JP3788906B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や車両の操舵系にモータによるアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図17は、従来の自動車等に使用される電動パワーステアリング装置及びその制御装置158の概略を示す。
【0003】
ステアリングホイール141に連結したステアリングシャフト142には、トーションバー143が設けられている。このトーションバー143には、トルクセンサ144が装着されている。そして、ステアリングシャフト142が回転してトーションバー143に力が加わると、加わった力に応じてトーションバー143が捩れ、その捩れをトルクセンサ144が検出している。
【0004】
なお、以下の説明では、ステアリングホイールのことをハンドルと言うことがある(従来の技術及び実施形態についても同様)。
又、ステアリングシャフト142には減速機145が固着されている。この減速機145には、モータ146の回転軸に取着したギア147が噛合されている。更に、減速機145にはピニオンシャフト148が固着されている。ピニオンシャフト148の先端には、ピニオン149が固着されるとともに、このピニオン149はラック151と噛合している。前記ラック151とピニオン149とにより、ラック&ピニオン機構150が構成されている。
【0005】
ラック151の両先端には、タイロッド152が固設されている。このタイロッド152の両端には、ナックル153が回動可能に連結されている。このナックル153には、前輪154が固着されている。又、ナックル153は、クロスメンバ155に回動可能に連結されている。
【0006】
従って、モータ146が回転すると、その回転数は減速機145によって減少されてピニオンシャフト148に伝達され、ラック&ピニオン機構150に伝達される。そして、タイロッド152に連結されたナックル153は、モータ146の回転方向に応じて右方向又は左方向に移動する。尚、前輪154には車速センサ156が設けられている。そして、モータ146の回転数及び回転方向は、モータ駆動装置157から供給される正負のアシスト電流によって決定されている。このモータ駆動装置157がモータ146に供給するアシスト電流は、モータ駆動装置157を制御する制御装置158によって演算されている。制御装置158は、CPU159、ROM160、RAM161等から構成され、トルクセンサ144からの検出信号からその時々のステアリングホイール141の操舵トルクThを演算するとともに、車速センサ156からの検出信号からその時々の車速Vを演算する。
【0007】
そして、制御装置158は、この演算した操舵トルクThと車速Vに基づいてアシスト電流(アシスト電流指令値)を算出する。この算出は、制御装置158内のROM160に予め記憶したアシストマップから求められる。そして、制御装置158はアシストトルクを発生させるモータ146の電流を前記アシスト電流(アシスト電流指令値)となるように制御する。
【0008】
ここで、CPU159の制御の概要を説明する。
図19は、従来の制御装置158のCPU159の機能ブロック図であり、CPU159内部においてプログラムで実行される機能を示し、実際のハード構成を意味するものではない。
【0009】
トルクセンサ144で検出した操舵トルクThは、系の安定性を高めるために、位相補償器170で位相補償され、位相補償された操舵トルクThが電流指令値演算部171に入力される。又、車速センサ156で検出された車速Vも電流指令値演算部171に入力される。電流指令値演算部171は、予めROM160に記憶されているアシストマップに基づいて、車速V、操舵トルクThに対応したアシスト電流指令値Iを演算する(図18参照)。
【0010】
アシスト電流指令値Iは加算器172にて、後記するハンドル戻し電流Ih*、ダンパ電流Id*を加算して、電流制御部173に供給する。電流制御部173では、加算器172の出力と、モータ駆動電流センサ176にて検出した実際のモータ電流(モータ駆動電流)Imとの差に相当する信号に基づいて、PI制御値やPID制御値を演算し、この制御値をPWM演算部174に出力する。PWM演算部174では、この制御値に応じたPWM演算を行い、その演算結果をモータ駆動装置157に供給する。
【0011】
この結果、モータ駆動装置157を介してモータ146を駆動制御することにより、モータ146による適正なアシスト力が得られる。
一方、モータ角速度推定器175はモータ駆動電流センサ176にて検出したモータ146のモータ電流Imと、モータ146の端子間電圧検出回路177で検出したモータ端子間電圧Vmに基づいて下記のモータ電圧方程式にて推定モータ角速度ωを推定する。
【0012】
ω={Vm−(R+LS)Im}/Ke
なお、Rはモータ抵抗、Lはモータインダクタンス、Keはモータ逆起電力定数、Sは微分演算子である。
【0013】
操舵角速度推定器178では、モータ角速度推定器175で算出された推定モータ角速度ωに基づいて、減速機145の減速比Gで除算することにより操舵角速度Q(=ω/G)を推定する。操舵角速度推定器178で算出された操舵角速度Qはハンドル戻し制御器180、ダンパ制御器190に入力される。又、車速センサ156で検出された車速Vは、ハンドル戻し制御器180、ダンパ制御器190に入力される。
【0014】
ここでハンドル戻し制御器180の概要を説明する。
ハンドル戻し制御器180は、低速走行時のハンドル戻り特性を改善するために、ハンドル戻し状態の時に、車速V及び操舵角速度Qに応じたハンドル戻し電流Ih*を出力して、ハンドル(ステアリングホイール141)が戻る方向にアシストを行う。
【0015】
図20はハンドル戻し制御器180におけるハンドル戻し演算を行う機能ブロック図を示している。
同図に示すように、ハンドル戻し制御器180はハンドル戻し電流演算部181、ハンドル戻し補償車速ゲイン演算部182、ハンドル戻し判定部183及び乗算器184を備えている。ハンドル戻し電流演算部181は、ハンドル戻し補償マップを備え、操舵角速度Qが入力されると、ハンドル戻し補償マップを参照して、ハンドル戻し電流Ihを読み出し、乗算器184に入力する。このハンドル戻し電流Ihは、ハンドルの回転方向にアシストするように、設定されている。
【0016】
ハンドル戻し補償車速ゲイン演算部182は、車速Vが入力されると、ハンドル戻し補償ゲインマップを参照して車速ゲインKhを読み出し、乗算器184に供給する。この車速ゲインKhは、中高速走行ではハンドル戻し電流を0にし、低速走行のみ、ハンドル戻し制御が効くように設定されている。
【0017】
又、ハンドル戻し判定部183は、ハンドル戻し判定マップを備えており、操舵トルクThが入力されると、マップに基づいて操舵トルクThが0近傍のときには、ゲインBとして「1」を出力し、操舵トルク|Th|>X(X(>0)は閾値)のように、ある値X以上になると、ゲインBとして「0」を乗算器184に出力する。すなわち、操舵トルクThが閾値以内のときは、ハンドル戻し状態と判定し、閾値を超える場合には、切り込み・保舵状態と判定する。乗算器184は、ハンドル戻し電流演算部181、ハンドル戻し補償車速ゲイン演算部182、及びハンドル戻し判定部183から入力されたIh、Kh、Bを乗算して、ハンドル戻し電流Ih*を加算器172に出力する。
【0018】
従って、車速が低速走行の際に、ハンドル戻し判定部183により、ハンドル戻しがされていると判定が行われた場合には、ハンドル戻し電流Ih*がアシスト電流に加算されて、低速走行時のハンドル戻り特性が改善する。
【0019】
次に、ダンパ制御器190について説明する。
ダンパ制御器190は、中高速走行時の車両のヨーの収斂性を改善するために、車速V及び操舵角速度Qに応じたダンパ電流Id*を出力して、ハンドルが回転する方向と逆方向にダンパ電流Id*を加えてブレーキをかけるためのものである。
【0020】
図21はダンパ制御器190におけるダンパ電流演算を行う機能ブロック図を示している。同図に示すように、ダンパ制御器190はダンパ電流演算部191、ダンパ補償車速ゲイン演算部192、及び乗算器193を備えている。ダンパ電流演算部191は、ダンパ電流マップを備え、操舵角速度Qが入力されると、ダンパ電流マップを参照して、ダンパ電流Idを読み出し、乗算器193に入力する。なお、ダンパ電流Idは、操舵角速度を減速する方向に設定されており、ハンドル戻し制御とは極性が逆になっている。
【0021】
ダンパ補償車速ゲイン演算部192は、車速Vが入力されると、ダンパゲインマップを参照してダンパゲインKdを読み出し、乗算器193に供給する。ダンパゲインKdは、低速走行ではダンパ電流が0になるようにし、中高速ではダンパ制御が効くように設定されている。
【0022】
乗算器193は、ダンパ電流演算部191、ダンパ補償車速ゲイン演算部192から入力されたId、Kdを乗算して、ダンパ電流Id*を加算器172に出力する。
【0023】
従って、車速が中高速の際、ダンパ制御器190により、アシスト電流指令値Iにダンパ電流Id*が加算されて、中高速時のダンパ特性が改善する。
ところで、上記のようにハンドル戻し制御器180、及びダンパ制御器190の各マップは、予めROM160に記憶されており、ある基準路面で適合された値となっている。それは、通常乾燥アスファルト路面で最適になるように設定された値とされている。
【0024】
しかしながら、例えば低μ路等の路面反力が低い路面状態で走行すると、低速走行時のハンドル戻し制御器180でのハンドル戻し電流Ih*の出力が低く、ハンドルが途中で止まり、残留角(中立位置(車両が直進する際のハンドルの位置)を基準として、その位置から外れた角度)が大きくなる問題があった。又、中高速走行時に、低μ路等の路面反力が低い路面状態で走行すると、ダンパ制御器190でのダンパ電流Id*の出力が過剰となり、ダンパが効きすぎてしまう問題があった。
【0025】
そこで、これらのような不具合を解決するために、本出願人は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサを設け、以下のような制御をする装置を提案している。
【0026】
即ち、その制御装置(以下、収斂制御を行う装置という。)においては、操舵角及び車速に基づいてステアリングホイールを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定し、「目標操舵角と操舵角の偏差」及び車速により、目標操舵角速度を設定し、「目標操舵角速度と操舵角速度の偏差」及び車速により、目標収斂電流を決定する。そして、この目標収斂電流を利用してステアリングホイールが中立位置へ戻る際の収斂性を向上させるようにモータを制御(以下、この制御を収斂制御という。)する。
【0027】
この結果、仮に、操舵角速度(実操舵角速度)が目標操舵角速度よりも小さい場合には、目標収斂電流が増加して操舵角速度が増速するようにアシストする。反対に、操舵角速度(実操舵角速度)が目標操舵角速度よりも大きい場合には、目標収斂電流の極性が反転して操舵角速度が減速する方向に働き、操舵角速度(実操舵角速度)が目標操舵角速度に一致するように制御される。
【0028】
すなわち、この収斂制御によれば、戻すべき操舵角の位置とその時の操舵角速度を同時に制御することができ、路面反力等が変わっても収斂電流を調節する機能が働き、常に安定的に設定された操舵角速度で設定された操舵角までステアリングホイールを収斂させることが可能となる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の収斂制御を行う装置において、凍結路等の低μ路で路面反力が低下した場合には、前輪に働くセルフアライニングトルクが低下するため、ステアリングホイールが戻りにくくなるが、「目標操舵角と操舵角の偏差」と車速に基づき一意に操舵角速度を制御している。そのため、上記の収斂制御を行う装置は路面反力の影響を受けることなく同一のハンドルの収斂性となり、前記制御装置158のパワーステアリングに比べて不自然となっていた。
【0030】
即ち、ステアリングホイールを切った状態からステアリングホイールが中立位置へ戻る際に、ステアリングホイールは路面状況に左右されず一定速度で設定された操舵角まで戻ってくる。従って、ドライバーはステアリングホイールの戻り方で、路面状況を判断できなくなっていた。
【0031】
従って、本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は路面反力等が低下し、ハンドルを中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することにある。
【0032】
又、本発明の第2の目的は、操舵角速度を路面反力が高い場合に比べて小さくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することにある。
【0033】
又、本発明の第3の目的は、路面反力等が低下し、ハンドルを中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角を路面反力が高い場合に比べて大きくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する目標操舵角設定手段と、前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する目標操舵角速度設定手段と、前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する目標収斂電流設定手段と、路面反力を検出する路面反力検出手段とを備え、前記目標操舵角速度設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角速度を補正することを要旨とする。
【0035】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、前記目標操舵角速度設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて左右独立に目標操舵角速度を補正することを要旨とする。
【0036】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、前記目標操舵角速度設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報のなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角速度を補正することを要旨とする。
【0037】
請求項4に記載の発明は、操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する目標操舵角設定手段と、前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する目標操舵角速度設定手段と、前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する目標収斂電流設定手段と、路面反力を検出する路面反力検出手段とを備え、前記目標操舵角設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角を補正することを要旨とする。
【0038】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、前記目標操舵角設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて左右独立に目標操舵角を補正することを要旨とする。
【0039】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、前記目標操舵角設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報のなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角を補正することを要旨とする。
【0040】
請求項7に記載の発明は、操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する目標操舵角設定手段と、前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する目標操舵角速度設定手段と、前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する目標収斂電流設定手段と、路面反力を検出する路面反力検出手段とを備え、前記目標操舵角設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角を補正し、前記目標操舵角速度設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角速度を補正することを要旨とする。(作用)
従って、請求項1に記載の発明においては、目標操舵角設定手段は、操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する。目標操舵角速度設定手段は、前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する。目標収斂電流設定手段は、前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する。路面反力検出手段は、路面反力を検出する。前記目標操舵角速度設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角速度を補正する。
【0041】
請求項2に記載の発明においては、請求項1の作用に加えて、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出する。前記目標操舵角速度設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて左右独立に目標操舵角速度を補正する。
【0042】
請求項3に記載の発明においては、請求項1の作用に加えて、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出する。前記目標操舵角速度設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報のなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角速度を補正する。
【0043】
請求項4に記載の発明においては、目標操舵角設定手段は、操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する。目標操舵角速度設定手段は、前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する。目標収斂電流設定手段は、前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する。路面反力検出手段は、路面反力を検出する。前記目標操舵角設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角を補正する。
【0044】
請求項5に記載の発明においては、請求項4の作用に加えて、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出する。前記目標操舵角設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて左右独立に目標操舵角を補正する。
【0045】
請求項6に記載の発明においては、請求項4の作用に加えて、前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出する。前記目標操舵角設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報のなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角を補正する。
【0046】
請求項7に記載の発明においては、目標操舵角設定手段は、操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する。目標操舵角速度設定手段は、前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する。目標収斂電流設定手段は、前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する。路面反力検出手段は、路面反力を検出する。前記目標操舵角設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角を補正する。前記目標操舵角速度設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角速度を補正する。
【0047】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を、自動車に搭載した電動パワーステアリング装置の制御装置20に具体化した実施形態を図1〜図13に従って説明する。
【0048】
図1は、電動パワーステアリング装置及びその制御装置20の概略を示す。
ハンドルとしてのステアリングホイール1に連結したステアリングシャフト2には、トーションバー3が設けられている。このトーションバー3には、トルクセンサ4が装着されている。そして、ステアリングシャフト2が回転してトーションバー3に力が加わると、加わった力に応じてトーションバー3が捩れ、その捩れ、即ちステアリングホイール1にかかる操舵トルクThをトルクセンサ4が検出している。
【0049】
又、ステアリングシャフト2には、ステアリングシャフト2の操舵角θを検出する操舵角センサ17が装着されている。これらのセンサ出力は制御装置20へ供給される。
【0050】
又、ステアリングシャフト2には減速機5が固着されている。この減速機5には電動モータ(以下、モータという)6の回転軸に取着したギア7が噛合されている。更に、減速機5にはピニオンシャフト8が固着されている。ピニオンシャフト8の先端には、ピニオン9が固着されるとともに、このピニオン9はラック10と噛合している。前記ピニオン9とラック10とにより、ラック&ピニオン機構11が構成されている。ラック10の両端には、タイロッド12が固設されており、そのタイロッド12の先端部にはナックル13が回動可能に連結されている。このナックル13には、前輪14が固着されている。又、ナックル13の一端は、クロスメンバ15に回動可能に連結されている。
【0051】
従って、モータ6が回転すると、その回転数は減速機5によって減少してピニオンシャフト8に伝達され、ラック&ピニオン機構11を介してラック10に伝達される。そして、ラック10は、タイロッド12を介してナックル13に設けられた前輪14の向きを変更して車両の進行方向を変えることができる。
【0052】
前輪14には、車速センサ16が設けられている。
次に、この電動パワーステアリング装置の制御装置20の電気的構成を示す。トルクセンサ4は、ステアリングホイール1の操舵トルクThを示す検出信号を制御装置20に出力している。前記車速センサ16は、前輪14の回転数に相対し、その時の車速Vを示す検出信号を制御装置20へ出力する。
【0053】
操舵角センサ17はステアリングシャフト2の操舵角θを示す検出信号(操舵角信号)を制御装置20に出力している。又、制御装置20には、図3に示すようにモータ6に流れる駆動電流(モータ電流Im、モータ電流値に相当)を検出するモータ駆動電流センサ18が電気的に接続されており、モータ駆動電流センサ18からのモータ電流Imを示す信号が供給されている。端子間電圧検出回路19は、モータ6のモータ端子間電圧Vmを制御装置20に出力している。
【0054】
制御装置20は、制御手段としての中央処理装置(CPU)21、読み出し専用メモリ(ROM)22及びデータを一時記憶する読み出し及び書き込み専用メモリ(RAM)23を備えている。このROM22には、CPU21により実行されるアシスト制御、収斂制御等の各種制御プログラムが格納されている。RAM23は、CPU21が演算処理を行うときの演算処理結果等を一時記憶する。
【0055】
CPU21は、前記各種センサからの検出信号を入力し、アシスト制御、収斂制御等の各種制御プログラムの処理において、それらの検出信号に基づいたモータ電流指令値を演算して、モータ駆動装置24に出力し、同モータ駆動装置24を介してモータ6を駆動制御する。
【0056】
本実施形態では、前記CPU21は、目標操舵角設定手段、目標操舵角速度設定手段、目標収斂電流設定手段、及び路面反力検出手段に相当する。
(第1実施形態の作用)
以下のCPU21内部の機能の説明では、「車速V」、「操舵トルクTh」、「操舵角θ」等の各種パラメータは、説明の便宜上、それらの対応する信号の意味として使用するものとする。
【0057】
図3は、CPU21の機能ブロック図である。この実施形態ではCPU21内部においてプログラムで実行される機能を示している。例えば、位相補償器30は独立したハードウエアではなく、CPU21内部で実行される位相補償機能を示している。同じく図2,4,8,9,13は、CPU21内部の構成はCPU21がプログラムによって実行される処理機能を機能ブロック図で示しており、実際のハード構成を意味するものではない。
【0058】
以下、CPU21の機能と動作を説明する。
(車速感応アシスト制御)
トルクセンサ4から入力された操舵トルクThは、位相補償器30で操舵系の安定を高めるために位相補償され、電流指令値演算部31に入力される。又、車速センサ16で検出された車速Vも電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTh、車速Vに基づいて、モータ6に供給する電流の制御目標値である車速感応アシスト指令値(アシスト電流指令値に相当する)Iを決定する。
【0059】
図2に示すようにCPU21の電流指令値演算部31は、操舵トルクTh、車速Vを入力し、これらのパラメータに基づいてアシスト電流指令値Iを算出する。
【0060】
具体的には、同図に示すように操舵トルクThは高速アシストマップ101に供給されて高速アシスト電流(高速アシスト量)Id1が読み出され、又は低速アシストマップ102に供給されて低速アシスト電流(低速アシスト量)Id2が読み出される。読み出された高速アシスト電流は乗算器104に供給され、低速アシスト電流は乗算器105に供給される。
【0061】
一方、車速Vはアシスト車速ゲインマップ103に供給されて、車速Vに基づいてアシスト車速ゲインマップ103からアシスト車速ゲインk1が読み出され、乗算器105、及び加算器107に供給される。加算器107に供給されたアシスト車速ゲインk1はその符号が反転された上で「1」が加算されて、(1−k1)として乗算器104に供給される。
【0062】
乗算器104は、供給された(1−k1)を高速アシスト電流Id1に乗算した後、その出力値を加算器106に供給する。又、乗算器105は供給されたアシスト車速ゲインk1を低速アシスト電流Id2に乗算した後、その出力値を加算器106に供給する。加算器106は乗算器104,105で乗算して得た各値を加算して得たアシスト電流指令値Iを図3に示す加算器39に出力する。
【0063】
加算器39はこのアシスト電流指令値Iと他の部(後記する)からの出力値を加算し、PI制御部40に出力する。PI制御部40は実際のモータ電流Imとの差に相当する信号(アシスト電流制御値に相当する)に基づいて公知のPI制御による電流値を算出し、この値をPWM演算部38に出力する。PWM演算部38では、PI制御により得られた値に基づいてPWM演算を行い、この演算結果をモータ駆動装置24に供給する。
【0064】
この結果、モータ駆動装置24を介してモータ6を駆動制御することにより、検出された操舵トルクTh及び車速Vに応じてモータ6による適正なアシスト力が得られる。
【0065】
(操舵角速度Q)
次に、収斂制御部81に入力される操舵角速度Qの求め方について説明する。モータ6の端子間に電圧を印加すると、モータ6は回転するが、モータ6が回転すると、その回転数に比例して逆起電力が発生し、モータ端子間電圧Vmに加算される。モータ端子間電圧Vmとモータ6の逆起電力との関係は、以下の式で表すことができる。
【0066】
Vm=(Ls+R)・Im+Ke・ω …(1)
ここで、Vm:モータ端子間電圧、L:モータ6のインダクタンス、s:ラプラス演算子、R:モータ6の端子間抵抗、Im:モータ電流、Ke:モータ6の逆起電力定数、ω:モータ角速度である。
【0067】
従って、上記(1)式をω(モータ角速度)で解くと、下記(2)式となる。
ω={Vm−(Ls+R)・Im}/Ke …(2)
そこで、図4に示す、第1演算部50では、モータ駆動電流センサ18から入力されたモータ電流Imに(Ls+R)を乗算し、減算器51に出力する。減算器51は、端子間電圧検出回路19から入力したモータ端子間電圧Vmに対して第1演算部50で演算した値を減算し、その値を第2演算部52に出力する。
【0068】
又、第2演算部52は、減算器51から入力した値を逆起電力定数Keで除してモータ角速度ωを算出し、操舵角速度推定部53に出力する。
前記第1演算部50、減算器51、第2演算部52とにより、モータ角速度推定器60が構成されている(図3,4参照)。
【0069】
ついで、操舵角速度推定部53は、モータ角速度ωを減速機5(図1参照)の減速比Gで除して、操舵角速度Qを算出する。なお、本明細書では、以下、大文字Qは、角速度の意味で使用する。
【0070】
このようにして、算出(推定)された操舵角速度Qは収斂制御部81に供給される。
(路面摩擦係数μの推定方法)
ここで、本実施形態における路面摩擦係数μ(以下、路面μという)の推定方法について説明する。
【0071】
ある車速V、ある操舵角θにおける路面の反力(以下、路面反力という)は、路面μにより変化することが知られている。従って、基準となる路面μにおけるある車速V、ある操舵角θに対する路面反力を予め記憶しておき、演算で算出した路面反力と比較することにより、路面μが推定できる。
【0072】
路面反力はラック推力Fと等しく、ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置の場合、次式でラック推力Fを表すことができる。
F = Fm + Fh ……(A)
ここで、Fmはモータ6がアシストする推力、Fhはハンドル操舵による推力であり、下記の式でそれぞれ求めることができる。
【0073】
Fm=2π・Tm・ηb/L ……(B)
Fh=2π・Th・ηp/St ……(C)
なお、Tmはモータトルク、ηbはボールナット機構6aのボールねじ効率、Lはそのボールねじリードである。Thは操舵トルク、ηpは前記ラック&ピニオン機構のラック&ピニオンギヤ効率、Stはそのストローク比である。
【0074】
従って、ラック推力Fは、下記の式となる。
F=(Tm・ηb・St/L + Th・ηp)・2π/St
ここで、ηbとηpとは、経験上その効率がほぼ等しいと考えることができるから、
G(減速比)=St/L
より、
F∝(Tm・G+Th)=f
となる。
【0075】
すなわち、路面反力(=ラック推力F)はfに比例する。
この結果、路面反力を表す評価関数としてf=Tm・G+Thを導入し、予め記憶しておいた基準路面(本実施の形態では、アスファルト路としている)における基準値としての基準路評価関数f0との評価関数比α(=f/f0)を算出する。この評価関数比αは路面μに比例した値であり、評価関数比αを算出することは、路面μを推定することに相当する。この評価関数比αは路面反力情報に相当する。
【0076】
(路面μの推定)
次に、路面μ推定制御プログラムのフローチャートの説明を図5及び図6に従って説明する。
【0077】
図5及び図6(a)のフローチャートは、路面μ推定制御プログラムのフローチャートを示しており、定時割り込みで実行される。
先ず、CPU21は、ステップ(以下、ステップをSという)1において、車両の走行中その時々において、車速センサ16からの検出信号,トルクセンサ4からの検出信号、操舵角センサ17からの検出信号及びモータ駆動電流センサ18からの検出信号をRAM23に読み込む。次に、S2において、車速センサ16からの検出信号に基づいてその時々の車速Vを演算するとともに、トルクセンサ4からの検出信号に基づいてステアリングホイール1のその時々の操舵トルクThを演算する。又、操舵角センサ17からの検出信号に基づいて操舵角θを演算する。又、操舵角θを微分して操舵角速度θVを演算する。
【0078】
S3では、S2で算出した車速Vが判定車速下限値V1と判定車速上限値V2(>V1)の範囲内にあるか否かを判定する。この判定は路面μを推定するのに適切な車速範囲内か否かを判定するためのものである。S3で判定車速下限値V1と判定車速上限値V2との間にあれば、S4に移行し、そうでない場合にはこの処理ルーチンを一旦終了する。
【0079】
S4では、S2で算出した操舵角θの絶対値が判定操舵角下限値θ1と判定操舵角上限値θ2(>θ1)の範囲内にあるか否かを判定する。操舵角θは右回転操舵と、左回転操舵があるため、右回転操舵を正、左回転操舵を負とする。この判定は路面μを推定するのに適切な操舵角範囲内か否かを判定するためのものである。S4で操舵角θが判定操舵角下限値θ1と判定操舵角上限値θ2との間にあれば、S5に移行し、そうでない場合にはこの処理ルーチンを一旦終了する。
【0080】
S5では、S2で算出した操舵角速度θVの絶対値が判定操舵角速度下限値θV1と判定操舵角速度上限値θV2(>θV1)との範囲内にあるか否かを判定する。操舵角速度θVは右回転の場合の角速度と、左回転の場合の角速度があるため、右回転の場合を正、左回転の場合を負とする。この判定は適切な操舵角速度範囲内か否かを判定するためのものである。S5で操舵角速度θVが判定操舵角速度下限値θV1と判定操舵角速度上限値θV2との間にあれば、S6に移行し、そうでない場合にはこの処理ルーチンを一旦終了する。
【0081】
次のS6では、操舵角θと操舵角速度θVの正負の符号が同じか否かを判定する。例えば、走行が直進状態であるときの中立位置からステアリングホイール1を左右いずれかの方向に操舵したときは、操舵角θと操舵角速度θVの符号は同じであり、ステアリングホイール1を一旦操舵してから、戻し(ハンドル戻し)の場合は、操舵角θと操舵角速度θVとは符号が互いに反対となる。
【0082】
従って、操舵角θと操舵角速度θVの両者の符号が同じときは、ステアリングホイール1(ハンドル)を切っているものとしてS7に移行し、符号が不一致の場合には、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0083】
S7では、S2で演算した操舵トルクThの絶対値が判定操舵トルク下限値Th1と判定操舵トルク上限値Th2の範囲内か否かを判定する。ここでの判定は、車輪が縁石に当たったり、車輪が溝等に脱輪した場合等の異常な状態の操舵トルクか否かを判定するのである。操舵トルクThがこの範囲以内である場合には、S8に移行し、範囲外である、すなわち、異常であると判定すると、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0084】
次のS8では、モータ電流Imに基づいてモータトルクTmを演算する。このモータトルクTmは下記の式で算出する。
Tm=Kt・Im
なお、Ktはモータ6のトルク定数である。
【0085】
次のS9では、瞬時評価関数fを算出する。この瞬時評価関数fとは、この制御サイクル時に得られる評価関数のことである。瞬時評価関数fは下記の式で得られる。
【0086】
f=Tm・G+Th
Gは前記したように減速比(定数)である。
次のS10では、基準路評価関数f0を割り出す。基準路評価関数f0は図7に示すマップを参照して求める。このマップは横軸に操舵角θ、縦軸に基準路評価関数f0の値を備え、複数の車速Vに応じた基準路評価関数f0を割り出すことができるようになった3次元マップである。すなわち、このマップは、ROM22に予め記憶されており、車速Vと、操舵角θとが決定されれば、基準路評価関数f0の値が選択できる。
【0087】
同図に示すように、操舵角θが大きくなるほど、基準路評価関数f0の値がリニアに大きくなり、又、車速Vが大きくなるほど、操舵角θが同じであれば、基準路評価関数f0の値を大きくしている。
【0088】
次のS11では、瞬時評価関数fと、基準路評価関数f0とに基づいて評価関数比(以下、暫定評価関数比という。)αx(=f/f0)を算出する。すなわち、S11では、暫定評価関数比αxの算出は、瞬時路面μの演算が行われたことに相当する。
【0089】
続く、S12では、前記算出した暫定評価関数比αxのなまし処理を行う。
図6(b)はなまし処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、S20において、加重平均回数値N2をインクリメントする。続く、S21において、積算値Σαを演算する。Σαの算出は、前回の制御サイクル時に算出した積算値Σαに対して、今回求めた暫定評価関数比αxを加算するものである。
【0090】
従って、積算値Σαは、いくつかの過去の制御サイクル時に求めた複数の評価関数比が加算されたものである。
続く、S22においては、積算回数チェックを行う。すなわち、S20でインクリメントした加重平均回数値N2が所定値N1(本実施形態では、30回)以下か否かを判定する。
【0091】
S22において、加重平均回数値N2がN1以下であれば、S23において、S21で算出した積算値Σαを加重平均回数値N2(≦N1)で除して、加重平均処理を行い、最終的に路面μにかかる評価関数比αを算出し、このフローを抜け出る。
【0092】
前記S22において、加重平均回数値N2がN1を越えていれば、S24において、加重平均処理を行う。すなわち、S21で算出した積算値Σαから、前回の制御サイクル時に記憶した評価関数比αを減算したものを今回制御サイクル時の積算値Σαとし、RAM23に記憶する。
【0093】
さらに、S24においては、前記算出した今回制御サイクル時の積算値Σαを所定値N1で除して加重平均処理を行い、最終的に路面μにかかる評価関数比αを算出した上で、RAM23に記憶する。又、S24において、前記所定値N1を加重平均回数値N2としてRAM23に記憶する。このS22の処理が終了すると、このフローを抜け出る。
【0094】
前記S23、S24の加重平均処理はなまし処理に相当する。
以上のようにして、S12において、最終的に路面μにかかる評価関数比αを算出する。この評価関数比αの演算は、図3においては、路面μ推定部(路面反力検出手段)37で実行される。
【0095】
(収斂制御)
次に、図3に示すCPU21に備えられた収斂制御部81、手放し判定部82の機能について説明する。
【0096】
まず、収斂制御部81について説明する。
図4に示すように、収斂制御部81は、ゲイン設定部73、位相補償部84、目標操舵角設定部86、目標操舵角速度設定部87、目標収斂電流設定部88、乗算器89、及び減算器90,91とを備えている。
【0097】
収斂制御部81には、車速センサ16から検出された車速Vが入力されるとともに、操舵角センサ17から検出された操舵角θ、及び前記操舵角速度Qが入力される。
【0098】
そして、収斂制御部81は、入力された車速V、操舵角θ、操舵角速度Q、及び評価関数比αに基づいて、ステアリングホイール1を略中立位置まで収束させるための目標収斂電流Ihd*を決定する。
【0099】
詳しく説明すると、図9に示すように、前記目標操舵角設定部86は、符号判定部92、目標操舵絶対角設定部93、乗算器94、及び目標操舵角演算部95とを備えている。
【0100】
目標操舵絶対角設定部93は、車速Vに基づき、ROM22に予め格納された目標操舵絶対角設定マップを使用して、車速Vに応じた目標操舵角θ*の絶対値、即ち、目標操舵絶対角|θ***|を求め、乗算器94に出力する。なお、前記目標操舵角θ*は、ステアリングホイール1を中立位置へ戻すための値であり、前記中立位置は、所定の残留角範囲を含んでいる。
【0101】
具体的には、通常、中高速ではステアリングホイール1(ハンドル)を中立位置、すなわち、0度まで戻すのが普通であるが、低速では0度まで戻すのは従来の油圧パワーステアリング装置と比較して不自然であるため、完全に中立位置までは戻さずある程度の残留角を持たせるように設定する。
【0102】
このため、前記目標操舵絶対角設定部93は、目標操舵絶対角設定マップにて、車両の低速時に、ステアリングホイール1を操舵する場合に、中立位置から所定の残留角範囲内に戻るように目標操舵絶対角|θ***|を設定する。演算される目標操舵絶対角|θ***|は、車速Vが低速になるほど大きくなり、所定の車速V以上においては、目標操舵絶対角|θ***|は0になる。
【0103】
符号判定部92は、操舵角θに基づいてその符号を判定して、その符号信号を乗算器94に出力する。即ち、操舵角θが右操舵を示している場合は+1を乗算器94に出力する一方で、左操舵を示している場合は−1を乗算器94に出力する。
【0104】
乗算器94では、前記符号判定部92からの符号信号、及び目標操舵絶対角設定部93からの目標操舵絶対角|θ***|を乗算する。そして、目標操舵絶対角|θ***|に符号を持たせ、暫定目標操舵角θ**として目標操舵角演算部95に出力する。
【0105】
目標操舵角演算部95は、前記暫定目標操舵角θ**、及び操舵角θに基づいて目標操舵角θ*を図4に示す減算器90に出力する。
ここで、具体的に、目標操舵角演算部95における目標操舵角θ*の設定の仕方を、CPU21が実行する目標操舵角演算ルーチンのフローチャート(図10参照)に従って説明する。
【0106】
まず、S51において、暫定目標操舵角θ**を読込む。次にS52において、実際の操舵絶対角(即ち、操舵角θの絶対値をとった値)|θ|が、暫定目標操舵絶対角(即ち、暫定目標操舵角θ**の絶対値をとった値)|θ**|より小さいか否かを判定する。即ち、暫定目標操舵角θ**と現在の操舵角θとの大小関係の判定をする。
【0107】
現在の操舵角θが暫定目標操舵角θ**よりも中立位置側にある場合、換言すれば、操舵絶対角|θ|が暫定目標操舵絶対角|θ**|より小さい場合は(|θ|<|θ**|、即ち、S52の判定がYES)、S53に進む。そして、S53において、実際の操舵角θを目標操舵角θ*として設定し(θ*=θ)、出力する。
【0108】
一方、暫定目標操舵角θ**の方が現在の操舵角θよりも中立位置に近い場合、即ち、操舵絶対角|θ|が、暫定目標操舵絶対角|θ**|以上の場合は(|θ|≧|θ**|、即ち、S52の判定がNO)は、S54に進む。そして、S54において、暫定目標操舵角θ**を目標操舵角θ*として設定し、(θ*=θ**)、出力する。
【0109】
図4に示すように、前記位相補償部84は操舵角センサ17からの検出信号を減算器90に出力する。すなわち、操舵角センサ17からの検出信号を位相補償部84において、操舵角速度Qに応じて位相を進ませる位相補償した後の値を操舵角θとしている。
【0110】
詳しく説明すると、位相補償部84は図8に示すように微分器70とゲイン乗算部71と、加算器72とから構成されている。
微分器70では、操舵角センサ17からの操舵角信号を微分して操舵角速度Qを求め、ゲイン乗算部71では、その操舵角速度Qに予め設定したゲインTを乗算した値QTを加算器72に出力する。加算器72は、操舵角信号に対してQTを加算して位相を進ませた値(本実施形態では、これを操舵角θという。)とし、減算器90に出力する。前記ゲインTは、予め実験等により得られた値を採用し、予めROM22に格納されている。
【0111】
次に、図4に示すように、減算器90では、前記目標操舵角θ*と操舵角θから、その偏差(以下、「操舵角偏差」という。)Δθを算出し、目標操舵角速度設定部87に出力する。目標操舵角速度設定部87は、前記操舵角偏差Δθと、車速Vを入力し、ROM22に予め格納された目標操舵角速度設定マップに基づいて、目標操舵角速度Q*を求め、乗算器89に出力する。前記目標操舵角速度設定マップは、操舵角偏差Δθと、車速Vと、目標操舵角速度Q*からなる三次元マップであり、操舵角偏差Δθと、車速Vに応じて目標操舵角速度Q*が決定される。
【0112】
ゲイン設定部73は、路面μ推定部37から入力した評価関数比αに基づき、ROM22に予め格納されたゲイン設定マップを使用して、ゲインGαを求め、乗算器89に供給する。なお、ゲイン設定マップは評価関数比αと、ゲインGαからなる二次元マップからなり、評価関数比αから一義的にゲインGαが求められる。この二次元マップでは、評価関数比αが大きくなるほど、その大きさに応じてゲインGαも大きくなるように設定されている。
【0113】
乗算器89は、目標操舵角速度設定部87からの目標操舵角速度Q*と、ゲイン設定部73からのゲインGαを乗算した後、その出力値を新たな目標操舵角速度Q*とし減算器91に出力する。このようにして乗算器89では、目標操舵角速度Q*の補正を行う。
【0114】
前記目標操舵角速度設定部87、ゲイン設定部73、乗算器89とにより、目標操舵角設定手段が構成されている。
そして、減算器91には、前記目標操舵角速度Q*(新たな目標操舵角速度Q*)と、操舵角速度Qとが入力される。そして、減算器91はその偏差(以下、「操舵角速度偏差」という。)ΔQを算出し、目標収斂電流設定部88に出力する。
【0115】
目標収斂電流設定部88は、第1〜第3収斂電流設定部96〜98、積分器99、微分器100、及び加算器108とを備えている。
第1収斂電流設定部96には、車速Vと、前記操舵角速度偏差ΔQが入力される。第1収斂電流設定部96は、ROM22に予め格納された第1収斂電流設定マップを使用して、第1収斂電流Ihd1*を算出し、加算器108に出力する。第1収斂電流設定マップは、操舵角速度偏差ΔQと、車速Vと、第1収斂電流Ihd1*からなる三次元マップである。
【0116】
そして、同マップにより、車速Vと操舵角速度偏差ΔQに応じて、同操舵角速度偏差ΔQに比例した第1収斂電流Ihd1*が設定される。即ち、第1収斂電流Ihd1*は、第1収斂電流設定部96により所謂比例制御(以下、P制御という。)にて加算器108に出力される。
【0117】
第2収斂電流設定部97には、車速Vと、積分器99で操舵角速度偏差ΔQを積分して得た操舵角速度偏差積分値sum_ΔQとが入力される。第2収斂電流設定部97は、ROM22に予め格納された第2収斂電流設定マップを使用して、第2収斂電流Ihd2*を算出し、加算器108に出力する。第2収斂電流設定マップは、操舵角速度偏差積分値sum_ΔQと、車速Vと、第2収斂電流Ihd2*とからなる三次元マップである。そして、同マップにより、車速Vと操舵角速度偏差積分値sum_ΔQに応じて、同操舵角速度偏差積分値sum_ΔQに比例した第2収斂電流Ihd2*が設定される。即ち、第2収斂電流Ihd2*は、積分器99及び第2収斂電流設定部97とにより、所謂積分制御(以下、I制御という。)にて加算器108に出力される。
【0118】
第3収斂電流設定部98には、車速Vと、微分器100で操舵角速度偏差ΔQを微分して得た操舵角速度偏差微分値d_ΔQとが入力される。第3収斂電流設定部98は、ROM22に予め格納された第3収斂電流設定マップを使用して、第3収斂電流Ihd3*を算出し、加算器108に出力する。第3収斂電流設定マップは、操舵角速度偏差微分値d_ΔQと、車速Vと、第3収斂電流Ihd3*とからなる三次元マップである。そして、同マップにより、車速Vと操舵角速度偏差微分値d_ΔQに応じて、同操舵角速度偏差微分値d_ΔQに比例した第3収斂電流Ihd3*が設定される。即ち、第3収斂電流Ihd3*は、微分器100及び第3収斂電流設定部98とにより、所謂微分制御(以下、D制御という。)にて加算器108に出力される。
【0119】
そして、加算器108は、前記第1〜第3収斂電流Ihd1*〜Ihd3*を加算して算出される目標収斂電流Ihd*を、図3に示すように、乗算器83に出力する。
【0120】
従って、本実施形態においては、操舵角θ及び車速Vに応じて目標操舵角θ*を設定し、目標操舵角θ*と操舵角θの偏差(操舵角偏差Δθ)、車速V、及び評価関数比αにより、目標操舵角速度Q*を設定し、目標操舵角速度Q*と操舵角速度Qの偏差(操舵角速度偏差ΔQ)及び車速Vにより、目標収斂電流Ihd*を制御(以下、この制御を収斂制御という。)する。
【0121】
(手放し判定)
次に、手放し判定部82について説明する。
手放し判定部82には、トルクセンサ4から検出され、位相補償器30にて位相補償された操舵トルクThが入力される。又、図13に示すように、手放し判定部82は、手放し判定マップを備えている。そして、このマップを使用して、操舵トルクThが0近傍のとき、即ち、ステアリングホイール1に手を軽く触れている程度、又は手放ししている状態のときには、「η=1」を乗算器83に出力する。一方、操舵トルクThが、|Th|>X(Xは定数)のように、ある値X以上になると、「η=0」を乗算器83に出力する。
【0122】
図3に示すように、乗算器83は、収斂制御部81からの目標収斂電流Ihd*と手放し判定部82から出力される「η=1」又は「η=0」の出力信号を入力し、乗算する。そして、前記手放し判定部82からの出力信号が「η=1」であった場合は、前記目標収斂電流Ihd*を加算器39に出力する。一方、手放し判定部82からの出力信号が「η=0」であった場合は、「η=0」という信号を加算器39に出力する。
【0123】
又、手放し判定部82は、「η=0」を出力する際には、リセット信号を積分器99に出力する。
(収斂制御のフローチャート)
次に、CPU21が前記収斂制御において実行する一連の処理のフローチャートについて図11及び図12に従って簡潔に説明する。なお、このフローチャートは、収斂制御部81及び手放し判定部82にて設定された目標収斂電流Ihd*が、加算器39に出力されるまでの処理である。
【0124】
S101において、車速センサ16から検出した車速Vを演算し、S102において、操舵角センサ17の検出信号に基づいて操舵角θを演算する。
次のS103では車速V、操舵角θに基づき目標操舵角θ*を求める(目標操舵角設定部86の処理)。
【0125】
次に、S104において、S103で求めた目標操舵角θ*とS102で求めた操舵角θとの操舵角偏差Δθ(=θ*−θ)を演算する(減算器90の処理)。そして、S105で車速V、操舵角偏差Δθに基づいて目標操舵角速度Q*を演算する(目標操舵角速度設定部87の処理)。加えて、評価関数比αに基づいてゲインGαを決定し(ゲイン設定部73の処理)、そのゲインGαと目標操舵角速度Q*とを乗算し、その算出結果を新たな目標操舵角速度Q*とする(乗算器89の処理)。
【0126】
S106では、目標操舵角速度Q*と操舵角速度Qとの操舵角速度偏差ΔQ(=Q*−Q)を求める(減算器91の処理)。
そして、S107〜S112にて目標収斂電流Ihd*を設定する。なお、このS107〜S112は目標収斂電流設定部88の処理に相当する。
【0127】
S107では、操舵角速度偏差ΔQと車速Vに基づいて、P制御を行い、P制御による第1収斂電流Ihd1*を演算する(第1収斂電流設定部96の処理)。
【0128】
S108では、前回制御サイクル時における操舵角速度偏差ΔQの積分値(即ち操舵角速度偏差積分値)sum_ΔQに対してΔQ×tを加算して、今回制御サイクル時の操舵角速度偏差積分値sum_ΔQとして更新する。すなわち、積分処理を行う(積分器99の処理)。なお、tは演算周期(すなわち、この制御フローの制御周期)である。
【0129】
S109では前記S108で得た今回制御サイクル時における操舵角速度偏差積分値sum_ΔQと車速Vに基づいて、I制御を行い、I制御による第2収斂電流Ihd2*を演算する(第2収斂電流設定部97の処理)。
【0130】
S110では、操舵角速度偏差ΔQの微分値(即ち、操舵角速度偏差微分値)d_ΔQ=(ΔQ−pre_ΔQ)/tを演算する。なお、ΔQは、今回制御サイクル時の値、pre_ΔQは前回制御サイクル時の値である。
【0131】
そして、今回制御サイクル時のΔQを、前回制御サイクル時のpre_ΔQとして更新する(微分器100の処理)。
そして、S111で、操舵角速度偏差微分値d_ΔQと車速Vに基づいてD制御を行い、D制御による第3収斂電流Ihd3*を演算する(第3収斂電流設定部98の処理)。
【0132】
S112でPID制御を合成した目標収斂電流Ihd*(=Ihd1* +Ihd2* +Ihd3*)を求める(加算器108の処理)。
S113では操舵トルクThにより、手放し判定を行い、ゲイン(即ち、「0」或いは「1」の値)ηを演算する(手放し判定部82の処理)。このとき、手放ししていると判定した場合には、ゲインηは「1」、そうでない場合(すなわち、保舵又は操舵している場合)は、ゲインηは「0」とする。
【0133】
S114では、操舵・保舵中と判定、すなわち、収斂制御の動作を禁止する場合(ゲインη=0、乗算器83の処理)、S115でI制御で使用する積分項(すなわち、S108で更新した今回制御サイクル時の操舵角速度偏差積分値sum_ΔQ)を0にクリアして再度収斂制御が有効になった時の積分項による誤動作を防止する。図4においては、操舵角速度偏差積分値sum_ΔQ)を0にクリアすることは、積分器99に対して手放し判定部82からリセット信号を入力することにより、行われる。
【0134】
S116では、手放し判定で得られたゲインη(=「1」)で、S112で求めた目標収斂電流Ihd*を補正して最終的な目標収斂電流Ihd*を求める。すなわち、操舵・保舵中は目標収斂電流Ihd*が0に補正されて収斂制御が禁止される。手放しの場合には、収斂制御される。
【0135】
図3に示すように、加算器39は、乗算器83からの乗算の結果(即ち、目標収斂電流Ihd*又は「0」の出力信号)と電流指令値演算部31からのアシスト電流指令値Iを入力し、加算して、PI制御部40に出力する。
【0136】
ここで、ステアリングホイール1が操舵又は保舵されており、所定の操舵トルクThが検出されている場合は、手放し判定部82からは「η=0」の出力信号が出力される。このため、前記加算器39からは、アシスト電流指令値Iがモータ電流指令値としてPI制御部40に出力される。
【0137】
一方、ステアリングホイール1に手を軽く触れている程度、又は手放ししている状態の場合には、操舵トルクThが電流指令値演算部31に入力されない、又、入力されても微少な値となる。このため、アシスト電流指令値Iは、加算器39に入力されない。又、入力されたとしても僅かな値である。従って、このとき、PI制御部40には、アシスト電流指令値Iに目標収斂電流Ihd*が加算されてモータ電流指令値として出力される。
【0138】
その後、PI制御部40及びPWM演算部38を介して、モータ電流指令値に基づいてCPU21は、モータ6を駆動制御する。従って、路面反力等が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に操舵角速度θVは路面反力が高い場合に比べて小さくされる。
【0139】
上記第1実施形態の電動パワーステアリング装置の制御装置20によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、路面μ推定部37において評価関数比αを求め、収斂制御部81のゲイン設定部73にてゲインGαを求めた。そして、そのゲインGαと収斂制御部81の目標操舵角速度設定部87で求めた目標操舵角速度Q*とを乗算することで、目標操舵角速度Q*を補正した。
【0140】
従って、路面反力等が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に操舵角速度θVを路面反力が高い場合に比べて小さくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。即ち、路面反力等が変わっても、ステアリングホイール1を確実に収斂させることができ、かつ路面反力等の変化に応じて目標操舵角速度Q*に差を設けた自然な収斂性を得ることができる。この結果、ドライバーはステアリングホイール1の戻り方で、路面状況を判断できる。
【0141】
(2)本実施形態では、CPU21は、路面μを推定するに当たり、S12において、過去に推定した路面μを加味した加重平均処理(なまし処理)を行うようにした。このため、加重平均処理によって、ばらつきを減らし、より正確な値を推定できる。
【0142】
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図14を参照して説明する。本実施形態のハード構成は第1実施形態の図1と同様に構成されており、ソフトウエア(路面μ推定制御プログラム)の構成が一部異なっている。従って、前記第1実施形態の構成中、同一構成、又は相当する構成については、同一符号を付してその詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0143】
前記第1実施形態では、CPU21の収斂制御部81において、ステアリングホイール1の左右操舵に応じて路面μ推定部37が検出した評価関数比αのなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角速度Q*を補正していた。本実施形態では、CPU21の収斂制御部81において、ステアリングホイール1の左右操舵に応じて路面μ推定部37が検出した右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlに基づいて左右独立に目標操舵角速度Q*を補正するようにしたものである。なお、右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlについては後で詳しく述べる。
【0144】
本実施形態の路面μ推定制御プログラムは、前記第1実施形態の制御フローチャートのうち、S8までは同一の処理が行われ、この後の処理が異なっている。
S8のモータトルクTm演算の処理の後、S30においては右操舵か否かを判定する。操舵角θ≧0の場合には、右操舵であるとしてS31に移行し、操舵角θ<0の場合には左操舵であるとして、S41に移行する。
【0145】
ここでS31〜S37は右操舵評価関数比αrの算出処理ルーチンであり、又、S41〜S47は左操舵評価関数比αlの算出処理ルーチンである。
右操舵評価関数比αrの算出ルーチンについて説明すると、S31では、右操舵瞬時評価関数frの演算を行う。この演算は、前記第1実施形態のS9と同様の演算処理である。すなわち、右操舵瞬時評価関数frは、この制御サイクル時に得られる右操舵瞬時評価関数のことであり、同右操舵瞬時評価関数frは下記の式で得られる。
【0146】
fr=Tm・G+Th
Gは減速比(定数)である。
次のS32では、前記S10及びS11に相当する処理を行う。すなわち、基準路評価関数f0を割り出し、右操舵瞬時評価関数frと、基準路評価関数f0とに基づいて右操舵暫定評価関数比αrx(=fr/f0)を算出する。
【0147】
続く、S33では、なまし処理として加重平均処理を行い、右操舵評価関数比αrを算出する。なお、S33の処理は、前記S12と同様の処理である。次のS34では、右操舵評価関数比αrがαrmin ≦αr≦αrmax の範囲内か否かを判定する。すなわち、この処理は、S33で算出された右操舵評価関数比αrが異常値ではないか否かを判定するのである。なお、前記αrmin (右操舵評価関数比判定最小値),αrmax (右操舵評価関数比判定最大値)は実験等で求められた値であり、予めROM22に格納されている。
【0148】
αr<αrmin 又は、αr>αrmax の場合には、異常値であるとしてS38に移行する。
αrがαrmin ≦αr≦αrmax であれば、S36において、αrの変化量を算出する。すなわち、前回制御サイクル時に算出したαrとの差Δαrを算出するのである。そして、S36において、|Δαr|<Δαrmax であるか否かを判定する。すなわち、S35で算出された差Δαrが異常値ではないか否かを判定するのである。なお、前記Δαrmax (偏差異常判定値)は実験等で求められた値であり、予めROM22に格納されている。
【0149】
|Δαr|≧Δαrmax の場合には、異常値であるとしてS38に移行する。
又、|Δαr|<Δαrmax である場合には、正常値であるとしてS37に移行し、RAM23の所定領域にバッファ領域にバッファ処理(格納)して、このルーチンを一旦終了する。
【0150】
前記S34及びS36から、S38に移行した場合には、RAM23のバッファ領域に以前の制御サイクル時に格納した正常な値である右操舵評価関数比αrを読み出して、後に行われる各種制御補正値の計算に供するために、所定の記憶領域に格納し、このルーチンを一旦終了する。
【0151】
このS38にて行う処理は、今回制御サイクル時に算出したαrが右操舵評価関数比判定最小値αrmin よりも小さい、又は右操舵評価関数比判定最大値αrmax よりも大きい、或いは、|Δαr|が偏差異常判定値Δαrmax 以上の大きさであり、異常な値であるため、後の各種制御補正値計算では使用させないようにするためである。
【0152】
次に、S30において、操舵角θ<0の場合、左操舵であるとして、S41に移行する。
左操舵評価関数比αlの算出ルーチンについては、右操舵評価関数比αrの算出ルーチンと同じ処理を行うため、右操舵評価関数比αrの算出ルーチンの各ステップに相当するステップには、1桁の末尾番号を共通とし、40番台を付している。
【0153】
従って、左操舵評価関数比αlの算出ルーチンは、上記の右操舵評価関数比αrの算出ルーチンにおける説明中、右操舵評価関数比αrは左操舵評価関数比αlに、frはflに読み替えるものとする。又、右操舵瞬時評価関数frは左操舵瞬時評価関数flに、右操舵暫定評価関数比αrx(=fr/f0)は左操舵暫定評価関数比αlx(=fl/f0)に、αrmin はαlmin に、αrmax はαlmax に、ΔαrはΔαlに、Δαrmax はΔαlmax に読み替えることによって、その説明となるので、説明の便宜上、ここでは繰り返さない。
【0154】
前記右操舵評価関数比αr及び左操舵評価関数比αlは路面反力情報に相当する。
この右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlの演算は、図3においては、路面μ推定部(路面反力検出手段)37で実行される(図3の路面μ推定部37において、括弧内のαr、αl参照)。
【0155】
そして、図4に示すように、収斂制御部81のゲイン設定部73において、ステアリングホイール1を右操舵の状態から中立位置へ戻す際には、右操舵評価関数比αrに基づいてゲインGαを求め、乗算器89に供給する。逆に、収斂制御部81のゲイン設定部73において、ステアリングホイール1を左操舵の状態から中立位置へ戻す際には、左操舵評価関数比αlに基づいてゲインGαを求め、乗算器89に供給する。
【0156】
そして、その他の制御装置20における処理は、前記第1実施形態の制御装置20の処理と同様の処理を行う。
従って、右操舵、及び左操舵それぞれ独立に検出した路面反力において、路面反力等が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に操舵角速度θVは路面反力が高い場合に比べて小さくされる。
【0157】
上記第2実施形態の電動パワーステアリング装置の制御装置20によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、路面μ推定部37にて右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlを求めた。さらに、収斂制御部81のゲイン設定部73において、ステアリングホイール1を右操舵の状態から中立位置へ戻す際には、右操舵評価関数比αrに基づいてゲインGαを求め、ステアリングホイール1を左操舵の状態から中立位置へ戻す際には、左操舵評価関数比αlに基づいてゲインGαを求めた。そして、そのゲインGαと収斂制御部81の目標操舵角速度設定部87で求めた目標操舵角速度Q*とを乗算することで、目標操舵角速度Q*を補正した。
【0158】
従って、右操舵、及び左操舵において、それぞれ独立して路面反力を検出し、その路面反力が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に操舵角速度θVを路面反力が高い場合に比べて小さくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。即ち、右操舵、及び左操舵それぞれ独立に検出した路面反力において、路面反力等が変わっても、ステアリングホイール1を確実に収斂させることができ、かつ自然な収斂性を得ることができる。この結果、ドライバーはステアリングホイール1の戻り方で、路面状況を判断できる。
【0159】
(第3実施形態)
次に第3実施形態を図15及び図16を参照して説明する。本実施形態のハード構成は第1実施形態の図1と同様に構成されており、ソフトウエア(収斂制御プログラム)の構成が一部異なっている。従って、前記第1実施形態の構成中、同一構成、又は相当する構成については、同一符号を付してその詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0160】
前記第1実施形態では、CPU21の収斂制御部81において、ステアリングホイール1の左右操舵に応じて路面μ推定部37が検出した評価関数比αのなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角速度Q*を補正していた。
【0161】
それに対して、本実施形態は、CPU21の収斂制御部81において、ステアリングホイール1の左右操舵に応じて路面μ推定部37が検出した評価関数比αのなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角θ*を補正するようにしたものである。
【0162】
従って、本実施形態は、前記第1実施形態の収斂制御部81におけるゲイン設定部73、及び乗算器89が省略されているとともに、目標操舵角設定部86の機能が変更されている。さらに、詳しく述べると、目標操舵角設定部86における目標操舵絶対角設定部93の機能が変更されている。
【0163】
そこで、本実施形態の目標操舵角設定部86における目標操舵絶対角設定部93の機能について説明する。
図16に示すように、目標操舵絶対角設定部93は、車速V及び評価関数比αに基づき目標操舵絶対角|θ***|を求めるためのROM22に予め格納された複数の目標操舵絶対角設定マップを備えており、これらのマップを参照して目標操舵絶対角|θ***|を算出し、その算出結果を乗算器94に出力する。
【0164】
具体的には、目標操舵絶対角設定部93は、評価関数比αに応じて複数の目標操舵絶対角設定マップを備えており、各目標操舵絶対角設定マップには、横軸に車速V、縦軸に目標操舵絶対角|θ***|を備えている。前記目標操舵絶対角設定部93は、目標操舵絶対角設定マップにて、車両の低速時に、ステアリングホイール1を操舵する場合に、中立位置から所定の残留角範囲内に戻るように目標操舵絶対角|θ***|を設定する。演算される目標操舵絶対角|θ***|は、車速Vが低速になるほど大きくなり、所定の車速V以上においては、目標操舵絶対角|θ***|は0になるように設定されている。
【0165】
そして、評価関数比αが小さい場合に対応する目標操舵絶対角設定マップは、評価関数比αが大きい場合に対応する目標操舵絶対角設定マップと比べて、同じ車速Vの際に目標操舵絶対角|θ***|が大きくなるように設定されている。即ち、評価関数比αに対応して複数の目標操舵絶対角設定マップを備えることで、目標操舵絶対角|θ***|を補正している。この結果、目標操舵角θ*は補正される。
【0166】
そして、本実施形態の収斂制御のフローチャートにおいては、前記第1実施形態の収斂制御のフローチャートと比してS103のみが異なっており、他のステップは同様に処理される。
【0167】
即ち、本実施形態のS103では、車速V、操舵角θ、及び評価関数比αに基づき目標操舵角θ*を求める(補正する)ようにされている(本実施形態の目標操舵角設定部86の処理)。
【0168】
従って、路面反力等が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角θ*は路面反力が高い場合に比べて大きくされる。
【0169】
本実施形態では、目標操舵角速度設定部87により、目標操舵角設定手段が構成されている。
上記第3実施形態の電動パワーステアリング装置の制御装置20によれば、前記第1実施形態の(2)と同様の効果を得るとともに、以下のような効果を得ることができる。
【0170】
(1)本実施形態では、路面μ推定部37において評価関数比αを求め、収斂制御部81の目標操舵絶対角設定部93において、その評価関数比α、車速V、操舵角θに基づき、目標操舵絶対角|θ***|を求めるようにした。この際、評価関数比αに対して複数の目標操舵絶対角設定マップを備えることで、目標操舵絶対角|θ***|を補正し、この結果、目標操舵角θ*を補正した。
【0171】
従って、路面反力等が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角θ*を路面反力が高い場合に比べて大きくする(ステアリングホイール1の残留角を大きくする)ことができる。そのため、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。即ち、路面反力等が変わっても、ステアリングホイール1を確実に収斂させることができ、かつ路面反力等の変化に応じて目標操舵角θ*に差を設けた自然な収斂性を得ることができる。この結果、ドライバーはステアリングホイール1の戻り方で、路面状況を判断できる。
【0172】
(第4実施形態)
次に第4実施形態を図15及び図16を参照して説明する。本実施形態のハード構成は第2実施形態の図1と同様に構成されており、ソフトウエア(収斂制御プログラム)の構成は第2実施形態と比べて一部異なっている。従って、前記第2実施形態の構成中、同一構成、又は相当する構成については、同一符号を付してその詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0173】
本実施形態は、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせたものとなっている。具体的に述べると、CPU21の収斂制御部81において、ステアリングホイール1の左右操舵に応じて路面μ推定部37が検出した右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlに基づいて左右独立に目標操舵角θ*を補正するようにしたものである。
【0174】
従って、本実施形態は、前記第2実施形態の収斂制御部81におけるゲイン設定部73、及び乗算器89が省略されているとともに、図16に示すように、第3実施形態の目標操舵角設定部86と同様のものが備えられている。
【0175】
そのため、目標操舵角設定部86の目標操舵絶対角設定部93において、ステアリングホイール1を右操舵の状態から中立位置へ戻す際には、右操舵評価関数比αr、車速Vに基づいて目標操舵絶対角|θ***|を求める(補正する)ようにされている。そして、その目標操舵絶対角|θ***|、操舵角θに基づいて目標操舵角θ*を求めるようにされている。
【0176】
逆に、目標操舵角設定部86の目標操舵絶対角設定部93において、ステアリングホイール1を左操舵の状態から中立位置へ戻す際には、左操舵評価関数比αl、車速Vに基づいて目標操舵絶対角|θ***|を求める(補正する)ようにされている。そして、その目標操舵絶対角|θ***|、操舵角θに基づいて目標操舵角θ*を求めるようにされている。
【0177】
従って、右操舵、及び左操舵それぞれ独立に検出した路面反力において、路面反力等が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角θ*は路面反力が高い場合に比べて大きくされる。
【0178】
上記第4実施形態の電動パワーステアリング装置の制御装置20によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、路面μ推定部37にて右操舵評価関数比αr、左操舵評価関数比αlを求めた。そして、ステアリングホイール1を右操舵の状態から中立位置へ戻す際には、右操舵評価関数比αr、車速Vに基づき、目標操舵絶対角|θ***|を求めるようにした。この際、右操舵評価関数比αrに対して複数の目標操舵絶対角設定マップを備えることで、目標操舵絶対角|θ***|を補正し、この結果、目標操舵角θ*を補正した。
【0179】
一方、ステアリングホイール1を左操舵の状態から中立位置へ戻す際には、左操舵評価関数比αl、車速Vに基づき、目標操舵絶対角|θ***|を求めるようにした。この際、左操舵評価関数比αlに対して複数の目標操舵絶対角設定マップを備えることで、目標操舵絶対角|θ***|を補正し、この結果、目標操舵角θ*を補正した。
【0180】
従って、右操舵、及び左操舵において、それぞれ独立して路面反力を検出し、その路面反力が低下し、ステアリングホイール1を中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角θ*を路面反力が高い場合に比べて大きくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。即ち、右操舵、及び左操舵それぞれ独立に検出した路面反力において、路面反力等が低下し、路面反力等が変わっても、ステアリングホイール1を確実に収斂させることができ、かつ自然な収斂性を得ることができる。この結果、ドライバーはステアリングホイール1の戻り方で、路面状況を判断できる。
【0181】
尚、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 前記第1実施形態と前記第3実施形態とを組み合わせてもよい。即ち、第1実施形態において、目標操舵角設定部86は第3実施形態の目標操舵角設定部86を採用する。そして、CPU21の機能処理において、路面μ推定部37で求めた評価関数比αをゲイン設定部73に出力するのに加えて、目標操舵角設定部86にも出力する。このようにすると、第1実施形態の作用効果と、第3実施形態の作用効果とを同時に得ることができる。又、このような変更を前記第2実施形態と前記第4実施形態とを組み合わせに具体化してもよい。このようにすると、第2実施形態の作用効果と、第4実施形態の作用効果とを同時に得ることができる。
【0182】
○ 前記各実施形態では、減算器91に入力される操舵角速度Qは、モータ端子間電圧Vmと、モータ電流Imからモータ電圧方程式より算出したが、操舵角センサ17で検出した操舵角θを微分して求めてもよい。
【0183】
○ 前記各実施形態では、なまし処理として加重平均処理を行ったが、なまし処理としてローパスフィルタを使用したり、移動平均処理を行っても良い。
【0184】
【発明の効果】
請求項1〜7に記載の発明によれば、収斂制御において、路面反力等の変化に応じて収斂性に差を設けることにより、路面反力等が低下し、ハンドルを中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。
【0185】
請求項1〜3に記載の発明によれば、収斂制御において、路面反力等の変化に応じて目標操舵角速度に差を設けることにより、目標操舵角速度を路面反力が高い場合に比べて小さくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。
【0186】
又、請求項2に記載の発明によれば、右操舵、及び左操舵において、それぞれ独立して路面反力を検出しているため、収斂制御の際、各操舵において得られた際の路面反力情報に基づいて、各操舵後において自然なハンドルの収斂性を得ることができる。

【0187】
又、請求項3に記載の発明によれば、路面反力を検出するに当たり、過去に検出した路面反力を加味したなまし処理を行うため、なまし処理によって、路面反力のばらつきを減らし、より正確な路面反力に基づいて各操舵後において自然なハンドルの収斂性を得ることができる。

【0188】
請求項4〜6に記載の発明によれば、収斂制御において、路面反力等の変化に応じて目標操舵角に差を設けることにより、路面反力等が低下し、ハンドルを中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角を路面反力が高い場合に比べて大きくすることができ、路面状況の反映された自然なハンドルの収斂性を得ることができる。
【0189】
又、請求項5に記載の発明によれば、右操舵、及び左操舵において、それぞれ独立して路面反力を検出しているため、収斂制御の際、各操舵において得られた際の路面反力情報に基づいて、各操舵後において自然なハンドルの収斂性を得ることができる。
【0190】
又、請求項6に記載の発明によれば、路面反力を検出するに当たり、過去に検出した路面反力を加味したなまし処理を行うため、なまし処理によって、路面反力のばらつきを減らし、より正確な路面反力に基づいて各操舵後において自然なハンドルの収斂性を得ることができる。
【0191】
請求項7に記載の発明によれば、路面反力等が低下し、ハンドルを中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角を路面反力が高い場合に比べて大きくすることができる。加えて、路面反力等が低下し、ハンドルを中立位置方向へ戻すための復元力が弱くなった場合に目標操舵角速度を路面反力が高い場合に比べて小さくすることができる。この結果、自然なハンドルの収斂性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における電動パワーステアリング装置及びその制御装置の概略図。
【図2】 同じく電流指令値演算部のブロック図。
【図3】 同じく制御装置のブロック図。
【図4】 同じく収斂制御部のブロック図。
【図5】 同じく路面μ推定制御プログラムのフローチャート。
【図6】 (a)は同じく路面μ推定制御プログラムのフローチャート、(b)は同じく加重平均処理のフローチャート。
【図7】 同じく基準路評価関数f0を求めるためのマップ。
【図8】 同じく位相補償部のブロック図。
【図9】 同じく目標操舵角設定部のブロック図。
【図10】 同じく目標操舵角演算ルーチンのフローチャート。
【図11】 同じく収斂制御において実行する処理のフローチャート。
【図12】 同じく収斂制御において実行する処理のフローチャート。
【図13】 同じく手放し判定部のブロック図。
【図14】 第2実施形態の路面μ推定制御プログラムのフローチャート。
【図15】 第3実施形態の収斂制御部のブロック図。
【図16】 同じく目標操舵角設定部のブロック図。
【図17】 従来の電動パワーステアリング装置及びその制御装置の概略図。
【図18】 従来のアシスト電流指令値Iの算出の説明図。
【図19】 従来の制御装置のCPUの制御ブロック図。
【図20】 従来のハンドル戻し制御器におけるハンドル戻し演算を行う機能ブロック図。
【図21】 従来のダンパ制御器におけるダンパ電流演算を行う機能ブロック図。
【符号の説明】
1…ステアリングホイール(ハンドル)、
21…CPU(目標操舵角設定手段、目標操舵角速度設定手段、目標収斂電流設定手段、路面反力検出手段)
V…車速、θ…操舵角、θ*…目標操舵角、Q*…目標操舵角速度、
Δθ…操舵角偏差(目標操舵角と操舵角の偏差)、
ΔQ…操舵角速度偏差(目標操舵角速度と操舵角速度の偏差)、
Ihd*…目標収斂電流、α…評価関数比(路面反力情報)、
αr…右操舵評価関数比(路面反力情報)、
αl…左操舵評価関数比(路面反力情報)。

Claims (7)

  1. 操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する目標操舵角設定手段と、
    前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する目標操舵角速度設定手段と、
    前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する目標収斂電流設定手段と、
    路面反力を検出する路面反力検出手段とを備え、
    前記目標操舵角速度設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角速度を補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、
    前記目標操舵角速度設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて左右独立に目標操舵角速度を補正することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  3. 前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、
    前記目標操舵角速度設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報のなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角速度を補正することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. 操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する目標操舵角設定手段と、
    前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する目標操舵角速度設定手段と、
    前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する目標収斂電流設定手段と、
    路面反力を検出する路面反力検出手段とを備え、
    前記目標操舵角設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角を補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  5. 前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、
    前記目標操舵角設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて左右独立に目標操舵角を補正することを特徴とする請求項4に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  6. 前記路面反力検出手段は、ハンドルの左右操舵に応じて路面反力を検出し、
    前記目標操舵角設定手段は、ハンドルの左右操舵に応じて前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報のなまし処理の結果の値に基づいて目標操舵角を補正することを特徴とする請求項4に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  7. 操舵角及び車速に基づいてハンドルを中立位置へ戻すための目標操舵角を設定する目標操舵角設定手段と、
    前記目標操舵角と操舵角の偏差及び車速に基づいて目標操舵角速度を設定する目標操舵角速度設定手段と、
    前記目標操舵角速度と操舵角速度の偏差に基づいて目標収斂電流を設定する目標収斂電流設定手段と、
    路面反力を検出する路面反力検出手段とを備え、
    前記目標操舵角設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角を補正し、
    前記目標操舵角速度設定手段は、前記路面反力検出手段が検出した路面反力情報に基づいて目標操舵角速度を補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
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