JP3784279B2 - 投影型画像表示装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に関し、特にカラーフィルタを用いずに1枚の画像表示パネルを用いてカラー表示を行うことができる単板式投影型画像表示装置に関している。本発明は、コンパクトな投影型カラー液晶テレビジョンシステムや情報表示システムに好適に用いられ得る。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルを用いた従来の投影型画像表示装置を説明する。
【0003】
このような投影型画像表示装置は、液晶表示パネル自体が発光しないため、別に光源を設ける必要があるが、CRTを用いた投影型画像表示装置と比較すると、色再現範囲が広い、小型、軽量、コンバージェンス調整が不用などの非常に優れた特徴を持っている。
【0004】
液晶表示パネルを用いた投影型画像表示装置によってフルカラー表示を行うには、3原色に応じて液晶表示パネルを3枚用いる3板式と、1枚のみを用いる単板式がある。
【0005】
3板式の投影型画像表示装置では、白色光を赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色それぞれに分割する光学系と、R、G、およびB色の光をそれぞれ変調して画像を形成する3枚の液晶表示パネルとを用い、R、G、およびB色の各々の画像を光学的に重畳することによってフルカラーの表示を実現している。
【0006】
3板式の投影型画像表示装置では、白色光源から放射される光を有効に利用できるが、光学系が繁雑で部品点数が多くなってしまうため、一般に、コストおよびサイズの観点で単板式の投影型画像表示装置よりも不利である。
【0007】
単板式の投影型画像表示装置は、モザイク状またはストライプ状に配列した3原色のカラーフィルタを備えた1枚の液晶表示パネルを用いる。そして、液晶表示パネルで表示したフルカラー画像を投影光学系によってスクリーンなどの被投影面に投影する。このような単板式の投影型画像表示装置は、例えば特開昭59−230383号公報に記載されている。単板式の場合、1枚の液晶表示パネルを用いるので、光学系も3板式の場合に比較して単純な構成で済み、小型の投影型画像表示装置を低コストで提供するのに適している。
【0008】
しかし、カラーフィルタを用いる単板式の場合、カラーフィルタでの光吸収が発生するため、同等の光源を用いた3板式の場合と比較して画像の明るさが約1/3に低下してしまう。また、液晶表示パネルのR、G、Bに対応する3つの画素領域が1組となって1画素の表示を行う必要があるため、画像の解像度も3板式の解像度の1/3に低下してしまう。
【0009】
光源を明るくすることは明るさ低下に対する1つの解決法であるが、民生用として使用する場合、消費電力の大きな光源を用いることは好ましくない。また、吸収タイプのカラーフィルタを用いる場合、カラーフィルタに吸収された光のエネルギーは熱に変わるため、いたずらに光源を明るくすると、液晶表示パネルの温度上昇を引き起こすだけでなく、カラーフィルタの退色が加速される。従って、与えられた光をいかに有効に利用するかが、投影型画像表示装置の利用価値を向上させる上で重要な課題である。
【0010】
単板式投影型画像表示装置による画像の明るさを向上させるため、カラーフィルタなしでフルカラー表示を行う液晶表示装置が開発されている(特開平4−60538号公報)。この液晶表示装置では、光源から放射された白色光をダイクロイックミラーのような誘電体ミラーによってR、G、Bの各光束に分割し、液晶表示パネルの光源側に配置されたマイクロレンズアレイに異なった角度で入射させる。マイクロレンズに入射した各光束は、マイクロレンズを透過することによって、入射角に応じて対応する画素領域に集光される。このため、分離されたR、G、Bの各光束は、別々の画素領域で変調され、フルカラー表示に用いられる。
【0011】
上記の誘電体ミラーを用いる代わりに、R、G、B光に対応する透過型のホログラム素子を用いて光利用率向上を図った表示装置が特開平5−249318号公報に開示され、画素ピッチに対応した周期的構造を透過型ホログラム素子に持たせ、誘電体ミラーおよびマイクロレンズの機能を与えた装置が特開平6−222361号公報に開示されている。
【0012】
単板式のもう1つの課題である解像度については、フィールド順次方式を採用することによって1枚の液晶表示パネルで3板式と同等の解像度を得ることができる。フィールド順次方式では、人間の視覚で分解できない速さで光源の色の切り替えを行うことにより、時分割表示される各画像の色が加法混色によって構成される現象(継続加法混色)を利用する。
【0013】
フィールド順次方式でフルカラー表示を行う投影型画像表示装置は、例えば、図76に示す構成を有している。この表示装置では、R、G、Bのカラーフィルタから構成された円盤を液晶表示パネルの垂直走査周期に合わせて高速に回転させ、カラーフィルタの色に対応した画像信号を液晶表示パネルの駆動回路に順次入力する。人間の目には、各色に対する画像の合成像が認識される。
【0014】
このようなフィールド順次方式の表示装置によれば、単板方式と異なり、液晶表示パネルの各画素でR、G、B画像を時分割で表示するため、その解像度は3板式と同等レベルになる。
【0015】
フィールド順次方式の他の表示装置として、R、G、Bの各々の光束で液晶表示パネルの異なる領域を照射する投影型画像表示装置がIDW’99(P989〜P992)に開示されている。この表示装置では、光源から放射された白色光を誘電体ミラーによってR、G、Bの光束に分離し、R、G、Bの各々の光束で液晶表示パネルの異なる領域を照射する。液晶表示パネルに対するR、G、Bの光照射位置は、キューブ状のプリズムを回転させることによって順次切り替えられる。
【0016】
また、特開平9−214997号公報に記載されている投影型画像表示装置では、上記の特開平4−60538号公報に記載されている液晶表示装置と同様の液晶表示装置を用い、同様の方法で白色光を色毎の光束に分割し、各光束を異なった角度で画素領域に入射させている。この投影型画像表示装置では、光利用効率の向上と高解像度化の両立を実現するために、各フレーム画像を複数のサブフレーム画像に時分割し、液晶表示パネルの垂直走査周期に同期させて光束の入射角度を周期的に切り替えている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開平4−60538号公報、特開平5−249318号公報、および特開平6−222361号公報等に記載されている装置によれば、確かに明るさは改善されるが、解像度は3板式の1/3のままである。その理由は、1つの画素(ドット)を表示するのに空間的に分離されたR、G、およびB用の3つ画素を1組として用いるためである。
【0018】
これに対して、通常のフィールド順次方式の場合は解像度が3板式の解像度と同等レベルに改善される。しかし、画像の明るさに関しては、従来の単板式と同様の問題を有している。
【0019】
一方、IDW’99に記載されている上記の表示装置の場合、R、G、Bの光照射位置を相互に重複させないようにする必要があるが、そのためには平行度が非常に優れた照明光を必要とする。従って、照明光の平行度の規制によって光の利用効率が低下してしまうことになる。
【0020】
以上のように、上述した従来技術では、何れも、単板式の課題である明るさおよび解像度の両方を改善させることは実現していない。
【0021】
本出願人は、上記の課題を解決することを意図した投影型画像表示装置を特開平9−214997号公報に開示している。特開平9−214997号公報に開示した表示装置によれば、液晶パネルに対する光束の入射角度を液晶パネルの垂直走査周期に同期させて順次切り替える必要がある。この装置では、このような切り替えを行うため、液晶表示パネルと光源との間に特別のスペースを確保し、そこで2組のホログラム素子やミラーを駆動する必要がある。
【0022】
このような表示装置では、入射光角度の切り替えを行うために複数の可動部が必要であり、その制御が複雑になる。また、液晶表示パネルの各画素が全ての色を順次表示するため、液晶表示パネルで色別の調整を行うことができない。
【0023】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、明るく、高解像度で均一な表示を実現し、かつ小型化および低コスト化に適した投影型画像表示装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明による投影型画像表示装置は、光源と、各々が光を変調することができる複数の画素領域を有する画像表示パネルと、前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系とを備えた投影型画像表示装置であって、前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる画像シフト素子とを備え、前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射する。
【0025】
ある好ましい実施形態において、第n+1番目(nは正の整数)のフレーム画像を構成するサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる方向は、第n番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる方向と同一である。
【0026】
ある好ましい実施形態において、第n+1番目(nは正の整数)のフレーム画像を構成するサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる方向は、第n番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる方向と反対であり、第n+1番目のフレーム画像の最初のサブフレーム画像は、第n番目のフレーム画像の最後のサブフレーム画像に対してシフトしない。
【0027】
ある好ましい実施形態において、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は2つであり、各サブフレーム画像は前記被投影面上の異なる2つの位置に順次表示される。
【0028】
ある好ましい実施形態において、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は2つであり、各サブフレーム画像は前記被投影面上の異なる3つの位置に順次表示され、前記サブフレーム画像のシフトの周期がフレーム期間の1.5倍である。
【0029】
ある好ましい実施形態において、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は4つ以上であり、各サブフレーム画像は前記被投影面上の異なる3つの位置に順次表示され、各フレーム画像を構成する4つ以上のサブフレーム画像のうち少なくとも2つのサブフレーム画像は、前記被投影面上の同一位置に表示される。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記被投影面上の同一位置に表示される前記少なくとも2つのサブフレーム画像は黒表示のサブフレーム画像を含んでいる。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記被投影面上の同一位置に表示される前記少なくとも2つのサブフレーム画像は、輝度が低減されたサブフレーム画像を含んでいる。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記被投影面上でシフトする前記サブフレームの運動パターンが周期性を有しており、前記運動パターンの1周期が略2画素ピッチの移動を少なくとも2回含んでいる。
【0033】
ある好ましい実施形態において、前記サブフレームの運動パターンの1周期は、各々が順次表示される3枚のサブフレームの移動によって規定される6種類のサブセットから選択された複数のサブセットの組み合わせから構成されており、前記6種類のサブセットは、移動方向に関して対称関係にある2つの群のいずれかに属している。
【0034】
ある好ましい実施形態において、前記サブフレームの運動パターンの1周期は、前記2つの群の各々から選択されたサブセットを交互に含んでいる。
【0035】
ある好ましい実施形態において、前記サブフレームの運動パターンの1周期は、順次表示される18枚のサブフレームの移動から構成されており、前記2つの群の各々から選択された6個のサブセットを交互に含んでいる。
【0036】
ある好ましい実施形態において、前記サブフレームの運動パターンの1周期は、順次表示される6枚のサブフレームの移動から構成されており、前記2つの群の各々から1個づづ選択された2個のサブセットを含んでいる。
【0037】
ある好ましい実施形態において、前記被投影面上でシフトする前記サブフレーム画像の運動パターンが周期性を有しており、前記運動パターンは、前記サブフレーム画像を同一直線上における4つ以上の異なる位置にシフトさせることを含む。
【0038】
ある好ましい実施形態において、連続して表示されるサブフレーム画像間のシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略2倍以上にならない。
【0039】
ある好ましい実施形態において、前記サブフレーム画像の運動パターンの1周期は、順次表示される12枚のサブフレーム画像から構成されており、連続して表示されるサブフレーム画像間のシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略2倍以上にならない。
【0040】
ある好ましい実施形態において、前記サブフレーム画像の運動パターンの1周期は、順次表示される6枚のサブフレーム画像から構成されており、連続して表示されるサブフレーム画像間のシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略2倍以上にならない。
【0041】
前記被投影面上における前記サブフレームのシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍であることが好ましい。
【0042】
ある好ましい実施形態においては、前記画像表示パネルによって表示される前記サブフレーム画像が次のサブフレームに切り替わるとき、前記画像表示パネルによって変調された光が前記被投影面に達しないように前記光を遮断する。
【0043】
ある好ましい実施形態において、前記光制御手段は、前記光源からの光を、波長帯域に応じて、同一面内に含まれる異なる方向に向け、前記画像シフト素子は、前記面に平行な方向に前記サブフレーム画像をシフトする。
【0044】
ある好ましい実施形態において、前記画像シフト素子による前記サブフレーム画像のシフト方向は、前記画像表示パネルにおける表示画面の短辺方向に一致している。
【0045】
本発明による画像表示装置は、各々が光を変調し得る複数の画素領域を有する画像表示パネルを備え、前記画像表示パネルで変調された光によって画像を形成する画像表示装置であって、前記画像を構成するフレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、前記画像表示パネルによって表示された前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像の光路をシフトさせる画像シフト素子を備え、前記画像表示パネルの異なる画素領域によって変調された異なる波長域に属する光を、前記サブフレームのシフトによって合成し、前記回路は、前記フレーム画像を構成する第1の色に関するデータを格納する第1記憶領域と、前記フレーム画像を構成する第2の色に関するデータを格納する第2記憶領域と、前記フレーム画像を構成する第3の色に関するデータを格納する第3記憶領域とを備え、前記第1記憶領域、第2記憶領域、および第3記憶領域の各々から読み出したデータを予め設定された順序で選択的に組み合わせることにより、前記複数のサブフレームの各々のデータを生成する。
【0046】
本発明による画像表示装置は、各々が光を変調し得る複数の画素領域を有する画像表示パネルを備え、前記画像表示パネルで変調された光によって画像を形成する画像表示装置であって、前記画像を構成するフレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、前記画像表示パネルによって表示された前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像の光路をシフトさせる画像シフト素子を備え、前記画像表示パネルの異なる画素領域によって変調された異なる波長域に属する光を、前記サブフレームのシフトによって合成し、前記回路は、前記複数のサブフレーム画像のデータを記憶する複数の記憶領域を備えており、前記複数の記憶領域には、前記フレーム画像を構成する第1の色に関するデータと、前記フレーム画像を構成する第2の色に関するデータと、前記フレーム画像を構成する第3の色に関するデータとから構成されるデータが記憶される。
【0047】
本発明による画像表示装置は、第1の波長域に属する第1色用画素領域、第2の波長域に属する第2色用画素領域、および第3の波長域に属する第3色用画素領域が周期的に配列された光変調部を有する画像表示パネルを備えた画像表示装置であって、前記光変調部によって変調された光の光路を周期的にシフトさせることができる画像シフト素子を更に備え、前記光路を横切る或る仮想面上における第1の画素の色は、第1の期間に前記第1色用画素領域で変調された光、第2の期間に前記第2色用画素領域で変調された光、および第3の期間に前記第3色用画素領域で変調された光によって規定され、前記仮想面上において前記第1の画素に隣接する第2の画素の色は、前記第1の期間に前記第2色用画素領域で変調された光、前記第2の期間に前記第3色用画素領域で変調された光、および前記第3の期間に前記第1色用画素領域で変調された光によって規定され、前記仮想面上において前記第2の画素に隣接する第3の画素の色は、前記第1の期間に前記第3色用画素領域で変調された光、前記第2の期間に前記第1色用画素領域で変調された光、および前記第3の期間に前記第2色用画素領域で変調された光によって規定される。
【0048】
本発明による回路装置は、画像表示パネルを有する画像表示装置によって表示されるフレーム画像を構成する第1の色に関するデータを格納する第1記憶領域と、前記フレーム画像を構成する第2の色に関するデータを格納する第2記憶領域と、前記フレーム画像を構成する第3の色に関するデータを格納する第3記憶領域とを備えた回路装置であって、前記第1記憶領域、第2記憶領域、および第3記憶領域の各々から読み出したデータを予め設定された順序で組み合わせることによって、時分割表示されるべき複数のサブフレームの各々のデータを生成する。
【0049】
ある好ましい実施形態においては、前記画像を構成する或る画素についての前記第1の色に関するデータ、前記第2の色に関するデータ、および前記第3の色に関するデータを前記複数のサブフレーム画像の各々に割り当てる。
【0050】
ある好ましい実施形態においては、前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を或る面上でシフトさせることによって、画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記面上の同一領域を順次照射させることができる。
【0051】
本発明による回路装置は、画像表示パネルを有する画像表示装置によって表示されるフレーム画像を構成する第1の色に関するデータと、前記フレーム画像を構成する第2の色に関するデータと、前記フレーム画像を構成する第3の色に関するデータとから構成される複数のサブフレームを格納する複数の記憶領域を備えた回路装置であって、前記第1の色に関するデータ、第2の色に関するデータ、および第3の色に関するデータを予め設定された順序で前記複数の記憶領域に書き込み、各記憶領域のデータを順次読み出することにより、時分割表示されるべき複数のサブフレーム画像の各々のデータを生成する。
【0052】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた3つ以上の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記光路を屈折によってシフトさせる屈折部材と、前記光路に対する前記屈折部材の相対的位置関係を周期的に変化させる駆動装置とを備えており、前記屈折部材は、前記光路のシフト量が異なる複数の領域から構成されている。
【0053】
ある好ましい実施形態において、前記屈折部材は、屈折率および厚さの少なくとも一方が異なる複数の透明領域を有する回転板から構成され、前記光路を斜めに横切る配置で回転可能に支持されており、前記駆動装置は、前記回転板の複数の透明領域が前記光路を順次横切るように前記回転板を回転させる。
【0054】
ある好ましい実施形態において、前記屈折部材は、屈折率および厚さの少なくとも一方が異なる複数の透明領域を有する透明板から構成され、前記光路を斜めに横切る配置で移動可能に支持されており、前記駆動装置は、前記透明板の複数の透明領域が前記光路を順次横切るように前記透明板を移動させる。
【0055】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた3つ以上の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の偏光方向を変調する第1の素子と、光の偏光方向によって屈折率の異なる第2の素子とを有しており、前記第1の素子および第2の素子を少なくとも2組有し、前記光路上において直列的に配列されるように配置され、前記3つ以上の位置のうち隣接する位置に前記サブフレーム画像をシフトさせる際、光入射側に配置された第1の素子に対する電圧印加状態の選択が、その次に前記サブフレーム画像をシフトさせる方向によって異なることを特徴とする。
【0056】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた3つ以上の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の偏光方向を変調する第1の素子と、光の偏光方向によって屈折率の異なる第2の素子とを有しており、前記第1の素子および第2の素子を少なくとも2組有し、前記光路上において直列的に配列されるように配置され、前記3つ以上の位置のうちの中央部の位置に前記サブフレーム画像をシフトさせる際、光入射側に配置された第1の素子に対する電圧印加の状態を、光出射側に配置された第1の素子に対する電圧印加の状態と同じにすることを特徴とする。
【0057】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた3つ以上の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記光路上に配置される第1の画像シフト部分および第2の画像シフト部分を備え、前記第1および第2の画像シフト部分は、それぞれ、前記画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の偏光方向を変調する第1の素子と、光の偏光方向によって屈折率の異なる第2の素子とを有し、前記第1の画像シフト素子によるサブフレーム画像のシフト量と、前記第2の画像シフト素子によるサブフレーム画像のシフト量が相互に異なる。
【0058】
ある好ましい実施形態において、前記光路上で光が先に入射する側に位置する前記画像シフト部分によるサブフレーム画像のシフト量は、前記光路上で光が後に入射する側に位置する前記画像シフト部分によるサブフレーム画像のシフト量の2倍である。
【0059】
ある好ましい実施形態において、前記複数の素子を駆動する印加電圧の組み合わせは、ONからOFFへの遷移とOFFからONへの遷移を同時に含まない。
【0060】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた複数の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の偏光方向を変調する第1の素子と、光の偏光方向によって屈折率の異なる第2の素子とを有しており、前記第1の素子は、電圧印加に応答して光の偏光状態を切り替えることができる液晶素子を含み、前記第2の素子は、光の偏光状態に応じて光軸位置をシフトざせる光複屈折素子を含んでおり、前記光の偏光状態を切り替えるために前記液晶素子に印加する複数レベルの電圧は、いずれもゼロでない値を有している。
【0061】
ある好ましい実施形態において、前記液晶素子は、前記複数レベルの電圧に含まれる第1の電圧が印加されていたとき、第1の偏光を出射し、前記複数レベルの電圧に含まれる第2の電圧が印加されたとき、前記第1の偏光に対して偏光面が実質的に90°回転した第2の偏光を出射する。
【0062】
ある好ましい実施形態において、前記第1の電圧は、前記液晶素子の温度に応じて制御されるオフセット値を有している。
【0063】
前記第1の電圧は、前記液晶素子を透過する可視光の電圧透過率特性に基づいて設定されたオフセット値を有している。
【0064】
ある好ましい実施形態において、前記第1の電圧は、前記液晶素子を透過する緑色光の電圧透過率特性に基づいて設定されたオフセット値を有している。
【0065】
ある好ましい実施形態において、前記第1の電圧は、前記液晶素子を透過する赤色光の電圧透過率特性、緑色光の電圧透過率特性、および、青色光の電圧透過率特性に基づいて最適化されたオフセット値を有している。
【0066】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた複数の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の偏光方向を変調する第1の素子と、光の偏光方向によって屈折率の異なる第2の素子とを有しており、前記第1の素子は、第1偏光変調素子と第2偏光変調素子とを有し、かつ、前記第2の素子は、第1複屈折素子と第2複屈折素子とを有しており、前記第1偏光変調素子は、前記第1複屈折素子に対する常光または異常光を出射し、前記第2偏光変調素子は、前記第2複屈折素子に対する常光または異常光を出射し、前記第1複屈折素子は、前記光路を含む或る基準面に対してθ°の方向に前記画像を距離aだけシフトさせ、前記第2複屈折素子は、前記基準面に対してθ’°の方向に前記画像を距離bだけシフトさせ、tanθ=a/bの関係が成立する。
【0067】
ある好ましい実施形態においては、θ’=θ+90°の関係が成立する。
【0068】
ある好ましい実施形態においては、θ’=θの関係が成立する。
【0069】
ある好ましい実施形態において、前記θは45°である。
【0070】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた3つ以上の位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、偏光光に対して2以上の異なる屈折率を示す液晶層と、ある好ましい実施形態においては、前記液晶層を挟む2枚の基板とを有しており、前記2枚の基板のいずれか一方の基板の液晶側表面には、微小プリズムまたは回折格子が形成されている。
【0071】
ある好ましい実施形態において、前記微小プリズムまたは回折格子は、前記2以上の屈折率のうちの少なくとも1つの屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ材料から形成されている。
【0072】
ある好ましい実施形態においては、前記液晶層および前記2枚の基板を少なくとも2組有し、前記組が前記光路上において直列的に配列され、前記3つ以上の位置のうちの隣接する位置に前記サブフレーム画像をシフトさせる際、光出射側に配置された画像シフト素子に対する電圧印加の選択だけで前記サブフレーム画像をシフトさせる。
【0073】
本発明による画像シフト素子は、光路上に直列的に配列された少なくとも2組の画像シフト素子を備え、各組の画像シフト素子は、それぞれ、2つの変位素子を含み、各変位素子は、偏光光に対して2以上の異なる屈折率を示す液晶層と、前記液晶層を挟む2枚の基板とを有し、前記2枚の基板のいずれか一方の基板の液晶側表面には、微小プリズムまたは回折格子が形成されており、同一の組内に含まれる基板に形成された前記微小プリズムまたは回折格子の屈折角は相互に等しく、前記光路上で光が先に入射する側に位置する組に含まれる基板に形成された前記微小プリズムまたは回折格子による屈折角は、前記光路上で光が後に入射する側に位置する組の基板に形成された前記微小プリズムまたは回折格子による屈折角の2倍である。
【0074】
本発明による画像シフト素子は、光路上に直列的に配列された少なくとも2組の画像シフト素子を備え、各組の画像シフト素子は、それぞれ、2つの変位素子を含み、各変位素子は、偏光光に対して2以上の異なる屈折率を示す液晶層と、前記液晶層を挟む2枚の基板とを有し、前記2枚の基板のいずれか一方の基板の液晶側表面には、微小プリズムまたは回折格子が形成されており、同一の組内に含まれる基板に形成された前記微小プリズムまたは回折格子の屈折角は相互に等しく、前記光路上で光が先に入射する側に位置する組に含まれる基板の距離は、前記光路上で光が後に入射する側に位置する組の基板の距離の2倍である。
【0075】
本発明による画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の光路を周期的にシフトさせ、それによって、前記サブフレーム画像を或る面内の同一直線上における1画素ピッチ以上離れた4つの位置に選択的に振り向けることができる画像シフト素子であって、前記光路上において直列的に配列された第1のシフト素子および第2のシフト素子を有し、前記第1のシフト素子によるサブフレーム画像のシフト量は、前記第1のシフト素子によるサブフレーム画像のシフト量の2倍に設定されている。
【0076】
【発明の実施の形態】
本発明では、例えばカラーフィルタを用いない単板式の投影型画像表示装置において、画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、画像表示パネルによって複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる。そして、これらのサブフレーム画像を被投影面上で順次シフトさせることにより、画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光(R、G、B光)で被投影面上の同一領域を順次照射し、それよって高解像度のフルカラー表示を実現する。
【0077】
本発明の場合、被投影面上で1つの画素に相当する特定の領域に着目すると、或るサブフレームの表示期間(以下「サブフレーム期間」と称する)において、その特定領域は例えば赤色の光(R光)で照射されるが、次のサブフレーム期間においては緑色の光(G光)で照射され、更に次のサブフレーム期間においては、青色の光(B光)で照射される。このように本発明によれば、被投影面上の各画素の色が、R、G、およびB光の時分割照射によって規定される。
【0078】
従来のフィールド順次方式による投影型カラー画像表示装置と本発明との間には、以下に述べるような著しい相違点がある。
【0079】
従来のフィールド順次方式の場合は、R、G、およびB光で交互に画像表示パネルを照らす。従って、或る1つのサブフィールド期間においては、R、G、およびB光のいずれか1つの光で画像表示パネルの全画素領域が照射されることになる。その結果、被投影面上の各サブフレーム画像は、R、G、およびB光のうちの1色からなる画素によって構成されるが、R画像用サブフレーム、G画像用サブフレーム、およびB画像用サブフレームが人間の視覚の時間分解能以下の短い時間単位で時分割表示されるため、残像によって人間の目にはカラー画像が認識される。
【0080】
これに対し、本発明で用いるサブフレーム画像のそれぞれは、後に詳述するように、R、G、およびB光の組み合わせによって構成される。すなわち、或る1つのサブフレーム期間において、被投影面は、画像表示パネルで変調されたR、G、およびB光によって照らされる。画像表示パネルによって変調されたR、G、およびB光は、それぞれ、サブフレーム期間毎に被投影面の異なる位置を照射し、時間的に合成され、フルカラーのフレーム画像を表示する。
【0081】
本発明では、このようなR、G、およびB光の時間的合成を画像シフト素子によって行う。この画像シフト素子は、画像表示パネルと被投影面との間に配置され、画像表示パネルによって変調された光の経路(光路)を周期的・規則的に変化させる。
【0082】
本発明の適用範囲は投影型画像表示装置に限定されず、ビュワーやヘッド・マウント・ディスプレイなどの直視型画像表示装置にも好適に適用されるが、以下においては、投影型の画像表示装置を例にとり、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0083】
まず、図1を参照しながら第1の実施形態にかかる装置構成を説明する。
【0084】
(実施形態1)
本実施形態の投影型画像表示装置は、光源1と、液晶表示パネル8と、光源1からの光を波長域に応じて液晶表示パネル8の対応する画素領域に集光させる光制御手段と、液晶表示パネル8によって変調された光を被投影面上に投射する投影光学系とを備えている。
【0085】
この投影型画像表示装置は、更に、光源1から後方に出た光(白色光)を前方に反射する球面鏡2と、光源1および球面鏡2からの光を平行光束にするコンデンサーレンズ3と、この光束を波長域に応じて複数の光束に分離するダイクロイックミラー4〜6を備えている。ダイクロイックミラー4〜6によって反射された光は、波長域に応じて異なる角度でマイクロレンズアレイ7に入射する。マイクロレンズアレイ7は液晶表示パネル8の光源側基板に取りつけられており、異なる角度でマイクロレンズ7に入射した光は、それぞれ異なる位置の対応する画素領域に集められる。
【0086】
本投影型画像表示装置の投影光学系は、フィールドレンズ9および投影レンズ11から構成されており、液晶表示パネル8を透過した光束12をスクリーン(被投影面)13に投射する。本実施形態では、フィールドレンズ9と投影レンズ11との間に、画像シフト素子10が配置されている。図1には、画像シフト素子10によって被投影面に平行な方向にシフトされた光束12a、12bが示されている。光束のシフトを行うには、画像シフト素子10は液晶表示パネル8とスクリーン13との間の何れかの位置に挿入されていればよく、投影レンズ11とスクリーン13との間に配置されていても良い。
【0087】
次に、本投影型画像表示装置の各構成要素を順番に説明する。
【0088】
本実施形態においては、光源1として、光出力150W、アーク長5mm、アーク径2.2mmのメタルハライドランプを用い、このランプをアーク長方向が図面の紙面と平行となるように配置している。光源1としては、メタルハライドランプ以外に、ハロゲンランプ、超高圧水銀ランプ、またはキセノンランプ等を用いても良い。本実施形態で使用する光源1は、三原色に対応する3つの波長域の光を含む白色光を放射する。
【0089】
光源1の背面には球面鏡2が配置され、光源1の前面には口径80mmφ、焦点距離60mmのコンデンサーレンズ3が配置されている。球面鏡2は、その中心が光源1の発光部の中心と一致するように配置されており、コンデンサーレンズ3は、その焦点が光源1の中心と一致するように配置されている。
【0090】
このような配置構成により、光源1から出射された光は、コンデンサーレンズ3によって平行化され、液晶表示パネル8を照らすことになる。コンデンサーレンズ3を通過した光の平行度は、例えば、アーク長方向(図1の紙面に平行な方向)に約2.2°、アーク径方向に約1°となる。
【0091】
本実施形態で使用する液晶表示パネル8は、光源側の透明基板上にマイクロレンズアレイ7が配置された透過型液晶表示素子である。液晶の種類や動作モードは任意であるが、高速動作し得るものであることが好ましい。本実施形態ではTN(ツイステッド・ネマティック)モードで動作する。液晶表示パネル8には、光を変調するための複数の画素領域が設けられているが、本願明細書における「画素領域」とは、画像表示パネルにおいて空間的に分離された個々の光変調部を意味する。液晶表示パネル8の場合は、個々の画素領域に対応する画素電極によって液晶層の対応部分に電圧が印加され、その部分の光学特性が変化することによって光の変調が行われる。
【0092】
この液晶表示パネル8では、例えば768(H)×1024(V)の走査線がノンインターレースで駆動される。液晶表示パネル8の画素領域は透明基板上に二次元的に配列されており、本実施形態の場合、画素領域のピッチは水平方向に沿って測定した値も垂直方向に沿って計測した値も26μmである。そして、本実施形態の場合、R用、G用、B用画素領域は、それぞれ、画面の水平方向に沿ってストライプ状に配列され、各マイクロレンズが3つの画素領域(R用、G用、B用画素領域)からなるセットに割り当てられている。
【0093】
液晶表示パネル8を照射するR、G、およびB光は、図1に示すように、光源1から放射された白色光をダイクロイックミラー4、5、および6によって分離したものであり、液晶表示パネル8上のマイクロレンズアレイ7へ異なる角度で入射する。R、G、およびB光の入射角度を適切に設定することにより、図2に示すように、マイクロレンズ7によって各波長域に対応する画素領域へ適切に振り分けられる。本実施形態では、マイクロレンズ7の焦点距離を255μmとし、各光束がなす角度が5.8°になるように設計している。より詳細には、R光は液晶表示パネル8に対して垂直に入射し、B光およびG光は、それぞれ、R光に対して5.8°の角度で入射する。
【0094】
ダイクロイックミラー4、5、および6は、図3に示すような分光特性を有しており、それぞれ、緑色(G)、赤色(R)、および青色(B)の光を選択的に反射する。G光の波長域は520〜580nm、R光の波長域は600〜650nm、B光の波長域は420〜480nmである。
【0095】
本実施形態では、3原色の光を対応する画素領域に集めるためにダイクロイックミラー4〜6およびマイクロレンズアレイ7を用いているが、他の光学的な手段(例えば、光の回折・分光機能を付与された透過型ホログラム)を用いても良い。
【0096】
前述のように液晶表示パネル8はノンインターレースで駆動されるため、1秒間に60フレームの画像が表示され、各フレームに割り当てられる時間(フレーム期間)Tは1/60秒、すなわち、T=1/60(秒)≒16.6(ミリ秒)となる。
【0097】
なお、インターレースで駆動される場合は、画面内の走査線を偶数ラインと奇数ラインに分け、交互に表示していくため、T=1/30(秒)≒33.3(ミリ秒)となる。また、各フレームを構成する偶数フィールドおよび奇数フィールドの各々に割り当てられた時間(1フィールド期間)は、1/60≒16.6(ミリ秒)となる。
【0098】
本実施形態では、画像を構成する各フレーム画像の情報(データ)を逐次フレームメモリに蓄え、そのフレームメモリから選択的に読み出した情報に基づいて複数のサブフレーム画像を順次形成する。以下、サブフレーム画像の形成方法を詳細に説明する。
【0099】
例えば、或るフレームの画像(フレーム画像)が図4(a)に示すような画像であるとする。このフレーム画像はカラー表示されるべきものであり、各画素の色は、上記フレーム画像を規定するデータに基づいて決定される。なお、インターレース駆動の場合は、或るフィールドの画像が本願明細書における「フレーム画像」と同様に取り扱われ得る。
【0100】
従来の3板式投影型画像表示装置の場合は、上記データから各画素についてR、G、およびB光用のデータを分離し、図4(b)、(c)、および(d)に示すように、R画像用フレーム、G画像用フレーム、およびB画像用フレームの各データを生成する。そして、R、G、およびB用の3枚の画像表示パネルを用いて、R画像用フレーム、G画像用フレーム、およびB画像用フレームをそれぞれ同時に表示し、被投影面上で重畳する。図5(a)は、被投影面13上における或る特定の画素について、R、G、およびB画像用フレームが重畳されている様子を模式的に示している。
【0101】
これに対して、従来の単板式投影型画像表示装置の場合は、1枚の表示パネルにR、G、およびB用画素領域が別々の位置に設けられている。そして、R、G、およびB用データの各々に基づいてR、G、およびB用画素領域で光の変調が行われ、被投影面上にカラー画像が形成されることになる。この場合は、被投影面上において人間の視覚による空間的分解能よりも小さな領域内にR、G、およびB光が照射されるため、R、G、およびB光は相互に空間的に分離されているにもかかわらず、人間の目には1つの画素が構成されるように認識される。図5(b)は、被投影面13上における或る特定の画素について、R、G、およびB光の照射の様子を模式的に示している。
【0102】
以上の従来方式と異なり、本実施形態では、1つの画像表示パネル8の異なる画素領域で変調されたR、G、およびB光が被投影面13上の同一領域に順次照射され、その同一領域に1つの画素を表示する。すなわち、被投影面13上の任意の画素に注目した場合、その画素の表示はフィールド順次方式に類似した方式で実行される。ただし、1つの画素を構成するR、G、およびB光は、1つの画像表示パネルの異なる画素領域で変調されたものである点で従来のフィールド順次方式とは大きく異なる。図5(c)は、被投影面13上における或る特定の画素について、時分割で照射されるR、G、およびB光が1フレーム期間にわたって合成される様子を模式的に示している。図5(c)の左側部分に示されている画面は、1枚の画像表示パネル8における異なる3つのサブフレーム画像に対応している。
【0103】
図5(a)〜(c)から明らかなように、本実施形態によれば、たった1枚の表示パネルを用いながら、3板式と同様の高解像度と明るさでフルカラーの表示を実現することができる。
【0104】
次に、図6を参照しながらサブフレーム画像の構成を詳細に説明する。
【0105】
図6の左側部分には、R、G、およびB用フレームメモリに格納されたR、G、およびB画像フレームのデータが示されている。図6の右側部分には、表示サブフレーム1〜3が示されている。本実施形態によれば、或るフレームの最初の3分の1の期間(第1サブフレーム期間)において、被投影面上には表示サブフレーム1の画像が被投影面上に表示される。そして、次の3分の1の期間(第2サブフレーム期間)には、表示サブフレーム2の画像が表示され、最後の3分の1の期間(第3サブフレーム期間)には、表示サブフレーム3の画像が表示される。本実施形態では、これら3つのサブフレーム画像が図7に示すようにシフトし、時間的にずれながら合成される結果、人間の目には図4(a)に示すような原画像が認識されることになる。
【0106】
次に、表示サブフレーム1を例にとり、サブフレーム画像のデータ構成を詳細に説明する。
【0107】
まず、表示サブフレーム1の第1行画素領域用データは、図6に示すように、R用フレームメモリに記憶されている第1行目画素(R1)に関するデータから形成される。表示サブフレーム1の第2行画素領域用データは、G用フレームメモリに記憶されている第2行目画素(G2)に関するデータから形成される。表示サブフレーム1の第3行画素領域用データは、B用フレームメモリに記憶されている第3行目画素(B3)に関するデータから形成される。表示サブフレーム1の第4行画素領域用データは、R用フレームメモリに記憶されている第4行目画素(R4)に関するデータから形成される。以下、同様の手順で表示サブフレーム1のデータが構成される。
【0108】
表示サブフレーム2および3のデータも、表示サブフレーム1の場合と同様にして構成される。例えば表示サブフレーム2の場合、第0行画素領域用データは、B用フレームメモリに記憶されている第1行目画素(B1)に関するデータから形成され、表示サブフレーム2の第1行画素領域用データはR用フレームメモリに記憶されている第2行目画素(R2)に関するデータから形成される。表示サブフレーム2の第2行画素領域用データはG用フレームメモリに記憶されている第3行目画素(G3)に関するデータから形成され、表示サブフレーム2の第3行画素領域用データはB用フレームメモリに記憶されている第4行目画素(B4)に関するデータから形成される。
【0109】
このようにしてR、G、およびB用フレームメモリの各々から読み出したデータを予め設定された順序で組み合わせることによって、時分割表示されるサブフレームの各々のデータが生成される。この結果、サブフレーム用データの各々は、R、G、およびBの全ての色に関する情報を含んでいるが、R、G、およびBのそれぞれについて、空間的には全体の3分の1の領域に関する情報を有しているだけである。より詳細に述べれば、表示サブフレーム1の場合、Rの情報は、図6から明らかにように、形成すべきフレーム画像の第1、4、7、10…行の画素に関するものだけである。フレーム画像の他の行における画素に関するRの情報は表示サブフレーム2および3に割り振られている。
【0110】
本実施形態では、画像表示パネルの各画素領域には常に同じ色の情報が表示されることになるが、各サブフレーム間で画像をシフトさせて投影させることによって、フレーム画像を合成することができる。なお、図6からわかるように、画像表示パネルの画素領域の全行数は、1つのサブフレーム画像を構成する画素の全行数よりも2行だけ多い。この2行は画像シフトのマージンとして機能する。
【0111】
次に、図8および図9を参照しながら、シフトした複数のサブフレーム画像が1つのフレーム画像を合成する様子を説明する。
【0112】
まず、図8を参照する。図8(a)は、スクリーンなどの被投影面に投影された3枚のサブフレーム画像の一部を示す斜視図である。図中の左から順番に表示サブフレーム1〜3、および合成されたフレーム画像が模式的に示されている。図8(b)は、画素表示パネルの対応画素領域を示しており、左から順番に、表示サブフレーム1〜3の対応部分を示している。表示サブフレーム1の第3行〜第7行、表示サブフレーム2の第2行〜第6行、および表示サブフレーム3の第1行〜第5行が被投影面上で時間的にはズレながらも空間的に重なりあうことで1枚のフレーム画像が構成される。
【0113】
画像表示パネル上のR、G、およびB用画素領域の位置は、図8(b)に示されるように固定されているが、画像表示パネルと被投影面との間に配置された画像シフト素子の働きによってサブフレーム画像の光路がシフトし、図8(a)に示すようなサブフレーム画像の合成が達成される。
【0114】
次に、サブフレーム画像のシフト方法を説明する。
【0115】
本実施形態では、図9に示すような3つの透明領域A〜Cを有する円盤状ガラス板(屈折部材)20から作製した画像シフト素子を採用する。この円盤状ガラス板20は、屈折率が1.52のBK7ガラスから形成されており、透明領域Aの厚さは0.7mm、透明領域Bの厚さは1.1mm、透明領域Cの厚さは1.5mmに設定されている。このガラス板は、円盤の中心を軸にして回転可能な状態で支持され、ガラス板の主面が光軸との間で70.2°の角度を形成するよう配置される。図10は、光軸を横切るガラス板の断面を部分的に模式的に示している。光軸に垂直な面とガラス板の主面との間の角度をθ0、ガラス厚をd、ガラスの屈折率をngとすると、屈折による光軸のシフト量Δxは下記式で表現される。
【0116】
Δx=d・sinθ0(1−cosθ0/(ng 2−sin2θ01/2
【0117】
本実施形態では、ガラス厚dが透明領域A〜Cの各々で異なる値を持つように設計されており、ガラス板20の回転にともなって光軸のシフト量Δxが周期的に変化することになる。
【0118】
画像表示パネルで変調された光束は、不図示の駆動装置(モータなど)によって回転するガラス板20の透明領域A〜Cのいずれかを透過し、被投影面に到達する。本実施形態の場合、透明領域Aを透過した光束の光路に対し、透明領域Bを透過した光束の光路は26.1μmだけシフトする。また同様に、透明領域Bを透過した光束の光路に対し、透明領域Cを透過した光束の光路は26.1μmだけシフトする。なお、ここでのシフト量(=26.1μm)は、画像表示パネル上でのシフト量として換算した値であり、画素領域の垂直ピッチに相当するように画像シフト素子を設計している。このシフト量は、各透明領域A〜Cの厚さを調節すれば、他の任意の値に変更することができる。例えば、各透明領域A〜Cの厚さを1.4倍にすれば、シフト量は26.1×1.4μmとなる。
【0119】
本実施形態では、光束のシフトΔxが生じる方向(シフト方向)が画像の垂直方向と等しいが、光束のシフト方向は画像の水平方向に等しい場合であっても、斜め方向であっても良い。重要な点は、シフト量が画素を単位とする大きさを持ち、各サブフレーム画像の画素が被投影面上において実質的に重なり合うことにある。言いかえると、被投影面上での画像のシフト量は、被投影面上でシフト方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍になれば良い。
【0120】
光束のシフト方向を画像の例えば水平方向に等しくする場合、図10のガラス板を光軸中心に90°回転させ、光束のシフトが画像の水平方向に沿って行われるようにすれば良い。
【0121】
図11は、画像表示パネル8において光を変調する部分(各画素領域)での電圧印加に対する光透過率の応答曲線を示している。本実施形態では、各画素領域は液晶層を電極で挟んだ構造を有しており、液晶の応答速度は有限であるため、電圧印加を開始した瞬間に光透過率が最大値に達することはない。すなわち、光透過率が最大レベルに達し、暗状態から明状態への変化が完成するのは、電圧印加開始から遅れている。また、電圧印加の停止時点から光透過率が最小値(ゼロ)に至るまでの間にも時間的な遅れが生じている。
【0122】
本実施形態では、図8(b)に示すようにサブフレーム期間毎に異なるサブフレーム画像を画像表示パネル上に表示する必要がある。もしも、サブフレーム画像の表示の切り替えに無視できない時間を要すると、各サブフレーム期間の最初の部分ではサブフレーム画像の明るさが不充分となる一方、サブフレーム期間(電圧印加期間)が終了した後も、しばらくは当該サブフレーム画像が不必要に表示されてしまう。そのため、サブフレーム画像がシフトしても、画像表示パネルの応答速度の遅さに起因して前のサブフレームの画像が表示されていたり、次のサブフレームの画像に重なってわずかに前のサブフレームの画像が表示されたりする。そのような場合、合成されたフレーム画像には輪郭等に滲みやゴースト(2重写り)が発生してしまう。
【0123】
図12を参照しながら、上記の滲みやゴーストが発生する理由を説明する。図12は、第n番目(nは正の整数)のフレーム画像を構成するサブフレーム画像の特定の画素列と、第n+1番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像の対応する画素列とを模式的に示している。各画素列が上下しているのは、画像シフト素子によってサブフレーム画像の光路が上下にシフトしているためである。図12においては、画像表示パネルの応答の遅れに起因して、明状態から暗状態に移行する時期の遅れた画素が示されている。例えば、第n番目のフレーム画像を構成する最初のサブフレーム画像において、明状態にある「B」画素は、次のサブフレームでは下方に1画素分だけシフトしているが、まだ、完全に暗状態に変化していない。更に次のサブフレームでは更に下方に1画素分だけシフトし、完全に暗状態に変化しているが、このサブフレームでは、その上の「G」画素がやや明状態を維持している。このような応答の遅れが存在すると、図12の白表示の画素(「W」画素)に隣接した画素、および1画素おいて離れた画素に色づきが生じてしまう。
【0124】
このような画像表示パネルの応答遅れに起因する色滲みやゴーストの発生を防止するには、画像表示パネルにおいてサブフレーム画像の切り替えが行われるとき、応答遅れが生じている画素領域で変調された光が被投影面に投影されないようにすれば良い。そのためには、応答遅れが生じている期間だけ、例えば液晶シャッタやメカニカルシャッタなどの遮光装置を用いて光路(光源から被投影面までの光路)の一部を一時的に遮断するか、あるいは光源を一時的に消燈または減燈すれば良い。
【0125】
画像表示パネルの応答が遅れている期間だけではなく、画像表示パネルの表示タイミングと画像シフトのタイミングとがずれている期間においても、同様の問題が生じる。そのため、このようなタイミングのずれが生じている期間、または、タイミングのズレが生じる可能性のある期間は、光路を遮断すれば良い。
【0126】
なお、上記のような遮光装置を特別に使用する代わりに、図9の画像シフト素子を改良して画像シフト素子自身に「遮光機能」を付与しても良い。例えば図13に示すように、ガラス板20のうち画像表示パネルの応答遅れ期間やタイミングのズレが生じる期間に光束を横切る部分に遮光領域21を配置すれば、図12の色滲みやゴーストの発生を抑制し、より高品位の画像を得ることができる。扇型遮光領域21の中心角は、画像表示パネルの応答遅れの大きさ等に応じて決定される。遮光領域21がガラス板20の全体に占める割合が小さいほど、被投影面で表示される画像は明るくなる。
【0127】
画像表示パネルの応答が始まってから終了するまでの期間に対する、画像シフトを開始してから次の画像シフトを開始するまでの期間の時間軸上における関係、すなわち、画像シフト期間のタイミングは、例えば図11に示すように調節されることが好ましい。すなわち、画像表示パネルの各画素領域が充分な明るさを示している期間に同期させて、画像のシフトを行うことが好ましい。
【0128】
本実施形態では、画像表示パネルとしてTN(ツイステッド ネマチック)モードの液晶表示パネルを使用しているが、本発明はこれに限定されず、その他の様々なモードの液晶表示パネルを使用しても良い。より高速で応答することができる表示パネルを採用すれば、画像シフト素子に設ける遮光領域の面積割合を小さくすることができるので、より明るい高品位画像を得ることが可能になる。
【0129】
本実施形態の投影型画像表示装置によれば、各フレーム期間に3つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、3倍の解像度を実現できる。
【0130】
なお、本実施形態では、画像表示パネルとして透過型の表示パネルを用いているが、図14に示すような反射型の液晶表示パネルを用いても良い。図14に示す反射型液晶表示パネルは、例えば特開平9−189809号公報に開示されている。このような反射型の画像表示パネルを用いる場合、光源からの白色光をダイクロイックミラーで分光する必要がなく、表示パネル上の透過型ホログラムが白色光をR、G、およびB光に回折・分光し、対応する画素領域の反射電極(画素電極)に集光する。画素電極で反射された光は偏光成分の変化量に応じてホログラムを透過する。このような透過型ホログラムは、R用ホログラフィ・レンズアレイ層、G用ホログラフィ・レンズアレイ層、およびB用ホログラフィ・レンズアレイ層を積層することによって作製される。
【0131】
なお、反射型の場合、反射電極の裏面側(下方)にトランジスタ領域を設けることができるので、サブフレーム画像の切り替えを画面一括で行う場合に好適である。
【0132】
このように本発明では、画像表示パネルの各画素領域には常に同じ色の情報が表示されるが、選択されたサブフレーム画像をシフトさせて投影させることにより、各画素領域がサブフレーム毎に異なる位置(画素)の情報を表示することができ、その結果として高い解像度が実現する。
【0133】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0134】
本実施形態の投影型画像表示装置も、基本的に第1の実施形態と同様の構成を有しており、主な相違点は、サブフレーム画像のシフト方法にある。従って、以下においては、この相違点のみを説明する。
【0135】
実施形態1の場合は、図12に示すように第n+1番目(nは正の整数)のフレーム画像を構成するサブフレーム画像をシフトさせる方向は、第n番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像をシフトさせる方向と同一であるが、本実施形態では、図15に示すように第n+1番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像をシフトさせる方向は、第n番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像をシフトさせる方向と反対である。すなわち、第n番目フレームでは、サブフレーム画像を下方向にシフトさせ、第n+1番目フレームでは、サブフレーム画像を上方向にシフトさせる。しかも、本実施形態では、第n+1番目フレームの最初のサブフレーム画像と、第n番目フレームの最後のサブフレーム画像とが被投影面の同一位置に投影される。
【0136】
また、本実施形態では、画像シフトの1周期が2フレーム期間に等しくなっており、しかも、その2フレーム期間内に画像シフトは4回しか生じていない。このため、画像表示パネルの応答遅れや画像シフトのタイミングのズレに起因して生じ得る画質劣化を低減することができる。また、隣接画素以外に色づく画素がなくなり、色づく画素の発生するサブフィールドも実施形態1の場合に比較して3分の2に減少し、ゴーストが発生することもなくなる。
【0137】
このように、フレームの切り替え時にサブフレーム画像をシフトさせないようにするためには、各フレーム内の最後のサブフレームと次のフレームにおける最初のサブフレームとで、画像シフト素子による光束への作用を同一条件にするか、画像シフト素子の動きを停止すれば良い。
【0138】
このような画像シフトを行うための画像シフト素子の一例を図16に示す。この画像シフト素子は、透明領域A〜Fを有するガラス板22を備えている。透明領域EおよびFは、屈折率1.49のFK5ガラスから形成され、透明領域AおよびDは屈折率1.57のBaK4ガラスから形成され、透明領域BおよびCは屈折率1.64のSF2ガラスから形成されている。各透明領域の厚さは、いずれも2.0mmである。
【0139】
このような構成の円盤状ガラス板22を主面が光軸に対して65°の角度をなすようにする。そして、各透明領域が光路を横切るタイミングを、それに対応するサブフレームに切り替わるタイミングと同期させてガラス板22を回転する。こうすることにより、透明領域EおよびFに対して、透明領域AおよびDでは34.0μmだけ光路がシフトし、透明領域AおよびDに対して透明領域BおよびCでは26.6μmだけ光路がシフトする。
【0140】
透明領域Fが例えば図15に示す第nフレームの最初のサブフレームに対応しているとする。この場合、透明領域Aは第nフレームの次のサブフレームに対応し、透明領域Bは、第nフレームの最後のサブフレームに対応する。そして、透明領域Cは第n+1フレームの最初のサブフレームに対応し、透明領域Dは第n+1フレームの次のサブフレームに対応し、透明領域Eは第n+1フレームの最後のサブフレームに対応する。
【0141】
透明領域Bと透明領域Cとは同一の屈折率および厚さを持つため、光路のシフト量も同一であり、図15に示すように、対応する2つのサブフレーム画像の間ではシフトが生じない。同様のことが透明領域Eと透明領域Fとの間においても生じる。
【0142】
ここでは透明領域BおよびC、更には透明領域EおよびFについて、説明の都合上、それぞれを2つの領域に区分している(図16では破線で区分している)が、実際には、それぞれを1枚の連続した部材から構成することができる。従って、図16の円盤状ガラス板22は4つの扇形透明部材を組み合わせて作製され得る。
【0143】
本実施形態においても画像表示パネルの応答遅れなどに起因して、画像シフトとサブフレーム切り替えとの間にタイミングのずれが発生し得る。そのため、図17に示すように、ガラス板22の適切な部分に遮光領域21を設けることが好ましい。図17では、画像シフトを行うべき2つの領域の境界(透明領域AおよびDの各々の両側)に遮光領域21を設ければ良い。
【0144】
本実施形態でも、画像表示パネルとしてTNモードの液晶表示パネルを使用しているが、その他の様々なモードの液晶表示パネルを使用しても良い。より高速で応答することができる表示パネルを採用すれば、画像シフト素子に設ける遮光領域の面積割合を小さくすることができるので、より明るく高品位な画像を得ることが可能になる。また、本実施形態では画像表示パネルとして透過型の表示パネルを用いているが、例えば図14に示すような反射型の液晶表示パネルを用いても良い。
【0145】
本実施形態の投影型画像表示装置によっても、カラーフィルタ無しの画像表示パネルを用いて各フレーム期間に3つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、3倍の解像度を実現できる。
【0146】
また、フレーム切り替え時にサブフレーム画像がシフトしないため、前述した画像表示パネルの応答遅れ等に起因する色滲みやゴーストを大幅に低減することができる。
【0147】
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0148】
本実施形態の投影型画像表示装置も、基本的には第1の実施形態と同様の構成を有しており、主な相違点は、サブフレーム画像の構成およびシフト方法にある。以下、この相違点を説明する。
【0149】
本実施形態では、図18に示すように、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は2つであり、各サブフレーム画像は被投影面上の異なる2つの位置に順次表示される。そして、各フレームにおいて、第1番目のサブフレーム画像における或る1つの画素と、その近傍に投影される第2番目のサブフレーム画像における2つの画素との合計3つの画素によって、被投影面上の1つの画素を構成するようにしている。被投影面上の上記1つの画素に隣接する他の1つの画素については、これとは逆に、第1番目のサブフレーム画像における2つの画素と、第2番目のサブフレーム画像における1つ画素とを合成している。こうすることにより、被投影面中に形成される画像の解像度は幾分低下するが、各フレームを2つのサブフレームで構成できるため、画像表示パネルを高速で駆動する必要がなくなり、応答遅れに起因する色滲みも低減される。
【0150】
本実施形態では、被投影面上の2つの異なる位置にサブフレーム画像を表示させるように構成された画像シフト素子を用いる。この画像シフト素子は、例えば、屈折率および厚さの少なくとも一方が異なる2種類の透明領域を有するガラス板から構成される。
【0151】
本実施形態でも、画像表示パネルとしてTNモードの液晶表示パネルを使用しているが、その他の様々なモードの液晶表示パネルを使用しても良い。より高速で応答することができる表示パネルを採用すれば、画像シフト素子に設ける遮光領域の面積割合を小さくすることができるので、より明るく高品位な画像を得ることが可能になる。また、本実施形態では画像表示パネルとして透過型の表示パネルを用いているが、例えば図14に示すような反射型の液晶表示パネルを用いても良い。
【0152】
本実施形態の投影型画像表示装置によれば、カラーフィルタ無しの画像表示パネルを用いて各フレーム期間に2つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、より高い解像度を実現できる。
【0153】
(実施形態4)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0154】
本実施形態の投影型画像表示装置も、基本的に第1の実施形態と同様の構成を有しており、主な相違点はサブフレーム画像の構成およびシフト方法にある。以下、この相違点を説明する。
【0155】
本実施形態では、図19に示すように、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は2つであり、各サブフレーム画像は被投影面上の異なる3つの位置に順次表示される。各フレームが2つのサブフレームで構成できるため、画像表示パネルを高速で駆動する必要がなくなり、応答遅れに起因する色滲みも低減される。
【0156】
本実施形態によれば、図19に示すように、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は2つであるが、各サブフレーム画像は被投影面上の異なる3つの位置に順次表示されるため、画像シフトの周期はフレーム期間の1.5倍となる。その結果、被投影面上の各画素においてR、G、およびBの画素情報が重畳されるために、実施形態3の場合よりも高い解像度の画像を得ることができる。
【0157】
本実施形態では、2つのサブフレーム画像が、それぞれ、映像信号の原画フレームを構成するサブフレームに対応しているが、映像信号の原画フレームを構成するサブフレームと各表示サブフレームの表示タイミングを正確に一致させる必要はない。映像信号の原画フレームを構成する最後のサブフレームの表示が終わっていないのに、次のサブフレームの表示タイミングになれば、残った原画フレームの映像信号を破棄して、新たな原画フレームを構成する最初のサブフレームを表示してゆけば良い。通常の映像では、フレーム間またはサブフレーム間で、画像情報に大きな変化は生じないため、表示するフレームの周波数と原画フレームの周波数との間に差異が存在しても違和感なく表示を行うことが可能である。従って、本実施形態によれば、表示品質を大きく損なうことなく、装置構成を簡素化できる。
【0158】
なお、第3実施形態と異なり、本実施形態の画像シフト素子は被投影面上の3つの異なる位置にサブフレーム画像を表示するため、実施形態1で用いた画像シフト素子をそのまま用い、その回転速度を3分の2に低減すれば良い。
【0159】
本実施形態でも、画像表示パネルとしてTNモードの液晶表示パネルを使用しているが、その他の様々なモードの液晶表示パネルを使用しても良い。より高速で応答することができる表示パネルを採用すれば、画像シフト素子に設ける遮光領域の面積割合を小さくすることができるので、より明るく高品位な画像を得ることが可能になる。また、本実施形態では画像表示パネルとして透過型の表示パネルを用いているが、例えば図14に示すような反射型の液晶表示パネルを用いても良い。
【0160】
本実施形態の投影型画像表示装置によれば、カラーフィルタを用いない画像表示パネルを用いて各フレーム期間に2つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、より高い解像度を実現できる。
【0161】
(実施形態5)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
【0162】
本実施形態の投影型画像表示装置も、基本的には第1の実施形態と同様の構成を有しており、主な相違点は、サブフレーム画像の構成およびシフト方法にある。以下、この相違点を説明する。
【0163】
本実施形態では、各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は4つであり、各サブフレーム画像は被投影面上の異なる3つの位置に順次表示され、各フレーム画像を構成する4つのサブフレーム画像のうち2つのサブフレーム画像は、被投影面上の同一位置に表示される。すなわち、本実施形態のサブフレームは、実施形態1と同様に生成したサブフレームのデータのうち、各フレーム内での2番目のサブフレームを最後にもう一度表示し、合計4つのサブフレームから各フレーム画像を構成している。
【0164】
以下、図20を参照しながら、この点をより詳細に説明する。
【0165】
本実施形態における画像シフトは概ね1画素ピッチで行い、各フレーム内での第2番目および第4番目のサブフレーム画像を基準にして第1番目および第3番目のサブフレーム画像をそれぞれ上方向および下方向にシフトさせている。すなわち、各フレームが4つのサブフレームから構成され、4回の画像シフトによって1周期のシフトを行っている。
【0166】
本実施形態では、フレーム単位を周期として画像の往復運動を行うため、常に1画素単位で3つの異なる位置へ画像をシフトさせることが可能となる。そして、フレーム内においても、またフレーム間でも、1画素単位で常に画像のシフトを行うことができるため、図20に示すようにゴーストの発生を防止できる。
【0167】
更に図21に示すように第4番目の表示サブフレームを黒表示とすれば、各フレーム内での各色の表示回数が等しくなるため、画素間の色バランスが良くなる。
【0168】
各フレームを5つ以上のサブフレーム画像から構成するようにしても良い。その場合は、各色の表示回数が各フレーム内で同じになるように、黒表示を行う複数のサブフレーム画像を各フレーム内に分散させることが好ましい。
【0169】
このように黒表示となるサブフレーム画像を各フレーム内に挿入する代わりに、被投影面上の同一位置に表示される2つのサブフレーム画像が、輝度の低減されたサブフレーム画像から構成されるようにしても良い。具体的には、各フレームにおける第2番目および第4番目のサブフレーム画像の合計光量が第1番目または第3番目のサブフレーム画像の光量と等しくなるように、表示画像信号を補正するようにしても良い。そうすれば、各画素間の色バランスが良くなり、しかも、常に画素が表示されることになるため、チラツキ感も低減する。このような表示画像信号の補正量は、全画素、各フレームにおいて、いつも同じ補正であるので、簡単な回路構成で実現できる。
【0170】
本実施形態で用いる画像シフト素子は、図22に示すように、4つの透明領域を有するガラス板23から構成される。透明領域Aは屈折率1.49のFK5ガラスから形成され、透明領域BおよびDは屈折率1.57のBaK4ガラスから形成され、透明領域Cは屈折率1.64のSF2ガラスから形成されている。透明領域A〜Dの厚さは、いずれも2.0mmである。ガラス板23は、その主面が光軸に対して65°の角度をなすようにして光路を横切り、透明領域A〜Dの各々がサブフレーム画像に対応するように回転する。そして、透明領域BおよびDに対して、透明領域Aでは光束が上方に34.0μmだけシフトし、透明領域Cでは光束が26.6μmだけシフトする。
【0171】
本実施形態でも、画像表示パネルとしてTNモードの液晶表示パネルを使用しているが、その他の様々なモードの液晶表示パネルを使用しても良い。より高速で応答することができる表示パネルを採用すれば、画像シフト素子に設ける遮光領域の面積割合を小さくすることができるので、より明るく高品位な画像を得ることが可能になる。また、本実施形態では画像表示パネルとして透過型の表示パネルを用いているが、例えば図14に示すような反射型の液晶表示パネルを用いても良い。
【0172】
本実施形態の投影型画像表示装置によれば、カラーフィルタ無しの画像表示パネルを用いて各フレーム期間に4つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、3倍の解像度を実現できる。
【0173】
このように本発明の投影型画像表示装置では、各フレーム画像を複数のサブフレーム画像に時分割し、それらのサブフレーム画像をシフトさせながら重畳することにより、もとのフレーム画像を合成している。サブフレーム画像をシフトさせるタイミングは、画像表示パネルでサブフレーム画像を切り替えるタイミングに同期させて行うことが好ましい。
【0174】
サブフレーム画像を切り替える方式には、大きく分けて2種類ある。第1の方式は「線走査(ライン走査)方式」であり、この方式によれば、画像表示パネルにおいて行列状に配列した複数の画素領域を1行または数行毎に駆動し、画面の上部から下部に向けて垂直に新しいサブフレーム画像を表示していく。画面を幾つかにブロックに分けて行毎に走査する方法も「線走査方式」に含めることとする。これに対し、第2の方式は「面(一括)書き込み方式」であり、この方式によれば、画像表示パネルにおいて行列状に配列した複数の画素領域の全てを一括的に駆動し、画面全体において同時に新しいサブフレーム画像を表示する。
【0175】
本発明は走査方式の種類には限定されない。以下においては、まず「線走査方式」の実施形態を説明する。
【0176】
(実施形態6)
図23(a)〜(g)は、画像表示パネルにおいてサブフレーム画像の切り替えが線走査によって行われる様子を示している。図23(a)は、表示パネルの第1行目における画素領域のみが新しいサブフレーム画像(例えば第2サブフレーム画像)の表示に切り替わった状態を示している。この時点では、第2行目以降における画素領域は古いサブフレーム画像(例えば第1サブフレーム画像)の表示を継続している。図23(b)〜(g)では、1行ずつ走査線が画面下方に移動し、それに伴って新しいサブフレーム画像の表示エリアが拡大していっている。図23(g)では、第1〜7行目の画素領域で新しいサブフレーム画像が表示されている。
【0177】
このように、通常の線走査で駆動する画像表示パネルでは、サブフレーム画像の切り替えによって、新しいサブフレーム画像と古いサブフレーム画像との境界線が1水平(1H)期間毎に移動してゆく。この場合、図11の電圧印加の開始時刻は走査線(行)毎に一定間隔でずれている。
【0178】
従って、線走査で駆動する画像表示パネルを用いる場合は、各画素について、新しいサブフレーム画像の表示を開始するタイミングと、画像シフト素子による光路シフトを開始するタイミングとを同期させることが好ましい。そのためには、新しいサブフレーム画像の表示領域が増加する速度(走査線移動速度)と画像シフト素子によるシフト領域が増加する速度とが一致していることが好ましい。
【0179】
以下、このような動作に好適な画像シフト素子の種々の態様を説明する。
【0180】
本実施形態の画像シフト素子は、図24に示すように、6つの透明領域を有したガラス板24から構成されている。透明領域AおよびDは屈折率1.49のFK5ガラスから形成され、透明領域BおよびEは屈折率1.57のBaK4ガラスから形成され、透明領域CおよびFは屈折率1.64のSF2ガラスから形成されている。いずれも厚さを2.0mmに統一した。
【0181】
この画像シフト素子をガラス板24の主面が光軸に対して65°の角度をなすように挿入することにより、透明領域AおよびDに対して透明領域BおよびEでは34.0μm、透明領域CおよびFでは26.6μmだけ画像がシフトした。各透明領域がそれぞれ表示サブフレームに対応する。本画像シフト素子では、ガラス板24の厚さを一定にしているため、高速でも静かに安定して回転する。
【0182】
なお、前述の実施形態について説明した画像表示パネルの応答遅れ等に起因する色の滲みを抑制するためには、図25に示すように、各透明領域の間に遮光領域21を設けることが好ましい。
【0183】
また、図9のガラス板20と同様に、ガラス材料として安価なBK7ガラスのみを使用しても良い。その場合、各透明領域の厚さを比較的自由に選択できるため、より精度の高い画像シフト素子を安価に得ることができる。
【0184】
上記の画像シフト素子の改良例として、透明領域AおよびDをガラス板24の切り欠き部から構成し、残りの透明領域には屈折率が1.52のBK7ガラスを用いても良い。この場合、透明領域BおよびEの厚さを0.7mm、透明領域CおよびFの厚さを1.4mmに設定し、画像シフト素子をガラス板24の主面が光軸に対して83.8°の角度をなすように挿入すれば、透明領域A、Dに対して透明領域B、Eでは26.0μm、透明領域B、Eに対して透明領域C、Fでも26.0μmの画像シフトを実現できる。このよう構成を採用することで、画像シフト素子を軽量化できる。また、透明領域AおよびDに対応するサブフレーム画像は、ガラスを透過しないため、鮮明化されるという効果も奏する。
【0185】
他の画像シフト素子として、6つの透明領域を有するガラス板24の構成を以下のようにしても良い。すなわち、透明領域AおよびDは屈折率1.49のFK5ガラスから形成し、その厚さを2.0mmとする。透明領域BおよびEは屈折率1.52のBK7ガラスから形成し、その厚さを2.09mmとする。透明領域CおよびFは屈折率1.64のSF2ガラスから形成し、その厚さを2.0mmとする。この場合、このガラス板を光軸に対して65°の角度をなすように挿入すれば、透明領域AおよびDに対して透明領域BおよびEでは25.9μm、透明領域BおよびEに対して透明領域CおよびFでは26.8μmの画像シフトを実現できる。このように、比較的量産のしやすいガラス板を選択し、その厚さを調整することにより、透明領域間での厚さの差を比較的小さくしながら、精度のより高い画像シフト素子を安価に製造することが可能になる。
【0186】
なお、上記画像シフト素子の主要部は、いずれもガラス材料から形成された透明板から構成されているが、本発明における画像シフト素子はこれに限定されない。光路の屈折を引き起こす透明材料であれば、プラスティク等の樹脂であって良い。
【0187】
以上説明してきたように、光軸に対して傾斜する透明板を用いサブフレーム画像の光路をシフトさせるためには、屈折率および厚さの少なくとも一方が異なる複数の透明領域を有する透明板を作製すれば良い。透明板の厚さは、表面研磨やエッチングなどの技術によって容易に調整できる。
【0188】
透明板の主面を光軸に対して45〜85°の角度で傾斜させる場合、屈折率1.45〜1.7程度の範囲から適切な値を選択して、必要な画像シフト量を実現することが可能である。このような屈折率を持つ透明板は、一般的なガラス材料から形成され得るので、安価に画像シフト素子を製造することができる。
【0189】
透明板の主面を光軸に対して66〜88°の角度で傾斜させる場合、透明板の厚さを0.5〜2.0mm程度の範囲から適切な値を選択して、必要な画像シフト量を実現することが可能である。また、透明板の主面を光軸に対して61〜80°の角度で傾斜させる場合は、透明板の厚さを0.5〜2.0mm程度の範囲、屈折率を1.45〜1.7程度の範囲から適切な値を選択して、必要な画像シフト量を実現することが可能である。
【0190】
(実施形態7)
画面の垂直方向に線走査を行う場合、第n番目のサブフレーム画像と第n+1番目のサブフレーム画像との境界部(画像切り替えの境界)は、図26に示すように、水平な線分によって表され、この線分が上方から下方に移動する。
【0191】
上述したような回転板を用いて画像シフトを実行する場合、同じく図26に示すように、ガラス板24において隣接する透明領域の境界線(画像シフト領域の境界)は1点を中心にして回転するため、この境界線とサブフレーム画像の切り替え部とが平行にならず、ずれる場合がある。このようなズレが生じると、シフトされるべきサブフレーム画像の一部が適確にシフトされず、また、シフトされるべきでない古いサブフレーム画像の一部がシフトされてしまうことになる。
【0192】
このような弊害を排除するためには、実施形態1について説明したように、種々の方法を用いて上記タイミングのずれが発生する期間だけ画像表示パネルから出た光が被投影面に投射されないようにしても良い。
【0193】
本実施形態では、上記の弊害を排除するため、遮光部分を設ける代わりに、図27に示すような3つの透明領域を有するガラス板25から画像シフト素子を構成しており、このガラス板25を駆動装置によって上下方向に往復移動させ、それにより画像のシフトを実現する。
【0194】
本実施形態において、ガラス板25の透明領域Aは屈折率1.49のFK5ガラスから形成され、透明領域Bは屈折率1.57のBaK4ガラスから形成され、透明領域Cは屈折率1.64のSF2から形成されており、各透明領域の厚さは何れも2.0mmに設定されている。このようなガラス板24を主面が光軸に対して65°の角度をなすようにして光路に挿入すれば、透明領域Aに対して透明領域Bでは34.0μm、透明領域Bに対して透明領域Cでは26.6μmの画像シフトが行われる。
【0195】
本実施形態によれば、ガラス板25において隣接する透明領域の境界位置(画像シフト領域の境界)と、画像切り替えの境界とを一致させることができる。そのため、新しいサブフレーム画像の情報を表示した画素が何れも適切なタイミングでシフトするため、より色滲みの少ない画像を得ることができる。
【0196】
なお、本実施形態の画像シフト素子を用いる場合であっても、画像表示パネルによっては、応答遅れに起因する色滲み等の問題は生じ得る。そのような場合は、図27に示す各透明領域A〜Cの境界部に遮光領域(不図示)を設けることが好ましい。
【0197】
本実施形態によれば、画像表示パネルの走査線と複数の透明領域の境界線とを略平行に維持しながら、画像の切り替えと同期させて画像シフトを行っている。このような画像シフトを実現するため、本実施形態では、図27に示すようなガラス板25を往復させたが、各透明領域の境界線が画像表示パネルの走査線と平行な関係を維持できれば、他の手段を用いても良い。例えば、図27に示す透明領域A〜Cを別々のガラス板26から形成し、それらのガラス板27を図28に示す駆動装置によって動作させても良い。このような動作によっても、複数の透明領域の境界線を画像表示パネルの走査線と略平行な関係を維持させながら、線走査と同期して移動させることができる。また、透明領域A〜Cに相当する透明板を同じ光路上に配置して、順次光路上に来るようにずらしながら回転させることによっても同様の効果を奏することができる。
【0198】
(実施形態8)
次に、図29〜図31を参照しながら、画像シフト素子の他の実施形態を説明する。本実施形態の画像シフト素子は、被投影面上でのシフト量が異なるように設計された複数の微小プリズムまたは回折格子等から構成されており、この画像シフト素子を光路上に出し入れすることにより、画像シフトを行う。
【0199】
まず、図29を参照する。
【0200】
本実施形態では、屈折率n1のガラスから形成された微小プリズム板のプリズム面が屈折率n2の樹脂材料によって覆われている。この微小プリズム板の非プリズム面(平滑面)に対して垂直に入射した光が角度θ1で光路変更するとき、被投影面上で1画素分だけ画像がシフトするとする。更に、画像表示パネル8上の画素領域のピッチをP、画像表示パネル8の画素領域面とプリズム面(屈折面)との距離をZとする。本実施形態では、θ1=tan-1(P/Z)となるように微小プリズム板の構造を設計する。
【0201】
本実施形態では、微小プリズム板の材料としてFK5ガラスを用い、プリズム面の表面にUV硬化樹脂としてロックタイト社のロックタイト363を用い、プリズム面側のレべリングを行っている。
【0202】
画素領域のピッチPを26μm、距離Zを5mm、微小プリズムの傾斜角をθ2(=微小プリズムの傾斜面への光線の入射角)、微小プリズムで屈折後の光線の出射角をθ3とすると、上記式よりθ1が0.3°になる。
【0203】
ここで、ガラスの屈折率がn1、樹脂の屈折率がn2であるので、θ2とθ3の関係はスネルの法則(n1・sinθ3=n2・sinθ2)に従い、また、θ2=θ3+θ1の関係がある。このため、FK5ガラスの屈折率が1.487、ロックタイト363の屈折率が1.520であることを考慮すると、微小プリズムの傾斜角θ2を13.7°にすれば、ピッチPに相当したシフト量を得ることができる。
【0204】
なお、上記式を満足するように種々のパラメータを選択すれば、本実施形態の材料および数値に限定されない。また、樹脂でプリズム面をレベリングすることは不可欠のことではなく、省略しても良い。
【0205】
図29に示すプリズム板や回折格子を画像シフト素子として用いる場合、画像表示パネル8と画像シフト素子との間の距離が一定の距離Zによって規定され、上述の光学設計が完了した後に、この距離を任意の大きさに変化させることはできない。
【0206】
このような制約がなく、光路上の任意の位置に挿入できる画像シフト素子を得るには、例えば図30に示すように、前述の微小プリズム板または回折格子を相互に対向させれば良い。一対の微小プリズム板の間、または一対の回折格子の間をこれらの材料とは異なる屈折率n2を有する樹脂材料などで充填すれば良い。2つの微小プリズム板を例えばSF2ガラスから形成し、これら2つの微小プリズムを例えばロックタイト社のUV硬化樹脂ロックタイト363を用いて貼り合わせることができる。微小プリズム板間の距離Zを例えば1mmにする。この場合、SF2ガラスの屈折率が1.64、ロックタイト363の屈折率が1.52であるので、微小プリズムの傾斜角θを19.6°にすれば、光路のシフト量ΔDが26μm程度になる。
【0207】
被投影面上の異なる3点間でサブフレーム画像を表示するには、図29や図30に示した素子を例えば図31に示すように組み合わせた素子27を作製すれば良い。この素子27は、領域Aおよび領域Bがそれぞれ異なるシフト量ΔDをもたらすように設計されている。このような素子27を、或るサブフレーム期間では光路に挿入せず、他のサブフレーム期間では光路に挿入するように周期的に動作させれば、適切な画像シフトを実行できる。
【0208】
上記の図29および図30の例では、図面の紙面内方向に光束のシフトが生じるが、シフト領域の境界線の移動方向と光束のシフト方向は独立に考えることができるために、光束の移動方向は、図示されている例に限定されない。
【0209】
なお、画像シフト素子を透過する光束は、透過する透明領域によって相互に異なる光路を経て被投影面に照射される。このため、画像表示パネルと被投影面との間の光路長がサブフレーム毎に変動し、各透明領域の全てに対応する画像について焦点を合わせることができなくなり、画質が劣化する。このような画質の劣化を防止するため、画像シフト素子の透明板に起因する光路長の差を補償する透明板を光路に挿入し、画像シフト素子の透明板と同期させながら動作(回転または移動)させることが好ましい。そうすれば、各サブフレームで均質な画質を得ることができる。
【0210】
(実施形態9)
サブフレーム画像の切り替えが画像表示パネルの全画面内で略同時に行われる場合、サブフレーム画像のシフトも画面全体で同時に行うことが好ましい。そうすることによって、サブフレーム画像の切り替えと画像シフトの間にタイミングのずれが生じにくく、画質の劣化が防止されるからである。
【0211】
このような画像シフトは、垂直ブランキング期間内に行うことが好ましい。ただし、画像表示パネルの応答の遅れを考慮し、サブフレーム画像の切り替え開始時点よりも遅れたタイミングで画像シフトを実行するようにしても良い。
【0212】
以下、画面一括書込み方式の場合に好適に採用される画像シフト素子の構成を説明する。
【0213】
まず、図32および図33を参照する。図示されている画像シフト素子は、画像表示パネルによって変調されたサブフレーム画像の偏光方向を変調する第1の素子(液晶素子)g1と、光の偏光方向によって屈折率の異なる第2の素子(水晶板)g2とを有している。本明細書において、「偏光方向」の語句は、光の電場ベクトルの振動方向を意味する。偏光方向は、光の伝搬方向kに垂直である。また、電場ベクトルと光の伝搬方向kの両方を含む平面を「振動面」または「偏光面」と称することとする。
【0214】
図示されている例では、画像表示パネルを出た光が垂直方向に偏光しているとする(偏光方向=画面垂直方向)。液晶素子g1の液晶層に電圧を印加していない場合には、図32に示すように、画像表示パネルを出た光の偏光面は、光が液晶素子g1を透過する過程で回転しない。これに対し、液晶素子g1の液晶層に適切なレベル電圧を印加している場合は、図33に示すように、画像表示パネルを出た光の偏光面は液晶層によって90°だけ回転させられる。なお、ここでは、回転角度が90°の場合を例示しているが、液晶層の設計によっては、回転角度を任意に設定することが可能である。
【0215】
水晶板g2は、単軸結晶(正結晶)であり、複屈折性を持つため、方位によって異なる屈折率を示す。水晶板g2は、その光入射面が入射光の光軸(伝搬方向kに平行)と垂直となるように配置されている。水晶板g2の光学軸は、図32および図33において、垂直な面内に含まれているが、水晶板g2の光入射面からは傾斜している。このため、図32に示すように、偏光方向が垂直な光が水晶板g2に入射すると、光は水晶板内で光学軸の傾きに応じて、光学軸を含む面内で屈折し、光は垂直方向にシフトする。この場合、水晶板g2の光学軸と入射光の光軸の両方を含む平面(以下、「主断面」と称する。)が入射光の偏光面と平行な関係にある。このように偏光面が主断面に平行な入射光は、水晶板g2にとって「異常光」である。
【0216】
一方、図33に示すように、偏光面が水平横方向の光が水晶板g2に入射すると、偏光面が水晶板g2の光学軸(または主断面)と直交するため、光は屈折せず、光束のシフトも生じない。この場合、水晶板g2に入射する光は、水晶板g2にとって「常光」である。
【0217】
このように、液晶素子g1に電圧を印加するか否かによって、水晶板g2に入射する光の偏光方向を制御し、光束のシフトを調節することができる。
【0218】
ここで、今、水晶板g2の厚さをtとし、水晶板g2の異常光および常光の屈折率をそれぞれ、ne1およびno1とする。また、光学軸が主断面内において入射面から45°傾斜している場合、光束のシフト量ΔDは以下の式で表される。
【0219】
t=ΔD・(2・ne1・no1)/(ne1 2−no1 2
【0220】
この式から、光束のシフト量ΔDと水晶板g2の厚さtとは比例することがわかる。水晶板g2の厚さtを調節することによって、サブフレーム画像のシフト量を任意の値に設定することができる。
【0221】
本実施形態の画像シフト素子では、液晶層を一対の透明電極で挟み込み、それによって適切な電圧を液晶層の全体に一括的に印加することができるようにしている。このため、この画像シフト素子を用いれば、画面一括書込みモードでも、適切な画像シフトを実現することができる。
【0222】
なお、液晶素子に設ける電極構造を改良すれば、液晶層のうちの選択された領域のみに電圧を印加することができる。このような電極を有する液晶素子を使用すれば、前述した線走査方式で駆動される場合にも適用可能な画像シフト素子を構成することができる。
【0223】
また、本実施形態では、液晶素子に所定の電圧を印加したとき、入射光の偏光方向を90°回転させ、電圧を印加しないとき、偏光方向を回転させない例を説明したが、これらを反対の関係にしてもよい。
【0224】
(実施形態10)
次に、図34および図35を参照する。図示されている素子は、液晶層i5と、この液晶層i5をさ挟む2枚の透明基板とを有しており、一方の透明基板の液晶側表面に微小プリズムアレイが形成されている。より詳細には、本実施形態の画像シフト素子は、透明電極i1および配向膜i2で表面が覆われた微小プリズムアレイi3が形成された透明基板と、透明電極i1および配向膜i2で表面が覆われた透明基板とによってネマチック液晶層i5を挟んだ液晶素子である。液晶層i5はホモジニアス配向させられており、2つの透明電極i1の間に電圧が印加されると、図34に示すように基板と垂直な方向に配向するが、電圧を印加しない状態では、図35に示すようにホモジニアスな配向状態にある。電圧を印加しない場合における液晶層i5の屈折率をne2、電圧を印加している場合における液晶層i5の屈折率をno2とする。本実施形態では、屈折率がno2に近い材料から微小プリズムアレイi3を形成する。
【0225】
電圧を印加していないとき、液晶層と微小プリズムアレイi3との間に屈折率差が生じるため、微小プリズムアレイi3に入射した光束はスネルの法則に従って屈折する。これに対し、電圧を印加しているときは、印加電圧の大きさに応じて液晶層と微小プリズムアレイi3との間の屈折率差が減少する。屈折率差の減少に伴い、微小プリズムアレイi3に入射した光束の屈折角度も減少する。
【0226】
微小プリズムの頂角をθ4とし、微小プリズムアレイi3の屈折率をn2とすると、液晶層i5に電圧を印加してないときの光束の屈折角δは以下の式で表される。
【0227】
δ=(ne2−n2)×θ4
【0228】
なお、屈折角を大きくするには、屈折率異方性の大きな液晶層を用いることが好ましい。
【0229】
上記の素子を2個組み合わせて図36に示すように配置すれば、本実施形態の画像シフト素子が形成される。この画像シフト素子による画像のシフト量ΔDは、2つの微小プリズムアレイ間の距離をLとすると、以下の式で表される。
【0230】
ΔD=L・tanδ
【0231】
本実施形態では、ガラス板の厚さを0.5mm、微小プリズムアレイ間隔を1.0mm、微小プリズムの頂角θ4を10°とした上で、Merck社製の品番BL−009の液晶材料を用いている。この場合、屈折率ne2は1.82、屈折率no2は1.53であり、シフト量ΔDの範囲は0〜50.7μmとなる。すなわち、本実施形態の画像シフト素子によれば、2画素分程度のシフトが可能になる。
【0232】
上記の微小プリズムアレイi3に代えて、所定の格子間隔を持つ回折格子を透明基板上に設けても良い。入射光の波長に応じて適切な格子間隔を選択すれば、所望の回折角で光を回折させることができる。
【0233】
なお、画面一括書込み方式の場合でも、画像表示パネルの応答遅れが生じると、前述の色の滲みやゴーストの問題が発生する。故に、液晶シャッタやメカニカルシャッタ等の遮光装置を光路上に配置し、画像表示パネルにおける応答の遅れが生じている間は、画像表示パネルから出る光を遮断することが好ましい。
【0234】
なお、本実施形態の画像シフト素子についても、その電極を複数の部分に分割し、分割された複数の部分を順次駆動する回路を設ければ、サブフレーム画像の切り替えを画面で順次行うタイプの画像表示パネルと組み合わせることが可能になる。この場合、画像の切り替えが線走査によって行われる場合だけでなく、複数行または複数列の画素からなるブロック単位で画像の切り替えが行われる場合にも適用可能である。
【0235】
(実施形態11)
次に、図37を参照しながら、本発明による投影型画像表示装置のシステムの構成例を説明する。
【0236】
本システムは、図37に示されるように、主に、映像信号処理回路100、照明光学系(光源など)102、画像表示パネル(液晶表示素子)104、画像シフト素子106、画像シフト素子制御回路108、および投影レンズ110から構成されている。
【0237】
照明光学系102、画像表示パネル104、画像シフト素子106、および投影レンズ110については既に説明したので、以下においては、映像信号処理回路100および画像シフト素子制御回路108を中心にして各構成要素の関係を説明する。
【0238】
本実施形態での映像信号処理回路100は、入力信号選択回路120、映像復調回路122、Y/C分離回路124、スケーリング回路126、フレームレート変換回路128、フレームメモリ回路130、システム制御回路132、および色信号選択回路134から構成されている。
【0239】
入力信号選択回路120は、複数の種類の映像信号を受けとることができ、その映像信号の種類に応じた処理を行う。映像信号には、R、G、Bに分離された信号(RGB信号)、輝度信号Yと色差信号B−YおよびR−Yに分離された信号(Y/C信号)、色搬送波を色差信号で変調した色信号Cと輝度信号Yを周波数多重化した複合映像信号(コンポジット信号)などがある。
【0240】
Y/C信号は、入力信号選択回路120を経て映像復調回路122で復調される。また、コンポジット信号は、入力信号選択回路120を経てY/C分離回路124で輝度信号Yと色信号に分離されてから映像復調回路122に送られ、復調される。映像復調回路122からは、映像信号から復調されたRGB信号が出力される。
【0241】
入力信号選択回路120に入力されたRGB信号、および映像復調回路122から出力されたRGB信号は、スケーリング回路126に送られる。スケーリング回路126は、種々の入力信号の画素数を画像表示パネル104の画素数に変換する。フレームレート変換回路128は、入力された映像信号のフレームレートを本システムの動作に適合したフレームレートに変換する。
【0242】
フレームメモリ回路130は、R信号、G信号、およびB信号の各々を格納する3つのフレームメモリから構成されている。各フレームメモリから順次読み出されたデータは、色信号選択回路134によって適切な順序で選択され、画像表示パネル104の駆動回路部に送出される。画像表示パネル104は、色信号選択回路134から出力されたデータに基づいてサブフレーム画像を表示する。
【0243】
システム制御回路132は、入力信号選択回路120、フレームメモリ130、色信号選択回路134、および画像シフト素子制御回路108の動作を制御する。
【0244】
画像シフト素子制御回路108は、システム制御回路132から出力される信号に基づき、サブフレーム画像の表示と同期するように画像シフト素子106の動作を制御する。
【0245】
次に、図38および図39を参照しながらRGB信号のフレームメモリからのデータ読出しの手順を説明する。
【0246】
フレームメモリへの信号書き込みのレート(周波数fin)は入力信号に依存しているが、フレームメモリからの信号読み出しのレート(周波数fout)は、本システムのクロック周波数によって規定されている。周波数finは、例えば60ヘルツ(Hz)であり、周波数foutは例えば180Hzである。
【0247】
システム制御回路132から出力される制御信号に応答して、R用フレームメモリ130aからはR信号が、G用フレームメモリ130bからはG信号が、B用フレームメモリ130cからはB信号が読み出される。これらの信号の読出しレートは、上述のようにfoutであり、各フレーム期間に各フレームメモリ130a〜130cからの読み出し動作が繰り返して3回実行される。
【0248】
次に図39を参照する。図示されているタイミングチャートは、図6に示す3種類のサブフレーム画像を形成する場合に対応している。図39の最上部に記載されている数字は、原画フレームの走査線番号である。
【0249】
画像表示パネルに第1サブフレーム画像を表示するとき、各フレームメモリ130a〜130cの走査線番号1に対応するアドレスに格納されているデータが同時に読み出される。このタイミングでスタート信号が出力されるため、画像表示パネル104の線走査が開始される。各フレームメモリ130a〜130cから読み出されたデータ(R、G、およびB信号)は図38に示す色信号選択回路134に送られるが、色信号選択回路134によってR信号だけが選択され、画像表示パネル104に送出される。色信号選択回路134は、R、G、およびB選択信号に応じて動作するR、G、およびBスイッチング素子を有しており、論理Highの選択信号を受けとったスイッチング素子のみが入力信号を出力部に伝達する。図39の例では、R信号のみが選択され、画像表示パネル104の第1行目画素領域(R用画素領域)に与えられることになる。
【0250】
1水平走査期間(1H期間)の経過後、R選択信号が論理Lowに変化するとともにG選択信号だけが論理Highに変化する。このため、各フレームメモリ130a〜130cにおいて原画フレームの走査線番号2に対応するアドレスに格納されていたデータのうち、G用フレームメモリから読み出されたG信号だけが色信号選択回路134を経て画像表示パネル104に送られる。このG信号に基づいて、画像表示パネル104の第2行目画素領域(G用画素領域)の表示が実行される。
【0251】
以下同様の手順によって、第1サブフレーム画像のためのデータが順次生成され、図6の右上に記載しているようなサブフレーム画像が画像表示パネルに表示されることになる。
【0252】
第2サブフレーム画像を表示する場合は、図39に示すように、スタートパルス信号および選択信号の印加タイミングを1H期間だけ遅らせる。すなわち、まず、原画フレームの走査線番号2に対応するデータのうち、R用フレームメモリに格納されていたR信号が色信号選択回路134によって選択される。そして、このR信号に基づいて画像表示パネル104における第1行目画像領域(R用画素領域)の表示が行われる。以降、同様の動作が繰り返され、図6に記載されているような第2サブフレーム画像が画像表示パネル104に表示されることになる。
【0253】
第3サブフレーム画像を表示する場合は、スタートパルス信号および選択信号の印加タイミングを更に1H期間だけ遅らせる。その結果、図6に記載しているような第3サブフレーム画像を表示することができる。
【0254】
以上のようにスタート信号の印加タイミングをサブフレーム毎にずらす代わりに、フレームメモリの読出し開始アドレスを走査線番号1〜3に対応する複数のアドレス間で巡回させても良い。
【0255】
また、この例では、R、G、およびB用画素領域の各々を走査線に平行となるように配列した場合について説明しているが、本発明はこのようなシステムに限定されない。上記の1H期間をドットクロックの周期に置きかえると、R、G、およびB用画素領域の各々を走査線に直交するように配列したRGB縦ストライプ型画像表示パネルを用いた場合のシステム動作に対応する。
【0256】
図38の回路は、サブフレーム画像のデータを格納するために特別のフレームメモリ備えてはいないが、そのようなフレームメモリを設けてサブフレーム画像を一時的に記憶するようにしても良い。
【0257】
(実施形態12)
以下、2枚の画像表示パネルを備えた投影型画像表示装置の実施形態を説明する。本実施形態の投影型画像表示装置は、図40に示すように、光源1と、液晶表示パネル18と、光源1からの光を波長域に応じて液晶表示パネル18の複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、液晶表示パネル18で変調された光を被投影面上に投射する投影光学系とを備えている。更に、本実施形態の装置は、もう1枚の液晶表示パネル28を備えており、光源1から出た白色光のうち特定波長域の光が液晶表示パネル28に照射される。
【0258】
本装置は、ダイクロイックミラー14〜16を備えており、ダイクロイックミラー14によって選択的に反射された波長域の光は、ミラー40で反射された後、液晶表示パネル28に照射される。一方、ダイクロイックミラー15〜16によって反射された光は、波長域に応じて異なる角度で液晶表示パネル18のマイクロレンズアレイ17に入射する。異なる角度でマイクロレンズ17に入射した光は、それぞれ異なる位置の対応する画素領域に集められる。
【0259】
第1の液晶表示パネル18で変調された光は、フィールドレンズ9a、画像シフト素子10、偏光ビームスプリッタ(またはダイクロイックプリズム)42、および投影レンズ11を透過した後、スクリーン13上に投射される。これに対し、第2の液晶表示パネル28で変調された光は、フィールドレンズ9b、偏光ビームスプリッタ42、および投影レンズ11を透過した後、スクリーン13上に投射される。
【0260】
本実施形態では、他の実施形態について説明した方法と同様の方法により、第1の画像表示パネル18で変調された光を画像シフト素子10によってシフトさせる。第1の画像表示パネル18では、例えばRおよびB色から構成された2つのサブフレーム画像が表示され、サブフレーム画像間のシフト量はシフト方向に沿って測定した画素ピッチに略等しく設定される。各サブフレーム画像のデータは、図4(b)および(d)に示されるR画像フレームおよびB画像フレームのデータ(RおよびB信号)を組み合わせることによって作製される。
【0261】
これに対し、第2の画像表示パネル28は、例えばG色のみから構成された画像を表示する。この画像は、図4(c)に示すようなパターンを有し、フレーム画像の全ての画素に関するG色のデータを反映している。
【0262】
第2の画像表示パネル28では、サブフレームに分割して画像を表示する必要がないため、被投影面を照らすR、G、およびB色光のバランスを適切なものするには、例えば第1の画像表示パネル18と第2の画像表示パネル28との間で輝度を補償するか、または表示期間を補償することなどが必要になる。例えば、第2の画像表示パネル28から出てスクリーン上に投影される画像の表示期間は、1フレーム期間の約2分の1に限定されていても良いし、その代わりに輝度が低減されていても良い。
【0263】
本実施形態によれば、第1の画像表示パネル18においてR、G、およびB色のうちの2色のみを表示する。残りの色については第2の画像表示パネル28で表示する。第1の画像表示パネル18では、各マイクロレンズが入射光を2色に分離して対応する画素領域に集光する。従って、マイクロレンズ17のピッチおよび焦点距離は、単板式マイクロレンズ7のピッチおよび焦点距離に比べて3分の2にすることができる。
【0264】
以上に説明してきたように、本発明ではサブフレーム画像をシフトして複数のサブフレーム画像を時間的に重積することにより、フレーム画像を得る。観察の視線が実質的に固定されている場合、図41(a)に示すように、RGBの画素の重畳が適確に達成される。しかし、図41(b)に示すように観察者の視線がサブフレーム画像のシフトに応じて移動すると、観察者の網膜上では、あたかもサブフレーム画像が充分にシフトしていないように時間的に重積されることになる。視線移動の速度がサブフレーム画像のシフト速度に近づくと、図41(c)に示すように、観察者にとっては、サブフレーム画像のシフト速度が低下しているように見える。視線移動の速度とサブフレーム画像のシフト速度とが略等しくなると、サブフレーム画像がシフトしていないように見える。その結果、画像表示パネル上の画素配列が観察されるようになり、画像表示パネルを構成する画素配列の程度に解像度が低下することになる。
【0265】
このような現象は、視線移動方向および速度がサブフレーム画像のシフト方向およびシフト速度と略一致することによって起きる。このため、サブフレーム画像のシフトのパターンを工夫することにより、この現象の影響を低減することが可能になる。その低減の効果は、サブフレーム画像のシフト方向(例えばy方向)に沿った1列の画素を、時間軸(t軸)に沿って並べた2次元画素配列のパターンの空間周波数特性(周波数スペクトル)を調べることによって評価することができる。この2次元的な画素配列は、y軸方向に上下するサブフレームのシフトパターンを、縦軸がy軸で横軸が時間軸(t軸)の空間(y−t空間)において表現したものである。被投影面上でy軸方向にシフトするサブフレーム画像の運動パターンを解析するために、y−t空間の画素配列に対して2次元フーリエ変換を行ない、y軸方向の空間周波数およびt軸方向の空間周波数に関するスペクトルを評価することが有効である。y−t空間の画素配列は、画素が格子点上に規則的に並んだパターンを有しているため、その周波数スペクトルはフーリエ空間(fy−ft空間)において実質的に局在点として表現される。
【0266】
一例として、図15に示されているy−t空間における画素配列をフーリエ変換して得られたスペクトルを図42(a)に示す。図42(a)において○印で示される各局在点は、y−t空間における画素配列の空間周波数に対応する。
【0267】
図15に示されるような比較的単調なパターンでサブフレーム画像をシフトする場合、特定方向に特定速度で視線が移動したとき、突然、前述した現象が生じる。これを避けるには、サブフレーム画像のシフトパターンを複雑にし、空間周波数を多数の成分に分散させる必要がある。具体的にいえば、y−t空間内において、例えば赤(R)の画素が斜め右上がりに一直線に延びる配列よりも、Rの画素が右上がりに並んだ部分と右下がり並んだ部分とが交互に含まれる配列の方が、画素配列の空間周波数が分散するため、好ましい。y−t空間における画素配列の空間周波数が分散すると、フーリエ空間内におけるスペクトルの局在点も分散することになる。
【0268】
故に、フーリエ空間(fy−ft空間)における局在点が、より分散するようにy−t空間における画素配列のパターンを決定すれば、上記現象が特定の視線移動速度で発生するという弊害を抑制しやすくなる。
【0269】
また、フーリエ空間における局在点がfy軸に対して対称的になるようにy−t空間における画素配列のパターンを決定すれば、上記現象が特定の視線移動方向で発生するという弊害を抑制しやすくなる。
【0270】
更に、フーリエ空間における局在点ができるかぎりfy<ftの領域内に位置するようにy−t空間における画素配列のパターンを決定すれば、比較的遅い視線移動速度では上記現象が発生しにくくなる。
【0271】
本発明では、RGBの3つの画素が時間的に重畳されることにより、所望の色の画素が形成されるため、相互にシフトした3つのサブフレーム画像の組み合わせが単位となって画像が構成されることになる。図43は、それぞれが3つのサブフレームから構成される6種類のサブセット1A〜3Aおよび1B〜3Bを示している。本発明で採用し得るシフトパターンは、図43の6種類のサブセットを組み合わせることによって全て得られる。6種類のサブセットは、サブセット1A〜3Aを含むAグループとサブセット1B〜3Bを含むBグループに分類される。AグループとBグループは、シフト方向が反対(対称)の関係にある。例えば、サブセット1Aでは、サブフレーム画像が1画素ずつ+y方向にシフトしているが、サブセット1Bでは、サブフレーム画像が1画素ずつy方向にシフトしている。同様に、サブセット2Aはサブセット2Bと対称であり、サブセット3Aはサブセット3Bと対称である。
【0272】
後述する実施形態では、これらのサブセットを適切に組み合わせてシフトパターンを構成し、観察者の視線移動による表示品位の低下を抑制している。
【0273】
なお、視線移動に伴う上記現象の影響は、画像表示パネルの画素配列を工夫することによっても低減され得る。すなわち、この現象は、サブフレーム画像のシフトと視線の移動が完全に一致した場合に最も顕著に発生するが、その場合、観察者には画像表示パネル上の実際の画素配列が観察されることになる。このため、画像表示パネル上の画素配列(x−y空間)をフーリエ変換して、フーリエ空間で評価することが可能である。具体的には、シフト方向に沿ってRGBの3つの画素が直線的に配列されるという条件を満たしながら、画素配列(x−y空間)のフーリエ空間において、できるかぎり原点からより遠い所に局在点が存在する画素配列(x−y空間)を選択することが好ましい。そのような画素配列(x−y空間)を採用すれば、色毎の空間解像度が向上することになる。
【0274】
これらのことを考慮し、サブフレーム画像のシフトパターンをより好ましいものに改良した実施形態を以下に説明する。
【0275】
(実施形態13)
本実施形態の投影型画像表示装置は、基本的には、第1の実施形態と同様の構成を有しており、主な相違点は、前記の現象を緩和し得るサブフレーム画像のシフトパターンを採用した点にある。従って、以下においては、この相違点のみを説明する。
【0276】
実施形態1の場合は、図12に示すように第n+1番目(nは正の整数)のフレーム画像を構成するサブフレーム画像は3つあり、それらをシフトさせる方向は、第n番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像をシフトさせる方向と同一であるが、本実施形態では、図44に示すように、サブフレーム画像のシフトパターンが6つのサブフレーム画像(サブセット1Aとサブセット2B)で1周期となる。サブセット1Aとサブセット2Bを図44に示すように組み合わせることにより、シフトパターンの1周期は2画素分のシフトを2回(+y方向と−y方向の2回)含んでいる。図44におけるシフトパターンは、対応するフーリエ空間では図42(b)に示されるようなスペクトルの局在点を有している。これを図42(a)の場合と比較すると、同数のサブフレームからシフトパターンの1周期が構成されているにもかかわらず、図42(b)に示される局在点の方が分散していることがわかる。その結果、本実施形態では、特定の視線移動方向および特定の移動速度で前記の現象が実施形態1の場合よりも発生しにくくなる。また、6つのサブフレームで1周期を構成するため、1周期は比較的短く、画像シフト素子の構成も比較的単純なものとなる。
【0277】
本実施形態で用いるサブフレーム画像のシフトパターンによれば、1フレームを2つのサブフレームで構成することも、3つのサブフレームで構成することも可能である。
【0278】
このような画像シフトを行うための画像シフト素子の一例を図45に示す。この画像シフト素子は、透明領域A〜Fを有するガラス板22eを備えている。透明領域AおよびDは、屈折率1.49のFK5ガラスから形成され、透明領域BおよびFは屈折率1.57のBaK4ガラスから形成され、透明領域CおよびEは屈折率1.64のSF2ガラスから形成されている。各透明領域の厚さは、いずれも2.0mmである。
【0279】
このような構成の円盤状ガラス板22eを主面が光軸に対して65°の角度をなすようにする。そして、各透明領域が光路を横切るタイミングを、それに対応するサブフレームに切り替わるタイミングと同期させてガラス板22eを回転する。こうすることにより、透明領域AおよびDに対して、透明領域BおよびFでは34.0μmだけ光路がシフトし、透明領域BおよびFに対して透明領域CおよびEでは26.6μmだけ光路がシフトする。
【0280】
透明領域Aが例えば図44に示す最初のサブフレームに対応しているとする。この場合、透明領域Bは次のサブフレームに対応し、透明領域Cのあとも、順次対応していく。
【0281】
本実施形態においても画像表示パネルの応答遅れなどに起因して、画像シフトとサブフレーム切り替えとの間にタイミングのずれが発生し得る。そのため、図17に示すように、ガラス板22の適切な部分に遮光領域21を設けることが好ましい。図17では、画像シフトを行うべき2つの領域の境界(透明領域AおよびDの各々の両側)に遮光領域21を設ければ良い。
【0282】
もちろん、画像シフト素子としては、他の実施形態に記載している画像シフト素子でも問題はない。
【0283】
なお、本実施形態では、画像表示パネルの画素配列として、図46のような画素配列を採用した。例えば、図47のような画素配列と、図46の画素配列のフーリエ空間の様子を図48(a)および(b)にそれぞれ示す。図48(a)の方がより原点から遠い所に局在点があるのが判る。これは、図46と図47における、同じ色の画素を結んだ直線同士の間隔が図46の方が狭い、すなわち、色別の空間周波数が高いことを示す。以上のことからわかるように、図46に示すような画素配列を採用することにより、視線移動とサブフレーム画像シフトが略一致して画像表示パネルの画素配列が視認されるようになったとしても、画質への悪影響がより少なくなる。
【0284】
本実施形態の投影型画像表示装置によっても、カラーフィルタ無しの画像表示パネルを用いて各フレーム期間に3つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、3倍の解像度を実現できる。もちろん、各フレーム期間に2つのサブフレーム画像を生成して、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成しても良い。動画像において若干の動きのぎこちなさはあるが、サブフレーム切り替えのレートがその分遅いため、液晶が充分に応答し、より透過率の良い状態を得ることができる。
【0285】
(実施形態14)
本実施形態の投影型画像表示装置も、基本的に実施形態13と同様の構成を有しており、主な相違点は、サブフレーム画像のシフトパターンにある。従って、以下においては、この相違点のみを説明する。
【0286】
実施形態13の場合は、図44に示すように、サブフレーム画像のシフトパターンの1周期が6つのサブフレーム画像(サブセット1Aおよび2B)によって構成されていたが、本実施形態では、図49に示すように、サブフレーム画像のシフトパターンの1周期が18のサブフレーム画像(6個のサブセット)によって構成されている。本実施形態では、サブセットのAグループからはサブセット1Aおよびサブセット3Aを選択し、サブセットのBグループからはサブセット1Bおよびサブセット2Bを選択した上で、AグループのサブセットとBグループのサブセットとを交互に配置している。AグループのサブセットとBグループのサブセットとを交互に配置することは、+y方向へのシフトと−y方向へのシフトを略等しい回数だけ交互に実行することを意味する。その結果、観察者が一方向へ視線を移動させたとしても、その視線移動方向と画像シフト方向とが一致する可能性が半減するし、また、仮にそれらの方向が一致したとしても、一致している時間が3サブフレーム期間を超えて連続することはない。
【0287】
図49のシフトパターンのフーリエ空間における様子を図42(c)に示す。図42(b)の局在点に比較して、図42(c)の局在点の方が更に分散していることがわかる。従って、本実施形態では、特定の視線移動速度で前記現象が更に発生しにくくなっている。
【0288】
なお、1秒間に60フレームの画像が表示される場合において、1フレームを3サブフレームから構成すると、1サブフレームの期間は1/180秒となる。本実施形態のシフトパターンの1周期は、18のサブフレームから構成されているため、シフトパターンの1周期は1/180秒×18=1/10秒となる。シフトパターンが10Hzで繰り返されることによる表示への影響を肉眼で確認することはできなかった。18を超える数のサブフレームからシフトパターンの1周期を構成することも可能であるが、1周期が長くなり過ぎると、シフトパターンの周期的変化を肉眼で確認することが可能になり、表示品位が劣化するおそれがある。このため、シフトパターンの1周期は18以下のサブフレームから構成することが好ましい。
【0289】
本実施形態で用いるサブフレーム画像のシフトパターンによれば、1フレームを2つのサブフレームで構成することも、3つのサブフレームで構成することも可能である。
【0290】
本実施形態で好適に用いられ得る画像シフト素子の一例を図50に示す。
【0291】
この画像シフト素子は透明領域A〜Rを有するガラス板22kを備えている。透明領域A、D、H、L、NおよびPは、屈折率1.49のFK5ガラスから形成され、透明領域B、F、I、K、OおよびRは屈折率1.57のBaK4ガラスから形成され、透明領域C、E、G、J、MおよびQは屈折率1.64のSF2ガラスから形成されている。各透明領域の厚さは、いずれも2.0mmである。
【0292】
このような構成の円盤状ガラス板22kを主面が光軸に対して65°の角度をなすようにする。そして、各透明領域が光路を横切るタイミングを、それに対応するサブフレームに切り替わるタイミングと同期させてガラス板22kを回転する。こうすることにより、透明領域A、D、H、L、NおよびPに対して、透明領域B、F、I、K、OおよびRでは34.0μmだけ光路がシフトし、透明領域B、F、I、K、OおよびRに対して透明領域C、E、G、J、MおよびQでは26.6μmだけ光路がシフトする。
【0293】
透明領域Aが例えば図49に示す最初のサブフレームに対応しているとする。この場合、透明領域Bは次のサブフレームに対応し、透明領域Cのあとも、順次対応していく。
【0294】
(画像シフト素子の改良例1)
次に、画像シフト素子の改良例を説明する。
【0295】
前述したように、液晶層を有する画像シフト素子は、画面一括書込み方式の画像表示パネルにも、ライン走査する方式の画像表示パネルのどちらにも好適に採用され得る画像シフト素子である。しかし、液晶層を有している以上、液晶に対する電圧印加時の応答特性(応答速度)が電圧ON時とOFF時で異なるため、応答速度の差が画像シフト素子の応答特性に影響を与える。すなわち、サブフレーム画像の切り替えと画像シフトのタイミングのずれにシフト方向によって差が生じ、画質の劣化を招いてしまう。
【0296】
液晶層の前後を平行ニコルの偏光板で挟んで、電圧印加に対する透過率を測定した場合、図51に示すようにON時とOFF時で液晶層の応答速度に違いがある。このため、被投影面上の或る位置から他の位置へサブフレーム画像をシフトさせる際、ONからOFFへ変化させる場合と、OFFからONへ変化させる場合との間で、液晶の状態変化に要する時間が異なることになる。
【0297】
ここで、2つの画像シフト素子を直列的に並べて画像シフトを行なう例を考える。そして、2つの液晶層のうち、光入射側の液晶層に印加する電圧をOFFからONにし、光出射側の液晶層に印加する電圧をONからOFFに切り替える場合を考える。この場合、光出射側の液晶の状態変化は、光入射側の液晶の状態変化よりも遅れることになる。その結果、ある時点では、光入射側の液晶がもうON状態に変化したのに、光出射側の液晶では、まだONからOFFに変化していない状況が発生し得る。図52は、この状況を模式に示している。図52の矢印は時間の経過を意味しており、図中の「ON」および「OFF」の組は、光入射側(矩形内下部)および光出射側(矩形内上部)の液晶の状態がどのように遷移するかを示している。図52に示されるように、液晶の応答特性に起因して両方の液晶がONになる期間が存在する。両方の液晶が一時的にONになれば、そのときだけ、一時的に画像が2重または3重像に表示されるため、画質が著しく劣化してしまうおそれがある。
【0298】
従って、2つ以上の液晶層を用い、それぞれの液晶層に対する電圧印加状態で3つの異なる位置を選択する場合は、ON→OFFの遷移遅れが過渡的に生じても、画質が劣化しないようなシフト素子を駆動することが必要になる。
【0299】
以下、上記の問題が生じないように改善された画像シフト素子の駆動方法を説明する。
【0300】
(実施形態15)
本実施形態の画像シフト素子は、図32(または図33)に示されるような素子を2つ用意し、この2つの素子を図53に示すように光路上に直列的に配置することで得られる。本実施形態では、複屈折性を有する結晶板g3および結晶板g4を用いて画像シフト素子を構成する。この画像シフト素子によれば、光路上の光入射側および光出射側に位置する2つの液晶層への電圧印加状態にしたがって、被投影面上における3つの異なる位置を選択することができる。選択される3つの異なる位置は、第1の液晶層(光入射側)に対する電圧印加状態(ON/OFF)および第2の液晶層(光出射側)に対する電圧印加状態(ON/OFF)の組み合わせによって決定される。
【0301】
図55は、光入射側と光出射側の液晶層に対する電圧印加状態における状態変化の様子を模式的に示す。例えば、光入射側の液晶層に電圧印加を行うか行わないかで2つの状態があり、更に、それぞれの状態から、次に光出射側の液晶層への電圧印加状態によって更に状態が細分化される。
【0302】
ここで、光入射側の電圧印加の状態により、光出射側の液晶層に入る光の偏波面の方向が90°変わるので、光入射側の電圧印加状態によって光出射側の電圧印加状態に対する状態変化がちょうど逆の関係になる。従って、光入射側と光出射側の電圧印加状態の組み合わせに対する状態変化としては、図55に示すように2種類の組みが考えられる。
【0303】
本明細書では、上記2種類の組み合わせを、それぞれ、「TypeA」および「TypeB」と称することとする。そして、3つの異なるサブフレーム画像の位置を状態A、B、Cで表現することとする。更に、2つの液晶の電圧印加状態を表現するため、例えば、光入射順の液晶の電圧印加状態がONで光出射側の電圧印加状態がOFFの場合を、「ON・OFF」と標記することとする。
【0304】
この場合、TypeAでは、「OFF・ON」で状態A、「OFF・OFF」または「ON・OFF」で状態B、「ON・ON」で状態Cになる。一方、TypeBでは、「OFF・OFF」で状態A、「OFF・ON」または「ON・ON」で状態B、「ON・OFF」で状態Cとなる。なお、ここで、状態A、B、およびCは、被投影面上における3つの異なる位置のいずれに対応していても良い。
【0305】
今、TypeAでは、状態A⇔状態Bの変化が行なわれ、TypeBでは状態B⇔C間の変化が行なわれる場合を考える。TypeAでは、「OFF・ON」で規定される状態Aと「ON・OFF」で規定される状態Bとの間で遷移が生じるとする。また、TypeBでは、「OFF・ON」で規定される状態Bと「ON・OFF」で規定される状態Cとの間で遷移が生じるとする。
【0306】
この場合、図51および図52を参照しながら説明した液晶の応答特性に起因して、TypeAでは、状態A⇔状態Bの変化が行なわれる過程で、一時的に両液晶層とも電圧印加された状態(「ON・ON」状態)が存在することになる。同様に、TypeBでは状態B⇔C間の変化が行なわれる過程で、一時的に両液晶層が電圧印加された状態(「ON・ON」状態)が存在することになる。「ON・ON」は、図56の太矢印で示すように、TypeAでは状態Cを規定し、TypeBでは状態Bを規定する。従って、TypeAでは、状態A⇔状態Bの変化が行なわれる過程で、一時的に、状態AおよびB以外の状態Cのサブフレーム画像が表示されることになる。これは、表示品位を劣化させる。これに対し、TypeBでは、状態B⇔状態Cの変化が行なわれる過程で、一時的に、状態Bのサブフレーム画像が表示されるが、これは状態B⇔状態Cの変化がやや遅く生じるだけで、他の状態のサブフレーム画像が表示されるわけではない。
【0307】
TypeAにおける上記問題を解決するには、状態Aから状態Bへ、または、状態Bから状態Aへと変化させる場合、「OFF・OFF」によって状態Bを実現すれば、過渡的に状態Cが生じることを防止できる。
【0308】
次に、状態Cから状態Bに変化する場合を考える。この場合は、「ON・ON」から「ON・OFF」への変化と、「ON・ON」から「OFF・OFF」への変化が考えられる。両液晶層の応答特性差を考慮すれば、一般には、一方の液晶層に対する電圧印加状態だけを変化させることが望ましい。よって、「ON・ON」から「ON・OFF」への変化を選択する方が望ましい。しかし、状態Bを「ON・OFF」によって実現すると、状態Bから状態Aに遷移する際に前述の問題が発生することになる。故に、状態Cから状態Bへ変化する際に、その次に状態Aに変化するならば、「OFF・OFF」によって状態Bを実現する一方で、状態Bの次には状態Cにまた戻るならば、「ON・OFF」によって状態Bを実現することが好ましい。これにより、遷移過程における画質劣化を最低限に抑えることができる。
【0309】
TypeBにおいては、状態Bが「OFF・ON」で規定されるとき、状態Bから状態Cへ、または状態Cから状態Bへ変化する過程で、TypeAの場合と同様に、「ON・ON」の状態がある。しかし、「ON・ON」の状態は、図56に示すように、状態Bが実現されるため、TypeAの場合のような画質劣化は生じない。よって、TypeBの組み合わせであれば、いずれの遷移過程においても、応答特性差による画質劣化がない。
【0310】
図53に示す画像シフト素子によれば、光入射側の複屈折性を有する結晶板g3と出射側の複屈折性を有する結晶板g4の関係が正の複屈折性と負の複屈折性を有する関係であれば、TypeAを実現できる。すなわち、図59に示すように、光入射側(図中左側)と光出射側(図中右側)で光線のシフト方向を同じにしたとき、光入射側でシフトする光線と光出射側でシフトする光線の偏波方向が90°異なる関係であれば良い。一方、光入射側と光出射側とで結晶板g3およびg4の向きを一致させておけば、TypeBが実現される。なお、本実施形態では、図55における状態A〜Cが被投影面上におけるサブフレーム画像の上中下のシフト位置に対応する。
【0311】
(実施形態16)
本実施形態の画像シフト素子は、図36に示される素子を2つ用意し、この2つの素子を図54に示すように配置することによって得られる。
【0312】
各液晶層への電圧印加のON・OFFによって、画像シフト方向が決まる点では、本画像シフト素子は実施形態15の画像シフト素子と類似している。図57および図58を参照しながら本実施形態に特徴的な点を説明する。
【0313】
図57は、光入射側と光出射側の液晶層に対する電圧印加状態における状態変化の様子を模式的に示している。例えば光入射側の液晶層に電圧印加を行うか、または行わないことによって2つの状態を取り、更に、それぞれの状態から、光出射側の液晶層への電圧印加状態によって細分化された状態が決定される。
【0314】
ここで、図52のように、両液晶層の電圧印加状態が変化する変化を図57において太矢印で示している。一方、両液晶層に対する電圧印加状態が変化する過程で一時的に発生する「ON・ON」状態を図58において太矢印で示す。
【0315】
図57および図58から明らかなように、本実施形態ではTypeBの構成を採用すれば状態遷移の過程で一時的に生じる変化の組み合わせが存在しない。すなわち、TypeBの構成を採用することにより、遷移過程で別の状態が現れることを防止でき、画質劣化を招かないようにすることが可能になる。
【0316】
次に、サブフレーム画像のシフト量を検討する。既に説明してきたように、表示パネルの応答速度が遅い場合、画像のシフトと表示画像の切り替えとの間にタイミングのずれが生じる場合がある。このようなタイミングのズレが生じると、被投影面上に画像が2重表示される。
【0317】
図43に示すサブセット1Aによれば、画像は1画素ずつ順次+y方向にシフトするため、1画素分だけ+y方向にシフトした画像が応答差に応じてわずかに表示される。一方、図43のサブセット1Bによれば、1画素分だけ−y方向にシフトした画像が重なって表示される。すなわち、画像の輪郭ぼけは1画素程度の領域に発生する。
【0318】
これに対して、サブセット2A、2B、3A、および3Bは2画素の画像シフトを含むため、それぞれ、2画素分シフトした画像が重なって表示されることになる。この結果、2画素分の領域で輪郭のボケが観察されてしまう。サブセット間において2画素分の画像シフトが生じる場合でも、同様の輪郭のボケが生じ得る。
【0319】
このような輪郭のボケを抑えるには、連続して表示されるサブフレーム画像間のシフト量をできるため少なくすることが好ましい。また、視線移動方向および速度がサブフレーム画像のシフト方向およびシフト速度と略一致することによって生じる前述の問題を解決するには、シフトパターンの1周期に含まれるシフト位置の数を増加させることが好ましい。
【0320】
ここで、今、シフト方向に沿って1画素おきに輝度が大きく変化する画像を考える。このような画像には、例えば横縞、斜め線、クロスハッチなどを含む画像などが含まれる。このような画像が複数のシフト量(例えば1画素分のシフト量と2画素分のシフト量)でシフトすると、常に略1画素分のシフト量だけで画像がシフトする場合に比べて表示品位に差が生じる。図60は、上記の画像がシフトするパターンを示している。図60の例では、複数のシフト量(1画素分のシフト量と2画素分のシフト量)で画像がシフトしている。このように2種類のシフト量で画像かシフトすると、ある着目する画素における明暗の繰り返し周期が一定ではない。
【0321】
サブフレーム画像は映像信号のフレーム周波数の2倍以上の周波数で切り替わるため、明暗が短周期で繰り返されると、表示装置の液晶がサブフレーム期間内では充分に応答しきれない。逆に、複数のサブフレーム期間にわたって、明または暗の期間が長く続けば、液晶が充分に応答することができる。その結果、異なるシフト量で画像シフトが起こると、着目する画素の明るさ(暗さ)がサブフレームによって異なってしまう。シフト量の差に起因して生じる画素の明るさ変化は、シフトパターンの周期で繰り返して発生するため、観察者は画像がチラチラしているように感じることになる。
【0322】
これに対して、図61は、上記の画像が常に1画素のシフト量でシフトするパターンを示している。図61に示すシフトパターンによれば、ある着目する画素における明暗の繰り返しは一定である。この場合、各サブフレーム期間内で液晶が充分には応答していないために充分には明るく(暗く)ならない。しかし、規則的に明暗が繰り返されるため、チラチラ感は発生しない。
【0323】
上記の考察から、1回の画素シフト量を1画素程度に維持することが好ましい効果をもたらすことがわかる。
【0324】
以下、鮮明な画像を得るのに好適なシフトパターンを実行する実施形態を説明する。
【0325】
(実施形態17)
本実施形態の投影型画像表示装置は、基本的には、第1の実施形態と同様の構成を有しており、主な相違点は、より鮮明な画像を得るのに適したサブフレーム画像のシフトパターンを採用した点にある。従って、以下においては、この相違点のみを説明する。
【0326】
実施形態1の場合は、図12に示すように第n+1番目(nは正の整数)のフレーム画像を構成するサブフレーム画像は3つあり、それらをシフトさせる方向は、第n番目のフレーム画像を構成するサブフレーム画像をシフトさせる方向と同一であるが、本実施形態では、実施形態13と同じように、サブフレーム画像のシフトパターンが6つのサブフレーム画像で1周期となる。実施形態13では、サブセット1Aとサブセット2Bを図44に示すように組み合わせることにより、1周期のシフトパターンを構成した。その結果、このシフトパターンの1周期は2画素分のシフトを2回(+y方向と−y方向の2回)含んでいる。
【0327】
これに対して本実施形態では図62に示すシフトパターンを採用する。このシフトパターンの1周期は、6つのサブフレーム画像が同一直前上の4つの位置をシフトするパターンで構成されており、また、各シフトの大きさは1画素分である。
【0328】
図62に示すシフトパターンは、対応するフーリエ空間においては、図44のシフトパターンと等価である。故に、図62に示すシフトパターンのスベクトル局在点は、図42(b)に示されるものと同一である。すなわち、本実施形態によれば、実施形態13による効果を得ることができる。更に、本実施形態によれば、輪郭のにじみを±2画素分から±1画素分に半減できるという効果が得られる。なお、1フレームを2つまたは3つのサブフレームに分割する場合でも、図62のシフトパターンを採用することができる。
【0329】
このようなシフトパターンを実行するための画像シフト素子の一例を図63に示す。この画像シフト素子は、透明領域A〜Fを有するガラス板22eを備えている。ガラス材料として安価なBK7ガラスのみを使用し、透明領域Aは厚さが0.7mm、透明領域BおよびFは厚さが1.4mm、透明領域CおよびEは厚さが2.1mm、透明領域Dは厚さが2.8mmで形成されている。各透明領域の屈折率は、いずれも1.52である。
【0330】
このような構成の円盤状ガラス板22eを主面が光軸に対して83.8°の角度をなすようにする。そして、各透明領域が光路を横切るタイミングを、それに対応するサブフレームに切り替わるタイミングと同期させてガラス板22eを回転する。こうすることにより、透明領域Aに対して、透明領域BおよびFでは26.0μmだけ光路がシフトし、透明領域BおよびFに対して透明領域CおよびEでは26.0μmだけ光路がシフトし、透明領域CおよびEに対して透明領域Dでは更に26.0μmだけ光路がシフトする。
【0331】
透明領域Aが例えば図44に示す最初のサブフレームに対応しているとする。この場合、透明領域Bは次のサブフレームに対応し、透明領域Cのあとも、順次対応していく。
【0332】
もちろん、画像シフト素子としては、他の実施形態に記載している画像シフト素子でも問題はない。
【0333】
なお、本実施形態でも、画像表示パネルの画素配列として、図46のような画素配列を採用した。従って、実施形態13と同じく、視線移動とサブフレーム画像シフトが略一致して画像表示パネルの画素配列が視認されるようになったとしても、画質への悪影響がより少なくなる。
【0334】
本実施形態の投影型画像表示装置によっても、カラーフィルタ無しの画像表示パネルを用いて各フレーム期間に3つのサブフレーム画像を生成し、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成するため、従来のカラーフィルタを用いた単板式投影型画像表示装置と比較して光利用率が大幅に向上し、しかも、3倍の解像度を実現できる。もちろん、各フレーム期間に2つのサブフレーム画像を生成して、それらの画像を光学的にシフトさせながら合成しても良い。動画像において若干の動きのぎこちなさはあるが、サブフレーム画像の切り替えレートがその分遅くなるため、液晶が充分に応答し、より透過率の良い状態を得ることができる。更に、画像シフトとサブフレームの切り替えとの間に生じするタイミングズレに伴う画像の輪郭のにじみも1画素分以内の滲みに抑えることができる。
【0335】
(実施形態18)
本実施形態の投影型画像表示装置も、基本的に実施形態17と同様の構成を有しており、主な相違点は、サブフレーム画像のシフトパターンにある。従って、以下においては、この相違点のみを説明する。
【0336】
実施形態17の場合は、図62に示すようにサブフレーム画像のシフトパターンの1周期が6つのサブフレーム画像によって構成されていたが、本実施形態では、図63に示すように、サブフレーム画像のシフトパターンの1周期が12のサブフレーム画像によって構成されている。
【0337】
図63のシフトパターンのフーリエ空間における様子は、図62のシフトパターンのフーリエ空間における様子に比べて、局在点の方が更に分散する。従って、本実施形態では、実施形態17に比べて、特定の視線移動速度で前記現象が更に発生しにくくなっている。
【0338】
本実施形態で用いるサブフレーム画像のシフトパターンによれば、サブフレーム間でシフトしないパターンが、必ず、偶数サブフレームから奇数サブフレームにわたってあるので、1フレームを2つのサブフレームで構成することも、3つのサブフレームで構成することも可能である。
【0339】
本実施形態で好適に用いられ得る画像シフト素子の一例を図50に示す。
【0340】
この画像シフト素子は透明領域A〜Lを有するガラス板22kを備えている。ガラス材料として安価なBK7ガラスのみを使用し、透明領域A、Lは厚さが0.7mm、透明領域BおよびB、D、I、Kは厚さが1.4mm、透明領域C、E、H、Jは厚さが2.1mm、透明領域F、Gは厚さが2.8mmで形成されている。各透明領域の屈折率は、いずれも1.52である。
【0341】
このような構成の円盤状ガラス板22kを主面が光軸に対して83.8°の角度をなすようにする。そして、各透明領域が光路を横切るタイミングを、それに対応するサブフレームに切り替わるタイミングと同期させてガラス板22kを回転する。こうすることにより、透明領域A、Lに対して、透明領域B、D、I、Kでは26.0μmだけ光路がシフトし、透明領域B、D、I、Kに対して透明領域C、E、H、Jでは26.0μmだけ光路がシフトし、透明領域C、E、H、Jに対して透明領域F、Gでも26.0μmだけ光路がシフトする。
【0342】
透明領域Aが例えば図49に示す最初のサブフレームに対応しているとする。この場合、透明領域Bは次のサブフレームに対応し、透明領域Cのあとも、順次対応していく。
【0343】
(画像シフト素子の改良例2)
次に、画像シフト素子の他の改良例を説明する。
【0344】
前述したように、液晶層を有する画像シフト素子は、画面一括書込み方式の画像表示パネルにも、ライン走査する方式の画像表示パネルのどちらにも好適に採用され得る画像シフト素子である。
【0345】
被投影面内における同一直線上の3箇所でサブフレーム画像の位置がシフトする場合は、前述したように、2つの画像シフト素子を光軸上に直接的に配列し、各々の画像シフト素子によりシフト量を略一致されば良い。
【0346】
これに対し、被投影面内における同一直線上の4箇所でサブフレーム画像の位置がシフトする場合は、上記2つの画像シフト素子によるシフト量を異なるように設定すれば良い。
【0347】
以下、このような画像シフト素子の駆動方法を説明する。
【0348】
(実施形態19)
本実施形態の画像シフト素子は、被投影面内における同一直線上の4箇所でサブフレーム画像の位置を1画素ずつシフトさせることができ、図62および図64のシフトパターンを実現するのに好適に用いられる。この画像シフト素子は、図32(または図33)に示されるような素子を2つ用意し、この2つの素子を図53に示すように光路上に直列的に配置して、それぞれの画像シフト量を変えることで得られる。
【0349】
本実施形態では、複屈折性を有する結晶板g3および結晶板g4を用いて画像シフト素子を構成するため、これらの結晶板の厚さを変えれば容易に画像シフト量を変更できる。この画像シフト素子によれば、光路上の光入射側および光出射側に位置する2つの液晶層への電圧印加状態にしたがって、被投影面上における4つの異なる位置を選択することができる。選択される4つの異なる位置は、第1の液晶層(光入射側)に対する電圧印加状態(ON/OFF)および第2の液晶層(光出射側)に対する電圧印加状態(ON/OFF)の組み合わせによって決定される。
【0350】
この場合のシフトの態様は、光入射側の画像シフト量が光出射側の画像シフト量を比べて大きいか小さいかによって異なる。光入射側の画像シフト量が相対的には大きな場合が図65に示され、光出射側の画像シフト量が相対的に大きな場合が図66に示されている。図65および図66は、光入射側と光出射側の液晶層に対する電圧印加状態における状態変化の様子を模式的に示している。例えば、光入射側の液晶層に電圧印加を行うか行わないかで2つの状態があり、更に、それぞれの状態から、次に光出射側の液晶層への電圧印加状態によって更に状態が細分化される。
【0351】
ここで、光入射側の電圧印加の状態により、光出射側の液晶層に入る光の偏波面の方向が90°変わるので、光入射側の電圧印加状態によって光出射側の電圧印加状態に対する状態変化がちょうど逆の関係になる。従って、光入射側と光出射側の電圧印加状態の組み合わせに対する状態変化としては、図65および図66の各々の上下に示すように2種類の組みが考えられる。
【0352】
ここでも、上記2種類の組み合わせをそれぞれ「TypeA」および「TypeB」と称することとする。そして、4つの異なるサブフレーム画像の位置を状態A、B、C、Dで表現することとする。更に、2つの液晶の電圧印加状態を表現するため、例えば、光入射順の液晶の電圧印加状態がONで光出射側の電圧印加状態がOFFの場合を、「ON・OFF」と標記することとする。
【0353】
この場合、図65におけるTypeAでは、「OFF・ON」で状態A、「OFF・OFF」で状態B、「ON・OFF」で状態C、「ON・ON」で状態Dになる。一方、TypeBでは、「OFF・OFF」で状態A、「OFF・ON」で状態B、「ON・ON」で状態C、「ON・OFF」で状態Dとなる。なお、ここで、状態A、B、CおよびDは、被投影面上における同一直前上の4つの異なる位置のいずれに対応していても良い。図66における場合も同様に考えることができる。
【0354】
ここで、「ON・OFF」から「OFF・ON」、まはた「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化を考える。図65の例では、「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化は、TypeAでは、状態A⇔状態Cの変化に対応する。一方、上記状態変化は、TypeBでは、状態B⇔状態Dの変化に対応する。同様に、図66の例の場合、上記状態変化はTypeAで状態A⇔状態Bの変化に対応し、TypeBで状態C⇔状態Dの変化に対応する。
【0355】
以上の考察から、図65の例では、「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化により、2画素分のシフトが行なわれることがわかる。これに対して、図66の例では、「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化により、1画素分のシフトが行なわれる。
【0356】
図62および図64のシフトパターンにおける画像シフト量は1画素分であるため、図65の構成では、「ON・OFF」から「OFF・ON」、および「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化は生じない。その結果、画像シフト素子の応答遅れに起因する問題が回避される。
【0357】
図53に示す画像シフト素子を採用する場合、光入射側の複屈折性を有する結晶板g3と出射側の複屈折性を有する結晶板g4の関係が正の複屈折性と負の複屈折性を有する関係であれば、TypeAを実現できる。すなわち、図59に示すように、光入射側(図中左側)と光出射側(図中右側)で光線のシフト方向を同じにしたとき、光入射側でシフトする光線と光出射側でシフトする光線の偏波方向が90°異なる関係であれば良い。一方、光入射側と光出射側とで結晶板g3およびg4の向きを一致させておけば、TypeBが実現される。
【0358】
更に、結晶板g3とg4の厚みを2:1の関係にすれば、それぞれの画像シフト素子の画像シフト量が2:1になる。そうすると、図65および図66におけるシフト位置A、B、C、Dが等間隔になり、1画素ピッチでのシフトが可能となる。
【0359】
(実施形態20)
本実施形態の画像シフト素子も実施形態16と同様に図36に示される素子を2つ用意し、この2つの素子を図54に示すように配置することによって得られる。
【0360】
各液晶層への電圧印加のON・OFFによって、画像シフト方向が決まる点では、本画像シフト素子は実施形態15の画像シフト素子と類似している。図67および図68を参照しながら本実施形態に特徴的な点を説明する。
【0361】
図67は、光入射側と光出射側の液晶層に対する電圧印加状態における状態変化の様子を模式的に示す。例えば、光入射側の液晶層に電圧印加を行うか、または行わないかによよって2つの状態を取り、更に、それぞれの状態から、光出射側の液晶層への電圧印加状態によって細分化からた状態が決定される。
【0362】
ここでも、「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化する場合を考える。図67の例において、「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化により、TypeAでは、状態B⇔状態Cの変化が生じ、TypeBでは状態A⇔状態Dでの変化が生じる。同様に、図68の例においては、上記の状態変化により、TypeAでは、状態B⇔状態Cの変化が生じ、TypeBでは状態A⇔状態Dの変化が生じる。
【0363】
以上のことから、図67および図68の例では、TypeAで1画素分のシフトが「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化が生じ得るが、TypeBでは、3画素分のシフトを行なう場合のみ、「ON・OFF」から「OFF・ON」、または「OFF・ON」から「ON・OFF」への状態変化が生じる。
【0364】
図62および図64のシフトパターンを採用する場合、画素シフト量が1画素分であるため、TypeBの構成を採用すれば、遷移過程で別の状態が現れることを防止でき、画質劣化を招かないようにすることが可能になる。
【0365】
以上、液晶表示素子(LCD)を画像表示パネルとして用いる投影型画像表示装置について本発明の各種実施形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されない。本発明は液晶表示素子以外の表示素子、例えばDMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイス)等を画像表示パネルに用いる投影型画像表示装置にも適用可能である。
【0366】
また、本発明は直視型の画像表示装置にも適用可能である。この場合、カラーフィルタによってフルカラー表示を行うタイプの画像表示パネルを用いても良い。結像のための光学系を用いない通常の直視型の場合、スクリーンなどの被投影面は不要であるが、接眼レンズを介して画像を見る直視型の場合は、目の網膜が画像の被投影面として機能する。
【0367】
更に、本発明は、光源を別に必要としない自発光型の画像表示素子を画像表示パネルとして用いる直視型または投影型の画像表示装置に適用することも可能である。
【0368】
また、画像シフト素子の実施形態としては、屈折部材によって光路を周期的に変化させる素子の例を説明してきたが、光源または光学系の少なくとも一部を運動させ、それによって光路を変化させるものであっても良い。例えば、図1に示している投影レンズ11を振動させても、画像シフトは可能である。
【0369】
(実施形態21)
実施形態11における投影型画像表示装置のシステム構成は、3つのサブフレームメモリがそれぞれ3種類の色に関するデータを記憶していた。実施形態11では、各フレームを2つのサブフレームから構成する場合でも、常に3色の画像データをフレームメモリに格納するため、3つのサブフレームメモリが必要である。本実施形態では、各フレームを2つのサブフレームから構成する場合にメモリの使用効率を増加させることができるシステムを採用する。
【0370】
図69を参照しながら、本発明による投影型画像表示装置のシステムの構成例を説明する。
【0371】
本実施形態も、主に、映像信号処理回路100、照明光学系(光源など)102、画像表示パネル(液晶表示素子)104、画像シフト素子106、画像シフト素子制御回路108、および投影レンズ110から構成されている。
【0372】
照明光学系102、画像表示パネル104、画像シフト素子106、および投影レンズ110については既に説明したので、以下においては、映像信号処理回路100および画像シフト素子制御回路108を中心にして各構成要素の関係は、実施形態11と同じである。
【0373】
本実施形態での映像信号処理回路100は、入力信号選択回路120、映像復調回路122、Y/C分離回路124、スケーリング回路126、フレームレート変換回路128、システム制御回路132、色信号選択回路1340、フレームメモリ回路1300から構成されている。
【0374】
システム制御回路132は、入力信号選択回路120、色信号選択回路1340、フレームメモリ1300、および画像シフト素子制御回路108の動作を制御する。
【0375】
画像シフト素子制御回路108は、システム制御回路132から出力される信号に基づき、サブフレーム画像の表示と同期するように画像シフト素子106の動作を制御する。
【0376】
本実施形態と実施形態11との間にある主な相違点は、フレームメモリ回路1300および色信号選択回路1340の構成にあるので、以下、この点を説明する。
【0377】
本実施形態では、図69に示される色信号選択回路1340によりR信号、G信号、およびB信号が適切な順序でフレームメモリ回路1300に格納される。画像表示パネル104は、フレームメモリ回路1300から送出されたデータに基づいてサブフレーム画像を表示する。
【0378】
フレームメモリへの信号書き込みのレート(周波数fin)は入力信号に依存しているが、フレームメモリからの信号読み出しのレート(周波数fout)は、本システムのクロック周波数によって規定されている。周波数finは、例えば60ヘルツ(Hz)であり、周波数foutは例えば180Hzである。
【0379】
システム制御回路132から出力される制御信号に応答して、R信号、G信号、B信号が、複数のフレームメモリに格納されていく。その際、各フレームメモリがサブフレーム画像のデータを格納する。このため、本実施形態では、1フレームが2つのサブフレームから構成されている場合、2つのフレームメモリを備えておれば充分であり、3つめフレームメモリは不要である。
【0380】
これらの信号の読出しレートは、上述のようにfoutであり、各フレーム期間に各フレームメモリからの読み出し動作が繰り返して2〜3回実行される。
【0381】
実施形態11では、各色信号を合計3つのフレームメモリに格納した後、色信号選択回路134により、3つのフレームメモリから順次必要な信号を読み出して各サブフレーム画像を生成している。しかし、上述のように本実施形態では、各色信号を色信号選択回路1340によってフレームメモリ回路1300にマッピングし、対応するフレームメモリに各サブフレーム画像を格納する。各フレームメモリに記憶されたサブフレーム画像のデータは順次読み出される。
【0382】
上述したように、1つのフレームが2つのサブフレームから構成される場合、実施形態11の方式によれば、1つのフレームに含まれるサブフレームの数とは関係なく、各フレームのすべてのデータを格納するため、各色信号用に合計3つのフレームメモリが必要である。しかし、本実施形態によれば、サブフレーム画像をフレームメモリに対して直接的にマッピングするために、必要なサブフレーム画像のデータだけをフレームメモリ内に格納すれば良い。その結果、1つのフレームが2つのサブフレームから構成されている場合は、フレームメモリの数またはメモリ容量が実施形態11の3分の2ですむという利点がある。
【0383】
(実施形態22)
次に、液晶素子及び複屈折素子の組み合わせを少なくとも一組有する画像シフト素子を例にとり、画像の好ましいシフト方向を説明する。
【0384】
図2に示すようなマイクロレンズアレイを用いた単板式の投影型表示装置の場合、RGBの色毎に画素領域に入射角度が異なる。このため、表示パネルから出て、画像シフト素子内に複屈折素子に入射する光の角度もRGB毎に異なることになる。複屈屈折素子は、光入射面から傾斜した光学軸を有しており、光入射面に垂直に入射した光は、光学軸と入射光軸を含む平面(主断面)に平行な方向にシフトする。この場合、画像シフト方向は、複屈折素子の主断面に平行である。しかし、RGB毎に複屈折素子の入射面に対する入射角度が異なると、光のシフト方向またはシフト量が変化する。
【0385】
まず、RGBの色分離方向と画像シフト方向とが一致する場合を考える。この場合、RGBの各色の光は複屈折素子の主断面に平行に入射するため、光のシフト方向はRGBによって異ならないが、シフト量は変化する。シフト量の違いは僅かであり、無視できる。
【0386】
次に、RGBの色分離方向と画像シフト方向とが一致しない場合を考える。この場合、RGB毎に画像シフトの方向がずれてしまい、その結果、各色の光が同じ場所で重積しないという問題が生じる。故に、RGBの色分離方向と画像シフト方向は、略一致させることが好ましい。
【0387】
図70に示すように、通常の表示画面は、短辺S1が垂直方向(y方向)で長辺S2が水平方向(x方向)となる長方形の形状を有しており、線順次走査の場合、走査線は表示画面の短辺方向(y)に沿って移動する。故に、RGBの色分離方向700を表示画面の短辺方向(y)に一致させると、RGBの色分離方向700、すなわち画像シフト方向が画面の短辺方向(y)と一致することになる。このため、色分離のためのダイクロイックミラーをより小さく設計できるという利点がある。
【0388】
(実施形態23)
図71に示すように、平行ニコル配置状態の偏光板(偏光子)701および偏光板(検光子)702の間にTN液晶703を挿入し、電圧透過率特性を測定すると、図72に示すような結果が得られる。ここでいう「透過率」とは、液晶703に入射する直線偏光の強度に対して、検光子702を透過する直線偏光の強度比率である。
【0389】
図72からわかるように、TN液晶703に電圧を印加していないときでも、僅かながら光は透過し、数ボルト程度の電圧を液晶層に印加したとき、光の透過量が極小値をとる。TN液晶層703に電圧を印加していないときに生じる上記光の漏れは、TN液晶における残留旋光分散のため、TN液晶702に入射した直線偏光が僅かに楕円偏光化するために生じる。楕円偏光成分を持つ偏光が複屈折素子へ入射すると、入射した光が常光と異常光に分離するため、画像が二重になり、解像度が低下してしまうことになる。このような問題は、TN液晶に固有ではなく、他の液晶でも生じ得る。
【0390】
本実施形態では、画像シフト素子内に液晶素子をOFF状態にする場合でも、液晶素子にゼロでないオフセット電圧を印加する点に特徴を有している。
【0391】
なお、本明細書では、偏光方向制御用の電圧が液晶素子に印加され、その結果として、液晶素子から出射した光の偏光面が電圧無印加の場合に比べて約90°回転するとき、「液晶素子はON状態にある」と称することとする。そして、液晶素子を「ON状態」にするために必要な電圧の大きさ(絶対値)よりも充分に小さい電圧を液晶素子の液晶に印加し、その結果、液晶素子が「ON状態」にあるときに得られる出射光の偏光面に対して略直交する偏光面を持つ光が液晶素子から出射されるとき、「液晶素子はOFF状態にある」と称することにする。
【0392】
前述した各実施形態では、液晶素子を「OFF状態」にするとき、液晶素子の液晶層に印加する電圧の大きさをゼロにしていた。これに対して、本実施形態では、画像シフト素子内の液晶素子を「OFF状態」にするときでも、ゼロでない値(例えば2.5ボルト)を有する電圧(オフセット電圧)を印加する点に特徴を有している。
【0393】
なお、図73に示すように、オフセット電圧の好ましい値は、液晶の温度によって異なる。投影型表示装置の場合、照度の高い光が画像シフト素子に入射するため、液晶の温度が上昇しやすい。このため、室温で最適化したオフセット電圧を液晶に印加しても、液晶の温度上昇によって楕円偏光成分が発生してしまう。このため、温度センサによって液晶素子の温度を測定し、測定された温度に応じてオフセット電圧の大きさを適宜制御することが好ましい。
【0394】
オフセット電圧の好ましい大きさは、図74に示すように、光の波長域によっても異なる。このため、人間の視覚に最も敏感な波長域に属するG光に関する値αが最も小さくなるようにオフセット電圧を設定することが好ましい。ただし、RGBの3原色でそれぞれの値αの差が最も小さくなるようにオフセット電圧を設定してもよい。
【0395】
オフセット電圧が液晶素子の温度に応じて変化する際、オフセット電圧の値がゼロになる場合もあるが、本明細書では、このときの印加電圧も「オフセット電圧」と称することとする。
【0396】
(実施形態24)
複屈折素子は、前述したように、その光学軸を含む「主断面」内において、入射光線を常光と異常光に分離することができる。従って、複屈折素子へ入射する光の偏光方向が主断面に対して垂直であれば、常光線成分のみとなる。一方、複屈折素子へ入射する光の偏光方向が主断面に対して平行であれば、異常光線成分のみになる。液晶素子などを用いて、入射光の偏光方向を複屈折素子の主断面に対して垂直または水平な方向にスイッチングすれば、複屈折素子の主断面内において、入射光線をシフトさせることができる。
【0397】
前述した実施形態9に係る画像シフト素子は、画像を画面垂直方向にシフトさせることができる。この画像シフト素子は、画面垂直方向または水平方向に偏光方向を有する入射光を受けとり、そのような入射光のシフト動作を行っている。
【0398】
しかし、表示パネルによっては、パネルからでた光の偏光方向が、表示画面の水平方向に対して0°または90°を形成する場合だけではなく、45°を形成する場合がある。特に、マイクロレンズアレイを用いる単板方式では、色分離方向に広い視角を示すことが必要であるため、液晶表示素子から出射する光の偏光方向を表示画面の水平方向に対して45°方向に設定することが好ましい。
【0399】
表示パネルから出た光の偏光方向が画面の水平方向に対して傾斜している場合でも、画像シフト素子により、画像を画面の垂直方向または水平方向にシフトさせるべき場合がある。しかし、偏光方向が水平方向に傾斜した光が図32などに示す画像シフト素子に入射すると、画像シフト素子内の複屈折素子に対して、常光成分および異常光成分の両方を含む光が入射することになる。その結果、入射光線が2本に分かれてしまうという問題が発生する。
【0400】
このような問題を解決するため、表示パネルから出た光が画像シフト素子に入射するまでの間に、位相差板などによって上記光の偏光方向を回転させ、この偏光方向が複屈折素子の光学軸を含む面に対して0°または90°の関係になるようにすればよい。
【0401】
しかしながら、位相差板によって偏光状態を調節する場合は、可視域全体、または、ある特定の波長域全体にわたって、偏光方向を同様に回転させる必要がある。実際の位相差板によると、可視域全域にわたって偏光方向を同じように回転させること困難であり、波長が中心波長から外れるにしたがって、楕円偏光化し、複屈折素子に対しては常光成分と異常光成分の両方が入射することになる。その結果、光線の一部が望まぬ方向にシフトしてしまい、画像が二重になるため、解像度が低下する。
【0402】
本実施形態の画像シフト素子では、上述のような問題を解決するため、斜め方向に画像をシフトさせる複数の複屈折素子を組み合わせて用い、それによって画面垂直方向に画像をシフトさせる。
【0403】
図75(a)〜(c)を参照する。表示パネル740から画面水平方向(または垂直方向)に対して傾斜した偏光方向を持つ光(直線偏光)が出射され、第1の素子(第1液晶素子)741に入射する。第1液晶素子741は、印加電圧に応じて入射光の偏光方向を90°回転させる状態と、偏光方向を回転させない状態との間をスイッチングする。
【0404】
本実施形態では、液晶素子741から出た光の偏光面に対して平行または垂直な光学軸を有する2枚の複屈折素子742および744が配置され、2枚の複屈折素子742および744の間に第2液晶素子743が配置されている。第2液晶素子743も、印加電圧に応じて、入射光の偏光方向を90°回転させる状態と、偏光方向を回転させない状態との間をスイッチングする。
【0405】
本実施形態では、第1液晶素子741に近い位置に置かれている複屈折素子(第1複屈折素子)742の主断面(光学軸と入射光線の光軸の両方を含む平面)は、第1液晶素子741から相対的に遠い位置に置かれている複屈折素子(第2複屈折素子)744の主断面と直交する関係にある。言い換えると、第1複屈折素子742の光学軸と第2複屈折素子744の光学軸とは、入射光の光軸まわりに90°(または−90°)回転させた関係にある。
【0406】
第1複屈折素子742の主断面は、ある基準面(ここでは、「水平面」)に対してθ°の角度を形成しており、第2複屈折素子の主断面は、上記基準面に対してθ’°(=θ°+90°)の角を形成しているとする。いま、偏光方向が第1複屈折素子の主断面に対して平行な光が複屈折素子742に入射した場合を考える。この場合、入射光の光軸は、まず、第1複屈折素子742の光学軸に平行な方向(θ方向)にシフトさせられる。そして、第2複屈折素子744にてよって偏光方向が90°回転されられた後、第2複屈折素子744の光学軸に平行な方向(θ’方向)にシフトさせられる。
【0407】
ここで、第1複屈折素子742によるシフト量(移動距離)をaとし、第2複屈折素子744によるシフト量(移動距離)をbとする。この場合、aとbの関係がtanθ=a/bを満足するとき、第1および第2複屈折素子742および744による最終的なシフト方向は上記基準面(=「水平面」)に対して垂直な方向(画面垂直方向)に一致する。このときの画面垂直方向における画像シフト量は、(a2+b2)の平行根に等しい。なお、距離aおよびbは、それぞれ、第1複屈折素子742の厚さおよび第2複屈折素子744の厚さに比例した大きさを持つ。
【0408】
上記実施形態では、θ°が45°である場合、θ’は135°になる。このとき、tan45°=a/b=1の関係を満たせばよいので、同一材料からなる同一厚さの複屈折板を2枚用いて第1および第2の複屈折素子を作製することができる。
【0409】
なお、第1の素子には、TNモードの液晶のほかに、垂直配向モード液晶、OCBモード液晶、強誘電液晶などを用いることができる。
【0410】
表示パネル740には、画面水平方向に対して斜めの方向に沿って同色の画素(例えば、R色の画素)が配列されている場合がある。この場合、画像シフト方向は、同色の画素列に対して垂直な方向に一致させればよい。このような画像シフトは、同じ材料から構成された同一厚さの複屈折板を2枚重ね、それらの光学軸の向きを一致させ(θ=θ’)、同色画素列の向きとθ方向とが直交するように配置するとともに、第2液晶素子による偏光方向のスイッチングを行わなければよい。この場合、1枚の複屈折素子を用いてもよいし、また、第2液晶素子743を取り除いた構成を採用しても良い。
【0411】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の投影型画像表示装置では、光源からの光を例えばR、G、およびBの三原色の光束に分割し、それぞれの色の光束を画像表示パネルの対応する画素領域に入射させることによって各画素領域でR、G、およびBの変調を行う。そして、画像表示パネルからの出射光の光路を時分割で順次切り替えながら、それに対応させて表示画像を順次切り替えることによって、光の利用率を高めながら、高解像度のカラー画像表示を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投影型画像表示装置の模式図である。
【図2】液晶表示パネルの断面模式図である。
【図3】ダイクロイックミラーの分光特性である。
【図4】原画像フレームから色別画像フレームを生成する方法を説明するための図である。
【図5】従来のカラー表示と本発明のカラー表示との間にある原理上の差異を説明するための図である。
【図6】色別画像フレームのデータから3つのサブフレームデータを生成する方法を説明するための図である。
【図7】サブフレーム画像のシフト(画像シフト)の態様を示す図である。
【図8】複数のサブフレーム画像の合成を示す図である。
【図9】画像シフト素子を構成する回転板の正面図である。
【図10】画像シフト素子を構成する回転板の断面図である。
【図11】液晶表示パネルの応答曲線を示すグラフである。
【図12】サブフレーム画像のシフトの他の態様を示す図である。
【図13】図9の画像シフト素子を構成する回転板の改良例の正面図である。
【図14】反射型液晶表示パネルの断面図である。
【図15】画像シフトの更に他の態様を示す図である。
【図16】画像シフト素子を構成する更に他の回転板の正面図である。
【図17】画像シフト素子を構成する更に他の回転板の正面図である。
【図18】画像シフトの更に他の態様を示す図である。
【図19】画像シフトの更に他の態様を示す図である。
【図20】画像シフトの更に他の態様を示す図である。
【図21】画像シフトの更に他の態様を示す図である。
【図22】画像シフト素子を構成する更に他の回転板の正面図である。
【図23】線走査によってサブフレーム画像が切り替わる様子を示す画像表示パネルの一部正面図である。
【図24】画像シフト素子を構成する更に他の回転板の正面図である。
【図25】画像シフト素子を構成する更に他の回転板の正面図である。
【図26】サブフレーム画像の切り替えと画像シフトのタイミングが画像の位置によってずれることを示す図である。
【図27】画像シフト素子を構成する透明板の正面図である。
【図28】図27の透明板の駆動方法を示す図である。
【図29】画像シフト素子の断面図である。
【図30】画像シフト素子の動作を示す図である。
【図31】画像シフト素子の正面図である。
【図32】画像シフト素子の斜視図である。
【図33】画像シフト素子の斜視図である。
【図34】画像シフト素子の斜視図である。
【図35】画像シフト素子の斜視図である。
【図36】画像シフト素子の断面図である。
【図37】本発明による投影型画像表示装置のシステム構成例を示すブロック図である。
【図38】サブフレーム画像を生成するための回路構成を模式的に示す図である。
【図39】サブフレーム画像を生成する手順を示すタイミングチャートである。
【図40】2枚の画像表示パネルを用いる投影型画像表示装置の実施形態を示す構成図である。
【図41】(a)は、観察者の視線移動がない場合における画像シフトを示す図であり、(b)は観察者の視線移動がある場合における画像シフトを示す図であり、(c)は、視線を移動させる観察者からみた画像シフトの状態を示す図である。
【図42】(a)から(c)は、y−t空間における画素配列(シフトパターン)をフーリエ変換して得られた周波数スペクトルの局在点を示すグラブである。
【図43】サブフレーム画像のシフトパターンを構成し得る6種類のサブセット1A〜3Aおよび1B〜3Bを示す図である。
【図44】6つのサブフレーム画像(サブセット1Aとサブセット2B)で1周期となるサブフレーム画像のシフトパターンを示す図である。
【図45】図44のシフトパターンを実現し得る画像シフト素子を構成する回転板を示す図である。
【図46】本発明の実施形態で採用される画像表示パネルの画素配列の一例を示す図である。
【図47】画像表示パネルの画素配列の他の一例を示す図である。
【図48】(a)は、図46の画素配列のフーリエ空間における周波数スペクトルの局在点を示すグラフであり、(b)は、図47の画素配列のフーリエ空間における周波数スペクトルの局在点を示すグラフである。
【図49】1周期が18のサブフレーム画像(6個のサブセット)によって構成されているサブフレーム画像のシフトパターンを示す図である。
【図50】図49のシフトパターンを実現し得る画像シフト素子を構成する回転板を示す図である。
【図51】画像シフト素子に用いられる液晶層の応答曲線を示すグラフである。
【図52】2組の画像シフト素子を光路上に直列的に並べて画像シフトを行なう場合に過渡的に生じる現象を示す図である。
【図53】画像シフト素子の構成例を示す斜視図である。
【図54】画像シフト素子の他の構成例を示す斜視図である。
【図55】図53の画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図56】図53の画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図57】図54の画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図58】図54の画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図59】図53の画像シフト素子における偏波方向を示す図である。
【図60】1周期が6つのサブフレーム画像(2個のサブセット)によって構成され、画素シフト量が変化するサブフレーム画像シフトパターンを示す図である。
【図61】1周期が6つのサブフレーム画像(2個のサブセット)によって構成され、画素シフト量が一定のサブフレーム画像シフトパターンを示す図である。
【図62】1周期が6枚のサブフレーム画像(2個のサブセット)によって構成されているサブフレーム画像のシフトパターンを示す図である。
【図63】画像シフト素子を構成する回転板の正面図である。
【図64】1周期が12枚のサブフレーム画像(4個のサブセット)によって構成され、画像シフト量が一定のサブフレーム画像シフトパターンを示す図である。
【図65】図54の画像シフト素子を更に改良した画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図66】図54の画像シフト素子を更に改良した画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図67】図54の画像シフト素子を更に改良した画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図68】図54の画像シフト素子を更に改良した画像シフト素子における状態変化の様子を示す図である。
【図69】本発明による投影型画像表示装置の他のシステム構成例を示すブロック図である。
【図70】色分離方向と画面との関係を示す正面図である。
【図71】平行ニコル配置の偏光板、および、偏光板間に挟まれた液晶を示す図である。
【図72】図71に示される構成における電圧透過率特性を示すグラフである。
【図73】上記電圧透過率特性が液晶温度に依存して変化することを示すグラフである。
【図74】上記電圧透過率特性が光の波長に依存して変化することを示すグラフである。
【図75】(a)は、入射光の偏光方向とは異なる方向に画像をシフトさせる画像シフトの構成を模式的に示す斜視図であり、(b)は、その側面図である。(c)は、表示パネルや、画像シフト素子を構成する各素子を光軸に垂直な方向からみた模式図である。
【図76】従来のフィールド順次式投影型画像表示装置を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 球面鏡
3 コンデンサーレンズ
4、5、6 ダイクロイックミラー
7、17 マイクロレンズアレイ
8、18、28 画像表示パネル(液晶表示パネル)
9 フィールドレンズ
10 画像シフト素子
11 投影レンズ
12、12a、12b 光束
13 被投影面
40 ミラー
100 映像信号処理回路
102 照明光学系(光源など)
104 画像表示パネル(液晶表示素子)
106 画像シフト素子
108 画像シフト素子制御回路
110 投影レンズ
120 入力信号選択回路
122 映像復調回路
124 Y/C分離回路
126 スケーリング回路
128 フレームレート変換回路
130 フレームメモリ回路
132 色信号選択回路
134 システム制御回路
740 表示パネル
741 第1偏光変調素子
742 第1複屈折素子
743 第2偏光変調素子
744 第2複屈折素子
1300 フレームメモリ回路
1340 システム制御回路
g1 第1の素子(液晶素子)
g2 第2の素子(水晶板)
g3 第2の素子(複屈折性を有する結晶板)
g4 第2の素子(複屈折性を有する結晶板)

Claims (10)

  1. 光源と、
    各々が光を変調することができる複数の画素領域を有する画像表示パネルと、
    前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、
    前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、
    を備えた投影型画像表示装置であって、
    前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、
    前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる画像シフト素子と、
    を備え、
    前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射し、
    前記被投影面上における前記サブフレームのシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍であり、
    各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は、2つであり、各サブフレーム画像は前記被投影面上の異なる2つの位置に順次表示される投影型画像表示装置。
  2. 光源と、
    各々が光を変調することができる複数の画素領域を有する画像表示パネルと、
    前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、
    前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、
    を備えた投影型画像表示装置であって、
    前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、
    前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる画像シフト素子と、
    を備え、
    前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射し、
    前記被投影面上における前記サブフレームのシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍であり、
    各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は、2つであり、
    各サブフレーム画像は前記被投影面上の異なる3つの位置に順次表示され、
    前記サブフレーム画像のシフトの周期がフレーム期間の1.5倍である投影型画像表示装置。
  3. 光源と、
    各々が光を変調することができる複数の画素領域を有する画像表示パネルと、
    前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、
    前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、
    を備えた投影型画像表示装置であって、
    前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、
    前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる画像シフト素子と、
    を備え、
    前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射し、
    前記被投影面上における前記サブフレームのシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍であり、
    各フレーム画像を構成するサブフレーム画像の数は、4つ以上であり、
    各サブフレーム画像は前記被投影面上の異なる3つの位置に順次表示され、
    各フレーム画像を構成する4つ以上のサブフレーム画像のうち少なくとも2つのサブフレーム画像は、前記被投影面上の同一位置に表示される投影型画像表示装置。
  4. 前記被投影面上の同一位置に表示される前記少なくとも2つのサブフレーム画像は、黒表示のサブフレーム画像を含んでいる請求項に記載の投影型画像表示装置。
  5. 前記被投影面上の同一位置に表示される前記少なくとも2つのサブフレーム画像は、輝度が低減されたサブフレーム画像を含んでいる請求項に記載の投影型画像表示装置。
  6. 光源と、
    各々が光を変調することができる複数の画素領域を有する画像表示パネルと、
    前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、
    前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、
    を備えた投影型画像表示装置であって、
    前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、
    前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる画像シフト素子と、
    を備え、
    前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射し、
    前記被投影面上における前記サブフレームのシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍であり、
    前記被投影面上でシフトする前記サブフレーム画像の運動パターンが周期性を有しており、前記運動パターンの1周期が略2画素ピッチの移動を少なくとも2回含み、
    前記サブフレーム画像の運動パターンの1周期は、各々が順次表示される3枚のサブフレーム画像の移動によって規定される6種類のサブセットから選択された偶数個のサブセットの組み合わせから構成されており、
    前記6種類のサブセットは、移動方向に関して対称関係にある2つの群のいずれかに属している投影型画像表示装置。
  7. 前記サブフレーム画像の運動パターンの1周期は、前記2つの群の各々から選択されたサブセットを交互に含んでいる請求項に記載の投影型画像表示装置。
  8. 前記サブフレーム画像の運動パターンの1周期は、順次表示される18枚のサブフレーム画像の移動から構成されており、
    前記2つの群の各々から選択された6個のサブセットを交互に含んでいる請求項に記載の投影型画像表示装置。
  9. 前記サブフレーム画像の運動パターンの1周期は、順次表示される6枚のサブフレーム画像の移動から構成されており、
    前記2つの群の各々から1個づづ選択された2個のサブセットを含んでいる請求項に記載の投影型画像表示装置。
  10. 光源と、
    各々が光を変調することができる複数の画素領域を有する画像表示パネルと、
    前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、
    前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、
    を備えた投影型画像表示装置であって、
    前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、
    前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる画像シフト素子と、
    を備え、
    前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射し、
    前記被投影面上における前記サブフレームのシフト量は、前記被投影面上において前記シフトの方向に沿って測定した画素ピッチの略整数倍であり、
    前記画像表示パネルによって表示される前記サブフレーム画像が次のサブフレームに切り替わるとき、前記画像表示パネルによって変調された光が前記被投影面に達しないように前記光を遮断する投影型画像表示装置。
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