JP3789359B2 - グリル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、焼き網に載置した魚などの被調理物を加熱調理するグリルであって排気筒をグリル庫の後側に連結した後方排気式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
魚など被調理物を加熱調理するためガスコンロにはグリルが一体に設けられる。該グリルは略箱状のスチール製グリル庫を有し、その天井部には、被調理物を加熱する加熱手段が設けられる。グリル庫の後方には、調理中に被調理物から発生した煙やグリル庫内の熱気などの排ガスを外部に排出するため排気筒が設けられ、該排気筒はガスコンロの天板に設けた排気口に連通している。
【0003】
ここで、グリル用の加熱手段としては、例えば、セラミックプレートの表面に複数の炎口を列設したシュバンク式ガスバーナーが挙げられるが、シュバンク式ガスバーナーは高価であるという問題があった。
【0004】
このため、グリルを安価で製作しようとする場合、グリル庫には熱板式加熱手段を設けることが多い。該熱板式加熱手段は、例えば天井部に設けた所定面積の金属製加熱板と、加熱板の下方に設けたブンゼン式ガスバーナーとから構成される。そして、ガスバーナーによって加熱板を加熱し、その輻射熱や赤外線で被調理物の調理を行う。尚、グリル庫の天井部が過熱されるのを防止するため加熱板は排気筒に連通する排気カバーで覆っている。
【0005】
また、加熱板には、ガスバーナーからの火炎で赤熱し易くすると共に、ガスバーナーの排ガスを該加熱板の上方に排出するため、同じ面積の貫通穴を列設している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、排気筒をグリル庫の後方に連結したグリル(後方排気式グリル)では、調理中に被調理物から発生した煙やグリル庫内の熱気などの排ガスは、通常加熱板の下方及び加熱板と排気カバーとの間を通って排気筒へと流れる。
【0007】
このため、グリル庫の前方から排気筒へと流れる排ガスが、熱をグリル庫の後方に集中させる。この場合、焼き網上に載置された被調理物に対する加熱板から輻射熱が不均一になるので、被調理物の各部位を均一に加熱するという焼き分布が悪くなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、加熱板からの輻射熱を均一して焼き分布を良くした後方排気式グリルを提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、請求項1記載のグリルは、グリル庫を備え、該グリル庫の後方に排ガスを排出する排気筒を連結すると共に、グリル庫の天井部に、グリル庫内の排ガスを上方へ逃がす複数の貫通孔が列設された加熱板を有する熱板式加熱手段を設けたグリルにおいて、前記加熱板の貫通孔の単位面積当たりの開口面積をグリル庫の前方から後方に向かって大きくし、貫通孔を通って加熱板の上方へ逃がされる排ガス量をグリル庫の前方から後方に向かって増加するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ガスバーナーを着火すると、該ガスバーナーからの火炎で加熱板が赤熱し、その輻射熱や赤外線で焼き網に載置された被調理物が加熱される。この場合、該グリル庫の後側に排気筒を連結したグリルでは、熱が後方に集中し易いが、加熱板の貫通孔の単位面積当たりの開口面積をグリル庫の前方から後方に向かって大きくしているので、グリルの後方では、多くの熱気を含む排ガスが加熱板の貫通孔を通って排気筒へと排出される。従って、熱がグリル庫の後方に集中せず、焼き網上に載置された被調理物に対する加熱板から輻射熱はほぼ均等になる。
【0011】
また、請求項2記載グリルは、グリル庫を備え、該グリル庫の後方に排ガスを排出する排気筒を連結すると共に、グリル庫内に、少なくともグリル庫の排気筒側に炎口を有するガスバーナーを設けたグリルにおいて、グリル庫の略中央部から排ガスを後方の排気筒へと直接案内するパイパス路をグリル庫の天井部に設け、さらに、グリル庫の天井部に、グリル庫内の排ガスを上方へ逃がす複数の貫通孔が列設された加熱板を有する熱板式加熱手段を設け、該加熱板の貫通孔の単位面積当たりの開口面積をグリル庫の前方から後方に向かって大きくし、貫通孔を通って加熱板の上方へ逃がされる排ガス量をグリル庫の前方から後方に向かって増加するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、加熱調理時、被調理物を加熱することで発生した煙やグリル庫内の熱気などの排ガスは排気筒へと排出される。この場合、グリル庫の略中央部から排ガスを排気筒へと排出するパイパス路をグリル庫の天上部に設けているので、排ガスはバイパス排気路からも排出される。
【0013】
このため、グリル庫の前方からその略中央部までの間で発生した熱気を含む排ガスをバイバス路を介して排出することで、熱がグリル庫の後方に集中せず、焼き網上に載置された被調理物に対する加熱板から輻射熱はほぼ均等になる。
【0015】
これにより、多くの熱気を含む排ガスが加熱板の貫通孔を通って排気筒へと排出されることと相俟って、焼き網上に載置された被調理物に対する加熱板から輻射熱はさらに均等になる。
【0016】
また、請求項1乃至請求項3記載の発明において、グリル庫の前方で発生した排ガスがグリル庫の後方のガスバーナーの火炎に干渉して、不完全燃焼を起こすことが減少し、ガスバーナーの安定した燃焼状態を保持しつつ被調理物を加熱できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は、本発明のグリルを設けたガスコンロを示す。ガスコンロ1のコンロ器体11には、天板12の開口部に臨ませて2個のガスバーナー13が設けられている。ガスバーナー13の作動は両端の正面パネル11aに設けた操作ボタン14や火力調節レバー15により制御される。魚等の被調理物を調理するグリル2は、天板12の下方であって両端の正面パネル11aの間に位置して設けられている。
【0018】
図2、図3及び図4を参照して、グリル2は略直方体形状のスチール製グリル庫21を有し、グリル庫21の後側にはガスコンロ1の天板12に設けた排気口16に連通する排気筒22が設けられている(後方排気式グリル)。
【0019】
図1に示すように、該グリル庫21の開口した前面には耐熱性ガラスが嵌め込まれたグリル扉23が着脱自在に装着される。該グリル扉23の裏面には枠材23aが着脱自在に装着され、該枠材23aがグリル皿24を支持し、グリル扉23の開閉に伴ってグリル皿24をグリル庫から出入れする。皿状に形成されたグリル皿24はまた、魚等の被調理物が載置される焼き網25を支持する。
【0020】
グリル2の天井部には熱板式加熱手段が設けられている。該熱板式加熱手段は、天井部に焼き網に対向して設けた略長方形の金属製加熱板3と、加熱板3を加熱するブンゼン式ガスバーナー4とから構成される。
【0021】
ガスバーナー4は、1本の混合管41と、該混合管41から略U字状に分岐した2本のバーナー本体42であってグリル庫21の長手方向に沿って複数の炎口42aを列設したものとから構成され、各バーナー本体42は、その各炎口42aが相互に向かい合うように、加熱板3の下方に位置してグリル庫21の側壁に取付けられている。
【0022】
図4に示すように、中央部に開口を設けた加熱板3は、ガスバーナー4からの火炎で赤熱し易くすると共にガスバーナー4の排ガスを該加熱板3の上方に排出するため、その中央部から両側部に向かって一定の傾きで山形に屈曲させており、傾した板面31、32には、グリル庫21の下側に向かって切起こした複数の切起凸部33が加熱板3の長手方向に沿って並設されている。各切起凸部33には、加熱板3の長手方向に対して直角な方向に所定の孔径の貫通孔34の複数個が列設されている。
【0023】
そして、ガスバーナー4を着火してその火炎によって加熱板3を加熱し、その輻射熱や赤外線で焼き網25に載置した被調理物の調理を行う。尚、グリル庫の天井部が過熱されるのを防止するため加熱板3を排気筒22に連通する排気カバー5で覆っている。
【0024】
ここで、後方排気式グリル2では、調理中に被調理物から発生した煙やグリル庫内の熱気などの排ガスが加熱板3の下方及び加熱板3と排気カバー5との間を通って排気筒22へと流れる。
【0025】
このため、グリル庫21の前方から排気筒22へと流れる排ガスが熱をグリル庫21の後方に集中させる。この場合、焼き網25上に載置された被調理物に対する加熱板3から輻射熱が不均一になるので、被調理物の各部位を均一に加熱するという焼き分布が悪くなる。
【0026】
図4に示すように、本実施の形態では、前記加熱板3の貫通孔34の単位面積当たりの開口面積がグリル庫21の前方から後方に向かって大きくなるようにした。即ち、加熱板3の切起凸部33を設けた領域を、その長手方向に沿ってほぼ均等に三等分し、グリル庫21の正面側(グリル扉23側)部分の各貫通孔34aの開口面積は小さく(例えば3mm)、グリル庫21の後側(排気筒22側)部分の各貫通孔34cの開口面積は大きく(例えば3.8mm)設定した。そして、中央部分の各貫通孔34bの開口面積はほぼ中間の大きさ(例えば、3.5mm)に設定した。
【0027】
これにより、グリル2の使用時、貫通孔34cを通って排気筒22に案内される熱気を含む排ガスの量はグリル庫21の後方で多くなるので、熱がグリル庫21の後方に集中せず、焼き網25上に載置された被調理物の各部位を均一に加熱するという焼き分布が良くなる。
【0028】
また、グリル庫21の後方で多くの排ガスを加熱板3の上方に排出することで、特に、グリル庫21の後方で、グリル庫21の前方で発生した排ガスがガスバーナー4の火炎に干渉することが減少し、ガスバーナーが不完全燃焼を起すことが減少する。
【0029】
また、排気カバー5に、グリル庫21の略中央部から排ガスを直接排気筒22へと案内するパイパス路51を設けた。これにより、図2で矢印で示すように、グリル庫21の前方から中央部までに発生した排ガスはバイパス路51を介して直接排気筒22に流れる。
【0030】
これにより、加熱板3の下方及び加熱板3と排気カバー5との間を通って排気筒22へと流れるグリル庫21の前方で発生した排ガスの量は減少し、熱がグリル庫21の後方に集中しないと共に、排ガスがガスバーナー4の火炎と干渉することが防止される。
【0031】
ここで、本実施の形態のように、前記加熱板3の貫通孔34の単位面積当たりの開口面積がグリル庫21の前方から方向に向かって大きくすると共に、パイパス路51を設けることで、グリル庫21内の焼き分布を均一化するための調整を一層容易に行うことができる。さらに、排ガスのガスバーナー4の火炎への干渉を減少させて不完全燃焼の発生を防止することで、ガスバーナーの安定した燃焼が確保できる。
【0032】
尚、本実施の形態では、熱板式加熱手段を設けたグリル2に、バイパス路51を設けたが、これに限定されるものではなく、少なくともグリル庫の排気筒側に炎口を有するガスバーナーを設けたものであれば、排ガスとグリル庫後方のガスバーナーの火炎との干渉を防止できる。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明のグリルでは、加熱板からの輻射熱が均一であるから焼き分布が良くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグリルを設けたガスコンロの斜視図
【図2】図1のガスコンロの断面図
【図3】グリルの断面図
【図4】加熱板の底面図
【符号の説明】
2 グリル
21 グリル庫
22 排気筒
3 加熱板
4 ガスバーナー
51 バイパス路

Claims (2)

  1. グリル庫を備え、該グリル庫の後方に排ガスを排出する排気筒を連結すると共に、グリル庫の天井部に、グリル庫内の排ガスを上方へ逃がす複数の貫通孔が列設された加熱板を有する熱板式加熱手段を設けたグリルにおいて、前記加熱板の貫通孔の単位面積当たりの開口面積をグリル庫の前方から後方に向かって大きくし、貫通孔を通って加熱板の上方へ逃がされる排ガス量をグリル庫の前方から後方に向かって増加するようにしたことを特徴とするグリル。
  2. グリル庫を備え、該グリル庫の後方に排ガスを排出する排気筒を連結すると共に、グリル庫内に、少なくともグリル庫の排気筒側に炎口を有するガスバーナーを設けたグリルにおいて、グリル庫の略中央部から排ガスを後方の排気筒へと直接案内するパイパス路をグリル庫の天井部に設け、さらに、グリル庫の天井部に、グリル庫内の排ガスを上方へ逃がす複数の貫通孔が列設された加熱板を有する熱板式加熱手段を設け、該加熱板の貫通孔の単位面積当たりの開口面積をグリル庫の前方から後方に向かって大きくし、貫通孔を通って加熱板の上方へ逃がされる排ガス量をグリル庫の前方から後方に向かって増加するようにしたことを特徴とするグリル。
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