JP3788815B2 - 現像剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置または静電記録装置電子写真等に使用される現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置または静電記録装置において、感光体または誘電体などから静電保持体上に形成された静電潜像を可視化するに当たっては、トナーとキャリアとを用いる2成分現像法、あるいはキャリアとしての機能も備えたトナーを用いる1成分現像法などが、従来から広く用いられている。
【0003】
前述の現像方法に用いられる現像剤は、特開平5−313404号公報に開示されているように、一般に、熱可塑性樹脂、着色剤、その他ワックス等の添加剤を溶融混合し、均一に分散した後、固化物を微粉砕、分級して所望の粒径を有する着色剤粒子として製造されている。
【0004】
なお、電子写真装置等においては、帯電、潜像形成、現像、転写等の工程を経た後、現像剤は、一般的な加圧熱ローラ方式によりコピー紙等の転写材に定着され、それによって最終的な画像が得られる。この定着プロセスにおいては、トナーが熱ローラに付着して定着画像を汚したり、コピー紙が熱ローラに巻き付くといった問題が生じていた。そこで、このような問題を避けるため、現像剤中に低分子量のポリオレフィンのような離型剤(以下、ワックスという)を添加することが特開昭52−3304号公報に提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワックスを現像剤に添加した場合には、混合、混練りされる熱可塑性樹脂との相溶性や分散性によっては、現像剤の定着性のみならず、帯電特性や物理特性にも大きく影響が及ぼされる。具体的には、定着プロセスにおける問題は、現像剤粒子の表面により多くワックスを露出させることによって、回避することができるものの、この場合には現像剤の流動性が低下してしまう。そのため、長期のライフを行なった際には、画像上にトナー塊や黒字への白斑、あるいは文字抜けなどの問題が発生して、現像剤の寿命が短くなる。
【0006】
前述の問題に加えて、現像剤の流動性が低下した場合には、感光体の表面にフィルミング現象が引き起こされてクリーニング不良となる。このフィルミング現象は、ゴム製のクリーニングブレード等のクリーニング部材を用いるプロセスにおいて特に顕著である。
【0007】
また、ワックスが添加された現像剤は、現像剤担持体表面を劣化させるので、現像剤の帯電特性を低下させることになる。例えば、予め混合されている現像剤中に、補給用の現像剤を追加投入した際には、帯電の立上がりが不十分になってしまう。しかも、このような現像剤は、温度や湿度等の環境変化の影響も受けやすいので、安定した帯電特性を得ることができない。電子写真装置等に用いられる現像剤は、帯電電荷量の範囲を適性な範囲に保持することによって、感光体上の静電潜像を可視化するので、帯電特性の低下や変動は極力避けなければならない。
【0008】
さらに、前述のような現像剤は保存性が低下し、長期間保存した際には凝集や固化といった問題が生じる。
このように、定着プロセスにおける問題を解決するために添加されたワックスによって、摩擦帯電特性および保存安定性が低下するという問題が引き起こされていた。
【0009】
そこで、本発明は、低温度における定着強度を高めるとともに、環境条件の変化に対し安定した摩擦帯電特性および保存性を有する現像剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、熱可塑性樹脂、着色剤、および前記熱可塑性樹脂100部に対して1〜10部の割合で配合されたポリオレフィン樹脂を、混合及び溶融混練した後、粉砕して得られる粉砕トナーにおいて、示差走査熱量計により測定された吸熱曲線の最大ピーク温度(T2)が下記式(1)を満足するとともに、この最大ピーク温度が135℃以下であり、前記吸熱曲線の反応熱量の絶対値(θ1)が0.90(J/g)以上であり、この絶対値(θ1)と、前記ポリオレフィン樹脂単体について示差走査熱量計により測定した吸熱曲線の反応熱量の絶対値(θ2)との比(θ2/θ1)が90以下となることを特徴とするトナーを提供する。
【0016】
本発明の現像剤においては、示差走査熱量計により測定された吸熱曲線の最大ピーク温度を所定の範囲内に限定しているので、現像剤の低温度における定着強度を高めるとともに、環境の変化に対する摩擦帯電特性および保存性を改善することが可能となった。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、その要旨を越えない限り、以下に限定されるものではない。
本発明の現像剤は、バインダー樹脂、着色剤およびワックスを用いて、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0018】
まず、結着樹脂、着色剤、およびワックス、さらに必要に応じた成分をボールミル、V型混合機、ナウタミキサ、またはヘンシェルミキサなどを用いて混合、分散する。次に、この混合物を加圧ニーダー、ロール、スクリュー型押出機、バンバリミキサなどを用いて加熱溶融混練する。続いて、得られた混練物を、ハンマーミル、ジェットミルなどを用いて粗粉砕する。さらに、ジェットミルなどを用いてこの粗粉砕物を微粉砕した後、風力分級法などにより所望の粒径に分級する。最後に、所定の外部添加剤を加えて高速流動形混合機などにより混合し、所望のトナーが得られる。
【0019】
トナーの混合、混練、分級手段としては、上で説明したもの以外に、高速ディゾルバ、ロールミル、およびボールミルなどによる湿式分散法や、ロール、加圧ニーダ、インターナルミキサー、およびスクリュー型押出機などによる溶融混練法などを用いることができ、また、混合手段としては、ボールミル、V型混合機、フォルバーグ、およびヘンシェルミキサーなどを用いることができる。また、混合物を粗粉砕する手段としては、例えば、カッターミル、ローラーミル、およびボールミルなどが挙げられ、粗粉砕物を微粉砕する手段および微粉砕物を分級する手段としては、それぞれ高速回転式粉砕機および気流式分級機などを用いることができる。
【0020】
分級後のトナー粒子に添加される外部添加剤としては、シリカ微粒子、金属酸化物微粒子、およびクリーニング助剤などを用いることができる。シリカ微粒子としては、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、およびケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。金属酸化物微粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸バリウム等が挙げられ、また、クリーニング助剤としては、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、およびポリオテトラフルオロエチレン等の樹脂微粉末等が挙げられる。これら外部添加剤は、疎水化などの表面処理が施されたものであってもよい。
【0021】
これらの外部添加剤の配合量は、トナー粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ましくは、0.1〜1重量部である。
なお、外部添加剤は、公知の混合装置を用いてトナー粒子と混合することができるが、例えば、高速流動形混合機を用いることが望ましい。高速流動形混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、およびマイクロスピードミキサーなどが挙げられる。
【0022】
本発明の現像剤は、公知の全ての現像方法に適用することができる。例えば、カスケード法、磁気ブラシ法、およびマイクロトーニング法などの二成分現像法;導電性一成分現像法、絶縁性一成分現像法、およびジャンピング現像法などの磁性体を含有する一成分現像法;粉末雲法、ファーブラシ法、およびトナー担体上に静電的に保持されることによって現像部へ搬送されて潜像を現像する非磁性一成分現像法などを挙げることができる。
【0023】
本発明の現像剤が使用され得る現像装置の一例を、図1を参照して説明する。
図1に示す現像装置は、次のように構成される。すなわち、表面に光導電性層を有する感光体ドラム1が、図示矢印A方向に回転可能に設けられている。この感光体ドラム1に近接して、トナー容器2が配置されており、トナー容器内には、トナーとキャリアとからなる現像剤3が収容されている。また、トナー容器2内の感光体ドラム側には、外周に現像スリーブ5が装着された多極マグネットロール4が、図示矢印B方向に回転可能に設けられている。さらに、現像剤の搬送量を規制するための規制ブレード6が、現像スリーブの上方に当接して配置されている。
【0024】
このような構成の現像装置における現像プロセスは以下の通りである。まず、容器2内の現像剤3は、ミキサーで攪拌されつつ、トナー供給ローラを経て現像スリーブ5上へ搬送され、この現像スリーブ5表面にトナー3の薄層を形成する。この際、ブレード6から現像スリーブ5へのトナー供給量が規制されると同時に、現像スリーブ3上のトナーがブレード6によって平坦にならされる。この作用によって、前記薄層とブレードとの間に摩擦が生じることにより、現像剤3は帯電される。
【0025】
なお、感光体ドラム1の表面には、所定の静電潜像が形成されており、この静電潜像にトナー3が付着して現像が行なわれる。具体的には、現像スリーブ5と感光体ドラム1とが接近する個所で、電源7からバイアスを印加し、静電引力によって現像スリーブ5から感光体ドラム1上の静電荷像にトナー3が付着することによって現像が行なわれる。
【0026】
以下、具体例を示して、本発明をより詳細に説明する。
まず、下記に示す配合割合で、トナーの成分を混合・溶融混練りして、混練物を得た。
【0027】
スチレン−アクリル共重合体樹脂 91重量部
カーボンブラック 5重量部
ポリプロピレン 3重量部
含金属錯塩染料 1重量部
その後、ジェット粉砕機で微粉砕し、風力分級機により分級を行なって、平均粒径9μmのトナー粒子を得た。
【0028】
このトナー粒子100重量部に疎水性シリカ0.5重量部を混合してトナーとした。さらに、平均粒径150μmのフェライトコアにシリコーン樹脂を被覆したキャリア100重量部に対して、上記トナーを6重量部混合して、実施例1の電子写真現像剤を調製した。
【0029】
また、前混合および溶融混練の条件を、下記表1に示すように変化させる以外は実施例1と同様の成分を用いて、実施例2、比較例1および2のトナー粒子を作製した。
【0030】
【表1】
Figure 0003788815
【0031】
表1中、混合力とは、混合器の混合操作において、混合物が受ける外力の強度を5段階で示したものであり、混合速度とは、混合機の混合操作において、混合物が混合機から受ける外力の速度を5段階で示したものである。混合力および混合速度のいずれも、その数字の大きいものほど混合速度が大きいことを示している。
【0032】
なお、混合力の区分(レベル1〜5)は、例えば、混合装置の容積当たりの動力(kW/リットル)を用いると、次のように表わすことができる。
レベル1=0.005〜0.02
レベル2=0.01〜0.1
レベル3=0.08〜0.4
レベル4=0.2〜0.7
レベル5=0.4〜5
また、混合速度の区分(レベル1〜5)は、例えば、フロイド数FN=N2 R/g(ここで、Nは回転数(1/sec)、Rは回転半径(m)、gは重力の加速度(m/sec2 )を表わす。)を用いると、次のように表わされる。
【0033】
レベル1=0.008〜0.015
レベル2=0.15〜0.02
レベル3=0.02〜0.035
レベル4=0.03〜0.05
レベル5=0.05〜0.1
混合力と混合速度とは、互いに反比例の関係にあるため、これらの値がいずれも高レベルで実施されることはない。前混合の工程と溶融混練の工程との2つの工程において、原材料の混合・混練り時に混合機の混合度合い(例えば、混合力と混合速度)を最適化することによって、適切な特性を有するトナー粒子を得ることができる。
各トナーを作製する際の前混合および溶融混練の条件を、下記表2に詳細に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003788815
【0035】
上述のようにして得られた実施例1および2、比較例1および2のトナー粒子反応熱量を示差走査熱量計にて測定し、得られた吸熱曲線の測定チャートを図2〜5に示す。なお、各チャートには、トナーの反応熱量の値もそれぞれ示した。
【0036】
図2および図3に示すように、本発明のトナー粒子は、吸熱曲線のピークがシャープであり、その最大ピークは、比較的低温側に明確に現れている。これに対して、図4および5に示される比較例のトナー粒子の吸熱曲線は、ピークがブロードであって、その低温側と高温側とに2つのピークが存在し、しかも最大ピーク温度は高温側である。
【0037】
各トナーについてのポリオレフィン樹脂の単体の反応熱量と、トナー粒子の反応熱量との比を、前述の図2〜5に示した結果とともに表3にまとめる。
なお、上述の実施例および比較例のトナーに添加したポリオレフィン樹脂の単体の吸熱曲線のピーク温度T1 は、132.4℃であり、その反応熱量は、79.98(−J/g)である。
【0038】
【表3】
Figure 0003788815
【0039】
表3に示すように、本発明(実施例1、2)のトナーは、いずれもピーク温度T2 が135℃以下であり、反応熱量の絶対値は0.90(J/g)以上である。したがって、ポリオレフィンの反応熱量とトナーの反応熱量との比は、いずれの実施例の場合も90:1以下である。
【0040】
これに対して、比較例のトナーでは、ピーク温度は140℃を越える高い値であり、反応熱量の絶対値は0.88(J/g)にとどまっている。このため、ポリオレフィンの反応熱量と比較例のトナーの反応熱量との比は、90:1を越えている。
【0041】
次に、前述の実施例および比較例の各トナーにキャリアを混合して、電子写真現像剤を調製した。現像剤の調製にあたっては、前述の実施例1の場合と同様に、まず、トナー粒子100重量部に疎水性シリカ0.5重量部を混合し、次いで、キャリア100重量部に対してトナー粒子6重量部を混合した。なお、キャリアとしては、シリコーン樹脂を被覆した平均粒径150μmのフェライトを使用した。
【0042】
得られた各現像剤を用いて、図1に示した二成分現像装置を有する市販の複写機(商品名:レオドライED−5020、東芝社製)にて画像出しをし、現像剤の帯電量分布、現像剤の帯電量変化、および画像濃度の変化等を評価した。
【0043】
まず、実施例1の現像剤の帯電量分布を、ライフ試験の前後について調べ、図6のグラフに示した。図6中、曲線aは、初期帯電量分布を表わし、曲線bは、60K枚ライフ後の帯電量分布を表わす。同様にして、比較例1の現像剤について初期および60K枚ライフ後の帯電量分布を調べ、得られた結果を図7のグラフに示した。図7中、曲線cおよびdは、それぞれ、初期帯電量分布および60K枚ライフ後の帯電量分布を表わす。
【0044】
図6に示されているように、実施例1の現像剤を用いた場合には、60K枚ライフ後の帯電量分布は、初期分布からほとんど変化しておらず、ピーク位置のずれも0.08femtC/μm程度とごく僅かである。一方、図7に示される比較例1の現像剤では、60K枚ライフ後の帯電量分布が初期に対してピーク位置のずれが0.18femtC/μm程度と大きく、分布もブロードになっており、現像剤特性上好ましくない。
【0045】
さらに、実施例2および比較例2の現像剤について、前述の複写機にてライフ試験を実施し、帯電量、画像濃度、およびかぶりの変化を調べた。それぞれの結果を、図8、9および10のグラフに示す。
【0046】
図8に示すように、実施例2の現像剤の帯電量は、−30μC/g程度で安定しているのに対し、比較例2の現像剤の場合には帯電量は高めとなっており、しかもその変動が大きい。
【0047】
画像濃度およびかぶりに着目すると、比較例2の現像剤は、画像濃度が低めに推移し、かぶりが高めに推移することが図9および10に示されており、比較例の現像剤は好ましくない特性を有している。
【0048】
次に、以下のようにして各トナーの定着強度を測定した。
まず、10℃、20%RHの環境下において、各トナーを用いて前述の複写機にて画像出しし、画像濃度0.6〜1.0の画像を得た。この画像を、堅牢度試験機にてこすり試験に供し、試験の前後における画像濃度の比を定着強度として表わした。なお、定着強度は、80%以上が合格範囲となる。
各実施例および比較例のトナーの定着強度を、下記表4にまとめる。
【0049】
【表4】
Figure 0003788815
【0050】
表4に示すように、実施例1および2の現像剤は、いずれも80%以上の定着強度を有しており、優れた定着性を有している。これに対し、比較例の現像剤の定着強度は、実施例よりも最大で13.6%も小さく、定着特性が劣っていることがわかる。
【0051】
以上の結果から、本発明のトナーは、長期ライフを行なっても帯電特性および保存性が安定しており、高い定着強度を有していることがわかる。このような優れた現像剤特性と、示差走査熱量計の測定による吸熱曲線の最大ピーク温度および反応熱量との関係について、本発明者らは次のように考察した。
【0052】
上述の例では、示差走査熱量計により測定されたポリオレフィン樹脂の単体の吸熱曲線のピーク温度(T1 )が132.4℃であるので、各トナーの吸熱曲線の最大ピーク温度(T2 )は、それぞれ次のように表わされる。
【0053】
実施例1: T1 +2.6
実施例2: T1 −0.4
比較例1: T1 +7.9
比較例2: T1 +9.1
比較例1の現像剤は、60Kライフ後の帯電量分布のピーク位置が初期値から大きくずれ、分布もブロードになって、実施例1の現像剤よりも著しく帯電特性が劣ることが示されている。また、比較例2の現像剤は、ライフ試験に供した際の帯電量、画像濃度、およびかぶりの推移に関して、実施例2の現像剤よりも好ましくない特性を有することが示されている。
【0054】
したがって、トナーの吸熱曲線のピーク温度(T2 )が、ある一定の値よりも大きい場合には、定着や帯電特性等へ不具合が生じ、保存性も劣化することがわかる。これは、バインダー樹脂中へのポリオレフィン樹脂の分散が不十分なためであると考えられる。そこで、本発明においては、トナーの吸熱曲線の最大ピーク温度(T2 )の上限を、(T1 +6)℃と限定した。なお、好ましくはT2 の上限は(T1 +3)℃である。
【0055】
一方、トナーの吸熱曲線の最大ピーク温度(T2 )が、ポリオレフィン樹脂の吸熱曲線の最大ピーク温度(T1 )より過剰に小さい場合には、バインダー樹脂中へのポリオレフィン樹脂の分散が細かくなりすぎて定着強度が低下して、オフセットが起きやすくなる。そこで、本発明においては、T2 の下限を(T1 −3)℃に限定した。
【0056】
このような範囲内のピーク温度T2 を有する本発明のトナーにおいては、ポリオレフィン樹脂の反応熱量Qp (−J/g)とトナーの反応熱量Qt (−J/g)との比は、いずれも90:1以下であり、トナーの反応熱量の絶対値は、0.89(J/g)以上である。
【0057】
反応熱量がこれらの範囲を逸脱すると、十分な定着強度が得られないとともに、熱ローラ表面の現像剤が固着して、定着画像にオフセット現像が発生し、本発明の目的を達成することが困難となる。
【0058】
すなわち、本発明の現像剤の吸熱曲線のピーク温度は、ポリオレフィン等のワックスのピーク温度を基準にして所定の範囲内に規定したものであり、かかる現像剤は、原材料の混合・混練り時に混合機の混合度合い(例えば、混合力と混合速度)を最適化することによって得ることができる(参考文献:混合混練技術、日本粉体工業協会編)。
【0059】
以上、ワックスとしてポリオレフィン樹脂を用いた具体例を示して本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更および修正が可能である。例えば、ワックスとしては、ポリオレフィン樹脂以外のワックスを使用することもできる。
【0060】
また、混合・分散および加熱溶融混練の工程における混合力および混合速度は、実施例で示した数値に限定されず、適宜選択することができる。さらに、これらの工程における他の条件を調節して、示差走査熱量計の吸熱曲線の最大ピーク温度が所定の範囲内である本発明の現像剤を製造してもよい。
【0061】
このように、いずれの場合も、混合・分散および加熱溶融混練の条件を最適化して、示差走査熱量計により測定された現像剤の吸熱曲線の最大ピーク温度を本発明の範囲内とすることによって、低温度における定着強度を高めるとともに、環境変化の対して安定した帯電特性および保存性を有する現像剤が得ることができる。
【0062】
なお、本発明の現像剤に使用され得る熱可塑性樹脂、すなわちバインダー樹脂としては、現像剤用のバインダー樹脂として使用し得るスチレンおよびその置換体の共重合体、およびアクリル系樹脂等を用いることができる。
【0063】
スチレンおよびその置換体の共重合体としては、例えば、ポリスチレンホモポリマー、水素添加スチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル三元共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリスチレン−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−EVA−スチレン三元共重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0064】
また、アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ含フッ素アクリレート、スチレン−メタルリレート共重合体、スチレン−ブチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
【0065】
さらに、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪酸または脂環族炭化水素樹脂、芳香族石油樹脂、塩素化パラフィン、およびパラフィンワックスなどを使用してもよい。これらの樹脂成分は、単独でまたは混合して使用することができる。
【0066】
本発明の現像剤に使用し得る着色剤としては、カーボンブラックや有機または無機の顔料や染料が挙げられる。特別な制約はないが、カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられ、顔染料としては、例えば、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、インドファストオレンジ、イルガジンレッド、カーミンFB、パーマネントボルドーFRP、ピグメントオレンジR、リソールレッド2G、レーキレッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーンB、フタロシアニングリーン、キナクリドンなどが挙げられる。これらの着色剤は、単独でまたは混合して使用することができる。
【0067】
この着色剤の配合量は、通常、バインダー樹脂100部に対して、1〜10部である。
本発明に使用し得る離型剤(ワックス)としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、流動パラフィン、酸アミド、ステアリン酸ワックス、モンタン酸ワックス、サゾールワックス、カスターワックス、および塩素化パラフィン等が挙げられる。
【0068】
ワックスの配合量は、バインダー樹脂100部に対して、通常、1〜10部である。
上述の成分に加えて、本発明の現像剤には、必要に応じて摩擦帯電電荷量を制御するための帯電制御剤などを配合してもよい。帯電制御剤としては、例えば、アルキルサリチル酸の金属キレート、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、塩素化ポリオレフィン、脂肪酸の金属塩、および脂肪酸石鹸等の負極性制御剤が挙げられる。また、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩類、およびアミン化合物等の正極性制御剤を使用してもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、低温度における定着強度が大きく、環境条件の変化によって、摩擦帯電特性が悪影響を受けず、保存性においても何等問題のない現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤を使用し得る現像装置の一例を示す断面図。
【図2】実施例1の現像剤の示差走査熱量計の測定チャートを示すグラフ図。
【図3】実施例2の現像剤の示差走査熱量計の測定チャートを示すグラフ図。
【図4】比較例1の現像剤の示差走査熱量計の測定チャートを示すグラフ図。
【図5】比較例2の現像剤の示差走査熱量計の測定チャートを示すグラフ図。
【図6】実施例1の現像剤の帯電量分布を示すグラフ図。
【図7】比較例1の現像剤の帯電量分布を示すグラフ図。
【図8】実施例2および比較例2の現像剤のライフ試験における帯電量の変化を示すグラフ図。
【図9】実施例2および比較例2の現像剤のライフ試験における画像濃度の変化を示すグラフ図。
【図10】実施例2および比較例2の現像剤のライフ試験におけるかぶりの変化を示すグラフ図。
【符号の説明】
1…感光体ドラム,2…トナー容器,3…現像剤,4…マグネットロール
5…現像スリーブ,6…規制ブレード,7…バイアス電源。

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂、着色剤、および前記熱可塑性樹脂100部に対して1〜10部の割合で配合されたポリオレフィン樹脂を、混合及び溶融混練した後、粉砕して得られる粉砕トナーにおいて、示差走査熱量計により測定された吸熱曲線の最大ピーク温度(T2)が下記式(1)を満足するとともに、この最大ピーク温度が135℃以下であり、前記吸熱曲線の反応熱量の絶対値(θ1)が0.90(J/g)以上であり、この絶対値(θ1)と、前記ポリオレフィン樹脂単体について示差走査熱量計により測定した吸熱曲線の反応熱量の絶対値(θ2)との比(θ2/θ1)が90以下となることを特徴とするトナー。
    1−3≦T2≦T1+6 式(1)
    上記式(1)中、T1は、示差走査熱量計により測定されたポリオレフィン樹脂の吸熱曲線の最大ピーク温度を表わす。
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