JP4513589B2 - 経路案内装置 - Google Patents

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Description

本発明は、経路案内装置、特に外部から得られる交通情報の変化に応じて案内経路の再算出を行う経路案内装置に関する。
従来より、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)を用いて情報センタからリンク時間情報等の交通情報を得て、この交通情報に基づいて目的地までの推奨経路を算出する経路案内装置が提案されている。そして、この算出された経路に基づいて運転を行うことにより、運転者は渋滞箇所や工事箇所等を避けた経路を通ることができる。
ところで、このような経路案内装置に提供される交通情報は刻一刻と変化するため、ある時刻における交通情報に基づいて目的地までの経路を算出しても、当該経路に沿った移動中の新情報(例えば、事故情報や交通規制情報等)の入手により、先に算出した経路が有効な経路でなくなる場合がある。そのため、経路案内装置の中には先に算出した経路に影響する新たな交通情報を取得した場合に新たな経路を自動的に再算出して、常に最新の情報に基づいて推奨経路を算出する機能を有するものも提案されている。そして、このような再算出が過剰に行われないようにし、効率的に再算出を行う経路案内装置も提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−6740号公報
しかし、従来の経路案内装置では、交通情報を受信したことを契機に再算出を実行するようになっているため、例えば交通規制が解除された場合でも新たな交通情報を受信しない限り再算出が実行されることはなかった。また、情報センタから交通規制が解除されたことのみを示す交通情報が送信されることもなかった。このため、既に解除された交通規制にしたがって運転者が運転を行うという状況があり得、このような場合は、運転距離や運転時間の不必要な増加を招き、運転者の疲労度を増す結果となっていた。
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、できるだけ最新の交通状況が反映された経路を算出する経路案内装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の経路案内装置は、区画単位に分けられて送信される交通情報を取得する交通情報取得手段と、地図情報を取得する地図情報取得手段と、車両の現在位置を特定するための情報を取得する位置情報取得手段と、地図情報取得手段が取得した地図情報を用い、位置情報取得手段が取得した情報に基づいて特定される現在位置から予め設定された目的地までの経路を交通情報を反映させて算出する経路算出手段と、を備え、車両に搭載されて用いられる経路案内装置であり、特に経路算出手段が、交通情報取得手段が取得した交通情報を有効期限と共に保持しておき、交通情報を保持している区画から交通情報を保持していない区画に当該車両が移動した際に、保持している交通情報のうち有効期限内のもののみを反映させた経路(位置情報取得手段が取得した情報に基づいて特定される車両の現在位置から予め設定された目的地までの経路)を再算出するものである。ここで言う「交通情報を反映させて」というのは、例えば交通情報が通行障害であった場合にはその障害を避けるようにしてという意味である。
通常、VICS(登録商標)では受信した交通情報の有効時間が決められており(例えば30分)、経路を算出した際に用いた交通情報が、実際にその交通情報の対象の場所に近づいた際に有効でなくなっている場合も考えられる。この間(経路を算出した時点から交通情報の対象の場所に近づいた時点まで)に、新たな交通情報を受信することがあれば、無効になった交通情報を用いないで経路を再び算出することが従来の経路案内装置でも行われていたが、新たな交通情報を受信することがない場合には再算出されることがなく、既に解除された交通規制にしたがった経路を運転者が通ることもあり得た。その結果、運転距離や運転時間の不必要な増加を招いて運転者の疲労度を増すこととなっていた。
一方、本発明の経路案内装置によれば、交通情報を保持している区画から交通情報を保持していない区画に当該車両が移動した際に、保持している交通情報のうち有効なものを考慮して経路を再算出する。このように交通情報を受信しなくとも経路を再算出するようになっているため、すでに有効でなくなっている情報に基づいた経路を運転者が通る可能性が低減する。
また、上記課題を解決するためになされた請求項2に記載の経路案内装置は、区画単位に分けられて送信される交通情報を取得する交通情報取得手段と、地図情報を取得する地図情報取得手段と、車両の現在位置を特定するための情報を取得する位置情報取得手段と、地図情報取得手段が取得した地図情報を用い、位置情報取得手段が取得した情報に基づいて特定される現在位置から予め設定された目的地までの経路を交通情報を反映させて算出する経路算出手段と、を備え、車両に搭載されて用いられる経路案内装置であり、特に経路算出手段は、交通情報取得手段が取得した交通情報を有効期限と共に保持しておき、交通情報を保持している各区画の境界を当該車両が横切った際に、保持している交通情報のうち有効期限内のもののみを反映させた経路(位置情報取得手段が取得した情報に基づいて特定される車両の現在位置から予め設定された目的地までの経路)を再算出するものである。ここで言う「交通情報を反映させて」というのは、例えば交通情報が通行障害であった場合にはその障害を避けるようにしてという意味である。
本発明の経路案内装置も、交通情報を受信しなくても経路を再算出するようになっているため、すでに有効でなくなっている情報に基づいた経路を運転者が通る可能性が低減する。
また、運転者がサービスエリア等の休憩場所で休憩を行うと、車両は同一区画にとどまる状態となり、その間に交通情報の有効期限が切れるという状況もあり得る。つまり、休憩後、既に解除されている交通規制を有効なものとして算出した経路を経路案内装置が案内するということが起こりうる。このため、請求項に記載のように、経路算出手段は、所定の時間経過毎に繰り返し再算出を行うようになっているとよい。このようになっていれば、車両が同一区画にとどまっていた場合でも、そのとどまっていた間に有効期限切れになった交通情報を排除して経路を再算出することが所定時間毎に実行されるため、経路案内装置はすでに有効でなくなっている情報に基づいた経路を運転者が通る可能性が低減する。
ところで、有料道路の走行中は、経路選択自由度は極端に低下する。なぜなら、インターチェンジや分岐点以外の場所では道路の進行方向にしたがって進むことしかできないからである。したがって、その間に経路の再算出を行う意義は少なく、経路の再算出を行うことにより他の付加機能(例えば、映画の再生やゲーム等)の処理が滞るおそれや、無駄な電力消費が発生するというおそれがある。
このため、請求項に記載のように、経路算出手段は、車両が有料道路を走行中であって、車両の現在位置から最も近い有料道路出口と車両の現在位置とが所定の距離以上ある場合には、再算出を行わないようになっているとよい。ここで言う「所定の距離」というのは、有料道路出口間の距離以下の距離であり、経路の再算出に必要な時間と運転者に経路の変更を案内できる程度の時間を少なくとも確保できる距離以上の距離である。
このようになっていれば、案内精度を維持しながら上述した問題を回避することができる。
また、より確実に、経路の再算出に必要な時間と運転者に経路の変更を案内する時間を確保するために、請求項に記載のように、経路算出手段は、車両が有料道路を走行中であって、車両の現在位置から最も近い有料道路出口と車両の現在位置とが所定の距離以上ある場合には、再算出を行わず、車両の現在位置から最も近い有料道路出口と車両の現在位置とが所定距離内になった際に、位置情報取得手段が取得した情報に基づいて特定される車両の現在位置から予め設定された目的地までの経路を、保持している交通情報のうち有効なものを考慮して再算出するようになっていてもよい。
このようになっていれば、上述した所定距離内に車両が進入した直後に経路の再算出が行われて案内がなされるため、経路変更があった場合等に余裕を持って運転者が対応することができる。
ところで、交通情報を提供するインフラとしては、一般的に、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコン等があるが、これらのうち電波ビーコンは主に有料道路に設置され、光ビーコンは一般道路に設置されており、それぞれ設置された道路に関する交通情報のみを提供するようになっている。このため一般道を走行中には電波ビーコンから受信した交通情報を利用する必要性は低く、また、有料道路を走行中には光ビーコンから受信した交通情報を利用する必要性も低い。
したがって、請求項に記載のように、経路算出手段は、経路を再算出する際、車両が現在走行中の道路種別と同一の道路種別に設置された交通情報出力先からの交通情報のみを用いて再算出を行うようになっているとよい。
このようになっていれば、経路を再算出する際の計算量を減らすことができ、より高速に経路算出を行うことができる。
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
図1は、本発明の経路案内装置が有する機能が組み込まれたナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置20とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや各種の情報を記録した地図記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、車内LANを介して他の装置と様々な情報をやりとりする車内LAN通信部30と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,地図データ入力器25,マイクロフォン28,車内LAN通信部30からの入力に応じて各種処理を実行し、表示部26,音声出力部27,車内LAN通信部30を制御する制御部29とを備えている。
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ21dとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21dからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICS(登録商標)の情報センタから交通情報(事故情報や渋滞情報等)を取得する。また、FM多重放送によって送信される交通情報も取得する。
地図データ入力器25は、図示しない地図記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。このようなデータを記憶する記憶媒体の種類としては、CD−ROMやDVD−ROMの他、ハードディスクやメモリカード等の記憶媒体を用いても良い。
表示部26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
音声出力部27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力することができる。
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置20を操作することができる。
車内LAN通信部30は、車内LANを介して車内LANに接続された様々な機器(例えば、図示しないエンジンECU等)と通信を行う。
制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示部26に表示する処理や、地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて現在位置から目的地までの最適な経路を算出する処理や、その算出した経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する処理等を実行する。なお、制御部29は、後述する交通情報データベースを保持しており、そのデータベース内には交通情報(事故箇所の情報、渋滞箇所の情報、交通規制箇所の情報、リンク時間情報、区画(メッシュ)情報、取得インフラに関する情報等)と有効期限とが格納されている。
ここで、ナビゲーション装置20の各部と、特許請求の範囲に記載の用語との対応を示す。制御部29が経路算出手段に相当し、表示部26及び音声出力部27が案内手段に相当し、位置検出器21が位置情報取得手段に相当し、外部通信機24が交通情報取得手段に相当し、地図データ入力器25が地図情報取得手段に相当する。
次に、制御部29が実行する処理のうち、本実施例のナビゲーション装置20に特徴的な処理について順に説明する。なお、一般的なナビゲーション装置が実行する、運転者によって入力された情報に基づいて目的地を設定する目的地設定処理や、算出された経路に基づいて案内を行う経路案内処理等については説明を省略する。
(1)交通情報登録処理
外部通信機24が交通情報を受信した際に、制御部29が実行する交通情報登録処理について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、本実施例で説明するVICS(登録商標)の交通情報は、JIS X0410:1976として標準地域メッシュコードによって分類されたメッシュ(区画)単位でVICS(登録商標)センタより配信される。特に以下では、2次メッシュと呼ばれる経度差7分30秒、緯度差5分で2万5千分の1地形図の図葉の区画(約10km×約10km相当)の範囲に含まれる交通情報がひとまとまりの単位として配信されることと想定する。
制御部29は、交通情報登録処理の実行を開始するとまず、外部通信機24から交通情報を取得する(S110)。
続いて、交通情報データベース(制御部29内に保持されているデータベース)の中から期限切れの交通情報を削除する(S120)。
続いて、S110で取得した情報数(つまり2次メッシュ数)分、次に説明するS130〜S160の処理を繰り返す。
S130では、S110で取得した交通情報のうちの1の区画に対応する交通情報から2次メッシュ番号を抽出する。続いて、S140では、抽出した2次メッシュ番号からその2次メッシュ番号に対応する区画の頂点の経緯度座標を求める。続いて、S150では、S140で算出した経緯度座標から当該区画の各辺の長さを算出する。なお、なぜ当該区画の各辺の長さを算出するかと言うと、2次メッシュと呼ばれる区画の大きさは、緯度や経度によって区画自体に歪みがあり、後述する経路再算出処理において区画を自車が逸脱したか否かを判断する際の精度を上げるためである(図3のS210参照)。
S160では、S140で算出した経緯度座標と、S150で算出した各辺の長さと、当該区画の交通情報と、有効期限とを交通情報データベースに追加記憶する。
S110で取得した情報数(つまり2次メッシュ数)分、S130〜S160の処理を繰り返すと、位置検出器21からの情報に基づいて算出される現在位置から予め設定された目的地までの経路を、交通情報データベースに記憶された交通情報を用いて算出し(S170)、本処理(交通情報登録処理)を終了する。なお、本処理終了後は、例えば経路が新たに算出されたことを運転者に報知し、その新たな経路を選択することを運転者が希望した場合には、その新たな経路を用いて経路案内を実行する。
(2)経路再算出処理
次に制御部29が実行する経路再算出処理について図3のフローチャートを用いて説明する。制御部29は、自車位置の表示を更新する毎(例えば3秒毎)に経路再算出処理を実行する。
制御部29は、実行を開始するとまず、交通情報データベースに存在する区画を自車が逸脱したか否かによって処理を分岐する(S210)。これを言い換えれば、交通情報が交通情報データベース内に格納されている区画から交通情報データベース内に格納されていない区画に当該車両が移動したか否かを判定することである。交通情報データベースに格納されている区画を自車が逸脱した場合にはS220に進み、交通情報データベースに格納されている区画を自車が逸脱していない場合には本処理を終了する。
S220では、位置検出器21からの情報に基づいて算出される現在位置から予め設定された目的地までの経路を、交通情報データベースに記憶された交通情報のうち有効期限内のもののみを用いて算出し、本処理(経路再算出処理)を終了する。なお、本処理終了後は、例えば経路が新たに算出されたことを運転者に報知し、その新たな経路を選択することを運転者が希望した場合には、その新たな経路を用いて経路案内を実行する。
制御部29が実行する処理のうち、本実施例のナビゲーション装置20に特徴的な処理について説明したが、本実施例のナビゲーション装置20によれば、例えば次のような効果が得られる状況が考えられる。
図4(a)は、A地点(出発地点)からD地点(目的地点)までの経路図であり、交通障害が全くない状態ではA地点からD地点までの最適経路は、A地点とD地点とが直線で結ばれた経路(図4(a)では一部実線、一部破線で示された直線路)である。今、ナビゲーション装置20が搭載された車両がA地点を出発する際に、最適経路上に存在するB地点及びC地点での交通障害の情報を含む交通情報(それぞれ区画群61及び区画群63に対応する交通情報)をナビゲーション装置20が受信したとする。その結果、ナビゲーション装置20は、図4(a)中の実線で示す経路のように、A地点を出発し、B地点及びC地点を迂回した後、D地点に到着する経路を算出して案内を始める。
従来のナビゲーション装置では、図4(b)に示すように、ナビゲーション装置が搭載された車両がシンボル65の位置(つまり、C地点を迂回するための迂回路への分岐直前)に到達しても、A地点を出発後に新たな交通情報の受信がない限りそのままC地点を迂回する経路が案内されるようになっていた。しかし、A地点を出発して時間が立っていると、C地点の交通障害は解消されていることも考えられる。もし、C地点の交通障害が解消されているにもかかわらずC地点を迂回する経路をナビゲーション装置が案内してしまうと運転者の運転距離が無駄に増加することになっていた。
ところが、本実施例のナビゲーション装置20によれば、B地点の交通情報を含む区画群61を逸脱した直後(つまり、図4(c)のシンボル67の位置に到達した時)に、交通情報の有効期限を考慮しながら交通情報を用いて経路を再算出する。このため、経路を再算出した時点でC地点の交通情報の有効期限が切れていれば、その情報を用いずに経路を再算出するため、最適な経路が案内される(図4(c)参照)。したがって、本実施例のナビゲーション装置20によれば、不適切な迂回路の案内がなされることをできるだけ防止することができる。
以下、他の実施例について述べる。
(1)上記実施例では、交通情報を保持している区画から交通情報を保持していない区画に車両が移動した際に、経路を再算出するようになっていたが、交通情報を保持している各区画の境界を当該車両が横切った際に、ナビゲーション装置20が保持している交通情報のうち有効なものを考慮して経路を再算出するようになっていてもよい。つまり、図4で言うところの区画群61や区画群63を構成するそれぞれの区画(図4では単一の正方形状の区画)の境界を当該車両が横切った際に経路を再算出するようになっていてもよい。
このようになっていても上記実施例と同様の効果を奏する上、より最新の交通状況が反映された経路を算出することができる。
(2)また、交通障害がないと仮定した場合の最短経路から、交通障害を避けるための迂回路への分岐点へ車両が到達する直前に、ナビゲーション装置20が保持している交通情報のうち有効なものを考慮して経路を再算出するようになっていてもよい。つまり、図4(b)で言うところのシンボル65の位置に車両が到達した際に経路を再算出する。この位置で経路の再算出を行うことにより、その際に仮にC地点の交通障害がなくなっているのであれば、C地点を通る経路が算出され、運転者は不必要な迂回路を通ることがなくなる。
(3)また、有料道路の入退場を検知し、そのタイミングで経路を再算出するようにしてもよい。この場合について、図5に示すフローチャート(経路再算出処理2)を用いて説明する。この経路再算出処理2は、上述した経路再算出処理と同様、自車位置の表示を更新する毎(例えば3秒毎)に制御部29が実行する。なお、制御部29は、経路再算出処理2を、上述した経路再算出処理と並行して実行するようになっていてもよい。
まずS310では、ナビゲーション装置20が搭載された車両が有料道路を入退出したか否かを判定する。この判定は、位置検出器21からの情報と地図データ入力器25からの情報とに基づいて行うが、具体的には、前回の経路再算出処理2の実行時には当該車両は一般道路を走行していたが今回の経路再算出処理2の実行時には当該車両は有料道路を走行しているという場合、および、前回の経路再算出処理2の実行時には当該車両は有料道路を走行していたが今回の経路再算出処理2の実行時には当該車両は一般道路を走行しているという場合に、当該車両は有料道路を入退出したと判定する。当該車両が有料道路を入退出したと判定した場合にはS320に進み、当該車両が有料道路を入退出していないと判定した場合には本処理(経路再算出処理2)を終了する。
S320では、有効期限の切れた交通情報を交通情報データベースから削除する。そして続くS330では、交通情報データベースに格納されている交通情報を用い、当該車両の現在位置から予め設定されている目的地点までの経路を算出し、本処理(経路再算出処理2)を終了する。なお、本処理終了後は、例えば経路が新たに算出されたことを運転者に報知し、その新たな経路を選択することを運転者が希望した場合には、その新たな経路を用いて経路案内を実行する。
一般的に、VICS(登録商標)の交通情報は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送から入手が可能であるが、電波ビーコンは有料道路に設置され、光ビーコンは一般道路に設置され、それぞれ設置された道路に関連する交通情報のみを送信するようになっている。このため、上述したように、有料道路への入退場のタイミングで経路を再算出するようになっていれば、より精度の高い経路案内を実現することができる。
(4)また、出発時に設定された経路あるいは、交通情報により再算出された経路以外の経路を車両が走行しはじめた時には、経路の再算出を行うようになっているとよい。この場合の経路再算出処理(経路再算出処理3)について図6のフローチャートを用いて説明する。この経路再算出処理3は、上述した経路再算出処理と同様、自車位置の表示を更新する毎(例えば3秒毎)に制御部29が実行する。なお、制御部29は、経路再算出処理3を、上述した経路再算出処理および経路再算出処理2と並行して実行するようになっていてもよい。
まず、S410では、ナビゲーション装置20が搭載された車両が、現在案内中の経路を外れたか否かを判定する。この判定は、位置検出器21からの情報と現在案内中の経路情報とに基づいて行う。現在案内中の経路を当該車両が外れたと判定した場合にはS420に進み、現在案内中の経路を当該車両は外れていないと判定した場合には本処理(経路再算出処理3)を終了する。
S420では、有効期限の切れた交通情報を交通情報データベースから削除する。そして続くS430では、交通情報データベースに格納されている交通情報を用い、当該車両の現在位置から予め設定されている目的地点までの経路を算出し、本処理(経路再算出処理3)を終了する。なお、本処理終了後は、例えば経路が新たに算出されたことを運転者に報知し、その新たな経路を選択することを運転者が希望した場合には、その新たな経路を用いて経路案内を実行する。
このような経路再算出処理3を制御部29が実行するようになっていれば、案内中の経路を車両が外れた場合には自動的に経路の再算出が行われるため運転者は再探索を指示する操作を行う必要がなく、運転に集中することができる。
(5)また、経路案内途中でサービスエリアやコンビニエンスストア等に寄る場合、その場所での滞在時間が長時間におよぶと、その立ち寄り場所を出発した際に、案内中の経路に影響を及ぼしていた交通障害が改善されている可能性がある。つまり、交通情報の有効期限切れが発生している可能性がある。このため、所定の時間が経過した後は経路を再算出するようになっているとよい。以下、この場合の経路再算出処理(経路再算出処理4)について図7のフローチャートを用いて説明する。この経路再算出処理4は、上述した経路再算出処理と同様、自車位置の表示を更新する毎(例えば3秒毎)に制御部29が実行する。なお、制御部29は、経路再算出処理4を、上述した経路再算出処理、経路再算出処理2および経路再算出処理3と並行して実行するようになっていてもよい。
まず、S510では、制御部29内に備えられた計数カウンタを利用して、所定時間経過したか否かを判定する。ここで言う「所定時間」というのは、交通情報の有効期限切れが発生する頻度と、後述するS520〜S530の処理を実行する処理負担とを鑑みて決定する時間であり、具体的には例えば、30分や60分程度の時間が考えられる。なお、この値は運転者によって変更できるようになっていてもよい。このS510で、所定時間経過したと判定した場合にはS520に進み、所定時間経過していないと判定した場合には本処理(経路再算出処理4)を終了する。
S520では、有効期限の切れた交通情報を交通情報データベースから削除する。そして続くS530では、交通情報データベースに格納されている交通情報を用い、当該車両の現在位置から予め設定されている目的地点までの経路を算出し、本処理(経路再算出処理4)を終了する。なお、本処理終了後は、例えば経路が新たに算出されたことを運転者に報知し、その新たな経路を選択することを運転者が希望した場合には、その新たな経路を用いて経路案内を実行する。
このような経路再算出処理4を制御部29が実行するようになっていれば、経路案内途中でサービスエリアやコンビニエンスストア等に長時間立ち寄った場合でも、案内中の経路に影響を及ぼしていた交通障害の改善事実が反映されやすくなり、より精度の高い経路案内を実行することができるようになる。
(6)また、有料道路を走行中は、経路選択自由度は極端に低下する。なぜなら、インターチェンジや分岐点以外の場所では道路の進行方向にしたがって進むことしかできないからである。したがって、その間に経路の再算出を行う意義は少なく、経路の再算出を行うことにより他の付加機能(例えば、映画の再生やゲーム等)の処理が滞るおそれや、無駄な電力消費が発生するおそれがある。このため、有料道路を走行中であって、車両の現在位置から最も近い有料道路出口と車両の現在位置とが所定の距離以上ある場合には、再算出を行わないようになっているとよい。以下に、この場合の経路再算出処理(経路再算出処理5)について図8のフローチャートを用いて説明する。この経路再算出処理5は、上述した経路再算出処理と同様、自車位置の表示を更新する毎(例えば3秒毎)に制御部29が実行する。なお、制御部29は、経路再算出処理の代わりに実行する。
まず、S610では、ナビゲーション装置20が搭載された車両が有料道路を走行中であるか否かを判定する。この判定は、位置検出器21からの情報と地図データ入力器25からの情報とに基づいて行う。当該車両は有料道路を走行中であると判定した場合は、S620に進み、当該車両は有料道路を走行中でない、つまり一般道路を走行中であると判定した場合は、本処理(経路再算出処理5)を終了する。
S620では、車両の現在位置から、最も近い有料道路の出口(つまり、次の出口)までの距離が所定値以下であるか否かを判定する。ここで言う「所定値」というのは、経路の再算出に必要な時間と運転者に経路の変更を案内できる程度の時間が少なくとも確保できる距離以上の値である。このS620において、車両の現在位置から、最も近い有料道路の出口までの距離が所定値以下であると判定した場合にはS630に進み、車両の現在位置から、最も近い有料道路の出口までの距離が所定値以下でないと判定した場合は、本処理(経路再算出処理5)を終了する。
S630では、有効期限の切れた交通情報を交通情報データベースから削除する。そして続くS640では、交通情報データベースに格納されている交通情報を用い、当該車両の現在位置から予め設定されている目的地点までの経路を算出し、本処理(経路再算出処理4)を終了する。なお、本処理終了後は、例えば経路が新たに算出されたことを運転者に報知し、その新たな経路を選択することを運転者が希望した場合には、その新たな経路を用いて経路案内を実行する。
このような経路再算出処理5を制御部29が実行するようになっていれば、実行意義の少ない経路再算出処理の実行を抑制することができ、他の付加機能の処理が滞るおそれや、無駄な電力消費を減少させることができる。
(7)ところで、一般的にVICS(登録商標)の交通情報は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送から入手可能となっているが、電波ビーコンは有料道路に設置され、光ビーコンは一般道路に設置され、それぞれ設置された道路に関連する交通情報のみを送信するようになっている。このため上述した各経路再算出処理において経路を算出する際(つまり、図3のS220、図5のS330、図6のS430、図7のS530、図8のS640)には、以下に説明するような経路算出ルーチンを実行することにより、経路算出を行うとよい。この経路算出ルーチンについて、図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、S710では、ナビゲーション装置20が搭載された車両が有料道路を走行中であるか否かを判定する。この判定は、位置検出器21からの情報と地図データ入力器25からの情報とに基づいて行う。当該車両は有料道路を走行中であると判定した場合は、S720に進み、当該車両は有料道路を走行中でない、つまり一般道路を走行中であると判定した場合は、S730に進む。
S720では、交通情報データベースに格納されている交通情報のうち、電波ビーコンおよびFM多重放送を介して受信した交通情報のみを選択する。この選択は、上述した「取得インフラに関する情報」を参照することにより行う。
一方、S730では、交通情報データベースに格納されている交通情報のうち、光ビーコンおよびFM多重放送を介して受信した交通情報のみを選択する。この選択も、上述した「取得インフラに関する情報」を参照することにより行う。
続くS740では、S720およびS730で選択した交通情報のみを用い、必要に応じて有効期限を考慮に入れて当該車両の現在位置から予め設定されている目的地点までの経路を算出し、本ルーチンを終了する。
このように、経路算出に利用する交通情報を走行中の道路種別によって選択するようになっていれば、経路を算出する際の計算量を減らすことができ、より高速に経路算出を行うことができる。
実施例のナビゲーション装置の概略構成図である。 交通情報登録処理を説明するためのフローチャートである。 経路再算出処理を説明するためのフローチャートである。 実施例のナビゲーション装置の効果を説明するための経路図である。 経路再算出処理の別例を説明するためのフローチャートである。 経路再算出処理の別例を説明するためのフローチャートである。 経路再算出処理の別例を説明するためのフローチャートである。 経路再算出処理の別例を説明するためのフローチャートである。 経路算出ルーチンを説明するためのフローチャートである。
符号の説明
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、21d…地磁気センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部、30…車内LAN通信部。

Claims (6)

  1. 区画単位に分けられて送信される交通情報を取得する交通情報取得手段と、
    地図情報を取得する地図情報取得手段と、
    車両の現在位置を特定するための情報を取得する位置情報取得手段と、
    前記地図情報取得手段が取得した前記地図情報を用い、前記位置情報取得手段が取得した前記情報に基づいて特定される現在位置から予め設定された目的地までの経路を前記交通情報を反映させて算出する経路算出手段と、
    前記経路算出手段が算出した前記経路の案内を行う案内手段と、
    を備え、車両に搭載されて用いられる経路案内装置において、
    前記経路算出手段は、前記交通情報取得手段が取得した前記交通情報を有効期限と共に保持しておき、前記交通情報を保持している区画から前記交通情報を保持していない区画に当該車両が移動した際に、保持している前記交通情報のうち有効期限内のもののみを反映させた前記経路を再算出することを特徴とする経路案内装置。
  2. 区画単位に分けられて送信される交通情報を取得する交通情報取得手段と、
    地図情報を取得する地図情報取得手段と、
    車両の現在位置を特定するための情報を取得する位置情報取得手段と、
    前記地図情報取得手段が取得した前記地図情報を用い、前記位置情報取得手段が取得した前記情報に基づいて特定される現在位置から予め設定された目的地までの経路を前記交通情報を反映させて算出する経路算出手段と、
    を備え、車両に搭載されて用いられる経路案内装置において、
    前記経路算出手段は、前記交通情報取得手段が取得した前記交通情報を有効期限と共に保持しておき、前記交通情報を保持している各区画の境界を当該車両が横切った際に、保持している前記交通情報のうち有効期限内のもののみを反映させた前記経路を再算出することを特徴とする経路案内装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の経路案内装置において、
    前記経路算出手段は、所定の時間経過毎に繰り返し前記再算出を行うことを特徴とする経路案内装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の経路案内装置において、
    前記経路算出手段は、前記車両が有料道路を走行中であって、前記車両の現在位置から最も近い有料道路出口と前記車両の現在位置とが所定の距離以上ある場合には、前記再算出を行わないことを特徴とする経路案内装置。
  5. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の経路案内装置において、
    前記経路算出手段は、前記車両が有料道路を走行中であって、前記車両の現在位置から最も近い有料道路出口と前記車両の現在位置とが所定の距離以上ある場合には、前記再算出を行わず、前記車両の現在位置から最も近い有料道路出口と前記車両の現在位置とが前記所定距離内になった際に、前記再算出を行うことを特徴とする経路案内装置。
  6. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の経路案内装置において、
    前記交通情報取得手段は、設置された道路の種別に対応した交通情報を出力する交通情報出力先から前記交通情報を取得し、
    前記経路算出手段は、前記経路を再算出する際、前記車両が現在走行中の道路種別と同一の道路種別に設置された前記交通情報出力先からの前記交通情報のみを用いて前記再算出を行うことを特徴とする経路案内装置。
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