JP3782752B2 - スプリッタランナを備えるポンプ水車 - Google Patents

スプリッタランナを備えるポンプ水車 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長翼と短翼を周方向に沿って交互に配置するスプリッタランナを備えるポンプ水車に係り、特に短翼のポンプ運転時における入口側の縁部の形状に改良を加えるスプリッタランナを備えるポンプ水車に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にポンプ水車は、ランナの回転方向を変えることにより、発電運転およびポンプ運転のいずれにも自由に切り替えることができるようになっている。
【0003】
ポンプ水車は、発電運転中、渦巻状のケーシングに流入する流水をガイドベーンを介してランナに案内し、ここでランナを回転駆動させ、その際に発生する回転トルクを主軸を介して発電機に与えるようになっている。
【0004】
また、ポンプ運転中、ポンプ水車は、ランナを発電電動機の駆動力により、発電運転とは逆方向に回転駆動させ、吸出管の流水をランナ室に案内させ、ここでランナから流水にエネルギが与えられ、ガイドベーンおよび渦巻状のケーシングを介して上池(図示せず)に揚水させるようになっている。
【0005】
このように、発電運転およびポンプ運転の両運転を自由に切り替えることのできるポンプ水車のランナは、周方向に沿って等ピッチで配置されるランナベーンを複数枚備えており、これらのランナベーンがそれぞれの上下を、主軸(回転軸)側に設けるクラウンと吸出管側に設けるバンドとの間に支持された構成となっている。
【0006】
このような構成のランナを備えるポンプ水車は、図6に示すようにクラウン8に固設する同一長さのランナベーン7をランナ3の周方向に沿って6枚〜7枚設置するのが一般的であり(特開2000−136766公報)、その使用実績も数多くなっている。
【0007】
しかし、最近のポンプ水車では、水車運転時に落差や流量が変化した場合にも高効率な運転を可能とするためや、水車運転時、またはポンプ運転時にランナベーン7の入口側で発生するキャビテーションを抑制する等の目的で、例えば図7および図8に示すように、クラウン8に固設する長翼10のランナベーン7と隣の長翼10のランナベーン7との間に短翼11のランナベーン7を配置する、いわゆるスプリッタランナが提案されている(特開2001−90650公報)。
【0008】
なお、図8は、このようなスプリッタランナを回転軸に垂直な平面に投影し、吸出管側から見たランナの投影線図で、実線が長翼10のランナベーン7であり、破線が短翼11のランナベーン7である。
【0009】
図8に示したように、こういったスプリッタランナにおいては、回転軸に垂直な平面への投影図上で、回転軸である主軸の中心点Oから、長翼10とクラウン8端部の接続点Pを通る半径方向放射線RLと、ポンプ運転時の長翼10の前縁(長翼ポンプ入口端縁曲線)12とが一致していることが多く、主軸の中心点O、長翼10とクラウン8端部との接続点P、および長翼10とバンド9端部との接続点Qが半径方向放射線RL上に配置されるように構成されている。そして、短翼11についてもこの点は同様であり、回転軸に垂直な平面への投影図上で、回転軸である主軸の中心点Oから、短翼11とクラウン8端部の接続点Pを通る半径方向放射線RLと、ポンプ運転時の短翼11の前縁(短翼ポンプ入口端縁曲線)13とが一致していることが多く、主軸の中心点O、短翼11とクラウン8端部との接続点P、および短翼11とバンド9端部との接続点Qが半径方向放射線RL上に配置されるように構成されている。
【0010】
スプリッタランナにおいては、長翼10、短翼11をそれぞれ4〜6枚ずつ交互に設けることで通常のポンプ水車よりもランナベーン7の枚数を多くしてランナベーン7一枚当りの翼負荷を低減させ、かつ、特にポンプ運転時の入口側においてランナベーン7の間の流路が極端に狭くならないようにできる。しかしながら短翼11の長さが短すぎる場合には、水車運転時に短翼の翼負荷が減少してランナベーン7として有効に作用しなかったり、また、短翼の入口側におけるキャビテーション特性が悪化したりする恐れがあるため、短翼11の長さは、ポンプ運転時の入口側(すなわち、水車運転時の出口側)において隣り合う長翼10間で構成される入口ポートに干渉しない範囲で長くすることが望ましく、長翼11の70%〜80%としていることが多い。図9は従来のスプリッタランナのバンド側におけるランナベーン7の配置を外側から見た展開模式図であるが、この図に示すように、短翼11のポンプ運転時における前縁13の位置が、長翼10の前縁12と隣の長翼10の前縁12とを結ぶ仮想前縁線ILEよりポンプ運転時において下流側に位置している。
【0011】
このように、長翼10と短翼11とをランナ3の周方向に沿って交互に配置するスプリッタタイプのランナ3を備えるポンプ水車は、ランナベーン1枚当りの翼負荷を少なくさせるとともに、流水の整流効果を向上させて翼負圧面の圧力低下を抑制し、流水の持つエネルギの動力(回転トルク)への変換効率およびキャビテーション抑制を高めることのできる利点を持っているので、最近、にわかに注目され、研究開発が進められている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
スプリッタタイプのランナ3を備えるポンプ水車は、図9に示すように、ポンプ運転時、流水が長翼10に対し、設計時の相対速度Wのベクトル(破線)で流入するとき、長翼10の入口取付角度と流水の流入角との食違いが少ないので、キャビテーションを発生させていない。
【0013】
しかし、運転状態が変り、ポンプ水車が低揚程運転となると、揚水量は増加するため、ポンプ水車には、流水が長翼10に対し相対速度Wのベクトル(実線)で流入するようになる。このために長翼10の圧力面14のうち前縁12周辺にキャビテーションCAVが発生し易くなるが、この傾向は特にバンド9側で顕著である。
【0014】
このような、低揚程でのポンプ運転時にランナベーン7入口のバンド9側圧力面に生じるキャビテーションCAVは、長翼10のみを備えるポンプ水車、スプリッタランナを備えるポンプ水車に関係なく発生するが、スプリッタランナを備えるポンプ水車では、図9に示したように、長翼10のランナベーン7と隣の短翼11のランナベーンとの流路幅FWが狭いために、キャビテーションCAVが発生することによってこの部位における流路が閉塞され易くなる。このため、従来のスプリッタランナを備えるポンプ水車においては、このような低揚程運転時にはポンプ効率が著しく低下することとなり、結果として低揚程側でのポンプ運転の運転範囲が狭くなるという問題があった。
【0015】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、低揚程運転時、ランナベーンに発生するキャビテーションをより一層効果的に抑制し、結果としてより一層の低揚程運転幅を拡げ、ポンプ効率の向上を図ったスプリッタタイプのランナを備えるポンプ水車を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスプリッタタイプのランナを備えるポンプ水車は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、両端をクラウンとバンドで支持され、ランナの周方向に沿って長翼と短翼とを交互に配置するスプリッタランナを備えるポンプ水車において、
前記短翼のポンプ運転時の前縁における縁線は、前記縁線と前記バンドとの接続点側が、前記スプリッタランナの回転中心から前記縁線と前記クラウンとの接続点とを通る直線を基準に、ポンプ運転時の前記スプリッタランナの回転方向と逆方向に位置するように形成されるとともに、
前記スプリッタランナの回転中心から前記縁線と前記クラウンとの接続点とを通る直線と、前記スプリッタランナの回転中心から前記縁線と前記バンドとの接続点とを結ぶ直線とが前記回転中心に垂直な平面への投影線図上でなす角θk1が、
5°≦θk1≦10°
であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の実施形態を図面および図面に付した符号を引用して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第1実施形態を示す図である。なお、図1は、主軸(回転軸)の中心線に垂直な平面に、吸出管側から見て投影するランナ投影線図である。
【0019】
本実施形態に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車は、クラウン20およびバンド21と、これらの間にその上下を支持され、周方向に沿って配列された複数のランナベーン16からなるランナ15によって構成されている。これらのランナベーン16は、実線で示す長翼17と、破線で示す短翼18とからなり、これらの長翼17と短翼18はランナ15の周方向に沿って交互に配置されている。そして、このように交互に配置された長翼17と短翼18のうち短翼18は、ポンプ運転時の水流の入口側となる前縁(短翼ポンプ入口端縁)19の縁線LEを、クラウン20からバンド21にかけて、主軸(回転軸)の中心点Oからの放射方向に対してポンプ運転時のランナ15の回転方向RVと逆方向(反時計方向)に向うように形成している。
【0020】
すなわち、本実施形態は、短翼18のポンプ運転時における前縁(短翼ポンプ入口端縁)19の縁線LEを、縁線LEとバンド21との接続点Kが、主軸(回転軸)の中心点Oから短翼18とクラウン20との接続点Jを通り、半径方向に延びる半径方向放射線RLに対してポンプ運転時のランナ回転方向RVと逆方向に位置するように形成している。
【0021】
このような構成とすることで、本実施形態のスプリッタランナを備えるポンプ水車においては、短翼18のバンド21側における翼長が従来よりも短くなっている。図2は、本実施形態に係るランナ15のバンド21側におけるランナベーン16の配置を外側から見た展開模式図であるが、この図に示すように、本実施形態によればバンド21側において短翼18のポンプ運転時の入口側で、短翼18の位置を破線で示した従来の短翼18aよりもランナ15の回転方向と逆方向に移動させていることがわかる。そして、これによって長翼17の前縁22付近においては短翼18が存在しないため、流路幅を十分に取ることができる。
【0022】
したがって、本実施形態では、運転状態の変化によってポンプ水車が低揚程運転となった場合に、流水が設計時の相対速度Wから相対速度Wで流入するように変化し、長翼17のバンド21側における圧力面23のうち前縁22周辺にキャビテーションCAVが発生し発達成長しても、この部位における流路幅が十分に確保されているため流路の閉塞が起こりにくい。すなわち、本実施形態によれば、低揚程運転時においても効率の低下が起こりにくく、結果として低揚程側のポンプ運転の運転範囲を広く取り、ポンプ効率を向上させることができる。
【0023】
また、本実施形態では、短翼18のポンプ運転時の前縁19を、バンド21との接続点を移動させて形成したので、クラウン20側における翼長は従来の短翼18aと大きく変らない。したがって単純に短翼18の翼長を短くしたものとは異なりクラウン20側においては比較的翼長を長く取ることができるので、水車運転時の短翼18の翼負荷やキャビテーション特性に与える影響をできる限り少なくし、ポンプ運転時の効率を向上させている。
【0024】
ここで、短翼18における前縁19の縁線LEとバンド21との接続点Kは、主軸(回転軸)の中心点Oを原点とし、これと縁線LEとバンド21との接続点Kを結ぶ仮想直線が、半径方向放射線RLに対して、主軸(回転軸)に垂直な平面への投影線図上でなす角θk1が、
【数1】
Figure 0003782752
となるように決定することが望ましい。
【0025】
この回転角θk1の決定にあたっては、低揚程でのポンプ運転時におけるキャビテーション特性改善の効果と、水車運転時の短翼18の翼負荷分布や水車運転時の入口側に発生するキャビテーション特性に与える影響とを勘案して最適値となるようにするが、経験的には、縁線LEを主軸(回転軸)に垂直な平面への投影線図上で直線状に形成する場合、5°≦θk1≦10°とするときに最もよいバランスとなる。
【0026】
図3は、本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第2実施形態を示しており、図1と同様に主軸(回転軸)の中心線に垂直な平面に投影して吸出管側から見たランナ投影線図である。なお、第1実施形態の構成部分と同一部分には同一符号を付す。
【0027】
本実施形態に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車についても、ランナ15における短翼18のポンプ運転時における前縁(短翼ポンプ入口端縁)19の縁線LEを、縁線LEとバンド21との接続点Kが、主軸(回転軸)の中心点Oから短翼18の縁線LEとクラウン20との接続点Jを通り、半径方向に延びる半径方向放射線RLに対してポンプ運転時のランナ回転方向RVと逆方向に位置するように形成している点は第1実施形態と同様であるが、本実施形態においては、縁線LEの形状をランナ15の回転方向RVに凸な曲線としたことを特徴としている。
【0028】
すなわち、本実施形態においては、縁線LEの主軸(回転軸)に垂直な平面上における極座標表示K(r,θ)が、クラウン20との接続点J(r=0,θ=0)を基点として、ここからバンド21との接続点K(r,θ)にかけて、ランナ15の回転方向RVをθの正方向としたとき、
【数2】
Figure 0003782752
となるように構成している。
【0029】
このように、本実施形態は、第1実施形態で述べたものよりも、短翼18のポンプ運転時における前縁19の縁線LEをランナ15の回転方向RV側に膨らんだ形状、すなわちランナ15の回転方向RVに凸な曲線としている。これによって、特にクラウン20側において短翼18の翼長をそれほど短くせずに、かつバンド21側では隣接する長翼17との翼間を十分広く取ることができる。つまり、この実施形態によれば、短翼18の長さを必要以上に短くせずに済むので、水車運転時に短翼18に作用する負荷分布や水車運転時の入口側キャビテーション特性に与える影響を最小限に抑えながら、かつ、低揚程でのポンプ運転時に長翼17のバンド21側前縁圧力面に発生するキャビテーションによって、長翼17と隣接する短翼18との間の流路の閉塞を起こりにくくすることができる。そして、その結果として、低揚程でのポンプ運転時においても効率の低下が起こりにくく、結果として低揚程側のポンプ運転の運転範囲を広く取り、ポンプ効率を向上させることができる。
【0030】
さらに本実施形態はこの例に限らず、例えば、図4に示すように、短翼18のポンプ運転時における前縁19の縁線LEを、主軸(回転軸)に垂直な投影面上で、クラウン20との接続点J(r=0,θ=0)からバンド21との接続点K(r,θ)にかけて、その中間点であるK(r,θ)までを半径方向放射線RLの直線上に形成し、そこから先をランナ15の回転方向RVに凸な曲線となるように構成してもよい。
【0031】
図5は、本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第3実施形態を示しており、図1と同様に主軸(回転軸)の中心線に垂直な平面に投影して吸出管側から見たランナ投影線図である。なお、第1実施形態の構成部分と同一部分には同一符号を付す。
【0032】
本実施形態に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車についても、ランナ15における短翼18のポンプ運転時における前縁(短翼ポンプ入口端縁)19の縁線LEを、縁線LEとバンド21との接続点が、主軸(回転軸)の中心点Oから短翼18の縁線LEとクラウン20との接続点Jを通り、半径方向に延びる半径方向放射線RLに対してポンプ運転時のランナ回転方向RVと逆方向に位置するように形成している点は第1実施形態,第2実施形態と同様であるが、本実施形態においては、縁線LEの形状をランナ15の回転方向RVに凹な曲線としたことを特徴としている。
【0033】
すなわち、本実施形態においては、縁線LEの主軸(回転軸)に垂直な平面上における極座標表示K(r,θ)が、クラウン20との接続点J(r=0,θ=0)からバンド21との接続点K(r,θ)にかけてランナ15の回転方向RVに対して凹な曲線、つまり縁線LEとクラウン20との接続点Jを基点として、ランナ15の回転方向をθの正方向としたとき、
【数3】
Figure 0003782752
となるように形成している。
【0034】
ここで、縁線LEのうち、クラウン20とバンド21の中間に位置する点K(r,θ)を設け、クラウン20との接続点J(r=0,θ=0)から点K(r,θ)までをランナ15の回転方向に対して凹な曲線とし、点Kからバンド21との接続点J(r,θ)までを主軸(回転軸)に垂直な平面への投影図上で直線となるように形成してもよい。
【0035】
このような構成とすることによっても、第2の実施形態と同様に、クラウン20側においては短翼18の翼長をそれほど短くせずに、かつバンド21側では隣接する長翼17との翼間を十分広く取ることができる。特に、この実施形態によれば、短翼18の縁線LEを主軸(回転軸)に垂直な平面への投影図上でランナの回転方向RVに対して凹な形状にしたので、ポンプ運転時に長翼17前縁のバンド21側だけでなく、クラウン20側に入った位置(より主軸(回転軸)の中心点O側)でキャビテーションが発生するような場合であっても、キャビテーション特性を大きく改善することができる。そして、ポンプ運転時にキャビテーションがほとんど発生することのないクラウン20側においては、短翼18の長さを長く取っているので、水車運転時に短翼18に作用する負荷分布や水車運転時の入口側キャビテーション特性に与える影響は比較的小さくすることができる。すなわち、本実施形態によれば、低揚程でのポンプ運転時に長翼17のバンド21側前縁圧力面に発生するキャビテーションによって、長翼17と隣接する短翼18との間の流路の閉塞を起こりにくくすることができるので、低揚程でのポンプ運転時においてもキャビテーションの発生による効率の低下が起こりにくく、結果として低揚程側のポンプ運転の運転範囲を広く取り、ポンプ効率を向上させることができる。
【0036】
以上説明した各実施形態は、短翼18のポンプ運転時の前縁(短翼ポンプ入口端縁)19の縁線LEを、縁線LEとバンド21との接続点が、主軸(回転軸)の中心点Oから短翼18とクラウン20との接続点Jを通り、半径方向に延びる半径方向放射線RLに対してポンプ運転時のランナ回転方向RVと逆方向に位置するように形成するものであり、この際に縁線LEを、主軸(回転軸)に垂直な平面に対する投影線面上で種々の直線あるいは曲線としているが、この縁線LEの主軸(回転軸)に垂直な平投影面上での形状については、ポンプ水車の立地によって定まる特性によって、直線、回転方向RVに対して凸な曲線、あるいは回転方向RVに対して凹な曲線を選択して適用すればよい。つまり、ポンプ水車の立地から定まる落差、流量等の条件に最適な短翼18の形状を上述の各実施形態によって適用すれば、水車運転時の特性に与える影響を最小限に抑えて、かつ低揚程でのポンプ運転時においても効率の低下が起こりにくいランナ15を提供することができる。そして、その結果として低揚程側のポンプ運転の運転範囲を広く取り、ポンプ効率を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明に係るスプリッタタイプのランナを備えるポンプ水車は、ランナの周方向に沿って長翼と短翼とを交互に配置する際、短翼の前縁の高さ方向の縁線を、ポンプ運転時のランナ回転方向と逆方向に向う位置に配置し、隣りの長翼におけるバンド側の前縁の高さ方向の縁線との距離をより一層拡げているので、長翼の圧力面にキャビテーションが発生しても流水の閉塞をさせにくくして低揚程運転の幅を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第1実施形態を示し、ランナを主軸(回転軸)に垂直な平面に投影して吸出管側から見た一部切欠ランナ投影線図。
【図2】図1のランナのバンド側におけるランナベーンの配置を外側から見た展開模式図。
【図3】本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第2実施形態を示し、ランナと主軸(回転軸)に垂直な平面に投影して吸出管側から見た一部切欠ランナ投影線図。
【図4】本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第2実施形態の変形例を示し、ランナと主軸(回転軸)に垂直な平面に投影して吸出管側から見た一部切欠ランナ投影線図。
【図5】本発明に係るスプリッタランナを備えるポンプ水車の第3実施形態を示し、ランナを主軸(回転軸)に垂直な平面に投影して吸出管側から見た一部切欠ランナ投影線図。
【図6】吸出管側から見てバンドを取り除いた従来のポンプ水車のランナを示す斜視図。
【図7】吸出管側から見てバンドを取り除いた従来のポンプ水車のスプリッタランナを示す平面図。
【図8】従来のスプリッタランナを備えるポンプ水車を示し、主軸(回転軸)に垂直な平面に投影して吸出管側から見た一部切欠ランナ投影線図。
【図9】図8のランナのバンド側におけるランナベーンの配置を外側から見た展開模式図。
【符号の説明】
3 ランナ
7 ランナベーン
8 クラウン
9 バンド
10 長翼
11 短翼
12,13 前縁
14 圧力面
15 ランナ
16 ランナベーン
17 長翼
18,18a 短翼
19 前縁
20 クラウン
21 バンド
22 前縁
23 圧力面

Claims (1)

  1. 両端をクラウンとバンドで支持され、ランナの周方向に沿って長翼と短翼とを交互に配置するスプリッタランナを備えるポンプ水車において、
    前記短翼のポンプ運転時の前縁における縁線は、前記縁線と前記バンドとの接続点側が、前記スプリッタランナの回転中心から前記縁線と前記クラウンとの接続点とを通る直線を基準に、ポンプ運転時の前記スプリッタランナの回転方向と逆方向に位置するように形成されるとともに、
    前記スプリッタランナの回転中心から前記縁線と前記クラウンとの接続点とを通る直線と、前記スプリッタランナの回転中心から前記縁線と前記バンドとの接続点とを結ぶ直線とが前記回転中心に垂直な平面への投影線図上でなす角θk1が、
    5°≦θk1≦10°
    であること
    を特徴とするスプリッタランナを備えるポンプ水車。
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