JP3785149B2 - 孔版印刷用エマルジョンインクおよび該インクを用いる孔版印刷方法 - Google Patents

孔版印刷用エマルジョンインクおよび該インクを用いる孔版印刷方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法に使用する孔版印刷用エマルジョンインクおよび該インクを用いる孔版印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷は版の作製および印刷が容易なため幅広い分野で利用されている。とりわけ、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版(以下、単に感熱孔版という場合がある)を使用する、製版部と印刷部が一体化された輪転謄写印刷機では、製版部においてサーマルヘッドの熱による製版が可能な感熱孔版印刷原紙を用いてCCDなどの原稿読み取りセンサーにより原稿に忠実に熱穿孔製版することができ、得られた孔版を自動的に印刷部に搬送し孔版印刷機に装着して孔版印刷用インクを用いて簡便に印刷することができるので、一般に広く普及している。
【0003】
しかし、一般に使用される孔版印刷用エマルジョンインクは、インク自体が乾燥固化するものではなく、印刷用紙に浸透して乾燥する浸透乾燥方式のインクである。
【0004】
したがって、印刷直後はインクが印刷用紙に浸透するのに時間を要するため、印刷用紙に触れるとインクが転移し汚染する。そのため、連続印刷すると重ね合さった印刷用紙の裏面にインクが裏移りするという問題があり、またインクの浸透性の悪い表面平滑度の高い印刷用紙やコート紙などは実質的に使用できなかった。
【0005】
これらの原因はいずれも印刷用紙へのインク付着量が過剰なことと、印刷用紙への浸透速度が遅いことに起因している。
【0006】
従来においては、これらの対策として、感熱孔版印刷原紙の穿孔とインク粘度との相関性を規制したり、多孔性支持体の開口面積を微細化したりしてインクの通過量・転移量を適正化することによって、印刷用紙へのインク付着量を減らす方法(特許文献1、2、3)も提案されているが、多孔性支持体の空隙率を調整したり均一な精度をあげることは困難であり、またサーマルヘッドの穿孔ピッチを調整することも、高価なサーマルヘッドを専用に設計する必要があるなどコスト的には有利ではなかった。
【0007】
またインク粘度を調整する方法(特許文献4、5、6)も提案されているが、成分を特定のものに限定するとエマルジョンインクとしての長期保存安定性に問題が生じたり、油性インクにおいては低粘度化された油性インクは印刷用紙への浸透が早いために、印刷された用紙の裏面への透ける現象が発生し、実用に至っていない。
【0008】
また、インク粘度を下げると印刷機の運転を長時間停止したときに、インクの付着したドラムが静置した状態にあると、ドラム表面のインクやドラム内部のインクが円筒状のドラムの静置した状態における下部に溜まってドラムよりインク漏れが発生したり、長時間放置後に印刷を開始すると印刷初期にインクの濃淡ムラの多い印刷物が得られるなどの問題があった。
【0009】
また表面平滑性が高くインク浸透性の悪い印刷用紙へのインク浸透乾燥性を向上させる目的でインク粘度を下げる方法(特許文献4、5、6)も提案されたが、これも単にインク粘度を低下させるだけでは前記の問題が生じ、好ましくない。
【0010】
【特許文献1】
特許第3084076号公報
【特許文献2】
特許第3115334号公報
【特許文献3】
特許第2742276号公報
【特許文献4】
特開2001−354892号公報
【特許文献5】
特開2001−311027号公報
【特許文献6】
特許第3131006号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、感熱孔版の微細な穿孔の通過性が良く、しかも印刷機のドラム内において長時間放置されてもドラム下部からのインク漏れが無く、かつ長時間放置後に印刷を開始した場合に印刷初期のインク濃淡ムラが少ないインクであって、さらに微細な穿孔を通過するインク量が所定の範囲になるようなレオロジー特性をもつ孔版印刷用エマルジョンインクを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法に使用する孔版印刷用エマルジョンインクにおいて、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型エマルジョンで、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sであることを特徴とする孔版印刷用エマルジョンインクを提供する。
【0013】
また本発明は、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法であって、前記孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下の孔版を用いる孔版印刷方法に使用する孔版印刷用エマルジョンインクにおいて、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型エマルジョンで、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sであることを特徴とする孔版印刷用エマルジョンインクを提供する。
【0014】
さらに本発明は、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法において、前記孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下の孔版原紙を使用し、インクとして、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型エマルジョンで、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sである孔版印刷用エマルジョンインクを使用して印刷することを特徴とする孔版印刷方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の孔版印刷用エマルジョンインクは、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型のエマルジョンインクであって、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sであることを特徴とするものである。25℃における動的降伏応力は、好ましくは20〜175Pa、より好ましくは20〜100Paであり、25℃における塑性粘度は、好ましくは0.5〜20Pa・s、より好ましくは0.5〜5Pa・sである。
【0016】
そして、本発明の孔版印刷用エマルジョンインクは、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法であって、前記孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下の孔版を用いる孔版印刷方法に好適に使用される孔版印刷用エマルジョンインクである。
【0017】
ここで、実質的に油中水滴型エマルジョンとは、形成されたエマルジョンの形態は基本的には油中水滴型であるが、エマルジョンの生成において基本的な油中水滴型の構造のなかに微量であるが油中に水中油滴の複合エマルジョンの構成が含まれる場合もあることに鑑み、このようなエマルジョンをも包含する概念である。
【0018】
また、孔版の孔とは、サーマルヘッドの熱により感熱孔版印刷原紙の熱可塑性樹脂フィルムに穿孔された孔をいい、孔の平均開口面積とは、孔1個あたりの平均開口面積をいう。
【0019】
つぎに、本発明で規定する動的降伏応力と塑性粘度の求め方について説明する。
【0020】
本発明においては、エマルジョンインクについて、25℃において動的粘弾性および定常せん断応力の測定を行ない、下記に示す手順により動的降伏応力と塑性粘度を求める。
【0021】
I.測定機器
Haake社製ストレス制御型レオメーター(レオストレスRS100)を使用する。直径60mmの平行平板センサーを用いる。壁面での試料のスリップを防ぐため、センサー表面に凹凸加工が施されている。
【0022】
試料の厚さは1mmである。
【0023】
II.測定手順
(1)まず、一定の応力振幅2Paにおいて、動的粘弾性関数(貯蔵弾性率および損失弾性率)の角周波数依存性曲線を求める。測定周波数は10Hz〜0.01Hzとし、高周波数から低周波数へと変化させる。
(2)つぎに、せん断応力を段階的に0.1Paから300Paまで増加させながら試料に定常せん断流動を与え、定常せん断応力を求め、せん断応力〜せん断速度曲線を求める。各せん断速度において、30秒間のせん断流動の後の定常応答におけるせん断応力を測定する。なお、本測定に使用する前記レオメーターは応力制御方式のものである。
【0024】
III.降伏応力の評価
本来の意味での降伏応力は、物質が流動を開始するのに必要な最低応力と定義されている。しかし、ビンガムの式から求めた値が固体から流体へと転移するときの臨界応力を与えるとは限らない。前記せん断応力〜せん断速度曲線がビンガムの式で近似できたとしても、低応力で固体的な応答を確認しておかなければ、降伏応力としての意味はもたない。
【0025】
そこで、本発明では、実質的に低応力で固体的な応答を示す流動体であることを確認するために、まず前記のようにして求めた動的粘弾性関数の角周波数依存曲線が明瞭な平坦部を示すことを条件とした。
【0026】
そして本発明では、10Hzにおける動的粘弾性関数値に対して0.01Hzにおける値がその1/3以下にならないことをもって平坦部をもつと判定する。
【0027】
固体的応答を示しているのが動的粘弾性関数の角周波数依存曲線における平坦部の発現である。低周波数でも動的粘弾性関数が減少しないことが、緩和しないこと、すなわちこのタイムスケールでは流れないことを意味している。したがって、降伏挙動を示すと判断できるインクは、前記のようにして求めた動的粘弾性関数の角周波数依存曲線が平坦部を示し、かつビンガムの式が適用できるインクということになり、このことは本発明のインクに要求される前提条件である。
【0028】
IV.動的降伏応力および塑性粘度の測定
前記定常せん断実験で得られたせん断応力〜せん断速度曲線をビンガムの式:
【0029】
【数1】
Figure 0003785149
【0030】
で近似する。
【0031】
ここで、σはせん断応力、
【0032】
【数2】
Figure 0003785149
【0033】
はせん断速度、σ0はビンガム降伏応力(動的降伏応力)を表わし、直線の傾きηplが塑性粘度となる。
【0034】
前記定常せん断実験で得られたせん断応力〜せん断速度曲線は厳密にはビンガムの式で表わすことはできない。すなわち、せん断速度が大きい領域ではかなり直線に乗っているが、せん断速度が小さい領域、たとえばせん断速度が10s-1以下の領域では直線から大きく外れる傾向にある。
【0035】
そこで、前記定常せん断実験でえられたデータのうち、せん断速度が最高せん断速度からその10%の範囲内のデータを用い、これにたとえば最小二乗法を適用して直線近似を行なう。
【0036】
なお、本測定では応力制御方式で測定しているため、試料の粘度により得られるせん断速度範囲が異なってくる。低粘度インクについては、高せん断速度までのデータが得られるが、せん断速度100s-1までの範囲のデータ、すなわちせん断速度が10〜100s-1の範囲のデータを用いて直線近似を行なう。高粘度インクについては、得られた最高せん断速度以下の全範囲のデータ、すなわち最高せん断速度からその10%の範囲内のデータを用いて直線近似を行なう。
【0037】
このように直線近似により得られたビンガムの式のσ0として動的降伏応力が求められ、傾きηplとして塑性粘度が求められる。
【0038】
本発明においては、前記のようにして求められる25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、好ましくは20〜175Pa、より好ましくは20〜100Paで、塑性粘度が0.5〜40Pa・s、好ましくは0.5〜20Pa・s、より好ましくは0.5〜5Pa・sである孔版印刷用エマルジョンインキを使用する。かかる特定のレオロジー特性の孔版印刷用エマルジョンインキを使用するときは、感熱孔版印刷原紙に穿孔された微細な孔によるインク通過性が良好であり、しかも印刷機の運転が長時間停止されても、インクが内蔵された印刷ドラムの最下端からのインク漏れが無く、さらには長時間放置後に印刷を開始した場合も印刷初期のインク濃淡ムラが極めて少ない印刷物が得られる。
【0039】
さらに、感熱孔版印刷原紙に穿孔された微細な穿孔からのインク量が印刷用紙の吸収量に適した所定量に保たれるため、インクの印刷用紙への浸透速度が早く、連続印刷を行ってもインクが印刷用紙の裏面に移る、いわゆる裏移りが極めて少ないことが見出された。
【0040】
すなわち、本発明においては、孔版印刷用エマルジョンインクに前記特定のレオロジー特性を具有させることにより、インクが通過させられる孔版の穿孔の大きさが微細でも適正量のインクを通過せしめることができ、かつそれによりインクの印刷用紙への付着量が適量となるため浸透速度が速く、しかも長時間のあいだインクを内蔵したドラムを放置してもドラムの下端部からのインク洩れが無く、かつ長時間放置後印刷を開始しても初期印刷物の画像のインクムラが極めて少なくなる孔版印刷用エマルジョンインクを提供できることを見出したのである。
【0041】
しかして、25℃における塑性粘度が前記範囲未満では、動的降伏応力の数値にかかわらず、印刷画像の鮮明度が低下したり、印刷機を長期間停止した後の印刷開始初期の印刷濃淡ムラが多くなる。一方塑性粘度が前記範囲を超えると、穿孔された平均開口面積1000μm2以下ではインク通過性が悪くなり、適正な印刷濃度が得られない。
【0042】
また、25℃における動的降伏応力が前記範囲未満では、印刷機を長期間停止した後に印刷ドラムからのインク漏れが発生したり印刷開始初期の印刷濃淡ムラが多くなる。また通常の印刷においても浸透乾燥性が悪く画像がニジミむ傾向がみられ印刷鮮明度も良くない。一方前記範囲を超えると、通常の印刷において浸透乾燥性が悪くなり、広いべた部分においては濃淡ムラが発生して印刷鮮明度も悪くなる。
【0043】
本発明の孔版印刷用エマルジョンインクは、油相を高速撹拌しながら、これに水相を徐々に滴下して乳化し油中水滴型のエマルジョンを形成することによって製造できる。
【0044】
本発明において、前記特定のレオロジー特性は、油相と水相の割合、乳化剤、不揮発性油剤、樹脂、流動性特性調整剤などの種類および量を変えることにより得ることができる。
【0045】
本発明の油中水滴型エマルジョンインクは、好ましくは油相20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%、好ましくは水相80〜40重量%、より好ましくは70〜50重量%からなるものである。
【0046】
油相は乳化剤、不揮発性溶剤、揮発性溶剤、樹脂、着色剤、安定剤などから構成される。レオロジー特性を調整する手段の一つとして、油相のレオロジー特性を調整するには、乳化剤、樹脂の種類および不揮発性溶剤の流動特性、着色剤の吸油性および分散性から得られる流動特性を必要に応じて選択して使用する。さらには、必要に応じて流動特性の調整剤としてベントナイト、スメクタイト、微粒化された酸化チタン、微粒化シリカなどの体質顔料や増粘剤、ゲル化剤としてのワックス、金属石鹸などを添加使用することができる。
【0047】
乳化剤としては、不揮発性溶剤に溶解するものが使用できる。カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性イオン系などの界面活性剤が使用できるが、特にノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートやポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ソルビタンモノオレエートやソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルアミン系、脂肪酸アミド系、ポリオキシエチレンひまし油系、グリセリルモノステアレートやデカグリセリルトリオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル系のものがあげられ、これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。HLBが4〜5のソルビタン脂肪酸エステル系またはグリセリン脂肪酸エステル系などの界面活性剤に、レオロジー特性を調整するものとしてHLBが10〜14くらいの界面活性剤を混合使用する方法も好ましい。
【0048】
不揮発性溶剤としては、モーターオイル、スピンドル油、マシン油、流動パラフィンなどの鉱物油、オリーブ油、ヒマシ油、サラダ油などの植物油、初留点が300℃以上の非芳香族系炭化水素溶剤などがあげられる。使用する樹脂の溶解性の高いパラフィン系およびナフテン系の鉱物油が好ましい。
【0049】
揮発性溶剤としては、公知の鉱物系溶剤や植物系溶剤が使用できるが、好ましくは樹脂の溶解性が良い非芳香族炭化水素溶剤である。
【0050】
樹脂としては、ロジン、ロジン変性フェノール樹脂などのロジン変性樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、マレイン樹脂、テルペン樹脂などの1種または2種以上を使用できる。顔料分散性の高いロジン変性フェノール樹脂またはアルキッド樹脂が好ましい。アルキッド樹脂の場合、樹脂が酸化重合して乾燥する傾向があり、この乾燥性は長期間未使用で放置した場合に印刷機ドラムの表面で乾燥皮膜を形成する問題もあり、これを防止するためには油長が長いものが好ましい。
【0051】
着色剤としては、公知の顔料、染料がとくに制限なく使用できる。例えば、ファーネスカーボンブラック、チャネルブラック、ランプブラック、シアニンブルー、シアニングリーン、レーキレッド、酸化チタンなどの有機および/または無機の顔料があげられる。また顔料の着色性能をアップさせる目的で少量の染料を適宜加えてもよい。
【0052】
顔料においては粒子の特性から、吸油量・粒径・表面積がレオロジー特性に影響を与える場合が多いので、界面活性剤および分散剤との相互作用を考慮して適宜選択使用される。粒径の大きいものと小さいものを適宜配合させることによりレオロジー特性を調整することができる。
【0053】
油相中には安定剤として、必要に応じて、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピルなどの公知の酸化防止剤、ポリアルキルポリアミン、脂肪族多価カルボン酸、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩などの公知の顔料分散剤などを添加することができる。
【0054】
水相は、水、好ましくはイオン交換された水を主成分とするものであり、必要に応じ、公知の凍結防止剤、電解質、防腐防カビ剤などを添加することができる。
【0055】
本発明の孔版印刷方法は、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法において、前記孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下の孔版を使用し、インクとして、前記孔版印刷用エマルジョンインクを使用して印刷することを特徴とするものである。
【0056】
本発明の孔版印刷方法においては、インクとして前記特定のレオロジー特性を有する孔版印刷用エマルジョンインクを用いることにより、孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下という微細な孔版を用いても、適正量のインクを通過せしめることができ、かつそれによりインクの印刷用紙への付着量が適量となるため浸透速度が速く、連続印刷を行っても裏移りが起こらない。しかも、印刷機の運転が長時間停止されても、インクが内蔵された印刷ドラムの最下端からのインク漏れが無く、さらには長時間放置後に印刷を開始した場合も印刷初期のインク濃淡ムラが極めて少ない。
【0057】
本発明の孔版印刷方法に用いる孔版は、感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版であり、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下のものである。穿孔の平均開口面積が前記範囲を超えると、インクの通過量が過多となり、裏移り現象が起こりやすくなる。穿孔の平均開口面積が小さくなり過ぎると、インクの通過量が極端に少なくなり、適正な濃度の印刷物が得られない傾向にあるから、穿孔の平均開口面積の下限値は100μm2以上であるのが好ましい。
【0058】
感熱孔版印刷原紙としては、従来より使用されているものがとくに制限なく使用できる。たとえば、熱可塑性樹脂フィルムの単独構成のものや、必要に応じて、熱可塑性樹脂フィルムに多孔性支持体を貼り合わせたり、多孔性樹脂膜を設けた構成のものなどが使用できる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、たとえばポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム、塩化ビニル‐塩化ビニリデン共重合体フィルムなどがあげられる。熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、一般には1〜14μmである。
【0059】
熱可塑性樹脂フィルム単独で使用する場合は、コシが弱く印刷機における搬送が困難になるので、フィルムの厚さは6〜12μmが好ましく、とくに好ましくは8〜11μmである。必要に応じて多孔性樹脂膜を設けてもよいが、多孔性樹脂膜の厚さは10μm以下が好ましい。
【0060】
また熱可塑性樹脂フィルムを多孔性支持体と貼り合わせた構成の感熱孔版印刷原紙の場合、フィルムの厚さは1.5〜2μmが好ましい。
【0061】
多孔性支持体としては、天然繊維および/または合成繊維を抄造して得られる薄葉紙、合成繊維よりなる不織布が好ましく、繊維としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維などの合成繊維、マニラ麻、コウゾ、ミツマタ、パルプなどの天然繊維が単独または2種以上混合して使用される。多孔性支持体の坪量は、4〜14g/m2が好ましく、より好ましくは6〜12g/m2で、厚さは10〜60μmが好ましく、より好ましくは20〜40μmである。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
製造例1〜9
(孔版印刷用エマルジョンインクの製造)
表1に示される組成の油相および水相からなる孔版印刷用エマルジョンインクNo.1〜9を調製した。表1における各成分の配合量は重量部数である。
【0064】
孔版印刷用エマルジョンインクは、油相成分を混合して3本ロールミルで混練し、これを高速攪拌しながら水相を徐々に添加することによって製造した。
【0065】
【表1】
Figure 0003785149
【0066】
製造例1〜9で得られた各孔版印刷用エマルジョンインクについて、前記した測定装置および測定方法により動的粘弾性関数の角周波数依存曲線における平坦部の有無を確認したのち、25℃における動的降伏応力および塑性粘度を求めた。得られた結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
Figure 0003785149
【0068】
実施例1〜5および比較例1〜6
(本発明の孔版印刷方法の実施例および比較例)
感熱製版印刷機としてデュプロ精工(株)製デュープリンダーDP‐460を用い、これに前記で得られた各孔版印刷用エマルジョンインクを供給して使用した。感熱孔版印刷原紙としては下記のものを使用し、サーマルヘッドのエネルギーを調整して穿孔された孔の平均開口面積が所定値になるように製版して孔版を作成し、印刷を行ない、下記に示すインク漏れ、画像濃淡ムラ、浸透乾燥性、画像鮮明度について評価した。結果を表3に示す。
【0069】
(感熱孔版印刷原紙)
厚さ1.6μmの低融点ポリエステルフィルムと、坪量10g/m2、厚さ30μmの合成繊維とマニラ麻から抄紙された多孔性支持体を貼り合わせ、フィルム表面にサーマルヘッドの滑り性付与兼融着防止剤を塗布して作成した。
【0070】
得られた孔版における穿孔の平均開口面積はつぎのようにして求めた。
▲1▼穿孔された感熱孔版印刷原紙の1mm×1mmの大きさの領域をオリンパス光学工業(株)製光学顕微鏡にて100倍に拡大した画像を画像処理システムExcelII(日本アビオニクス(株)製)に取り込む。
▲2▼穿孔部分と非穿孔部分の境界(輪郭)が明確になるように、2値化処理を行う。
▲3▼10μm2以下の穿孔はノイズ部分として消去する。
▲4▼2値化処理された穿孔部分のそれぞれの面積を計測する。
▲5▼前記▲1▼から▲4▼までの操作を測定箇所を変えて5箇所で行なう。
▲6▼上記の方法によって測定した穿孔面積の平均値を算出する。
【0071】
(1)インク漏れ
印刷終了後の印刷機を2週間放置して印刷機のインクが内臓された印刷ドラムの下部からのインク漏れをチェックして、つぎの2段階評価を行なった。
○:インク漏れが無い
×:インク漏れが有る
【0072】
(2)画像濃淡ムラ
印刷終了後の印刷機を2週間放置した後に、新たに製版印刷を行い印刷開始の1枚目から30枚目までの画像の濃淡ムラを目視でチェックして、原稿画像との比較においてつぎの3段階評価を行なった。
○:濃淡ムラが無い
△:僅かに濃淡ムラが認められる
×:濃淡ムラが多い
【0073】
(3)浸透乾燥性
印刷用紙としてインク浸透性の悪い坪量64g/m2の再生紙を使用して印刷を行い、印刷直後の印刷された画像部の上に無印刷の印刷用紙を重ねて100グラムの錘を乗せてスライドさせ、無印刷の用紙に転移したインクによる汚れを目視判定し、つぎの3段階評価を行なった。
○:インクの転移が殆ど無い
△:インクの転移が僅かに有る
×:インクの転移が多い
【0074】
(4)画像鮮明度
印刷用紙として坪量64g/m2の上質紙を使用して印刷を行い、印刷直後の印刷された画像部と原稿を比較して原稿の再現性を目視判定し、つぎの3段階評価を行なった。
○:原稿の再現性が高い
△:細部の再現性および適正な濃度の再現性が低い
×:原稿の再現性が劣る
【0075】
【表3】
Figure 0003785149
【0076】
【発明の効果】
表3に示されるように、本発明のエマルジョンインクは、特有のレオロジー特性を有するために、孔版のインク通過性が良く、かつ長時間放置しても印刷機ドラムの下部からのインク漏れが無く、さらには長時間放置後に印刷を開始した場合でも印刷初期の濃淡ムラが極めて少ない。また穿孔の平均開口面積が1000μm2以下の微細な孔版においても、良好なインク通過量が得られ、かつ所定量のインクが印刷用紙に付着するため、インクの浸透による乾燥性も良好で、裏移りが起こらない。

Claims (6)

  1. 感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法に使用する孔版印刷用エマルジョンインクにおいて、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型エマルジョンで、油相20〜60重量%、水相80〜40重量%からなり、油相が乳化剤、パラフィン系およびナフテン系の非芳香族系炭化水素溶剤からなる不揮発性溶剤、樹脂、着色剤からなり、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sであることを特徴とする孔版印刷用エマルジョンインク。
  2. 油中水滴型エマルジョンが、油相30〜50重量%、水相70〜50重量%からなり、油相が乳化剤、パラフィン系およびナフテン系の非芳香族系炭化水素溶剤からなる不揮発性溶剤、揮発性溶剤、樹脂、着色剤、流動特性調整剤からなる請求項1記載の孔版印刷用エマルジョンインク。
  3. 感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法であって、前記孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下の孔版を用いる孔版印刷方法に使用する孔版印刷用エマルジョンインクにおいて、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型エマルジョンで、油相20〜60重量%、水相80〜40重量%からなり、油相が乳化剤、パラフィン系およびナフテン系の非芳香族系炭化水素溶剤からなる不揮発性溶剤、樹脂、着色剤からなり、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sであることを特徴とする孔版印刷用エマルジョンインク。
  4. 油中水滴型エマルジョンが、油相30〜50重量%、水相70〜50重量%からなり、油相が乳化剤、パラフィン系およびナフテン系の非芳香族系炭化水素溶剤からなる不揮発性溶剤、揮発性溶剤、樹脂、着色剤、流動特性調整剤からなる請求項3記載の孔版印刷用エマルジョンインク。
  5. 感熱孔版印刷原紙にサーマルヘッドにより穿孔画像を形成した孔版を用いて印刷する孔版印刷方法において、前記孔版として、独立穿孔された孔の平均開口面積が1000μm2以下の孔版を使用し、インクとして、油相と水相とからなり実質的に油中水滴型エマルジョンで、油相20〜60重量%、水相80〜40重量%からなり、油相が乳化剤、パラフィン系およびナフテン系の非芳香族系炭化水素溶剤からなる不揮発性溶剤、樹脂、着色剤からなり、かつ低応力において固体的な応答を示す流動体であり、さらに25℃における動的降伏応力が20〜200Pa、塑性粘度が0.5〜40Pa・sである孔版印刷用エマルジョンインクを使用して印刷することを特徴とする孔版印刷方法。
  6. 油中水滴型エマルジョンが、油相30〜50重量%、水相70〜50重量%からなり、油相が乳化剤、パラフィン系およびナフテン系の非芳香族系炭化水素溶剤からなる不揮発性溶剤、揮発性溶剤、樹脂、着色剤、流動特性調整剤からなる請求項5記載の孔版印刷方法。
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