JP3789781B2 - 半導体素子および半導体層の形成方法 - Google Patents

半導体素子および半導体層の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子および半導体層の形成方法に関し、特に、下地上に下地とは異なる材料からなる半導体層がヘテロ成長によって形成される半導体素子および半導体層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下地上に下地とは異なる材料からなる半導体をヘテロ成長させる技術が知られている。たとえば、窒化物系半導体の1つであるGaNの結晶成長では、格子整合する基板が少ないために、サファイア基板などの異種基板上にヘテロ成長を行っている。この場合、結晶欠陥の少ない結晶性の良好なGaNを成長させるために、従来、基板とGaN層との間に、低温成長によるバッファ層を挿入する技術が知られている。
【0003】
しかしながら、上記のような低温バッファ層を用いた場合であっても、低減できる欠陥の密度には限界があり、さらに転位を低減するのは困難である。そこで、従来、GaNを成長する際に、選択横方向成長(Epitaxial Lateral Overgrowth:ELOG)法によって転位を低減した下地層を用いる技術が提案されている。この選択横方向成長については、たとえば、応用電子物性分科会誌第4巻(1998)の第53頁〜第58頁および第210頁〜第215頁などに開示されている。
【0004】
図23〜図26は、従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体層の形成方法の一例を説明するための断面図である。次に、図23〜図26を参照して、従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体層の形成方法の一例について説明する。
【0005】
まず、図23に示すように、サファイア基板201上に低温バッファ層202を形成した後、その低温バッファ層202上に、下地となるGaN層203を成長させる。
【0006】
次に、図24に示すように、GaN層203上の所定領域に、SiO2などからなるストライプ状(細長状)のマスク層204を形成する。マスク層204を選択成長マスクとして、GaN層203を下地層として再成長を行うと、GaN層203の露出部には、まず、断面が三角形状のファセット構造を有するGaN層205が形成される。
【0007】
さらに、成長が進むと、ファセット構造のGaN層205が、図25に示すように、結合し、横方向成長が支配的になる。このため、c軸方向(縦方向)に延びていた転位はファセット結合部で曲げられて上部には到達しない。ただし、ファセット結合部上には転位が残る。
【0008】
さらに、成長が進むと、図26に示すように、ファセット構造の各GaN層205が合体して連続膜となる。これにより、平坦な上面を有するGaN層205が形成される。この平坦化されたGaN層205の表面に到達する転位は、下地層に比べて大幅に減少されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図23〜図26に示した従来の窒化物系半導体層の形成方法では、選択横方向成長によってGaN層205を形成する場合、転位はファセットが結合するマスク層204の上部に集中的に残る。このため、転位を少なくするためには、マスク層204の幅は小さい方が好ましい。しかし、転位を少なくするためにマスク層204の幅を小さくすると、下地となるGaN層203の露出部分の幅が広くなるので、GaN層203の露出部分上に形成されるGaNからなるファセットも大きく(高く)なる。このため、その大きなファセットを結合して平坦化するためには、GaN層205を厚く形成する必要があった。このように、従来では、薄い膜厚で転位の少ないGaN層205を得ることは困難であった。
【0010】
また、従来では、基板上に直接マスク層を形成して選択横方向成長を用いてGaN層を成長させる方法も提案されている。図27は、その従来の提案された窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図27を参照して、この従来の提案された方法では、サファイア基板211上に直接SiO2からなるマスク層212を形成した後、その上にGaNからなる低温バッファ層213および高温成長のGaN層214を形成することによって、1回の成長で転位を低減したGaN層214を形成する。この従来の提案された方法では、サファイア基板211上に直接マスク層212を形成するので、下地層がない分、全体の膜厚は薄くなる。
【0011】
しかし、図27に示した従来の提案された方法では、図23〜図26に示した従来例と同様の問題が発生する。すなわち、サファイア基板211上に直接マスク層212を形成して選択横方向成長を行う場合においても、転位を少なくするためには、マスク層212の幅を小さくする必要がある。しかし、マスク層212の幅を小さくすると、サファイア基板211の露出面積が大きくなるので、その露出部分の低温バッファ層213上に形成されるGaNからなるファセットが大きく(高く)なる。このため、その大きなファセットを結合してGaN層214を平坦化させるためには、GaN層214を約5μm以上の大きな厚みで形成する必要があった。その結果、図27に示した従来の提案された方法においても、薄い膜厚で転位の少ないGaN層214を得るのは困難であった。
【0012】
また、従来では、AlGaN、InN、InGaN、BGaN、BAlGaN、BInGaN、AlGaInNなどの混晶を厚く成長させる場合には、格子整合する基板を求めることはより困難である。たとえば、サファイア基板上にInGaNを直接成長させる場合、格子定数の差が大きいために、InGaN層を厚く成長させることは困難である。このため、従来では、図28に示すように、まず、サファイア基板221上にバッファ層222を介してGaN層223を成長させる。そして、GaN層223上に、マスク層224を形成した後、そのマスク層224を選択成長マスクとして、選択横方向成長させることによって、低転位のGaN層225を形成する。そして、その低転位のGaN層225上に、InGaN層226を成長させていた。このように、選択横方向成長を用いて形成した低転位のGaN層225上にInGaN層226を成長させることによって、低転位のInGaN層226をある程度厚く成長させることが可能となる。
【0013】
図28に示した従来の混晶からなる窒化物系半導体層の形成方法では、上記のように、転位の少ないInGaN層226を得るために、下地層として選択横方向成長を用いて低転位のGaN層225を形成する必要がある。このため、図28に示した従来例では、全体の厚みが大きくなり、その結果、全体として薄い膜厚で転位の少ないInGaN層226を得るのは困難であった。また、図28に示した従来の混晶からなる窒化物系半導体層の形成方法では、選択横方向成長を用いて形成したGaN層225を下地層として、さらにInGaN層226を成長させるので、工程が複雑になるという問題点もあった。
【0014】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、下地上に、低転位の半導体層を薄い膜厚で容易にヘテロ成長させることが可能な半導体層の形成方法を提供することである。
【0015】
この発明のもう1つの目的は、下地上に、薄い膜厚で低転位の半導体層をヘテロ成長により形成することが可能な構造を有する半導体素子を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体素子は、下地の上面に接触するとともに、下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて形成された複数のマスク層と、マスク層間に露出された下地の上面上に形成されたバッファ層と、バッファ層上およびマスク層上に形成され、下地とは異なる材料からなる半導体層とを備え、露出された下地の上面上のマスク層の近傍に形成されたバッファ層の厚みは、露出された下地の上面上の中央部に形成されたバッファ層の厚みよりも小さく、半導体層は、マスク層の近傍に形成されたバッファ層上、及び露出された下地の上面上の中央部に形成されたバッファ層上を含んでバッファ層上に形成されている
【0017】
この第1の局面による半導体素子では、上記のように、露出された下地の上面上のマスク層の近傍に形成されたバッファ層の厚みが、露出された下地の上面上の中央部に形成されたバッファ層の厚みよりも小さくなるように形成することによって、そのバッファ層上に半導体層を成長させる際に、バッファ層の厚みが大きい中央部では、半導体層の成長が速くなるとともに、バッファ層の厚みが小さいマスク層の近傍では半導体層の成長が遅くなる。それによって、半導体層は成長初期段階から台形状に成長しやすくなるとともに、その台形状の半導体層の側面が徐々に横方向に成長する。これにより、半導体層の成長初期段階から横方向成長が促進されるので、半導体層の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられる。その結果、半導体層の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができるので、下地上に低転位の半導体層を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0018】
この発明の第2の局面による半導体素子は、下地の上面に接触するとともに、下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて形成された複数のマスク層と、マスク層間に露出された下地の上面上に形成されたバッファ層と、露出された下地上、バッファ層上およびマスク層上に形成され、下地とは異なる材料からなる半導体層とを備え、バッファ層は、マスク層間に露出された下地の上面上の中央部に実質的に同じ厚みで形成されるとともに、露出された下地の上面上のマスク層の近傍には形成されていない。
【0019】
この第2の局面による半導体素子では、上記のように、バッファ層を、マスク層間に露出された下地の上面上の中央部に実質的に同じ厚みで形成するとともに、露出された下地の上面上のマスク層の近傍には形成しないことによって、そのバッファ層上に半導体層を成長させる際に、バッファ層の厚みが大きい中央部では、半導体層の成長が速くなるとともに、バッファ層の厚みがないマスク層の近傍では、半導体層の成長が遅くなる。それによって、半導体層は成長初期段階から台形状に成長しやすくなるとともに、その台形状の半導体層の側面が徐々に横方向に成長する。これにより、半導体層の成長初期段階から横方向成長が促進されるので、半導体層の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられる。その結果、半導体層の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができるので、下地上に低転位の半導体層を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0020】
上記の半導体素子において、好ましくは、隣接するマスク層間の最短距離は、隣接するマスク層間に位置する下地の露出部の幅よりも小さい。このように構成すれば、マスク層をマスクとして、下地上にバッファ層を形成する場合に、下地の露出部のうち上方にマスク層が形成されている部分では、原料が届きにくくなる。これにより、下地の露出部のうち上方にマスク層が形成されている部分では、下地の露出部のうち上方にマスク層が形成されていない部分に形成されるバッファ層よりも厚みが小さいバッファ層が形成されるか、または、バッファ層が形成されない。そして、このようなバッファ層を用いて半導体層を形成すれば、半導体層は成長初期段階から台形状に成長しやすくなる。これにより、容易に、成長初期段階から台形状の半導体層を形成することができる。
【0021】
この場合、好ましくは、マスク層は、下地の露出部の上方に突出したオーバーハング部を有する。このように構成すれば、オーバーハング部下に位置する下地の上面に原料が届きにくくなるので、オーバーハング部下に位置する下地の上面にバッファ層が形成されにくくなる。これにより、容易に、オーバーハング部下に位置する下地の上面に形成されるバッファ層の厚みを他の部分よりも小さくしたり、オーバーハング部下に位置する下地の上面にバッファ層が形成されないようにすることができる。
【0022】
上記のオーバーハング部を有する構成において、マスク層のオーバーハング部下に位置するバッファ層の厚みは、隣接するマスク層間の最短距離部下に位置するバッファ層の厚みよりも小さくてもよい。さらに、この場合、好ましくは、マスク層のオーバーハング部下に位置するバッファ層の厚みは、隣接するマスク層間の最短距離部から遠くなるにしたがって、実質的に同じ割合で小さくなる。
【0023】
また、上記のオーバーハング部を有する構成において、バッファ層は、マスク層間に露出された下地の上面の中央部上に実質的に同じ厚みで形成されるとともに、マスク層のオーバーハング部下に位置する下地の上面上には形成されていなくてもよい。
【0024】
なお、上記のオーバーハング部を有する構成において、好ましくは、マスク層の少なくとも一部は、逆台形形状を有する。
【0025】
また、上記の半導体層の形成方法において、好ましくは、下地は、基板を含み、マスク層は、基板の上面に接触するように形成されている。このように構成すれば、下地上に直接薄い膜厚で低転位の半導体層をヘテロ成長させることができる。この場合、基板は、好ましくは、窒素を含まない3−5族半導体基板、4族半導体基板、サファイア基板、スピネル基板、SiC基板および水晶基板からなるグループより選択される1つの基板を含む。このような基板を用いれば、容易に、基板上に直接半導体層をヘテロ成長させることができる。
【0026】
また、上記の半導体素子において、好ましくは、マスク層の上面近傍における半導体層の転位密度は、下地の上面近傍における半導体層の転位密度よりも小さい。このように構成すれば、マスク層の上面近傍ですでに転位密度が小さくなっているので、半導体層の成長初期段階から容易に転位を低減することができる。この場合、マスク層の上面近傍における半導体層の転位密度は、下地の上面近傍における半導体層の転位密度の1/2以下であるのが好ましい。
【0027】
また、上記の半導体素子において、半導体層は、窒化物系半導体層を含んでいてもよい。このように構成すれば、窒化物系半導体層の成長初期段階から横方向成長が促進されるので、下地上に低転位の窒化物系半導体層を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0028】
また、上記の半導体素子において、好ましくは、バッファ層は、半導体層の成長温度よりも低い成長温度で形成されている。このように構成すれば、オーバーハング部下に位置する下地の上面に原料が届きにくくなるので、オーバーハング部下に位置する下地の上面に半導体層が形成されにくくなる。これにより、容易に、オーバーハング部下に位置する下地の上面に形成される部分の厚みが他の部分よりも小さいバッファ層を形成することができる。
【0029】
上記の半導体層素子において、好ましくは、半導体層上に形成され、素子領域を有する半導体素子層をさらに備える。このように構成すれば、下地上に薄い膜厚で形成された低転位の半導体層上に、素子領域を有する半導体素子層を成長させることができるので、良好な素子特性を有する半導体素子層を容易に形成することができる。その結果、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体素子を形成することができる。
【0030】
この発明の第3の局面による半導体層の形成方法は、下地の上面に接触するとともに、下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて複数のマスク層を形成する工程と、下地の上面上にバッファ層を形成する工程と、バッファ層上およびマスク層上に、前記下地とは異なる材料からなる半導体層を形成する工程とを備え、下地の上面上の前記マスク層の近傍に形成されたバッファ層の厚みが、下地の上面上の中央部に形成されたバッファ層の厚みよりも小さく、半導体層は、マスク層の近傍に形成されたバッファ層上、及び露出された下地の上面上の中央部に形成されたバッファ層上を含んでバッファ層上に形成されている
【0031】
この第3の局面による半導体層の形成方法では、上記のように、露出された下地の上面上のマスク層の近傍に形成されたバッファ層の厚みが、露出された下地の上面上の中央部に形成されたバッファ層の厚みよりも小さくなるように形成することによって、そのバッファ層上に半導体層を成長させる際に、バッファ層の厚みが大きい中央部では、半導体層の成長が速くなるとともに、バッファ層の厚みが小さいマスク層の近傍では、半導体層の成長が遅くなる。それによって、半導体層は成長初期段階から台形状に成長しやすくなるとともに、その台形状の半導体層の側面が徐々に横方向に成長する。これにより、半導体層の成長初期段階から横方向成長が促進されるので、半導体層の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられる。その結果、半導体層の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができるので、下地上に低転位の半導体層を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0032】
この発明の第4の局面による半導体層の形成方法は、下地の上面に接触するとともに、下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて複数のマスク層を形成する工程と、下地の上面上にバッファ層を形成する工程と、バッファ層上およびマスク層上に、下地とは異なる材料からなる半導体層を形成する工程とを備え、バッファ層は、下地の上面上の中央部に実質的に同じ厚みで形成されるとともに、下地の上面上のマスク層の近傍には形成されていない。
【0033】
この第4の局面による半導体層の形成方法では、上記のように、バッファ層を、マスク層間に露出された下地の上面上の中央部に実質的に同じ厚みで形成するとともに、露出された下地の上面上のマスク層の近傍には形成しないことによって、そのバッファ層上に半導体層を成長させる際に、バッファ層の厚みが大きい中央部では、半導体層の成長が速くなるとともに、バッファ層の厚みがないマスク層の近傍では、半導体層の成長が遅くなる。それによって、半導体層は成長初期段階から台形状に成長しやすくなるとともに、その台形状の半導体層の側面が徐々に横方向に成長する。これにより、半導体層の成長初期段階から横方向成長が促進されるので、半導体層の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられる。その結果、半導体層の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができるので、下地上に低転位の半導体層を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0034】
上記の半導体層の形成方法において、好ましくは、隣接するマスク層間の最短距離は、隣接するマスク層間に位置する下地の露出部の幅よりも小さい。このように構成すれば、マスク層をマスクとして、下地上にバッファ層を形成する場合に、下地の露出部のうち上方にマスク層が形成されている部分では、原料が届きにくくなる。これにより、下地の露出部のうち上方にマスク層が形成されている部分では、下地の露出部のうち上方にマスク層が形成されていない部分に形成されるバッファ層よりも厚みが小さいバッファ層が形成されるか、または、バッファ層が形成されない。そして、このようなバッファ層を用いて半導体層を形成すれば、半導体層は成長初期段階から台形状に成長しやすくなる。これにより、容易に、成長初期段階から台形状の半導体層を形成することができる。
【0035】
この場合、好ましくは、マスク層は、下地の露出部の上方に突出したオーバーハング部を有する。このように構成すれば、オーバーハング部下に位置する下地の上面に原料が届きにくくなるので、オーバーハング部下に位置する下地の上面にバッファ層が形成されにくくなる。これにより、容易に、オーバーハング部下に位置する下地の上面に形成されるバッファ層の厚みを他の部分よりも小さくしたり、オーバーハング部下に位置する下地の上面にバッファ層が形成されないようにすることができる。
【0036】
上記の半導体層の形成方法において、好ましくは、半導体層上に、素子領域を有する半導体素子層を成長させる工程をさらに備える。このように構成すれば、下地上に薄い膜厚で形成された低転位の半導体層上に、素子領域を有する半導体素子層を成長させることができるので、良好な素子特性を有する半導体素子層を容易に形成することができる。その結果、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体素子を形成することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図2は、図1に示した第1実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0039】
まず、図1を参照して、第1実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第1実施形態では、まず、下地としてのサファイア基板1の上面上に直接、SiNからなるマスク層2を形成する。このマスク層2は、オーバーハング部2aを有する逆メサ形状(逆台形形状)に形成する。このマスク層2では、隣接するマスク層2間の最短距離が、隣接するマスク層2間に位置するサファイア基板1の露出部の幅よりも小さい。
【0040】
このようなマスク層2の形成方法としては、まず、サファイア基板1上の全面にSiN層(図示せず)を形成した後、そのSiN層上の所定領域にレジスト(図示せず)を形成する。そして、そのレジストをマスクとして、SiN層をウェットエッチングすることによって、容易にオーバーハング部2aを有する逆台形形状のマスク層2を形成することができる。なお、このマスク層2は、約7μmの周期を有するストライプ状(細長状)で、約10nm〜約1000nmの厚みで形成する。また、マスク2の開口部は、たとえば、サファイアの[11−20]方向またはサファイアの[1−100]方向に形成するのが好ましい。
【0041】
この後、サファイア基板1上に、約500℃〜約700℃の温度条件下で、約10nm〜約50nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層3を成長させる。なお、この低温バッファ層3は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属気相成長法)またはHVPE法(Hydride Vaper Phase Epitaxy;ハライド気相成長法)を用いて、マスク層2を選択成長マスクとして、低温バッファ層3上に、アンドープGaN層4を形成する。このアンドープGaN層4は、約950℃〜約1200℃の温度条件下で、約2μmの厚みを有するように形成する。なお、このアンドープGaN層4は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0042】
この低温バッファ層3を成長させる際に、マスク層2がオーバーハング部2aを有するので、オーバーハング部2a下には原料が届きにくくなる。このため、オーバーハング部2a下の低温バッファ層3の厚みは、オーバーハング部2aの下以外の部分(中央部)の厚みよりも小さくなる。これにより、低温バッファ層3上に、アンドープGaN層4を成長させる際に、低温バッファ層3の厚みが大きい中央部では、アンドープGaN層4の成長が速くなるとともに、低温バッファ層3の厚みが小さいオーバーハング部2a下では、アンドープGaN層4の成長が遅くなる。このため、成長初期の段階から台形状のアンドープGaN層4a(図1参照)が形成されやすくなるとともに、その台形状のアンドープGaN層4aの側面が徐々に横方向に成長するので、アンドープGaN層4の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、アンドープGaN層4の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、アンドープGaN層4の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、サファイア基板1上に、低転位のアンドープGaN層4を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0043】
次に、図2を参照して、第1実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子の構造について説明する。
【0044】
第1実施形態の半導体レーザ素子では、図1に示したアンドープGaN層4上に、図2に示すように、約4μmの厚みを有するn型GaNからなる第1導電型コンタクト層105が形成されている。第1導電型コンタクト層105上には、約0.45μmの膜厚を有するn型AlGaNからなる第1導電型クラッド層106が形成されている。第1導電型クラッド層106上には、InGaNからなる多重量子井戸(MQW)発光層107が形成されている。MQW発光層107上には、約0.45μmの厚みを有するp型AlGaNからなる第2導電型クラッド層108が形成されている。その第2導電型クラッド層108上には、約0.15μmの膜厚を有するp型GaNからなる第2導電型コンタクト層109が形成されている。また、第1導電型コンタクト層105の露出された上面上には、n型の第1導電型電極110が形成されている。また、第2導電型コンタクト層109の上面上には、p型の第2導電型電極111が形成されている。
【0045】
なお、第1導電型コンタクト層105、第1導電型クラッド層106、MQW発光層107、第2導電型クラッド層108および第2導電型コンタクト層109は、本発明の「半導体素子層」の一例である。
【0046】
上記した第1実施形態の半導体レーザ素子では、図1に示した形成方法を用いて形成された薄い厚みで転位が低減されたアンドープGaN層4上に、各層105〜109を形成するので、各層105〜109において、良好な結晶性を実現することができる。したがって、第1実施形態では、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0047】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図4は、図3に示した第2実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0048】
まず、図3を参照して、この第2実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第2実施形態では、下地としてのn型SiC基板11の表面上に、マスク層12を形成する。このマスク層12は、SiN層12aと、SiO2層12bと、SiN層12cとからなる3層構造を有するとともに、約10nm〜約1000nmの厚みを有する。また、マスク層12は、中間層のSiO2層12bが両側方に突出した形状(オーバーハング形状)を有する。このマスク層12では、隣接するマスク層12間の最短距離が、隣接するマスク層12間に位置するn型SiC基板11の露出部の幅よりも小さい。
【0049】
このようなマスク層12の形成方法としては、n型SiC基板11上に、SiN層12a、SiO2層12bおよびSiN層12cを順次形成した後、SiN層12c上の所定領域にレジスト(図示せず)を形成する。そして、そのレジストをマスクとして、フッ酸系のエッチング液を用いてウェットエッチングすることによって、SiO2層12bとSiN層12aおよび12cとのエッチングレートの差を利用して、図3に示したようなオーバーハング形状を有するマスク層12を形成する。
【0050】
その後、n型SiC基板11上に、約500℃〜約700℃の温度条件下で、約10nm〜約50nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層13を形成する。なお、この低温バッファ層13は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、MOCVD法またはHVPE法を用いて、マスク層12を選択成長マスクとして、低温バッファ層13上に、n型GaN層14を成長させる。このn型GaN層14は、約950℃〜約1200℃の温度条件下で約2μmの厚みで形成する。なお、このn型GaN層14は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0051】
この低温バッファ層13を成長させる際に、マスク層12がオーバーハング形状を有するので、そのオーバーハング部(SiO2層12b)下には原料が届きにくくなる。このため、オーバーハング部(SiO2層12b)の下の低温バッファ層13の厚みは、オーバーハング部(SiO2層12b)の下以外の部分(中央部)の厚みよりも小さくなる。これにより、低温バッファ層13上に、n型GaN層14を成長させる際に、低温バッファ層13の厚みが大きい中央部では、n型GaN層14の成長が速くなるとともに、低温バッファ層13の厚みが小さいオーバーハング部下では、n型GaN層14の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階からn型GaN層14は台形状に形成されやすくなるとともに、その台形状のn型GaN層14の側面が徐々に横方向に成長するので、n型GaN層14の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、n型GaN層14の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、n型GaN層14の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、n型SiC基板11上に、薄い膜厚で転位の低減されたn型GaN層14をヘテロ成長させることができる。
【0052】
次に、図4を参照して、図3に示した第2実施形態の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子の構造について説明する。
【0053】
第2実施形態の半導体レーザ素子では、図3に示したn型GaN層14上に、図4に示すように、約4μmの膜厚を有するn型GaNからなる第1導電型層115が形成されている。第1導電型層115上には、約0.45μmの膜厚を有するn型AlGaNからなる第1導電型クラッド層116が形成されている。第1導電型クラッド層116上には、InGaNからなる多重量子井戸(MQW)発光層117が形成されている。MQW発光層117上には、約0.45μmの膜厚を有するp型AlGaNからなる第2導電型クラッド層118が形成されている。その第2導電型クラッド層118上には、約0.15μmの膜厚を有するp型GaNからなる第2導電型コンタクト層119が形成されている。また、n型SiC基板11の裏面には、n型の第1導電型電極120が形成されている。また、第2導電型コンタクト層119の上面上には、p型の第2導電型電極121が形成されている。
【0054】
なお、第1導電型層115、第1導電型クラッド層116、MQW発光層117、第2導電型クラッド層118および第2導電型コンタクト層119は、本発明の「半導体素子層」の一例である。
【0055】
第2実施形態による半導体レーザ素子では、薄い厚みで転位が低減されたn型GaN層14を形成した後、そのn型GaN層14上に、各層115〜119を形成するので、各層115〜119において良好な結晶性を実現することができる。これにより、この第2実施形態では、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0056】
なお、上記第2実施形態では、中間層であるSiO2層12bと、下層のSiN層12aおよび上層のSiN層12cとのエッチングレートの差を利用して、図3に示したようなオーバーハング形状を有するマスク層12を形成したが、中間層よりも上層および下層がエッチングされやすい材料であれば、他の組み合わせも可能である。たとえば、上層または下層をタングステンなどの金属で構成し、中間層をSiO2、SiN、TiO2、TiNなどで構成してもよい。
【0057】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。また、図6は、図5に示した窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0058】
まず、図5を参照して、第3実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第3実施形態では、まず、下地としてのサファイア基板21上に、直接オーバーハング部を有するマスク層22を形成する。このマスク層22は、プラズマCVD法を用いてRFパワー150Wで形成された下層のSiN層22aと、プラズマCVD法でRFパワー250Wで形成された上層のSiN層22bとからなる2層構造を有するとともに、約50nm〜約1000nmの厚みを有する。この場合、上記のように形成された上層のSiN層22bは、下層のSiN層22aよりもエッチングされにくくなる。
【0059】
マスク層22の具体的な形成方法としては、まず、サファイア基板21上の全面に、下層のSiN層22aと上層のSiN層22bとを上記した条件で順次形成した後、上層のSiN層22b上の所定領域に、レジスト(図示せず)を形成する。そして、そのレジストをマスクとして、バッファードフッ酸を用いて、上層のSiN層22bおよび下層のSiN層22aをウェットエッチングすることによって、図5に示したようなオーバーハング形状を有する2層構造のマスク層22を形成する。このマスク層22では、隣接するマスク層22間の最短距離が、隣接するマスク層22間に位置するサファイア基板21の露出部の幅よりも小さい。
【0060】
この後、サファイア基板21上に、約700℃〜約900℃の温度条件下で、約20nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層を成長させる。さらに、約400℃〜約600℃の温度条件下で、約30nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層を成長させる。この場合、約700℃〜約900℃の高い温度条件下で形成すると、マスク層22のオーバーハング部(SiN層22b)の下部まで原子がサファイア基板21上を表面拡散しやすいため、マスク層22のオーバーハング部(SiN層22b)の下部まで低温バッファ層が形成される。一方、約400℃〜約600℃の低い温度条件下で形成すると、マスク層22のオーバーハング部(SiN層22b)の下部まで原子がサファイア基板21上を表面拡散しにくいため、マスク層22のオーバーハング部(SiN層22b)の下部には低温バッファ層が形成されにくい。このように、2層のバッファ層を異なる温度で形成することによって、図5に示されるような形状を有する低温バッファ層23が形成される。なお、この低温バッファ層23は、本発明の「バッファ層」の一例である。
【0061】
この後、MOCVD法またはHVPE法を用いて、マスク層22を選択成長マスクとして、低温バッファ層23上に、アンドープGaN層24を成長させる。このアンドープGaN層24は、約950℃〜約1200℃の温度条件下で約2μmの厚みで形成する。なお、このアンドープGaN層24は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0062】
この第3実施形態においても、オーバーハング部(SiN層22b)の下の低温バッファ層23の厚みは、オーバーハング部の下以外の部分(中央部)の厚みよりも小さくなる。これにより、低温バッファ層23上に、アンドープGaN層24を成長させる際に、低温バッファ層23の厚みが大きい中央部では、アンドープGaN層24の成長が速くなるとともに、低温バッファ層23の厚みが小さいオーバーハング部下では、アンドープGaN層24の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階からアンドープGaN層24は台形状に形成されやすくなるとともに、その台形状のアンドープGaN層24の側面が徐々に横方向に成長するので、アンドープGaN層24の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、アンドープGaN層24の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、アンドープGaN層24の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、サファイア基板21上に、薄い膜厚で転位の低減されたアンドープGaN層24をヘテロ成長させることができる。
【0063】
次に、図6を参照して、第3実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子について説明する。この第3実施形態の半導体レーザ素子では、図5に示したアンドープGaN層24上に、図6に示すように、第1導電型コンタクト層105、第1導電型クラッド層106、MQW発光層107、第2導電型クラッド層108、第2導電型コンタクト層109、n型の第1導電型電極110およびp型の第2導電型電極111が形成されている。なお、各層105〜109の組成および膜厚は、図2に示した第1実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0064】
第3実施形態では、このように薄い膜厚で形成された低転位のアンドープGaN層24上に、各層105〜109を形成することによって、各層105〜109において、良好な結晶性を実現することができる。その結果、第3実施形態では、第1実施形態と同様、厚みが薄く、かつ、良好な特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0065】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図8は、図7に示した第4実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0066】
まず、図7を参照して、第4実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第4実施形態では、下地としてのn型SiC基板31上に、タングステン(W)からなるオーバーハング部32aを有する逆メサ形状(逆台形形状)のマスク層32を形成する。このマスク層32は、約10nm〜約1000nmの厚みで、約5μmの周期のストライプ状に形成する。このマスク層32では、隣接するマスク層32間の最短距離が、隣接するマスク層32間に位置するn型SiC基板31の露出部の幅よりも小さい。
【0067】
このWからなるオーバーハング部32aを有するマスク層32の形成方法としては、まず、n型SiC基板31上の全面にW層(図示せず)を形成した後、そのW層上の所定領域にレジスト(図示せず)を形成する。そして、そのレジストをマスクとして、W層をエッチングする際、オーバーエッチングとなるようにエッチング条件を調整する。これにより、Wからなるオーバーハング部32aを有するマスク層32が形成される。
【0068】
この後、n型SiC基板31上に、約500℃〜約700℃の温度条件下で、約10nm〜約50nmの厚みを有するGaInNからなる低温バッファ層33を形成する。なお、この低温バッファ層33は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、MOCVD法またはHVPE法を用いて、マスク層32を選択成長マスクとして、低温バッファ層33上に、n型のAlWXGaYInZTl1-W-X-Y-ZN層を成長させる。AlWXGaYInZTl1-W-X-Y-ZNの組成は、Y=Z=0を除く組成で、かつ、AlWXGaYInZTl1-W-X-Y-ZNの格子定数は、GaNの格子定数より大きい。この第4実施形態では、たとえば、n型InGaN層34を、約650℃〜約900℃の温度条件下で約2μmの厚みで形成する。なお、このn型InGaN層34は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0069】
この低温バッファ層33を成長させる際に、マスク層32がオーバーハング部32aを有するので、オーバーハング部32a下には原料が届きにくくなる。このため、オーバーハング部32a下の低温バッファ層33の厚みは、オーバーハング部32aの下以外の部分(中央部)の厚みよりも小さくなる。これにより、低温バッファ層33上に、n型InGaN層34を成長させる際に、低温バッファ層33の厚みが大きい中央部では、n型InGaN層34の成長が速くなるとともに、低温バッファ層33の厚みが小さいオーバーハング部32a下では、n型InGaN層34の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階から台形状のn型InGaN層34が形成されやすくなるとともに、その台形状のn型InGaN層34の側面が徐々に横方向に成長するので、n型InGaN層34の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、図28に示した従来例のように下地層としてGaN層を設けなくても、n型SiC基板31上に、低転位のn型InGaN層34を厚く成長させることができる。この場合、下地層としてのGaN層を設ける必要がない分、図28に示した従来例に比べて、全体の厚みを薄くすることができる。
【0070】
次に、図8を参照して、第4実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて形成した半導体レーザ素子の構造を説明する。この第4実施形態の半導体レーザ素子では、図7に示したn型InGaN層34上に、n型InGaNからなる第1導電型層115、n型GaNからなる第1導電型クラッド層116、InGaNからなるMQW発光層117、p型GaNからなる第2導電型クラッド層118およびp型InGaNからなる第2導電型コンタクト層119が形成されている。また、n型SiC基板31の裏面には、n型の第1導電型電極120が形成されている。また、第2導電型コンタクト層119の上面上には、p型の第2導電型電極121が形成されている。なお、上記した各層115〜119の膜厚は、図4に示した第2実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0071】
第4実施形態による半導体レーザ素子では、図7に示した形成方法を用いて形成された低転位のn型InGaN層34上に、各層115〜119を形成するので、各層115〜119において良好な結晶性を実現することができる。また、図7に示した窒化物系半導体層の形成方法では、全体の厚みが薄く形成されるので、その上に各層115〜119を形成した場合、半導体レーザ素子の厚みが薄くなる。これにより、この第4実施形態では、第2実施形態と同様、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0072】
また、第4実施形態による半導体レーザ素子では、図7に示した形成方法を用いて厚く形成された低転位のn型InGaN層34上に、MQW発光層117を形成するので、MQW発光層117の格子定数を大きくするためにMQW発光層のIn組成を高くしても、良好な結晶性を実現することができる。したがって、従来の窒化物系半導体レーザより、緑色などの長波長の半導体レーザを実現することができる。
【0073】
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図10は、図9に示した窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。まず、図9を参照して、第5実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。
【0074】
まず、この第5実施形態では、下地としてのn型GaAs基板41の表面上に、SiNからなるマスク層42を約10nm〜約1000nmの厚みで、5μmの周期で形成する。そして、このマスク層42をマスクとして、n型GaAs基板41をエッチングする。この際、オーバーエッチングを行うことによって、n型GaAs基板41に、逆メサ形状の凸部41aを形成する。なお、このn型GaAs基板41のエッチングは、H2SO4+H22+H2O(4:1:1)またはH3PO4+H22+H2O(3:1:1)を用いて行う。
【0075】
この後、n型GaAs基板41の露出された表面上に、約500℃〜約700℃の温度条件下で約10nm〜約50nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層43を形成する。なお、この低温バッファ層43は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、MOCVD法またはHVPE法を用いて、マスク層42を選択成長マスクとして、低温バッファ層43上に、n型GaN層44を選択横方向成長させる。なお、このn型GaN層44は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0076】
この場合、マスク層42下の凸部41aは逆メサ形状を有しているので、マスク層42の両端部は、n型GaAs基板41の露出部の上方に突出したオーバーハング形状を有する構造になる。すなわち、このマスク層42では、隣接するマスク層42間の最短距離W1が、隣接するマスク層42間に位置するn型GaAs基板41の露出部の幅W2よりも小さい。これにより、低温バッファ層43を成長させる際に、凸部41a下には原料が届きにくくなる。このため、凸部41a下の低温バッファ層43の厚みは、凸部41aの下以外の部分(中央部)の厚みよりも小さくなる。これにより、低温バッファ層43上に、n型GaN層44を成長させる際に、低温バッファ層43の厚みが大きい中央部では、n型GaN層44の成長が速くなるとともに、低温バッファ層43の厚みが小さい凸部41a下では、n型GaN層44の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階から台形状のn型GaN層44が形成されやすくなるとともに、その台形状のn型GaN層44の側面が徐々に横方向に成長するので、n型GaN層44の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、n型GaN層44の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、n型GaN層44の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、n型GaAs基板41上に、低転位のn型GaN層44を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0077】
次に、図10を参照して、図9に示した第5実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子について説明する。この第5実施形態の半導体レーザ素子では、図9に示したn型GaN層44上に、第1導電型層115、第1導電型クラッド層116、MQW発光層117、第2導電型クラッド層118および第2導電型コンタクト層119が形成されている。また、n型GaAs基板41の裏面には、n型の第1導電型電極120が形成されている。また、第2導電型コンタクト層119の上面上には、p型の第2導電型電極121が形成されている。なお、上記した各層115〜119の組成および膜厚は、図4に示した第2実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0078】
第5実施形態による半導体レーザ素子では、図9に示した形成方法を用いて形成された厚みの薄い低転位のn型GaN層44上に、各層115〜119を形成するので、各層115〜119において良好な結晶性を実現することができる。これにより、この第5実施形態では、第2および第4実施形態と同様、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0079】
(第6実施形態)
図11は、本発明の第6実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図12は、図11に示した第6実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0080】
図11を参照して、まず、第6実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第6実施形態では、下地としてのn型Si基板51の表面に、タングステン(W)層を約10nm〜約1000nmの膜厚で形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることによって、約10μm周期のストライプ状のWからなるマスク層52を形成する。そして、マスク層52をマスクとして、HF:HNO3:CH3COOH(1:5:1)を用いて、n型Si基板51をエッチングすることによって、図11に示されるような、マスク層52の両端部下に位置するn型Si基板51の領域がえぐられた形状を形成する。つまり、マスク層52の両端部は、n型Si基板51の露出部の端部の上方に突出したオーバーハング形状となる。このマスク層52では、隣接するマスク層52間の最短距離W1が、隣接するマスク層52間に位置するn型Si基板51の露出部の幅W2よりも小さい。
【0081】
この後、MOCVD法またはHVPE法を用いて、n型Si基板51の露出された表面上に、約1100℃(高温)の温度条件下で約10nm〜約50nmの厚みを有するAlGaNからなるバッファ層53を形成する。そして、マスク層52を選択成長マスクとして、バッファ層53上に、n型GaN層54を選択横方向成長させる。なお、このn型GaN層54は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0082】
この場合、マスク層52の両端部下に位置するn型Si基板51の領域がえぐられた形状を有しているので、マスク層52の両端部は、n型Si基板51の露出部の上方に突出したオーバーハング形状を有する構造になる。すなわち、このマスク層52では、隣接するマスク層52間の最短距離W1が、隣接するマスク層52間に位置するn型Si基板51の露出部の幅W2よりも小さい。これにより、バッファ層53を成長させる際に、オーバーハング形状のマスク層52下には原料が届きにくくなる。これにより、バッファ層53上に、n型GaN層54を成長させる際に、バッファ層53上では、n型GaN層54の成長が速くなるとともに、バッファ層53が形成されていないオーバーハング形状のマスク層52下では、n型GaN層54の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階から台形状のn型GaN層54が形成されやすくなるとともに、その台形状のn型GaN層54の側面が徐々に横方向に成長するので、n型GaN層54の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、n型GaN層54の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、n型GaN層54の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、n型Si基板51上に、低転位のn型GaN層54を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0083】
次に、図12を参照して、図11に示した第6実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて形成した半導体レーザ素子の構造について説明する。この第6実施形態の半導体レーザ素子では、図11に示したn型GaN層54上に、第1導電型層115、第1導電型クラッド層116、MQW発光層117、第2導電型クラッド層118および第2導電型コンタクト層119が形成されている。また、n型Si基板51の裏面には、n型の第1導電型電極120が形成されている。また、第2導電型コンタクト層119の上面上には、p型の第2導電型電極121が形成されている。なお、上記した各層115〜119の組成および膜厚は、図4に示した第2実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0084】
第6実施形態による半導体レーザ素子では、図11に示した形成方法を用いて形成された厚みの薄い低転位のn型GaN層54上に、各層115〜119を形成するので、各層115〜119において良好な結晶性を実現することができる。これにより、この第6実施形態では、第2、第4および第5実施形態と同様、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0085】
なお、上記した第1〜第6実施形態においては、基板として、サファイア基板、Si基板、SiC基板、GaAs基板を用いたが、これらの基板に加えて、スピネル基板、GaP基板、InP基板、水晶基板などを用いてもよく、これらの窒化物系半導体以外の基板を用いる場合に、特に転位減少の効果が大きい。
【0086】
(第7実施形態)
図13は、本発明の第7実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図14は、図13に示した第7実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0087】
まず、図13を参照して、第7実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第7実施形態では、下地としてのn型GaN基板61上に、オーバーハング部62aを有する逆メサ形状のSiNからなるマスク層62を形成する。このSiNからなるマスク層62は、約10nm〜約1000nmの膜厚を有するとともに、約10μmの周期でストライプ状に形成する。このマスク層62の形成方法としては、まず、n型GaN基板61上の全面にSiN層(図示せず)を形成した後、そのSiN層上の所定領域にレジスト(図示せず)を形成する。そして、そのレジストをマスクとして、SiN層をエッチングする際に、オーバーエッチングする。これにより、オーバーハング部62aを有する逆メサ形状のマスク層62が形成される。このマスク層62では、隣接するマスク層62間の最短距離が、隣接するマスク層62間に位置するn型GaN基板61の露出部の幅よりも小さい。
【0088】
その後、MOCVD法またはHVPE法を用いて、n型GaN基板61上に、約700℃〜約900℃の温度条件下で、約10nm〜約50nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層63を形成する。なお、この低温バッファ層63は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、マスク層62を選択成長マスクとして、低温バッファ層63上に、n型のAlWXGaYInZTl1-W-X-Y-ZN層を成長させる。AlWXGaYInZTl1-W-X-Y-ZNの組成は、X=Y=0を除く組成で、かつ、AlWXGaYInZTl1-W-X-Y-ZNの格子定数は、GaNの格子定数より小さい。たとえば、AlWGa1-WN(0<W≦1)またはBXGa1-XN(0<X≦1)などである。この第7実施形態では、たとえば、B0.05Ga0.95Nからなるn型BGaN層64を、約850℃〜約1400℃の温度条件下で約2μmの厚みで形成する。なお、このn型BGaN層64は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0089】
この低温バッファ層63を成長させる際に、マスク層62がオーバーハング部62aを有するので、オーバーハング部62a下には原料が届きにくくなる。このため、オーバーハング部62a下の低温バッファ層63の厚みは薄くなる。ただし、この第7実施形態では、比較的高温(約700℃〜約900℃)で低温バッファ層63を形成するため、オーバーハング部62a下にもある程度原料が届く。このため、マスク層62の側面に接触する位置まで低温バッファ層63が形成される。これにより、低温バッファ層63上に、n型BGaN層64を成長させる際に、低温バッファ層63の厚みが大きい中央部では、n型BGaN層64の成長が速くなるとともに、低温バッファ層63の厚みが小さいオーバーハング部62a下では、n型BGaN層64の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階から台形状のn型BGaN層64が形成されやすくなるとともに、その台形状のn型BGaN層64の側面が徐々に横方向に成長するので、n型BGaN層64の成長初期段階から横方向成長が促進される。これにより、図28に示した従来例のように下地層としてGaN層を設けなくても、n型GaN基板61上に、低転位のn型BGaN層64を厚く成長させることができる。この場合、下地層としてのGaN層を設ける必要がない分、図28に示した従来例に比べて、全体の厚みを薄くすることができる。
【0090】
次に、図14を参照して、第7実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて形成した半導体レーザ素子について説明する。この第7実施形態の半導体レーザ素子では、図13に示したn型BGaN層64上に、n型BGaNからなる第1導電型層115、n型BGaNからなる第1導電型クラッド層116、AlGaNからなるMQW発光層117、p型BGaNからなる第2導電型クラッド層118およびp型GaNからなる第2導電型コンタクト層119が形成されている。また、n型GaN基板61の裏面には、n型の第1導電型電極120が形成されている。また、第2導電型コンタクト層119の上面上には、p型の第2導電型電極121が形成されている。なお、上記した各層115〜119の膜厚は、図4に示した第2実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0091】
第7実施形態による半導体レーザ素子では、低転位のn型BGaN層64上に、各層115〜119を形成するので、各層115〜119において良好な結晶性を実現することができる。また、図13の形成方法では、全体の厚みが薄く形成されるので、その上に各層115〜119を形成した場合、半導体レーザ素子の厚みが薄くなる。これにより、この第7実施形態においても、第2および第4〜第6実施形態と同様、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0092】
また、第7実施形態による半導体レーザ素子では、厚く形成された低転位のn型BGaN層64上に、MQW発光層117を形成するので、MQW発光層117の格子定数を小さくするためにMQW発光層117のAl組成を高くしても、良好な結晶性を実現することができる。したがって、従来の窒化物系半導体レーザより、短波長の半導体レーザを実現することができる。
【0093】
また、上記第7実施形態では、基板として、n型GaN基板61を用いたが、n型GaN基板61に代えて、サファイア基板、Si基板、SiC基板、GaAs基板、スピネル基板、GaP基板、InP基板、水晶基板などを用いてもよい。
【0094】
(第8実施形態)
図15は、本発明の第8実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図16は、図15に示した第8実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0095】
まず、図15を参照して、第8実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。この第8実施形態では、サファイア基板71上に、約500℃〜約700℃の温度条件下で、約10nm〜約50nmの厚みを有するAlGaNまたはGaNからなる低温バッファ層72を形成する。その低温バッファ層72上に、MOCVD法またはHVPE法を用いて、下地となるGaN層73を約2μmの厚みで形成する。そのGaN層73上に、オーバーハング部74aを有する逆メサ形状のSiNからなるマスク層74を形成する。このマスク層74では、隣接するマスク層74間の最短距離が、隣接するマスク層74間に位置するGaN層73の露出部の幅よりも小さい。
【0096】
その後、GaN層73上に、約400℃〜約500℃の温度条件下で、約10nm〜約50nmの厚みを有するGaInNからなる低温バッファ層75を形成する。なお、この低温バッファ層75は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、MOCVD法またはHVPE法を用いて、マスク層74を選択成長マスクとして、低温バッファ層75上に、Al1-W-X-Y-ZWGaXInYTlZN層を成長させる。Al1-W-X-Y-ZWGaXInYTlZNの組成は、Y=Z=0を除く組成で、かつ、Al1-W-X-Y-ZWGaXInYTlZNの格子定数は、GaNの格子定数より大きい。たとえば、Ga1-YInYN(0<Y≦1)またはGa1-ZTlZN(0<Z≦1)などである。この第8実施形態では、たとえば、AlGaInN層76を、約600℃〜約1200℃の温度条件下で約1μmの厚みで形成する。なお、このAlGaInN層76は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0097】
この低温バッファ層75を成長させる際に、マスク層74がオーバーハング部74aを有するので、オーバーハング部74a下には原料が届きにくくなる。この第8実施形態では、比較的低温(約400℃〜約500℃)で低温バッファ層75を形成するため、オーバーハング部74a下には、低温バッファ層75は形成されない。これにより、低温バッファ層75上に、AlGaInN層76を成長させる際に、低温バッファ層75の厚みが大きい中央部では、AlGaInN層76の成長が速くなるとともに、低温バッファ層75の厚みが小さいオーバーハング部74a下では、AlGaInN層76の成長が遅くなる。このため、成長初期の段階から台形状のAlGaInN層76a(図15参照)が形成されやすくなるとともに、その台形状のAlGaInN層76aの側面が徐々に横方向に成長するので、AlGaInN層76の成長初期段階から横方向成長が促進される。このため、AlGaInN層76の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、AlGaInN層76の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、GaN層73上に、低転位のAlGaInN層76を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0098】
次に、図16を参照して、図15に示した窒化物系半導体層の形成方法を用いて形成した半導体レーザ素子の構造について説明する。この第8実施形態の半導体レーザ素子では、図15に示したAlGaInN層76上に、図16に示すように、第1導電型コンタクト層105、第1導電型クラッド層106、MQW発光層107、第2導電型クラッド層108、第2導電型コンタクト層109、n型の第1導電型電極110およびp型の第2導電型電極111が形成されている。なお、各層105〜109の組成および膜厚は、図2に示した第1実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0099】
第8実施形態では、このように薄い膜厚で形成された低転位のAlGaInN層76上に、各層105〜109を形成することによって、各層105〜109において、良好な結晶性を実現することができる。その結果、第8実施形態では、厚みが薄く、かつ、良好な特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0100】
(第9実施形態)
図17〜図19は、本発明の第9実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図20は、図17〜図19に示した第9実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。図17〜図19を参照して、第9実施形態の窒化物系半導体層の形成方法について説明する。
【0101】
まず、図17に示すように、下地となるサファイア基板81のC面上に、MOVPE法を用いて、基板温度を約600℃に保持した状態で、約15μmの厚みを有するアンドープAlGaNからなるバッファ層を形成する。そのバッファ層の所定領域をフォトリソグラフィー技術およびRIE(Reactive Ion Etching)法などを用いて、パターニングすることによって、ストライプ形状のバッファ層82を形成する。なお、バッファ層82は、サファイア基板81と、後の工程でバッファ層82上に形成する窒化物系半導体層(アンドープGaN層84)との格子定数の差を緩和するために設ける。このバッファ層82のストライプ形状は、バッファ層82の幅をW3とし、バッファ層82間の開口部の幅をb3とした場合、バッファ層82の幅W3およびバッファ層82間の開口部の幅b3が、以下の式(1)と式(2)と式(3)とを満たすように形成することが好ましい。
【0102】
b3[μm]+W3[μm]≦40[μm] ・・・(1)
b3[μm]≧3[μm] ・・・(2)
W3[μm]≧1[μm] ・・・(3)
なお、上記式(1)は、バッファ層82の幅W3とバッファ層82間の開口部の幅b3との和(バッファ層82の周期)が40μm以下であるという条件を示している。
【0103】
次に、バッファ層82およびバッファ層82間に露出されたサファイア基板81の上面上に、約100nm〜数μmの膜厚を有するSiNまたはSiO2からなるマスク層(図示せず)を形成した後、バッファ層82上のマスク層をウェットエッチングなどを用いて除去することによって、バッファ層82間に露出されたサファイア基板81の上面の一部上のみに、図18に示されるような、マスク層83を形成する。この場合、バッファ層82とマスク層83との間に、少なくとも約1μm程度のサファイア基板81が露出されるようにする。
【0104】
この後、図19に示すように、MOCVD法またはHVPE法を用いて、マスク層83を選択成長マスクとして、バッファ層82上に、アンドープGaN層84を形成する。このアンドープGaN層84は、約950℃〜約1200℃の温度条件下で、約2μmの厚みを有するように形成する。なお、このアンドープGaN層84は、本発明の「半導体層」および「窒化物系半導体層」の一例である。
【0105】
ここで、バッファ層82上にアンドープGaN層84を成長させる際に、バッファ層82とマスク層83との間に露出されたサファイア基板81の上面上には、バッファ層82が形成されていないため、アンドープGaN層84が成長しにくい。このため、成長初期の段階から台形状のアンドープGaN層84a(図19参照)が形成されやすくなるとともに、その台形状のアンドープGaN層84aの側面が徐々に横方向に成長するので、アンドープGaN層84の成長初期段階から横方向成長が促進される。このため、アンドープGaN層84の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、アンドープGaN層84の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、サファイア基板81上に、低転位のアンドープGaN層84を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0106】
次に、図20を参照して、第9実施形態の窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子の構造について説明する。この第9実施形態の半導体レーザ素子では、図19に示したアンドープGaN層84上に、図20に示すように、第1導電型コンタクト層105、第1導電型クラッド層106、MQW発光層107、第2導電型クラッド層108、第2導電型コンタクト層109、n型の第1導電型電極110およびp型の第2導電型電極111が形成されている。なお、各層105〜109の組成および膜厚は、図2に示した第1実施形態の半導体レーザ素子と同様である。
【0107】
第9実施形態では、このように薄い膜厚で形成された低転位のアンドープGaN層84上に、各層105〜109を形成することによって、各層105〜109において、良好な結晶性を実現することができる。その結果、第9実施形態では、第1および第3実施形態と同様、厚みが薄く、かつ、良好な特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0108】
(第10実施形態)
図21は、本発明の第10実施形態による半導体層の形成方法を説明するための断面図である。図22は、図21に示した第10実施形態の半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。なお、この第10実施形態では、上記第1〜第9実施形態とは異なり、窒化物系半導体層以外の半導体層(ZnO層(酸化亜鉛層))の形成方法について説明する。
【0109】
まず、図21を参照して、第10実施形態の半導体層の形成方法について説明する。この第10実施形態では、まず、下地としてのサファイア基板91の上面上に直接、SiNからなるマスク層92を形成する。このマスク層92は、オーバーハング部92aを有する逆メサ形状(逆台形形状)に形成する。このマスク層92では、隣接するマスク層92間の最短距離が、隣接するマスク層92間に位置するサファイア基板91の露出部の幅よりも小さい。
【0110】
このようなマスク層92の形成方法としては、まず、サファイア基板91上の全面にSiN層(図示せず)を形成した後、そのSiN層上の所定領域にレジスト(図示せず)を形成する。そして、そのレジストをマスクとして、SiN層をウェットエッチングすることによって、容易にオーバーハング部92aを有する逆台形形状のマスク層92を形成することができる。なお、このマスク層92は、約7μmの周期を有するストライプ状(細長状)で、約10nm〜約1000nmの厚みで形成する。また、マスク層92の開口部は、たとえば、サファイアの[11−20]方向またはサファイアの[1−100]方向に形成するのが好ましい。
【0111】
この後、サファイア基板91上に、MOCVD法またはMBE(分子線エピタキシー)法を用いて、約0.08μm/秒の成長速度および約150℃〜約200℃の成長温度で、約2nm〜約10nmの厚みを有するZnO薄膜93を成長させる。なお、このZnO薄膜93は、本発明の「バッファ層」の一例である。そして、マスク層92を選択成長マスクとして、ZnO薄膜93上に、ZnO層94を形成する。このZnO層94は、約1μm/秒程度の成長速度および約400℃の成長温度で、約2μmの厚みを有するように形成する。なお、このZnO層94は、本発明の「半導体層」の一例である。
【0112】
このZnO薄膜93を成長させる際に、マスク層92がオーバーハング部92aを有するので、オーバーハング部92a下には原料が届きにくくなる。このため、オーバーハング部92a下のZnO薄膜93の厚みは、オーバーハング部92a下以外の部分(中央部)の厚みよりも小さくなる。これにより、ZnO薄膜93上に、ZnO層94を成長させる際に、ZnO薄膜93の厚みが大きい中央部では、ZnO層94の成長が速くなるとともに、ZnO薄膜93の厚みが小さいオーバーハング部92a下では、ZnO層94の成長が遅くなる。このため、図1に示した第1実施形態と同様、成長初期の段階からZnO層94が台形状に形成されやすくなるとともに、その台形状のZnO層94の側面が徐々に横方向に成長するので、ZnO層94の成長初期段階から横方向成長が促進される。このため、ZnO層94の成長初期段階から転位が横方向へ曲げられるので、ZnO層94の成長初期段階から縦方向に伝播する転位を低減することができる。その結果、サファイア基板91上に、低転位のZnO層94を薄い膜厚でヘテロ成長させることができる。
【0113】
次に、図22を参照して、第10実施形態の半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子の構造について説明する。
【0114】
第10実施形態の半導体レーザ素子では、図21に示したZnO層94上に、図22に示すように、約4μmの厚みを有するGaドープn型ZnOからなる第1導電型コンタクト層105aが形成されている。第1導電型コンタクト層105a上には、約0.45μmの膜厚を有するGaドープn型Mg0.15Zn0.85Oからなる第1導電型クラッド層106aが形成されている。第1導電型クラッド層106a上には、ZnO/Cd0.1Zn0.9Oからなる多重量子井戸(MQW)発光層107aが形成されている。MQW発光層107a上には、約0.45μmの厚みを有する窒素ドープp型Mg0.15Zn0.85Oからなる第2導電型クラッド層108aが形成されている。その第2導電型クラッド層108a上には、約0.15μmの膜厚を有する窒素ドープp型ZnOからなる第2導電型コンタクト層109aが形成されている。また、第1導電型コンタクト層105aの露出された上面上には、AlまたはTiなどからなるn型の第1導電型電極110aが形成されている。また、第2導電型コンタクト層109aの上面上には、Ni、PdまたはPtなどからなるp型の第2導電型電極111aが形成されている。
【0115】
なお、第1導電型コンタクト層105a、第1導電型クラッド層106a、MQW発光層107a、第2導電型クラッド層108aおよび第2導電型コンタクト層109aは、本発明の「半導体素子層」の一例である。
【0116】
上記した第1実施形態の半導体レーザ素子では、図21に示した形成方法を用いて形成された薄い厚みで転位が低減されたZnO層94上に、各層105a〜109aを形成するので、各層105a〜109aにおいて、良好な結晶性を実現することができる。したがって、第10実施形態では、厚みが薄く、かつ、良好な素子特性を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
【0117】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0118】
たとえば、上記実施形態では、種々のオーバーハング形状を有するマスク層を示したが、本発明はこれに限らず、隣接するマスク層間の距離が隣接するマスク層間に位置する下地の露出部の幅よりも小さくなるような形状であれば、上記した実施形態以外の構造であってもよい。
【0119】
また、上記第1〜第10実施形態では、ストライプ状のマスク層を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、六角形のマスク層、三角形のマスク層、六角形の開口部を形成したマスク層、三角形の開口部を形成したマスク層などであってもよい。
【0120】
また、上記第1〜第10実施形態におけるマスク層の材料は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の材料を用いてもよい。たとえば、SiOx、TiOx、ZrOxまたは高融点金属などが考えられる。
【0121】
また、上記第1〜第10実施形態では、半導体レーザ素子を作製する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、発光ダイオード、電界効果トランジスタ、フォトダイオードまたは太陽電池などの他の半導体素子を作製する場合にも適用可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、下地上に、低転位の半導体層を薄い膜厚で容易にヘテロ成長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図4】図3に示した第2実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図6】図5に示した第3実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図8】図7に示した第4実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図10】図9に示した第5実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図12】図11に示した第6実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図13】本発明の第7実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図14】図13に示した第7実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図15】本発明の第8実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図16】図15に示した第8実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図17】本発明の第9実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図18】本発明の第9実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第9実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図20】図17〜図19に示した第9実施形態による窒化物系半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図21】本発明の第10実施形態による半導体層の形成方法を説明するための断面図である。
【図22】図21に示した第10実施形態による半導体層の形成方法を用いて製造した半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図23】従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体層の形成方法の一例を説明するための断面図である。
【図24】従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体層の形成方法の一例を説明するための断面図である。
【図25】従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体層の形成方法の一例を説明するための断面図である。
【図26】従来の選択横方向成長を用いた窒化物系半導体層の形成方法の一例を説明するための断面図である。
【図27】従来の選択横方向成長を用いて基板上に直接窒化物系半導体層を形成する方法を説明するための断面図である。
【図28】従来の混晶からなる窒化物系半導体層を形成する方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1、21、81、91 サファイア基板(下地)
2、12、22、32、42、52、62、74、83、92 マスク層
2a、32a、62a、74a、92a オーバーハング部
3、13、23、33、43、63、75 低温バッファ層(バッファ層)
4、24、84 アンドープGaN層(半導体層)
11、31 n型SiC基板(下地)
14、44、54 n型GaN層(半導体層)
12a、12c、22a、22b SiN層
12b SiO2
34 n型InGaN層(半導体層)
41 n型GaAs基板(下地)
51 n型Si基板(下地)
53、82 バッファ層
61 n型GaN基板(下地)
64 n型BGaN層(半導体層)
73 GaN層(下地)
76 AlGaInN層(半導体層)
93 ZnO薄膜(バッファ層)
94 ZnO層(半導体層)
105、105a 第1導電型コンタクト層(半導体素子層)
115 第1導電型層(半導体素子層)
106、106a、116 第1導電型クラッド層(半導体素子層)
107、107a、117 MQW発光層(半導体素子層)
108、108a、118 第2導電型クラッド層(半導体素子層)
109、109a、119 第2導電型コンタクト層(半導体素子層)

Claims (20)

  1. 下地の上面に接触するとともに、前記下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて形成された複数のマスク層と、
    前記マスク層間に露出された下地の上面上に形成されたバッファ層と、
    前記バッファ層上および前記マスク層上に形成され、前記下地とは異なる材料からなる半導体層とを備え、
    前記露出された下地の上面上の前記マスク層の近傍に形成された前記バッファ層の厚みは、前記露出された下地の上面上の中央部に形成された前記バッファ層の厚みよりも小さく、
    前記半導体層は、前記マスク層の近傍に形成された前記バッファ層上、及び前記露出された下地の上面上の中央部に形成された前記バッファ層上を含んで前記バッファ層上に形成されている、半導体素子。
  2. 下地の上面に接触するとともに、前記下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて形成された複数のマスク層と、
    前記マスク層間に露出された下地の上面上に形成されたバッファ層と、
    前記露出された下地上、前記バッファ層上および前記マスク層上に形成され、
    前記下地とは異なる材料からなる半導体層とを備え、
    前記バッファ層は、前記マスク層間に露出された下地の上面上の中央部に実質的に同じ厚みで形成されるとともに、前記露出された下地の上面上の前記マスク層の近傍には形成されていない、半導体素子。
  3. 隣接する前記マスク層間の最短距離は、前記隣接するマスク層間に位置する前記下地の露出部の幅よりも小さい、請求項1または2に記載の半導体素子。
  4. 前記マスク層は、前記下地の露出部の上方に突出したオーバーハング部を有する、請求項3に記載の半導体素子。
  5. 前記マスク層のオーバーハング部下に位置する前記バッファ層の厚みは、前記隣接するマスク層間の最短距離部下に位置する前記バッファ層の厚みよりも小さい、請求項4に記載の半導体素子。
  6. 前記マスク層のオーバーハング部下に位置する前記バッファ層の厚みは、前記隣接するマスク層間の最短距離部から遠くなるにしたがって、実質的に同じ割合で小さくなる、請求項5に記載の半導体素子。
  7. 前記バッファ層は、前記マスク層間に露出された下地の上面の中央部上に実質的に同じ厚みで形成されるとともに、前記マスク層のオーバーハング部下に位置する前記下地の上面上には形成されていない、請求項4に記載の半導体素子。
  8. 前記マスク層の少なくとも一部は、逆台形形状を有する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の半導体素子。
  9. 前記下地は、基板を含み、
    前記マスク層は、前記基板の上面に接触するように形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体素子。
  10. 前記基板は、窒素を含まない3−5族半導体基板、4族半導体基板、サファイア基板、スピネル基板、SiC基板および水晶基板からなるグループより選択される1つの基板を含む、請求項9に記載の半導体素子。
  11. 前記マスク層の上面近傍における前記半導体層の転位密度は、前記下地の上面近傍における前記半導体層の転位密度よりも小さい、請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体素子。
  12. 前記マスク層の上面近傍における前記半導体層の転位密度は、前記下地の上面近傍における前記半導体層の転位密度の1/2以下である、請求項11に記載の半導体素子。
  13. 前記半導体層は、窒化物系半導体層を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体素子。
  14. 前記バッファ層は、前記半導体層の成長温度よりも低い成長温度で形成されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体素子。
  15. 前記半導体層上に形成され、素子領域を有する半導体素子層をさらに備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体素子。
  16. 下地の上面に接触するとともに、前記下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて複数のマスク層を形成する工程と、
    前記下地の上面上にバッファ層を形成する工程と、
    前記バッファ層上および前記マスク層上に、前記下地とは異なる材料からなる半導体層を形成する工程とを備え、
    前記下地の上面上の前記マスク層の近傍に形成された前記バッファ層の厚みが、前記下地の上面上の中央部に形成された前記バッファ層の厚みよりも小さく、
    前記半導体層は、前記マスク層の近傍に形成された前記バッファ層上、及び前記露出された下地の上面上の中央部に形成された前記バッファ層上を含んで前記バッファ層上に形成されている、半導体層の形成方法。
  17. 下地の上面に接触するとともに、前記下地の一部を露出するように、所定の間隔を隔てて複数のマスク層を形成する工程と、
    前記下地の上面上にバッファ層を形成する工程と、
    前記バッファ層上および前記マスク層上に、前記下地とは異なる材料からなる半導体層を形成する工程とを備え、
    前記バッファ層は、前記下地の上面上の中央部に実質的に同じ厚みで形成されるとともに、前記下地の上面上の前記マスク層の近傍には形成されていない、半導体層の形成方法。
  18. 隣接する前記マスク層間の最短距離は、前記隣接するマスク層間に位置する前記下地の露出部の幅よりも小さい、請求項16または17に記載の半導体層の形成方法。
  19. 前記マスク層は、前記下地の露出部の上方に突出したオーバーハング部を有する、請求項18に記載の半導体層の形成方法。
  20. 前記半導体層上に、素子領域を有する半導体素子層を成長させる工程をさらに備える、請求項16〜19のいずれか1項に記載の半導体層の形成方法。
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