JP3784207B2 - 再帰反射シート - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規な構造の再帰反射シートに関し、詳しくは、道路標識、工事標識等の標識類、自動車、オードバイ等の車両のナンバープレート類、衣料、救命具等の安全資材類、看板等のマーキング、可視光、レーザー光あるいは赤外光反射型センサー類の反射板等において有用な、キューブコーナー型再帰反射素子などの再帰反射素子によって構成される再帰反射シートに関する。
さらに詳しくは、本発明は、多数の再帰反射素子が配置された再帰反射素子集合面からなる再帰反射素子層と、その光入射側に隣接してその光入射側表面が実質的に平滑である光線透過性の素子背面層と、該再帰反射素子層と直接接触する空気層とから主として構成され、該再帰反射素子層が空気層の光入射側に位置するように配置された再帰反射シートであって、該空気層が再帰反射素子層の表面に当接する柱状坦持体によって保持されていることを特徴とする再帰反射シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入射した光を光源に向かって反射する再帰反射シートはよく知られており、その再帰反射性を利用した該シートは上記のごとき利用分野で広く利用されている。そして、直接空気層と接触する再帰反射素子層と、該再帰反射素子層の光入射側に隣接してその光入射側表面が実質的に平滑である光線透過性の素子背面層とから主として構成される再帰反射シートは公知である。
【0003】
中でも三角錐キューブコーナー型再帰反射素子(以下単に、三角錐型反射素子ということがある)などの、内部全反射プリズム型再帰反射素子(以下、内部全反射型素子ということがある)の再帰反射原理を利用した内部全反射プリズム型再帰反射シートは、該内部全反射型素子のほぼ全面にわたって光の入射した方向に光を反射させることができ、且つマイクロ硝子球型反射素子のように球面収差などの原因によって反射光が広い角度に発散することはないため、従来のマイクロ硝子球を用いた再帰反射シートに比べ光の再帰反射効率が格段に優れており、その優れた再帰反射性能により年々用途が拡大しつつある。
【0004】
このような内部全反射型素子は、その内部全反射原理を保証するため、該素子の起伏表面が空気の層と接触していることが必要である。そのため、従来より内部全反射型素子を空気層を有するカプセル中に封入することが知られている。
【0005】
例えば、マックグラス(McGrath)らによる特開昭52-110592号公報には、再帰反射素子層の下方に設けられたバインダー層の背面から加熱エンボス加工することにより再帰反射素子を囲周する周壁を形成して同時に該再帰反射素子を封入したり、再帰反射素子形成時に一緒に周壁を形成しておきバインダー層と加熱接合させることにより再帰反射素子を封入するなどの方法により、三角錐型反射素子をカプセル中に封入してなる再帰反射シートが開示されている。また、シュルツ(Schurtz)らによる特公昭46-25177号公報には、集合した再帰反射素子の外縁部に予め形成された周壁を「裏当板」に接合することにより、フルキューブ型再帰反射素子をカプセル中に封入してなる再帰反射シートが開示されている。
【0006】
しかしながらこれらのカプセル化された再帰反射シートは、比較的近くから見たときに、カプセルを支えている周壁が該再帰反射シートの表面からかなりはっきり見えてしまい、シート外観の意匠性の点で必ずしも満足すべきものではない。
【0007】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、上記のようなシート外観の意匠性の改善を主な目的としてなされたものであり、本発明者らは、再帰反射素子層と空気層とが直接接触するように保持する手段である周壁を柱状坦持体に代えることにより、この目的を比較的簡易な手段で且つ効果的に達成できることを見出した。
【0008】
さらに、一般に前記の三角錐型反射素子を用いた再帰反射シートでは、観測角特性や入射角特性などの広角性不十分であることが知られており、それらの問題点を改善するため古くから多くの提案が知られている。入射角特性の改善については、三角錐型反射素子の光学軸を該反射素子の底面に対する垂線に対して少し傾斜させる方法が知られており、例えば、ユンゲルセン(Jungersen)の米国特許第2,481,757号明細書、ホープマン(Hoopman)による特開昭60-100103号公報(米国特許第4,588,258号明細書)等を挙げることができる。また、観測角特性の改善については、三角錐型反射素子を形成する三つのプリズム面が交差する角度(プリズム面角)を90゜から極僅かに変異させる方法が知られており、例えば、アッペルドーン(Appeldorn)らによる特開昭63-143502号公報(米国特許第4,775,219号明細書)等を挙げることができる。
【0009】
しかしながら、これらの方法により三角錐型再帰反射シートの広角性の改善を試みた時には、必然的に該再帰反射シートの正面輝度が低下するという問題が生じる。本発明は、このような問題の解決のためにも優れた改善方法を提案するものであり、特に柱状坦持体を、例えば三角錐型反射素子における底面三角形の頂角部分など、再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分に形成することによって、相対的に再帰反射シートの有効再帰反射面を増大して再帰反射シートの正面輝度をも向上させることができることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、多数の再帰反射素子が配置された再帰反射素子集合面からなる再帰反射素子層、該再帰反射素子層の光入射側に隣接して再帰反射素子層をその背面から支持し、その光入射側表面が実質的に平滑である光線透過性の素子背面層、及び、該再帰反射素子層と直接接触する空気層を含んでなり、該再帰反射素子層が該空気層の光入射側に位置するように配置された再帰反射シートにおいて、該空気層が再帰反射素子層の表面に当接する柱状坦持体によって保持されていることを特徴とする再帰反射シートが提供される。
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明における再帰反射素子としては、例えば、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子やフルキューブコーナー型再帰反射素子等のキューブコーナー型再帰反射素子、及び断面の頂角が略90゜の円錐型再帰反射素子など、再帰反射素子の表面と空気層との間での光の全反射原理を応用した内部全反射型再帰反射素子が好適に利用でき、必ずしもこのような再帰反射素子に限定されるものではなく、表面に反射層が形成されたキューブコーナー型再帰反射素子、円錐型再帰反射素子、半球型円錐型再帰反射素子などの鏡面反射型再帰反射素子も利用可能である。
【0013】
しかしながら、鏡面反射型再帰反射素子からなる再帰反射シートは、その光入射側表面から鏡面層が薄黒く見えてしまうことが多いため、該シートの用途、色調等の選択幅が少なくなるという問題点があるなどの理由から、内部全反射型再帰反射素子の利用が好ましい。これら内部全反射型再帰反射素子のうちでも、再帰反射効率のよさなどの観点から、キューブコーナー型再帰反射素子の利用が好ましく、比較的容易に、且つ精度の高い再帰反射素子の作成が可能な、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の利用が特に好ましい。
【0014】
図1は、本発明の再帰反射シートの好適な代表的態様である、三角錐キューブコーナー型再帰反射シートを模式的に表す拡大断面図であり、図2は図1に示す三角錐キューブコーナー型再帰反射シートを、矢印(10)の方向から見た時の再帰反射素子集合面の拡大平面図である。
【0015】
図1及び図2において、(2)は三角錐キューブコーナー型再帰反射素子であって、(8)は各再帰反射素子(2)を囲周する溝部であり、(7)は再帰反射素子の頂部である。再帰反射素子(2)は、基準となる平面(9)の上に最密充填状に配置された再帰反射素子層(1)として再帰反射素子集合面を形成し、溝部(8)は原則としてこの基準となる平面(9)上にあり、従ってこの基準となる平面(9)は再帰反射素子集合面の底面を構成する。(3)はこのような再帰反射素子層(1)の表面に当接してこれを支持する柱状坦持体であり、再帰反射素子(2)の頂部を超えて突出してバインダー層(5)と接合し、再帰反射素子集合面とバインダー層(5)との間に空気層(6)を保持する。再帰反射素子層(1)の光入射側には、該再帰反射素子層(1)に隣接して素子背面層(4)が形成されており、この素子背面層(4)の光入射側表面は実質的に平滑である。この再帰反射素子層と素子背面層(4)とは通常一体をなすものである。
【0016】
素子背面層(4)の光入射側表面には、必要に応じて、再帰反射素子層(1)と素子背面層(4)とを、汚染や傷、光や熱による劣化などの物理的または化学的な損傷から防護する目的で光線透過性の材料からなる表面層(11)を設けることができる。また、バインダー層(5)の背面(光入射側と反対の面)には、通常、バインダー層(5)及び再帰反射シート全体の強度の向上と形状保持の目的で、サポート層(12)が設けられ、さらにその背面には、再帰反射シートの使用に際して、金属板、木板、ガラス板、プラスチック板などの対象物に貼着するために、感圧接着剤又は感熱接着剤などの接着剤層(13)が形成されている。接着剤層(13)の外表面には、対象物に貼着するまでの間該接着剤層(13)の表面を保護するためにセパレーター層(14)が貼付されている。
【0017】
また図3は、本発明の再帰反射シートの他の代表的態様である、フルキューブコーナー型再帰反射シートを模式的に表す拡大断面図であり、図4は図3に示すフルキューブコーナー型再帰反射シートを、矢印(20)の方向から見た時の再帰反射素子集合面の拡大平面図である。
【0018】
図3及び図4において、(22)はフルキューブコーナー型再帰反射素子であって、該再帰反射素子(22)は、最密充填状に配置された再帰反射素子層(21)として再帰反射素子集合面を形成する。(25)は基準となる平面であり、この平面から該再帰反射素子(22)のバインダー層(5)側に突出した凸頂部(23)までの高さと、その反対側に陥没した凹頂部(24)までの深さとが実質的に同じ大きさになっている。この基準となる平面(25)は、一つの平面として目視できるものではない仮想面である。凹頂部(24)はまた全て底面(26)上にある。
【0019】
(3)はこのような再帰反射素子層(21)の表面に当接してこれを支持する柱状坦持体であり、再帰反射素子(22)の凸頂部(23)を超えて突出してバインダー層(5)と接合し、再帰反射素子集合面とバインダー層(5)との間に空気層(6)を保持する。この柱状坦持体(3)は、再帰反射素子層(21)の2つのプリズム面の交差により形成され凸頂部(23)と凹頂部(24)とをそれぞれその終端とする稜と、上記の基準となる平面(25)とが交わる位置に、実質的にその中心が来るように形成されている。
【0020】
なお、素子背面層(4)、表面層(11)、サポート層(12)、接着剤層(13)及びセパレーター層(14)については、前記図1の場合と同様である。
【0021】
本発明における再帰反射素子において、前記再帰反射素子層(1)(21)、素子背面層(4)及び表面層(11)の光線透過性は、一般に20%以上、好ましくは50%以上であるのがよい。
【0022】
これら再帰反射素子層(1)(21)及び素子背面層(4)を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光学的透明性、均一性のあるものが好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのオレフィン樹脂、セルロース系樹脂及びウレタン樹脂などを例示できる。これら再帰反射素子層(1)(21)及び素子背面層(4)には、耐候性を向上する目的で紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤などをそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。さらに着色剤として、各種の有機顔料、無機顔料及び染料などを含有させることができる。
【0023】
表面層(11)には再帰反射素子層(1)(21)及び素子背面層(4)に用いたのと同じ樹脂を用いることができ、またこれらの層の場合と同様に、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤などをそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。さらに、各種の有機顔料、無機顔料及び染料などの着色剤を含有させることもできる。
【0024】
バインダー層(5)に用いる樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などがあげられ、接合の方法としては公知の熱融着性樹脂接合法、熱硬化性樹脂接合法、紫外線硬化性樹脂接合法、電子線硬化性樹脂接合法などが適宜採用可能である。
【0025】
本発明に用いるバインダー層(5)は、前記の図1及び図3に示すように、サポート層(12)の全面にわたって塗布することもできるが、再帰反射素子層(1)(21)との接合部分に印刷法などの方法により選択的に設置することも可能である。
【0026】
サポート層(12)を構成する材料の例としては、再帰反射素子層(1)(21)を構成する樹脂や、一般のフィルム成形可能な樹脂、繊維、布、ステンレスやアルミニウムなどの金属箔または板をそれぞれ単独または複合して用いることができる。但し、得られる再帰反射シートを、後記するように、内部照明構造を有する情報伝達装置など光透過性再帰反射シートとして用いる場合には、サポート層も前記した程度の光透過性を保持していることが望ましい。
【0027】
本発明の再帰反射シートには、必要に応じて、印刷層を表面層(11)の上や表面層(11)と素子背面層(4)の間、又は、再帰反射素子層(1)(21)のキューブコーナー型再帰反射素子(2)(22)のプリズム面上に設置することができ、通常グラビア印刷、スクリーン印刷およびインクジェット印刷などの手段により設置可能である。
【0028】
本発明における再帰反射素子の大きさは、基準となる平面からの高さ(h)で表して、50〜400μm、好ましくは60〜200μmの範囲であるのがよい。再帰反射素子の大きさが該下限値以上であれば、回折効果による反射光の発散が過大となって反射性能が低下するなどの不都合が生じにくいので好ましく、該上限値以下であればシートが厚くなり過ぎることがなく、柔軟なシートが得られるので好ましい。
【0029】
なお上記の「基準となる平面」とは、前記のとおり、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子や円錐型再帰反射素子などにあっては、再帰反射素子の底面又は底面上にある少なくとも二辺を含む平面であり、フルキューブコーナー型再帰反射素子にあっては、該再帰反射素子の凸頂部(23)と凹頂部(24)と結ぶ稜線を二等分する点により構成される仮想平面である。
【0030】
本発明の再帰反射シートの特徴は、柱状坦持体(3)によって再帰反射素子層(1)(21)が支持されていることである。柱状坦持体(3)は前記のように、再帰反射素子層(1)(21)の表面に当接し、再帰反射素子(2)(22)の頂部を超えて突出してバインダー層(5)と接合し、再帰反射素子集合面とバインダー層(5)との間に空気層(6)を保持する。
【0031】
柱状坦持体(3)が再帰反射素子層表面に当接するに際して、当接する再帰反射素子の場所については、必ずしも限定されるものではないが、再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分であるのが好ましい。例えば三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、図1及び図2に示すように再帰反射素子の底面三角形の各頂点部分を実質的に中心とする部分が例示でき、また、例えばフルキューブコーナー型再帰反射素子の場合には、図3及び図4に示すように、凸頂部(23)と凹頂部(24)とを結ぶ稜線が前記基準となる平面(25)と交差する点、言い換えれば、再帰反射素子層(21)と該基準となる平面(25)とが交差して形成する三角形の各頂点部分を実質的に中心とする部分である。
【0032】
柱状坦持体(3)は、図1〜図4に示すように、上記の好ましい設定位置の全てに設けることもできるが、所望の割合で設けることもできる。
【0033】
柱状坦持体(3)の形状についても特に限定されるものではないが、製作の容易さなどの理由から略円柱状であるのが好ましい。
【0034】
柱状坦持体(3)の横断面の大きさについても特に限定されないが、例えば、再帰反射素子の開口部の平均面積を100とするとき、柱状坦持体の横断面の平均面積が、0.5〜80の範囲であるのがよく、好ましくは1〜60の範囲であるのがよい。さらに、再帰反射シートの光入射側表面全体に占める柱状坦持体(3)の占める割合についていえば、柱状坦持体(3)の横断面面積の総合計が、光入射側表面の総面積100に対して、0.01〜60の範囲、さらには1〜60の範囲であるのが好ましい。
【0035】
ここで「再帰反射素子の開口部」とは、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、三角錐の底辺に相当する各三角形〔図2において、柱状坦持体(3)の円形断面3つに囲まれた三角形〕を指すものとし、フルキューブコーナー型再帰反射素子の場合には、相隣り合う凸頂部(23)を有する凸状三角錐及び凹頂部(24)を有する凹状三角錐と、基準となる平面(25)との交線に相当する各菱形〔図4において、柱状坦持体(3)の円形断面4つに囲まれた菱形〕を指すものとする。
【0036】
柱状坦持体(3)の高さは、再帰反射素子の頂部の高さ(h)を超え、その1.5倍以下であるのが好ましい。
【0037】
柱状坦持体(3)は、再帰反射素子層(1)(21)と一体に形成されてもよく、バインダー層(5)と一体に形成されてもよく、またサポート層(12)と一体に形成されてもよいが、再帰反射シート製造用金型の作成の容易さ及び精度の高さなどの観点から、再帰反射素子層(1)(21)と一体に形成されるのが好ましい。
【0038】
図5は、本発明の再帰反射シートにおいて好適に採用される代表的な態様である、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の、一組の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子対の拡大平面図であり、図6は、図5におけるA−Aの線に沿って切断した三角錐キューブコーナー型再帰反射素子対の拡大断面図である。
【0039】
図5において、2つの再帰反射素子対は、底面三角形の二つの実質的に相等しい辺以外の辺(正三角形の場合は何れの辺でもよい)を共通の底辺として、互いに向き合っている。これら2つの再帰反射素子の、互いに向き合う側面c1,c2は、実質的に同一形状の直角二等辺三角形であり、該共通の底辺を含み底面に垂直な平面を仮想するとき、これら再帰反射素子は、該垂直な平面に対して略鏡面対称の関係を有する。また再帰反射素子の他の側面(a1,b1),(a2,b2)はいずれも実質的に同一形状の直角三角形であるが、底面三角形が正三角形の場合にはこれらの側面三角形も直角二等辺三角形となる。これらの側面(a1,b1,c1;a2,b2,c2)はそれぞれ互いにほぼ90゜で交差し、それにより形成される3つの稜は一点で交って頂部を形成しており、これら再帰反射素子の再帰反射の特性を決定する光学軸は、該頂部を通り、該3つの側面から等距離にある直線として定義される。
【0040】
なお三角錐キューブコーナー型再帰反射素子における三面の交差角(プリズム面角)は、通常は上記のとおりほぼ90゜であるが、このプリズム面角に90゜から極僅かだけ偏差(以下、面角偏差ということがある)を与えることにより、反射する光の束を僅かな角度だけ発散させることができ、これにより観測角特性を向上させることが可能となる。面角偏差の値としては、例えば±0.001゜〜±0.2゜、好ましくは±0.002゜〜±0.15゜、特に好ましくは±0.003゜〜±0.1゜の範囲が例示できる。
【0041】
図6において、再帰反射素子対は、その底面上の一つの底辺を共有し、それぞれ他の二つの底辺が相等しくなるように配置されており、該再帰反射素子の光学軸と該底面との交点(Q)から該素子対が共有する底辺までの距離をqとし、該再帰反射素子の頂部(H)から底面に下された垂線と該底面との交点(P)から該素子対が共有する底辺までの距離をpとするとき、該再帰反射素子の光学軸が該垂線に対して傾斜していない場合には点Pと点Qは一致し、光学軸が傾斜している場合には、これらの点は相異なる点として存在する。従って光学軸が傾斜していない場合にはこれらの距離の差(q−p)は0となり、光学軸が傾斜している場合には(q−p)の値がプラス又はマイナスとなる。
【0042】
本発明において好適に採用される光学軸が傾斜した再帰反射素子の傾斜角度は、該再帰反射素子の頂部(H)から底面に下された垂線に対して、好ましくは3゜〜12゜、より好ましくは5゜〜10゜の範囲である。傾斜角度が該下限値以上であれば、得られる再帰反射シートの入射角特性が優れているので好ましく、該上限値以下であれば、該再帰反射シートの正面の反射輝度が低くなり過ぎることがないので好ましい。
【0043】
但しこのように、観測角特性や入射角特性の改善のために、再帰反射素子の面角偏差を与えたり、光学軸を傾斜させたりするときには、得られる再帰反射シートの正面輝度が低下しやすいという問題が生がちになる。このような場合本発明においては、前記のように、本発明の特徴である柱状坦持体を、例えば三角錐型反射素子における底面三角形の頂角部分など、再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分に形成することによって、相対的に再帰反射シートの有効再帰反射面を増大させ、再帰反射シートの正面輝度を向上させることができる。
【0044】
本発明の再帰反射シートを作成するために用いられる再帰反射素子集合母型を作成する方法は、公知の各種の方法を用いることができる。
【0045】
例えば、再帰反射素子が三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、平滑な板状の材料の表面を、ダイアモンドカッター等を用いてフライカッテイング法などの加工方法によりV溝を切削加工することにより得られる。
【0046】
底面が正三角形の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、交差角60゜で二方向から対称型のV溝(すなわち、中心線の傾いていないV溝)を、それぞれ等間隔で且つ平行に切削したのち、この交差角の鈍角側を二等分するようにもう一方向の対称型のV溝を等間隔で且つ平行に切削する。この時のV溝の角度は約70.5゜である。このように対称型のV溝により作成された三角錐キューブコーナー型再帰反射素子は全て同一の形状であり、V溝の交差角が60゜の場合には光学軸は傾斜していない。
【0047】
光学軸が傾斜した三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、上記のV溝切削において、最初の方向のV溝の交差角を60゜より大きくし、又は小さくし、以下同様に、これらの交差角の鈍角側を二等分するようにもう一方向のV溝を切削すればよい。V溝の交差角を60゜より大きくすれば、マイナス傾斜の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子を形成することができ、小さくすればプラス傾斜の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子を形成することができる。V溝の交差角の値及び、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の各プリズム面相互の交差角を90゜にするためのV溝の角度は、光学軸の傾斜方向及び傾斜角度の値から、予め計算により求めることができる。
【0048】
これらの三角錐キューブコーナー型再帰反射素子においては、通常三方向のV溝の谷底は同一平面上にあるが、必要に応じて、例えば、プラス傾斜の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、三番目のV溝の深さを他の二方向のV溝の深さよりも深くし(特許国際公開WO98/03743号参照)、マイナス傾斜の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合には、三番目のV溝の深さを他の二方向のV溝の深さよりも浅くする(特願平9-330836)ことによって、さらに優れた入射角特性を付与することができる。
【0049】
また三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の頂部の交差角に90゜から僅かな偏差を与える方法としては、前記のV溝切削において、前記特開昭63-143502号公報(米国特許第4,775,219号明細書)に記載されているように、V溝の中心線を少し傾斜させ(すなわち、非対称型のV溝を形成し)、及び/又は切削角を90゜から僅かに変異させてV溝を切削する方法を挙げることができる。非対称型のV溝により切削すれば、複数種の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子が形成される。特開昭63-143502号公報記載の方法によれば、同一方向を複数種のV溝でそれぞれ切削することにより、多数種の三角錐キューブコーナー型再帰反射素子を形成することも可能である。
【0050】
フルキューブコーナー型再帰反射素子の場合には、例えば、米国特許第1,591,572号明細書、米国特許第3,922,065号明細書及び米国特許第2,029,375号明細書に記載されているように、金属のピンの先端にプリズムを形成し、それらを何本も束ねてプリズム集合面を形成する方法を挙げることができる(ピン結束法)。
【0051】
また、米国特許第1,591,572号明細書、米国特許第3,069,721号明細書、米国特許第4,073,568号明細書、特許国際公開WO97/04940号及び特許国際公開WO97/04939号に記載されているように、互いに平行な二平面を持つ薄い板状材料を重ね、該板状材料に対して直角な方向に等しいピッチでV溝を切削して、頂角が約90゜の連続する屋根型の突起群を形成し、次いで各々の板状材料の上に形成された屋根型突起群の屋根の頂部を、隣接する板状材料の上に形成されたV溝の底部に一致させるように移動させることにより得られる。V溝切削に際して非対称なV溝を切削し、また板状材料の厚さを変えることにより、光学軸を傾斜させることができる。また前記三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の場合と同様に、切削角を90゜から僅かに変異させてV溝を切削することにより、プリズム面角を90゜から僅かに偏異させることもできる(プレート法)。
【0052】
これらの再帰反射素子集合母型の作成用いられる平滑な板状材料としては、例えばビッカース硬さ(JIS Z 2244)が350以上、特に380以上の金属材料の使用が好ましく、具体的には、例えば、アモルファス銅、電析ニッケル等を挙げることができ、合金系材料としては、例えば、銅−亜鉛合金、銅−錫−亜鉛合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−亜鉛合金等を挙げることができる。
【0053】
また、これらの板状材料としては、そのガラス転移点が150℃以上、特に200℃以上で且つロックウェル硬さ(JIS Z-2245)が70以上、特に75以上の合成樹脂材料も好適に使用することができ、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂及びセルローストリアセテート系樹脂等を挙げることができる。
【0054】
上記の如き合成樹脂からの板状材料の作成は、通常の樹脂成形法、例えば、押出成形法、カレンダー成形法、溶液キャスト法等により行うことができ、必要に応じてさらに加熱処理、延伸処理等の処理を行うことができる。
【0055】
得られた板状材料の平面には、本発明の方法によって製造される再帰反射素子集合母型から電鋳金型を作成する際の導電処理及び/又は電鋳加工を容易にするため、予備導電処理を施すことができる。
【0056】
予備導電処理としては、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、クロム、ニッケル、セレン等の金属を蒸着する真空蒸着法、これらの金属を用いる陰極スパッタリング法、銅やニッケルを用いる無電解メッキ法等が挙げられる。また、合成樹脂にカーボンブラック等の導電性微粉末や有機金属塩等を配合し、平板それ自体に導電性をもたせるようにしてもよい。
【0057】
本発明に用いられる再帰反射シート作成用金型は、このようにして作成された再帰反射素子集合母型より、従来から公知の電鋳加工法を用いて多数の複製を作成し、これを多数組み合わせて、例えばエンドレスベルト状などの金型とすることができる。
【0058】
なお、電鋳加工に関しては、国際特許公開番号第97/15435号に詳細に記載されており、ここではその記載をもって本発明における電鋳加工に関する説明に代える。
【0059】
また本発明における特徴点である柱状坦持体は、再帰反射素子集合母型を形成するときに同時に刻設することも可能であるが、刻設された凸形状の再帰反射素子集合母型に電鋳加工を施して得られた凹形状の電鋳体の所望の位置に、例えばマイクロドリル、レーザーなどによる切削加工や放電加工などの手段により、凹形状の(すなわち反転状態の)柱状坦持体を刻設することもできる。
【0060】
得られる再帰反射シート作成用金型は、合成樹脂成形用金型として合成樹脂の成形に用いられる。この合成樹脂成形の方法としては圧縮成形や射出成形を採用することができる。
【0061】
圧縮成形は、例えば、形成した薄肉状のニッケル電鋳金型、所定の厚さの合成樹脂シート及びクッション材として厚さ5mm程度のシリコーンゴム製シートを、所定の温度に加熱された圧縮成形プレスに挿入した後、成形圧の10〜20%の圧力下で30秒予熱を行った後、180〜250℃、10〜30kg/cm2程度の条件下で約2分間加熱加圧することにより行うことができる。しかるのち、加圧状態のままで室温まで冷却して圧力を開放することにより、再帰反射シート成形品を得ることが可能である。
【0062】
さらに、例えば、上記方法で形成した厚さ約0.5mmの薄肉電鋳金型を、前記溶接法により接合してエンドレスベルト金型を作成し、このベルト金型を加熱ロールと冷却ロールとからなる1対のロール上に設置して回転させ、加熱ロール上にあるベルト金型に、溶融した合成樹脂をシート状の形状で供給し、1個以上のシリコーン製ロールで加圧成形を行った後、冷却ロール上でガラス転移点温度以下に冷却して、ベルト金型から引き剥がすことにより連続したシート状の製品を得ることが可能である。
【0063】
かくして得られた本発明の再帰反射シートは、カプセル壁がシートの表面からかなりはっきり見えてしまうというカプセル型再帰反射シートの外観上の問題点を解消する、意匠性に優れた再帰反射シートである。また、観測角特性や入射角特性などの広角性改善を目的して、再帰反射素子のプリズム面角を90゜から極僅かに変異さたり、光学軸を該反射素子の底面に対する垂線に対して少し傾斜させたりする場合、必然的に該再帰反射シートの正面輝度が低下するという問題が生じがちであるが、柱状坦持体を、例えば三角錐型反射素子における底面三角形の頂角部分など、再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分に形成することによって、相対的に再帰反射シートの有効再帰反射面を増大させて再帰反射シートの正面輝度をも向上させることができる。
【0064】
但し、本発明の再帰反射シートはカプセル構造を有していないため、これを屋外の用途に使用するときには、所望の形状に再帰反射シートを切断後、接着剤等により又は熱融着により、その形状の外周に沿ってシールを施すのが好ましい。
【0065】
また、本発明の再帰反射シートにおける柱状坦持体の部分は、一般に光透過性に優れており、特に再帰反射シートの背後からの光には、再帰反射素子集合面が一般に散乱を起こしやすいのに対して、柱状坦持体の部分は光の通路として作用することが解った。
【0066】
従って、本発明の再帰反射シートは、例えば、内部照明構造を有する情報伝達装置などに光透過性再帰反射シートとして特に好適に用いることができる。
【0067】
図7は、このような本発明の再帰反射シートの一つの使用形態である、内部照明構造を有する情報伝達装置の拡大断面模式図である。再帰反射シートとしては、本発明の代表的な態様である、三角錐型キューブコーナー型再帰反射シートを用いているが、これに限定されるものではない。
【0068】
図7において、情報伝達装置は、例えば、適宜な透明板(32)の箱に、前記図1の再帰反射シートからセパレーター層(14)を剥離除去した後にこれを貼着した形状となっており、透明板(32)の箱の中には照明用の光源(33)が配置されている。道路標識や行先表示などの情報のための印刷層(31)は、ここでは再帰反射シートの表面層(11)の外側に設けられているが、必ずしもこの位置に限定されるものではなく、車のヘッドライトなど該情報伝達装置の外側からの光の反射と、内部光源(33)とによって同一の内容を伝達するためには、このほか表面層(11)と素子背面層(4)の間又は再帰反射素子層(1)の表面に印刷層(31)を設けることができる。また透明板(32)の内部表面又は外部表面など再帰反射素子層よりも背後の位置の何れかの位置に印刷層(31)を設けることによって、外側からの光の反射では見えないが、内部照明のみによって伝達することのできる別の情報内容を付与することも可能である。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により本発明を一層詳細に説明する。
【0070】
実施例1
【0071】
<ステップ1;切削加工>
表面を平坦に研削した100mm×100mmの真鍮板の上に、先端角度が、第1方向と第2方向が84.53゜で第3方向が63.11゜のダイアモンドバイトを用いて、第1方向と第2方向との繰り返しピッチが500.0μmで第3方向の繰り返しピッチが558.1μm、また第1方向と第2方向との交差角度が67.85゜となるように、断面形状がV字の溝を繰り返しのパタ−ンでフライカッティング法によって切削し、真鍮板上に反射素子の高さが250μmの三角錐キューブコーナー型再帰反射素子群を形成した。この三角錐型反射素子の光学軸傾斜角は-7゜であった。
【0072】
<ステップ2;電鋳反転>
この真鍮製母型を用いて、電鋳法により、材質がニッケルの反転された凹形状で厚さが2mmの三角錐型反射素子金型を作成した。このときの電鋳条件は、電鋳温度が55℃、電流密度が2.0A/dm2であった。
【0073】
<ステップ3;穴あけ加工>
このようにして作成された凹形状反射素子金型上の全ての3本のV溝の交差点に、テーパー角度が1/100であって先端の直径が100μmのマイクロドリルを用いて深さが400μmの微細な穴をあけた。
【0074】
<ステップ4;電鋳反転>
さらに、穴あけ加工をした金型を電鋳法により、材質がニッケルの、反転された凸形状で厚さが2mmの三角錐キューブコーナー型反射素子金型を作成した。このときの電鋳条件は、電鋳温度が55℃、電流密度が2.0A/dm2であった。このようにして作成された凸形状の金型上の三方向のV字の溝の交点には、直径が100μm、高さが400μmの円柱状担持体構造の突起が形成された。
【0075】
<ステップ5;頭切り>
この円柱状担持体構造が形成された金型を、フライカッティング法により、円柱状構造の先端を、高さが300μmで、先端形状が平坦な形になるように切削加工を行った。このときの三角錐頂点から円柱状担持体構造までの高さは約50μmであった。
【0076】
<ステップ6;電鋳反転>
この円柱状担持体構造が形成された金型を、電鋳法により、材質がニッケルの反転された凹形状で厚さが2mmの三角錐型反射素子金型を作成した。このときの電鋳条件は、電鋳温度が55℃、電流密度が2.0A/dm2であった。
【0077】
<ステップ7;圧縮成形>
この成形用金型を用いて、厚さ500μmのポリカーボネート系樹脂シート〔商品名「ユーロピンE3000」;三菱エンジニアリングプラスティックス(株)製〕を成形温度200℃、成形圧力50kg/cm2の条件で圧縮成形し、次いで加圧下で30℃まで冷却した後に樹脂シ−トを取り出して、表面にキューブコーナー再帰反射素子層の厚さが250μmの三角錐キューブコーナー型再帰反射素子を最密状に配置したポリカーボネート樹脂製の再帰反射シートを作成した。
【0078】
<ステップ8;裏面板接合>
この再帰反射シートの再帰反射素子集合面に突き出た円柱状担持体構造に、厚さが300μmのアクリルシートをサポート層として用いて、アクリルシロップを用いて接着した。
【0079】
<ステップ9;端部シール>
次いで,シートの四辺を温度条件230℃、加圧力300kg/cm2の条件で幅2mmのシール加工を施して、直径100μmの円柱状担持構造が全てのV溝交差点に設置されたキューブコーナー再帰反射素子層の厚さが250μmの三角錐型反射素子を最密状に配置したポリカーボネート樹脂製の再帰反射シートを作成した。
【0080】
得られた再帰反射シートにおける円柱状坦持体の平均横断面積は、再帰反射素子の開口部の面積100に対して約3.7であり、また再帰反射シートの光入射側表面の総面積100に対して、円柱状坦持体の横断面面積の総合計もまた約3.7であった。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、多数の再帰反射素子が配置された再帰反射素子集合面からなる再帰反射素子層と、その光入射側に隣接してその光入射側表面が実質的に平滑である光線透過性の素子背面層と、該再帰反射素子層と直接接触する空気層とから主として構成され、該再帰反射素子層が空気層の光入射側に位置するように配置された再帰反射シートであって、該空気層が再帰反射素子層の表面に当接する柱状坦持体によって保持されていることを特徴とする再帰反射シートに関するものである。
【0082】
これによって本発明の再帰反射シートは、カプセル壁がシートの表面からかなりはっきり見えてしまうというカプセル型再帰反射シートの外観上の問題点を解消する、意匠性に優れた再帰反射シートとなる。
【0083】
また、観測角特性や入射角特性などの広角性改善を目的して、再帰反射素子のプリズム面角を90゜から極僅かに変異さたり、光学軸を該反射素子の底面に対する垂線に対して少し傾斜させたりする場合、必然的に該再帰反射シートの正面輝度が低下するという問題が生じがちであるが、柱状坦持体を、例えば三角錐型反射素子における底面三角形の頂角部分など、再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分に形成することによって、相対的に再帰反射シートの有効再帰反射面を増大させて再帰反射シートの正面輝度をも向上させることができる。
【0084】
さらに、本発明の再帰反射シートにおける柱状坦持体の部分は、一般に光透過性に優れており、特に再帰反射シートの背後からの光には、再帰反射素子集合面が一般に散乱を起こしやすいのに対して、柱状坦持体の部分は光の通路として作用する。従って、本発明の再帰反射シートは、例えば、内部照明構造を有する情報伝達装置などに光透過性再帰反射シートとして特に好適に用いることができる。
【0085】
以下に、本発明の要旨及びその実施態様をまとめて列記する。
【0086】
1. 多数の再帰反射素子が配置された再帰反射素子集合面からなる再帰反射素子層、該再帰反射素子層の光入射側に隣接して再帰反射素子層をその背面から支持し、その光入射側表面が実質的に平滑である光線透過性の素子背面層、及び、該再帰反射素子層と直接接触する空気層を含んでなり、該再帰反射素子層が該空気層の光入射側に位置するように配置された再帰反射シートにおいて、該空気層が再帰反射素子層の表面に当接する柱状坦持体によって保持されていることを特徴とする再帰反射シート。
【0087】
2. 柱状坦持体が再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分に形成されている上記第1項に記載の再帰反射シート。
【0088】
3. 再帰反射素子が内部全反射型再帰反射素子である前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0089】
4. 内部全反射プリズム型再帰反射素子がキューブコーナー型再帰反射素子である上記第3項に記載の再帰反射シート。
【0090】
5. キューブコーナー型再帰反射素子の光学軸が該再帰反射素子の底面への垂線に対して傾斜している上記第4項に記載の再帰反射シート。
【0091】
6. キューブコーナー型再帰反射素子を形成する三面の交差角(プリズム面角)の少なくとも1つが90゜から僅かな偏差を有している前記第4項に記載の再帰反射シート。
【0092】
7. キューブコーナー型再帰反射素子の大きさが基準となる平面からの高さ(h)で表して、50〜400μmの範囲である前記第4項に記載のキューブコーナー型再帰反射シート。
【0093】
8. キューブコーナー型再帰反射素子が三角錐キューブコーナー型再帰反射素子である前記第4項に記載の再帰反射シート。
【0094】
9. 三角錐キューブコーナー型再帰反射素子のプリズム面角の偏差が、±0.001゜〜±0.2゜の範囲である上記第8項に記載の再帰反射シート。
【0095】
10. 隣接する2つの三角錐キューブコーナー型再帰反射素子が、その底面上の一つの底辺を共有し、それぞれ他の二つの底辺が相等しくなるように配置されている再帰反射素子対において、該再帰反射素子の光学軸と該底面との交点(Q)から該素子対が共有する底辺までの距離をqとし、該再帰反射素子の頂部(H)から底面に下された垂線と該底面との交点(P)から該素子対が共有する底辺までの距離をpとするとき、該再帰反射素子の光学軸が、これらの距離の差(q−p)がプラス又はマイナスとなるような方向に該垂線に対して3゜〜12゜の範囲で傾斜している前記第8項に記載のキューブコーナー型再帰反射シート。
【0096】
11. キューブコーナー型再帰反射素子がフルキューブコーナー型再帰反射素子である前記第4項に記載の再帰反射シート。
【0097】
12. 再帰反射素子集合面において隣り合う再帰反射素子が互いに相接している前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0098】
13. 再帰反射素子集合面における再帰反射素子が最密充填状に配置されている前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0099】
14. 柱状坦持体が略円柱状である前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0100】
15. 柱状坦持体が再帰反射素子層と一体に形成されている前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0101】
16. 柱状坦持体の横断面の平均面積が、再帰反射素子の開口部の平均面積100に対して、1〜60の範囲である前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0102】
17. 柱状坦持体の横断面面積の総合計が、光入射側表面の総面積100に対して、0.01〜60の範囲である前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0103】
18. 再帰反射シートが光透過性再帰反射シートである前記第1項に記載の再帰反射シート。
【0104】
19. 再帰反射シートが内部照明構造を有する情報伝達装置に用いられる前記第1項又は上記第18項に記載の再帰反射シート。
【0105】
20. 上記第1〜18項の何れか1項に記載の再帰反射シートを含む多層を含んでなり、これら多層の適宜の位置に印刷層を有し、且つこれら多層の背後に少なくとも一種の光源が配置されてなることを特徴とする内部照明構造を有する情報伝達装置。
【0106】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の再帰反射シートの好適な代表的態様である、三角錐型キューブコーナー型再帰反射シートの断面を模式的に表す拡大断面図である。
【図2】図1に示す三角錐型キューブコーナー型再帰反射シートを矢印10の方向から見た時の再帰反射素子集合面の拡大平面図である。
【図3】本発明の再帰反射シートの他の代表的な態様である、フルキューブコーナー型再帰反射シートの断面を模式的に表す拡大断面図である。
【図4】図3に示すフルキューブコーナー型再帰反射シートを矢印20の方向から見た時の再帰反射素子集合面の拡大平面図である。
【図5】図2における一組の三角錐型キューブコーナー型再帰反射素子対のさらなる拡大平面図である。
【図6】図5におけるA−Aの線に沿って切断した三角錐型キューブコーナー型再帰反射素子対の拡大断面図である。
【図7】本発明の再帰反射シートの代表的な態様である、三角錐型キューブコーナー型再帰反射シートを用いた内部照明構造を有する情報伝達装置の拡大断面模式図である。
【0107】
【符号の説明】
1・・・・・・再帰反射素子層(三角錐キューブコーナー型再帰反射素子)
2・・・・・・再帰反射素子(三角錐キューブコーナー型再帰反射素子)
3・・・・・・柱状坦持体
4・・・・・・素子背面層
5・・・・・・バインダー層
6・・・・・・空気層
7・・・・・・頂部
8・・・・・・溝部
9・・・・・・基準となる平面(底面)
10・・・・・・再帰反射素子集合面(三角錐キューブコーナー型再帰反射素子)
11・・・・・・表面層
12・・・・・・サポート層
13・・・・・・接着剤層
14・・・・・・セパレーター層
20・・・・・・再帰反射素子集合面(フルキューブコーナー型再帰反射素子)
21・・・・・・再帰反射素子層(フルキューブコーナー型再帰反射素子)
22・・・・・・再帰反射素子(フルキューブコーナー型再帰反射素子)
23・・・・・・凸頂部
24・・・・・・凹頂部
25・・・・・・基準となる平面(仮想面)
26・・・・・・底面(仮想面)
31・・・・・・印刷層
32・・・・・・透明板
33・・・・・・光源
1,c2・・・共通の底辺を境にして互いに向き合う2つの再帰反射素子の、互いに向き合う側面
1,a2,b1,b2・・・再帰反射素子の(c1,c2)以外の側面
H・・・・・・再帰反射素子の頂部
P・・・・・・再帰反射素子の頂部から底面に下された垂線と該底面との交点
Q・・・・・・再帰反射素子の光学軸と該底面との交点
p・・・・・・交点(P)から再帰反射素子対が共有する底辺までの距離
q・・・・・・交点(Q)から再帰反射素子対が共有する底辺までの距離

Claims (20)

  1. 多数の再帰反射素子が配置された再帰反射素子集合面からなる再帰反射素子層、該再帰反射素子層の光入射側に隣接して再帰反射素子層をその背面から支持し、その光入射側表面が実質的に平滑である光線透過性の素子背面層、及び、該再帰反射素子層と直接接触する空気層を含んでなり、該再帰反射素子層が該空気層の光入射側に位置するように配置された再帰反射シートにおいて、該空気層が再帰反射素子層の表面に当接する柱状坦持体によって保持されていることを特徴とする再帰反射シート。
  2. 柱状坦持体が、三角錐キューブコーナー型再帰反射素子の底面三角形の各頂点部分を実質的に中心とする部分やフルキューブコーナー型再帰反射素子の再帰反射素子層と基準となる平面が交差して形成する三角形の各頂点部分を実質的に中心とする部分のような再帰反射素子における再帰反射効率の不十分な部分に形成されている請求項1に記載の再帰反射シート。
  3. 再帰反射素子が内部全反射型再帰反射素子である請求項1に記載の再帰反射シート。
  4. 内部全反射プリズム型再帰反射素子がキューブコーナー型再帰反射素子である請求項3に記載の再帰反射シート。
  5. キューブコーナー型再帰反射素子の光学軸が該再帰反射素子の底面への垂線に対して傾斜している請求項4に記載の再帰反射シート。
  6. キューブコーナー型再帰反射素子を形成する三面の交差角(プリズム面角)の少なくとも1つが90゜から僅かな偏差を有している請求項4に記載の再帰反射シート。
  7. キューブコーナー型再帰反射素子の大きさが基準となる平面からの高さ(h)で表して、50〜400μmの範囲である請求項4に記載のキューブコーナー型再帰反射シート。
  8. キューブコーナー型再帰反射素子が三角錐キューブコーナー型再帰反射素子である請求項4に記載の再帰反射シート。
  9. 三角錐キューブコーナー型再帰反射素子のプリズム面角の偏差が、±0.001゜〜±0.2゜の範囲である請求項8に記載の再帰反射シート。
  10. 隣接する2つの三角錐キューブコーナー型再帰反射素子が、その底面上の一つの底辺を共有し、それぞれ他の二つの底辺が相等しくなるように配置されている再帰反射素子対において、該再帰反射素子の光学軸と該底面との交点(Q)から該素子対が共有する底辺までの距離をqとし、該再帰反射素子の頂部(H)から底面に下された垂線と該底面との交点(P)から該素子対が共有する底辺までの距離をpとするとき、該再帰反射素子の光学軸が、これらの距離の差(q−p)がプラス又はマイナスとなるような方向に該垂線に対して3゜〜12゜の範囲で傾斜している請求項8に記載のキューブコーナー型再帰反射シート。
  11. キューブコーナー型再帰反射素子がフルキューブコーナー型再帰反射素子である請求項4に記載の再帰反射シート。
  12. 再帰反射素子集合面において隣り合う再帰反射素子が互いに相接している請求項1に記載の再帰反射シート。
  13. 再帰反射素子集合面における再帰反射素子が最密充填状に配置されている請求項1に記載の再帰反射シート。
  14. 柱状坦持体が略円柱状である請求項1に記載の再帰反射シート。
  15. 柱状坦持体が再帰反射素子層と一体に形成されている請求項1に記載の再帰反射シート。
  16. 柱状坦持体の横断面の平均面積が、再帰反射素子の開口部の平均面積100に対して、1〜60の範囲である請求項1に記載の再帰反射シート。
  17. 柱状坦持体の横断面面積の総合計が、光入射側表面の総面積100に対して、0.01〜60の範囲である請求項1に記載の再帰反射シート。
  18. 再帰反射シートが光透過性再帰反射シートである請求項1に記載の再帰反射シート。
  19. 再帰反射シートが内部照明構造を有する情報伝達装置に用いられる請求項1又は18に記載の再帰反射シート。
  20. 請求項1〜18の何れか1項に記載の再帰反射シートを含む多層を含んでなり、これら多層の適宜の位置に印刷層を有し、且つこれら多層の背後に少なくとも一種の光源が配置されてなることを特徴とする内部照明構造を有する情報伝達装置。
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