JP3786857B2 - プレモールドゴム絶縁筒を用いたプラスチック絶縁電力ケーブル接続部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック絶縁電力ケーブルの接続に用いるプレモールドゴム絶縁筒、特に、構造を簡略化、低コスト化することを可能としたプレモールドゴム絶縁筒を装着したプラスチック絶縁電力ケーブルの接続部に関する。
【0002】
【従来の技術】
架橋ポリエチレン絶縁に代表されるプラスチック絶縁電力ケーブルは、その優れた絶縁性と取り扱い容易さによって急速に汎用化の道をたどってきている。それに伴い、ケーブル接続作業の総数が増大し、これらの作業の簡素化、短時間化に対する要求が大きくなっている。
【0003】
近年、接続時間が短く、簡単に接続可能なジョイントとして、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層で形成されたゴムブロックを用いたプレハブ型接続部や、さらには図4に示す1ピース・プレモールドゴム絶縁筒を装着した接続部が実用化されている。
【0004】
図4に示す接続部は、導体2の接続部およびケーブル絶縁体5を覆い、且つケーブル外部半導電層6に跨るように、これらの外周に装着されたプレモールドゴム絶縁筒20と、図示されていないが、絶縁筒20を覆う2つ割り型の保護カバーと、その両端に形成された防水処理部とを備えている。図4に示すプレモールドゴム絶縁筒20は、一般に絶縁性能が高く、また成形加工性に優れたエチレンプロピレンゴムをベースゴムとして使用し、内部半導電層21、補強絶縁層22および外部半導電層23とが一体的にモールド成形された、全体で1つの部品(1ピース)で構成されており、接続施工面で簡略化が進められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のプレモールドゴム絶縁筒の製作には各層ごとに金型が必要であり、製作時間,コストがかかってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、プレモールドゴム絶縁筒の構造を簡略化することにより製作時間の短縮化を図ると共に、ゴム絶縁筒をコンパクトにして接続部の組立作業の簡素化を図り、接続部の形成に要する費用を低減させるものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明においては、従来、電界遮蔽,電界コントロール用に必要であったゴム絶縁筒の内部電極である内部半導電層を省略し、変わりに、ゴム絶縁筒の内部全面に高誘電体ゴム層を設けて、電界をコントロールするものである。
【0008】
すなわち、本発明は、プラスチック絶縁電力ケーブルの端部を段剥ぎされて露出した2本の導体の端部を導体接続管の両側から挿入し、これを圧縮することにより形成された導体接続部とその両側のケーブル絶縁体を覆い、且つケーブル外部半導電層に跨るように、これらの外周に装着されたプレモールドゴム絶縁筒を備え、このプレモールドゴム絶縁筒は、ゴム系材料をベースにして形成された複数層からなるプラスチック電力ケーブル接続用のプレモールドゴム絶縁筒であって、内層全面に少なくとも比誘電率の高誘電体ゴム層が形成されており、かつ内面中央部に断面がシート状の半導電層を一体に形成された内部電極を有し、前記内部電極の両端は鋭角なテーパに形成してあり、このテーパ面と前記高誘電体ゴム層との境界面に高誘電体油層を設けた構成であり、前記プレモールドゴム絶縁筒の外部半導電層と前記ケーブル外部半導電層とを、半導電性ゴムテープ巻回部によって電気的に接続してあることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るプレモールドゴム絶縁筒10の構成を示す断面図である。このプレモールドゴム絶縁筒10は、絶縁性能が高く、また成形加工性に優れたエチレンプロピレンゴムをベースゴムとして使用し、高誘電体ゴム層11、絶縁層12および外部半導電層13とが一体的にモールド成形された、全体で1つの部品(1ピース)で構成されている。このゴム絶縁筒10の成形は、金型中子に高誘電体ゴムテープを巻きつけたうえで金型(外型)をセットして、あるいは、高誘電体ゴムチューブを予め押出し成形しておき、これを金型中子にセットしたうえで金型をセットして、金型内に絶縁ゴム層および外部半導電層を押出し成形したのち、加熱モールドするものである。
【0013】
図2は本発明に係るプレモールドゴム絶縁筒10の他の実施例の構成を示す断面図である。図2のプレモールドゴム絶縁筒10は、図1の構成のゴム絶縁筒の内面中央部に断面がシート状の内部電極14である半導電層を一体に成形したものである。この場合の成形は、金型中子に半導電ゴムテープと高誘電体ゴムテープを巻きつけ、あるいは、予め各々のチューブに成形したものを金型中子にセットし、上述の成形法と同様に成形できる。また、拡大図に示したように、前記内部電極14の両端部は鋭角なテーパ面に形成してあり、内部電極14のテーパ面と高誘電体ゴム層11の境界面(隙間)に高誘電体油15を充填しておくことによりボイドレスとする。
【0014】
図3は本発明に係るプレモールドゴム絶縁筒10を用いたプラスチック絶縁電力ケーブル接続部Nの主要構成を示す断面図である。この接続部Nは、プラスチック絶縁電力ケーブルの端部が段剥ぎされて露出した2本の導体2の端部を導体接続管3の両側から挿入し、これを圧縮することにより形成された導体接続部4とその両側のケーブル絶縁体5を覆い、且つケーブル外部半導電層6に跨るように、これらの外周に装着されたプレモールドゴム絶縁筒10とで構成される。なお、7は導体接続部4を覆うように設けられて導体2とプレモールドゴム絶縁筒10の内部電極14とを電気的に接続する金属製または導電性ゴムの導体接続管3のカバーであり、8はプレモールドゴム絶縁筒10の外部半導電層13とケーブル外部半導電層6とを電気的に接続する半導電性ゴムテープ巻回部である。さらに図示していないが、外側には全体を覆うように保護カバーおよびその両端とケーブルシース間を液密に密封する防水処理部が設けられている。
【0015】
また、図3におけるプレモールドゴム絶縁筒10を図1に示すプレモールドゴム絶縁筒を使用し、導体接続部4の外周に半導電テープを巻き内部電極を形成することも可能である。この場合は、半導電テープ巻回層の先端部に高誘電体油を塗布して前記のプレモールドゴム絶縁筒を装着する。
【0016】
なお、プレモールドゴム絶縁筒10の高誘電体ゴム層11の比誘電率を少なくとも10としたのは、ケーブル外部半導電層端部、あるいは導体接続部上の内部半導電層先端部の電界傾度の低減を図り、必要な電気絶縁性能を得るための下限であるからである。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴム絶縁筒の構造が簡略化されたことで、各層ごとの金型は不要となり、製作時間,製造コストは大幅に低減できる。これを用いたプラスチック絶縁電力ケーブル接続部において、ゴム絶縁筒の内層が高誘電体ゴム層で形成されてなることから、ケーブル絶縁体とゴム絶縁筒の界面の電界を緩和することができる。その結果、ゴム絶縁筒の絶縁厚を薄くすることが可能となり、そのゴム絶縁筒の寸法をコンパクトにし、その取扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレモールドゴム絶縁筒の半部縦断面図である。
【図2】本発明に係るプレモールドゴム絶縁筒の他の実施例の半部縦断面図である。
【図3】本発明に係るプレモールドゴム絶縁筒を用いたCVケーブルの接続部の主要構成を示す半部断面図である。
【図4】従来のプレモールドゴム絶縁筒を用いたCVケーブル接続部の半部断面図である。
【符号の説明】
N 中間接続部
1 CVケーブル
2 導体
3 導体接続管
5 ケーブル絶縁体
6 ケーブル外部半導電層
10 プレモールドゴム絶縁筒
11 高誘電体ゴム層
12 絶縁層
13 外部半導電層
14 内部電極
15 高誘電体油
Claims (1)
- プラスチック絶縁電力ケーブルの端部を段剥ぎされて露出した2本の導体(2)の端部を導体接続管(3)の両側から挿入し、これを圧縮することにより形成された導体接続部(4)とその両側のケーブル絶縁体(5)を覆い、且つケーブル外部半導電層(6)に跨るように、これらの外周に装着されたプレモールドゴム絶縁筒(10)を備え、このプレモールドゴム絶縁筒(10)は、ゴム系材料をベースにして形成された複数層からなるプラスチック電力ケーブル接続用のプレモールドゴム絶縁筒であって、内層全面に少なくとも比誘電率10の高誘電体ゴム層(11)が形成されており、かつ内面中央部に断面がシート状の半導電層を一体に形成された内部電極(14)を有し、前記内部電極(14)の両端は鋭角なテーパに形成してあり、このテーパ面と前記高誘電体ゴム層(11)との境界面に高誘電体油層(15)を設けた構成であり、前記プレモールドゴム絶縁筒(10)の外部半導電層(13)と前記ケーブル外部半導電層(6)とを、半導電性ゴムテープ巻回部(8)によって電気的に接続してあることを特徴とするプラスチック絶縁電力ケーブル接続部。
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