JP3787777B2 - 体感音響装置用電気−機械振動変換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低音域の電気信号により体感音響振動を発生させる装置として使用する、電気−機械振動変換器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
音圧が体を振動させて感じる振動感や、床面や大地を伝わって感じとられる振動感等の、いわゆる体感音響振動は、重低音感を増加させるためのオーディオ用としてばかりでなく、例えば、シミュレーションやバーチャルリアリティ等の効果音として、振動感や衝撃感を伴うような爆発音あるいはエンジン音等のドキュメンタリ音により迫真の臨場感を再現することも可能である。また体感音響振動によるリラクゼーション効果を応用した音楽療法への適用、更には、酒類の発酵・熟成の促進、品質の向上を目的とした使用等、さまざまな方面においてその効果が発揮されている。
【0003】
体感音響振動を発生させる装置として従来より考え出され、使用されているものとして電気−機械振動変換器が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
電気−機械振動変換器は、磁極を備えたヨークにより空隙を形成し、該空隙内にコイル枠に巻き付けたコイルを配置させ、電気信号に伴いコイルに発生する磁力と磁極に発生する磁力との間に生ずる磁気干渉作用によって振動を得るようにしたものであり、以下、図10、図11に沿って従来の電気−機械振動変換器に係る実施の一形態を説明する。
【0004】
図10は、電気−機械振動変換器の断面図を示す。電気−機械振動変換器1'のケースは、下枠102と上枠103とから概略構成されている。下枠102は、その断面形状が略鍋状を有し、上枠103は、その形状が略平板状を有している。そして、下枠102の開口部を上枠103が覆うように組合わされる。
【0005】
下枠102内には、弾性材からなる環状のダンパ106によって支持された磁極を備えるヨーク107が内装されている。ヨークを支持するダンパ106の外周部にはネジ穴部108が形成されており、ダンパ106は、下枠102側から下枠102に形成されたネジ穴を介して取り付けられるネジ109と、上枠103側から上枠103に形成されたネジ穴を介して取り付けられるネジ110とによって両枠102、103に固着されている。また、下枠102の底部には、ヨーク107の底部にネジ111によって止着される環状のダンパ112が枠102と一体に形成されている。
【0006】
ダンパで支持されるヨーク107は、中央に柱状部113を有するボトムプレート114と、環状のトッププレート115から構成されている。ボトムプレート114とトッププレート115との間には環状の磁極116が挟着されており、トッププレート115の内縁とボトムプレート114の柱状部113の外縁との間に磁気的な環状の空隙117が形成されており、柱状部113を有するボトムプレート114、磁極116、トッププレート115とにより空隙117を有する磁気回路が構成されている。
また、上枠103の中央部には開口部が形成されており、この開口部にはプレート118に取り付けられた筒状のコイル枠119が嵌合され、コイル枠119に巻き付けられたコイル120が前記空隙117内に配置されている。
【0007】
このように構成した電気−機械振動変換器は、コイル120に低域通過フィルタを通して音声信号を電力増幅した電気信号を加えることにより、コイル120に発生する磁力と磁極116の磁力との間に生ずる磁気干渉作用によって、ダンパ106を介してケースに支持されたヨーク107とケースとが相対変化して体感音響振動が発生する。
【0008】
図11には、ヨーク107を支持するダンパ106を示す。ダンパ106は、環状の内側ダンパ121と中間ダンパ122と外側ダンパ123とから構成され、中間ダンパ122と外側ダンパ123とは外側連結部124によって連結され、内側ダンパ121と中間ダンパ122は内側連結部125によって連結されている。外側連結部124は、ダンパ106をケースに取り付けるために外側ダンパ123の外周部に設けられたネジ穴127部の内側の位置に形成されている。そして、内側連結部125は、隣り合う外側連結部124の略中間部の位置に形成されている。また、これらのダンパ121、122、123は、互いに同心状に配置されている。そして、ヨーク107が内側ダンパ121の内縁に固着され、外側ダンパ123がネジ穴127を介してネジによってケースに固着される。
【0009】
【特許文献1】
特許第3035704号(第3−4頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電気―機械振動変換器では、より低い周波数の信号まで安定した高い振動効率を得ることが望まれ、このような振動効率を得られることが電気―機械振動変換器の性能を左右している。この性能を決定する最大の要因は、磁気回路の大きさであり、より大きい磁気回路を有する電気―機械振動変換器ほどよい性能を得ることができる。しかしながら、磁気回路の大きさに比例してその重量は増加し、重い磁気回路を支えるためにはある程度以上のダンパの固さが必要となり、ダンパを固くすることにより低い周波数の振動効率を犠牲にすることを余儀なくされる。よって、これらの相反する作用により、より低い周波数に対して十分な性能を得るためには設計上の困難性を有していた。
【0011】
また、電気―機械振動変換器では、より小型であって高い振動効率を得ることが望まれる。これは、電気−機械振動変換器が体感音響装置として使用されるため、狭いシート内や、薄いベットパット内に配挿され、そのような場合でも人体に違和感を与えないような存在でなければならず、可能な限り小型であることが要求されるからである。
【0012】
これらの点に関して、上述した構成を有する従来の電気―機械振動変換器では、低い周波数においてもある程度の高い振動効率を得ることはできるが、更に大きな出力を安定して得ることは困難であり、大きな出力を得ようとした場合には中間ダンパ122に掛かる負荷(特に、中間ダンパ122が外側連結部124と連結している部分に掛かる負荷)が過大となり、破損するという不具合があった。これは、外側連結部124が、外側ダンパ123に設けられたネジ穴部127の内側の位置に形成され、さらには高い振動効率を得るために薄く形成されているからであり、ネジ穴部127がネジによってケースに固着されるため、振動によって外側連結部124と中間ダンパ122との連結部へ掛かる負荷が過大となり中間ダンパ122に溜まる内部応力が閾値を超え破損する原因となっていた。
【0013】
また、上述した構成を有する従来の電気―機械振動変換器では、ヨーク107を内縁に固着する内側ダンパ121とネジ穴127を介してケースに固着される外側ダンパ123との間に、複数のダンパ(中間ダンパ122と外側ダンパ123)が配設されるため、より小型の電気―機械振動変換器を実現する場合に各ダンパの幅を十分に大きく確保することができず、高い振動効率を得ることが困難であった。
【0014】
本発明は上記課題に着目してなされたもので、振動によって掛かるダンパへのより大きな負荷を分散させて吸収し、大型化するのを抑制すると共に、より大きな出力を安定して得ることができる電気−機械振動変換器を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、請求項1の体感音響装置用電気−機械振動変換器に係る発明は、磁極を備えたヨークにより磁気的な空隙を形成し、前記ヨークをケース内にダンパによって支持するとともに前記空隙内にコイルを配置させ、前記ヨークと前記ケースとが相対変位可能である体感音響装置用の電気−機械振動変換器において、前記ケースは、外周部にはネジ穴部が形成され、中央部に形成された開口部の縁には鉛直方向へ延びる、コイルの巻き付けられた筒状のコイル枠が設けられている上枠と、低部を有し、外周部にはネジ穴部が形成されている下枠とからなり、前記ダンパは、前記下枠内に嵌入されるように内装され、一重の環状から成り、その内側にヨークを保持しているヨーク保持部と、該ヨーク保持部を囲うように該ヨーク保持部の外側に同心円状で一重に、且つ、隣接するもの同士が重なり合わないように配置された、リングの断片部形状を有する、複数の同型サスペンションバネからなるサスペンションバネ部とを備え、前記サスペンションバネ部は、各サスペンションバネの一方の端部に設けられた支持部を介して前記ケースに固着されるとともに、前記サスペンションバネ部と前記ヨーク保持部とは、前記各サスペンションバネの端部とは逆の他方の端部に設けられた連結部によって連結され、前記支持部と前記連結部が設けられているサスペンションバネの端部の厚さは、前記支持部と前記連結部が設けられていない中間部の厚さよりも厚く形成され、前記支持部と前記連結部が設けられていない中間部の前記支持部と前記連結部の近傍の厚さは、前記支持部と前記連結部に近づくに従って徐々に厚く形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
ヨークに固着する環状のヨーク保持部と、ケースとの間には、同形状を有した複数のサスペンションバネのみがヨーク保持部を囲うように配設されるため、ヨーク保持部とケース間に何重にもサスペンションバネ等を配設する構成のものと比較して、同じ大きさの電気―機械振動変換器(同じ磁気回路を有するもの)の場合に、サスペンションバネの幅を広く形成することができるので、振動による負荷を分散して吸収することができ、サスペンションバネの強度を高くすることができると共に、サスペンションバネをより柔らかくする(柔軟性を持たす)ことができ、高い振動効率を得ることができる(低い周波数に対して十分な性能を得ることができる)。また、各サスペンションバネは端部に設けられた支持部と連結部を介してケースおよびヨーク保持部に固着されているので、各サスペンションバネの長さ(支持部と連結部間のサスペンションバネの距離)を長くすることができ、より高い振動効率を得ることができる。
【0017】
上記問題を解決するために、請求項2の体感音響装置用電気−機械振動変換器に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記下枠の底中央部には、環状ダンパーが下枠と一体に設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
上記問題を解決するために、請求項3の体感音響装置用電気−機械振動変換器に係る発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記上枠と前記下枠および前記ヨークを支持するダンパとは、前記上枠と下枠のネジ穴部および前記サスペンションバネの支持部を介して、前記上枠側からのみ取り付けられる固着手段によって固着されることを特徴とするものである。各サスペンションバネを、その端部に設けた支持部および連結部を介してケースおよびヨーク保持部に固着しているので、振動によって支持部および連結部に加わるサスペンションバネ方向に沿う負荷は一方向からのみであり、支持部および連結部に局部的に加わる負荷を抑えることができる。これにより支持部の厚さを薄くすることができ、ケースとダンパとを一側面側からのみ取り付ける固着手段(例えば、一側面から差し込むネジ)によって容易に固着することができる。電気―機械振動変換器を構成するケース(上枠と下枠)とダンパ(ダンパに保持される磁気回路も含む)とを一側面側からのみのネジ止めによって固着することができる構成とすることにより、組立作業の容易化を図る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気−機械振動変換器の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電気−機械振動変換器の一形態を示す分解斜視図である。
電気―機械振動変換器1は、上枠2および下枠4とからなるケースと、ケースに内装される磁気回路を狭持したダンパ部3とから概略構成される。
上枠2は皿形状を有し、その中心部には円形の開口部5が形成されている。また、外周部にはネジ穴部2a、2b、2cが形成されている。下枠4は二段構造からなる略皿形状を有しており、その外周部にはネジ穴部4a、4b、4cが形成されている。また、下枠4の底部の中央部には、同心状に配置された径の相違する複数の環状のダンパ6が下枠4と一体に形成されている。更に、外周縁の底部からは、ケース内の磁気回路に電気信号を送信するリード線7が延びている。
【0020】
ダンパ部3は、大きさの異なる複数の環状(リング状)のダンパ(この形態では、環状のダンパ8a、8b)と、環状のダンパ8aの内側に保持される磁極を備えたヨーク部9とからなり、外側に配置されるダンパ8bの外周部には支持部3a、3b、3c(ネジ穴部3a、3b、3cともいう)が形成されている。ダンパ部3は下枠4内に嵌入されるように内装され、上枠2によってその上部が覆われる。各ネジ穴部2aと3aと4a、2bと3bと4b、2cと3cと4cが同一上の位置に重なるように各部材(上枠2、ダンパ部3、下枠4)が配置され、上枠2側から挿入されるネジによって固着される。
【0021】
図2は、各部材(図1に示す部材)を組立てたときの電気―機械振動変換器1の一部断面上面図である。上枠2とダンパ部3と下枠4は、各ネジ穴部2a〜2c、3a〜3c、4a〜4cにおいて上枠2側から差込まれるネジ11a、11b、11cによって固着されている。尚、上枠2の開口部5は上面蓋5aによって覆われている。
【0022】
図3は、図2のF−F線における断面図を示す。
環状のダンパ8aの内側に保持されたヨーク部9は、ダンパ8aとダンパ8bを介してケースに支持されている。
ヨーク部9は、中央に柱状部15を有するボトムプレート16と、環状のトッププレート17から構成されている。ボトムプレート16とトッププレート17との間には環状の磁極18が挟着されている。そして、トッププレート17の内縁とボトムプレート16の柱状部15の外縁との間に磁気的な環状の空隙19を形成して磁気回路を構成している。上枠3の中央部に形成された円形開口部5の縁には、鉛直方向へ延びる筒状のコイル枠20が設けられ、コイル枠20の所定の位置にコイル21が巻き付けられている。そして、このコイル21を巻き付けた部分が、上枠2を取り付けたときに前記空隙19内に配置される。
【0023】
また、環状のダンパは、ヨーク部9を保持しているヨーク保持部8aと、このヨーク保持部8aの外側に配置され外周部に支持部(3a、3b、3c)を備えてこれらの支持部においてケースに固着されるサスペンションバネ部8bから構成され、隣接する環状ダンパ間(ヨーク保持部8aとサスペンションバネ部8b間)は、複数の連結部によって連結されている。そして、これらの環状ダンパ(ヨーク保持部8aとサスペンションバネ部8b)によりケースとヨーク部9とが相対的に変位可能な構造となっている。
また、ボトムプレート16の底部には、下枠4の中央部(底部)に形成されている環状ダンパ6の一部が当接して設けられている。
【0024】
以上のような構造を有する電気−機械振動変換器1は、リード線7からコイル21に電気信号が伝送され、コイル21に発生する磁力と磁極18の磁力との間に生ずる磁気干渉作用によって、ダンパ8a、8b、8cを介してケースに支持されたヨーク部9とケースとが相対変化して体感音響振動が発生する。
【0025】
次に、ヨークをケース内に支持する環状(リング状)ダンパの一形態について図4に基づいて詳しく説明する。
図4に示すように、ダンパは大きさの異なる二重の環状(リング状)ダンパ8a、8bから構成されている。上述したものと同様に、内側の環状ダンパ、即ち、ヨーク保持部(以下、第一のダンパともいう)8aの内側にはヨーク部9が保持される。また、第一のダンパ8aの外側には、第一のダンパ8aを囲うように同形状(リングの断片部形状)を有した複数(この形態では、三個)のサスペンションバネ8b1、8b2、8b3からなるサスペンションバネ部(以下、第二のダンパともいう)8bが配設されている。
【0026】
各サスペンションバネ8b1、8b2、8b3の一方の端部26a、26b、26c(それぞれの端部の外周部)には、支持部3a、3b、3c(ネジ穴部3a、3b、3cともいう)が設けられ、各サスペンションバネ8b1、8b2、8b3は、ネジ穴部3a、3b、3cにおいてネジによりケースに固着される。また、各サスペンションバネ8b1、8b2、8b3の他方の端部には、連結部25a、25b、25cが設けられ、第一のダンパ8aと各サスペンションバネ8b1、8b2、8b3とは、この連結部25a、25b、25cによって連結されている。これら連結部は、第一のダンパ8aに対し、120°の間隔(等間隔)で設けられ、各サスペンションバネは連結部から第一のダンパ8aに沿うように延び、隣接するサスペンションバネの連結部の手前で支持部3a、3b、3cとなるように形成される。
【0027】
尚、この形態では三個のサスペンションバネを使用しているため、三個の支持部と三個の連結部によって磁気回路を支持する三点支持形態を採っているが、磁気回路が大きい場合には、四個あるいは五個のサスペンションバネを使用した四点あるいは五点支持形態を採ってもよい。その場合も上記三点支持と同様に設けられる。
【0028】
図5から図9は、図4に示すダンパのA−A線からF−F線における断面図である。
先ず、図5は、図4のA−A線における断面図である。
サスペンションバネ8b2の一方の端部26bの外周部には支持部3bが設けられている。また、サスペンションバネ8b2、8b3の内側には第一のダンパ8aが配設されている。各サスペンションバネ8b1〜8b3はいずれも同形状を有しており、支持部が設けられているサスペンションバネの端部の厚さ(図5において26bの厚さ)は、支持部が設けられていない中間部、即ち、端部以外の部分の厚さ(図5において8b3の厚さ)よりも厚く形成されている。支持部が設けられているサスペンションバネの端部の厚さは、支持部が設けられていない中間部の厚さの約2倍に形成されている。
【0029】
図6は、図4のB−B線における断面図である。
図に示されているサスペンションバネ8b1、8b2の断面部は、支持部(3a、3b)が設けられていない中間部の断面であり、その厚さは図5に示されている端部以外の部分の厚さ(8b3の厚さ)と同一である。また、サスペンションバネ8b1、8b2の内側にはヨーク保持部8aが配設されている。
【0030】
図7は、図4のC−C線における断面図であり、サスペンションバネ8b2の支持部3bが設けられている端部とは逆側の他方の端部の断面、即ち、第一のダンパ8aとサスペンションバネ8b2との連結部25bの断面、および第一のダンパ8aの断面を示している。
【0031】
図8は、図4のD−D線における断面図であり、第一のダンパ8aとサスペンションバネ8b2との連結部25bをサスペンションバネ8b2の長手方向に沿って切断したときの断面を示している。連結部25bの厚さは、連結部が設けられていない中間部、即ち、端部以外の部分の厚さ(図8において8b2の厚さ)よりも厚く形成されている。連結部が設けられているサスペンションバネの端部の厚さは、連結部が設けられていない中間部の厚さの約2倍に形成されている。即ち、連結部25a、25b、25cの厚さは、支持部26a、26b、26cの厚さと略同一の厚さに形成されている。
【0032】
図9は、図4のE−E線における断面図でり、サスペンションバネ8b1の支持部3aが設けられている端部26aをサスペンションバネ8b1の長手方向に沿って切断したときの断面を示している。図5において説明したものと同様に、支持部が設けられているサスペンションバネの端部の厚さ(図9において26aの厚さ)は、支持部が設けられていない中間部、即ち、端部以外の部分の厚さ(図5において8b1の厚さ)よりも厚く(約2倍に)形成されている。
尚、ダンパ部を構成するヨーク保持部、サスペンションバネ部、支持部、および連結部の部材としては、耐久性の高いエンジニアリングプラスティックを使用することが好ましいが、この他、例えば布入り積層板等を用いてもよい。
【0033】
このような形状を有するダンパを使用することにより、ダンパ部3が収納されるケース(上枠2および下枠4とからなる)と、ヨーク部9を保持しているヨーク保持部8aとの間には、第二のダンパであるサスペンションバネ部8b(サスペンションバネ8b1、8b2、8b3からなる)のみが配設される簡易な構造となるので、小型の電機―機械振動変換器であってもダンパの幅(サスペンションバネ部8bの幅)を比較的広く確保することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0034】
また、各サスペンションバネの端部のみを固着する(支持部をケースに固着、連結部をヨーク保持部に固着)構成を採るので、各サスペンションバネの長さ(固着される両端部間の距離)を大きくすることができる。これによりサスペンションバネによる振動の振幅を大きく得ることができるため、所定の振幅を確保したときのサスペンションバネの耐久性を向上させることができる。さらに各サスペンションバネの端部のみを固着する構成を採ることにより、振動によって支持部および連結部に加わるサスペンションバネ方向の負荷は一方向からのみとなるため、支持部および連結部に局部的に加わる負荷を抑えることができる。これにより支持部3a、3b、3cの厚さを薄くすることができ、ケースの一側面側(上枠2側)から取り付ける固着手段(例えば、上枠2側から差込むネジ)のみによってケース(上枠と下枠)とダンパ(ダンパに保持される磁気回路も含む)とを確実かつ容易に固着することができる。
【0035】
尚、ケースとダンパとを固着する手段としては、ネジを使用した場合に限定されるものではなく、例えば、ボトムプレート16とトッププレート17との間に狭着される磁極としてネオジウムやサマリウムコバルト等の小型で高性能のマグネットを用いる小型軽量の電気−機械振動変換器の場合には、ネジ11b(図3参照)の替わりにネジ11bと略同じ太さに形成したピンを用いて、ピンを下枠4に成形させておき(図1において下枠4のネジ穴部4a、4b、4cの位置に上枠2に向かって一体成形させておき)、そのピンをダンパ部3および上枠2に形成したピン穴(図1のネジ穴部3a、3b、3c、および2a、2b、2cに相当)に通してダンパ部3および上枠2を取り付け、上枠2側からリベットのようにピンを加熱溶着するものであってもよい。このように固着手段としてピンを使用することにより、ネジを使用する場合のようなナットのインサート成形を必要としないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る電気―機械振動変換器によれば、ヨーク保持部の外側に同形状を有した複数のサスペンションバネをヨーク保持部を囲うように配置させ、各サスペンションバネの一方の端部をケースに固着し、他方の端部をヨーク保持部に固着する構造を採っているので、各サスペンションバネの長さ(固着されている端部間の距離)を長くすることができ、振動による振幅を大きく取ることができる。よって、同一の振幅を得るのであればサスペンションバネの短いものと比較して耐久性を向上させることができる。また、上記のような構造を採っているので、各サスペンションバネの幅(断面積)を広くすることができ耐久性を高くしてサスペンションバネの破損を防止することができる。これにより、ダンパの材質を柔らかいものにすることができ、電気−機械振動変換器の性能を左右する重低音の振動を充分に得ることができるとともに、より大きな振動を安定して出力させることができる。
【0037】
また、本発明の請求項2に係る電気―機械振動変換器によれば、従来のように、サスペンションバネは端部に設けられた支持部(ネジ穴部)によって支持されるので、振動によりネジ穴部へ掛かる負荷はサスペンションバネの一方向からのみの負荷となるので、従来のようにサスペンションバネの両方向から局部的に掛かっていた大きな負荷を抑制することができる。よって、ネジ穴部の厚さを薄くすることができ、ケースとダンパ部との固定を電気―機械振動変換器の一側面側からのみのネジ止めで確実に行うことができる。これにより、組立作業が容易になり、製造工程における組立工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気−機械振動変換器の一形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る電気―機械振動変換器の一部断面上面図である。
【図3】図2に示す電気−機械振動変換器のF−F線における断面図である。
【図4】本発明に係る電気―機械振動変換器のダンパの一形態を示す図である。
【図5】図4に示すダンパのA−A線における断面図である。
【図6】図4に示すダンパのB−B線における断面図である。
【図7】図4に示すダンパのC−C線における断面図である。
【図8】図4に示すダンパのD−D線における断面図である。
【図9】図4に示すダンパのE−E線における断面図である。
【図10】従来の電気−機械振動変換器の構造を示す断面図である
【図11】従来の電気−機械振動変換器のダンパの一形態を示す図である。
【符号の説明】
1 電気―機械振動変換器
2 上枠
3 ダンパ部
3a、3b、3c ネジ穴部
4 下枠
8a ヨーク保持部(第一のダンパ)
8b サスペンションバネ部(第二のダンパ)
8c 内部応力放出撓み環部(第三のダンパ)
9 ヨーク部
25a、25b、25c 内側連結部
26a、26b、26c 外側連結部
Claims (3)
- 磁極を備えたヨークにより磁気的な空隙を形成し、前記ヨークをケース内にダンパによって支持するとともに前記空隙内にコイルを配置させ、前記ヨークと前記ケースとが相対変位可能である体感音響装置用の電気−機械振動変換器において、
前記ケースは、外周部にはネジ穴部が形成され、中央部に形成された開口部の縁には鉛直方向へ延びる、コイルの巻き付けられた筒状のコイル枠が設けられている上枠と、低部を有し、外周部にはネジ穴部が形成されている下枠とからなり、
前記ダンパは、前記下枠内に嵌入されるように内装され、一重の環状から成り、その内側にヨークを保持しているヨーク保持部と、該ヨーク保持部を囲うように該ヨーク保持部の外側に同心円状で一重に、且つ、隣接するもの同士が重なり合わないように配置された、リングの断片部形状を有する、複数の同型サスペンションバネからなるサスペンションバネ部とを備え、
前記サスペンションバネ部は、各サスペンションバネの一方の端部に設けられた支持部を介して前記ケースに固着されるとともに、
前記サスペンションバネ部と前記ヨーク保持部とは、前記各サスペンションバネの端部とは逆の他方の端部に設けられた連結部によって連結され、
前記支持部と前記連結部が設けられているサスペンションバネの端部の厚さは、前記支持部と前記連結部が設けられていない中間部の厚さよりも厚く形成され、前記支持部と前記連結部が設けられていない中間部の前記支持部と前記連結部の近傍の厚さは、前記支持部と前記連結部に近づくに従って徐々に厚く形成されていることを特徴とする体感音響装置用電気−機械振動変換器。 - 前記下枠の底中央部には、環状ダンパーが下枠と一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の体感音響装置用電気−機械振動変換器。
- 前記上枠と前記下枠および前記ヨークを支持するダンパとは、前記上枠と下枠のネジ穴部および前記サスペンションバネの支持部を介して、前記上枠側からのみ取り付けられる固着手段によって固着されることを特徴とする請求項1または2に記載の体感音響装置用電気−機械振動変換器。
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