JP3786620B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば流体圧シリンダや電動シリンダ等のアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の車体組立現場等のように溶接作業を自動的に行う設備では、流体圧シリンダ等のアクチュエータが多用されている。例えば、流体圧シリンダは、ロッド先端に溶接機の電極を保持してロッドを進退させることにより電極を所定の溶接部位に配置させたり、ロッド上に被溶接体を支持してロッドを進退させることにより被溶接体を所定の溶接部位に配置させたりする等の用途がある。
【0003】
これら各用途で用いられる流体圧シリンダは、ロッドがシリンダ本体から突出した状態で溶接が行われるのが一般的である。そのため、ロッドには溶接部位から飛び出したスパッタが付着する。このスパッタが付着したロッドがシリンダ本体内に没入すると、スパッタによってロッドパッキン等を傷めてしまい、シリンダ室からの流体漏れの原因となる。
【0004】
この流体漏れが発生すると、流体圧シリンダを交換しなければならないばかりか、場合によっては溶接作業途中で生産ラインを一旦止めなければならないこともあって、生産効率上の不利益も大きい。
【0005】
そこで、スパッタ対策として、一般的に、流体圧シリンダのロッドカバー内にスクレーパを設け、そのスクレーパによりロッド表面に付着したスパッタを掻き取るようにしていた。このスクレーパの掻き取り作用により、同スクレーパよりもシリンダ本体側へスパッタが入り込むことがなくなって、ロッドパッキンが破損するのを防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したスクレーパではスポット溶接であればある程度の掻き取り効果を奏するが、アーク溶接のように連続的なスパッタが飛び出すものでは、ロッドに到達するスパッタの量が多く、ロッドの外周面に形成されたメッキ層に付着しやすい。そのため、スクレーパでスパッタが掻き取られるとメッキ層ごと剥がれてしまう。実際、スクレーパを有する流体圧シリンダでは、アーク溶接に用いると数ヶ月で寿命に達していた。勿論、スポット溶接といえども満足のいく寿命ではない。
【0007】
このような問題を解決しようとする技術として、特開平11−320184号公報が提案されている。この公報では、ロッドの外周面にスパッタが付着しにくくするために、メッキ処理によって潤滑被覆層をロッドの表面に形成している。ところが、この構成では、長期の使用によってロッドの摺動回数数が多くなるのに伴い潤滑被覆層自体が摩損するため、同潤滑被覆層によるスパッタ付着防止機能が極端に低下することとなる。このような場合には、潤滑被覆層が形成されている新しいロッドに交換することが考えられるが、アクチュエータの分解作業は非常に面倒である。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、アクチュエータの摺動面に対するスパッタの付着を抑えるとともに、その付着防止機能を長期に亘り維持することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
請求項1に記載の発明では、アクチュエータ本体と、アクチュエータ本体に接しながらその軸線方向に沿って移動可能な移動部材とを設け、アクチュエータ本体と移動部材とのうちいずれか一方に外部に露出する摺動面を有するアクチュエータにおいて、前記アクチュエータ本体と移動部材との境界部に設けられた収容空間部に、移動部材が移動するのに伴い前記摺動面に塗布されるスパッタ付着防止剤を収容したことを要旨とする。
【0010】
この構成とすれば、移動部材が移動すると、摺動面にスパッタ付着防止剤が塗布されることにより、摺動面にスパッタ付着防止剤による塗膜が形成される。この塗膜形成により、スパッタが摺動面に付着しにくくなる。移動部材が移動するたびに、スパッタ付着防止剤による新たな塗膜が形成されることから、スパッタの付着防止機能を長期に亘り維持することができる。
【0011】
(請求項2の発明)
請求項2に記載の発明では、アクチュエータ本体に対し出没可能なロッドを備えたアクチュエータにおいて、前記アクチュエータ本体に設けられた収容空間部に、前記アクチュエータ本体からロッドが突出するのに伴いその摺動面に塗布されるスパッタ付着防止剤を収容したことを要旨とする。
【0012】
この構成とすれば、ロッドが突出すると、その摺動面にスパッタ付着防止剤が塗布されることにより、摺動面にスパッタ付着防止剤による塗膜が形成され、スパッタが摺動面に付着しにくくなる。ロッドが出没するたびに、スパッタ付着防止剤による新たな塗膜が繰り返し形成されることから、スパッタの付着防止機能を長期に亘り維持することができる。
【0013】
(請求項3の発明)
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載のアクチュエータにおいて、前記収容空間部には、弾性を有するとともに多孔質なる含浸部材が前記摺動面に接するように設けられ、この含浸部材に前記スパッタ付着防止剤が含浸されていることを要旨とする。
【0014】
この構成にすれば、含浸部材から染み出るスパッタ付着防止剤が摺動面に塗布される。このことから、摺動面に対しスパッタ付着防止剤を過不足無く塗布することができるとともに、スパッタ付着防止剤を長期に亘って保持することができる。
【0015】
(請求項4の発明)
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載のアクチュエータにおいて、前記アクチュエータ本体には、一端部が前記収容空間部に通じるとともに、他端部が外部に開放されている補給通路が設けられ、その補給通路からスパッタ付着防止剤が補給されることを要旨とする。
【0016】
この構成にすれば、収容空間内にあるスパッタ付着防止剤が無くなった場合には、補給通路からスパッタ付着防止剤が新たに補給される。このことから、アクチュエータ本体を分解するようなことをして収容空間部にスパッタ付着防止剤を補給しなくて済む。よって、アクチュエータのメンテナンスが行い易くなる。
【0017】
(請求項5の発明)
請求項5に記載の発明では、請求項2〜4のうちいずれか一項に記載のアクチュエータにおいて、前記アクチュエータ本体は、流体圧によって前記ロッドを移動させるピストンが収容されたシリンダチューブと、ロッドが挿通されるロッドカバーとから構成され、このロッドカバーには、前記収容空間部に通じるとともに、そこから漏れ出るスパッタ付着防止剤を溜めておくための貯留部が設けられていることを要旨とする。
【0018】
この構成にすれば、ロッドが出没するのに伴い収容空間部から過剰なスパッタ付着防止剤が漏れ出るが、この漏れ出たスパッタ付着防止剤は貯留部に溜められる。そのため、スパッタ付着防止剤がロッドの摺動面に対して適度な量でもって塗布されることなる。従って、貯留部を設けることでスパッタ付着防止剤の塗布量を調節する機能を持たせることができる。
【0019】
(請求項6の発明)
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載のアクチュエータにおいて、前記貯留部はロッドの外周に沿って円環状をなし、前記収容空間部側における貯留部の径は、反収容空間部側の径よりも小さく設定されていることを要旨とする。
【0020】
この構成にすれば、収容空間部に設けられている含浸部材は、ロッドの出没動作に伴い、ロッドの移動する方向に沿って位置ずれしようとする。しかし、収容空間部側の貯留部の径は小さく設定されていることから、含浸部材が貯留部に引き込まれるのを防止することができる。
【0021】
(請求項7の発明)
請求項7に記載の発明では、請求項2〜6のうちいずれか一項に記載のアクチュエータにおいて、前記ロッドカバーには、ロッドの外周面に付着した異物を掻き取るスクレーパと、ロッドに摺接されるロッドパッキンとが装着され、前記収容空間部はスクレーパとロッドパッキンとの間に配置されていることを要旨とする。
【0022】
この構成にすれば、仮にロッドの摺動面にスパッタが残留していたとしても、その付着力は非常に小さいものであるため、スクレーパで簡単に掻き取ることができる。又、ロッドの摺動面にスパッタ以外の異物が付着したとしても、スクレーパで掻き取ることができるため、ロッドパッキンの耐久性をよりいっそう向上することができる。
【0023】
(請求項8の発明)
請求項8に記載の発明では、請求項2〜7のうちいずれか一項に記載のアクチュエータにおいて、前記含浸部材には、アクチュエータ本体とロッドとの摺動摩擦を低減するための潤滑剤が含浸されていることを要旨とする。
【0024】
この構成にすれば、ロッドの摺動抵抗が低減し、その摺動面が摩耗するのを抑制することが可能になる。そのため、上述したスパッタ付着防止機能に加え、アクチュエータの動作性及び寿命が低下するのを防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1,図2に示すように、アクチュエータとしての流体圧シリンダ11は、筒状のシリンダチューブ12を備えている。シリンダチューブ12の両端開口部のうち、図1の右側に位置する一方の開口部はヘッドカバー15によって閉塞され、左側に位置する他方の開口部はロッドカバー16によって閉塞されている。これらシリンダチューブ12とヘッドカバー15とによってアクチュエータ本体が構成されている。
【0026】
シリンダチューブ12の一端部には、第1流体給排ポート13が形成されている。この第1流体給排ポート13は、流路18を介してシリンダチューブ12の内部空間に連通している。シリンダチューブ12の他端部には、第2流体給排ポート14が形成されている。この第2流体給排ポート14は、流路19を介して、シリンダチューブ12の内部空間に連通している。
【0027】
シリンダチューブ12の内部空間には、ピストン25がシリンダチューブ12の長手方向に沿って摺動可能に収容されている。シリンダチューブ12の内部空間は、このピストン25の存在によって2つの圧力作用室27,28に区画されている。ヘッド側圧力作用室27には第1流体給排ポート13が連通されている一方、ロッド側圧力作用室28には第2流体給排ポート14が連通されている。ピストン25には移動部材としてのロッド29が一体的に設けられ、このロッド29はロッドカバー16に貫通形成されたロッド挿通孔30を介して外部に突出されている。
【0028】
第1流体給排ポート13から圧力流体を供給するとともに第2流体給排ポート14から圧力流体を排出することにより、ピストン25がロッド側圧力作用室28側へ移動してロッド29が突出される。一方、第2流体給排ポート14から圧力流体を供給するとともに第1流体給排ポート13から圧力流体を排出することにより、ピストン25がヘッド側圧力作用室27側へ移動してロッド29が没入される。ロッド29が出没するとき、その外周面がロッドカバー16の内周面に摺動される。従って、本実施形態においては、ロッド29の外周面が特許請求の範囲に記載した摺動面となっている。
【0029】
ロッドカバー16のロッド挿通孔30に対応する内周面には、円環状のパッキン収容溝31が形成され、このパッキン収容溝31には柔軟性を有するゴム製のロッドパッキン32が収容されている。このロッドパッキン32によって、ロッド29の外周面とロッド挿通孔30の内壁面とのシールが図られている。
【0030】
ロッドパッキン32は一対のリップがピストン25側に向けられたU字形状をなし、ロッド側圧力作用室28内に圧力が作用したとき両リップが互いに拡開してロッドカバー16とロッド29との間からの流体漏れを防止する。又、ロッドパッキン32は反ピストン25側に向けられたスクレーパ部32aを有し、そのスクレーパ部32aは常時ロッド29に接しておりロッド29の外周面に付着したスパッタを掻き取る。
【0031】
ロッドカバー16のロッド挿通孔30に対応する内周面には、円環状をなす2つのスクレーパ収容溝33,34が間隔をおいて形成されている。ロッドカバー16の外側に位置する一方のスクレーパ収容溝33には金属スクレーパ35が収容され、内側に位置する他方のスクレーパ収容溝34にはゴムスクレーパ36が収容されている。
【0032】
金属スクレーパ35は金属板材をコイル状に巻回した形状をなし、その内径はロッド29よりも小径となるように形成されている。そして、金属スクレーパ35を拡径させた状態で、同金属スクレーパ35にロッド29が嵌合されている。金属スクレーパ35は自身の有するバネ力によって常にロッド29の外周面に圧接され、ロッド29の外周面に付着したスパッタを掻き取る。
【0033】
前記ゴムスクレーパ36は、硬質ゴムによって円環状に形成されており、反ピストン25側に向けられたスクレーパ部36aを有している。そのスクレーパ部32aは、常時ロッド29に接しており、ロッド29の外周面に付着したスパッタを掻き取る。この実施形態においては、ゴムスクレーパ36は、金属スクレーパ35よりもピストン25側(ロッドカバー16の内側)に配置されている。そのため、金属スクレーパ35で掻き取り損ねた細かいスパッタがゴムスクレーパ36によって掻き取られる。
【0034】
次に、本実施形態の要部について説明する。
図2に示すように、ロッドカバー16のロッド挿通孔30において、スクレーパ収容溝33,34とロッドパッキン32との間に位置する箇所には、円環状をなす収容空間部としての収容溝40が形成されている。別の言い方をすれば、収容溝40は、ロッドカバー16とロッド29との境界部に位置しているとも捉えることができる。この収容溝40には、内部に多数の気泡が形成された多孔質なる含浸部材41が収容されている。含浸部材41は弾性を有し、その内径がロッド29よりも小径となるように形成されている。そのため、収容溝40に含浸部材41が収容された状態では、その内周面は常にロッド29の外周面に圧接されている。
【0035】
この含浸部材41にはスパッタ付着防止剤が含浸されている。そして、ロッド29の出没動作に伴い含浸部材41からスパッタ付着防止剤が染み出るとともに、その外周面に塗布されることで、スパッタ付着防止剤による塗膜が形成される。スパッタ付着防止剤は、溶接部位から飛び出したスパッタがロッド29の外周面に対し付着しにくくする効力がある。本実施形態で用いられるスパッタ付着防止剤の効力としては、上述したようにスパッタの付着力を非常に弱くする以外にも、冷却効果、潤滑性、難燃性、臭気性、防錆性がある。
【0036】
このような効力を発揮させるスパッタ付着防止剤の成分としては以下に示すようになっている。すなわち、水溶性タイプの石油炭化水素が40%、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが6%、石油スルフォン酸ナトリウムが4%、水が50%となっている。なお、スパッタ付着防止剤の成分の割合は、溶接環境条件等に応じてそれぞれの成分を所定の範囲内において任意に変更することが可能である。
【0037】
なお、スパッタ付着防止剤とグリース等の潤滑剤とを所定の割合で混合し、それを前記含浸部材41に含浸させることも可能である。この構成とすれば、スパッタ付着防止剤によるスパッタ付着防止効果に加え、ロッド29に高い潤滑性を持たせることができ、ロッド29をスムーズに往復動させることができる。
【0038】
前記ロッドカバー16において収容溝40とパッキン収容溝31との間に位置する箇所には、含浸部材41から漏れ出るスパッタ付着防止剤を溜めておくための貯留部42が形成されている。この貯留部42は円環状に形成されており、その一端(図2の左側端部)は収容溝40に連通されているとともに、他端(図2の右側端部)はパッキン収容溝31に連通されている。又、貯留部42の中央部分は段差状に形成されており、この段差の存在により貯留部の径は収容溝40側とパッキン収容溝31側とで異なっている。すなわち、貯留部42の径は、収容溝40側の方がパッキン収容溝31側(反収容溝40側)よりも小さく設定されている。このように設定したのは、ロッド29の出没動作伴ってその軸線方向に位置ずれしようとする含浸部材41が貯留部42内に食い込むのを防止するためである。又、貯留部42に隣接してロッドパッキン32自体にもスクレーパ部32aが位置しているため、貯留部42内にスパッタ付着防止剤が保持されるようになっている。
【0039】
ロッドカバー16とシリンダチューブ12には、その径方向に沿って延びる補給通路43が形成されている。その補給通路43の一端部は貯留部42に連通され、他端部は外部に開放されている。そして、外部から補給通路43を介してスパッタ付着防止剤が収容溝40に補給可能となっている。
【0040】
次に、上記のように構成された流体圧シリンダ11の作用について説明する。車両の車体組立現場の溶接作業を自動的に行う設備として、上記流体圧シリンダ11が多数用いられる。ある流体圧シリンダ11は、ロッド29の先端に溶接装置の電極が保持されていて、ロッド29を突出させることにより電極を所定の溶接位置に配置させる一方、ロッド29を没入させることにより電極を溶接位置からの退避位置に配置させる。又、別の流体圧シリンダ11は、ロッド29上にワークすなわち被溶接体を支持し、ロッド29を突出させることにより被溶接体を所定の溶接位置に配置させる一方、ロッド29を没入させることにより被溶接体を溶接位置からの退避位置に配置させる。更に、別の流体圧シリンダ11は、ロッド29の先端に押圧具を装着し、ロッド29を突出させることにより所定の溶接位置に配置された被溶接体をその位置に固定する一方、ロッド29を没入させることにより被溶接体の固定を解除する。
【0041】
以上の各部位において用いられる各流体圧シリンダ11のロッド29の進退は、両流体給排ポート13,14への圧力流体の給排に基づいて行われる。ここで、溶接作業は、上記各流体圧シリンダ11のロッド29が突出した状態で行われる。すると、溶接部位から飛び出したスパッタがロッド29の外周面に付着しようとするが、ロッド29の外周面にはスパッタ付着防止剤の塗膜が形成されているため、スパッタのほとんどは付着しない。スパッタが付着したとしても、非常に低い付着力でロッド29の外周面に付着する。
【0042】
溶接作業完了後、両流体給排ポート13,14への圧力流体の給排に基づいてロッド29がシリンダチューブ12内に没入される。この没入の際、ロッド29の外周面に僅かに付着したスパッタは金属スクレーパ35によって掻き取られる。ここでスパッタの大半は掻き取られるものの、ロッド29の外周面には極めて細かいスパッタが残る。この残留スパッタはゴムスクレーパ36によって更に掻き取られる。それとともに、含浸部材41の内周面にロッド29が摺動するため、ロッド29の外周面にスパッタ付着防止剤が塗布される。
【0043】
その結果、ゴムスクレーパ36よりもシリンダチューブ12の内部側へはスパッタが入り込むことがなく、ロッドパッキン32が破損に至ることが防止される。なお、ロッドパッキン32自体にもスクレーパ部32aが設けられていることから、両スクレーパ35,36で掻き取れなかった微細スパッタが最終的に掻き取られ、更にロッドパッキン32よりも内部側へスパッタ以外の異物である塵埃等が入り込むこともない。よって、スパッタ付着防止剤による塗膜が形成されない流体圧シリンダと比べ寿命に至るまでの期間を非常に長くすることができる。
【0044】
次回の溶接作業がなされるときにロッド29は再び突出するが、この突出動作においても上述した没入動作と同様に、含浸部材41の内周面にロッド29が摺動するため、ロッド29の外周面にスパッタ付着防止剤が塗布される。要するに、ロッド29が出没するたびに、その外周面にはスパッタ付着防止剤が塗布される。そして、以上説明した一連の溶接作業が繰り返されても、スパッタ付着防止剤による塗膜が形成された状態を長期に亘って維持することができるので、結果的に流体圧シリンダ11の寿命を長くすることとなる。
【0045】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)ロッド29の外周面にスパッタ付着防止剤の塗膜が形成されるため、ロッド29の外周面にスパッタが付着しにくくなる。例えスパッタが付着したとしても、その付着力を非常に小さくすることができ、金属スクレーパ35及びゴムスクレーパ36で簡単に掻き取ることができる。それとともに、スパッタの付着力が小さいので、ロッド29の外周面にメッキ処理が施されていても、各スクレーパ35,36で掻き取ったときにメッキ層ごと剥がれてしまうのを防止することができる。しかも、ロッド29が出没するたびに、スパッタ付着防止剤の塗膜が繰り返し形成されるため、スパッタの付着防止機能を長期に亘って維持することができる。
【0046】
(2)ロッドカバー16に形成された収容溝40には、スパッタ付着防止剤が含浸された含浸部材41が収容されている。そして、含浸部材41からスパッタ付着防止剤が染み出ることにより、ロッド29の外周面にスパッタ付着防止剤を過不足無く塗布することができる。つまり、スパッタ付着防止機能が低下しない程度にスパッタ付着防止剤を均等にかつ無駄なく塗布することができる。よって、スパッタ付着防止剤を長期に亘って収容溝40内に保持することができる。
【0047】
(3)アクチュエータ本体を構成するシリンダチューブ12及びロッドカバー16にはスパッタ付着防止剤を追加するための補給通路43が形成されている。そのため、含浸部材41に含浸されているスパッタ付着防止剤が少なくなってきた場合に、シリンダチューブ12からロッドカバー16を取り外すといった分解作業を行うことなく、含浸部材41にスパッタ付着防止剤を簡単に補給することができる。
【0048】
(4)ロッドカバー16には、収容溝40に通じる貯留部42が形成されているため、含浸部材41に含浸された余剰なスパッタ付着防止剤が貯留部42に排出されることで、スパッタ付着防止剤の塗布量を調節することができる。これにより、ロッド29の外周面に対してスパッタ付着防止剤をよりいっそう過不足無く塗布することができる。しかも、貯留部42の径は、収容溝40側がパッキン収容溝31側よりも小さく設定されていることから、比較的柔らかい含浸部材41が貯留部42に食い込むのを防止することができ、ロッド29の動作が不安定になるのを防止できる。
【0049】
(5)含浸部材41よりも外側(反ピストン25側)には、2つのスクレーパ、つまり金属スクレーパ35とゴムスクレーパ36とが配置されている。そのため、ロッド29の外周面にスパッタが付着していたとしても、これら2つのスクレーパにより確実にスパッタを掻き取ることができる。特に、金属スクレーパ35によって大きなスパッタを掻き取ることができ、ゴムスクレーパ36では金属スクレーパ35で掻き取れなかった細かいスパッタを掻き取ることができる。よって、ロッド29の外周面が著しく荒れるのを防止でき、ロッド29の作動不良を確実に防止することができる。
【0050】
(6)本実施形態で用いられるスパッタ付着防止剤は、本来の機能であるスパッタ付着防止すること以外に、潤滑性も非常に高いため、ロッド29の摺動性が低下するのを防止することができる。
【0051】
(7)含浸部材41に含浸されているスパッタ付着防止剤が少なくなってきた場合には、ロッドカバー16に形成された補給通路43を介してスパッタ付着防止剤を補給することができる。そのため、スパッタ付着防止機能をよりいっそう長期に亘って維持することができる。それとともに、含浸部材41にスパッタ付着防止剤を補給するのにロッドカバー16を分解する必要がないため、メンテナンス性を高くすることができる。
【0052】
(別の実施形態)
本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・流体圧を利用したアクチュエータの一種として、ロッドを備えないタイプのロッドレスシリンダに具体化してもよい。具体的に説明すると、図5に示すように、マグネット式ロッドレスシリンダ51では、間隔をおいて設けられた一対のヘッドカバー52間にシリンダチューブ53が架設されている。この実施形態では、ヘッドカバー52とシリンダチューブ53とからアクチュエータ本体が構成されている。シリンダチューブ53の内側には、ピストン54が移動可能に収容されている。ピストン54の両端側には、それぞれ圧力作用室59,60が区画されている。シリンダチューブ53の外側に配設された移動部材としてのスライダ55には挿通孔56が形成され、その挿通孔56にはシリンダチューブ53が挿通されている。
【0053】
ピストン54及びスライダ55には永久磁石57,58がそれぞれ設けられており、スライダ55とピストン54との間には磁気吸引力が常時作用している。従って、圧力作用室59,60への圧力流体の給排を行うと、ピストン54とスライダ55とが一体的に往復動するようになっている。つまり、一方の圧力作用室59に圧力流体を供給すると、ピストン54及びスライダ55は図5の右側に移動し、他方の圧力作用室60に圧力流体を供給すると、ピストン54及びスライダ55は図5の左側に移動する。このロッドレスシリンダ51においては、スライダ55の内周面が特許請求の範囲に記載した摺動面となっている。
【0054】
このような、ロッドレスシリンダ51では、移動部材であるスライダ55の内周に収容溝40が形成され、その収容溝40にスパッタ付着防止剤が含浸された含浸部材41が環状の収容されている。そして、スライダ55が移動するたびに、含浸部材41の内周面がシリンダチューブ53の外周面に対して摺動することにより、スパッタ付着防止剤の塗膜がシリンダチューブ53に形成されるようになっている。以上のように、ロッドレスシリンダ51では、前記実施形態に示す流体圧シリンダ11と異なり、移動部材であるスライダ55の方に収容溝40及び含浸部材41を設け、アクチュエータ本体を構成するシリンダチューブ53の外周面にスパッタ付着防止剤を塗布している。
【0055】
・流体圧以外のモータ等を駆動源とした電動アクチュエータ等への適用も勿論可能である。例えば、電動アクチュエータへ適用した場合にはスパッタや塵埃等の異物がアクチュエータ本体内部に設けられた伝達機構に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0056】
・前記実施形態では補給通路43を貯留部42に連通したが、図3に示すように、貯留部42の内端部を収容溝40に直接連通させるようにしてもよい。
・図4に示すように、収容溝40に2つの含浸部材41を収容し、一方の含浸部材41にスパッタ付着防止剤を含浸させ、他方の含浸部材41にグリース等の潤滑剤を含浸させてもよい。この構成とすれば、ロッド29をよりいっそう滑らかに摺動させることができる。
【0057】
・前記実施形態では、収容溝40に含浸部材41を収容し、その含浸部材41にスパッタ付着防止剤を含浸させるようにした。この構成以外にも、含浸部材41を省略し、収容溝40内にスパッタ付着防止剤のみを注入してもよい。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、アクチュエータの摺動面に対するスパッタの付着を抑えることができるとともに、その付着防止機能を長期に亘り維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態における流体圧シリンダの断面図。
【図2】同じく要部拡大断面図。
【図3】別の実施形態を示す流体圧シリンダの断面図。
【図4】同じく流体圧シリンダの拡大断面図。
【図5】同じくマグネット式ロッドレスシリンダの断面図。
【符号の説明】
11…流体圧シリンダ(アクチュエータ)、12…シリンダチューブ(アクチュエータ本体)、16…ロッドカバー(アクチュエータ本体)、25…ピストン、29…ロッド(移動部材)、32…ロッドパッキン、35…金属スクレーパ(スクレーパ)、36…ゴムスクレーパ(スクレーパ)、40…収容溝(収容空間部)、41…含浸部材、42…貯留部、43…補給通路、53…シリンダチューブ、54…ピストン54、55…スライダ(移動部材)。
Claims (8)
- アクチュエータ本体と、アクチュエータ本体に接しながらその軸線方向に沿って移動可能な移動部材とを設け、アクチュエータ本体と移動部材とのうちいずれか一方に外部に露出する摺動面を有するアクチュエータにおいて、
前記アクチュエータ本体と移動部材との境界部に設けられた収容空間部に、移動部材が移動するのに伴い前記摺動面に塗布されるスパッタ付着防止剤を収容したことを特徴とするアクチュエータ。 - アクチュエータ本体に対し出没可能なロッドを備えたアクチュエータにおいて、
前記アクチュエータ本体に設けられた収容空間部に、前記アクチュエータ本体からロッドが突出するのに伴いその摺動面に塗布されるスパッタ付着防止剤を収容したことを特徴とするアクチュエータ。 - 前記収容空間部には、弾性を有するとともに多孔質なる含浸部材が設けられ、この含浸部材に前記スパッタ付着防止剤が含浸されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
- 前記アクチュエータ本体には、一端部が前記収容空間部に通じるとともに、他端部が外部に開放されている補給通路が設けられ、その補給通路からスパッタ付着防止剤が補給されることを特徴とする請求項2又は3に記載のアクチュエータ。
- 前記アクチュエータ本体は、流体圧によって前記ロッドを移動させるピストンが収容されたシリンダチューブと、ロッドが挿通されるロッドカバーとから構成され、このロッドカバーには、前記収容空間部に通じるとともに、そこから漏れ出るスパッタ付着防止剤を溜めておくための貯留部が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載のアクチュエータ。
- 前記貯留部はロッドの外周に沿って円環状をなし、前記収容空間部側における貯留部の径は、反収容空間部側の径よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
- 前記ロッドカバーには、ロッドの外周面に付着した異物を掻き取るスクレーパと、ロッドに摺接されるロッドパッキンとが装着され、前記収容空間部はスクレーパとロッドパッキンとの間に配置されていることを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一項に記載のアクチュエータ。
- 前記含浸部材には、アクチュエータ本体とロッドとの摺動摩擦を低減するための潤滑剤が含浸されていることを特徴とする請求項2〜7のうちいずれか一項に記載のアクチュエータ。
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