JP3789411B2 - ターボ分子ポンプ - Google Patents

ターボ分子ポンプ Download PDF

Info

Publication number
JP3789411B2
JP3789411B2 JP2002255227A JP2002255227A JP3789411B2 JP 3789411 B2 JP3789411 B2 JP 3789411B2 JP 2002255227 A JP2002255227 A JP 2002255227A JP 2002255227 A JP2002255227 A JP 2002255227A JP 3789411 B2 JP3789411 B2 JP 3789411B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stator
rotor
casing
spacer
blade
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002255227A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003083283A (ja
Inventor
徹真 池上
松太郎 宮本
裕之 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ebara Corp filed Critical Ebara Corp
Priority to JP2002255227A priority Critical patent/JP3789411B2/ja
Publication of JP2003083283A publication Critical patent/JP2003083283A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3789411B2 publication Critical patent/JP3789411B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Non-Positive Displacement Air Blowers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速回転するロータにより気体の排気を行うようにしたターボ分子ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のターボ分子ポンプの一例を図13に示す。このターボ分子ポンプは、筒状のポンプケーシング14の内部に、ロータ(回転部)Rとステータ(固定部)Sにより翼排気部L及び溝排気部Lが構成されている。ポンプケーシング14の下部は基部15によって覆われ、これには排気ポート15aが設けられている。ポンプケーシング14の上部には排気すべき装置や配管に接続するためのフランジ14aが設けられている。ステータSは、基部15の中央に立設された固定筒状部16と、翼排気部L及び溝排気部Lの固定側部分とから主に構成されている。
【0003】
ロータRは、固定筒状部16の内部に挿入された主軸10と、それに取り付けられた回転筒状部12から構成されている。主軸10と固定筒状部16の間には駆動用モータ18と、その上下に上部ラジアル軸受20及び下部ラジアル軸受22が設けられている。そして、主軸10の下部には、主軸10の下端のターゲットディスク24aと、ステータS側の上下の電磁石24bを有するアキシャル軸受24が配置されている。このような構成によって、ロータRが5軸の能動制御を受けながら高速回転するようになっている。
【0004】
回転筒状部12の上部外周には、回転翼30が一体に設けられて羽根車を構成し、ケーシング14の内面には、回転翼30と交互に配置される固定翼32が設けられ、これらが、高速回転する回転翼30と静止している固定翼32との相互作用によって排気を行う翼排気部Lを構成している。
【0005】
さらに、翼排気部Lの下方にはねじ溝排気部Lが設けられている。すなわち、回転筒状部12には、外周面にねじ溝34aが形成されたねじ溝部34が固定筒状部16を囲むように設けられ、一方、ステータSには、このねじ溝部34の外周を囲むねじ溝部スペーサ36が配置されている。ねじ溝排気部Lは、高速回転するねじ溝部34のねじ溝34aのドラッグ作用によって排気を行う。
【0006】
このように翼排気部Lの下流側にねじ溝排気部Lを有することで、広い流量範囲に対応可能な広域型ターボ分子ポンプが構成されている。この例では、ねじ溝排気部Lのねじ溝をロータR側に形成した例を示しているが、ねじ溝をステータS側に形成することも行われている。
【0007】
上記のようなターボ分子ポンプは、以下のように組み立てられる。まず、基部15に形成された環状凸部15bにねじ溝部スペーサ36の下面の段差面36aを嵌合させて取り付ける。次に、ロータRを所定の位置に据え、その回転翼30の間に通常半割の固定翼32を両側から組み込み、その上に上下に段差面を有するリング状の固定翼スペーサ38を乗せる。以下、この工程を順次繰り返してロータRを取り囲む固定翼32の積層構造を形成する。
【0008】
最後に、上からケーシング14を上記の積層構造の周囲に装着し、その下部のフランジ14bをステータSの基部15にボルト等で固定し、ケーシング14の内周面上部の段差面14cで最上段の固定翼スペーサ38を押さえて積層構造及びねじ溝部スペーサ36を固定する。このような構成から分かるように、各固定翼32はその縁部を上下の固定翼スペーサ38により上下から押さえられ、同様にねじ溝部スペーサ36も最下段の固定翼32と固定翼スペーサ38及び基部15の凸部15bに押さえられて周方向に共回りしないように拘束されている。
【0009】
なお、図示しないが、ねじ溝部スペーサ36のステータSの固定筒状部16に対する固定を確実にするため、ねじ溝部スペーサ36をステータSの固定筒状部16に強固にボルト締結することも行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなターボ分子ポンプにおいて、ロータRの偏心等による回転異常やそれに伴う回転翼30の破壊等が生じる場合がある。この場合、ロータRやその破片が固定翼スペーサ38やねじ溝部スペーサ36と衝突してステータS側にも径方向や円周方向に多大な力が加わることがある。
【0011】
このような異常な力により、固定翼32やスペーサ36,38の変形のみならず、ケーシング14や固定筒状部16の破損あるいはこれらの接合部の破断、あるいはこれらと外部との接続配管部の破断等を生じる可能性がある。このようなステータS側の破損や破断は、ターボ分子ポンプが用いられている処理装置の全体の真空を破壊し、処理装置自体や処理途中の製品への損害をもたらす他、処理ガスの外部放出を招く事故に繋がりかねない。
【0012】
本発明は上記に鑑み、万一ロータ側に異常が発生した場合でも、ステータやケーシングの破損とこれに伴う真空系の破壊に繋がらないような安全性の高いターボ分子ポンプを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項に記載の発明は、ポンプケーシング内部に、ロータとステータにより構成された翼排気部及び溝排気部を有するターボ分子ポンプにおいて、前記ステータと前記ポンプケーシングとの間に、前記ステータに前記ロータ自体の回転異常または破壊により該ロータから異常トルクが作用したときに前記ステータからポンプケーシングへのトルク伝達を阻止するようにした隙間が設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプである。
【0027】
請求項に記載の発明は、ポンプケーシングの内部に、ロータとステータにより構成された翼排気部及び溝排気部を有するターボ分子ポンプにおいて、前記ステータと前記ポンプケーシングとの間に、前記ステータに前記ロータ自体の回転異常または破壊により該ロータから異常トルクが作用したときに、前記ステータの少なくとも一部の半径方向への移動を許容する隙間が設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプである。
【0028】
請求項に記載の発明は、ポンプケーシングの内部に、ロータとステータにより構成された翼排気部及び溝排気部を有するターボ分子ポンプにおいて、前記ステータと前記ポンプケーシングとの間に、前記ステータに前記ロータ自体の回転異常または破壊により該ロータから異常トルクが作用したときに、前記ステータの回転を許容する隙間が設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプである。
【0029】
これにより、ロータの異常等によりステータ側に異常トルクが伝達した時に、ステータ構造の拘束が解除され、ロータの回転エネルギーを吸収するとともに、ポンプケーシングへのトルク伝達を妨げてポンプケーシングやそれと外部の接続の破壊を防止する。拘束を解除する部位は、通常、翼排気部及び/又は溝排気部のステータ側部分、つまり、固定翼やねじ溝部スペーサをケーシングに固定する構造の一部が選択される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態のターボ分子ポンプを示すもので、回転翼30と固定翼32とを交互に配置することによって形成された翼排気部Lと、ねじ溝部34とねじ溝部スペーサ36を有するねじ溝排気部Lとを有する全体の構成、及び固定翼32と固定翼スペーサ38及びねじ溝部スペーサ36をケーシング14で押さえている構造は図13と同じであるので図示を略する。
【0031】
この実施の形態では、ロータR側の異常により固定翼32に異常トルクがかかった時に、固定翼スペーサ38の一部が径方向外方に逃げるようになっている。すなわち、この実施の形態では、最上段及び最下段の固定翼スペーサ38a,38bが2つの半割状のスペーサ片40から構成されている。そして、ケーシング14の内周面には、最上段及び最下段の固定翼スペーサ38a,38bの背面に対向する位置に、これらの固定翼スペーサ38a,38bの厚さよりやや大きい幅を有する周方向に延びる溝42,44が全周に亘って設けられている。
【0032】
このように構成したターボ分子ポンプにおいて、正常運転時には、固定翼32又は固定翼スペーサ38に周方向あるいは径方向に大きなトルクが作用することはなく、固定翼32及び固定翼スペーサ38の積層体も互いの摩擦により拘束されてその位置を維持する。また、最上段及び最下段の固定翼スペーサ38a,38bはリング形状を保ち、他の固定翼スペーサ38と共に各固定翼32を保持する。
【0033】
何らかの理由でロータRの回転に異常が起き、あるいはロータRが破損し、固定翼スペーサ38a,38bの双方又はいずれかに周方向及び径方向に大きな力が加わると、固定翼スペーサ38a,38bが外方に押され、半割状のスペーサ片40がそれぞれ分離して周方向溝42,44の中に入り込み、他の固定翼スペーサ38もステータSに対する軸方向の拘束が解かれて回転自在となる。これにより、固定翼32や固定翼スペーサ38がロータRと共回りするので、ロータRの回転エネルギーを徐々に吸収し、やがてロータRは停止する。固定翼32や固定翼スペーサ38がケーシング14に対する拘束を解かれるので、ロータRのトルクがケーシング14側に伝達されることがなくなり、ケーシング14の破損や外部との接続の破断が起きることがない。
【0034】
なお、上述した実施の形態においては、最上段及び最下段の固定翼スペーサ38a,38bを分割した例を示しているが、いずれか一方のみでも良く、中間に位置する固定翼スペーサ38を分割するようにしても良い。また、分割の数は、2あるいはそれ以上でも良い。
【0035】
図3及び図4は、第2の実施の形態のターボ分子ポンプを示すものである。この実施の形態も、異常発生時に早期に固定翼32の拘束を解くように構成している。この実施の形態では、図4に示すように、軸方向の最上段の固定翼32aの羽根32cの間に支えピン46が、同様に、最下段の固定翼32bの羽根の間に支えピン48が、それぞれ周方向に複数が均等な間隔で設けられている。
【0036】
すなわち、この支えピン46は、段差面14cと最上段の固定翼スペーサ38cの間に「つっかい棒」のように掛け渡されており、その長さは最上段の固定翼32aの厚さよりやや大きく設定されている。同様に、支えピン48は、ねじ溝部スペーサ36と最下段の固定翼スペーサ38dの間に掛け渡され、その長さは最下段の固定翼32bの厚さよりやや大きく設定されている。従って、最上段の固定翼32aとケーシング14の段差面14c及び最下段の固定翼スペーサ38dと最下段の固定翼32bとの間に隙間T,Tが形成される。
【0037】
これらの支えピン46,48は、正常運転時には固定翼スペーサ38を支持するのに充分で、異常時にステータSとロータRの間に捻れやトルクが生じた場合には容易に破断するような強度と数に設定されている。また、隙間T,Tの幅は、通常運転時に固定翼32aが「がたつく」ことがない程度の、例えば、50〜100μmに設定されている。
【0038】
このように構成したターボ分子ポンプにおいては、正常運転時においては図3に示す状態を保持するが、ロータRが破壊または異常回転して、ステータSとロータRの間に捻れやトルクが生じた場合には、支えピン46,48が倒れるかあるいは破断する。これにより上下の隙間T,Tが中段の積層構造に分散させられ、各固定翼32及び固定翼スペーサ38の軸方向の拘束が解除させられる。この結果、各固定翼スペーサ38は、ケーシング14に対して回転自在となり、ケーシング14側へ伝達されるトルクを軽減し、破損を防止することができる。なお、この例では、支えピン46,48が上下に設けられているが、いずれか一方であっても良い。
【0039】
図5乃至図7は、第3の実施の形態のターボ分子ポンプを示すもので、翼排気部Lの最上段以外の固定翼スペーサ50には、図6及び図7に示すように、その周縁部に、雌ねじ50aとねじ挿通穴50bとが円周方向に沿って交互に設けられ、上方の固定翼スペーサ50のねじ挿通穴50b内に締結部材であるボルト52を挿通して下方の固定翼スペーサ50の雌ねじ50aに螺合させることによって、各固定翼スペーサ50が順次締結されている。最下段の固定翼スペーサ50は、ねじ溝部スペーサ54の上部に螺着されている。
【0040】
これらのボルト52は、ロータRが破壊または異常回転して該スペーサ50に異常トルクが伝達された場合に破断するような強度に設定されている。このようなボルト52の強度の設定は、その太さや素材を選択する、あるいは所定箇所にノッチのような破断誘因部を形成することにより行われる。
【0041】
ねじ溝排気部Lのねじ溝部スペーサ54も、その下側のスリット状ねじ取付穴55にボルト56を装着してこれをステータSの基部15に螺合させることにより固定されている。このボルト56の強度は、スペーサ54に所定のトルクが伝達された場合に破断する程度に設定されている。
【0042】
また、この例では、ねじ溝部スペーサ54の下端部を支持する凸部17aの内側は角が切り欠かれており、ねじ溝部スペーサ54の下端部と接触する接触面17bの高さHが図12の場合より小さくなっている。さらに、この実施の形態では、各スペーサ50,54とステータSのケーシング14との間に、摩擦係数の小さい素材から形成され、摩擦低減構造を構成する円筒状の低摩擦部材58が介装されている。
【0043】
このように構成されたターボ分子ポンプでは、異常トルクが各固定翼スペーサ50やねじ溝部スペーサ54に作用すると、固定翼スペーサ50やねじ溝部スペーサ54をステータSに締結するボルト52,56が破断し、これらの拘束を解いてステータSに対して回転自在とする。これにより、ロータRの持つ回転エネルギーが吸収されるとともに、ロータRからステータSに伝達されるトルクが減少させられ、ステータSの破損等を防止する。
【0044】
また、固定翼スペーサ50及びねじ溝部スペーサ54とケーシング14の間に低摩擦部材58が設けられているので、ボルト52,56が破断した後に、固定翼スペーサ50及びねじ溝部スペーサ54とケーシング14の間に作用する摩擦力も低減させられ、また、ねじ溝部スペーサ54と基部15の接触面も小さく設定されているので、これらによってもステータS側に伝達される力が軽減させられる。なお、最上段の固定翼スペーサ38の背部に周方向溝42が形成されているのは、第1の実施の形態と同様の意味である。
【0045】
図8は、この発明の第4の実施の形態を示すもので、この実施の形態では、ケーシング14が吸気側ケーシング14Aと排気側ケーシング14Bとに分割され、これを連結して構成されている。翼排気部Lの固定翼スペーサ50をボルト52を順次締結して固定している構造は、先の実施の形態と同様である。
【0046】
一方、排気側ケーシング14Bの上端には段差面60が設けられ、ねじ溝部スペーサ54にはこの段差面と係合するフランジ部54aが形成され、これらがボルト56により締結されて、ねじ溝部スペーサ54が排気側ケーシング14Bに固定されている。これらのボルト56の強度も、所定のトルクで破断する程度に設定されている。この実施の形態においても、固定翼スペーサ50と吸気側ケーシング14Aとの間、及び、ねじ溝部スペーサ54と排気側ケーシング14Bとの間にそれぞれ円筒状の低摩擦部材(摩擦低減構造)58a,58bが介装されている。この実施の形態のターボ分子ポンプも、先の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
図9は、図8の第4の実施の形態の変形例を示すものである。この例のねじ溝排気部のステータであるねじ溝部スペーサ54は、先の実施の形態と同様にその上端のフランジ部54aを排気側ケーシング14Bの上端の段差面60にボルト固定することにより、取り付けられている。また、ねじ溝部スペーサ54と排気側ケーシング14Bとの間には、低摩擦部材(摩擦低減構造)58a,58bが介装されている。先の実施の形態では、ねじ溝部スペーサ54の下端はステータの基部15の内面と接触しており、ここで拘束を受けていたが、この実施の形態では、スペーサ54の下端はステータの基部15の間に隙間Tが形成されており、ケーシングによって拘束されていない。これは、以下のような理由による。
【0048】
翼排気部L及びねじ溝排気部Lが一体となっている形式のターボ分子ポンプにおいては、ロータRの破壊はねじ溝部の下端から起きやすい。これは、第1に、ねじ溝部34の上端が翼排気に拘束されているのに対して下端側は拘束を受けておらず、従って、高速回転による自らの質量による遠心力の作用で下方に行くに従って弾性変形量が大きくなるからである。そして、第2に、ねじ溝部の下端側は、半導体製造等に使用するプロセスガスの絶対圧力が高くなるために、腐食を受け易く、その結果として弾性変形時の応力による割れを生じやすいからである。
【0049】
図8に示すように、ねじ溝部スペーサ54の下端がケーシング14Bに固定又は接触していると、ねじ溝部スペーサ54が外周側に変形する際、前記固定又は接触部によってこの変形が拘束され、周方向に加わる力がケーシングに直接伝達されてしまう。一方、この変形例では、ねじ溝部スペーサ54の下端とケーシング14Bの間に隙間Tがあるので、多少外方に変形してもケーシングに拘束されず、低摩擦部材58bによって内部を滑りながら回転してその回転エネルギーを消失させることができる。
【0050】
図10は、図8に示す前記第4の実施の形態に更に改良を加えた他の変形例を示すもので、この変形例は、ねじ溝部スペーサ54の本体とフランジ部54aとの境界部分に、ノッチ状の破壊用溝部70を周方向の全長に亘って延びるように設け、それによって脆弱部72を形成している。この変形例によれば、あるしきい値以上の異常トルクがねじ溝部スペーサ54に作用すると、破壊用溝部70に沿って脆弱部72がせん断破壊し、ねじ溝部スペーサ54の本体がフランジ部54aから分離する。従って、ねじ溝部スペーサ54は、低摩擦部材58bを介してロータRと共回りし、徐々にその回転エネルギーを消費する。
【0051】
図11は、第5の実施の形態を示すもので、この実施の形態では、ケーシング14が吸気側ケーシング14Aと排気側ケーシング14Bとに分割され、固定翼スペーサ50と吸気側ケーシング14Aとの間、及び、ねじ溝部スペーサ54と排気側ケーシング14Bとの間にボールベアリング装置(摩擦低減構造)80a,80bが設けられている。これらのボールベアリング装置80a,80bはそれぞれ内輪82a,82bと外輪84a,84bの間にボールが配置されて構成されており、この実施の形態では内輪82a,82bの肉厚の方が外輪84a,84bの肉厚よりも厚く、従って、剛性が高く設定されている。
【0052】
この実施の形態では、ボールベアリング装置80a,80bの内輪82a,82bの機械的強度が大きいので、ロータR側に異常が発生して、ロータRやその破片がステータSに衝突し、ステータSに局所的に多大な力が加わっても、内輪82a,82bの軌道面の変形を防止して、ボールベアリング装置80a,80bが常に安定して回転する。なお、外輪84a,84bはケーシング14A,14Bで支えられており、薄くしてもその軌道面に変形を及ぼす影響が少ない。
【0053】
また、摩擦低減構造として、ボールベアリングの代わりにころベアリングを使用することもでき、この場合も内輪を外輪よりも厚くすることにより、上記と同様な作用効果を奏することができる。
【0054】
図12(a)は、図11の実施の形態を改良した第6の実施の形態を示すもので、この実施の形態では、ねじ溝排気部Lにおいて、ねじ溝部スペーサ54とボールベアリング装置80bの間に衝撃吸収部材(衝撃吸収構造)86が設けられている。この衝撃吸収部材86としては、比較的柔軟な金属材料、高分子素材、あるいはこれらの複合素材が用いられる。このように、ステータSとポンプケーシング14の間に衝撃吸収構造を設けることにより、ロータRからステータSに伝達された衝撃トルクがケーシング14に伝達されるのを防止し、ケーシング14や真空の破壊を防止することができる。また、ボールベアリング装置80bのような摩擦低減構造と衝撃吸収構造とを併用することにより、上記効果を一層高めることができる。
【0055】
図12(b)に示すのは、衝撃吸収部材86を比較的剛性の高いステンレス板88と比較的柔らかく衝撃吸収機能の高い鉛板90とを重ねた複合素材として構成したもので、これにより、衝撃吸収機能と形状維持機能を併せ持つようにしている。
【0056】
上記では、本発明の種々の構成を翼排気部Lとねじ溝排気部Lを有する広域型ターボ分子ポンプに適用したが、それぞれの趣旨に従い、本発明の構成を翼排気部Lのみあるいはねじ溝排気部Lのみを有するポンプに採用してもよく、翼排気部Lとねじ溝排気部Lの双方を有する広域型ターボ分子ポンプにおいて一方の排気部のみに本発明の構成を採用しても良いことは勿論である。また、上述したいくつかの実施の形態の構成を適宜組み合わせて用いても良いことは言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ロータの異常等によりステータ側に異常トルクが伝達した時に、ステータの構造の拘束を迅速に解除したり、ステータとケーシングの間に摩擦低減構造や衝撃吸収構造を構成することで、ロータの回転エネルギーを吸収するとともに、ポンプケーシングへのトルク伝達を妨げてポンプケーシングやそれと外部の接続の破壊を防止する。従って、万一ロータ側に異常が発生した場合でも、ステータ側の破損や真空系の破壊に繋がらないような安全性の高いターボ分子ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のターボ分子ポンプの要部を示す断面図である。
【図2】図1の最上段及び最下段にの回転翼スペーサの平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のターボ分子ポンプの要部を示す断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のターボ分子ポンプの断面図である。
【図6】図5の回転翼スペーサを示す平面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態のターボ分子ポンプの断面図である。
【図9】図8に示す第4の実施の形態の変形例のターボ分子ポンプの断面図である。
【図10】図8に示す第4の実施の形態の他の変形例のターボ分子ポンプの断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態のターボ分子ポンプの断面図である。
【図12】(a)本発明の第6の実施の形態のターボ分子ポンプの断面図、(b)衝撃吸収構造の他の実施の形態を示す断面図である。
【図13】従来のターボ分子ポンプを示す断面図である。
【符号の説明】
10 主軸
12 回転筒状部
14 ケーシング
15 基部
16 固定筒状部
18 駆動用モータ
30 回転翼
32 固定翼
34 ねじ溝部
36,54 ねじ溝部スペーサ
38,38a,38b,38c,50 固定翼スペーサ
42,44 周溝
46,48 支えピン
52,56 ボルト(締結部材)
58,58a,58b 低摩擦部材(摩擦低減構造)
72 脆弱部
80a,80b ボールベアリング装置(摩擦低減構造)
86 衝撃吸収部材
R ロータ
S ステータ
翼排気部
ねじ溝排気部

Claims (3)

  1. ポンプケーシング内部に、ロータとステータにより構成された翼排気部及び溝排気部を有するターボ分子ポンプにおいて、
    前記ステータと前記ポンプケーシングとの間に、前記ステータに前記ロータ自体の回転異常または破壊により該ロータから異常トルクが作用したときに前記ステータからポンプケーシングへのトルク伝達を阻止するようにした隙間が設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
  2. ポンプケーシングの内部に、ロータとステータにより構成された翼排気部及び溝排気部を有するターボ分子ポンプにおいて、
    前記ステータと前記ポンプケーシングとの間に、前記ステータに前記ロータ自体の回転異常または破壊により該ロータから異常トルクが作用したときに、前記ステータの少なくとも一部の半径方向への移動を許容する隙間が設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
  3. ポンプケーシングの内部に、ロータとステータにより構成された翼排気部及び溝排気部を有するターボ分子ポンプにおいて、
    前記ステータと前記ポンプケーシングとの間に、前記ステータに前記ロータ自体の回転異常または破壊により該ロータから異常トルクが作用したときに、前記ステータの回転を許容する隙間が設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
JP2002255227A 1997-06-27 2002-08-30 ターボ分子ポンプ Expired - Fee Related JP3789411B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002255227A JP3789411B2 (ja) 1997-06-27 2002-08-30 ターボ分子ポンプ

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-187681 1997-06-27
JP18768197 1997-06-27
JP2916098 1998-01-27
JP10-29160 1998-01-27
JP2002255227A JP3789411B2 (ja) 1997-06-27 2002-08-30 ターボ分子ポンプ

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19653898A Division JP3359866B2 (ja) 1997-06-27 1998-06-26 ターボ分子ポンプ

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006047919A Division JP4218765B2 (ja) 1997-06-27 2006-02-24 ターボ分子ポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003083283A JP2003083283A (ja) 2003-03-19
JP3789411B2 true JP3789411B2 (ja) 2006-06-21

Family

ID=27286453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002255227A Expired - Fee Related JP3789411B2 (ja) 1997-06-27 2002-08-30 ターボ分子ポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3789411B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4218765B2 (ja) * 1997-06-27 2009-02-04 株式会社荏原製作所 ターボ分子ポンプ
JP4661378B2 (ja) * 2005-06-13 2011-03-30 株式会社島津製作所 ターボ分子ポンプ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003083283A (ja) 2003-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6953317B2 (en) Turbo-molecular pump
JPH0783237A (ja) 回転シャフトの軸受け機構
JP5626445B2 (ja) ターボ分子ポンプのボルト締結構造およびターボ分子ポンプ
TW200925431A (en) Multi-stage pump rotor for a turbomolecular pump
JP3359866B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP7377640B2 (ja) 真空ポンプ、及び、真空ポンプに用いられるロータ並びに回転翼
JP4218765B2 (ja) ターボ分子ポンプ
WO2007105785A1 (ja) 分子ポンプ、及びフランジ
JP3469055B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP5343884B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP3789411B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP5115622B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP5577798B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP3748323B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP5136262B2 (ja) 回転真空ポンプ
JP3784250B2 (ja) 真空ポンプ
JP5532051B2 (ja) 真空ポンプ
JP2011185094A (ja) ターボ分子ポンプ
JP2010180732A (ja) 回転式真空ポンプの締結構造
JP3122025U (ja) 高速回転式分子ポンプ
JP6079041B2 (ja) ターボ分子ポンプ、及び、ターボ分子ポンプ用の補強部材
JP5246288B2 (ja) 回転式真空ポンプ、真空装置およびポンプ接続構造
JP2012041857A (ja) ターボ分子ポンプ
JP2002285989A (ja) 真空ポンプ
JP2003155996A (ja) 真空ポンプ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050823

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051021

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051227

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060224

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060301

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090407

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100407

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110407

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120407

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130407

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130407

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140407

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees