JP2004088635A - 無線通信装置および送信電力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止すること。
【解決手段】目標SIR設定部160は、送信電力制御開始時などは、サービスごとの初期目標SIRを目標SIRとして設定する。初期目標SIR記憶部170は、サービスごとの初期目標SIRを記憶しており、送信電力制御開始時などに、伝送されるサービスに対応する初期目標SIRを目標SIR設定部160へ出力する。サービス検出部200は、送信電力制御開始時などに、無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、サービス情報取得部202は、上位レイヤにおいて保持されているサービスの情報を取得し、このサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。
【選択図】 図1
【解決手段】目標SIR設定部160は、送信電力制御開始時などは、サービスごとの初期目標SIRを目標SIRとして設定する。初期目標SIR記憶部170は、サービスごとの初期目標SIRを記憶しており、送信電力制御開始時などに、伝送されるサービスに対応する初期目標SIRを目標SIR設定部160へ出力する。サービス検出部200は、送信電力制御開始時などに、無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、サービス情報取得部202は、上位レイヤにおいて保持されているサービスの情報を取得し、このサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信装置および送信電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムにおいては、割り当てられた周波数帯を利用して多数の局が相互に通信を行うマルチプルアクセス(多元接続)方式の1つとして、スペクトル拡散通信を用いたCDMA(符号分割多元接続)方式がある。CDMA方式とは、情報変調されたデータに拡散符号を乗算し、広帯域に拡散して送信を行い、受信側においては、送信側と同じ拡散符号を送信側と同じタイミングで受信信号に乗算(逆拡散)することにより通信を行う方式である。このようにしてデータを広帯域に拡散することにより、受信側は、到来してくる遅延時間の異なる受信信号を分離し、合成(RAKE合成)することができ、高品質かつ大容量な伝送を行うことが可能となる。
【0003】
CDMA方式では、同一周波数を用いて同一時間に複数のユーザが通信を行うため、通信相手となるユーザが遠方に位置し、通信相手以外の干渉局となるユーザが近くに位置する場合に、各ユーザが同一パワで送信を行うと、受信側においては、干渉局からの信号レベルの方が大きくなり、処理利得だけでは拡散符号間の相互相関を抑圧できないため通信不能となる。これを防ぐために、CDMA方式を用いた無線通信システムでは、送信電力制御(TPC:Transmission Power
Control)が行われることがある。
【0004】
送信電力制御の代表的なものとして、受信SIR(Signal to Interference Ratio:信号対干渉波比)に基づくクローズドループ型の送信電力制御がある。クローズドループ型の送信電力制御では、受信側は、例えば受信SIRなどの受信品質を測定し、測定された受信SIRが目標とする目標SIRに比べて大きければ送信で力を下げさせるコマンドを、小さければ送信電力を上げさせるのコマンドを送信電力制御コマンドとして送信側へ送信する。送信側は、送信電力制御コマンドに従って送信電力を変更して信号を送信する。こうして、受信側における受信SIRが常に目標SIRに保たれるように送信電力が制御される。
【0005】
実際の伝搬路においては、マルチパス数やフェージング変動の速度などの時間変動に伴い、RAKE合成のパスダイバーシチ効果、誤り訂正符号化のインタリーブ効果、送信電力制御コマンドの誤り、およびSIR測定誤差などが異なるため、例えば誤り検出の単位であるデータブロックごとの誤り率(BLER:BLock Error Rate)などの信号品質を一定の値に保とうとしても、目標SIRは一定値にはならない。したがって、環境に応じて目標SIRを補正する必要が生じる。この補正を行う制御が、例えば「DS−CDMA送信電力制御におけるパイロットシンボルを用いた受信SIR測定法」(電子情報通信学会技術報告、RCS96−74、1996−08)などに記載されているアウタループ送信電力制御である。
【0006】
アウタループ送信電力制御においては、受信側は、データに付加されている誤り検出符号を用いることにより誤り検出を行い、その結果からBLERを推定する。そして、推定されたBLERと所望のBLERとを比較し、推定されたBLERの方が高かった場合(所望の信号品質を満たしていない場合)は目標SIRを上げ、推定されたBLERの方が低かった場合(過剰品質である場合)は目標SIRを下げる。このように、送信側と通信を行っていく過程で目標SIRが更新されていく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のアウタループ送信電力制御においては、伝送されるデータがいかなるものであっても、目標SIRの初期値は同じ値である。すなわち、音声データ、回線交換型データ、またはパケット交換型データなど、サービスが異なる場合でも、目標SIRは同一の初期値を起点として、所望のBLERを満たすことができる目標SIRへと収束するようになっている。したがって、所望のBLERを満たすための目標SIR値、目標品質、データの発生頻度がサービスによって異なるため、サービスによっては、目標SIRの収束時間が長くなったり、過剰品質となる送信電力で信号が送信され、他のユーザに対する干渉の影響が大きくなったり、データの発生確率が低いサービスでは所望の品質になる前に呼切断が発生するという問題がある。
【0008】
以下、この問題の具体例について説明する。
【0009】
図5は、2つの異なるサービスについて、目標SIRに対する平均BLER特性の一例を示している。同図において、例えば平均BLERの値をEにするためには、曲線10によって示されるサービスについては目標SIRの値をS1に収束させ、曲線20によって示されるサービスについては目標SIRの値をS2に収束させる必要がある。すなわち、所望の信号品質が同じ場合でも、その信号品質を達成するための目標SIRはサービスによって異なっている。それにもかかわらず、目標SIRの初期値はサービスごとに変更されることがないため、目標SIRの収束すべき値が初期値よりも大きく離れている場合には、収束時間が長くなる。
【0010】
つまり、例えば図6(a)と図6(b)に示すように、目標SIRが収束すべき値(各図中点線で示す)が異なっているにもかかわらず、目標SIRの初期値はIで共通であるため、図6(a)に示すサービスは、図6(b)に示すサービスに比べ、目標SIRの収束時間TA’が長くなり、その間余分なパワが送信され、他のユーザに対する干渉が生じたり、通信が行えるまでの時間が長くなるという問題がある。
【0011】
また、図6(d)は、データがバースト的に発生するサービスの目標SIRの収束特性を示す。同図に示すサービスにおいては、データがバースト的に発生するため、BLERの推定に時間がかかり、目標SIRの初期値が低いと、呼確立するまでの時間が長くなり(目標SIRの収束時間が長くなり)、データの再送制御の最大回数までに通信が行えず、呼確立時において呼切断が発生することがある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる無線通信装置および送信電力制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信装置は、所望の受信信号品質を得るために、送信電力制御のための目標受信品質を更新する無線通信システムにおいて用いられる無線通信装置であって、伝送されるデータの種別を検出する検出手段と、検出されたデータ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定する設定手段と、を有する構成を採る。
【0014】
この構成によれば、伝送されるデータの種別を検出し、データ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定した上で、この目標受信品質を更新するため、伝送されるデータの種別(すなわち、サービス)ごとに目標受信品質の初期値が異なり、目標受信品質が、所望の信号品質を得るための目標受信品質に収束するまでの時間を短縮することができ、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0015】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、自装置の上位レイヤへ通知されるデータ種別情報を取得することによりデータ種別を検出する構成を採る。
【0016】
この構成によれば、自装置の上位レイヤへ通知されるデータ種別情報を取得することによりデータ種別を検出するため、伝送されるサービスを確実に検出することができる。
【0017】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる目標受信信号品質を検出する目標受信信号品質検出部、を有し、検出された目標受信信号品質に応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0018】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号の符号化に関する情報を検出する符号化検出部、を有し、検出された符号化情報に応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0019】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号のスロットフォーマットを検出するスロットフォーマット検出部、を有し、検出されたスロットフォーマットに応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0020】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号の符号化に関する情報を検出する符号化検出部と、前記受信信号のスロットフォーマットを検出するスロットフォーマット検出部と、を有し、検出された符号化情報およびスロットフォーマットに応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0021】
これらの構成によれば、上位レイヤから下位レイヤへの情報の伝達を行う必要がなく、簡易な装置構成でサービスの検出を実現することができる。
【0022】
本発明の無線通信装置は、前記設定手段は、データ種別ごとに目標受信品質の初期値を記憶する初期目標受信品質記憶部と、前記初期目標受信品質のうち、伝送されるデータ種別に対応する初期目標受信品質を目標受信品質の初期値として設定し、受信信号品質に応じて当該目標受信品質を更新する目標受信品質設定部と、を有する構成を採る。
【0023】
この構成によれば、データ種別ごとに記憶された初期目標受信品質を目標受信品質の初期値として設定し、受信信号品質に応じて当該目標受信品質を更新するため、所望の受信信号品質が得られるように、目標受信品質への収束時間を短くすることができる。
【0024】
本発明の無線通信装置は、前記目標受信品質設定部は、伝送されるデータ種別に応じた更新幅で目標受信品質を更新する構成を採る。
【0025】
この構成によれば、伝送されるデータ種別に応じた更新幅で目標受信品質を更新するため、目標受信品質の収束すべき値が環境に応じてあまり変化しない場合は、更新幅を小さくしてきめ細かな制御を行うことができるとともに、収束すべき値が環境に応じて大きく変化する場合は、更新幅を大きくして収束時間を短縮することができる。
【0026】
本発明の無線通信装置は、前記設定手段は、検出されたデータ種別がバーストデータであった場合に、目標受信品質の初期値を高めに設定する構成を採る。
【0027】
この構成によれば、検出されたデータ種別がバーストデータであった場合に、目標受信品質の初期値を高めに設定することにより、目標受信品質への収束時間が長い場合においても、データの伝送成功確率を高くし、データの再送制御の最大回数に達する前に呼確立が成功する確率が高くなり呼確立時における呼切断を防止することができる。
【0028】
本発明の無線通信装置は、前記設定手段は、検出されたデータ種別が連続データであった場合に、目標受信品質の初期値を低めに設定する構成を採る。
【0029】
この構成によれば、検出されたデータ種別が連続データであった場合に、目標受信品質の初期値を低めに設定することにより、通信開始時においてデータの送信側が必要以上に高い送信電力でデータを送信することを防止でき、他局への干渉の影響を抑制することができる。
【0030】
本発明の通信端末装置は、上記のいずれかに記載の無線通信装置を有する構成を採る。
【0031】
この構成によれば、上記のいずれかに記載の無線通信装置と同様の作用効果を通信端末装置において実現することができる。
【0032】
本発明の基地局装置は、上記のいずれかに記載の無線通信装置を有する構成を採る。
【0033】
この構成によれば、上記のいずれかに記載の無線通信装置と同様の作用効果を基地局装置において実現することができる。
【0034】
本発明の送信電力制御方法は、所望の受信信号品質を得るために、送信電力制御のための目標受信品質を更新する無線通信システムにおいて用いられる送信電力制御方法であって、伝送されるデータの種別を検出するステップと、検出したデータ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定するステップと、を有するようにした。
【0035】
この方法によれば、伝送されるデータの種別を検出し、データ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定した上で、この目標受信品質を更新するため、伝送されるデータの種別(すなわち、サービス)ごとに目標受信品質の初期値が異なり、目標受信品質が、所望の信号品質を得るための目標受信品質に収束するまでの時間を短縮することができ、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、無線通信システムにおいて伝送されるサービスの種類を検出し、検出されたサービスの種類に応じて送信電力制御のための目標受信品質の初期値を設定することである。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。同図に示す無線通信装置は、アウタループ送信電力制御を行う無線通信システムにおいて用いられるため、所望の信号品質を達成するための目標受信品質を常に更新する。
【0039】
図1に示す無線通信装置は、RF(Radio Frequency)部100、復調部110、誤り検出部120、BLER(BLock Error Rate)推定部130、SIR(Signal to Interference Ratio)測定部140、SIR比較部150、目標SIR設定部160、初期目標SIR記憶部170、TPC(Transmission Power Control)コマンド生成部180、送信データ生成部190、およびサービス検出部200を有しており、サービス検出部200は、サービス情報取得部202を含んでいる。
【0040】
RF部100は、アンテナを介して送受信されるデータに対して所定の無線処理(ダウンコンバート、アップコンバート、A/D変換、およびD/A変換など)を行う。復調部110は、受信データを復調する。誤り検出部120は、受信データのブロックごとに付加されている、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)などの誤り検出符号を用いて、受信データの誤り検出を行う。BLER推定部130は、誤り検出の結果を用いて、ブロックごとの誤り率(BLER)を推定し、BLERを目標SIR設定部160へ通知する。ここで、誤り検出の単位であるブロックごとに推定されたBLERは、信号品質を示す指標となる。
【0041】
SIR測定部140は、受信データの受信品質として受信SIRを測定する。SIR比較部150は、受信SIRと目標SIRとを比較し、比較結果をTPCコマンド生成部180へ通知する。目標SIR設定部160は、送信電力制御のための目標SIRを保持しており、BLER推定部130から通知されたBLERと所望のBLERとを比較し、BLER推定部130によって推定されたBLERの方が高かった場合(所望の信号品質を満たしていない場合)は目標SIRを上げ、推定されたBLERの方が低かった場合(過剰品質である場合)は目標SIRを下げる。また、目標SIR設定部160は、送信電力制御開始時などは、初期目標SIR記憶部170によって記憶されているサービスごとの初期目標SIRを目標SIRとして設定する。初期目標SIR記憶部170は、サービス検出部200によって検出されるサービスごとの初期目標SIRを記憶しており、送信電力制御開始時などに、伝送されるサービスに対応する初期目標SIRを目標SIR設定部160へ出力する。
【0042】
TPCコマンド生成部180は、SIR比較部150による比較の結果、受信SIRが目標SIRより高ければ、送信電力を下げる旨のTPCコマンドを、受信SIRが目標SIRより低ければ、送信電力を上げる旨のTPCコマンドをそれぞれ生成する。送信データ生成部190は、TPCコマンドを含む送信データを生成し、RF部100からアンテナを介して送信する。
【0043】
サービス検出部200は、送信電力制御開始時などに、本実施の形態の無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、サービス情報取得部202は、上位レイヤにおいて保持されているサービスの情報を取得し、このサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。ここで、上位レイヤには、例えば無線ネットワーク制御局装置などの上位装置から、やりとりされるサービスの情報が通知されているものとする。
【0044】
次いで、上記のように構成された無線通信装置の動作について説明する。
【0045】
まず、上位レイヤから通知された情報から、サービス情報取得部202によって、やりとりされるサービスの情報が取得される。取得されたサービスの情報は、初期目標SIR記憶部170へ通知され、当該サービスに対応する初期目標SIRが目標SIR設定部160へ出力されて目標SIRとして設定される。
【0046】
一方、アンテナを介して受信された受信データは、RF部100によって所定の無線処理が行われ、SIR測定部140によって受信SIRが測定される。そして、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIR(初回は初期目標SIR)とが比較される。
【0047】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0048】
そして、データの送信側は、TPCコマンドを受信し、このTPCコマンドに従って送信電力を制御し、データを送信する。送信されたデータは、再度、アンテナを介して受信され、RF部100によって所定の無線処理が行われ、復調部110およびSIR測定部140へ出力される。
【0049】
受信データは、復調部110によって復調され、誤り検出部120によって、例えばCRCなどの誤り検出符号が用いられることにより、ブロックごとに誤り検出される。そして、ブロックごとの誤り検出結果に基づいて、BLER推定部130によってBLERが推定される。推定されたBLERは、目標SIR設定部160へ通知され、所望のBLERと比較される。
【0050】
この比較の結果、推定されたBLERの方が高かった場合(所望の信号品質を満たしていない場合)は目標SIRが上げられ、推定されたBLERの方が低かった場合(過剰品質である場合)は目標SIRが下げられる。このようにして変更された目標SIRは、SIR比較部150へ出力される。
【0051】
一方、SIR測定部140へ出力された受信データは、受信SIRが測定され、測定された受信SIRは、SIR比較部150へ出力される。そして、初回の処理と同様に、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIRとが比較される。
【0052】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0053】
以下、データが受信されるごとにBLERが推定され、所望のBLERが得られるように目標SIRが更新され、目標SIRに基づくTPCコマンドが生成されて送信される処理が繰り返される。この処理が繰り返される過程で、目標SIRは収束し、所望のBLERのデータが得られるようになる。本実施の形態においては、目標SIRの初期値を、上位レイヤから取得されたサービスの情報に基づいて決定しているため、目標SIRが収束するまでの時間を短縮することができる。
【0054】
図2は、本実施の形態に係る無線通信装置においてサービスが異なる場合の目標SIRの収束特性の一例を示す図である。
【0055】
同図を見れば明らかなように、サービスごとに目標SIRの初期値が異なっている。すなわち、図2(a)に示すように、目標SIRが収束すべき値(図中点線で示す。以下の図についても同様)が高い場合は、目標SIRの初期値IAも比較的高く、図2(b)に示すように、目標SIRが収束すべき値が低い場合は、目標SIRの初期値IBも比較的低い。
【0056】
また、図2(c)においては、伝送されるサービスによって要求される信号品質(すなわち、BLER)が図2(a)および図2(b)よりも高いため、BLER推定部130によってBLERが推定される時間が短く、送信電力制御の制御幅が短いが、この場合も、目標SIRのサービスに応じた初期値ICが初期目標SIR記憶部170から読み出され、目標SIR設定部160に設定される。
【0057】
これらのデータが連続的に発生するサービス(図2(a)〜(c))の場合は、目標SIRの初期値IA、IB、ICが目標SIRが収束すべき値に対して低めに設定されているため、通信開始時からデータの送信側が必要以上に高い送信電力でデータを送信することなく、他局に対する干渉の影響を抑制することができる。
【0058】
一方、図2(d)は、データがバースト的に発生するサービスの目標SIRの収束特性を示しているが、この場合は、目標SIRの初期値IDが目標SIRが収束すべき値に対して高めに設定されているため、目標受信品質への収束時間が長い場合においても、データの伝送成功確率を高くし、データの再送制御の最大回数に達する前に呼確立が成功する確率が高くすることができる。
【0059】
また、図2(d)においては、図2(a)、(b)と比較して、目標SIRの変化幅を小さくしているが、これは、図2(d)に示すサービスは、目標SIRの収束すべき値が環境に応じてあまり変化しないサービスであるため、目標SIRの更新幅を小さくし、きめ細かい制御を行うことを示している。反対に、目標SIRが収束すべき値が環境に応じて大きく変化するサービスの場合は、目標SIRの更新幅を大きくすることにより、目標SIRの収束時間を短縮することができる。
【0060】
そして、上位レイヤから通知されたサービスの情報に応じて目標SIRの初期値を設定することにより、目標SIRの収束時間TA、TB、TC、TDは、図6に示した従来の収束時間TA’、TB’、TC’、TD’よりも短縮される。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、上位レイヤにおいて保持されているサービスの情報を取得し、取得されたサービスの情報に応じて送信電力制御のための目標SIRの初期値を設定するため、アウタループ送信電力制御における目標SIRの収束時間を短縮することができ、所望の信号品質に対応する目標SIR他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0062】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る特徴は、無線ネットワーク制御局装置などの上位装置から通知される、伝送されるサービスにおいて要求される信号品質の目標値(以下、「目標品質」という)によってサービスを検出する点である。実施の形態1においては、上位レイヤから下位レイヤへサービス情報を通知する必要があり(すなわち、レイヤ間で同レベルの情報を伝達する必要があり)、この伝達には困難を伴うことがあるが、本実施の形態においては、サービスの検出を容易に行うことができる。
【0063】
図3は、本実施の形態に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。同図に示す無線通信装置において、図1に示す無線通信装置と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同図に示す無線通信装置は、実施の形態1と同様に、アウタループ送信電力制御を行う無線通信システムにおいて用いられるため、所望の信号品質を達成するための目標受信品質を常に更新する。
【0064】
なお、本実施の形態においては、上位装置である無線ネットワーク制御局装置から、伝送されるサービスに応じた目標品質が通知されるものとする。
【0065】
図3に示す無線通信装置は、RF部100、復調部110、誤り検出部120、BLER推定部130、SIR測定部140、SIR比較部150、目標SIR設定部160、初期目標SIR記憶部170、TPCコマンド生成部180、送信データ生成部190、およびサービス検出部200aを有しており、サービス検出部200aは、目標品質検出部204を含んでいる。
【0066】
サービス検出部200aは、送信電力制御開始時などに、本実施の形態の無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、目標品質検出部204は、無線ネットワーク制御局装置から通知される目標品質を検出し、この目標品質に対応するサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。ここで、目標品質は、やりとりされるサービスごとに異なっているため、目標品質検出部204は、目標品質を検出することにより容易にサービスを検出することができる。
【0067】
次いで、上記のように構成された無線通信装置の動作について説明する。
【0068】
まず、無線ネットワーク制御局装置から通知される目標品質が、目標品質検出部204によって検出され、対応するサービスが初期目標SIR記憶部170へ通知され、当該サービスに対応する初期目標SIRが目標SIR設定部160へ出力されて目標SIRとして設定される。
【0069】
一方、アンテナを介して受信された受信データは、RF部100によって所定の無線処理が行われ、SIR測定部140によって受信SIRが測定される。そして、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIR(初回は初期目標SIR)とが比較される。
【0070】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0071】
以下、実施の形態1と同様に、送信側から送信電力制御されて送信されたデータが受信されると、BLERが推定され、BLERが所望のBLERとなるように目標SIRが更新され、更新された目標SIRに基づいてTPCコマンドが生成される処理が繰り返されることにより、目標SIRが収束し、所望のBLERを得るようになる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、上位装置から通知される、サービスに対応する信号品質の目標値を検出し、検出された目標値に対応するサービスに応じて送信電力制御のための目標SIRの初期値を設定するため、無線通信装置内において、上位レイヤからサービスに関する情報を下位レイヤへ伝達する際の困難性を排除することができ、簡易な装置構成でアウタループ送信電力制御における目標SIRの収束時間を短縮することができ、所望の信号品質に対応する目標SIR他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0073】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る特徴は、無線ネットワーク制御局装置などの上位装置から通知される、伝送されるサービスの信号品質の目標値に加えて、符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットによってサービスを検出する点である。
【0074】
図4は、本実施の形態に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。同図に示す無線通信装置において、図1および図3に示す無線通信装置と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同図に示す無線通信装置は、実施の形態1と同様に、アウタループ送信電力制御を行う無線通信システムにおいて用いられるため、所望の信号品質を達成するための目標受信品質を常に更新する。
【0075】
なお、本実施の形態においては、上位装置である無線ネットワーク制御局装置から、伝送されるサービスに応じた目標品質、符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットが通知されるものとする。
【0076】
図4に示す無線通信装置は、RF部100、復調部110、誤り検出部120、BLER推定部130、SIR測定部140、SIR比較部150、目標SIR設定部160、初期目標SIR記憶部170、TPCコマンド生成部180、送信データ生成部190、およびサービス検出部200bを有しており、サービス検出部200bは、目標品質検出部204、符号化スロットフォーマット検出部206、およびサービス判定部208を含んでいる。
【0077】
サービス検出部200bは、送信電力制御開始時などに、本実施の形態の無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、符号化スロットフォーマット検出部206は、無線ネットワーク制御局装置から通知される符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットを検出し、サービス判定部208は、目標品質検出部204によって検出された目標品質と上述の符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットとに対応するサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。ここで、符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットは、通常の受信動作において必要な情報であり、データの伝送に際しては常に上位装置から通知される情報である。これらの情報は、サービスごとに異なっているため、目標品質と併せてサービスの検出に用いることにより、確実にサービス検出を行うことができる。
【0078】
次いで、上記のように構成された無線通信装置の動作について説明する。
【0079】
まず、無線ネットワーク制御局装置から通知される目標品質が、目標品質検出部204によって検出される。また、同時に、無線ネットワーク制御局装置から通知されるデータの符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットが、符号化スロットフォーマット検出部206によって検出される。そして、これらの情報から、サービス判定部208によって伝送されるサービスが判定され、このサービスが初期目標SIR記憶部170へ通知され、当該サービスに対応する初期目標SIRが目標SIR設定部160へ出力されて目標SIRとして設定される。
【0080】
一方、アンテナを介して受信された受信データは、RF部100によって所定の無線処理が行われ、SIR測定部140によって受信SIRが測定される。そして、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIR(初回は初期目標SIR)とが比較される。
【0081】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0082】
以下、実施の形態1と同様に、送信側から送信電力制御されて送信されたデータが受信されると、BLERが推定され、BLERが所望のBLERとなるように目標SIRが更新され、更新された目標SIRに基づいてTPCコマンドが生成される処理が繰り返されることにより、目標SIRが収束し、所望のBLERを得るようになる。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、上位装置から通知される、サービスに対応する信号品質の目標品質を検出するとともに、サービスに対応するデータの符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットを検出し、これらの情報に基づいて伝送されるサービスを判定し、このサービスに応じて送信電力制御のための目標SIRの初期値を設定するため、例えば受信特性、目標品質、およびデータの発生確率(連続データであるか、またはバーストデータであるかによって異なる)などが異なるサービスについて、サービスの種類を確実に検出することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に係る無線通信装置における目標SIRの収束特性の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図
【図5】サービスが異なる場合の目標受信品質に対する信号品質の特性を示す図
【図6】従来の無線通信装置における目標SIRの収束特性の一例を示す図
【符号の説明】
160 目標SIR設定部
170 初期目標SIR記憶部
200、200a、200b サービス検出部
202 サービス情報取得部
204 目標品質検出部
206 符号化スロットフォーマット検出部
208 サービス判定部
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信装置および送信電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムにおいては、割り当てられた周波数帯を利用して多数の局が相互に通信を行うマルチプルアクセス(多元接続)方式の1つとして、スペクトル拡散通信を用いたCDMA(符号分割多元接続)方式がある。CDMA方式とは、情報変調されたデータに拡散符号を乗算し、広帯域に拡散して送信を行い、受信側においては、送信側と同じ拡散符号を送信側と同じタイミングで受信信号に乗算(逆拡散)することにより通信を行う方式である。このようにしてデータを広帯域に拡散することにより、受信側は、到来してくる遅延時間の異なる受信信号を分離し、合成(RAKE合成)することができ、高品質かつ大容量な伝送を行うことが可能となる。
【0003】
CDMA方式では、同一周波数を用いて同一時間に複数のユーザが通信を行うため、通信相手となるユーザが遠方に位置し、通信相手以外の干渉局となるユーザが近くに位置する場合に、各ユーザが同一パワで送信を行うと、受信側においては、干渉局からの信号レベルの方が大きくなり、処理利得だけでは拡散符号間の相互相関を抑圧できないため通信不能となる。これを防ぐために、CDMA方式を用いた無線通信システムでは、送信電力制御(TPC:Transmission Power
Control)が行われることがある。
【0004】
送信電力制御の代表的なものとして、受信SIR(Signal to Interference Ratio:信号対干渉波比)に基づくクローズドループ型の送信電力制御がある。クローズドループ型の送信電力制御では、受信側は、例えば受信SIRなどの受信品質を測定し、測定された受信SIRが目標とする目標SIRに比べて大きければ送信で力を下げさせるコマンドを、小さければ送信電力を上げさせるのコマンドを送信電力制御コマンドとして送信側へ送信する。送信側は、送信電力制御コマンドに従って送信電力を変更して信号を送信する。こうして、受信側における受信SIRが常に目標SIRに保たれるように送信電力が制御される。
【0005】
実際の伝搬路においては、マルチパス数やフェージング変動の速度などの時間変動に伴い、RAKE合成のパスダイバーシチ効果、誤り訂正符号化のインタリーブ効果、送信電力制御コマンドの誤り、およびSIR測定誤差などが異なるため、例えば誤り検出の単位であるデータブロックごとの誤り率(BLER:BLock Error Rate)などの信号品質を一定の値に保とうとしても、目標SIRは一定値にはならない。したがって、環境に応じて目標SIRを補正する必要が生じる。この補正を行う制御が、例えば「DS−CDMA送信電力制御におけるパイロットシンボルを用いた受信SIR測定法」(電子情報通信学会技術報告、RCS96−74、1996−08)などに記載されているアウタループ送信電力制御である。
【0006】
アウタループ送信電力制御においては、受信側は、データに付加されている誤り検出符号を用いることにより誤り検出を行い、その結果からBLERを推定する。そして、推定されたBLERと所望のBLERとを比較し、推定されたBLERの方が高かった場合(所望の信号品質を満たしていない場合)は目標SIRを上げ、推定されたBLERの方が低かった場合(過剰品質である場合)は目標SIRを下げる。このように、送信側と通信を行っていく過程で目標SIRが更新されていく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のアウタループ送信電力制御においては、伝送されるデータがいかなるものであっても、目標SIRの初期値は同じ値である。すなわち、音声データ、回線交換型データ、またはパケット交換型データなど、サービスが異なる場合でも、目標SIRは同一の初期値を起点として、所望のBLERを満たすことができる目標SIRへと収束するようになっている。したがって、所望のBLERを満たすための目標SIR値、目標品質、データの発生頻度がサービスによって異なるため、サービスによっては、目標SIRの収束時間が長くなったり、過剰品質となる送信電力で信号が送信され、他のユーザに対する干渉の影響が大きくなったり、データの発生確率が低いサービスでは所望の品質になる前に呼切断が発生するという問題がある。
【0008】
以下、この問題の具体例について説明する。
【0009】
図5は、2つの異なるサービスについて、目標SIRに対する平均BLER特性の一例を示している。同図において、例えば平均BLERの値をEにするためには、曲線10によって示されるサービスについては目標SIRの値をS1に収束させ、曲線20によって示されるサービスについては目標SIRの値をS2に収束させる必要がある。すなわち、所望の信号品質が同じ場合でも、その信号品質を達成するための目標SIRはサービスによって異なっている。それにもかかわらず、目標SIRの初期値はサービスごとに変更されることがないため、目標SIRの収束すべき値が初期値よりも大きく離れている場合には、収束時間が長くなる。
【0010】
つまり、例えば図6(a)と図6(b)に示すように、目標SIRが収束すべき値(各図中点線で示す)が異なっているにもかかわらず、目標SIRの初期値はIで共通であるため、図6(a)に示すサービスは、図6(b)に示すサービスに比べ、目標SIRの収束時間TA’が長くなり、その間余分なパワが送信され、他のユーザに対する干渉が生じたり、通信が行えるまでの時間が長くなるという問題がある。
【0011】
また、図6(d)は、データがバースト的に発生するサービスの目標SIRの収束特性を示す。同図に示すサービスにおいては、データがバースト的に発生するため、BLERの推定に時間がかかり、目標SIRの初期値が低いと、呼確立するまでの時間が長くなり(目標SIRの収束時間が長くなり)、データの再送制御の最大回数までに通信が行えず、呼確立時において呼切断が発生することがある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる無線通信装置および送信電力制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信装置は、所望の受信信号品質を得るために、送信電力制御のための目標受信品質を更新する無線通信システムにおいて用いられる無線通信装置であって、伝送されるデータの種別を検出する検出手段と、検出されたデータ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定する設定手段と、を有する構成を採る。
【0014】
この構成によれば、伝送されるデータの種別を検出し、データ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定した上で、この目標受信品質を更新するため、伝送されるデータの種別(すなわち、サービス)ごとに目標受信品質の初期値が異なり、目標受信品質が、所望の信号品質を得るための目標受信品質に収束するまでの時間を短縮することができ、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0015】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、自装置の上位レイヤへ通知されるデータ種別情報を取得することによりデータ種別を検出する構成を採る。
【0016】
この構成によれば、自装置の上位レイヤへ通知されるデータ種別情報を取得することによりデータ種別を検出するため、伝送されるサービスを確実に検出することができる。
【0017】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる目標受信信号品質を検出する目標受信信号品質検出部、を有し、検出された目標受信信号品質に応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0018】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号の符号化に関する情報を検出する符号化検出部、を有し、検出された符号化情報に応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0019】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号のスロットフォーマットを検出するスロットフォーマット検出部、を有し、検出されたスロットフォーマットに応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0020】
本発明の無線通信装置は、前記検出手段は、伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号の符号化に関する情報を検出する符号化検出部と、前記受信信号のスロットフォーマットを検出するスロットフォーマット検出部と、を有し、検出された符号化情報およびスロットフォーマットに応じたデータ種別を検出する構成を採る。
【0021】
これらの構成によれば、上位レイヤから下位レイヤへの情報の伝達を行う必要がなく、簡易な装置構成でサービスの検出を実現することができる。
【0022】
本発明の無線通信装置は、前記設定手段は、データ種別ごとに目標受信品質の初期値を記憶する初期目標受信品質記憶部と、前記初期目標受信品質のうち、伝送されるデータ種別に対応する初期目標受信品質を目標受信品質の初期値として設定し、受信信号品質に応じて当該目標受信品質を更新する目標受信品質設定部と、を有する構成を採る。
【0023】
この構成によれば、データ種別ごとに記憶された初期目標受信品質を目標受信品質の初期値として設定し、受信信号品質に応じて当該目標受信品質を更新するため、所望の受信信号品質が得られるように、目標受信品質への収束時間を短くすることができる。
【0024】
本発明の無線通信装置は、前記目標受信品質設定部は、伝送されるデータ種別に応じた更新幅で目標受信品質を更新する構成を採る。
【0025】
この構成によれば、伝送されるデータ種別に応じた更新幅で目標受信品質を更新するため、目標受信品質の収束すべき値が環境に応じてあまり変化しない場合は、更新幅を小さくしてきめ細かな制御を行うことができるとともに、収束すべき値が環境に応じて大きく変化する場合は、更新幅を大きくして収束時間を短縮することができる。
【0026】
本発明の無線通信装置は、前記設定手段は、検出されたデータ種別がバーストデータであった場合に、目標受信品質の初期値を高めに設定する構成を採る。
【0027】
この構成によれば、検出されたデータ種別がバーストデータであった場合に、目標受信品質の初期値を高めに設定することにより、目標受信品質への収束時間が長い場合においても、データの伝送成功確率を高くし、データの再送制御の最大回数に達する前に呼確立が成功する確率が高くなり呼確立時における呼切断を防止することができる。
【0028】
本発明の無線通信装置は、前記設定手段は、検出されたデータ種別が連続データであった場合に、目標受信品質の初期値を低めに設定する構成を採る。
【0029】
この構成によれば、検出されたデータ種別が連続データであった場合に、目標受信品質の初期値を低めに設定することにより、通信開始時においてデータの送信側が必要以上に高い送信電力でデータを送信することを防止でき、他局への干渉の影響を抑制することができる。
【0030】
本発明の通信端末装置は、上記のいずれかに記載の無線通信装置を有する構成を採る。
【0031】
この構成によれば、上記のいずれかに記載の無線通信装置と同様の作用効果を通信端末装置において実現することができる。
【0032】
本発明の基地局装置は、上記のいずれかに記載の無線通信装置を有する構成を採る。
【0033】
この構成によれば、上記のいずれかに記載の無線通信装置と同様の作用効果を基地局装置において実現することができる。
【0034】
本発明の送信電力制御方法は、所望の受信信号品質を得るために、送信電力制御のための目標受信品質を更新する無線通信システムにおいて用いられる送信電力制御方法であって、伝送されるデータの種別を検出するステップと、検出したデータ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定するステップと、を有するようにした。
【0035】
この方法によれば、伝送されるデータの種別を検出し、データ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定した上で、この目標受信品質を更新するため、伝送されるデータの種別(すなわち、サービス)ごとに目標受信品質の初期値が異なり、目標受信品質が、所望の信号品質を得るための目標受信品質に収束するまでの時間を短縮することができ、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、無線通信システムにおいて伝送されるサービスの種類を検出し、検出されたサービスの種類に応じて送信電力制御のための目標受信品質の初期値を設定することである。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。同図に示す無線通信装置は、アウタループ送信電力制御を行う無線通信システムにおいて用いられるため、所望の信号品質を達成するための目標受信品質を常に更新する。
【0039】
図1に示す無線通信装置は、RF(Radio Frequency)部100、復調部110、誤り検出部120、BLER(BLock Error Rate)推定部130、SIR(Signal to Interference Ratio)測定部140、SIR比較部150、目標SIR設定部160、初期目標SIR記憶部170、TPC(Transmission Power Control)コマンド生成部180、送信データ生成部190、およびサービス検出部200を有しており、サービス検出部200は、サービス情報取得部202を含んでいる。
【0040】
RF部100は、アンテナを介して送受信されるデータに対して所定の無線処理(ダウンコンバート、アップコンバート、A/D変換、およびD/A変換など)を行う。復調部110は、受信データを復調する。誤り検出部120は、受信データのブロックごとに付加されている、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)などの誤り検出符号を用いて、受信データの誤り検出を行う。BLER推定部130は、誤り検出の結果を用いて、ブロックごとの誤り率(BLER)を推定し、BLERを目標SIR設定部160へ通知する。ここで、誤り検出の単位であるブロックごとに推定されたBLERは、信号品質を示す指標となる。
【0041】
SIR測定部140は、受信データの受信品質として受信SIRを測定する。SIR比較部150は、受信SIRと目標SIRとを比較し、比較結果をTPCコマンド生成部180へ通知する。目標SIR設定部160は、送信電力制御のための目標SIRを保持しており、BLER推定部130から通知されたBLERと所望のBLERとを比較し、BLER推定部130によって推定されたBLERの方が高かった場合(所望の信号品質を満たしていない場合)は目標SIRを上げ、推定されたBLERの方が低かった場合(過剰品質である場合)は目標SIRを下げる。また、目標SIR設定部160は、送信電力制御開始時などは、初期目標SIR記憶部170によって記憶されているサービスごとの初期目標SIRを目標SIRとして設定する。初期目標SIR記憶部170は、サービス検出部200によって検出されるサービスごとの初期目標SIRを記憶しており、送信電力制御開始時などに、伝送されるサービスに対応する初期目標SIRを目標SIR設定部160へ出力する。
【0042】
TPCコマンド生成部180は、SIR比較部150による比較の結果、受信SIRが目標SIRより高ければ、送信電力を下げる旨のTPCコマンドを、受信SIRが目標SIRより低ければ、送信電力を上げる旨のTPCコマンドをそれぞれ生成する。送信データ生成部190は、TPCコマンドを含む送信データを生成し、RF部100からアンテナを介して送信する。
【0043】
サービス検出部200は、送信電力制御開始時などに、本実施の形態の無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、サービス情報取得部202は、上位レイヤにおいて保持されているサービスの情報を取得し、このサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。ここで、上位レイヤには、例えば無線ネットワーク制御局装置などの上位装置から、やりとりされるサービスの情報が通知されているものとする。
【0044】
次いで、上記のように構成された無線通信装置の動作について説明する。
【0045】
まず、上位レイヤから通知された情報から、サービス情報取得部202によって、やりとりされるサービスの情報が取得される。取得されたサービスの情報は、初期目標SIR記憶部170へ通知され、当該サービスに対応する初期目標SIRが目標SIR設定部160へ出力されて目標SIRとして設定される。
【0046】
一方、アンテナを介して受信された受信データは、RF部100によって所定の無線処理が行われ、SIR測定部140によって受信SIRが測定される。そして、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIR(初回は初期目標SIR)とが比較される。
【0047】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0048】
そして、データの送信側は、TPCコマンドを受信し、このTPCコマンドに従って送信電力を制御し、データを送信する。送信されたデータは、再度、アンテナを介して受信され、RF部100によって所定の無線処理が行われ、復調部110およびSIR測定部140へ出力される。
【0049】
受信データは、復調部110によって復調され、誤り検出部120によって、例えばCRCなどの誤り検出符号が用いられることにより、ブロックごとに誤り検出される。そして、ブロックごとの誤り検出結果に基づいて、BLER推定部130によってBLERが推定される。推定されたBLERは、目標SIR設定部160へ通知され、所望のBLERと比較される。
【0050】
この比較の結果、推定されたBLERの方が高かった場合(所望の信号品質を満たしていない場合)は目標SIRが上げられ、推定されたBLERの方が低かった場合(過剰品質である場合)は目標SIRが下げられる。このようにして変更された目標SIRは、SIR比較部150へ出力される。
【0051】
一方、SIR測定部140へ出力された受信データは、受信SIRが測定され、測定された受信SIRは、SIR比較部150へ出力される。そして、初回の処理と同様に、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIRとが比較される。
【0052】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0053】
以下、データが受信されるごとにBLERが推定され、所望のBLERが得られるように目標SIRが更新され、目標SIRに基づくTPCコマンドが生成されて送信される処理が繰り返される。この処理が繰り返される過程で、目標SIRは収束し、所望のBLERのデータが得られるようになる。本実施の形態においては、目標SIRの初期値を、上位レイヤから取得されたサービスの情報に基づいて決定しているため、目標SIRが収束するまでの時間を短縮することができる。
【0054】
図2は、本実施の形態に係る無線通信装置においてサービスが異なる場合の目標SIRの収束特性の一例を示す図である。
【0055】
同図を見れば明らかなように、サービスごとに目標SIRの初期値が異なっている。すなわち、図2(a)に示すように、目標SIRが収束すべき値(図中点線で示す。以下の図についても同様)が高い場合は、目標SIRの初期値IAも比較的高く、図2(b)に示すように、目標SIRが収束すべき値が低い場合は、目標SIRの初期値IBも比較的低い。
【0056】
また、図2(c)においては、伝送されるサービスによって要求される信号品質(すなわち、BLER)が図2(a)および図2(b)よりも高いため、BLER推定部130によってBLERが推定される時間が短く、送信電力制御の制御幅が短いが、この場合も、目標SIRのサービスに応じた初期値ICが初期目標SIR記憶部170から読み出され、目標SIR設定部160に設定される。
【0057】
これらのデータが連続的に発生するサービス(図2(a)〜(c))の場合は、目標SIRの初期値IA、IB、ICが目標SIRが収束すべき値に対して低めに設定されているため、通信開始時からデータの送信側が必要以上に高い送信電力でデータを送信することなく、他局に対する干渉の影響を抑制することができる。
【0058】
一方、図2(d)は、データがバースト的に発生するサービスの目標SIRの収束特性を示しているが、この場合は、目標SIRの初期値IDが目標SIRが収束すべき値に対して高めに設定されているため、目標受信品質への収束時間が長い場合においても、データの伝送成功確率を高くし、データの再送制御の最大回数に達する前に呼確立が成功する確率が高くすることができる。
【0059】
また、図2(d)においては、図2(a)、(b)と比較して、目標SIRの変化幅を小さくしているが、これは、図2(d)に示すサービスは、目標SIRの収束すべき値が環境に応じてあまり変化しないサービスであるため、目標SIRの更新幅を小さくし、きめ細かい制御を行うことを示している。反対に、目標SIRが収束すべき値が環境に応じて大きく変化するサービスの場合は、目標SIRの更新幅を大きくすることにより、目標SIRの収束時間を短縮することができる。
【0060】
そして、上位レイヤから通知されたサービスの情報に応じて目標SIRの初期値を設定することにより、目標SIRの収束時間TA、TB、TC、TDは、図6に示した従来の収束時間TA’、TB’、TC’、TD’よりも短縮される。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、上位レイヤにおいて保持されているサービスの情報を取得し、取得されたサービスの情報に応じて送信電力制御のための目標SIRの初期値を設定するため、アウタループ送信電力制御における目標SIRの収束時間を短縮することができ、所望の信号品質に対応する目標SIR他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0062】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る特徴は、無線ネットワーク制御局装置などの上位装置から通知される、伝送されるサービスにおいて要求される信号品質の目標値(以下、「目標品質」という)によってサービスを検出する点である。実施の形態1においては、上位レイヤから下位レイヤへサービス情報を通知する必要があり(すなわち、レイヤ間で同レベルの情報を伝達する必要があり)、この伝達には困難を伴うことがあるが、本実施の形態においては、サービスの検出を容易に行うことができる。
【0063】
図3は、本実施の形態に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。同図に示す無線通信装置において、図1に示す無線通信装置と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同図に示す無線通信装置は、実施の形態1と同様に、アウタループ送信電力制御を行う無線通信システムにおいて用いられるため、所望の信号品質を達成するための目標受信品質を常に更新する。
【0064】
なお、本実施の形態においては、上位装置である無線ネットワーク制御局装置から、伝送されるサービスに応じた目標品質が通知されるものとする。
【0065】
図3に示す無線通信装置は、RF部100、復調部110、誤り検出部120、BLER推定部130、SIR測定部140、SIR比較部150、目標SIR設定部160、初期目標SIR記憶部170、TPCコマンド生成部180、送信データ生成部190、およびサービス検出部200aを有しており、サービス検出部200aは、目標品質検出部204を含んでいる。
【0066】
サービス検出部200aは、送信電力制御開始時などに、本実施の形態の無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、目標品質検出部204は、無線ネットワーク制御局装置から通知される目標品質を検出し、この目標品質に対応するサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。ここで、目標品質は、やりとりされるサービスごとに異なっているため、目標品質検出部204は、目標品質を検出することにより容易にサービスを検出することができる。
【0067】
次いで、上記のように構成された無線通信装置の動作について説明する。
【0068】
まず、無線ネットワーク制御局装置から通知される目標品質が、目標品質検出部204によって検出され、対応するサービスが初期目標SIR記憶部170へ通知され、当該サービスに対応する初期目標SIRが目標SIR設定部160へ出力されて目標SIRとして設定される。
【0069】
一方、アンテナを介して受信された受信データは、RF部100によって所定の無線処理が行われ、SIR測定部140によって受信SIRが測定される。そして、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIR(初回は初期目標SIR)とが比較される。
【0070】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0071】
以下、実施の形態1と同様に、送信側から送信電力制御されて送信されたデータが受信されると、BLERが推定され、BLERが所望のBLERとなるように目標SIRが更新され、更新された目標SIRに基づいてTPCコマンドが生成される処理が繰り返されることにより、目標SIRが収束し、所望のBLERを得るようになる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、上位装置から通知される、サービスに対応する信号品質の目標値を検出し、検出された目標値に対応するサービスに応じて送信電力制御のための目標SIRの初期値を設定するため、無線通信装置内において、上位レイヤからサービスに関する情報を下位レイヤへ伝達する際の困難性を排除することができ、簡易な装置構成でアウタループ送信電力制御における目標SIRの収束時間を短縮することができ、所望の信号品質に対応する目標SIR他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【0073】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る特徴は、無線ネットワーク制御局装置などの上位装置から通知される、伝送されるサービスの信号品質の目標値に加えて、符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットによってサービスを検出する点である。
【0074】
図4は、本実施の形態に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。同図に示す無線通信装置において、図1および図3に示す無線通信装置と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同図に示す無線通信装置は、実施の形態1と同様に、アウタループ送信電力制御を行う無線通信システムにおいて用いられるため、所望の信号品質を達成するための目標受信品質を常に更新する。
【0075】
なお、本実施の形態においては、上位装置である無線ネットワーク制御局装置から、伝送されるサービスに応じた目標品質、符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットが通知されるものとする。
【0076】
図4に示す無線通信装置は、RF部100、復調部110、誤り検出部120、BLER推定部130、SIR測定部140、SIR比較部150、目標SIR設定部160、初期目標SIR記憶部170、TPCコマンド生成部180、送信データ生成部190、およびサービス検出部200bを有しており、サービス検出部200bは、目標品質検出部204、符号化スロットフォーマット検出部206、およびサービス判定部208を含んでいる。
【0077】
サービス検出部200bは、送信電力制御開始時などに、本実施の形態の無線通信装置がやりとりするサービスを検出し、初期目標SIR記憶部170へ通知する。具体的には、符号化スロットフォーマット検出部206は、無線ネットワーク制御局装置から通知される符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットを検出し、サービス判定部208は、目標品質検出部204によって検出された目標品質と上述の符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットとに対応するサービスを初期目標SIR記憶部170へ通知する。ここで、符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットは、通常の受信動作において必要な情報であり、データの伝送に際しては常に上位装置から通知される情報である。これらの情報は、サービスごとに異なっているため、目標品質と併せてサービスの検出に用いることにより、確実にサービス検出を行うことができる。
【0078】
次いで、上記のように構成された無線通信装置の動作について説明する。
【0079】
まず、無線ネットワーク制御局装置から通知される目標品質が、目標品質検出部204によって検出される。また、同時に、無線ネットワーク制御局装置から通知されるデータの符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットが、符号化スロットフォーマット検出部206によって検出される。そして、これらの情報から、サービス判定部208によって伝送されるサービスが判定され、このサービスが初期目標SIR記憶部170へ通知され、当該サービスに対応する初期目標SIRが目標SIR設定部160へ出力されて目標SIRとして設定される。
【0080】
一方、アンテナを介して受信された受信データは、RF部100によって所定の無線処理が行われ、SIR測定部140によって受信SIRが測定される。そして、SIR比較部150によって、受信SIRと目標SIR(初回は初期目標SIR)とが比較される。
【0081】
この比較の結果、受信SIRが目標SIRより大きければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を下げる旨のTPCコマンドが生成され、受信SIRが目標SIRより小さければ、TPCコマンド生成部180によって、送信電力を上げる旨のTPCコマンドが生成される。そして、生成されたTPCコマンドは、送信データ生成部190によって生成される送信データとともに、RF部100によって所定の無線処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
【0082】
以下、実施の形態1と同様に、送信側から送信電力制御されて送信されたデータが受信されると、BLERが推定され、BLERが所望のBLERとなるように目標SIRが更新され、更新された目標SIRに基づいてTPCコマンドが生成される処理が繰り返されることにより、目標SIRが収束し、所望のBLERを得るようになる。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、上位装置から通知される、サービスに対応する信号品質の目標品質を検出するとともに、サービスに対応するデータの符号化方法、符号化率、およびスロットフォーマットを検出し、これらの情報に基づいて伝送されるサービスを判定し、このサービスに応じて送信電力制御のための目標SIRの初期値を設定するため、例えば受信特性、目標品質、およびデータの発生確率(連続データであるか、またはバーストデータであるかによって異なる)などが異なるサービスについて、サービスの種類を確実に検出することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、他のユーザに対して与える干渉の影響を抑制し、呼確立時の通信の切断を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に係る無線通信装置における目標SIRの収束特性の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図
【図5】サービスが異なる場合の目標受信品質に対する信号品質の特性を示す図
【図6】従来の無線通信装置における目標SIRの収束特性の一例を示す図
【符号の説明】
160 目標SIR設定部
170 初期目標SIR記憶部
200、200a、200b サービス検出部
202 サービス情報取得部
204 目標品質検出部
206 符号化スロットフォーマット検出部
208 サービス判定部
Claims (13)
- 所望の受信信号品質を得るために、送信電力制御のための目標受信品質を更新する無線通信システムにおいて用いられる無線通信装置であって、
伝送されるデータの種別を検出する検出手段と、
検出されたデータ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定する設定手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。 - 前記検出手段は、
自装置の上位レイヤへ通知されるデータ種別情報を取得することによりデータ種別を検出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記検出手段は、
伝送されるデータ種別ごとに異なる目標受信信号品質を検出する目標受信信号品質検出部、を有し、
検出された目標受信信号品質に応じたデータ種別を検出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記検出手段は、
伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号の符号化に関する情報を検出する符号化検出部、を有し、
検出された符号化情報に応じたデータ種別を検出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記検出手段は、
伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号のスロットフォーマットを検出するスロットフォーマット検出部、を有し、
検出されたスロットフォーマットに応じたデータ種別を検出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記検出手段は、
伝送されるデータ種別ごとに異なる受信信号の符号化に関する情報を検出する符号化検出部と、
前記受信信号のスロットフォーマットを検出するスロットフォーマット検出部と、を有し、
検出された符号化情報およびスロットフォーマットに応じたデータ種別を検出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記設定手段は、
データ種別ごとに目標受信品質の初期値を記憶する初期目標受信品質記憶部と、
前記初期目標受信品質のうち、伝送されるデータ種別に対応する初期目標受信品質を目標受信品質の初期値として設定し、受信信号品質に応じて当該目標受信品質を更新する目標受信品質設定部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記目標受信品質設定部は、
伝送されるデータ種別に応じた更新幅で目標受信品質を更新することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。 - 前記設定手段は、
検出されたデータ種別がバーストデータであった場合に、目標受信品質の初期値を高めに設定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記設定手段は、
検出されたデータ種別が連続データであった場合に、目標受信品質の初期値を低めに設定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載の無線通信装置を有することを特徴とする通信端末装置。
- 請求項1から請求項10のいずれかに記載の無線通信装置を有することを特徴とする基地局装置。
- 所望の受信信号品質を得るために、送信電力制御のための目標受信品質を更新する無線通信システムにおいて用いられる送信電力制御方法であって、
伝送されるデータの種別を検出するステップと、
検出したデータ種別に応じて目標受信品質の初期値を設定するステップと、
を有することを特徴とする送信電力制御方法。
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- 2002-08-28 JP JP2002249397A patent/JP2004088635A/ja active Pending
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