JP3784277B2 - 電気または電子灸器及び電気または電子灸装置 - Google Patents
電気または電子灸器及び電気または電子灸装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気または電子灸器及び電気または電子灸装置に関する。更に詳しくは、患部に灸治療を行うにあたり、治療後に火傷跡が残らないようにし、また、経穴の位置を知らない人でも経穴またはその近傍に、灸治療を行うことができるようにした、電気または電子灸器及び電気または電子灸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
痛みは、人が感じる刺激のなかでも最も不快な感覚の一つである。痛みが激しく襲ったり、それ程激しくなくても間隔をおいて何回も襲ったりすると、毎日を暗い気分で過ごすようになる。このように、痛みは苦痛以外のなにものでもない。
【0003】
しかしながら、身体が痛みを感じるのは、身体に異常が起こっていることの警告反応でもある。このような痛みには、病原菌によるものや、腰痛のように神経作用によるものが知られている。これらのうち神経作用による痛みは、上記のように警告反応であると共に、身体の弱った箇所に対して自己防衛をする神経の働きでもある。この神経の働きを自己の意思で制御することは簡単なことではない。
【0004】
以前より、上記したような身体の痛みを除去する方法のひとつとして、もぐさを使用した灸が知られている。灸は、もぐさを皮膚の特定の部位(経穴)に置き、これを穏やかに燃焼させて皮膚に適当な熱刺激を与えることで、自然治癒力を促進させ、身体の痛みを除去するようにした療法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した灸には、次のような課題があった。
もぐさを使用した灸では、もぐさを燃焼させて皮膚にいわば軽い火傷を負わせているので、治療後にもぐさを置いた箇所に黒い斑点状の火傷跡が残ってしまっていた。
【0006】
また、灸を行うためには、痛んでいる患部と連絡している経穴を知る必要がある。しかし、経穴を知るためには相当の知識と経験が必要であり、通常の人が正確に経穴を知るのは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決するもので、患部に灸治療を行うにあたり、治療後に火傷跡が残らないようにした電気または電子灸器及び電気または電子灸装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、経穴の位置を知らない人でも経穴またはその近傍に、灸治療を行うことができるようにした、電気または電子灸器及び電気または電子灸装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
ケースと、
当該ケース内に設けられ、患部の皮膚に熱を加えるためのハロゲンランプと、
皮膚に当接したときに、当該皮膚とハロゲンランプとの間に所定の間隔が形成されるようにするスペーサと、
を備えており、
上記スペーサは、
ケースに取り付けられる取着部と、
取着部から斜めに放射状に設けてある、複数本のリブまたは筒形状体と、
リブまたは筒形状体の先端に設けてあり、緩やかな曲面状をなす皮膚の表面に沿わせた状態で当接させ易く、かつ患部の近傍または患部上に当接して、その当接した部分が治療できなくなるのを防止することができるよう取着部よりも径大な円環状に形成してある当接部と、
を備えていることを特徴とする、
電気または電子灸器である。
【0009】
第2の発明にあっては、
第1の発明に係る電気または電子灸器と、
上記電気または電子灸器のケースを保持してハロゲンランプの位置を設定する位置設定手段と、
を備えていることを特徴とする、
電気または電子灸装置である。
【0010】
本明細書において「灸」という用語は、もぐさを使用する通常の意味で使用されている療法のみを指すものではなく、広く皮膚に適当な熱刺激を与えることで、身体の痛みを除去するようにした療法全般のことを意味する概念として使用している。
【0011】
ハロゲン球は、フィラメントの温度を瞬時に約250℃以上にし、その際の熱放射により高温が得られるという立ち上がり良好な特性を備えている。また、電圧の調整により熱放射量を制御して、得られる温度も簡単に変えることができるという特性も備えている。なお、ハロゲン球は、ヨウ素が多く利用されているので、ヨウ素電球とも称される。
【0012】
(作 用)
本発明に係る電気または電子灸器は、ケースと、当該ケース内に設けられ、患部の皮膚に熱を加えるためのハロゲンランプを備えており、ケース内に設けられたハロゲンランプを患部の皮膚に近づけてこの状態でハロゲンランプを発熱させたり、また、発熱させたハ ロゲンランプを皮膚に近づけたりして使用する。
【0013】
本発明に係る電気または電子灸器によれば、ハロゲンランプによる熱を所要時間患部の皮膚に与えることによって、痛みのある患部を熱(灸治療)することができる。そうして熱の刺激によって患部の痛みが除去される。
【0014】
この結果は実験により導出されたもので理由は定かではない。しかし、本発明に係る電気または電子灸器が、痛みの除去効果を奏するということは、実験により実証済みである。
【0015】
本発明に係る電気または電子灸器は、皮膚に触れないで治療が行われるので、必要以上に熱を加え過ぎなければ、火傷を負うこともない。従って、従来のように黒い斑点状の火傷跡が残ることもない。
【0016】
本発明に係る電気または電子灸器は、経穴に対して使用するものではなく、痛みが生じている患部に対して使用し灸治療を行うものであるので、もぐさによる灸治療と違って、治療する人が経穴の位置を知る必要がない。従って、経穴を知らない通常の人でも痛みの除去を簡単に行うことができる。
【0017】
皮膚に当接したときに、皮膚とハロゲンランプとの間に所定の間隔が形成されるようにするスペーサを備えているので、本発明に係る電気または電子灸器の使用に熟練していない人でも、常に皮膚とハロゲンランプとの間に所定の間隔を形成した状態で、患部に熱を加えることができる。これによりハロゲンランプが遠すぎて灸治療(痛みの除去)が不完全になることが防止でき、また、ハロゲンランプが近すぎて皮膚が火傷を負うことも防止できる。
【0018】
スペーサは当接部が円環状に形成してあるので、緩やかな曲面状をなす皮膚の表面に沿わせた状態で当接させ易い。これによりスペーサの当接状態を安定させることができ、この状態で治療を行うことができる。また、スペーサは当接部が取着部よりも径大に形成してあるので、スペーサが患部の近傍または患部上に当接して、その当接した部分が治療できなくなるのを防止することができる。
【0019】
ケースを保持してハロゲンランプの位置を設定する位置設定手段を備えている電気または電子灸装置は、ケースを位置設定手段に保持させることで、例えば、背中等のように患者一人では手の届かない箇所に患部がある場合でも治療することができる。また、手等の不自由な人等でも、ハロゲンランプの位置を固定し身体を適当に動かしてハロゲンランプを患部に当てることにより、患部を灸治療することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は電気灸器の実施例を示す分解斜視説明図である。
符号E1は電気灸器(実施の形態では、「電気灸器」の用語は「電子灸器」も含む概念として使用している。)を示している。
【0021】
電気灸器E1は、ケース1と、ケース1に着脱可能なキャップ12と、皮膚に熱を加えるための熱源2と、熱源2によって熱を加える時間を設定するタイマーと、スイッチ4と、コンセント5を備えている。
【0022】
ケース1は、内部の空洞部が連続する折曲した略「L」字筒形状に形成してある。ケース1の長い直線側の円筒部分は把持部10を構成し、短い直線側は本体部11を構成する。本体部11の先側の外周部にはネジ溝110が形成してある。本体部11のネジ溝110近傍には、電気が供給されていることを示すパイロットランプ13が設けてある。本体部11の先部は開口してある。
【0023】
キャップ12は、内周面にネジ溝120を有する円筒形状に形成してある。キャップ12は、内周面のネジ溝120をケース1のネジ溝110に螺合させることでケース1に取り付けられる。キャップ12は、ケース1に取り付けることでハロゲンランプ20(後述)の側方を覆って、このハロゲンランプ20がキャップ12より出ないようにすることができる。
【0024】
本実施の形態でケース1及びキャップ12は、熱源2の熱によっても変形し難いまたはしない耐熱性を有する合成樹脂(ポリエーテルイミド等)で形成してある。しかし、ケース1及びキャップ12を形成する材料は、特に限定するものではなく、例えば、金属、木材、陶磁器(セラミックスを含む)等で形成することもできる。
【0025】
また、ケース1は略「L」字に形成してあるものを使用したが、これも限定するものではなく、例えば、直線状のものを使用することもできる。
更に、ケース1及びキャップ12は、断面円筒形状に形成してあるものを使用したが、これも限定するものではなく、断面形状は例えば、略楕円筒形状、あるいは略三角筒形状、略四角筒形状、略五画筒形状、略六角筒形状、略七角筒形状、略八角筒形状、略九角筒形状、略十角筒形状等に形成してあるものを使用することもできる。この場合キャップ12は、挿し込んで取り付けるようにすることができる。
【0026】
熱源2は、ケース1を構成する本体部11の先端側内部に設けてある。熱源2は、電球である55〜60Wのハロゲンランプ20と、ハロゲンランプ20を取り付けるソケット21を備えている。ソケット21は、内側壁から内方に張り出した支持部材(図示省略)により中央に位置するように固定してある。ハロゲンランプ20は、下部側を本体部11の軸方向に向けてソケット21にねじ込み、フィラメント201が治療する皮膚と略平行になるようにして取り付けられる。ハロゲンランプ20は、球の下側(ソケットへのねじ込み側)に反射部200が備えてあるものを使用している。ソケット21に取り付けられたハロゲンランプ20は、キャップ12を取り付けない状態で、本体部11の先部の開口した部分よりやや外方に出ている(図1参照)。
【0027】
本実施の形態でハロゲンランプ20は、球の下側(ソケットへのねじ込み側)に反射部200が備えてあるものを使用したが、ハロゲンランプ20は、これに限定するものではなく、例えば、本体部11の内部にソケットの周りを覆うような別体の反射部が設けてあれば、反射部を備えないものを使用することもできる。
【0028】
タイマーは収容ケース3内に収容して設けてある。タイマーはリレーを備えて構成してある。スイッチ4は、押しボタン式のものが収容ケース3から突出させて設けてある。収容ケース3は、スイッチ4が外部から操作できるように壁部を貫通させて、把持部10の内部に固定して設けてある。
【0029】
タイマーは、スイッチ4が押されかつハロゲンランプ20に電気が通電すると、そのときから通電時間を計測し始め、5秒間経過した後にリレーが切状態になり通電不可(オフ)となるものを使用している。リレーは、リレー自体に電気が供給されない状態になれば、切状態から通電可能な入状態になるという特性を有している。
【0030】
本実施の形態で示すタイマーの計測する通電時間は、5秒間に設定したが、通電時間は特に限定するものではなく、任意に設定することができる。また、本実施の形態でタイマーは、リレーを利用したものを使用したが、タイマーはこれに限定するものではない。
【0031】
スイッチ4は、1回押した状態で通電(オン)状態となり、もう一度押したときに通電不可(オフ)の状態になるものを使用している。スイッチ4を押してタイマーに通電(オン)させたときは、パイロットランプ13が点灯する。詳しくは、リレーが切状態になっておりハロゲンランプ20が発光しない状態でも、タイマーに通電されていればパイロットランプ13は点灯する。
【0032】
本実施の形態で示すスイッチ4は、上記したものと同等の機能を奏することができれば、特に限定するものではなく、例えば、スライド式のもの等を使用することもできる。
【0033】
コンセント5は、把持部10の基端側内部に設けてある。把持部10の先端縁部には閉塞板100が設けてあり、コンセント5との間に開口部が形成されないようにしてある。
【0034】
符号60で示すコードは、一端がコンセント5と接続してあり、他端が収容ケース3内のスイッチ4と接続してある。また、符号61で示すコードは、一端がソケット21と接続してあり、他端が収容ケース3内のタイマーと接続してある。スイッチ4とタイマーは収容ケース3内で電気的に接続してある。
電気は、コンセント5からスイッチ4を介してタイマーに流れ、ハロゲンランプ20に供給される。
【0035】
符号7は電源コードを示している。電源コード7はコード70を備えており、コード70の両端にはプラグ71が設けてある。コード70の所要位置には、スライド式のスイッチ700が設けてある。
【0036】
本実施の形態で示すスイッチ700は、上記したものと同等の機能を奏することができれば、特に限定するものではなく、例えば、押しボタン式のもの等を使用することもできる。
【0037】
(作 用)
電気灸器E1の作用を使用方法の一例を交えて説明する。
1.電源コード7のスイッチ700を通電不可(オフ)の状態にして、電源コード7の一方のプラグ71をコンセント5の差込口に差し込む。次いで、他方のプラグ71を部屋の壁面等に設けてあるコンセント(図示はしていない)に差し込む。
【0038】
2.スイッチ700を操作して通電(オン)状態にする。このときハロゲンランプ20が発光した場合は、予めスイッチ4が押されており通電(オン)状態になっているということなので、スイッチ4を押して通電不可(オフ)の状態にする。
この場合、パイロットランプ13も消灯する。
【0039】
スイッチ700を通電(オン)状態にしてもハロゲンランプ20が発光しない場合は、スイッチ4が通電不可(オフ)の状態になっていたということである。
この場合はパイロットランプ13も点灯しない。
【0040】
3.スイッチ4が通電不可(オフ)になっている状態で、ケース1の把持部10を握って、肩こり等で痛くなっている患部の皮膚の近傍に、フィラメント201が皮膚と略平行になるように熱源2を近づける。そして、皮膚の表面と熱源2との間隔が、詳しくは、ハロゲンランプ20のフィラメント201との間隔が5〜7mmになるようにする。
【0041】
4.そして、この状態を維持したままスイッチ4を押す。スイッチ4を押すことにより、通電されてハロゲンランプ20が発光し発熱する。ハロゲンランプ20は、特性により瞬時に高温を発する。
タイマーは、スイッチ4が押されてハロゲンランプ20に通電されたときから通電時間を計測し始める。
【0042】
5.通電されたときからハロゲンランプ20による熱が皮膚に加えられる。この状態はハロゲンランプ20に通電されなくなるまで続けられる。本実施の形態ではタイマーにより通電時間が5秒に設定してあるので、少なくとも5秒間はこの状態を続けて、皮膚に熱が加えられるようにする。このようにすることにより痛みを伴っている患部を熱(灸治療)することができる。
【0043】
6.タイマーが5秒間を計測すると、リレーが切状態になって通電不可(オフ)の状態になり、ハロゲンランプ20に通電されないようになる。ハロゲンランプ20に通電されなくなった状態で、電気灸器E1を患部から離す。
なお、この状態では依然としてスイッチ4までは電気が供給されている。そのためパイロットランプ13は点灯したままである。従って、スイッチ4を押して通電不可(オフ)の状態にし、パイロットランプ13を消灯させる。スイッチ4が通電不可(オフ)の状態になることにより、リレーに電気が供給されなくなり、リレーは切状態から入状態になる。
【0044】
このようにして熱の刺激によって患部の痛みが除去される。なお、一回の熱刺激では効果が薄いときは、複数回行う。
【0045】
電気灸器E1を使用して、肩こりの症状がある5人の患者に対して実験を行ったところ、3人は1回で、他の1人は3回で、最後の1人は5回行うことにより痛みがなくなったという結果を得ることができた。
【0046】
電気灸器E1は、皮膚に触れないで灸治療が行われ、更にハロゲンランプ20に通電する時間を設定するタイマーも備えているので、熱を加える時間が足りずに灸治療(痛みの除去)が不完全になることが防止でき、また、火傷を負うことも防止できる。このように火傷を負うこともないので、従来のように黒い斑点状の火傷跡が残ることもない。
【0047】
電気灸器E1は、経穴に対して使用するものではなく、痛みが生じている患部に対して使用し灸治療を行うものである。そのため、もぐさによる灸治療と違って、治療する人が経穴の位置を知る必要がない。従って、経穴を知らない通常の人でも痛みの除去を簡単に行うことができる。
【0048】
なお、電気灸器E1を使用した治療は、治療を受ける人が「ハロゲンランプ20が直接皮膚に触れることはないし、熱を加える時間も5秒と短い時間であるから、この治療は安全である。もし、幾分か熱く感じたとしても、直ぐ終わるから心配いらない」という気持ちで行い、患部を動かさないようにすることにより効果が顕著に現れることが多い。これはいわば自らに自己暗示をかけることによって、通常ならば恐怖感や不安感等によって無意識に自己を守ろうとして働く自己防衛機能を封じ込めることができ、この自己防衛反応が働いていない状態で治療が行われるからであると思われる。従って、電気灸器E1を使用した治療は、上記したような自己暗示によって患部に自己防衛反応を起こさせないようにした状態で行うことが望ましい。
【0049】
本実施の形態では皮膚とフィラメント201との間隔が5〜7mmになるように説明したが、この間隔は使用するハロゲンランプの規格の違いによる発熱量の違い等によって適宜変更するものであり、特に限定するものではない。例えば、本実施の形態で示すものよりも大きな電力を使うものであれば、間隔は5〜7mmよりも大きくする。逆に小さな電力を使うものであれば、間隔は5〜7mmよりも小さくする。
【0050】
本実施の形態では、熱源2を皮膚に近づけた後にハロゲンランプ20を発熱させるようにしたが、例えば、発熱させたハロゲンランプ20を皮膚に近づけるようにして使用することもできる。
【0051】
図2は本発明に係る電気灸器の一実施の形態を示す分解斜視説明図である。
符号E2は電気灸器を示している。電気灸器E2は、上記した電気灸器E1にスペーサ8を備えたものである。なお、電気灸器E1についての説明は上記したので省略する。
【0052】
スペーサ8は、円環状の当接部82(後述)を皮膚に当接させることにより、常に皮膚とハロゲンランプ20との間に所定の間隔が形成できるようにするものである。
【0053】
スペーサ8は、本体部11の外径よりもやや内径の大きい円筒状に形成してある取着部80と、取着部80の外周面から軸方向の一方側に向けて斜めに放射状に設けてある複数本のリブ81と、リブ81の先端に設けてあり、取着部80の約二倍の内径を有する当接部82で構成してある。
【0054】
取着部80の当接部82側の内縁部には、内方にやや膨出させてストッパー部800が形成してある。スペーサ8は、取着部80を本体部11の先部側に挿し込んで本体部11の先端をストッパー部800に当てて、動かないようにして取り付けられる。
【0055】
スペーサ8の当接部82は、患部の近傍または患部上にスペーサ8が当接して、その当接した部分が治療できなくなるのを防止するために、取着部80よりも径大に形成してある。
本実施の形態で当接部82の内径は約10cmにしてあるが、当接部82の内径はこれに限定されない。また、当接部82の形状も円環状に限定するものではなく、例えば、略楕円形状、あるいは略三角形状、略四角形状、略五角形状、略六角形状、略七角形状、略八角形状、略九角形状、略十角形状等の多角形状とすることもできる。また、リブ81の代わりに筒形状のものを設けることもできる。
【0056】
スペーサ8は、本体部11の先部側に取り付けた場合に、本体部11の開口部が当接部82の略中心に位置し、また、当接部82を皮膚に当接させた場合に、皮膚とフィラメント201との間隔が5〜7mmになるように形成してある。
【0057】
本実施の形態でスペーサ8は、熱源2の熱によっても変形し難いまたはしない耐熱性を有する合成樹脂(ポリエーテルイミド等)で形成してある。しかし、スペーサ8を形成する材料は、特に限定するものではなく、例えば、木材等で形成することもできる。
【0058】
(作 用)
電気灸器E2の作用を使用方法を交えて説明する。
なお、上記した電気灸器E1と共通する構成により生じる同様の作用、効果については説明を省略し、相違する点について説明する。
【0059】
スペーサ8を使用することにより、使用に熟練していない人でも常に皮膚とハロゲンランプ20との間を所定の間隔にすることができ、この状態で患部に熱を加えることができる。これによりハロゲンランプ20が遠すぎて灸治療(痛みの除去)が不完全になることが防止でき、また、ハロゲンランプ20が近すぎて皮膚が火傷を負うことも防止できる。
【0060】
また、スペーサ8は、当接部82が円環状に形成してあるので、緩やかな曲面状をなす皮膚の表面に沿わせた状態で当接させ易い。これによりスペーサ8の当接状態を安定させることができ、この状態で治療を行うことができる。
【0061】
図3は本発明に係る電気灸装置の一実施の形態を示す使用状態説明図、
図4は図3に示す電気灸装置の位置設定装置を示す斜視説明図である。
符号Sは電気灸装置を示している。電気灸装置Sは、電気灸器E2と、電気灸器E2を保持して所要の位置に設定する位置設定装置9を備えている。なお、電気灸器E2についての説明は上記したので省略する。また、図3で治療を受ける患者Kは、想像線で示している。
【0062】
位置設定装置9は、平面視略四角形状に形成してある略板状の台部90と、台部90の略中央から上方に向けて取り付けられている屈曲自在で状態が維持可能なフレキシブル管91と、フレキシブル管91の先部に取り付けてある保持部92を備えている。
【0063】
台部90の側部には、先端にプラグ902を有する電源コード901が接続してある。本実施の形態で台部90は、平面視略四角形状に形成してある略板状のものを使用したが、台部の形状はこれに限定するものではない。例えば、平面視において、略円形状、あるいは略楕円形状、略三角形状、略四角形状、略五角形状、略六角形状、略七角形状、略八角形状、略九角形状、略十角形状等を有する板状や柱形状や錐形状のものを使用することもできる。
【0064】
保持部92は、把持部10の下側を受ける略樋状の下側受け部920と、把持部10の上側に被さる上側受け部921を備えている。上側受け部921は、下側受け部920の側縁部に蝶番922を介して回動可能に取り付けてあり、下側受け部920の上方に位置させて固定金具923により動かないように固定が可能である。
【0065】
下側受け部920の下側には、先端にプラグ924を有する電源コード925が接続してある。電源コード925の基部側は、フレキシブル管91内を通って、電源コード901と接続してある。
【0066】
(作 用)
電気灸装置Sの作用を使用方法を交えて説明する。
なお、上記した電気灸器E2と共通する構成により生じる同様の作用、効果については説明を省略し、主として相違する点について説明する。
【0067】
1.位置設定装置9を床面上に設置する。電気灸器E2を保持部92に保持させて固定する。電気灸器E2は、下側受け部920上に把持部10を載せ、把持部10の上側に上側受け部921を回動させて被せて、固定金具923を使用して固定される。プラグ924をコンセント5の差込口に差し込む。
【0068】
2.電源コード7のスイッチ700を通電不可(オフ)の状態にして、電源コード7の一方のプラグ71を電源コード901のプラグ902に差し込む。次いで、他方のプラグ71を部屋の壁面等に設けてあるコンセント(図示はしていない)に差し込む。そして、電気灸装置S側のスイッチ4を押して通電(オン)可能な状態になるようにしておく。
【0069】
3.次に、フレキシブル管91を適宜屈曲させて、肩こり等の症状のある患部の皮膚の近傍に熱源2を近づけ、スペーサ8の当接部82が皮膚と当接するように位置設定装置9を設定する。
【0070】
4.この状態を維持したまま電源コード7のスイッチ700を入れる。スイッチ700を入れることにより、通電されてハロゲンランプ20が発光し発熱する。
このときハロゲンランプ20が発光しない場合は、スイッチ4が通電不可(オフ)の状態になっているということなので、スイッチ700を通電不可(オフ)の状態に戻して、スイッチ4を押して通電(オン)の状態にする。そして、再度、スイッチ700を入れる。
【0071】
5.ハロゲンランプ20が発光してタイマーが5秒間を計測すると、リレーの接点が開いて通電不可(オフ)の状態になる。なお、この状態では依然としてスイッチ4までは電気が供給されている。そのためパイロットランプ13は点灯したままである。
【0072】
治療を一回で止めるときは、スイッチ4を押して通電不可(オフ)の状態にし、パイロットランプ13を消灯させる。スイッチ700も通電不可(オフ)の状態する。スイッチ4やスイッチ700を通電不可(オフ)の状態にすることにより、リレーに電気が供給されなくなり、リレーは切状態から入状態になる。これにより次回使用するときは、スイッチ4を押して、スイッチ700を入れればよい。
【0073】
6.治療を複数回行うときは、スイッチ700を通電不可(オフ)の状態にしてリレーを入状態にし、再びスイッチ700を通電(オン)状態にする。
【0074】
電気灸装置Sによれば、例えば、背中等のように患者一人では手の届かない箇所に患部がある場合でも、電源コード7のスイッチ700を操作すればよいので、一人でも治療することができる。また、手等の不自由な人等でも、ハロゲンランプの位置を固定し身体を適当に動かしてハロゲンランプを患部に当てることにより、患部の治療がし易くできる。
【0075】
本実施の形態で位置設定装置9は、台部90を備え、この台部90を床面上に設置して使用するものを示したが、位置設定装置はこれに限定するものではなく、例えば、患者の身体に装着することで設置可能なものを使用することもできる。
【0076】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明によれば、ハロゲンランプによる熱を所要時間患部の皮膚に与え、痛みのある患部を熱(灸治療)することによって、熱の刺激により患部の痛みを除去することができる。
【0078】
(b)本発明によれば、皮膚に触れないで治療が行われるので、必要以上に熱を加え過ぎなければ、火傷を負うこともない。従って、従来のように黒い斑点状の火傷跡が残ることもない。
【0079】
(c)本発明に係るものは、経穴に対して使用するものではなく、痛みが生じている患部に対して使用し灸治療を行うものであるので、もぐさによる灸治療と違って、治療する人が経穴の位置を知る必要がない。従って、経穴を知らない通常の人でも痛みの除去を簡単に行うことができる。
【0080】
(d)皮膚に当接したときに、皮膚とハロゲンランプとの間に所定の間隔が形成されるようにするスペーサを備えているので、本発明に係るものの使用に熟練していない人でも、常に皮膚とハロゲンランプとの間に所定の間隔を形成した状態で、患部に熱を加えることができる。これによりハロゲンランプが遠すぎて灸治療(痛みの除去)が不完全になることが防止でき、また、ハロゲンランプが近すぎて皮膚が火傷を負うことも防止できる。
【0081】
(e)スペーサは当接部が円環状に形成してあるので、緩やかな曲面状をなす皮膚の表面に沿わせた状態で当接させ易い。これによりスペーサの当接状態を安定させることができ、この状態で治療を行うことができる。また、スペーサは当接部が取着部よりも径大に形成してあるので、スペーサが患部の近傍または患部上に当接して、その当接した部分が治療できなくなるのを防止することができる。
【0082】
(f)ケースを保持してハロゲンランプの位置を設定する位置設定手段を備えているものは、ケースを位置設定手段に保持させることで、例えば、背中等のように患者一人では手の届かない箇所に患部がある場合でも治療することができる。また、手等の不自由な人等でも、ハロゲンランプの位置を固定し身体を適当に動かしてハロゲンランプを患部に当てることにより、患部を灸治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電気灸器の第1の実施の形態を示す分解斜視説明図。
【図2】 本発明に係る電気灸器の第2の実施の形態を示す分解斜視説明図。
【図3】 本発明に係る電気灸装置の一実施の形態を示す使用状態説明図。
【図4】 図3に示す電気灸装置の位置設定装置を示す斜視説明図。
【符号の説明】
E1,E2 電気灸器
S 電気灸装置
K 患者
1 ケース
10 把持部
100 閉塞板
11 本体部
110 ネジ溝
12 キャップ
120 ネジ溝
13 パイロットランプ
2 熱源
20 ハロゲンランプ
200 反射部
201 フィラメント
21 ソケット
3 収容ケース
4 スイッチ
5 コンセント
60 コード
61 コード
7 電源コード
70 コード
700 スイッチ
71 プラグ
8 スペーサ
80 取着部
800 ストッパー部
81 リブ
82 当接部
9 位置設定装置
90 台部
901 電源コード
902 プラグ
91 フレキシブル管
92 保持部
920 下側受け部
921 上側受け部
922 蝶番
923 固定金具
924 プラグ
925 電源コード
Claims (2)
- ケース(1)と、
当該ケース(1)内に設けられ、患部の皮膚に熱を加えるためのハロゲンランプ(20)と、
皮膚に当接したときに、当該皮膚とハロゲンランプ(20)との間に所定の間隔が形成されるようにするスペーサ(8)と、
を備えており、
上記スペーサ(8)は、
ケース(1)に取り付けられる取着部(80)と、
取着部(80)から斜めに放射状に設けてある、複数本のリブ(81)または筒形状体と、
リブ(81)または筒形状体の先端に設けてあり、緩やかな曲面状をなす皮膚の表面に沿わせた状態で当接させ易く、かつ患部の近傍または患部上に当接して、その当接した部分が治療できなくなるのを防止することができるよう取着部(80)よりも径大な円環状に形成してある当接部(82)と、
を備えていることを特徴とする、
電気または電子灸器。 - 請求項1記載の電気または電子灸器と、
上記電気または電子灸器のケース(1)を保持してハロゲンランプ(20)の位置を設定する位置設定手段と、
を備えていることを特徴とする、
電気または電子灸装置。
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