JP3784276B2 - 快削性焼結部材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結部材の強度の低下を招くことなく被削性を改善した快削性焼結部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉末冶金法は、ニアネットシェイプに製品が製造でき、切削加工などの機械加工を省略あるいは最小限に抑えることで、材料費や加工コストを削減できることが特徴の1つである。ところが、用途と需要が拡大するにつれて形状もますます複雑化しているので、成形困難または成形不可能な場合や、製品によっては要求される精度もますます厳しくなっており、このため、二次加工が必要不可欠となってきている。一方、粉末冶金法のもう一つの特徴としては、溶製法では製造不可能な組織構造の合金を比較的容易に製造できることにある。例えば、硬質相が分散する耐摩耗性焼結合金等が実際に製造されているが、このような組織構造では被削性は悪く、被削性の点で改良の要望が大きくなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、粉末冶金法による被削性の改善手段としては、MnS、MoS2、CaF2、珪酸マグネシウム系鉱物等の被削性改善物質の粉末を与えた混合粉末を成形−焼結して焼結部材の組織中にこれらの被削性改善物質を分散させる手法がよく用いられている。この方法は簡便で被削性の向上が図れるが、被削性改善物質は焼結部材の気孔中もしくは粉末粒界に分散し、局所的にしか存在していない。また、これらの被削性改善物質は焼結過程における粉末どうしの拡散結合を阻害するため、得られる焼結部材の強度は低下する傾向にある。
【0004】
また、近年では、焼結中にMnSを析出させて基地全体にMnSを分散させて被削性を改善することを狙った、粉末中に既にMnとSを固溶させて与えた粉末が実用化されている。ただし、この種の粉末では粉末段階で既に粉末中に固溶したMnとSがMnSとして粉末表面に析出してしまうため、添加法に比べれば改善されているものの、焼結の進行が阻害されるといった短所がある。また、MnSは粉末段階で既に形成されているので、焼結時にMnS粒子が成長し主として粉末粒界に分散することとなり、このため、強度は低下する傾向にある。
【0005】
本発明はこのような状況を背景としてなされたものであって、強度を低下させることなく被削性を改善した焼結部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基地組織の粉末粒界ではなく結晶粒内に微細なMnSを焼結過程で析出させたことにより強度低下を招かず被削性を改善したことを骨子とする。すなわち、本発明の快削性焼結部材は、Mnを含む鋼の基地組織の全面にわたり結晶粒内に0.15質量%以上のMnS粒子が均一に分散するとともにMnS粒子の全てが10μm以下であることを特徴とする。また、本発明の快削性焼結部材の製造方法は、Mn:0.1〜8質量%を含有する鋼粉末にSが0.05〜5質量%となる量のMnSよりSとの結合力が小さい金属硫化物粉末を配合し混合した混合粉末を用い、金型内で圧縮成形した成形体を900〜1300℃の温度範囲で焼結することを特徴とする。
【0007】
本発明の快削性焼結部材は、MnSが粉末粒界ではなく結晶粒内に分散するので、焼結時の粉末どうしの拡散結合が阻害されず、その結果、強度の低下が生じない。また、大きなMnSは介在物として働き破壊の基点となり易いが、本発明の結晶粒内に析出するMnSは10μm以下(多くは5μm以下であって、40%以上が5μm以下が好ましい)と微細であるため破壊の基点となり難く、このことも強度低下が生じない要因の1つとなっている。これにより本発明では添加法に比べてより多量のMnSを含有することが可能となり、しかもMnSの分散箇所が結晶粒内であることから、切削加工時に切刃に対して連続的にMnSが作用し、被削性が向上する。
【0008】
本発明の快削性焼結部材では、MnS粒子が0.15質量%より少ないと被削性向上の効果が乏しく、また、10質量%より多かったり粒径が10μmより大きっかたりすると、強度の低下が発生する。したがって、MnS粒子は粒径が10μm以下で、かつ0.15〜10質量%の割合で分散することが好ましい。
【0009】
上記MnSの分散方法の形態としては、Mnを含む鋼粉末とSの供給源となる金属硫化物粉末とに分けて与え、焼結時に金属硫化物粉末が分解して放出したSと基地中のMnとを結合させて析出させる手法が挙げられる。上記本発明の快削性焼結部材の製造方法はこれを具体化したものである。なお、分解した金属硫化物の金属成分は、基地に固溶され、あるいは炭化物を生成し、基地の強度あるいは耐摩耗性の向上に寄与する。
【0010】
鋼粉末中のMn量に関しては、0.1質量%より少ないと形成されるMnS量が少なく被削性改善の効果が乏しい。一方、Mn量が8質量%より多いと鋼粉末自体が硬くなり過ぎて圧縮性が低下し、結果として強度が低下する。また、金属硫化物粉末中のS量に関しては、0.05質量%より少ないと形成されるMnS量が少なく被削性改善の効果が乏しい。一方、S量が5質量%より多いと焼結性が阻害されて強度が低下することに加え、Mnの存在しない箇所ができてしまうため被削性の低下も生じ、さらに、焼結中にSの飛散が増える不具合も生じる。
【0011】
本発明の快削性焼結部材の製造方法において、焼結時に金属硫化物粉末を分解させ、かつ金属硫化物より分解したSと基地中のMnとを結合させてMnSを形成するためには、900℃以上で焼結することが必要である。ただし、1300℃を上回る温度で焼結すると、MnS粒子が成長し10μm以上に粗大化して強度を低下させること、および場合によっては液相が発生して焼結体の型くずれが生じたりする懸念があるため、上限を1300℃とする。
【0012】
また、焼結雰囲気中に酸素が多量に含まれると金属硫化物より分解したSが酸素と結合してSOXガスとして離脱し、基地のMnと結合するS量が減少するため、真空雰囲気中もしくは露点が−10℃以下の分解アンモニアガス、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガスのいずれかの雰囲気中で焼結することが好ましい。
【0013】
上記効果を達成するための金属硫化物粉末としては、MoS2粉末、Cr2S3粉末、CoS2粉末、WS2粉末、CuS2粉末が好適である。これらの粉末は、MnSよりSとの結合力が小さいため焼結時にSを放出し易い。また、Sが放出された後のMo、Cr、Co、CuはFe基地へ拡散して基地の固溶強化に働き、W、一部のMo、CrはCと反応して炭化物を形成し、基地の耐摩耗性を強化する。FeSもMnSよりSの結合力が小さく、少量の添加では効果的であるが、多量の添加はMnを含まない、すなわちMnSが析出しない基地部分を形成してしまい被削性が低下するため、使用に際しては添加量に注意が必要である。
【0014】
本発明の快削性焼結部材の成分について、上記のMn、S以外の成分については特に限定するものではなく、従来知られている範囲で他の元素を含有しても差し支えない。以下に、本発明の快削性焼結部材に用いるMn、S以外の元素について推奨する組成範囲を説明する。
【0015】
C:3質量%以下
Cが0質量%の場合、軟質なフェライト組織の材料となるが、この組織は靱性が高いため切り粉が長くなり切削加工が困難となる。粒内に分散したMnS粒子はチップブレーカー効果を発揮し、フェライト組織でも容易に加工できる。C量が増えるにしたがい、硬いセメンタイト組織が増してくるため被削性は悪化する。また、Cは焼結助剤としての効果もあるため、添加量が増えるにしたがって焼結が進行しやすいが、これが分散MnS粒子の粗大化も進めてしまい、被削性が悪化する。被削性の悪化はCが3質量%を超えると顕著になるため、Cの含有量は3質量%とした。
【0016】
Cu:5質量%以下
Cuは強度向上に働くが、特にCuの融点以上で液相となりMnS粒子の粗大化を引き起こすことと、5質量%を超えるとほとんど強度向上の効果が無いためCの含有量は5質量%以下とした。
【0017】
Cr:10質量%以下
Crは耐熱性向上効果があるが、10質量%を超えると粉末の表面に強固な酸化被膜が形成され焼結性を損ない強度低下を招くため、10質量%以下とした。
【0018】
Ni:15質量%以下
Niの添加により焼入れ性が向上して基地の強化が図られるが、15質量%を超えるとNiリッチのオーステナイト相が多くなり硬度や強度の低下を招くため、15質量%以下とした。
【0019】
Mo:10質量%以下
Moは耐熱性向上効果があるとともに炭化物を形成して耐摩耗性向上に寄与するが、10質量%を超えると粉末の圧縮性が低下して十分な圧粉体密度を得られないため、10質量%以下とした。
【0020】
V:5質量%以下
Vは耐熱性向上効果があるとともに炭化物を形成して耐摩耗性向上に寄与するが、5質量%を超えると粉末の圧縮性が低下して十分な圧粉体密度を得られないため、5質量%以下とした。
【0021】
Co:15質量%以下
Coは耐熱性向上効果があるが、15質量%を超えると粉末の圧縮性が低下して十分な圧粉体密度を得られないため、15質量%以下とした。
【0022】
Nb:5質量%以下
Nbは耐熱性向上効果があるとともに炭化物を形成して耐摩耗性向上に寄与するが、5質量%を超えると粉末の圧縮性が低下して十分な圧粉体密度を得られないため、5質量%以下とした。
【0023】
本発明のMnS分散技術は、特定の金属組織形態によるものではなく、あらゆる組織形態および混合組織形態において有効である。例えば、本出願人が出願した特願2000−133915号、これは被削性と耐摩耗性の両者を考慮した安価なバルブシートに関するものであるが、この金属組織に適用した場合、すなわち、基地組織が、ベイナイト単相のみ、もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合相のみからなる組織を呈するとともにベイナイトとマルテンサイトの比が100:0〜50:50であって、かつ基地硬さが250〜800Hvの範囲内であるバルブシートに適用した場合、強度や耐摩耗性を低下させることなく被削性をさらに改善させることが可能である。
【0024】
また、本発明のMnS分散技術は、従来の耐摩耗性材料の基地に適用した場合にも効果があり、本発明の基地中に従来知られている硬質粒子や硬質相を分散させた焼結部材の被削性を改善できる。以下に本発明の快削性焼結部材に推奨される硬質粒子および硬質相の形態を説明する。
【0025】
[Cr炭化物、Mo炭化物、Nb炭化物、V炭化物、W炭化物、ステダイト]
耐摩耗性を付与する目的で、一般によく用いられる炭化物である。炭化物粉末の形態で混合粉末に与えられることもあるが、混合粉末の硬さが高くなり、圧縮性が低下するため、一般には炭化物形成元素を含む鋼粉末と黒鉛粉末とに分けて与えられ、焼結時に炭化物として析出させる手法が採られている。これらの炭化物は、硬さが高い特性を有し、材料の耐摩耗性を高める目的で用いられる。
【0026】
[Co基金属間化合物群およびCo拡散相よりなる硬質相]
Co基金属間化合物群およびCo拡散相よりなる硬質相は、耐摩耗性焼結合金として、特開平2−163350号公報等で知られる硬質相である。これは、Co−Mo−Si系合金粉末を本発明の混合粉末に添加して成形−焼結することで、基地中に分散させた硬質相である。
【0027】
[Mo珪化物硬質粒子群を主体とする硬質相]
Mo珪化物硬質粒子群を主体とする硬質相は、耐摩耗性焼結合金として、特公平61−8142号公報等で知られる硬質相で、Fe−Mo−Si系合金粉末に添加して成形−焼結することで、基地中に分散させた硬質相である。
【0028】
[Cr炭化物またはCr炭化物とCr硫化物を主体とする硬質粒子群およびこの硬質粒子群の周囲のCr拡散相よりなる硬質相]
Cr炭化物またはCr炭化物とCr硫化物を主体とする硬質粒子群およびこの硬質粒子群の周囲のCr拡散相よりなる硬質相は、耐摩耗性焼結合金として、特開平9−195012号公報等で知られる硬質相である。これは、Fe−Cr−C系合金粉末を混合粉末に添加して成形−焼結することで、基地中に分散させた硬質相である。
【0029】
[Fe−Mo硬質相]
Fe−Mo硬質相は、硬質なFe−Mo金属間化合物を基地中に分散させて耐摩耗性を確保する上で有効であり、古くより採用されている手法である。主にFe−Mo合金粉末を混合粉末に添加して成形−焼結することで、基地中に分散させた硬質相である。
【0030】
以上の硬質粒子や硬質相等が分散する材料は、材料の被削性は低いため、被削性の改善が望まれている分野の1つである。これらの硬質粒子や硬質相が分散する材料に本発明のMnS分散技術を適用すると、耐摩耗性を劣化させることなく被削性が改善され、適用範囲の拡大が見込まれる。
【0031】
以上説明したように、本発明の快削性焼結部材は、基地の結晶粒内に10μm以下のMnS粒子を0.15〜10質量%均一に分散させたものであるが、強度の低下を許容し、さらに被削性の改善を望む場合には、従来の快削成分を添加手法と併用することが可能である。
【0032】
すなわち、混合粉末に珪酸マグネシウム系鉱物、BN、MnS、CaF2、Pb等の被削性改善成分粉末を添加して成形−焼結することで、焼結部材の気孔中もしくは粉末粒界にこれらの被削性改善成分を分散させる。これにより、強度の低下は生じるものの、一層の被削性の改善がなされる。したがって、ある程度の強度の低下は実用上問題ないが、一層の被削性が要求される部材に対しては有効な手段である。ただし、これらの被削性改善成分粉末の添加量、すなわち被削性改善成分の金属組織中への分散量が5質量%を超えると強度が著しく低下するため、分散量は5質量%に止めるべきである。
【0033】
また、本発明の快削性焼結部材の気孔中にPbまたはPb合金、CuまたはCu合金、アクリル樹脂のうちのいずれかを含浸もしくは溶浸して被削性をより一層改善することも可能である。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
まず、表1の粉末記号P1〜P22で示す本発明の請求範囲内外のFe−Mn合金粉末をベース粉末として用意した。なお、粉末記号P1、P16〜P21にも極微量のMnが含有されているが、これは不可避不純物程度のレベルであり、以下においてはMn未含有として扱うことにする。次に、これらP1〜P22と、MoS2粉末、黒鉛粉末、Cu粉末、Ni粉末およびMnS粉末を適宜用いて、表2に示す組成の試料番号01〜33の混合粉末を用意した。次いで、これら混合粉末をそれぞれ成形圧力650MPaで圧縮成形し、その圧粉体をアンモニア分解ガス雰囲気中で60分間加熱し、焼結した。なお、各試料の焼結温度は表2に示す通りである。また、表3に、試料番号01〜33のMn、SおよびMnSの質量%と、MnSの粒子の大きさ別の割合を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
試料番号01〜33の試料(焼結体)について行った被削性試験および圧環強さの測定結果を、表3に併記する。被削性試験は、5mm厚の板状に加工した試料に対してφ3mmの超硬チップドリルで穴を空ける試験で、チップドリル1本、5kNの一定荷重の条件下で空けることのできた穴の数を測定した。もちろん、穴の数が多ければ多いほど被削性がよい。以下、図1〜図3を参照して実施例を考察し、本発明の効果を明らかにする。なお、これら図で示す番号は試料番号である。
【0041】
図1は、Mn量とS量を変えた試料番号01〜09におけるMnS量の影響を調べた結果である。これによると、MnS量が0.15質量%以上分散することで被削性が改善され、MnS量の増加に伴い被削性は向上する一方、強度はMnS量の増加に伴い徐々に低下し、10.4質量%を超えると強度は著しく低下する。
【0042】
図2は、焼結温度を変えて析出するMnS粒子の大きさおよび割合の影響を試料番号10〜14、32,33によって明らかにした結果である。これによると、10μm以上のMnS粒子を含む試料番号14は従来のMnS析出粉末を使用したもの(試料番号32)と同等であるが、析出したMnS粒子の全てが10μm以下で、そのうち5μm以下のMnS粒子が40%以上の試料番号10〜13では、被削性の改善効果が顕著である。また、このことは焼結温度900〜1200℃の範囲で目的とする粒径のMnSが得られることも示している。
【0043】
図3は、各種基地強化元素を含む試料番号11、15〜22と、これらと同種でMn未含有の試料番号23〜31の被削性を示している。これによると、いずれの合金もMnの添加によるMnS粒子の析出によって被削性を著しく改善できることが判る。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の快削性焼結部材によれば、強度が低下することなく被削性が著しく改善された部材としてきわめて有望であり、また、本発明の快削性焼結部材の製造方法によれば、そのような部材を好適かつ効率的に製造することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例においてMnS量の変化が被削性と強度に与える影響を示す線図である。
【図2】 本発明の実施例においてMnS粒子の大きさおよびその割合が被削性に与える影響を示す線図である。
【図3】 本発明の実施例において各種硫化物形成元素を含む鉄基合金へのMnの含有が被削性に与える影響を示す線図である。
Claims (17)
- Mnを含む鋼の基地組織の全面にわたり結晶粒内に0.15質量%以上のMnS粒子が均一に分散するとともに前記MnS粒子の全てが10μm以下であることを特徴とする快削性焼結部材。
- Mnを含む鋼の基地組織の全面にわたり結晶粒内に0.15〜10質量%のMnS粒子が均一に分散するとともに前記MnS粒子の全てが10μm以下であることを特徴とする快削性焼結部材。
- 前記MnS粒子の40%以上は5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の快削性焼結部材。
- 前記快削性焼結部材の基地が、質量比で、Mn:0.1〜8%、S:0.05〜5%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の快削性焼結部材。
- 前記快削性焼結部材の基地が、さらに、質量比で、C:3%以下、Cu:5%以下、Cr:10%以下、Ni:15%以下、Mo:10%以下、W:10%以下、V:5%以下、Co:15%以下、Nb:5%以下のうち少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の快削性焼結部材。
- 前記基地組織が、ベイナイト単相のみ、もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合相のみからなる組織を呈するとともに、ベイナイトとマルテンサイトの比が100:0〜50:50であって、かつ基地硬さが250〜800Hvであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の快削性焼結部材。
- 前記快削性焼結部材の金属組織中に、Cr炭化物、Mo炭化物、Nb炭化物、V炭化物、W炭化物、ステダイトの少なくとも1種以上が分散することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の快削性焼結部材。
- 前記快削性焼結部材の金属組織中に、Co基金属間化合物群およびCo拡散相よりなる硬質相、Mo珪化物硬質粒子群を主体とする硬質相、Cr炭化物またはCr炭化物とCr硫化物を主体とする硬質粒子群およびこの硬質粒子群の周囲のCr拡散相よりなる硬質相、Fe−Mo硬質相の少なくとも1種以上が分散することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の快削性焼結部材。
- 前記快削性焼結部材の気孔中または粉末粒界に、珪酸マグネシウム系鉱物、BN、MnS、CaF2、Pbのうち少なくとも1種以上が分散することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の快削性焼結部材。
- 前記快削性焼結部材の気孔がPbまたはPb合金、CuまたはCu合金、アクリル樹脂のうちのいずれかで満たされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の快削性焼結部材。
- Mn:0.1〜8質量%を含有する鋼粉末にSが0.05〜5質量%となる量のMnSよりSとの結合力が小さい金属硫化物粉末を配合し混合した混合粉末を、金型内で圧縮成形し、その成形体を900〜1300℃の温度範囲で焼結することを特徴とする快削性焼結部材の製造方法。
- 前記金属硫化物粉末が、MoS2粉末、Cr2S3粉末、CoS2粉末、WS2粉末、Cu2S粉末のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の快削性焼結部材の製造方法。
- 前記鋼粉末もしくは前記混合粉末が、さらに、質量比で、C:3%以下、Cu:5%以下、Cr:10%以下、Ni:15%以下、Mo:10%以下、W:10%以下、V:5%以下、Co:15%以下、Nb:5%以下のうち少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項11または12に記載の快削性焼結部材の製造方法。
- 前記焼結を、真空雰囲気中もしくは露点が−10℃以下の分解アンモニアガス、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガスのいずれかの雰囲気中で行うことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の快削性焼結部材の製造方法。
- 前記混合粉末に、
Mo:20〜40質量%、Cr:5〜15質量%、Si:1〜5質量%、およびCo:残部のCo基合金粉末、
Mo:20〜50質量%、Cr:15質量%以下、Si:1〜12質量%、およびFe:残部のFe基合金粉末、
Cr:4〜25質量%、C:0.25〜2.4質量%を含有し、所望によりMo:0.3〜3質量%、V:0.2〜2.2質量%、W:1〜5質量%のうちの1種もしくは2種以上、およびFe:残部のFe−Cr系合金粉末、
Mo:55〜65およびFe:残部のFe−Mo粉末、
のうち少なくとも1種以上を添加することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の快削性焼結部材の製造方法。 - 前記混合粉末に、珪酸マグネシウム系鉱物粉末、BN粉末、MnS粉末、CaF2粉末、Pb粉末のうち少なくとも1種以上の粉末を添加することを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の快削性焼結部材の製造方法。
- 前記焼結の後に、PbまたはPb合金、CuまたはCu合金、アクリル樹脂のうちのいずれかを溶浸もしくは含浸することを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の快削性焼結部材の製造方法。
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