新する。
【0029】
ここで、目標誤り率は、基地局から報知信号で通知されたもので、アウターループ送信電力制御部50においては、目標SIRの初期値が目標誤り率に対応付けて記憶されており、目標誤り率が基地局から通知されると、この通知された目標誤り率に対応する目標SIRの初期値をSIR評価部60に出力する。
【0030】
SIR評価部60は、下り個別物理制御チャネル中のパイロットシンボル(図中、PILOTにて示す)に応じてSIRを測定するとともに、このSIR(以下、測定SIRという)を目標SIRに対して評価してその評価を、後述する如く、DPCCH設定部80に出力する。
【0031】
但し、測定SIRは、上述の如く、上記パイロットシンボル(受信信号)における希望波信号電力と干渉波信号電力との信号電力比である。希望波信号電力としては、所定期間におけるパイロットシンボルの実部、虚部の平均の二乗和として求められ、干渉波電力としては、所定期間におけるパイロットシンボルの実部、虚部の平均値とパイロットシンボルの実部、虚部との分散として求められる。
【0032】
また、DPCCH設定部80は、SIR評価部60の評価に応じて、上りの個別物理制御チャネル(UL DPCCH)のTPCデータに制御情報を設定する。すなわち、DPCCH設定部80は、SIR評価部60とともに、インナーループ送信電力制御を行うことになる。
【0033】
拡散部90には、個別物理制御チャネル(UL DPCCH)が入力信号の実部Iとして入力されるとともに、個別物理データチャネル(UL DPDCH)が入力信号の虚部Qとして入力される。そして、拡散部90は、入力信号I、Qをそれぞれ異なるチャネライゼイションコードでスペクトル拡散し、その拡散された信号をスクランブルコードでスペクトル拡散するとともに、そのスクランブルコードで拡散された信号を直交変調する。また、送信系RF部100は、拡散部90からの出力を周波数変調して送信アンテナ110から電波を媒体として出力させる。
【0034】
なお、上りの個別物理データチャネル(DPDCH)は、送話データ(或いは、通信データ)をエンコード71、レートマッチング72、インターリーブ73、及び、チャネルコーディング74等によって処理されたものである。
【0035】
以下、本実施形態の作動において図2〜図5を参照して説明する。図2、図3は、アウターループ送信電力制御部50の作動を示すフローチャートである。図4は、インナーループ送信電力制御及びアウターループ送信電力制御を説明するための図で、図5は、アウターループ送信電力制御を説明するための図である。
【0036】
先ず、アウターループ送信電力制御部50は、基地局からの目標誤り率を受けると(図4中、矢印400に示す)、アウターループ送信電力制御の処理を開始するとともに、上記目標誤り率に対応する目標SIRの初期値をSIR評価部60に出力する。このため、SIR評価部60は、目標SIRの初期値を受け、インナーループ送信電力制御の処理を開始するため、インナーループ送信電力制御は、アウターループ送信電力制御と並列的に実行される。
【0037】
SIR評価部60においては、目標SIRの方が測定SIRに比べて大きいとき、上りの個別物理制御チャネルのTPCデータをセットする。すると、基地局は、上りの個別物理制御チャネルを受け、下りの個別物理制御チャネルの送信電力を「1db」上げる。その後、目標SIRの方が測定SIRに比べて小さくなると、SIR評価部60は、TPCデータをリセットするため、基地局は、上りの個別物理制御チャネルを受け、下りの個別物理制御チャネルの送信電力を「1db」下げる。従って、測定SIRが目標値SIRに近づくようにすることにより、下りの個別物理制御チャネルの送信電力が適正に保たれる。
【0038】
ここで、アウターループ送信電力制御部50は、図2、図3に示すフローチャートに従って、アウターループ送信電力制御の処理を実行する。例えば、目標誤り率として「1/10715」が基地局から指示されたとき、「10715」は、受信データブロックの目標誤り率の母数となる。この母数は、目標誤り率の逆数となる。
【0039】
先ず、ステップ200にて、受信期間T:640msをTminとして設定すると(Tmin=640ms)、ステップ210に進んで、640ms経過したか否かを判定する。そして、640ms経過したとき、640msの間にて受信された受信データブロックの受信数:Nallを求めるとともに、これら受信データブロックのうちのエラーブロックの数:Nerr算出する(ステップ220)。但し、Tmin(640ms)としては、目標誤り率の母数「10715」未満の受信データブロックが受信されるように選択されている。
【0040】
次に、受信データブロックの数:Nall数式1に代入して判定エラー数:Nを算出する(ステップ230)
【0041】
【数1】
N={(Nall)/(1/target BLER)}+1
この判定エラー数:Nは、上記母数分の受信データブロックの受信に先だって、エラーブロックの数:Nerrを用いて測定誤り率と目標誤り率とを比較する為の閾値であって、目標誤り率と受信データブロックの受信数:Nallとに応じて変わる。この判定エラー数:Nは、小数点以下を切り捨てた整数となる。例えば、目標誤り率として「1/10715」が基地局から指示されたときには、判定エラー数:N=「1」となる。
【0042】
次に、エラーブロックの数:Nerrと判定エラー数:Nとを比較して(ステップ240)、エラーブロックの数:Nerrの方が判定エラー数:Nに比べて大きいとき(Nerr≧N)、ステップ250に進んで、回線品質(送信電力)を上げるように目標SIRを更新する。すなわち、目標SIRの値を「a」dbだけ上げてSIR評価部60に設定する。例えば、「a」として、「1」が採用される。その後、ステップ260にて、640msをTminとして設定してステップ210に進むため、その後、目標SIRの更新後、新に、受信された受信データブロックに基づいて目標SIRを更新する。
【0043】
次に、ステップ240にて、エラーブロックの数:Nerrの方が判定エラー数:Nに比べて小さいとき(Nerr<N)、ステップ270に進んで、判定エラー数:Nと安定度判定値:M(例えば、M=10)とを比較する。例えば、受信データブロックの目標誤り率の母数を「10715」として、安定度判定値:Mを「10」とすると、判定エラー数:Nの方が、安定度判定値:Mに比べて大きくなるには、受信データブロックの受信数:Nallが「107150」以上(図5に示す例では、Nall=「107200」と示す)であることが必要である。
【0044】
次に、ステップ270にて、判定エラー数:Nの方が、安定度判定値:Mに比べて大きいとき、ステップ280に進み、目標誤り率(target BLER)と測定誤り率:BLERとを数式2に代入し比率差:ΔBLERを求める。
【0045】
【数式2】
ΔBLER=log10(target BLER)−log10(BLER)
次に、ステップ290にて、比率差:ΔBLERの方が設定値{例えば、「1」db}に比べて大きいか否かを判定し、比率差:ΔBLERの方が設定値に比べて大きいとき、ステップ300に進んで、回線品質(送信電力)を下げるように目標SIRを更新する。すなわち、目標SIRの値を(比率差:ΔBLER)×(b)「db」だけ下げてSIR評価部60に設定する。例えば、「b」として、「1」が採用されている。その後、ステップ31にて、640msをTminとして設定してステップ210に進むため、その後、目標SIRの更新後に、新に、受信された受信データブロックに基づいて目標SIRを更新する。
【0046】
ここで、回線品質(送信電力)を下げるように目標SIRを更新するには、信頼性のある判定が必要である。そこで、安定度判定値:Mは、受信データブロックの受信数:Nallが信頼性の有る値(例えば、母数以上の数)か否かを判定する閾値の役割を果たす。
【0047】
次に、ステップ290にて、比率差:ΔBLERの方が「1db」に比べて小さいとき、ステップ320に進んで、目標SIRの更新を禁止し、受信期間TをTminづつ継続して、再び、ステップ250(或いは、ステップ300)に進むと、目標SIRの更新を、先だって受信された受信データブロックに基づいて行う。
【0048】
すなわち、再度、ステップ210に進んで、640ms経過したか否かを判定する。そして、640ms経過したとき、ステップ220に進む。この640msの間にて受信された受信データブロックの受信数を求め、この求められた受信数を、先回の受信データブロックの受信数に累積して受信数(累積受信数):Nallを求めるともに、この受信数:Nallの受信データブロックのうちのエラーブロックの数(累積エラー数):Nerr算出する。
【0049】
その後、ステップ230〜260の処理が上述と同様に成され、ステップ210に進むと、640ms経過したか否かを判定する。この640ms経過したとき、ステップ220に進む。この640msの間にて受信された受信データブロックの数を受信数Nallとして求めるともに、この受信数:Nallの受信データブロックのうちのエラーブロックの数:Nerr算出する。
【0050】
また、ステップ230〜260の処理が成されるのではなく、ステップ230〜310の処理が成され、ステップ210に進むと、640ms経過したか否かを判定する。この640ms経過したとき、ステップ220に進む。この640msの間にて受信された受信データブロックの数を受信数Nallとして求めるともに、この受信数:Nallの受信データブロックのうちのエラーブロックの数:Nerr算出する。
【0051】
以上のように、一旦、目標SIRの値を設定すると、その後、640ms間の受信数Nallとエラーブロックの数:Nerrとを求め、この求められた受信数Nallとエラーブロックの数:Nerrとによってステップ230〜320の処理を行う。
【0052】
例えば、図5に示す例では、受信データブロックの受信開始後、複数回ステップ290、ステップ320に進むことにより、受信開始後の受信データブロックの受信数Nall:が「107200」になったとき、スッテプ300に進むと、107200個の受信データブロックに基づいて目標SIRの更新が行われることになる。
【0053】
以下、本実施形態の特徴につき述べる。受信データブロックを母数(例えば、10715個)分受信することに先だって、エラーブロックの数:Nerrの方が判定エラー数:Nに比べて大きいとき、目標電力比を更新するため、データブロックを母数分受信してから目標電力比を更新する場合に比べて、短期間で目標電力比を更新できる。
【0054】
なお、本発明の実施にあたり、移動局としては、携帯電話に限らず、自動車電話等の無線通信装置を適用してもよい。さらに、本発明の実施にあたり、M、a、bは何れの値を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の移動局の電気回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すアウターループ送信電力制御部の作動の一部を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すアウターループ送信電力制御部の作動の残りを示すフローチャートである。
【図4】上記一実施形態に係るインナーループ送信電力制御及びアウターループ送信電力制御を説明するための図である。
【図5】上記一実施形態のアウターループ送信電力制御を説明するための図である。
【図6】基地局及び移動局間の個別物理チャネルを説明するための図である。
【図7】個別物理制御チャネルのフォーマットを示す図である。
【図8】目標誤り率を示す図表である。
【符号の説明】
50…アウターループ送信電力制御部。

Claims (4)

  1. 受信信号に基づいて希望波信号電力と干渉波信号電力との信号電力比を求め、この信号電力比と目標電力比とに応じて送信電力の増加及び低減のうちいずれか一方を基地局に指示する無線通信機の送信電力指示方法であって、
    前記受信信号を復調して得られたデータブロックの目標誤り率を、前記基地局からの指示として受ける第1のステップ(400)と、
    前記目標誤り率から定まる母数未満の前記データブロックが受信されるように選択された所定期間毎に前記データブロックの受信数および受信したデータブロックのうちエラーを生じているデータブロックの数であるエラー数求めるとともに、前記所定期間毎の受信数を累積した累積受信数および所定期間毎のエラー数を累積した累積エラー数を求める第2のステップ(220)と、
    前記第2のステップにて前記受信数および前記エラー数の累積を行った後、前記累積受信数と前記目標誤り率とから定まると比べて、前記累積エラー数の方が大きいか否かを判定する第3のステップ(240)と、
    前記第3のステップにて前記累積エラー数の方が大きいと判定されたとき、前記送信電力を増加させるように前記目標電力比を更新するとともに、前記第2のステップによる前記受信数および前記エラー数の累積を新たな前記所定期間から開始させる第4のステップ(250、260)と、
    前記目標誤り率から定まる母数より大きい所定数以上のデータブロックを受信したか否かを判定する第5のステップ(270)と、
    前記第5のステップにて前記所定数以上のデータブロックを受信したことを判定し、かつ測定誤り率が前記目標誤り率より小さい関係にあることを判定すると、前記送信電力を低減させるように前記目標電力比を更新するとともに、前記第2のステップによる前記受信数および前記エラー数の累積を新たな前記所定期間から開始させる第6のステップ(280〜310)とを有することを特徴とする無線通信機の送信電力指示方法。
  2. 前記第4のステップは、前記目標電力比を一定レベルだけあげるように前記目標電力比を更新することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機の送信電力指示方法。
  3. 前記第6のステップは、前記測定誤り率と前記目標誤り率との差に応じた値だけ前記目標電力比を下げるように前記目標電力比を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信機の送信電力指示方法。
  4. 前記第5のステップは、前記累積受信数と前記目標誤り率とから定まる値が前記所定数に相当する値以上であるか否かにより、前記目標誤り率から定まる母数より大きい所定数以上のデータブロックを受信したか否かを判定することを特徴とする請求項1ないしいずれか1つに記載の無線通信機の送信電力指示方法。
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