JP3790266B2 - 疲労度評価装置、疲労度評価装置の制御方法、および疲労度評価プログラム、並びに該プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

疲労度評価装置、疲労度評価装置の制御方法、および疲労度評価プログラム、並びに該プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

本発明はヒトの疲労度を評価する方法、疲労度評価装置およびデータベースに関するものであり、具体的には、疲労度の評価の指標として、脈波、特に加速度脈波の波形変化を用いる疲労度評価方法、疲労度評価装置およびデータベースに関するものである。
現代社会に生きる大多数の人々にとって、疲労は日常的に感ずることの多い現象である。例えば、日本国の国立公衆衛生院疫学部が1999年(平成11年)に実施した疲労の実態調査結果によると、「現在、疲労を感じている」と答えた人は全体の59.1%にのぼることが明らかとなっている。
元来、日本人は欧米人に比べて疲労感と肩こりとを訴える割合が突出して高いとされる。例えば、「滋養強壮・肉体疲労」を効能とした医薬品・医薬部外品の販売について見れば、日本の売上高は他国を大きく引き離して世界一の座を有しており、しかも、疲労回復を効能とした漢方薬としては、肩こりのシップ薬が保険適用されている。この点からみても、日本は「世界有数の疲労大国」と言うことができる。
もちろん日本以外の諸外国でも、疲労感を訴える人々は多く存在している。したがって、疲労の緩和や解消は現代における重要な課題の一つであると言うことができるが、疲労に関する研究は未だ発展途上の状況にある。
例えば、上記のように、日本では、疲労が蔓延している状況であるにもかかわらず、数年前まで疲労に関する研究はほとんど行われていなかった。
また、疲労に関しては、近年、慢性疲労症候群(CFS)という疾病概念が問題視されている(例えば、非特許文献1参照)。このCFSは、これまで健康に生活していた人が、風邪等に罹患したことがきっかけとなり、ある日突然発症してくることが多い。その症状としては、原因不明の激しい全身倦怠感とともに微熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛、脱力感、思考力・集中力の障害、抑うつ症状、睡眠障害等が挙げられ、これら症状が長期にわたって認められる。しかしながらCFSについての科学的解明は進んでいない。
さらに、疲労に関する問題としては、現代日本で広く知られ、大きな社会問題としてクローズアップされている過労死も挙げられる。過労死とは、長時間過密の働きすぎによる突然死を指す。過労死の問題は医学的、経済的、社会的にも非常に重要であると認識されているにもかかわらず、その科学的メカニズムについてはほとんど解明されていない。
上記CFSや過労死を予防あるいは治療する点も含め、疲労に関する研究を進める上では、その根本現象である「疲労という状態」を科学的にとらえる、すなわち再現性よく定量することが必要となる。
一般に、「病的な状態にあるか否か」を判断する場合は、ヒトの生命活動に携わる様々な生理現象を指標として何らかの形で数値化する等して利用することが広く行われている。したがって、疲労についても何らかの指標を見出せば、「疲労度」として定量化することが可能になると考えられる。
ところで、心循環系の評価を行うための指標の一つとして、脈波が知られている。脈波は、心臓の収縮・拡張とともに発生する末梢動静脈径の拍動現象のことであり、中枢から末梢にいたる血行動態に関して多くの情報を含んでいる。すなわち、心臓から送り出された血流が波動として末梢に伝達されると、心拍数、血行動態、細動脈系の性状変化など生理的条件によって修飾され、波形のゆがみが生ずる。脈波にはこのようなゆがみが含まれているため、これらゆがみを個別に評価することで、心循環系の評価をする技術が種々提案されている。
具体的には、例えば、非特許文献2には、指尖容積脈波(DPG)を利用する検査技術が開示されている。DPGは、局所における動脈血流入量と静脈血流入量との差分を示しており、当該局所付近の動脈の圧脈波をかなり正確に推定することができる。その検査対象としては、主に末梢血管循環動態や自律神経機能を反映する検査が挙げられる。
ただし、上記DPGでは、基線が安定しない、波形の起状にとぼしい、変曲点を評価することが困難である等といった問題を生じる、そこで、上記DPGの解析を補助する目的で、波形を微分する技術が提案されている。
例えば、非特許文献3には、肺機能障害、高血圧、動脈硬化性心臓病などの各種疾患のDPG波形の特徴を、同時記録した一次微分波形や心弾図(心機能検査法)とともに検討した研究が開示されている。この研究では、DPG波形またはDPGの一次微分波形においては、末梢動脈系の影響が大きいことを示唆している。
さらに近年では、DPG波形の一次微分波形をさらに微分して、二次微分波形とした加速度脈波が提案されている。この加速度脈波に関する技術としては、非特許文献4や特許文献1に開示されている技術を挙げることができる。
加えて、脈波は心循環系以外の評価にも利用可能であることが知られている。具体的には、例えば、特許文献2では、加速度脈波の波形の評価法や、波形を一義的に規定する因子や修飾する因子についての成果が開示されており、血管の老化や体調評価に利用可能であるとしている。
また、特許文献3には、脈波を利用したストレスレベル測定方法が開示されている。この技術では、パラメータという一般的な表現でストレスレベルを出力する装置について開示されている。さらに、特許文献4および5には、酸化ヘモグロビンに対する脈波と非酸化ヘモグロビンに対する脈波との比較から体調を判定する、体調判別方法および体調判別装置が開示されている。
さらに、非特許文献5・6には、指尖容積脈波のカオスアトラクターの状態依存性に関する知見が開示されている。具体的には、疲労したり、ストレスがかかったり、健康度が落ちたり、もしくは老化が進んだりするとカオスの有する複雑度が落ちて、アトラクターは規則的で単純な構造になることが知られている。
[特許文献1]
日本国公開特許公報:特開2000−217797号公報(公開日:2000年8月8日)
[特許文献2]
日本国公開特許公報:特開2002−238867号公報(公開日:2002年8月27日)
[特許文献3]
日本国公開特許公報:特開平7−51234号公報(公開日:1995年2月28日)
[特許文献4]
日本国公開特許公報:特開2002−272708号公報(公開日:2002年9月24日)
[特許文献5]
日本国公開特許公報:特開2003−61921号公報(公開日:2003年3月4日)
[非特許文献1]
日本内科学会雑誌、81、573−582(1992)
[非特許文献2]
竹宮敏子:臨床脈波について、東女医大誌、46、1−12(1976)
[非特許文献3]
西尾豊:指尖容積脈波の微分波形について、脈波、3(2)、127−130(1973)
[非特許文献4]
佐野祐司他:加速度脈波による血管循環の評価とその応用、労働科学、61(3)、129−143(1985)
[非特許文献5]
バイオメカニズム学会誌、Vol.19、No.2(1995)
[非特許文献6]
看護研究、Vol.34、No.4、2001年8月
上記のように、脈波または加速度脈波を利用し、心循環系以外の評価を行う技術は従来から知られており、体調の評価に利用する技術も知られている。しかしながら、脈波や加速度脈波が疲労とどのような関係を有しているかは全く知られていない。
例えば、特許文献3には、上述したようにストレスレベルの測定技術が開示されているが、疲労に関する事項については言及されておらず、さらには、パラメータの算出方法や臨床データの対応等の具体的な内容は記載されていない。同様に、特許文献3〜5や非特許文献5・6には脈波と疲労との関連性については言及されていない。
また、評価対象にかかわらず、単に脈波を用いるよりも加速度脈波を用いる方がより詳細な評価が可能となると考えられるが、特許文献3〜5や非特許文献5・6には、加速度脈波に関する事項については記載されていない。
ここで、特許文献2には、加速度脈波の成分波のパラメータを利用した技術が開示されている。しかしながら、この技術では、二つの波形指数の平均値および標準偏差から導き出される血管老化スコアを用いて血管老化を評価しており、非常に複雑な解析を必要としている。
加えて、非特許文献5・6には、指尖容積脈波のカオスアトラクターと健康状態等の状態依存性に関する知見が開示されているが、加速度脈波のカオスアトラクターと疲労との関連性については一切開示も示唆もされていない。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、脈波、特に加速度脈波を利用すれば、特別な解析を必要とせず簡便かつ定量的に疲労を評価することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、脈波のうち、指尖容積脈波(DPG)を2回微分した加速度脈波の波形における成分波であるa波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の波高を測定することにより、特にa波の波高を測定することにより、疲労度を簡便且つ定量的に測定できることを見出し、本発明を完成した。
さらに、上記加速度脈波をカオス解析することにより、疲労度を簡便且つ定量的に測定できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)脈波の波形の変化を指標として疲労度を評価する方法;好ましくは脈波が加速度脈波である方法;具体的には、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価する方法であって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価する、疲労度を評価する方法、および指標とする加速度脈波の波形の変化が、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも2種の測定値の比率の変化であり、測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および前記測定値の変動係数のなかから選ばれる少なくとも1つである方法;
(2)疲労度を評価するデータを収集する方法であって、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の測定値の変化を測定し、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および前記測定値の変動係数のなかから選ばれる少なくとも1つである方法;好ましくは、疲労度を評価するデータを収集する方法であって、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波高変化を測定する方法;
(3)基準時における加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の測定値であって、成分波の波高、周波数、波長、周期および前記測定値の変動係数のなかから選ばれる少なくとも1つの測定値からなるデータベース;好ましくは、基準時における加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波高からなるデータベース;および
(4)加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価する方法であって、上記データベース内の波高データと比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価する、疲労度を評価する方法;に関する。
また、本発明は、以下の方法または装置を含む。
(5)上記加速度脈波をカオス解析し、カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する方法;好ましくは、上記指標とするカオス解析における因子が最大リアプノフ指数であって、基準時における最大リアプノフ指数と比較し、最大リアプノフ指数が小さい場合に疲労していると評価する方法。また、好ましくは、上記指標とするカオス解析における因子が相関次元であって、基準時における相関次元と比較し、相関次元が整数値に近い場合に疲労していると評価する方法。また、上記カオス解析が最大エントロピー法を用いる方法;好ましくは、上記指標とするカオス解析における因子が高周波成分であって、基準時における高周波成分と比較し、高周波成分の傾きが大きい場合に疲労していると評価する方法。
なお、上記疲労度評価方法は、被験者から得られた脈波を用いて行うものであってもよい。
なお、上記被験者から得られた脈波は、例えば、指尖、耳朶や手首、上腕、頚部の動脈等を測定することによって得られるものであればよいが、測定部位は脈波を採取できる部位であればよく、特に限定されるものではない。
また、(6)被験者から得られた脈波の波形の変化を指標として疲労度を評価する評価手段を備える疲労度評価装置。被験者から得られた脈波から算出された加速度脈波の波形の変化を指標として疲労度を評価する評価手段を備える疲労度評価装置;
好ましくは、さらに、被験者から得られた脈波を2回微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段を備える装置。また、好ましくは、上記評価手段は、成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形の変化を指標として疲労度を評価するものである装置。また、好ましくは、上記評価手段は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の測定値の変化を指標として疲労度を評価するものであって、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および上記測定値の変動係数の中から選ばれる少なくとも1つである装置。さらに好ましくは、上記評価手段は、加速度脈波の成分波a波の波高変化を指標として疲労度を評価するものである装置。
また、上記評価手段は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価するものであって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価するものである装置が好ましい。さらに、上記評価手段は、成分波a波の波高変化を指標として、疲労度を評価するものであって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価するものであることが好ましい。
また、上記評価手段は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも2種の測定値の比率の変化を指標として疲労度を評価するものであり、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および上記測定値の変動係数の中から選ばれる少なくとも1つである装置が好ましい。
また、(7)被験者から得られた脈波から算出された加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備える疲労度評価装置;好ましくは、上記指標とするカオス解析における因子が最大リアプノフ指数であって、上記評価手段は、基準時における最大リアプノフ指数と比較し、最大リアプノフ指数が小さい場合に疲労していると評価するものである装置。また、好ましくは、上記指標とするカオス解析における因子が相関次元であって、上記評価手段は、基準時における相関次元と比較し、相関次元が整数値に近い場合に疲労していると評価するものである装置。また、好ましくは、上記解析手段は、カオス解析として最大エントロピー法を用いるものである装置。また好ましくは、上記指標とするカオス解析における因子が高周波成分であって、上記評価手段は、基準時における高周波成分と比較し、高周波成分の傾きが大きい場合に疲労していると評価するものである装置。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
[図1]加速度脈波形の典型的なa波、b波、c波、d波およびe波の5つの成分波を示す図である。縦軸は波高(amplitude(mV))を表し、横軸は時間(sec)である。
[図2]疲労負荷前後における加速度脈波のa波の波高変化を示すグラフである。
[図3]周波数スペクトル解析の説明図である。
[図4]周波数スペクトル解析によって得られた高周波成分の傾きを示す説明図である。
[図5]実施例における疲労試験スケジュールを示す図である。
[図6]VAS試験用紙を示す図である。
[図7]Face Scale試験用紙を示す図である。
[図8]精神疲労負荷方法を示す図である。
[図9]身体疲労負荷方法を示す図である。
[図10]VASの結果を示す図である。
[図11]Face Scaleの結果を示す図である。
[図12]疲労負荷前後における最大リアプノフ指数を調べた結果を示す図である。
[図13]疲労負荷前後における相関次元を調べた結果を示す図である。
[図14]疲労負荷前後における高周波成分の傾きを調べた結果を示す図である。
[図15]本実施の形態に係る疲労度評価システムの機能ブロックを示す図である。
[図16]本実施の形態に係る疲労度評価装置の処理フローの一例を示す図である。
[図17]本実施の他の形態に係る疲労度評価システムの機能ブロックを示す図である。
[図18]本実施の形態に係る疲労度評価装置の他の処理フローの一例を示す図である。
[図19]本実施の形態に係る疲労度評価装置の他の処理フローの一例を示す図である。
(1)脈波の波形の変化を指標として疲労度を評価する方法および疲労度評価装置
本発明において、疲労度とは、「身体的あるいは精神的負荷を連続して与えたときにみられる一時的な身体および精神的なパフォーマンスの低下の程度」と定義され、ここに「パフォーマンスの低下」とは身体的および精神的作業能力の質的あるいは量的な低下を意味する。
近年、慢性疲労症候群(以下CFSとする)という疾病概念が問題視されている(日本内科学会雑誌、81:573−582、1992)。これまで健康に生活していた人が風邪などに罹患したことがきっかけとなり、ある日突然発症してくることが多く、原因不明の激しい全身倦怠感とともに微熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛、脱力感、思考力・集中力の障害、抑うつ症状、睡眠障害などの症状が長期にわたって認められる。また、現代日本で広く知られ、大きな社会問題としてクローズアップされている過労死という問題もある。過労死とは長時間過密の働きすぎによる突然死を指す。過労死の問題は医学的、経済的、社会的にも非常に重要であると認識されているにもかかわらず、その科学的メカニズムについてはほとんど解明されていない。
本発明方法は、疲労度を簡便且つ定量的に測定できる。よって、疲労度の定量化は、慢性疲労症候群や過労死を予防あるいは治療する観点からも重要であると考えられる。
収縮期血圧と拡張期血圧との差である脈圧の波形(脈波)は、大動脈から末梢の動脈に行くにつれて、種々の部位において投射波と反射波とが合成され、共鳴が起こるため変容していき、変容の程度は血管の性状または特性の影響の総和とみることができる。現在、多く使われている脈波測定計は光電式指尖容積脈波計であり、この脈波測定計の原理は、指先にヘモグロビンに吸光特異性のある波長の光を当てて、吸収光、または反射光から血管内の血流の容積変化を求め、波形を得る方法に基づいている。このような脈波とヒトの疲労との相関関係を示す報告はない。
指標とする脈波の測定値は、脈波の波形、周波数、波長、波高、周期またはこれらの変動係数である。
好ましい態様では、本発明は指標とする脈波として加速度脈波を用いる。
脈波測定計により得られる指尖容積脈波(DPG)を2回微分して得られる二次微分波が「加速度脈波」である。加速度脈波は変曲点を強調して、波形の評価を容易にし、血液循環動態をとらえていると考えられる。原波形の変曲点が鋭角であればあるほど、二次微分波形の変曲点の振幅も大きくなるため(文献:鈴木明祐(1991):生理機能検査法 脈波、加速度脈波,現代医療,23(1),61−65.)、変曲点による波形のパターンの認識や測定が容易となり、生理機能との関連や血行動態の研究にさらに適していると考えられる。加速度脈波形は心臓の収縮期の波形であり、a波、b波、c波、d波およびe波の5つの成分波がみられる(図1)。図1における縦軸が波高(amplitude(mV))を表す。
さらに好ましい態様では、指標とする加速度脈波の波形は、成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波、より好ましくは成分波a波の波形である。指標とする脈波の波形変化には、脈波の波形、周波数、波長、波高、周期およびこれらの変動係数の変化がある。指標とする加速度脈波の波形の変化が、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも2種の測定値の比率の変化であり、測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および前記測定値の変動係数のなかから選ばれる少なくとも1つである方法も本発明に含まれる。
加速度脈波は、脈波測定計により得られるDPGを2回微分して得られる。末梢脈波の波形ほど中心脈波よりも凹凸が大きく波形判別がし易いので、末梢脈波を測定する。
本発明は典型的な態様として、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価する方法であって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価する、疲労度を評価する方法を提供する。基準時とは、ある被験者における疲労の無い状態時あるいは疲労負荷前を意味する。
また、本発明は、被験者から得られた脈波から算出された加速度脈波をカオス解析し、このカオス解析における因子(カオス性パラメータ)を指標として被験者の疲労度を評価する方法を提供する。
カオスとは、決定論的メカニズムであるが、その系が有する非線形性のために、きわめて複雑な変動を示し、決定論であるにもかかわらず将来の予測が極めて困難な系のことである。現在、自然界のほとんどすべての現象はカオスで表されるといわれている。カオス解析は、このカオスを解析する手法である。現在、カオス解析には以下の2種類がある。・相関次元解析と最大リアプノフ指数解析を組み合わせた古典的カオス解析
・最大エントロピー法を用いたカオス解析
上記それぞれの解析方法および因子について、以下に説明する。
まず、「相関次元解析と最大リアプノフ指数解析を組み合わせた古典的カオス解析」について説明する。
「相関次元解析と最大リアプノフ指数解析を組み合わせた古典的カオス解析」とは、ここ数10年、盛んに行われている手法であって、主に相関次元解析と最大リアプノフ指数解析を組み合わせた手法である。
この手法において、カオスであることの必要条件は、
(i)相関次元が、非整数であること。
(ii)最大リアプノフ指数が正であること。
上記1)及び2)を同時に満たす必要がある。
ここで、「相関次元」とは、フラクタル次元の指標の一つであって、下記数式(1)により表される相関積分式をもとに算出される。この値が大きいほど、時系列データをグラフ化した時、より複雑なグラフとなる。つまり、事象が繰返し起きているかどうかの指標となる(自己相似性の指標)。具体的には、整数であれば、単に同じことの繰返しである程度が高いことを示し、非整数であれば、同じことの繰返しではないことを示す。
Figure 0003790266
Figure 0003790266
また、「最大リアプノフ指数」とは、初期値依存性、あるいは長期予測不能性の指標であり、下記数式(2)で表される。最大リアプノフ指数が大きいほど、初期値の差異が非常に少ないにもかかわらず、その事象が全く異なった振る舞いをしていることを示す。
Figure 0003790266
上述した相関次元が非整数である場合、この最大リアプノフ指数が大きいほど、長期予測が困難になる。古典的カオス解析においては、最大リアプノフ指数が大きいほど、カオス的であることを示すと考えられている。なお、本発明では、後述する実施例に示すように、相関次元が整数値に近いほど疲労していると評価することができ、最大リアプノフ指数が小さいほど疲労していると評価することができる。
次に、「最大エントロピー法を用いたカオス解析」について説明する。
「最大エントロピー法を用いたカオス解析」とは、周波数解析の一つである最大エントロピー法を用いて事象のカオス性を検討する方法であって、ここ数年以来の間に、理論的背景が確立してきた手法である。周波数解析の分野でよく使われている高速フーリエ変換では、困難であった比較的短時間に起こる事象のカオス解析が、本手法を用いることで可能となった。本手法では、得られた時系列データがカオスであるための4つの必要条件のうちの一つである、低周波成分を除く、高周波成分の減衰が、指数関数的であることを利用している。その傾きが急峻なほど、カオス性が減弱している、つまりゆらぎ成分が消失していることを示す(図12および図13参照)。
なお、本発明では、後述する実施例に示すように、高周波成分の傾きが大きいほど、疲労していると評価することができる。
また、本発明に係る疲労度評価方法において、カオスであるための条件は以下の4点である。
(i)PSDが、低周波数領域を除く、全体として指数スペクトルを示す
(ii)基本モード(fundamental mode)と高調波(higher harmonics)が確認される
(iii)カオスへの成長過程において、分数調波(subharmonics)が確認できる
(iv)カオスの発達過程において、逆カスケード(inverse cascade)が確認できる
参考文献の出典:N.Ohtomo,T.Kamo,M.Watanabe,K.Yoneyama,Y.Tanaka and R.Hayashi,″Power Spectral Densities of Temporal Variations of Blood Pressures″,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.35(1996)pp.5571−5582
本発明に係る方法では、これらの条件のうち1)を用いている。加速度脈波時系列データは、低周波成分を除く、高周波成分の減衰が、指数関数的であることからカオス性を有すると考えられる。減衰が指数関数的であることより、x軸に周波数、y軸にPSDを片対数でプロットすると、それは直線になる。そこで、その直線の傾きを、加速度脈波のカオス性の定量に始めて応用したものである。その傾きが急峻なほど(傾きの絶対値が大きい程)、カオス性が減弱している、つまりゆらぎ成分が消失していることを示している(図12および図13参照)。
なお、本発明に係る疲労度評価方法は、被験者から得られた脈波を用いて行うことも可能である。すなわち、本発明では、被験者の身体に触れて脈波を取得する工程を本発明の範囲外で別途行い、得られた脈波を用いて、被験者の疲労度を評価することができる。
上記態様において、本発明は本発明の評価方法を実施するための装置をも提供する。かかる装置にはヒトの脈波を計測する部材(手段)、要すれば脈波から加速度脈波を算出する部材(手段)、加速度脈波に所定の解析を行い、評価する部材(手段)、計測したデータを画像化する部材(手段)、および画像を表示する部材(手段)等を備えるものである。
例えば、図15に示すように、本実施の形態に係る疲労度評価システム10は、被験者の脈波を測定する脈波測定装置2、疲労度評価装置1、入力装置5、出力装置6を備えている。疲労度評価装置1は、加速度脈波算出部3、評価部4、記憶部7を備えている。
脈波測定装置2は、従来公知の脈波を測定(計測)する装置を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、従来公知の指尖容積脈波(DPG)を測定する装置(例えば、脈波測定計)を好適に用いることができる。
加速度脈波算出部3は、脈波測定装置2によって得られる脈波を2回微分して加速度脈波を算出するものであればよく、その具体的な構成は特に限定されるものではない。従来公知の演算装置を用いることができる。
評価部4は、加速度脈波算出部3によって算出された加速度脈波の波形の変化を指標として疲労度を評価するものであればよい。つまり、評価部4は、上述した本発明に係る疲労度評価方法を実行する部材であるといえる。
入力装置5は、疲労度評価装置1の動作に関わる情報を入力可能とするものであれば特に限定されるものではなく、キーボードやタブレット、あるいはスキャナー等従来公知の入力手段を好適に用いることができる。
出力装置6は、脈波や加速度脈波、そして評価結果等を含む、疲労度評価システム10の動作に関わる情報や結果等の各種情報を表示する表示手段である。具体的には、公知のCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ等といった各種表示装置が好適に用いられるが特に限定されるものではない。
また、出力装置6は、表示手段で表示可能な各種情報をPPC用紙等の記録材に記録(印刷・画像形成)するものであってもよい。具体的には、公知のインクジェットプリンタやレーザープリンタ等の画像形成装置が好適に用いられるが特に限定されるものではない。
すなわち、出力装置6は、各種情報をソフトコピーで出力する手段であり、及び/又は、各種情報をハードコピーで出力する手段である。なお、本発明で用いられる出力手段としては、上記表示手段や印刷手段に限定されるものではなく、その他の出力手段を備えていてもよい。
記憶部7は、疲労度評価システム10で利用される各種情報(脈波、加速度脈波、制御情報、評価結果、その他情報等)を記憶するものである。具体的には、例えば、RAMやROM等の半導体メモリ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系等、従来公知の各種記憶手段を好適に用いることができる。
また、上記記憶部14は、疲労度評価システム10と一体化されていて一つの装置になっていてもよいが、別体となっている外部記憶装置となっていてもよく、さらには、一体化された記憶部7と外部記憶装置とが両方とも備えられている構成であってもよい。例えば、一体化した記憶部7としては、内蔵型のハードディスクや装置に組み込まれたフレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ等が挙げられ、外部記憶装置としては、外付けハードディスクや外付け型の上記各種ディスクドライブ等が挙げられる。
次に、本発明の特徴的な部分である評価部4の具体的な機能について説明する。例えば、評価部4は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形の変化を指標として疲労度を評価するものである。また、評価部4は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の測定値の変化を指標として疲労度を評価するものであって、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および上記測定値の変動係数の中から選ばれる少なくとも1つであってもよい。特に、加速度脈波の成分波a波の波高変化を指標として疲労度を評価するものであることが好ましい。
また、評価部4は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価するものであって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価するものである。特に、成分波a波の波高変化を指標として、疲労度を評価するものであって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価するものであることが好ましい。
さらに、評価部4は、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも2種の測定値の比率の変化を指標として疲労度を評価するものであり、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および上記測定値の変動係数の中から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
評価部4における具体的な処理フローの一例を挙げて説明する。図16に、加速度脈波の成分波a波の波高変化を指標として疲労度を評価する場合であって、基準時における波高と比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価する場合の処理フローの一例を示す。
まず、ステップ1にて、評価部4は、加速度脈波の成分波a波の波高を算出する。次いで、ステップ2にて、評価部4は、基準時における波高を記憶部7から呼び出す。そして、評価部4は、算出した加速度脈波の成分波a波の波高と基準時における波高とを比較する(ステップ3)。評価部4は、算出した加速度脈波の成分波a波の波高が基準時における波高よりも低い場合、疲労している(疲労度が高い)と評価する(ステップ4)。一方、評価部4は、算出した加速度脈波の成分波a波の波高が基準時における波高よりも高い場合、疲労していない(疲労度が低い)と評価する(ステップ5)。最後に評価結果を出力装置6に出力する。
本明細書では、加速度脈波の成分波a波の波高を指標として疲労度を評価する場合について説明したが、これに限られるものではなく、本発明に含まれるその他の処理、つまり、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価する場合や、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも2種の測定値の比率の変化を指標として疲労度を評価するものであり、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および上記測定値の変動係数の中から選ばれる少なくとも1つである場合等でも当業者であれば、同様に処理フローを構築することができる。
また、本発明に係る疲労度評価装置の他の実施形態について図17を参照して説明する。本実施の形態に係る他の疲労評価システム10’は、脈波測定装置2、疲労度評価装置1’、入力装置5、出力装置6を備えている。疲労度評価装置1’は、加速度脈波算出部3、評価部4’、記憶部7、カオス解析部8を備えている。なお、評価部4’、カオス解析部8以外の部材は、上述した部材・装置と同様の機能であるため、ここではその説明を省略し、特徴部分である評価部4’、カオス解析部8についてのみ説明する。
カオス解析部8は、加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段として機能するものであり、上述したカオス解析、つまり「相関次元解析と最大リアプノフ(Lyapunov)指数解析を組み合わせた古典的カオス解析」、及び/又は、「最大エントロピー法を用いたカオス解析」を実行する手段である。
また、評価部4’は、カオス解析部8によって算出されたカオス解析における因子を指標として疲労度を評価する評価手段であり、上述したカオス解析の結果から疲労度を評価する方法を実行するものである。
具体的には、評価部4’は、カオス解析が「相関次元解析と最大リアプノフ指数解析を組み合わせた古典的カオス解析」である場合、最大リアプノフ指数または相関次元に基づいて疲労度を評価する。例えば、上記指標とするカオス解析における因子が最大リアプノフ指数である場合、評価部4’は、基準時における最大リアプノフ指数と比較して、測定時の最大リアプノフ指数が小さい場合に、測定時に疲労していると評価するものである。また、上記指標とするカオス解析における因子が相関次元である場合、評価部4’は、基準時における相関次元と比較し、測定時の相関次元が整数値に近い場合に、測定時に疲労していると評価するものである。
一方、カオス解析が「最大エントロピー法を用いたカオス解析」である場合、評価部4’は、上記指標とするカオス解析における因子として、高周波成分を用いて疲労度を評価する。この場合、評価部4’は、基準時の高周波成分と比較し、測定時の高周波成分の傾きが大きい場合に、測定時に疲労していると評価する。
次いで、カオス解析部8における具体的な処理フローの一例を図18に示す。まず、ステップ1において、カオス解析部8は、加速度脈波算出部3によって得られた加速度脈波の時系列データを加工する。この加工処理は、ノイズ部分等を除去した後の一連の時系列が十分なデータ長があるか否かの判定を行う処理である。加えて、データの正規化が必要な場合は正規化を行なう。さらに、必要な部分を抽出する処理であってもよい。
次に、ステップ2において、カオス解析部8は、自己相関関数を用いて埋込遅延時間を決定する。具体的には、自己相関関数R(Δt)は、以下の計算式(3)で計算する。
Figure 0003790266
x軸にΔt、y軸にR(Δt)をプロットした時、R(Δt)が最初に0になるΔt、または、R(Δt)がゼロクロッシングする点に最も近いΔt、をもって、埋込遅延時間とする。
次いで、ステップ3において、カオス解析部8は、埋込次元を決定する。埋込次元の決定方法としては、例えば、GP(Grassberger−Procaccia)法から求めた相関次元法、最尤法やJudd法、ボックスカウンティング法等が挙げられ、いずれの方法を用いても良い。なお、本実施の形態では、相関次元法を用いて以下のように行う。すなわち、上記埋遅延時間で、種々の次元(2次元から概ね20次元迄)で、仮埋込を行なう。埋込んだアトラクタ上の任意の点における半径rの超球について、前記数式(1)に示すGP(Grassberger−Procaccia)法で計算した相関積分(C(r))を用いて、相関次元を決定する。
こうして得られた相関次元から、埋込次元を決定する。
次に、ステップ4において、カオス解析部8は、埋込を行ってアトラクタを構成する。そして、ステップ5において、各カオス解析における因子(カオス性パラメータ)を計算する。
最後に、ステップ6において、計算結果を評価部4’に出力し、処理を終了する。
ここで、上記ステップ2における自己相関関数についてさらに詳細な説明を行う。上記数式(3)中、Nはサンプル数を表す。自己相関関数は時系列波形x(t)とx(t+Δt)の相関係数をΔtだけ増加させながら計算することで求める。あるΔtにおける自己相関関数R(Δt)はx(t)とx(t+Δt)が完全に一致する場合に1、符号反転で一致する場合に−1、全く一致しない場合に0の値になる様に規格化されている。
自己相関関数は時間に伴なう変動の類似性の喪失の程度を示しており、x(t)が周期性を有するならば(加速度脈波等の脈波、心電図、脳波等の時系列データが該当)、R(Δt)は、Δtに伴う増減を反復する。一方、ホワイトノイズならば、R(Δt)は、Δtが僅か(位相が少しでもずれれば)でも、0となる。
本明細書では、自己相関関数R(Δt)が、最初にゼロクロシングする手法を用いているが、他に、R(Δt)が最初に、極小値を取るΔtを用いる方法や、その他に自己相関関数を用いた多数の手法、自己相関関数を用いない多数の手法が提唱されている。しかし、現在行なわれている殆ど全てのカオス解析の手法はこの自己相関関数ゼロクロッシング法を用いている。
つまり、後述する実施例に示す方法(10msecのサンプリングレート)では、埋込遅延時間は、4〜6ステップとなるが、サンプリングレートが異なれば当然、この値は変わってくることになる(ほぼ、比例関係あり)。したがって、上記設定条件・処理条件等が適宜変更された場合も、本発明に含まれる点に留意すべきである。
また、上記ステップ3における埋込次元の決定についてさらに詳細に説明する。
<相関次元法について>
相関次元法による埋込次元の決定は、上記数式(1)を用いて計算することになるが、x−xで各点の、2点間距離を計算することになる。ここで、2点間距離の定義として、ユークリッド距離を用いてもよいし、最も単純には算術距離を用いてもよい。他の距離の定義を用いても結果としてもよいが、計算時間をいたずらに延ばすだけと考えられる。
上記の式で計算した相関積分(C(r))とともに両対数のグラフにプロットし、各次元におけるlog r−log(C(r))のグラフからスケーリングされている部分を抽出する。次に、最小二乗法でその傾きを計算する。次元増加に従いその傾きは飽和するので、飽和した値(相関指数)から、埋込次元を決定するのが詳細な処理内容である。なお、スケーリングされている部分の抽出や、傾きの飽和した値の決定も、複数の方法があり、上記の方法に限定されるものではないことを念のため付言しておく。
<相関次元法以外の埋込次元決定法について>
現在、埋込次元決定する方法として相関次元法を用いるのが一般的であるが、他の手法として最尤法やJudd法、ボックスカウンティング法でも決定可能である。このため、本発明では、埋込次元の決定処理として、相関次元法に限定されるものではない。ただし、ボックスカウンティング法は著しく演算時間がかかるので実用上好適ではなく、また、最尤法は、アルゴリズムはやや複雑であるという問題点があるが、少ない時系列データでも正確に埋込次元を決定することが可能であるという利点を有する。
ここでは、カオス解析部8におけるカオス解析の処理フローの一例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、当業者であれば、カオス解析を実行するための他の処理フローを同様に構築することができる。
続いて、評価部4’における具体的な処理フローの一例を図19に示す。ここでは、カオス解析における因子として最大リアプノフ指数を用いる場合の処理の一例を示す。
まず、ステップ1において、評価部4’は、記憶部7に格納されている基準時における最大リアプノフ指数を呼び出す。そして、ステップ2において、評価部4’は、カオス解析部8によって算出された最大リプアノフ指数と、記憶部7に格納されている基準時における最大リアプノフ指数とを比較する。
評価部4’は、算出された最大リプアノフ指数が記憶部7に格納されている基準時における最大リアプノフ指数よりも小さい場合、疲労していると判断する(ステップ3)。一方、評価部4’は、算出された最大リプアノフ指数が記憶部7に格納されている基準時における最大リアプノフ指数よりも大きい場合、疲労していないと判断する(ステップ4)。
最後に、出力装置6に評価結果を出力して処理を終了する。
なお、ここでは、カオス解析として「相関次元解析と最大リアプノフ指数解析を組み合わせた古典的カオス解析」を用い、カオス解析における因子として最大リアプノフ指数を用いる場合の処理の一例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、カオス解析における因子として相関次元を用いる場合でも、またカオス解析として「最大エントロピー法を用いたカオス解析」を用い、指標とするカオス解析における因子として高周波成分を用いる場合も当業者であれば、同様に処理フローを構築することができる。
上述のように、本発明に係る疲労度評価方法、疲労度評価装置を用いることによって、簡便且つ正確に、そして客観的に疲労度を評価することができる。
なお、本発明には、加速度脈波をカオス解析し、カオス解析における因子を指標とする疲労度の評価方法が含まれる。また、各種カオス性因子(カオス性パラメータ)の計算手法として、本明細書では、最大リアプノフ指数又は相関次元を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、これらの手法以外にも、Kolmogorov−Sinai(KS)エントロピーや、リカレンスプロット、同方向リカレンスプロット、同方向近傍リカレンスプロット、ヒグチのフラクタル次元等の手法を用いることもできる。これらの手法の中で最適な方法としては、上記指標とするカオス解析における因子が最大リアプノフ指数であって、最大リアプノフ指数が小さいほど疲労していると評価することが好ましい。また、上記指標とするカオス解析における因子が相関次元であって、相関次元が整数値に近いほど疲労していると評価することが好ましい。
さらに、上記カオス解析が最大エントロピー法を用いることが好ましい。この場合、上記指標とするカオス解析における因子が高周波成分であって、高周波成分の傾きが大きいほど疲労していると評価することが好ましい。
また、後述する実施例では、アルテット(脈波測定器の製品名)のシステムを用いて脈波を測定し本発明を実施している。本実施例では、5msecのサンプリングレートで指尖からデータを1分間収集しているが、1msecでも構わない。つまり、この脈波測定の際のデータ収集の条件は適宜設定可能である。
加えて、脈波測定のためのデータ収集は、指先だけでなく、耳朶や手首、上腕、頚動脈等、脈波を採取できる部位ならどこでもよい。つまり、得られた脈波データから2回微分操作をすることで、加速度脈波を得られれば、本発明に係る方法により疲労度の解析は可能となる。
また、高いサンプリングレート(例えば1msec)の方が得られる情報量が多いので、データ処理には好ましいといえるが、処理すべきデータ数が当然多くなるので、膨大な計算を要するため、パーソナルコンピュータ(PC)での演算時間が加速度的に増加するため、今回の例では、5msec毎の1分間データを半分に間引いて使用している。演算速度の速いPCがあれば、データを間引く必要性はなく、むしろ、間引くことによりデータが有する情報量が減少するため、間引かないにこしたことはない。
なお、上記実施形態の疲労度評価装置の各部や各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の疲労度評価装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
さらに、上記カオス解析部については、カオス解析チップとして、別途PCに対して外部から接続(挿入)し、疲労度評価装置を構成する形態であってもよい。すなわち、上記カオス解析部は、カオス解析チップとして、通常PCに搭載されている汎用CPUとは異なり、本発明に係るカオス解析処理を専門に行うデバイス(装置)として構成されていてもよい。上記カオス解析チップによれば、通常のPCであっても、スーパーコンピュータ並みの演算速度を実現することが期待でき、脈波測定後、測定結果を迅速且つ確実にカオス解析することができる。したがって、本発明には、上記カオス解析を実施するカオス解析部(カオス解析手段)がデバイス化されているカオス解析デバイスも含まれる。
(2)疲労度を評価するデータを収集する方法
本発明は他の局面として、疲労度を評価するデータを収集する方法であって、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の測定値の変化を測定し、該測定値が成分波の波高、周波数、波長、周期および前記測定値の変動係数のなかから選ばれる少なくとも1つである方法に関する。好ましくは、疲労度を評価するデータを収集する方法であって、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波高変化を測定する方法に関する。かかる方法では、波高変化を、疲労度を評価するためのデータとして取り扱う。
(3)データベース
本発明は別の態様として、基準時における加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の測定値であって、成分波の波高、周波数、波長、周期および前記測定値の変動係数のなかから選ばれる少なくとも1つの測定値からなるデータベースに関する。好ましくは、基準時における加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波高からなるデータベースに関する。ある被験者における疲労の無い状態時である基準時における必要な情報をデータベース化し、このようにして得られたデータを電子情報化された形式としてまとめることができる。電子情報化されたデータベースはコンピュータ等に入力すれば、本発明の評価方法により得られる被検者から得られるデータとの照合に当たり簡便に利用できる。この態様において、本発明は、本発明のデータベースが入力された装置をも提供する。
(4)データベースを利用する、疲労度を評価するための方法
本発明は別の態様として、加速度脈波の成分波a波、b波、c波、d波およびe波のうち少なくとも1種の成分波の波形変化を指標として疲労度を評価する方法であって、本発明のデータベース内の波高データと比較し、波高が小さい場合に疲労していると評価する、疲労度を評価する方法に関する。
本発明は文部科学省科学技術振興調整費生活者ニーズ対応研究「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」の成果である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
<疲労度の評価>
作業効率の低下抑制作用
(1)試験対象
20歳代男性健常者6名に対して改良ATMTによる精神作業負荷をあたえ、その前後でのヒトの加速度脈波の成分波a波の波高を評価した。加速度脈波は加速度脈波測定システム、アルテット(株式会社ユメディカ製)を用いて測定した。同一被験者について一週間以内の相近い異なる二日を用いて、盲検法にて実施した。本試験では、カフェイン含有食品(コーヒー、ドリンク剤、ガム等)や抗アレルギー剤等の中枢神経に作用する可能性のある薬剤の常用者や試験当日使用者を除外した。
(2)精神作業負荷方法
ATMT(Advanced Trail Making Test)は、加齢現象の評価と初期痴呆のスクリーニングに利用される試験である。ATMTでは、タッチパネルディスプレイ上に提示された1〜25までの数字をすばやく押す視覚探索反応課題を与える。従来、A4紙で行っていたTMT(ランダムに配置された1〜25の数字を一筆書きの要領で線を引く課題)とは異なり、ターゲットの数字ごとの探索反応時間が測定でき、また反応ごとに全てのターゲット数字を再配置させたり、反応ずみターゲット数字を消して新たにターゲット数字を追加発生させることができる。そのことにより、課題遂行中にみられる精神疲労の増大、探索効率を高めるためのワーキングメモリー活用度などの評価が可能である。ATMTにおける画面上に出てくる数字の配置には3パターンある。Aパターンでは、ターゲットボタンを押すとボタンの数字の色が変わり、他のボタンと区別される。Bパターンはターゲットボタンを押すと、そのボタンは消えて、ほかの数字が出現、画面上に25個の数字が並ぶようになる。Cパターンでは、ターゲットボタンを押すと、その数字は消えるが、次の画面にほかの数字が出現して25個となるとともに、数字の配置も毎回ランダムに変化する。この3パターンで全ての数字をタッチし終わると、作業は終了し作業にかかった時間をコンピュータが計算する。
これを1セットとする(日本国公開特許公報:特開2002−112981号公報参照、公開日:2002年4月16日)。
ここでの精神作業負荷では、ターゲットボタンの数字として20−69の50個の数字を用い、作業時間を計算しない以外は上記ATMTと同様の改良ATMTを行った。即ち、午前中の4時間にわたりA課題、B課題およびC課題を連続的に反復して精神作業負荷を与えた。動機付けとして各課題を完遂する毎に報酬を与えると被験者に伝えて実施した。
(3)結果
加速度脈波のうちa波の波高を測定したところ、a波の波高が、改良ATMT開始前に361.3であったものが、ATMT終了後には129.9と有意に減少した(P<0.005)(図2)。図2は、疲労負荷前後において、有意にa波の波高が変化し、疲労するとa波の波高が小さくなることを示している。
[実施例2]
<精神疲労負荷および身体疲労負荷による疲労度の評価>
(1)疲労負荷試験対象
20歳代男性健常者5名(年齢24.8±2.0)に対して、精神疲労負荷、身体疲労負荷を与え、疲労負荷前後における加速度脈波を測定し、カオス解析を行った。なお、疲労負荷状態の対照群は、作業を一切行わず、リラックス状況のなかで過ごすこととした。
本疲労負荷試験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守して実施した。本疲労負荷試験は、あらかじめ「総合医科学研究所および総医研クリニック特定保健用食品等臨床試験受託に関する審査委員会」(以下臨床試験審査委員会)において本試験実施計画の内容、試験責任医師の適格性等について審査を受け、臨床試験審査委員会が試験の実施を承認した後に実施した。試験開始前に本試験への参加について自由意思による同意を文書により得た。
(2)疲労負荷方法
精神疲労と対照、身体疲労と対照をそれぞれ比較するために、同一被験者による3試験区クロスオーバー試験(Open−study)を行った。疲労負荷試験のスケジュールの概要を(図5)に示す。試験期間中は、被験者間の環境条件の違いを最小にするために、被験者には以下の事項を遵守してもらった。
(試験期間前)
・試験3日前より暴飲暴食や過度な運動は禁止。
・試験前3日間の食事記録を記入。
・各日程の初回試験前は生活習慣アンケート、VAS(注1)、Face Scale(注2)、疲労スケール(注3)による自覚症状アンケートにより日常生活における疲労度を確認。
(試験期間中)
・食事、入浴、就寝時間などの生活習慣を含めた行動を試験スケジュールに従う。
・食事は以下のメニューを摂取する。
作業負荷前日の夕食:チキンステーキ和風ソース
作業負荷当日の昼食:おにぎり3個
・飲み物は、ミネラルウォーターのみとする。水分摂取量は制限しない。
(試験と試験の間の期間の管理)
・ビタミン剤の服用や喫煙、献血など除外基準に当てはまるような生活は禁止。
(注1)VAS
被験者の主観的な疲労感を捉えるために一般的に実施されている方法であって、線分の両端に基準となる表現を記した紙を見せ、被験者は測りたい内容が、その線分のどのあたりに相当するかをチェックする評価方法である。線分の左端からの長さを測定することにより、質問項目に対して定量的に結果が出て、多くの人の結果を平均するなどの処理ができるという利点を持つ方法である。VAS試験用紙を(図6)に示す。
(注2)Face Scale
被験者の当日の気分を知るための尺度で、顔の絵を1(笑顔)から20(悲しい顔)までの20段階で示し、被験者自身の気分がどれに該当するかを選択する検査方法である。Face Scale試験用紙を(図7)に示す。
(注3)疲労スケール
被験者の疲労度について被験者自身で回答するアンケート方式の検査である。
(2)−(i)精神疲労負荷方法
図8に示す疲労負荷内容に従って、精神疲労負荷を行った。本試験では、図8の疲労負荷を2セット行った。
(2)−(ii)身体疲労負荷方法
図9に示すように、疲労負荷試験前日にそれぞれの被験者における身体負荷強度を設定した。機器は呼吸代謝測定システム(呼吸代謝測定装置:ミナト医科学株式会社製エアロモニタAE−300S、疲労負荷装置:コンビ製 エアロバイク75XL ME)を採用した。疲労負荷試験当日は、エルゴメータによる身体疲労負荷を2セットおこなった。
(2)−(iii)無負荷方法
被験者に対するあらゆる負荷を最小限にとどめるために、男女別室とし、それぞれの部屋にエアーベッド、クッション、雑誌、DVD上映システム一式等を用意し、被験者は各自好きな時間を過ごした。ただし、睡眠は禁止した。
(3)疲労負荷前後における測定
(3)−(a)主観的疲労度の評価
疲労前後において、主観的な疲労度の評価を行うため、VAS、Face Scale、疲労スケールによる自覚症状アンケートを行った。
(3)−(b)加速度脈波の測定
上述の実施例1で採用した加速度脈波を用いて、上記疲労負荷の前後において、加速度脈波を測定した。測定時間は60秒である。
(4)加速度脈波のカオス解析
以下の手順でカオス解析を行った。
(i)加速度脈波時系列データ(200Hz)のうち、1ステップを10msecとし、合計4096ステップを採用する。
(ii)自己相関関数を用いて埋込遅延時間を決定する。埋込遅延時間は4〜6ステップとする。
(iii)GP法から求めた相関次元法を用いて埋込次元を決定する。埋込次元は4であるが、一部のデータにおいては3ないし5を採用している。
(iv)埋込を行ってアトラクタを構成する。
(v)各カオス性パラメータ(因子)を計算する。
(5)試験結果
(5)−(a)主観的疲労度の評価結果
疲労負荷前後における主観的疲労度の評価結果を(図10:VAS)、(図11:Face Scale)に示す。精神および身体疲労負荷後において、主観的疲労がみとめられた。
(5)−(b)加速度脈波のカオス解析の結果
(5)−(b−i)リアプノフ(Lyapunov)指数
疲労負荷前後における最大リアプノフ指数の変化を(図12)に示す。精神疲労負荷前後における最大リアプノフ指数を比較すると、精神疲労負荷後において、有意に増加していた(P<0.02)。
(5)−(b−ii)相関次元
疲労負荷前後における相関次元の変化を(図13)に示す。精神および身体疲労負荷前後において、有意な差は認められなかったが、非整数値であったものが、整数値化する傾向がみられた。これは、同様の波形の繰返しであるが、疲労負荷により、さらに単調になっていることを意味する。前述した最大リアプノフ指数の結果とあわせて考察すると、疲労負荷によってカオス性が減弱していると考えられる。
(5)−(b−iii)最大エントロピー法を用いたカオス解析における高周波成分の傾き
疲労負荷前後における高周波成分の傾きの変化を(図14)に示す。精神疲労負荷前後における高周波成分の傾きを比較すると、精神疲労負荷後において、有意に増加していることが示された(P<0.01)。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
産業上の利用の可能性
上記の構成によれば、疲労度を簡便且つ定量的に測定できる。疲労度の定量化は、慢性疲労症候群や過労死を予防する意味から重要である。
また、早期に疲労を検出し、疲労に伴うミスが惹起する重大事故(航空機事故、高速大量輸送交通機関の事故、原子力発電所における事故、各種医療事故等)を未然に防ぐ手法として、或いは、早期に疲労を検出し作業効率低下が顕在化する前に休息を取る手法となりえ、それは産業現場における生産性低下を未然に防ぐ手法としても重要である。

Claims (10)

  1. 被験者の加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、
    該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備えており、
    上記指標とするカオス解析における因子が最大リアプノフ指数であって、上記評価手段は、基準時における最大リアプノフ指数と比較し、最大リアプノフ指数が小さい場合に疲労していると評価するものであることを特徴とする疲労度評価装置。
  2. 被験者の加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、
    該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備えており、
    上記指標とするカオス解析における因子が相関次元であって、上記評価手段は、基準時における相関次元と比較し、相関次元が整数値に近い場合に疲労していると評価するものであることを特徴とする疲労度評価装置
  3. 被験者の加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、
    該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備えており、
    上記カオス解析手段は、カオス解析として最大エントロピー法を用いるものであり、かつ、上記指標とするカオス解析における因子が高周波成分であって、上記評価手段は、基準時における高周波成分と比較し、高周波成分の傾きが大きい場合に疲労していると評価するものであることを特徴とする疲労度評価装置。
  4. さらに、被験者から得られた脈波を2回微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の疲労度評価装置。
  5. 被験者の加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備える疲労度評価装置の制御方法であって、
    上記カオス解析手段が、被験者の加速度脈波をカオス解析する工程と、
    上記評価手段が、上記カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する工程であって、上記指標とするカオス解析における因子が最大リアプノフ指数であり、基準時における最大リアプノフ指数と比較し、最大リアプノフ指数が小さい場合に疲労していると評価する工程と、の各工程を行うことを特徴とする疲労度評価装置の制御方法。
  6. 被験者の加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備える疲労度評価装置の制御方法であって、
    上記カオス解析手段が、被験者の加速度脈波をカオス解析する工程と、
    上記評価手段が、上記カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する工程であって、上記指標とするカオス解析における因子が相関次元であり、基準時における相関次元と比較し、相関次元が整数値に近い場合に疲労していると評価する工程と、の各工程を行うことを特徴とする疲労度評価装置の制御方法。
  7. 被験者の加速度脈波をカオス解析するカオス解析手段と、該カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する評価手段と、を備える疲労度評価装置の制御方法であって、
    上記カオス解析手段が、被験者の加速度脈波を、最大エントロピー法を用いてカオス解析する工程と、
    上記評価手段が、上記カオス解析における因子の変化を指標として疲労度を評価する工程であって、上記指標とするカオス解析における因子が高周波成分であり、基準時における高周波成分と比較し、高周波成分の傾きが大きい場合に疲労していると評価する工程と、の各工程を行うことを特徴とする疲労度評価装置の制御方法。
  8. さらに、上記疲労度評価装置は、被験者から得られた脈波を2回微分して加速度脈波を算出する加速度脈波算出手段を備えており、
    上記加速度脈波算出手段が、被験者から得られた脈波を2回微分して加速度脈波を算出する工程を行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の疲労度評価装置の制御方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の疲労度評価装置を動作させる疲労度評価プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための疲労度評価プログラム。
  10. 請求項9に記載の疲労度評価プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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