JP3788108B2 - 車両用経路案内装置及び媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用経路案内装置、特に目的地に至る経路を探索する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両走行中において、適当なタイミングで交差点の右折あるいは左折を画面上あるいは音声で案内し、所望の目的地まで案内する経路案内装置が知られている。目的地に至る経路は、通常、記憶装置に記憶された探索用の地図データを読み出し、現在地から目的地に至る総コストが最も小さい経路を選択することにより行われる。すなわち、探索用地図データは、実際の道路をノードと各ノード間を結ぶリンクで構成させ、各リンクは距離や交通規制などに基づいてコストが算出されており、総リンクコストが最小となる経路をダイクストラ法などで探索する。なお、特開平10−62183号公報には、このようなナビゲーションシステムの一例が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常、記憶手段に格納されている地図データ(あるいは地図データ)は、所定の機関が作成した地図に基づいて作成されており、基になる地図の道路幅員の精度が比較的低く、地図内に存在するある道路を探索用データとして採用して良いか否か(すなわち、実際に車両が通行できるか否か)判断ができず、現地調査を行って探索用データとして採用できるか否かを決定しているのが現状である。
【0004】
したがって、たとえ実際の幅員が車両通行にとって支障がない程度の広さを有する道路であったとしても、現地調査の完了していない道路は経路探索の対象から除外され、目的地近辺までの経路は得られるものの目的地により近い地点、あるいは目的地そのものまでの経路が得られない場合が生じていた。
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は、現地調査などが行われていなくても、探索用地図データとして使用できるか否かを自動判別し、これを用いて目的地に至る経路を確実に探索できる装置及び媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、目的地に至る経路を探索する車両用経路案内装置であって、表示用地図データと探索用地図データを記憶する記憶手段と、前記表示用地図データ内の道路が所定値以上の幅員を有するか否かを判定する幅員判定手段と、前記探索用地図データの道路に前記所定値以上の幅員を有する表示用地図データの道路を含めてから、前記探索用地図データの道路と前記表示用地図データの道路の両方を同時に用いて前記目的地に至る経路を探索する演算手段とを有することを特徴とする。探索用地図データのみならず、所定値以上の幅員を有する表示用地図データの道路をも用いて探索することで、目的地に至る経路をより確実に得ることができる。なお、所定値以上の幅員を有する道路を用いることで、車両通行の可能性を担保することができる。
【0007】
ここで、前記表示用地図データは、衛星写真から得られた地図データとすることができる。衛星写真によれば、高精度の地図データを得ることができ、幅員が所定値以上か否かの判定を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明は、さらに、前記表示用地図データ内の道路の通行規制を判定する規制判定手段とを有し、前記演算手段は、前記探索用地図データの道路及び前記所定値以上の幅員を有し、かつ、通行可能な表示用地図データの道路を用いて前記目的地に至る経路を探索することを特徴とする。幅員に加え、さらに通行規制を考慮することで、通行できない道路が経路探索に用いられる可能性を排除し、より確実に目的地に到達できる経路を得ることができる。
【0009】
また、本発明は、前記演算手段が、前記表示用地図データ内の道路のリンクコストを同一距離の前記探索用地図データ内の道路のリンクコストよりも大きくして経路を探索することを特徴とする。本発明では、現地調査がなされていない表示用地図データを探索用地図データとして用いるため、幅員や通行規制を考慮してもなお実際には通行に支障が存在する場合があり得る。このようなリスクをコストに転嫁して経路探索を実行することで、信頼性ある経路を得ることができる。
【0010】
また、本発明は、目的地に至る経路を探索するプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。前記プログラムはコンピュータに対して、少なくとも記憶手段に記憶されている表示用地図データを読み出して前記表示用地図データ内の道路が所定値以上の幅員を有するか否かを判定させ、前記記憶手段に記憶されている探索用地図データの道路に前記所定値以上の幅員を有する表示用地図データ内の道路を含めてから、前記探索用地図データの道路と前記表示用地図データの道路の両方を同時に用いて前記目的地に至る経路を探索させる。
【0011】
ここで、前記プログラムは前記コンピュータに対して、さらに、前記表示用地図データ内の道路の通行規制を判定させることができ、前記プログラムは、前記表示用地図データ内の道路のリンクコストを同一距離の前記探索用地図データ内の道路のリンクコストよりも大きくして経路を探索させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1には、本実施形態の構成ブロック図が示されている。GPS12は、GPS衛星からの電波を受信し、自車位置を絶対位置(緯度、経度)で検出する。検出された位置データをナビゲーションECU10に供給する。GPSの代わりに、FM多重放送などで送られてくるGPS位置誤差信号を受信し、GPSで検出した位置を補正するDGPSを用いることもできる。さらに、距離センサと方位センサを組み合わせて自車位置を検出することもできる。
【0014】
ナビゲーションECU(電子制御装置)10は、マイクロコンピュータで構成され、目的地に至る経路を探索する。目的地はユーザが指定し、目的地に至る経路は地図データベース14に記憶された探索用地図データを用いてダイクストラ法等により探索する。探索して得られた経路はディスプレイ16に表示する。また、得られた経路データに基づいて音声合成し、スピーカ18から「次の交差点を右折です。」などと案内する。なお、ナビゲーションECU10は、地図データベース14から現在地周辺の表示用地図データを読み出してディスプレイ16に表示し、ドライバに対して現在どの位置を走行しているかを報知する。
【0015】
地図データベース14は、CD−ROMやDVD−ROMで構成され、表示用地図データと探索用地図データを記憶する。既述したように表示用地図データは読み出されてディスプレイ16上に表示され、探索用地図データは経路探索時に使用される。従来においては、地図データベース14に記憶されている表示用地図データは所定機関が作成した地図をデジタル化したものであり、また、探索用データはその表示用地図データから現地調査を踏まえてリンクコストや交通規制情報(一方通行や時間による通行止め)を付加して作成したものであるが、本実施形態における表示用地図データは、衛星写真から得られた高精度の地図データである。この地図データは、道路幅員について従来以上の精度を有しており、任意の道路についてその幅員データが少なくとも1m単位で決定されているデータである。ナビゲーションECU10は、各道路の幅員データに基づいて、表示用地図データを探索用地図データとして援用できるか否かを判定する。
【0016】
入力装置20は、操作ボタン、あるいはタッチスイッチで構成され、ユーザが目的地や経由地を入力する。入力された目的地はナビゲーションECU10に供給される。
【0017】
本実施形態の構成は以上のようであり、図2のフローチャートを用いてナビゲーションECU10の処理について詳細に説明する。
【0018】
図2において、まずナビゲーションECU10は地図データベース14から目的地側の地図データを読み出す(S101)。そして、現地調査済みの探索用道路である場合には(S102)、そのデータを用いて目的地に至る経路をダイクストラ法などを用いて探索する。一方、目的地側、すなわち目的地に至る、あるいは目的地に近い道路が現地調査済みの探索用道路でない場合には、目的地側の表示用地図データを読み出して道路が存在するか否かを判定する(S103)。表示用地図データに目的地に至る、あるいは目的地に近い道路データが存在する場合には、その道路の幅員が所定値、例えば5.5m以上あるか否かを判定する(S104)。幅員データは、予め道路に付加して地図データとして保持していてもよく、あるいは道路データからその幅員を算出しても良い。そして、所定値は、車両が通行できるか否かの観点から決定するのが好ましく、5.5mではなく6m、あるいはそれ以上の値に設定することもできる。もちろん、ユーザにより所定値を設定可能とすることもでき、ユーザが運転初心者などであまり細い道を好まない場合等に有効である。
【0019】
目的地までに(あるいは目的地の近くまでに)幅員5.5m以上の道路が存在する場合には、ナビゲーションECU10はこの道路データを新たに探索用データに含めて経路探索を実行する(S105)。表示用地図データに道路データが存在しても、幅員が所定値に満たない場合には、車両通行の用途には使用できないので、この道路は探索用データに含めず、既存の探索用データのみに基づいて経路探索する(S107)。そして、得られた経路をディスプレイ16に表示してユーザに提供する(S106)。
【0020】
このように、高精度の表示用地図データを用い、その表示用地図データ内に幅員が所定値上の道路データが存在すれば、探索用地図データに援用して経路探索演算を実行することで、最終的に目的地に至る、あるいは目的地により近い経路が得られることになり、システムの使い勝手が向上する。
【0021】
図3には、本実施形態と従来システムにおける経路探索結果が模式的に示されている。図において、目的地Dの近傍に経路探索用地図データ内の道路100及び表示用地図データ内の道路200が存在し、目的地Dが道路200に面して存在する場合を想定する。従来の経路探索演算においては、探索用地図データのみを用いて目的地までの経路を探索していたため、探索用道路100上で探索経路30が終了してしまうが、本実施形態では目的地D近傍の表示用地図データに道路200が存在し、その道路の幅員が所定値以上ある場合には探索用地図データに含めて経路探索するため、道路200を用いて目的地Dに至る探索経路32が得られることとなり、目的地Dに確実に到達することができる。
【0022】
なお、S105において表示用地図データを探索用データに援用するに際しては、道路データをノード及びリンクに分解し、各リンクのコストを算出することが必要であるが、道路の分岐点をノードに置き換え、各ノードを結ぶ道路をリンクとしてリンクの長さ(距離)をそのままリンクコストとすることができる。但し、リンクの長さをリンクコストとする際には、探索用道路データと比べてコストを大きくすることが好ましい。すなわち、同一長さのリンクが存在する場合、表示用地図データの場合には、探索用地図データの場合よりもリンクコストを大きくする。これは、探索用地図データの場合には、現地調査などを行って車両通行できることを確認している一方、表示用地図データの場合には、幅員こそ所定値以上であって車両が通行できると判断されるものの、実際に現地調査を行って確認していないため、ある程度のリスクがあることを考慮したものである。したがって、表示用地図データが最終的な経路として選択されるためには、その距離が短いことが条件となる(同一距離では、探索用地図データの方がコストが小さいため選択される)。もちろん、探索用地図データのみでは目的地に到達できず、表示用地図データを探索用地図データに含めた場合に目的地に到達できる場合には、目的地に到達できる経路が選択される。
【0023】
また、S104で幅員が所定値以上あった場合に、さらに通行規制の有無を判定することも好適である。通行規制に関するデータは、図1において通信機を新たに設けて道路管制センタからの情報を受信することで獲得することもでき、あるいは表示用地図データに通行規制に関するデータ(例えば一方通行データ)を予め付加しておくこともできる。そして、S105で探索用データに含める場合には、この通行規制に関するデータを考慮して含めることでより確実な経路探索が可能となる。例えば、幅員が5.5m以上あっても工事で通行止めである道路の場合には探索データに含めない、幅員が5.5m以上あっても一方通行道路の場合には反対方向に向かうリンクコストを著しく増大させる、などである。
【0024】
このように、本実施形態では、幅員が所定値以上ある道路を探索用地図データとして援用することにより、現地調査がなされていない道路をも探索し、目的地に至る経路をより高い確率で探索することが可能となる。
【0025】
なお、図2に示された処理は、処理プログラムをナビゲーションECU10にインストールし、ナビゲーションECU10のCPUがインストールプログラムを順次実行することで実現することができる。このような処理プログラムはCD−ROMやDVD、フロッピーディスク、ハードディスクなど、電磁気的、化学的あるいは光学的に情報を保持できる任意の媒体に記録することができる。
【0026】
また、本実施形態では、幅員について十分な精度(少なくとも1m程度の精度)を有する表示用地図データとして、衛星写真から得られた地図データを用いたが、他のソースから得られた地図データを用いることももちろん可能である。そして、地図データ自体に幅員データが存在しない場合でも、例えば幅員を判別すべき道路を特定するデータ(その道路の位置データなど)を道路管制センタなどに送信し、道路管制センタからその道路の幅員データを受信して判定することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表示用地図データ内の道路が所定値以上の幅員を有する場合には、その道路も用いて目的地に至る経路を自動探索するので、目的地に至る経路を従来以上に確実に探索することができる。
【0028】
また、本発明によれば、さらに表示用道路の通行規制を考慮して経路探索するので、通行できない表示用道路が利用されることを防止し、目的地に到達することのできる経路を確実に得ることができる。
【0029】
また、本発明によれば、表示用地図データを探索用地図データに援用した場合に、表示用地図データのコストを同一距離の探索用地図データのコストに比べて増大させることで、現地調査を経ていないリスクを考慮した探索が可能となり、信頼性の高い経路探索が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の構成ブロック図である。
【図2】 本発明の実施形態の処理フローチャートである。
【図3】 本発明の実施形態の経路探索結果説明図である。
【符号の説明】
10 ナビゲーションECU、12 GPS、14 地図データベース、16ディスプレイ、18 スピーカ。
Claims (7)
- 目的地に至る経路を探索する車両用経路案内装置であって、
表示用地図データと探索用地図データを記憶する記憶手段と、
前記表示用地図データ内の道路が所定値以上の幅員を有するか否かを判定する幅員判定手段と、
前記探索用地図データの道路に前記所定値以上の幅員を有する表示用地図データの道路を含めてから、前記探索用地図データの道路と前記表示用地図データの道路の両方を同時に用いて前記目的地に至る経路を探索する演算手段と、
を有することを特徴とする車両用経路案内装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記表示用地図データは、衛星写真から得られた地図データであることを特徴とする車両用経路案内装置。 - 請求項1、2のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記表示用地図データ内の道路の通行規制を判定する規制判定手段と、
を有し、前記演算手段は、前記探索用地図データの道路及び前記所定値以上の幅員を有し、かつ、通行可能な表示用地図データの道路を用いて前記目的地に至る経路を探索することを特徴とする車両用経路案内装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記演算手段は、前記表示用地図データ内の道路のリンクコストを同一距離の前記探索用地図データ内の道路のリンクコストよりも大きくして経路を探索することを特徴とする車両用経路案内装置。 - 目的地に至る経路を探索するプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記プログラムはコンピュータに対して、少なくとも
記憶手段に記憶されている表示用地図データを読み出して前記表示用地図データ内の道路が所定値以上の幅員を有するか否かを判定させ、
前記記憶手段に記憶されている探索用地図データの道路に前記所定値以上の幅員を有する表示用地図データ内の道路を含めてから、前記探索用地図データの道路と前記表示用地図データの道路の両方を同時に用いて前記目的地に至る経路を探索させる
ことを特徴とする媒体。 - 請求項5記載の媒体において、前記プログラムは前記コンピュータに対して、さらに、
前記表示用地図データ内の道路の通行規制を判定させることを特徴とする媒体。 - 請求項5、6のいずれかに記載の媒体において、
前記プログラムは、前記表示用地図データ内の道路のリンクコストを同一距離の前記探索用地図データ内の道路のリンクコストよりも大きくして経路を探索させる
ことを特徴とする媒体。
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Family Applications (1)
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JP4233581B2 (ja) * | 2004-12-10 | 2009-03-04 | パイオニア株式会社 | 経路探索装置、経路探索方法、経路探索プログラム、および記録媒体 |
-
1999
- 1999-06-07 JP JP15980399A patent/JP3788108B2/ja not_active Expired - Lifetime
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