JP3784626B2 - 内面溝付伝熱管を用いた熱交換器の製作方法 - Google Patents

内面溝付伝熱管を用いた熱交換器の製作方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、エアコンに代表される冷凍空調機器に用いられる熱交換器を構成する内面溝付伝熱管を用いた熱交換器の製作方法に係り、特に、内面溝付伝熱管における機械拡管時の内面フィンの変形を抑制する技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、エアコンに代表される冷凍空調機器に用いられる内面溝付伝熱管としては、管軸に対して所定のリード角をもって延びるように螺旋状の溝を多数形成して、それらの溝間に、所定高さの内面フィンが形成されるようにした構造のものが知られている。そして、そのような内面溝付管は、多数の伝熱管が水平方向に延びる状態において、管外にアルミニウム製の放熱フィンを拡管装着した構造の熱交換器として用いられているのである。
【0003】
ところで、近年、かかる熱交換器の高性能化の目的から、上記した内面溝付伝熱管において、その内面溝の深溝化や内面フィンの細フィン化が図られ、また溝深さ、溝深さ/内径、フィン頂角、リード角及び溝部断面積/溝深さ等の最適化により、更なる高性能化を追求したものが、特開平7−12483号公報等において明らかにされている。また、上述した内面螺旋溝付管に、その一次溝とは逆方向の二次溝を更に形成して、それら二種の溝を交差させることにより、伝熱性能の向上を図るようにしたクロス溝付管も、特開平3−234302号公報や特開平8−303905号公報等に提案されている。更に、最近では、V字状の溝パターンを組み合わせた松葉溝付管が、特開平9−26279号公報等に提案されている。
【0004】
而して、かくの如き内面溝付管を、従来から採用されている機械拡管手法によって、放熱フィンに組み付け、目的とする熱交換器を組み立てるに際して、その機械拡管作用にて、管内面に形成された内面フィンが、径方向外方に、また管軸方向に押圧されて、内面フィンが変形作用を受け、フィン先端部のフィン潰れやフィン倒れ等の問題が惹起され、それは、従来の内面溝付管では、その解消の困難なものであった。更に、近年においては、高性能化のために、内面溝付管における内面フィンを高く、またフィン頂角を小さく、更に溝リード角を大きくする傾向があり、そのために、機械拡管時のフィン変形を抑制乃至は阻止することが、より困難な状況になりつつあるのである。
【0005】
特に、そのような機械拡管時におけるフィン変形が、熱交換器性能に及ぼす影響は、凝縮運転時に顕著であって、それ故に、暖房性能を重視するルームエアコンの室内機に用いられる熱交換器用伝熱管にとっては、致命的な性能不足を招く要因となることとなるのである。中でも、内面溝付管の場合には、従来から蒸発性能を向上するよりも、凝縮性能を向上する方が難しいとされている状況からしても、前記した機械拡管時のフィン変形による凝縮性能の低下は、大きな問題である。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、機械拡管時のフィン潰れやフィン倒れ等のフィン変形を効果的に抑制することの出来る内面溝付伝熱管を提供することにあり、また、他の課題とするところは、熱交換器組立時の機械拡管によるフィン変形を抑制することにより、フィン変形が著しい場合に比べて、特に熱交換器の凝縮性能を向上することの出来る内面溝付伝熱管を提供することにあり、更に、内面溝付管を熱交換器に組み込むに際し、機械拡管操作において惹起されるフィン形状の変形を効果的に抑制して、内面溝付管自身の有する管内熱伝達伝熱特性を、熱交換器性能に充分に活かすようにした熱交換器の有効な製作方法を提供することをも、その課題とするものである。
【0007】
【解決手段】
そして、本発明は、上記せる課題のうち、伝熱管に係る課題の解決のために、管内面に、逆台形形状の横断面形状を呈する、溝数:30〜80の多数の溝が管軸に対して10°〜30°のリード角をもって延びるように形成されていると共に、それら溝間に、所定高さの内面フィンが形成されてなる内面溝付伝熱管にして、前記内面フィンの頂角が20°〜40°であり、且つ管外径がmmを越え、10mm以下とされ、更に前記溝の溝深さが0.10mm〜0.30mmとされると共に、前記溝の形成部位における管壁厚となる底肉厚(t)が、次式:t≦0.1248×D0.32782 (但し、Dは管外径を示す)を満足するように、構成されている内面溝付伝熱管を用いて、機械拡管手法にて、3〜8%の拡管率において、板状の放熱フィンに設けられた取付孔に拡管装着せしめる工程を有すると共に、前記伝熱管の底肉厚が、機械拡管後において、拡管前に比べて8μm以上減少せしめられるようにしたことを特徴とする熱交換器の製作方法を、その要旨とするものである。
【0008】
すなわち、従来における、内面溝付伝熱管を機械拡管して、放熱フィンに組み付ける場合には、伝熱管の溝形成部位における管壁厚となる底肉厚の変化が殆どない状態において、内面フィンの変形及び管軸方向の縮みを伴なう拡管が行なわれているのであるが、上記した構成の本発明にあっては、かかる底肉厚を、従来よりも適度に削減した状態において、薄くすることにより、拡管時に、底肉厚の変化(減少)を優先させ、フィン変形を極限まで抑制しながら拡管することが可能となったのである。そして、このようにして、フィン変形を抑制することにより、内面溝付管が本来有する管内熱伝達特性を、熱交換器性能に充分に活かすことが可能となったのである。つまり、内面溝付伝熱管の溝形成部位における底肉厚を調整して、それを適度に削減するだけで、従来よりも高い熱交換器性能を有する内面溝付管を得ることが出来ることとなったのである。
【0009】
なお、かかる本発明に用いられる内面溝付伝熱管において、前記溝のリード角は10°〜30°、前記内面フィンの頂角は20°〜40°であり、且つ溝数が30〜80となるように構成されている。そして、このような構成の採用によって、本発明の目的がより一層良好に達成され得ることとなるのである。
【0010】
また、本発明に用いられる内面溝付伝熱管において、前記溝は、逆台形形状の横断面形状において形成されることとなる。そして、そのような溝形状の採用によって、それら溝間に形成される内面フィンは、有利には、三角形形状の横断面を有するものとされるのである。
【0011】
ところで、本発明は、前記した熱交換器の製作方法に係る課題の解決のために、上述せる如き内面溝付伝熱管を用い、それを機械拡管手法にて、板状の放熱フィンに設けられた取付孔に拡管装着せしめる工程を有することを特徴とする熱交換器の製作方法を、その要旨とするものである。
【0012】
このような本発明に従う熱交換器の製作方法によれば、機械拡管操作にて惹起されるフィン形状の変形が効果的に抑制され得て、内面溝付管自身の有する管内熱伝達特性を、熱交換器性能に充分に活かした熱交換器が有利に製作され得ることとなるのである。
【0013】
なお、このような本発明に従う熱交換器の製作方法によれば、前記伝熱管の底肉厚が、機械拡管後において、拡管前に比べて8μm以上減少せしめられることとなる。このように、伝熱管の管肉厚を減少せしめることにより、機械拡管時のフィン潰れやフィン倒れ等のフィンの変形が効果的に抑制され得ることとなるのである。
【0014】
また、本発明に従う熱交換器の製作方法にあっては、前記機械拡管操作が、3〜8%の拡管率において実施され、これによって、伝熱管と放熱フィンとの間の有効な組付けが実現せしめられ得るのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係る内面溝付伝熱管を用いた熱交換器の製作方法の具体的構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1には、プレートフィンチューブ式熱交換器を製造するに際して、内面溝付伝熱管を機械拡管して、放熱フィンに一体的に組み付ける工程が示されている。即ち、図1において、2は、要求される伝熱性能や採用される伝熱媒体の種類等に応じて、銅や銅合金等の中から適宜に選択された金属材質にて構成される内面溝付伝熱管であって、ここでは、そのような伝熱管2は、U字形状において用いられているのである。一方、板状の放熱フィンであるプレートフィン4は、従来と同様に、アルミニウム若しくはその合金等の金属材料にて形成されていると共に、伝熱管2の外径よりも所定寸法大きな取付孔6が、その周りにフィンカラー8を一体的に立設せしめてなる構造において、形成されている。そして、そのようなプレートフィン4が、それぞれの取付孔6を一致させた状態下において重ね合わされ、更にその一致した取付孔6内に、伝熱管2が挿入、配置せしめられているのである。
【0017】
そして、機械拡管操作は、プレートフィン4の取付孔6内に伝熱管2を挿入せしめた状態下において、かかる伝熱管2内に、従来と同様にして、拡管プラグ10を挿入せしめ、伝熱管2の拡径を行ないつつ、前進せしめることにより、伝熱管2を取付孔6内に、具体的にはフィンカラー8の内面に密着させて(図において、拡管プラグ10が通過した状態を示す右側の取付孔6内における伝熱管2の固定状態を参照のこと)、伝熱管2とプレートフィン4との一体化を実現し、以て一体的な熱交換器とされるのである。
【0018】
ここにおいて、本発明では、かかる機械拡管手法によって、伝熱管2とプレートフィン4とを組み付けるに際して惹起される、フィン潰れやフィン倒れ等のフィン変形を効果的に抑制すべく、前述せる如き構成を採用することとしたのである。即ち、図2に示される如く、管内面に多数の溝12が管周方向に又は管軸に対して所定のリード角をもって延びるように形成されていると共に、それら溝12、12間に、所定高さの内面フィン14が形成されてなる内面溝付伝熱管2において、管外径(D)が4mm〜10mmとされ、且つ溝深さ(d)が0.10mm〜0.30mmとされると共に、溝形成部位における底肉厚(t)が、t≦0.1248×D0.32782 を満足するように構成したのであって、これにより、機械拡管操作を施しても、その拡管作用が、底肉厚(t)の変化(減少)として優先的に現出せしめられるようにして、内面フィン14の変形を極力抑制するようにしたのである。
【0019】
このように、本発明にあっては、内面溝付伝熱管2の溝形成部位における管壁厚となる底肉厚(t)を、上記の不等式にて示される如く、所定厚さ以下に削減することによって、フィン変形よりも底肉厚の減少を優先させるようにしたものであるところから、そのような底肉厚(t)は、本発明の目的を達成する上において、0.1248×D0.32782 よりも厚くならないようにしなければならず、これに反して厚くなり過ぎると、内面フィン14の変形が大きくなって、フィン潰れやフィン倒れ等の問題が惹起されるようになって、本発明の目的を達成し得なくなるのである。
【0020】
また、かくの如き溝底肉厚(t)の制御に関連して、本発明にあっては、拡管前の管外径(D)や溝深さ(d)も規制する必要があるのであり、そのために、かかる管外径(D)は、4〜10mm、溝深さ(d)は、0.10〜0.30mmとされることとなる。けだし、かかる管外径(D)が、4mmよりも小さくなると、実用上において内面溝付管を作製することが困難となる他、機械拡管も困難となる等の問題があり、一方、10mmを越えるようになると、強度上の問題から、底肉厚(t)を厚くしなければならず、そのために、本発明の実現が困難となるからである。また、溝深さ(d)についても、それが0.10mmよりも浅い場合には、伝熱性能が低下する問題があり、一方、0.30mmよりも深くなると、必然的に内面フィン14の高さも高くなるために、フィン潰れやフィン倒れ等が発生し易くなるのであり、そのために、フィン変形の効果的な抑制が困難となる問題を生じる。
【0021】
また、かくの如き本発明に従う内面溝付伝熱管2においては、その管軸に対する溝12のリード角としては、有効な伝熱性能を確保する上において、10°〜30°の範囲内の角度が有利に採用され、更に、内面フィン14のフィン頂角(α)としては、転造による溝形成の容易性や有効な伝熱性能の確保等の点からして、20°〜40°の範囲内の角度が採用されるのであり、更にまた、管内面に形成される溝12の数としては、30〜80の範囲内の数において、伝熱面積を考慮して、適宜に決定されることとなる。
【0022】
そして、かかる本発明に従う内面溝付伝熱管2にあっては、それが、例えば、図1に示される如く、機械拡管されて、その径(具体的には外径:D)が増大せしめられる際に、その拡管作用が底肉厚(t)の変化(減少)として現れ、以てフィン変形が効果的に抑制され得ることとなるのである。従って、図2(b)に示される如く、内面フィン14の高さの減少(δf )が小さくなる一方、底肉厚(t)の減少(δt )が惹起されることとなるのであるが、特に本発明にあっては、そのような底肉厚(t)の減少量(δt )が拡管前に比べて8μm以上減少せしめられるようにされ、これによって有効なフィン変形の抑制が実現されることとなる。
【0023】
また、かくの如き機械拡管操作にて、伝熱管2を拡管して、放熱フィンたるプレートフィン4に組み付けるに際して、かかる伝熱管2の拡管の程度としては、内面フィン14の大きな変形を回避しつつ、プレートフィン4に対する有効な組付けを行なうために、(拡管後の管外径/拡管前の管外径)×100にて規定される拡管率(%)は、適宜に設定されることとなるが、一般に、3〜8%の拡管率において実施されることとなる。この拡管率が8%を越えるようになると、フィン変形が著しくなり、本発明の目的が充分に達成され得なくなるからであり、また3%よりも拡管率が低くなると、伝熱管2の有効な拡管装着が困難となるからである。
【0024】
なお、本発明に従う内面溝付伝熱管2において、その内面に形成される溝12の形状としては、一般に、図2に示される如き、管軸に対して直角な断面において、底部に向かうに従って次第に狭幅となるような、略逆台形形状の横断面形状が好適に採用されることとなるが、本発明が、そのような溝形状のみに限定されるものでは決してなく、公知の各種の形状が採用され得るものである。また、そのような溝12は、管軸に対して所定のリード角、望ましくは10°〜30°の角度をもって延びるように、螺旋状に設けられる他、管周方向に互いに平行に設けられた周溝であっても何等差し支えなく、また二次溝を交差するように設けたクロス溝付管やV字状の溝パターンを組み合わせた松葉溝付管等にも、本発明は適用可能である。
【0025】
その他、本発明は、各種の形態において実施され得るものであって、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0027】
実施例 1
先ず、管外径(D)が4〜10mm、溝深さ(d)が0.1〜0.3mm、溝リード角が10〜30°、フィン頂角(α)が20〜40°、溝数が30〜80の範囲内にある、種々の内面螺旋溝付管(2)を、従来と同様な銅管の転造加工により、それぞれ試作した後、図1と同様にして、4〜7%の拡管率において機械拡管して、アルミニウムプレートフィン(4)に組み付け、それぞれ、熱交換器を製作した。
【0028】
次いで、この得られた熱交換器から、アルミニウムプレートフィン(4)を取り外して、拡管後の各内面螺旋溝付管(2)をサンプリングし、それぞれの底肉厚(t)を調査した。その結果、拡管前の底肉厚(t)よりも拡管後の底肉厚が8μm以上減少したものにおいて、フィン潰れやフィン倒れ等のフィン変形が効果的に抑制されていることを認め、更にそのようなフィン変形の抑制された溝付管(2)について、拡管前の管外径:Dに対する、拡管前の底肉厚:tの関係をプロットして、その結果を、図3に示した。
【0029】
また、かかる図3におけるプロットデータを結ぶ回帰曲線を示す式を求めた結果、t=0.1248×D0.32782 となり、更に本回帰式の寄与率は、0.999であった。このことから、拡管後の底肉厚が拡管前の底肉厚よりも8μm以上低減させて、フィン変形を効果的に抑制するには、底肉厚(t)は、0.1248×D0.32782 の値以下であることが必要であることを認めた。
【0030】
実施例 2
実施例1と同様にして、銅管の転造加工により、外径(D)が6〜9.52mmの内面螺旋溝付管について、その底肉厚(t)を変化させたものを試作し、更に機械拡管により2列8段の熱交換器を作製した。機械拡管による内面フィン(14)のフィン変形形態を示す図2(b)において定義されるフィン高さ(d)の減少量:δf と、底肉厚(t)の減少量(δt )を用いて、各試作管の拡管前寸法諸元と共に、拡管後のフィン高さの減少量(δf )及び底肉厚の減少量(δt )を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0003784626
【0032】
かかる表1の結果から明らかなように、本発明例1〜4に係る試作管は、何れも、拡管後の底肉厚減少量(δt )が8μm以上となっていることにより、拡管後のフィン潰れ(δf )が9μm以下となっているのであり、このことから、底肉厚の変形(減少)が優先する程度まで拡管前の底肉厚を低減することにより、充分なフィン変形防止効果が奏され得ることが認められる。
【0033】
実施例 3
拡管時のフィン変形防止効果が熱交換器性能に及ぼす影響を確認するために、先の表1に示した本発明例4と比較例6の試作管を用いて、それぞれ製作した熱交換器の単体性能評価を実施した。即ち、下記表2に示される測定条件を採用して、図4又は図5に示される如き冷媒の流通下において、熱交換器単体性能における蒸発試験又は凝縮試験を公知の方法に従って実施し、それら各種熱交換器単体における蒸発能力(冷房能力)と凝縮能力(暖房能力)とを調べ、その結果を熱交換量−前面風速線図として、図6及び図7に、それぞれ、示した。
【0034】
【表2】
Figure 0003784626
【0035】
図6には、本発明例4の試作管と比較例6に係る試作管で構成された熱交換器の蒸発能力が前面風速に対してプロットしたかたちで示されている一方、図7には、それら熱交換器の凝縮能力が前面風速に対してプロットしたかたちで示されているが、それらの図から明らかなように、本発明例4に係る試作管を用いた熱交換器の蒸発能力は、比較例6の試作管を用いた場合に比べて2%程度上回っているのである。これは、フィン先端部のフィン潰れ抑制により、伝熱面積が増加した影響が現れたものと考えられる。一方、本発明例4の試作管を用いた熱交換器の凝縮能力は、比較例6に係る試作管を用いた場合に比べて6%程度上回っているのである。これは、内面フィン(14)におけるフィン先端部のフィン潰れ抑制により伝熱面積が増加したことに加えて、フィン先端部での凝縮促進効果が現れたものと考えられる。これらの事実から、本発明に従う構造の内面溝付伝熱管(本発明例4に係る試作管)を用いることにより、熱交換器単体能力に優れた熱交換器が得られることは、容易に理解され得るのである。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う内面溝付伝熱管にあっては、その溝底肉厚が制御されて、適度に削減されていることにより、機械拡管時に、内面フィンにおけるフィン変形よりも、底肉厚変化(減少)を優先させることが可能となり、そのために、フィン変形を極限まで抑制した拡管を実施することが出来る特徴があり、また、フィン変形を抑制することによって、内面溝付管が本来有する管内熱伝達特性を熱交換器単体性能に充分に活かすことが可能である特徴があり、更に、特にフィン先端での伝熱促進効果を有効に発揮することが出来ることから、凝縮性能を向上することにも大いに寄与し得るという利点を有しているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】内面溝付伝熱管を、機械拡管により、放熱フィンに組み付ける工程を示す説明図である。
【図2】本発明に従う内面溝付伝熱管の機械拡管に際しての形状変化を示す断面部分説明図であり、(a)は機械拡管の前後の内面溝付伝熱管の横断面部分図であり、(b)は機械拡管後の内面フィン及び底肉厚の変化の形態を示す断面部分図である。
【図3】実施例1において得られた拡管前の管外径(D)に対する拡管前の底肉厚(t)の関係をプロットした図である。
【図4】実施例3における熱交換器の蒸発時の単体性能を測定するために用いられる試験装置において、冷媒の流通状態を示す説明図である。
【図5】実施例3における熱交換器の凝縮時の単体性能を測定するために用いられる試験装置において、冷媒の流通状態を示す説明図である。
【図6】実施例3において得られた熱交換器単体蒸発能力を示すグラフである。
【図7】実施例3において得られた熱交換器単体凝縮能力を示すグラフである。
【符号の説明】
2 内面溝付伝熱管 4 プレートフィン
6 取付孔 8 フィンカラー
10 拡管プラグ 12 溝
14 内面フィン

Claims (1)

  1. 管内面に、逆台形形状の横断面形状を呈する、溝数:30〜80の多数の溝が管軸に対して10°〜30°のリード角をもって延びるように形成されていると共に、それら溝間に、所定高さの内面フィンが形成されてなる内面溝付伝熱管にして、前記内面フィンの頂角が20°〜40°であり、且つ管外径がmmを越え、10mm以下とされ、更に前記溝の溝深さが0.10mm〜0.30mmとされると共に、前記溝の形成部位における管壁厚となる底肉厚(t)が、次式:t≦0.1248×D0.32782 (但し、Dは管外径を示す)を満足するように、構成されている内面溝付伝熱管を用いて、機械拡管手法にて、3〜8%の拡管率において、板状の放熱フィンに設けられた取付孔に拡管装着せしめる工程を有すると共に、前記伝熱管の底肉厚が、機械拡管後において、拡管前に比べて8μm以上減少せしめられるようにしたことを特徴とする熱交換器の製作方法。
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