JP3790370B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無段変速機を含む自動変速機の変速制御装置、特に、少なくとも目標変速比との変速比偏差に応じた積分制御によるフィードバックをかけるようにした自動変速機の変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Vベルト式無段変速機や、トロイダル型無段変速機に代表される無段変速機を含む自動変速機は、エンジン要求負荷および車速などの走行条件から目標変速比を求め、実変速比が所定の応答をもってこの目標変速比に達するよう変速制御するのが普通である。
従って無段変速機について説明すると、運転者がアクセルペダルを踏み込んでエンジン要求負荷を増すような加速時は、目標変速比が大きくなる(低速側の変速比になる)よう変更され、無段変速機は当該大きくされた目標変速比に向けて無段階にダウンシフト変速され、
逆に運転者がアクセルペダルを戻してエンジン要求負荷を低下させるような低負荷運転時は、目標変速比が小さくなる(高速側の変速比になる)よう変更され、無段変速機は当該小さくされた目標変速比に向けて無段階にアップシフト変速される。
【0003】
ところで当該変速に際し、例えば特開平8−326887号公報に記載のように、目標変速比と実変速比との間の変速比偏差に応じた積分制御によるフィードバック補正量だけ上記目標変速比を補正して補正済目標変速比を求め、この補正済目標変速比に向かうよう変速アクチュエータを介し自動変速機を変速する場合、以下に説明するような問題を生ずる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
つまり図11により説明すると、瞬時t1 での急なアクセルペダル操作などに起因して変速アクチュエータの目標駆動位置変化が実線aで示すごとく、変速アクチュエータの限界駆動速度に対して急峻に過ぎると、変速アクチュエータの実駆動位置が破線bで示すごとく目標駆動位置変化aに追従し得ず、実変速比が破線cで示すように実線dにより示す目標変速比からずれる。
【0005】
かかる変速比のずれは、目標変速比dと実変速比cとの間の変速比偏差RtoERRに応じた積分制御による変速比フィードバック補正量∫RtoERR×fbiDATAを実線eで示すように増大させることとなるが、変速アクチュエータが目標駆動位置に追従し得ないために結局はフィードバック制御不能分の変速比フィードバック補正量が溜まり込む。
【0006】
従って、変速アクチュエータの実駆動位置が目標駆動位置に追い付いた瞬時t2 の後において、上記溜まり込んだフィードバック制御不能分の変速比フィードバック補正量eが放出されるまでの間、破線b,cで示す変速アクチュエータ実駆動位置および実変速比の経時変化から明らかなように制御のオーバーシュートを生じ、目標変速比への収束が遅れて変速の応答性を低下させたり、変速品質を悪化させる懸念があった。
【0007】
請求項1に記載の第1発明は、上記オーバーシュートの原因となっているフィードバック制御不能分の溜まり込みが起きないようにして、上述の問題を解消することを目的とする。
【0008】
請求項2に記載の第2発明は、上記フィードバック制御不能分が発生するかどうかの判定を、変速アクチュエータ実駆動位置の実測に頼ることなく行い得るようにすることを目的とする。
【0009】
請求項3に記載の第3発明は、変速アクチュエータの限界駆動速度が変化しても第2発明における上記の判定を常時確実に行い得るようにすることを目的とする。
【0010】
請求項4に記載の第4発明は、上記の判定に際して、ハンチングを生ずることなく安定してこの判定を行い得るようにすることを目的とする。
【0011】
請求項5に記載の第5発明は、変速比のフィードバック補正量に積分誤差が蓄積されるのを防止して、当該フィードバック補正量を正確に保つことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
これらの目的のため、先ず第1発明による自動変速機の変速制御装置は、
目標変速比と実変速比との間の変速比偏差に応じた積分制御によるフィードバック補正量だけ前記目標変速比を補正して補正済目標変速比を求め、この補正済目標変速比に向かうよう変速アクチュエータを介し変速される自動変速機において、
前記補正済目標変速比に対応した前記変速アクチュエータの目標駆動位置と、該変速アクチュエータの実駆動位置との間のアクチュエータ駆動位置偏差から、変速アクチュエータが目標駆動位置に追従可能か否かを判定し、追従不能な場合、前記積分制御によるフィードバック補正量を保持するよう構成したことを特徴とするものである。
【0013】
第2発明による自動変速機の変速制御装置は、上記第1発明において、
上記変速アクチュエータの限界駆動速度でも1制御周期中に前記補正済目標変速比対応の変速アクチュエータ目標駆動位置を実現不能なとき、前記限界駆動速度で実現可能な変速アクチュエータの実現可能限界位置を変速アクチュエータへの駆動位置指令とするようになし、該駆動位置指令を前記変速アクチュエータの実駆動位置として変速アクチュエータの前記追従可能判定に資するよう構成したことを特徴とするものである。
【0014】
第3発明による自動変速機の変速制御装置は、上記第2発明において、
前記アクチュエータ駆動位置偏差が前記変速アクチュエータの限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差未満のとき追従可能と判定し、以上のとき追従不能と判定するよう構成したことを特徴とするものである。
【0015】
第4発明による自動変速機の変速制御装置は、上記第3発明において、前記追従判定基準偏差として追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差を設定し、前記アクチュエータ駆動位置偏差が追従可能判定基準偏差以下のとき追従可能と判定し、追従不能判定偏差以上のとき追従不能と判定し、追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差間の値であるとき現在の判定状態を維持するよう構成したことを特徴とするものである。
【0016】
第5発明による自動変速機の変速制御装置は、上記第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、
自動変速機が車両に搭載されたものである場合、前記積分制御によるフィードバック補正量を停車の度に0にリセットするよう構成したことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の効果】
第1発明において変速制御装置は、目標変速比と実変速比との間の変速比偏差に応じた積分制御によるフィードバック補正量だけ目標変速比を補正して求めた補正済目標変速比に向かうよう変速アクチュエータを介し自動変速機を変速させる。
変速制御装置は更に、上記補正済目標変速比に対応した変速アクチュエータの目標駆動位置と、変速アクチュエータの実駆動位置との間のアクチュエータ駆動位置偏差から、変速アクチュエータが目標駆動位置に追従可能か否かを判定し、追従不能な場合、上記積分制御によるフィードバック補正量を保持する。
【0018】
これがため、変速アクチュエータが目標駆動位置に追従し得ない場合、積分制御によるフィードバック補正量にフィードバック制御不能分を溜まり込ませないこととなり、この溜まり込みに起因する制御のオーバーシュートを生じなくして目標変速比への収束遅れを回避することができ、変速の応答性が低下したり、変速品質が悪化するといった従来の問題を解消し得る。
【0019】
第2発明において変速制御装置は、変速アクチュエータの限界駆動速度でも1制御周期中に上記補正済目標変速比対応の変速アクチュエータ目標駆動位置を実現不能なとき、当該限界駆動速度で実現可能な変速アクチュエータの実現可能限界位置を変速アクチュエータへの駆動位置指令とし、この駆動位置指令を変速アクチュエータの実駆動位置として変速アクチュエータの前記追従可能判定を行う。
このため、当該追従可能判定を行うに際して必要な変速アクチュエータの実駆動位置を変速制御装置から変速アクチュエータへの駆動位置指令で検知することとなり、上記の追従可能判定を、変速アクチュエータ実駆動位置の実測に頼ることなく安価に行うことができる。
【0020】
第3発明において変速制御装置は、アクチュエータ駆動位置偏差が前記変速アクチュエータの限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差未満のとき追従可能と判定し、以上のとき追従不能と判定する。
これがため、変速アクチュエータの如何なる限界駆動速度のもとでも上記第2発明における追従可能判定を常時確実に行うことができる。
【0021】
第4発明において変速制御装置は、上記追従判定基準偏差として追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差を設定し、前記のアクチュエータ駆動位置偏差が追従可能判定基準偏差以下のとき追従可能と判定し、追従不能判定偏差以上のとき追従不能と判定し、追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差間の値であるとき現在の判定状態を維持する。この場合、追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差の間にヒステリシスが存在し、前記の追従可能判定に際して、ハンチングを生ずることなく安定してこの判定を行うことができる。
【0022】
第5発明において変速制御装置は、自動変速機が車両に搭載されたものである場合、前記積分制御によるフィードバック補正量を停車の度に0にリセットする。
これがため、変速比のフィードバック補正量に積分誤差が蓄積されるのを防止することができ、当該フィードバック補正量を正確に保つことが可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2は、本発明一実施の態様になる変速制御装置を具えたトロイダル型無段変速機を例示し、図1は同トロイダル型無段変速機の縦断側面図、図2は同じくその縦断正面図である。
【0024】
先ず、無段変速機の主要部であるトロイダル伝動ユニットを説明するに、これは図示せざるエンジンからの回転を伝達される入力軸20を具え、この入力軸は図1に明示するように、エンジンから遠い端部を変速機ケース21内に軸受22を介して回転自在に支持し、中央部を変速機ケース21の中間壁23内に軸受24および中空出力軸25を介して回転自在に支持する。
入力軸20上には入出力コーンディスク1,2をそれぞれ回転自在に支持し、これら入出力コーンディスクを、トロイド曲面1a,2aが相互に対向するよう配置する。
そして入出力コーンディスク1,2の対向するトロイド曲面間には、入力軸20を挟んでその両側に配置した一対のパワーローラ3を介在させ、これらパワーローラを入出力コーンディスク1,2間に挟圧するために、以下の構成を採用する。
【0025】
即ち、入力軸20の軸受け(22)端部にローディングナット26を螺合し、該ローディングナットにより抜け止めして入力軸20上に回転係合させたカムディスク27と、入力コーンディスク1のトロイド曲面1aから遠い端面との間にローディングカム28を介在させ、このローディングカムを介して、入力軸20からカムディスク27への回転が入力コーンディスク1に伝達されるようになす。
ここで、入力コーンディスク1の回転は両パワーローラ3の回転を介して出力コーンディスク2に伝わり、この伝動中ローディングカム28は伝達トルクに比例したスラストを発生して、パワーローラ3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧し、上記の動力伝達を可能ならしめる。
【0026】
出力コーンディスク2は出力軸25に楔着し、この軸上に出力歯車29を一体回転するよう嵌着する。
出力軸25は更に、ラジアル兼スラスト軸受30を介して変速機ケース21の端蓋31内に回転自在に支持し、この端蓋31内には別にラジアル兼スラスト軸受32を介して入力軸20を回転自在に支持する。
ここで、ラジアル兼スラスト軸受30,32はスペーサ33を介して相互に接近し得ないよう突き合わせ、また相互に遠去かる方向へも相対変位不能になるよう、対応する出力歯車29および入力軸20に対し軸線方向に衝接させる。
かくて、ローディングカム28によって入出力コーンディスク1,2間に作用するスラストは、スペーサ33を挟むような内力となり、変速機ケース21に作用することがない。
【0027】
各パワーローラ3は図2にも示すように、トラニオン41に回転自在に支持し、該トラニオンは各々、上端を球面継手42によりアッパリンク43の両端に回転自在および揺動自在に、また下端を球面継手44によりロアリンク45の両端に回転自在および揺動自在に連結する。
そして、アッパリンク43およびロアリンク45は中央を球面継手46,47により変速機ケース21に上下方向揺動可能に支持し、両トラニオン41を相互逆向きに同期して上下動させ得るようにする。
【0028】
かように両トラニオン41を相互逆向きに同期して上下動させることにより変速を行う変速制御装置を、図2に基づき次に説明する。
各トラニオン41には、これらを個々に上下方向へストロークさせるためのピストン6を設け、両ピストン6の両側にそれぞれ上方室51,52および下方室53,54を画成する。そして両ピストン6を相互逆向きにストローク制御するために、変速制御弁5を設置する。
ここで、変速制御弁5はスプール型の内弁体5aとスリーブ型の外弁体5bとを相互に摺動自在に嵌合して具え、外弁体5bを弁外筐5cに摺動自在に嵌合して構成する。
【0029】
上記の変速制御弁5は、入力ポート5dを圧力源55に接続し、一方の連絡ポート5eをピストン室51,54に、また他方の連絡ポート5fをピストン室52,53にそれぞれ接続する。
そして内弁体5aを、一方のトラニオン41の下端に固着したプリセスカム7のカム面に、ベルクランク型の変速レバー8を介して共働させ、外弁体5bを変速アクチュエータとしてのステップモータ4に、ラックアンドピニオン型式で駆動係合させる。
【0030】
変速制御弁5の操作指令は、アクチュエータ駆動位置指令Astep(ステップ位置指令)に応動するアクチュエータ(ステップモータ)4がラックアンドピニオンを介し外弁体5bにストロークとして与えることとする。
この操作指令で変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から例えば図2の位置に変位されて変速制御弁5が開く時、圧力源55からの流体圧(ライン圧PL )が室52,53に供給される一方、他の室51,54がドレンされ、
また変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から逆方向に変位されて変速制御弁5が開く時、圧力源55からの流体圧が室51,54に供給される一方、他の室52,53がドレンされ、
両トラニオン41が流体圧でピストン6を介して図中、対応した上下方向へ相互逆向きに変位されるものとする。
これにより両パワーローラ3は、回転軸線O1 が入出力コーンディスク1,2の回転軸線O2 と交差する図示位置からオフセット(オフセット量y)されることになり、該オフセットによりパワーローラ3は入出力コーンディスク1,2からの首振り分力で、自己の回転軸線O1 と直行する首振り軸線O3 の周りに傾転(傾転角φ)されて無段変速を行うことができる。
【0031】
かかる変速中、一方のトラニオン41の下端に結合したプリセスカム7は、変速リンク8を介して、トラニオン41およびパワーローラ3の上述した上下動(オフセット量y)および傾転角φを変速制御弁5の内弁体5aに機械的にxで示す如くフィードバックされる。
そして上記の無段変速により、ステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、上記のプリセスカム7を介した機械的フィードバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外弁体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3は、回転軸線O1 が入出力コーンディスク1,2の回転軸線O2 と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0032】
なお、パワーローラ傾転角φを変速比指令値に対応した値にすることが制御の狙いであるから、基本的にプリセスカム7はパワーローラ傾転角φのみをフィードバックすればよいことになるが、ここでパワーローラオフセット量yをもフィードバックする理由は、変速制御が振動的になるのを防止するダンピング効果を与えて、変速制御のハンチング現象を回避するためである。
【0033】
ステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astepは、コントローラ61によりこれを決定する。
これがためコントローラ61には図2に示すように、エンジンスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ62からの信号、車速VSPを検出する車速センサ63からの信号、入力コーンディスク1の回転数Ni (エンジン回転数Ne でもよい)を検出する入力回転センサ64からの信号、出力コーンディスク2の回転数No を検出する出力回転センサ65からの信号、変速機作動油温TMPを検出する油温センサ66からの信号、前記油圧源55からのライン圧PL を検出する(通常は、ライン圧PL をコントローラ61で制御するからコントローラ61の内部信号から検知する)ライン圧センサ67からの信号、およびエンジン回転数Ne を検出するエンジン回転センサ68からの信号をそれぞれ入力する。
【0034】
コントローラ61は、上記の各種入力情報をもとに以下の演算によりステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astep(変速指令値)を決定するものとする。
これがため本例では、コントローラ61を図3に示すように構成し、先ず変速マップ選択部71は図2のセンサ66で検出した油温TMPや、排気浄化触媒の活性化運転中か否かなど、各種条件に応じて変速マップを選択する。
【0035】
到達入力回転数算出部72は、かようにして選択された変速マップが例えば図10に示すごときものである場合について述べると、図2のセンサ62,63でそれぞれ検出したスロットル開度TVOおよび車速VSPから、同図の変速線図に対応した変速マップをもとに、現在の運転状態での定常的な目標入力回転数とすべき到達入力回転数Ni * を検索して求める。
到達変速比演算部73は、到達入力回転数Ni * を、図2のセンサ65により検出した変速機出力回転数NO で除算することにより、到達入力回転数Ni * に対応する定常的な目標変速比である到達変速比i* を演算により求める。
【0036】
変速時定数算出部74は、選択レンジ(前進通常走行レンジD、前進スポーツ走行レンジDS )や、車速VSPおよびスロットル開度TVOや、アクセルペダル操作速度や、後述する目標変速比との変速比偏差などの各種条件に応じて変速制御の時定数Tsftを決定する。
ここで変速時定数Tsftは、到達変速比i* に対する変速の応答性を決定して変速速度を定めるためのもので、目標変速比算出部75は、到達変速比i* を変速時定数Tsftで定めた変速応答をもって実現するための過渡的な時時刻々の目標変速比Ratio0を算出する。
【0037】
入力トルク算出部76は周知の方法により変速機入力トルクTi を求めるもので、先ずスロットル開度TVOおよびエンジン回転数Ne からエンジン出力トルクを求め、次いでトルクコンバータの入出力回転数(Ne ,Ni )比である速度比からトルクコンバータのトルク比tを求め、最後にエンジン出力トルクにトルク比tを乗じて変速機入力トルクTi を算出することとする。
トルクシフト補償変速比算出部77は、上記の過渡的な目標変速比Ratio0および当該変速機入力トルクTi から、トロイダル型無段変速機に特有なトルクシフト(変速比の不正)をなくすためのトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。
【0038】
ここでトロイダル型無段変速機のトルクシフトを補足説明するに、トロイダル型無段変速機の伝動中においては前記した如くにパワーローラ3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧することからトラニオン41の変形が発生し、これにより当該トラニオンの下端におけるプリセスカム7の位置が変化してプリセスカム7および変速リンク8よりなる機械的フィードバック系の系路長変化を惹起し、これが上記のトルクシフトを生起させる。
従ってトロイダル型無段変速機のトルクシフトは、目標変速比Ratio0および変速機入力トルクTi によって異なり、トルクシフト補償変速比算出部77はこれらの2次元マップからトルクシフト補償変速比TSrtoを検索により求めるものとする。
【0039】
実変速比算出部78は、変速機入力回転数Ni を変速機出力回転数NO で除算することにより実変速比Ratio(=Ni /NO )を算出し、
変速比偏差算出部79は、前記した目標変速比Ratio0から実変速比Ratioを差し引いて、両者間における変速比偏差RtoERR(=Ratio0−Ratio)を求める。
【0040】
第1フィードバック(FB)ゲイン算出部80は、変速比偏差RtoERRに応じた周知のPID制御(Pは比例制御、Iは積分制御、Dは微分制御)による変速比フィードバック補正量を算出する時に用いる、それぞれの制御のフィードバックゲインのうち、変速機入力回転数Ni および車速VSPに応じて決定すべき第1の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA1、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA1、および微分制御用フィードバックゲインfbdDATA1を求める。
これら第1のフィードバックゲインfbpDATA1,fbiDATA1,fbdDATA1は、変速機入力回転数Ni および車速VSPの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に変速機入力回転数Ni および車速VSPから検索により求めるものとする。
【0041】
第2フィードバック(FB)ゲイン算出部81は、上記PID制御による変速比フィードバック補正量を算出する時に用いるフィードバックゲインのうち、変速機作動油温TMPおよびライン圧PL に応じて決定すべき第2の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA2、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA2、および微分制御用フィードバックゲインfbdDATA2をそれぞれ求め、
これら第2のフィードバックゲインfbpDATA2,fbiDATA2,fbdDATA2は、作動油温TMPおよびライン圧PL の2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に作動油温TMPおよびライン圧PL から検索により求めるものとする。
【0042】
フィードバックゲイン算出部83は、上記第1のフィードバックゲインおよび第2のフィードバックゲインを対応するもの同士掛け合わせて、比例制御用フィードバックゲインfbpDATA(=fbpDATA1×fbpDATA2)、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA(=fbiDATA1×fbiDATA2)、および微分制御用フィードバックゲインfbdDATA(=fbdDATA1×fbdDATA2)を求める。
【0043】
PID制御部84は、以上のようにして求めたフィードバックゲインを用い、変速比偏差RtoERRに応じたPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoを算出するために、
先ず比例制御による変速比フィードバック補正量をRtoERR×fbpDATAにより求め、
次いで積分制御による変速比フィードバック補正量を∫RtoERR×fbiDATAにより求め、
更に微分制御による変速比フィードバック補正量を(d/dt)RtoERR×fbdDATAにより求め、
最後にこれら3者の和値をPID制御による変速比フィードバック補正量FBrto(=RtoERR×fbpDATA+∫RtoERR×fbiDATA+(d/dt)RtoERR×fbdDATA)とする。
【0044】
目標変速比補正部85は、目標変速比Ratio0をトルクシフト補償変速比TSrtoおよび変速比フィードバック補正量FBrtoだけ補正して、補正済目標変速比DsrRTO(=Ratio0+TSrto+FBrto)を求める。
目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)算出部86は、上記の補正済目標変速比DsrRTOを実現するためのステップモータ(アクチュエータ)4の目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPをマップ検索により求める。
【0045】
ステップモータ駆動位置指令算出部87は、ステップモータ駆動速度決定部88が変速機作動油温TMPなどから決定するステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の上記限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなし、ステップモータ4が1制御周期中に上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得るときは、当該目標ステップ数DsrSTPをそのままステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすものとする。
従って、駆動位置指令Astepは常時ステップモータ4の実駆動位置と見做すことができる。
【0046】
ステップモータ4は駆動位置指令Astepに対応する方向および位置に変位されてラックアンドピニオンを介し変速制御弁5の外弁体5bをストロークさせ、トロイダル型無段変速機を前記したように所定通りに変速させることができる。
この変速により駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、プリセスカム7を介した機械的フィードバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外弁体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3は、回転軸線O1 が入出力コーンディスク1,2の回転軸線O2 と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0047】
ところで本実施の形態においては特に、ステップモータ追従可能判定部89を付加して設ける。
このステップモータ追従可能判定部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能か否かを、以下により判定するものである。
【0048】
つまり判定部89は先ず、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置と見做すことができる駆動位置指令Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)ΔSTPを求める。
そして判定部89は、ステップモータ駆動速度決定部88により前記の如くに決定されたステップモータ4の限界駆動速度でもステップモータ4が1制御周期中に解消し得ないステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)の下限値ΔSTPLIM よりもステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)ΔSTPが小さい時(ΔSTP<ΔSTPLIM )、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、
逆にΔSTP≧ΔSTPLIM である時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定する。
【0049】
判別部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定する場合、PID制御部84で前記した通りのPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoの演算を継続させる。
しかして、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定した場合は、積分制御による変速比フィードバック補正量∫RtoERR×fbiDATAを当該判定時における値に保持するようPID制御部84に指令する。
【0050】
これがため、図11に示すようにステップモータ(変速アクチュエータ)4の実駆動位置bが目標駆動位置変化aに追従し得ない場合は、積分制御による変速比フィードバック補正量∫RtoERR×fbiDATAが1点鎖線で示すように追従不能判定時の値に保持されて、ステップモータ(変速アクチュエータ)4が目標駆動位置a(図3ではDsrSTP)に追従し得ないにもかかわらずフィードバック制御不能分の変速比フィードバック補正量が溜まり込むのを回避することができる。
かように、不所望な変速比フィードバック補正量の溜まり込みがなくなる結果、1点鎖線gで示す実変速比の経時変化から明らかなように、ステップモータ(変速アクチュエータ)4の実駆動位置が目標駆動位置に追い付いた瞬時t2 の後において、変速比制御のオーバーシュートを生ずることがなくなり、目標変速比への収束が遅れて変速の応答性が低下したり、変速品質が悪化するという懸念を払拭することができる。
【0051】
更に本実施の形態では、ステップモータ駆動位置指令算出部87において、ステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすようにし、この駆動位置指令Astepをステップモータ4の実駆動位置として判定部89でのステップモータ追従可能判定に資することにしたから、
当該追従可能判定を行うに際して必要なステップモータ4の実駆動位置を、変速制御装置からステップモータ4への駆動位置指令Astepで検知することとなり、上記の追従可能判定を、ステップモータ4の実駆動位置の実測に頼ることなく安価に行うことができる。
【0052】
また本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89において、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置(駆動位置指令)Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)ΔSTPが、ステップモータ4の限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差ΔSTPLIM よりも小さい時(ΔSTP<ΔSTPLIM )、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、逆にΔSTP≧ΔSTPLIM である時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定するため、
油温TMPなどで種々に変化するステップモータ4の限界駆動速度の如何にかかわらずステップモータ4の追従可能判定を常時確実に行うことができる。
【0053】
図2のコントローラ61をマイクロコンピュータで構成する場合、図3につき前述した変速制御は図4〜図9のプログラムによりこれを実行する。
図4は変速制御の全体を示し、ステップ91においては、図3のブロック71〜75におけると同様の処理により過渡的な目標変速比Ratio0を算出する。
【0054】
ステップ92においては、図3のブロック76,77におけると同様の処理によりトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。
詳しくは図5に示すように、先ずステップ111においてスロットル開度TVOおよびエンジン回転数Ne から、エンジン性能線図に対応したマップを基にエンジン出力トルクを検索により求める。
【0055】
次いでステップ112において、トルクコンバータの入出力回転数(Ne ,Ni )比である速度比からトルクコンバータ性能線図に対応するマップの基にトルク比tを検索により求め、
ステップ113において、上記のエンジン出力トルクにトルク比tを乗じて変速機入力トルクTi を演算により求める。
最後にステップ114において、前記した過渡的な目標変速比Ratio0および当該変速機入力トルクTi から、トロイダル型無段変速機に特有なトルクシフト(変速比の不正)をなくすためのトルクシフト補償変速比TSrtoをマップ検索などにより求める。
【0056】
図4のステップ93においては、後で詳述する図6〜図9の制御プログラムを実行して、図3のブロック78〜84,88,89におけると同様の処理により、PID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoを算出する。
そしてステップ94で、図3のブロック85におけると同様の処理により補正済目標変速比DsrRTO(=Ratio0+TSrto+FBrto)を求め、
更にステップ95において、図3のブロック86におけると同様の処理により、上記の補正済目標変速比DsrRTOを実現するためのステップモータ(アクチュエータ)4の目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPをマップ検索により求める。
【0057】
次のステップ96においては、図3のブロック88におけると同様にして、変速機作動油温TMPなどからステップモータ4の限界駆動速度を決定し、
ステップ97では、図3のブロック87におけると同様に、当該限界駆動速度でもステップモータ4が1制御周期中に前記目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の上記限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなし、ステップモータ4が1制御周期中に上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得るときは、当該目標ステップ数DsrSTPをそのままステップモータ4への駆動位置指令Astepとして出力する。
【0058】
次いで、ステップ93において求める変速比フィードバック補正量FBrtoの算出処理を、図6〜図9により詳述する。
図6は、図3のブロック78,79に相当する制御プログラムで、ステップ121において目標変速比Ratio0を読み込み、
ステップ122において、変速機入力回転数Ni を変速機出力回転数NO で除算することにより実変速比Ratio(=Ni /NO )を算出し、
ステップ123において、目標変速比Ratio0から実変速比Ratioを差し引いて、両者間における変速比偏差RtoERR(=Ratio0−Ratio)を求める。
そしてステップ124で、変速比偏差RtoERRと、その1周期(例えば10msec)前の値RtoERR(OLD)との差分値(d/dt)RtoERR〔=RtoERR−RtoERR(OLD)〕を求め、これを変速比偏差RtoERRの微分値として用いる。
【0059】
図7は、図3のブロック80〜83におけると同様の処理によりPID制御のフィードバックゲインを求めるもので、ステップ131において変速機入力回転数Ni および車速VSPを読み込み、
ステップ132においては、変速機入力回転数Ni および車速VSPに応じて決定すべき第1の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA1、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA1、および微分制御用フィードバックゲインfbdDATA1をマップ検索により求める。
【0060】
ステップ133においては、変速機作動油温TMPおよびライン圧PL を読み込み、
ステップ134においては、変速機作動油温TMPおよびライン圧PL に応じて決定すべき第2の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA2、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA2、および微分制御用フィードバックゲインfbdDATA2をマップ検索により求める。
【0061】
ステップ135においては、上記第1のフィードバックゲインおよび第2のフィードバックゲインを対応するもの同士掛け合わせて、比例制御用フィードバックゲインfbpDATA(=fbpDATA1×fbpDATA2)、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA(=fbiDATA1×fbiDATA2)、および微分制御用フィードバックゲインfbdDATA(=fbdDATA1×fbdDATA2)を求める。
【0062】
図8は、図3のブロック84におけると同様の処理を行って、PID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoを求めるもので、
先ずステップ141において、図6で求めた変速比偏差RtoERRおよび同偏差の微分値(d/dt)RtoERRを読み込み、次いでステップ142において、図7で求めたフィードバックゲインfbpDATA,fbiDATA,fbdDATAをそれぞれ読み込む。
ステップ143では、車速VSPおよび変速機入力回転数Ni から車両が停車状態か否かを判定する。
停車状態なければステップ144において、ステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに追従可能か否かを判定する。
【0063】
この判定は、図3のブロック89におけると同様にして、図9に詳細を示すごとくに行い、
ステップ151において、図4のステップ95で求めた目標ステップ数DsrSTPを読み込み、
ステップ152において、図4のステップ97で求めたステップモータ駆動位置指令Astepを、ステップモータ4の現在の駆動位置として読み込む。
次いでステップ153において、ステップモータ4の目標ステップ数DsrSTPに対する実駆動位置Astepの偏差ΔSTP=|DsrSTP−Astep|を演算する。
【0064】
ステップ154,155では、ステップモータ4の駆動位置偏差ΔSTPが、図4のステップ96において決定されるステップモータ4の限界駆動速度から求めた追従可能判定偏差EStpON以下か、追従不能判定偏差EStpOF以上か、これら判定偏差間の値かを判定する。
ここで追従可能判定偏差EStpONおよび追従不能判定偏差EStpOFは、ステップモータ4の限界駆動速度で1制御周期内に無くし得る偏差を基準にして定めるが、両者間にはヒステリシスを設定する。
【0065】
ステップモータ4の駆動位置偏差ΔSTPが追従可能判定偏差EStpON以下であれば、ステップ156において、ステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに追従可能と判定し、
ステップモータ4の駆動位置偏差ΔSTPが追従不能判定偏差EStpOF以上であれば、ステップ157において、ステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに追従不能と判定し、
ステップモータ4の駆動位置偏差ΔSTPが追従可能判定偏差EStpONと追従不能判定偏差EStpOFとの間であれば、ステップ158において、前回の判定結果を保持する。
【0066】
かかる判定結果が追従可能である場合、図8のステップ144は制御をステップ145〜147に進め、ステップ145において、積分制御による変速比フィードバック補正量の今回加算分DintgRをDintgR=RtoERR×fbiDATAの演算により求め、
ステップ146において、この今回加算分DintgRを、積分制御による変速比フィードバック補正量の前回値intgR(OLD)に加算して積分制御による変速比フィードバック補正量の今回値intgRを求める。
【0067】
そしてステップ147においては、図7のように求めたフィードバックゲインを用い、先ず比例制御による変速比フィードバック補正量をRtoERR×fbpDATAにより求め、
微分制御による変速比フィードバック補正量を(d/dt)RtoERR×fbdDATAにより求め、
これらと、上記した積分制御による変速比フィードバック補正量の今回値intgRを加え合わせることにより、PID制御による変速比フィードバック補正量FBrto(=RtoERR×fbpDATA+(d/dt)RtoERR×fbdDATA+intgR)を求める。
【0068】
ところで、ステップ144においてステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに追従不能であると判定した場合は、ステップ148において積分制御による変速比フィードバック補正量の今回加算値DintgR(OLD)を0に維持する。これがため、ステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに追従不能である場合、ステップ146で求めた積分制御による変速比フィードバック補正量の今回値intgRが前回値intgR(OLD)のままに保持されることとなり、当該追従不能にもかかわらずフィードバック制御不能分の変速比フィードバック補正量が溜まり込むのを回避して、前記した作用効果を達成することができる。
【0069】
しかも図9につき前述したように、追従可能判定偏差EStpONおよび追従不能判定偏差EStpOFを追従安定基準偏差して定め、駆動位置偏差ΔSTPがΔSTP≦EStpONであれば、ステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに追従可能と判定し、ΔSTP≧EStpOFであれば追従不能と判定し、EStpON<ΔSTP<EStpOFであれば前回の判定結果を保持するから、
追従可能判定偏差EStpONおよび追従不能判定偏差EStpOF間にヒステリシスが存在し、上記の追従判定に際してハンチングを生ずることなく安定して当該判定を行うことができる。
【0070】
なお、図8のステップ143で車両が停車状態になったと判定する時は、ステップ149において、積分制御による変速比フィードバック補正量の今回値intgRおよびPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoをそれぞれ0にリセットする。
これがため、変速比のフィードバック補正量FBrtoに積分誤差が蓄積されるのを防止することができ、当該フィードバック補正量を正確に保つことが可能である。
【0071】
なお、上記実施の形態では本発明の変速制御装置をトロイダル型無段変速機に適用する場合について説明したが、本発明はVベルト式無段変速機に対しても同様に適用することができるし、これら無段変速機に限らず有段の自動変速機に適用しても同様な作用効果が奏し得られることは言うまでもない。
ただし有段の自動変速機にあっては、油圧クラッチや、油圧ブレーキなどの変速用摩擦要素の作動油圧値を個々に直接制御して、変速前変速段から変速後変速段への変速中に、変速機入出力回転数比で表される実効ギヤ比を所定の時定数で過渡制御する場合に本発明を適用し得ること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施の態様になる変速制御装置を具えたトロイダル型無段変速機の縦断側面図である。
【図2】同トロイダル型無段変速機を、その変速制御システムと共に示す縦断正面図である。
【図3】同例におけるコントローラが実行する変速制御の機能ブロック線図である。
【図4】同コントローラをマイクロコンピュータで構成した場合において、これが実行すべき変速制御プログラムの全体を示すフローチャートである。
【図5】同変速制御プログラム中におけるトルクシフト演算処理を示すフローチャートである。
【図6】同変速制御プログラム中における、目標変速比と実変速比との間の変速比偏差を求めるための演算処理を示すフローチャートである。
【図7】同変速制御プログラム中におけるフィードバックゲイン算出処理を示すフローチャートである。
【図8】同変速制御プログラム中における変速比フィードバック補正量算出処理を示すフローチャートである。
【図9】同変速制御プログラム中におけるステップモータ追従可能判定処理を示すフローチャートである。
【図10】無段変速機の変速パターンを例示する変速線図である。
【図11】積分制御による変速比フィードバック補正量と、変速アクチュエータ位置と、変速比の時系列変化を、本発明による場合と、従来装置による場合とで比較して示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 入力コーンディスク
2 出力コーンディスク
3 パワーローラ
4 ステップモータ(変速アクチュエータ)
5 変速制御弁
6 ピストン
7 プリセスカム
8 変速リンク
20 入力軸
28 ローディングカム
41 トラニオン
43 アッパリンク
45 ロアリンク
61 コントローラ
62 スロットル開度センサ
63 車速センサ
64 入力回転センサ
65 出力回転センサ
66 油温センサ
67 ライン圧センサ
68 エンジン回転センサ
71 変速マップ選択部
72 到達入力回転数算出部
73 到達変速比算出部
74 変速時定数算出部
75 目標変速比算出部
76 入力トルク算出部
77 トルクシフト補償変速比算出部
78 実変速比算出部
79 変速比偏差算出部
80 第1フィードバックゲイン算出部
81 第2フィードバックゲイン算出部
83 フィードバックゲイン算出部
84 PID制御部
85 補正済変速比算出部
86 目標ステップ数算出部
87 ステップモータ駆動位置指令算出部
88 ステップモータ駆動速度決定部
89 ステップモータ追従可能判定部

Claims (5)

  1. 目標変速比と実変速比との間の変速比偏差に応じた積分制御によるフィードバック補正量だけ前記目標変速比を補正して補正済目標変速比を求め、この補正済目標変速比に向かうよう変速アクチュエータを介し変速される自動変速機において、
    前記補正済目標変速比に対応した前記変速アクチュエータの目標駆動位置と、該変速アクチュエータの実駆動位置との間のアクチュエータ駆動位置偏差から、変速アクチュエータが目標駆動位置に追従可能か否かを判定し、追従不能な場合、前記積分制御によるフィードバック補正量を保持するよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1において、前記変速アクチュエータの限界駆動速度でも1制御周期中に前記補正済目標変速比対応の変速アクチュエータ目標駆動位置を実現不能なとき、前記限界駆動速度で実現可能な変速アクチュエータの実現可能限界位置を変速アクチュエータへの駆動位置指令とするようになし、該駆動位置指令を前記変速アクチュエータの実駆動位置として変速アクチュエータの前記追従可能判定に資するよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  3. 請求項2において、前記アクチュエータ駆動位置偏差が前記変速アクチュエータの限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差未満のとき追従可能と判定し、以上のとき追従不能と判定するよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  4. 請求項3において、前記追従判定基準偏差として追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差を設定し、前記アクチュエータ駆動位置偏差が追従可能判定基準偏差以下のとき追従可能と判定し、追従不能判定偏差以上のとき追従不能と判定し、追従可能判定基準偏差および追従不能判定偏差間の値であるとき現在の判定状態を維持するよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、自動変速機が車両に搭載されたものである場合、前記積分制御によるフィードバック補正量を停車の度に0にリセットするよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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