JP4013356B2 - 水車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は案内羽根を備えた水車に係り、特に三次元翼型の案内羽根を備えた水車に関する。三次元翼型とは、案内羽根を構成する各翼が、その回転軸に垂直な断面形状の外形又は位置のうち少なくとも一方が、その回転軸の方向に変化する構造のものをいう。
【0002】
【従来の技術】
図20を用いて、従来の水車を説明する。同図の(a)は従来の水車の概略横断面図である。(b)は(a)のA−A矢視図である。この水車は、ケーシング1,ステーベーン2,案内羽根3,羽根車4などから構成される。水は、ケーシング1に流入し、ステーベーン2及び案内羽根3を通って羽根車4に流入する。羽根車4に流入した水は、羽根車4を回転方向11の向きに回転させる。羽根車4の下側及び上側は、それぞれバンド8及びクラウン10に固定されている。クラウン10は回転軸14に固定されており、羽根車4は回転軸14を中心に回転する。案内羽根3の各翼は、回転軸7を中心に回転する。
【0003】
案内羽根3の全ての翼は、同相で開閉する。翼の開閉は、回転軸7にアーム
25a,25bにより連結されたガイドリング24を回転させることにより行う。案内羽根3は、運転停止時に水を完全に締め切る必要がある。このため、通常案内羽根3の翼は二次元翼型の形状をしている。二次元翼型とは、回転軸7に垂直な翼の各断面形状の外形及び位置が同じものをいう。
【0004】
水車の性能上重要な課題の一つにキャビテーションの防止がある。羽根車4の内部におけるキャビテーションの発生は、効率の低下、振動や騒音の発生などの問題を生じる。キャビテーションが著しい場合には、羽根車4が損傷し、交換が必要になる可能性もある。図20の水車の場合、羽根車4のバンド8側の曲率が大きいため、この領域の流れが加速して圧力が低下する。従って、羽根車4の入口のバンド8側におけるキャビテーションの発生を防止することが重要である。
キャビテーションの防止に関する第1の従来技術として、特開昭59−82580 号公報に、羽根車4の前縁部9をクラウン10側からバンド8側に向かって回転方向11に傾斜させた構成が記載されている。
【0005】
キャビテーションの防止に関する第2の従来技術として、特開昭51−72846 号公報,特開昭52−98841号公報、及び実開昭61−43977号公報に、側面形状を台形や平行四辺形とした三次元翼型の案内羽根が記載されている。また、案内羽根3の上側の断面形状の後端を羽根車4側に伸ばした構成も記載されている。
【0006】
キャビテーションの防止に関する第3の従来技術として、特開昭60−182361号公報に、案内羽根の回転軸と後縁とを結ぶ直線が、羽根車の円周方向となす角度が下側で小さくなるように構成した案内羽根が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
第1の従来技術の場合、ダムの水位が高い高落差時に羽根車4の翼の負圧面側に発生するキャビテーションは防止できる。しかし、ダムの水位が低い低落差時に羽根車4の翼の正圧面側に発生するキャビテーションは防止できない。従って、ダムの水位低下により運転条件が変化した場合に対応が難しい。また、既設の水車のキャビテーションを防止する場合には、製造コストが高い羽根車4を交換する必要がある。更に、羽根車4は大型の構成要素であるため、その運搬及び設置には長い期間が必要となり、これもコスト高の要因となる。
【0008】
第2の従来技術の場合、案内羽根3は、一般に水の流路を完全に締め切ることはできない。
【0009】
第3の従来技術の場合、案内羽根の翼型そのものを上側から下側にかけて変化させる必要があるため、設計が困難となる。
【0010】
本発明の目的は、設計が容易な三次元翼型の形状を有し且つ締めきり可能な案内羽根を備え、低コストでキャビテーションの発生を防止できる水車を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
初めに、羽根車の入口においてキャビテーションが発生する原因を図21を用いて説明する。図中のCu,Cv及びCwは、それぞれ羽根車の旋回速度,水流の絶対速度及び羽根車に対する水流の相対速度を表わしている。これら3つの速度ベクトルで形成される三角形は、羽根車の入口における速度三角形と呼ばれる。図21の(a),(b)及び(c)は、それぞれ低落差時,定格運転落差時及び高落差時における速度三角形を示している。
【0012】
同図に示すように、(b)の定格運転落差時以外では、羽根車への水の流入角度は羽根車4の翼の前縁(先端部)4aの角度と一致していない。このため、キャビテーションが発生する可能性がある。(a)の低落差時には、羽根車4の翼の正圧面13側にキャビテーションが発生し易い。(c)の高落差時には、羽根車4の翼の負圧面12側にキャビテーションが発生し易い。このような羽根車への流入角度の変化は、一般の水車に発生することが知られている。
【0013】
通常は、羽根車への負荷が大きくなる高落差時の方が、キャビテーションの発生の可能性が大きい。しかし、羽根車の設計によっては、低落差時にキャビテーションが発生する可能性もある。一般に、水車の運転落差範囲内ではキャビテーションが発生しないことが要求される。従って、羽根車の設計に応じて、最もキャビテーションが発生し易い落差において、キャビテーションの発生を防止することが要求される。
【0014】
ところで、図21に示した羽根車への水の流入角度は、羽根車の周方向における平均的な流入角度である。厳密には、羽根車の翼の近傍とその他の場所では、流入角度が周方向に変化する。この理由を図22を用いて説明する。一般に、揚力を発生している翼としては、飛行機の翼や水車の羽根車の翼などが知られている。これらの翼の先端においては、図22に示すように、流体の流れは正圧面側から流入するようにその方向が変化する。これは、翼の周りに循環と呼ばれる一種の渦層が形成され、この渦層から誘起速度を受けて流れの方向が曲げられるためである。
【0015】
このように、揚力を発生している翼が流れの中にある場合、翼の影響が上流側に及ぶことにより流体の流入角度が変化する。水車の羽根車の場合も、図23に示すように、羽根車4の翼の前縁(先端)4a付近において、正圧面13側から水が流入する傾向がある。これからも、高落差時には、羽根車の翼の負圧面12側においてキャビテーションが発生し易いことが判る。同図に示すように、羽根車4の翼の前縁4aから離れた位置における水の流れは、平均的な相対速度Cwとほぼ一致する。
【0016】
本発明は、上記した分析結果に基づいて、揚力を発生している水車の羽根車の翼がその上流側の流れに与える影響の大きさを制御するものである。この制御により、羽根車の翼の前縁付近の局所的な流入角度を変化させ、キャビテーションの発生を防止するものである。
【0017】
具体的には、低落差時にバンド8側でキャビテーションの発生する可能性が大きい場合、案内羽根を開いた時に下カバー側において羽根車との距離が遠くなるような案内羽根の形状とする。案内羽根をこのような形状にすることにより、上記した羽根車の翼(揚力を発生している翼)の影響がより上流まで及ぶことになる。この結果、図21(a)のように負圧面12側から流入しようとする流れの向きを正圧面13側に曲げて、流入角度を羽根車の翼の前縁4aの角度と一致させることができる。
【0018】
高落差時にバンド8側でキャビテーションの発生する可能性が大きい場合には、案内羽根を開いた時に下カバー側において羽根車との距離が近くなるような案内羽根の形状とする。案内羽根をこのような形状にすることにより、上記した羽根車の翼(揚力を発生している翼)の影響が上流まで及ばないことになる。この結果、図23のように流れが曲げられて正圧面13側から流入することを防いで、流入角度を羽根車の翼の前縁4aの角度と一致させることができる。
【0019】
以上の考察から、前記目的を達成するための第1の発明は、羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の各翼の前記中心軸に垂直な断面は、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の周方向及び径方向の少なくとも一方に変位していると共に、前記変位している断面の各形状は、互いに相似形をなし、前記羽根車の回転軸からの距離に応じてその大きさが設定されている。
【0020】
第2の発明は、羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の翼の前記中心軸に垂直な断面が、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の周方向に変位する。
【0021】
第3の発明は、羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の翼の前記中心軸に垂直な断面が、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の径方向に変位していると共に、前記変位している断面の各形状は、互いに相似形をなし、前記羽根車の回転軸からの距離が近いほどその大きさが小さくなる。
【0022】
第4の発明は、羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の翼の前記中心軸に垂直な断面は、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の周方向及び径方向の両方向に変位していると共に、前記変位している断面の各形状は、互いに相似形をなし、前記羽根車の回転軸からの距離が近いほどその大きさが小さくなる。
【0023】
第5の発明は、羽根車と、前記羽根車の外側に配置される三次元翼型の案内羽根と、前記案内羽根の外側に配置されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根を構成する各翼を前記羽根車の径方向から見た外形が概略平行四辺形をなし、前記各翼をその回転の中心軸方向から見た場合、該中心軸に垂直な断面が前記羽根車の周方向にずれて見える。
【0024】
第6の発明は、羽根車と、前記羽根車の外側に配置される三次元翼型の案内羽根と、前記案内羽根の外側に配置されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根を構成する各翼を前記羽根車の径方向から見た外形が概略台形をなし、前記各翼をその回転の中心軸方向から見た場合、該中心軸に垂直な断面が前記羽根車の径方向にずれて見える。
【0025】
以上の各発明によれば、水車の運転時の案内羽根を開いた状態(以下、単に開状態という)において、キャビテーションが最も発生し易い落差及び位置に応じて、案内羽根と羽根車との距離を適切に設定できるので、キャビテーションの発生を効果的に防止できる。
【0026】
例えば、高落差時にバンド側でキャビテーションが最も発生し易い場合、案内羽根の締め切り状態(以下、単に閉状態という)において、案内羽根の翼の回転の中心軸に垂直な断面(以下、単に翼の断面という)が、上カバー側から下カバー側に向けて羽根車の回転方向(周方向)に変位するように構成する。または、案内羽根の閉状態において、案内羽根の翼の断面が、上カバー側から下カバー側に向けて羽根車の径方向の内側に変位するように構成しても良い。
【0027】
本構成を備えることにより、案内羽根を開いた時に、下カバー側において案内羽根の翼と羽根車の翼との距離が近くなる。この結果、前述したように羽根車の翼の影響が上流まで及ばなくなるので、キャビテーションの発生を効果的に防止できる。
【0028】
低落差時にバンド側でキャビテーションが最も発生し易い場合には、案内羽根の閉状態において、案内羽根の翼の断面が、上カバー側から下カバー側に向けて羽根車の回転方向と反対方向(周方向)に変位するように構成する。または、案内羽根の閉状態において、案内羽根の翼の断面が、上カバー側から下カバー側に向けて羽根車の径方向の外側に変位するように構成しても良い。
【0029】
本構成を備えることにより、案内羽根を開いた時に、下カバー側において案内羽根の翼と羽根車の翼との距離が遠くなる。この結果、前述したように羽根車の翼の影響が上流まで及ぶようになるので、キャビテーションの発生を効果的に防止できる。
【0030】
上記何れの場合も、変位させる翼の断面の各形状は、互いに相似形にして、羽根車の回転軸からの距離が近いほどその大きさが小さくなるように構成すれば良い。翼の断面を羽根車の周方向に変位させる場合には、各断面と羽根車の回転軸との距離が同じであるため、相似比は1となる。
【0031】
案内羽根の翼の断面をこのように形成することにより、案内羽根を閉じた時に、隣接する翼の前縁と後縁とが互いに接する状態となる。従って、案内羽根の締め切り性能を十分に確保できる。
【0032】
更に、上記何れの場合も、翼の断面形状は、相似形を維持しつつ羽根車の周方向又は径方向に変位しているだけである。従って、一つの断面における翼型を設計すれば、他の断面は、相似形を維持しつつその翼型を周方向又は径方向に移動させるだけで済む。即ち、翼型そのものを各断面において再設計する必要がないので、設計が容易となる。
【0033】
また、以上の各発明によれば、既設の水車のキャビテーションを防止するために、案内羽根を交換すれば良い。即ち、製造コストなどが高い羽根車を交換する必要がないので、低コストでキャビテーションを防止できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0035】
(実施例1)
図1〜図3を用いて、本発明を適用した水車の第1実施例を説明する。図3は、第1実施例の水車の概略構成図である。図1は、第1実施例の水車の概略横断面図である。但し、案内羽根3の翼がある開き角度(又は開度)の状態を示している。図2は、図1のA−A矢視図である。
【0036】
本水車は、ケーシング1,ステーベーン2,案内羽根3,羽根車4などから構成される。羽根車4の下側及び上側は、それぞれバンド8及びクラウン10に固定されている。クラウン10は回転軸14に固定されており、羽根車4は回転軸14を中心に回転する。案内羽根3の各翼は、回転軸7を中心に回転する。
【0037】
図1及び図2に示すように、ステーベーン2及び案内羽根3は、羽根車4の回転軸14を中心軸とする周方向に、複数の翼が等間隔に配列されている。ステーベーン2の全ての翼は、形状及び開き角度(又は開度)が同じで、ケーシング1の出口側(内周側)に固定されている。
【0038】
案内羽根3の全ての翼は形状が同じで、ケーシング1の出口流路を形成する上カバー5と下カバー6に挟まれている。各翼は、回転軸7を中心に回転可能に構成されている。翼の開き角度(又は開度)を調整することにより、案内羽根3を通過する水の流量を調整できる。翼の開閉は、回転軸7にアームにより連結されたガイドリング(図示せず)を回転させることにより行う。ガイドリングの回転は、油圧モータ又は電動モータにより駆動する。こうして、案内羽根3の全ての翼が同相で(同じ開き角度で)開閉するようにしている。
【0039】
ダムから導かれた水は、ケーシング1に入り、ステーベーン2及び案内羽根3を通って羽根車4に流入する。即ち、図1のケーシング入口1aから流入した水は、ケーシング1内を周方向(同図の右回り方向)に流れ、ケーシング1の内周側に位置する出口からステーベーン2内に流れる。羽根車4に流入した水は、羽根車4を回転方向11の向きに回転させることによって、回転軸14に連結されている発電機(図示せず)を回す。このようにして、ダムに貯えられた水の位置エネルギーが電力に変換される。
【0040】
次に、図4〜図6を用いて、本実施例の案内羽根3の詳細構造を説明する。図4は、案内羽根3を閉じた状態において、案内羽根3の一つの翼を上カバー5側から見た図である。図5は、案内羽根3を閉じた状態を示す図である。図6は、案内羽根3を開いた状態を示す図である。図5及び図6において、上側は上カバー5側に対応している。
【0041】
図4及び図5に示すように、本実施例の案内羽根3の翼は、上カバー5側(以下、上側という)から下カバー6側(以下、下側という)に向かうほど、その断面が羽根車4の回転方向(周方向)11に変位する構造を有する。即ち、案内羽根3の翼の回転軸7に垂直な断面は、上側から下側に向かうほど、羽根車4の回転方向11に一定の割合で連続的に変位する。回転軸7の方向は、羽根車4の回転軸14の方向と同じである。
【0042】
この場合、翼の断面形状の外形は変化せず、その位置が変化する。言い替えれば、回転方向11に変位している翼の各断面の形状は互いに相似形をしており、相似比が1である。翼の外見的な特徴は次の2つである。第1は、翼を羽根車4の径方向から見た外形が概略平行四辺形をしていることである。第2は、翼を回転軸7の方向から見た場合、回転軸7に垂直な断面が羽根車4の回転方向にずれて見えることである。このようにして、三次元翼型の案内羽根3が構成される。
図4に示すように、案内羽根3の下側の断面形状18は、上側の断面形状17を回転方向11に回転移動させたものであり、単に平行移動したものではない。この場合、翼の各断面における対応する点を上側から下側まで結んだ線を、羽根車4の中心軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線(以下、単に投影線という)は、羽根車4の回転軸14を中心とする円弧となる。例えば、各断面における翼の前縁15(又は後縁16)の点を上側から下側まで結んだ線の投影線は、回転軸14を中心とする円弧となる。
【0043】
以上では、案内羽根3を閉じた状態における特徴を説明した。これらの特徴を備えることにより、案内羽根3を閉じた時に、隣接する翼の前縁15と後縁16とが互いに接する状態となる。従って、図5に示すように、十分な締め切り性能を維持できる。このようにして、本実施例では、締め切り可能な三次元翼型の案内羽根を構成できる。
【0044】
図4〜図6から分かるように、水車の運転時の案内羽根3を開いた状態において、案内羽根3と羽根車4の入口との距離は、上カバー5側(上側)と下カバー6側(下側)では異なる。この詳細を図7を用いて説明する。同図は、第1実施例の案内羽根を開いた状態において、隣接する3つの翼を上カバー側から見た図である。同図に示すように、上側の断面形状17の後縁の径方向位置(羽根車4の中心からの距離)R1の方が、下側の断面形状18の後縁の径方向位置R2よりも大きい。
【0045】
このように、下側において案内羽根3が羽根車4に近いため、前述したように、羽根車4が有する渦層の影響は上流まで及ばない。この結果、羽根車4の翼のバンド8側の前縁の流入角度は、従来よりも負圧面側から流入する。これにより負圧面側の圧力が上昇するので、高落差時に羽根車の入口のバンド側に発生し易いキャビテーションの防止に有効である。
【0046】
図8を用いて、本実施例の上記効果を解析的に求めた結果を説明する。同図は、羽根車4のバンド8側における負圧面の圧力分布の解析例を示す。横軸は、羽根車4の入口からの距離を、羽根車4の前縁9から後縁20までの距離で正規化したものである。同図で、実線23が本実施例を表し、実線21が二次元翼型の従来例を表している。
【0047】
図8に示すように、従来例の場合、負圧面の圧力は羽根車の入口付近でキャビテーション発生の限界圧力22よりも低く、キャビテーションが発生する。一方、本実施例の場合、上記した効果により負圧面の圧力が限界圧力22よりも高くなり、キャビテーションの発生を防止できることが判る。
【0048】
以上のように、本実施例によれば、高落差時に羽根車4の負圧面側に発生するキャビテーションを効果的に防止でき、且つ締めきり可能な三次元翼型の案内羽根3を備えた水車を得ることができる。
【0049】
(実施例2)
次に、図9〜図11を用いて、本発明を適用した水車の第2実施例を説明する。図9は、第2実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図である。図10は、案内羽根3を閉じた状態を示す図である。図11は、第2実施例の案内羽根を開いた状態において、隣接する3つの翼を上カバー側から見た図である。案内羽根以外の構成は第1実施例と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0050】
図9及び図10に示すように、本実施例の案内羽根3の翼は、上カバー5側 (上側)から下カバー6側(下側)に向かうほど、その断面が羽根車4の回転軸14側(中心軸側)に変位する構造を有する。即ち、翼の回転軸7に垂直な断面は、上側から下側に向かうほど、羽根車4の径方向の内側に一定の割合で連続的に変位する。
【0051】
この場合、翼の断面形状は上側から下側に向かうほど小さくなり、互いに相似形をなす。即ち、翼の断面の弦長及び外周長さは、羽根車4の中心からの距離に比例した長さとなる。弦長とは、翼の断面における前縁と後縁とを結ぶ弦(直線)の長さである。一例として、翼の上側の断面形状17における弦17aを、図9に示す。翼の断面積は、羽根車4の中心からの距離の2乗に比例した面積となる。
【0052】
翼の外見的な特徴は次の2つである。第1は、翼を羽根車4の径方向から見た外形が概略台形をしていることである。第2は、翼を回転軸7の方向から見た場合、回転軸7に垂直な断面が羽根車4の径方向の内側にずれて見えることである。このようにして、三次元翼型の案内羽根3が構成される。
【0053】
図9に示すように、案内羽根3の翼の下側の断面形状18は、上側の断面形状17を相似形に縮小して羽根車4の中心方向に移動させたものであり、単に平行移動したものではない。この場合、翼の各断面における対応する点を上側から下側まで結んだ線を、羽根車4の中心軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線は、この中心軸から径方向に伸びる直線の一部をなす。例えば、各断面における翼の前縁15(又は後縁16)の点を上側から下側まで結んだ線の投影線は、この中心軸から径方向に伸びる直線の一部をなす。
【0054】
このような特徴を備えることにより、案内羽根3を閉じた時に、隣接する翼の前縁15と後縁16とが互いに接する状態となる。従って、図10に示すように、十分な締め切り性能を維持できる。このようにして、本実施例では、締め切り可能な三次元翼型の案内羽根を構成できる。
【0055】
また、図11に示すように、水車の運転時の案内羽根3を開いた状態において、上側の断面形状17の後縁の径方向位置(羽根車4の中心からの距離)R1は、下側の断面形状18の後縁の径方向位置R2よりも大きい。従って、本実施例においても第1実施例と同様な効果が得られる。即ち、高落差時に羽根車の入口のバンド側に発生し易いキャビテーションを防止できる。この効果は、発明者らによる解析でも確認された。
【0056】
以上のように、本実施例によれば、高落差時に羽根車4の負圧面側に発生するキャビテーションを効果的に防止でき、且つ締めきり可能な三次元翼型の案内羽根3を備えた水車を得ることができる。
【0057】
尚、第1実施例及び第2実施例においては、案内羽根3の断面の変位の割合を一定としたが、この割合は一定でなくても良い。
【0058】
(実施例3)
次に、図12及び図13を用いて、本発明を適用した水車の第3実施例を説明する。図12は、第3実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図である。図13は、案内羽根3を閉じた状態を示す図である。案内羽根以外の構成は第1実施例と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0059】
本実施例においても、案内羽根3の翼の断面の変位方向は、第1実施例と同じである。即ち、翼の回転軸7に垂直な断面は、上カバー5側(上側)から下カバー6側(下側)に向かうほど、羽根車4の回転方向(周方向)11に連続的に変位する。
【0060】
本実施例が第1実施例と異なる点は、翼の断面の変位の割合である。本実施例の場合、翼の断面の変位の割合は、上側から下側に向かうほど大きくなる。この結果、図13に示すように、翼の下側は羽根車4の回転方向11に突き出たような形状となる。この場合も、翼の断面形状の外形は変化せず、その位置が変化する。言い替えれば、回転方向11に変位している翼の各断面の形状は互いに相似形をしており、相似比が1である。
【0061】
本実施例においても、第1実施例と同様な効果が得られる。更に、本実施例の場合、三次元翼型の案内羽根3による効果を主に下側に限定できる。このため、羽根車4のバンド8側におけるキャビテーションの発生を防止しつつ、羽根車4の他の部分に対する水の流入条件はほとんど影響されない。従って、既設の水車の案内羽根3のみを交換する際に、特に有効となる。
【0062】
尚、第3実施例の考え方は、第2実施例に適用しても良い。即ち、第2実施例において、案内羽根3の翼の断面の変位の割合を上側から下側に向かうほど大きくしても良い。更に、翼の断面の変位の割合の変え方は、これに限定されない。即ち、この変位の割合は、案内羽根3の上側と下側の間で任意に変化させても良い。
【0063】
(実施例4)
次に、図14及び図15を用いて、本発明を適用した水車の第4実施例を説明する。図14は、第4実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図である。図15は、案内羽根3を閉じた状態を示す図である。案内羽根以外の構成は第1実施例と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0064】
本実施例は、第1実施例と第2実施例の組み合わせである。即ち、案内羽根3の翼の回転軸7に垂直な断面は、上カバー5側(上側)から下カバー6側(下側)に向かうほど、羽根車4の回転方向(周方向)11に一定の割合で連続的に変位する。更に、翼の回転軸7に垂直な断面は、上側から下側に向かうほど、羽根車4の径方向の内側にも一定の割合で連続的に変位する。この場合、翼の断面形状は上側から下側に向かうほど小さくなり、互いに相似形をなす。
【0065】
本実施例においても第1実施例と同様な効果が得られるが、第2実施例の特徴も備えていることにより、より効果的となる。
【0066】
(実施例5)
次に、図16及び図17を用いて、本発明を適用した水車の第5実施例を説明する。図16は、第5実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図である。図17は、案内羽根3を閉じた状態を示す図である。案内羽根以外の構成は第1実施例と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0067】
本実施例の場合、案内羽根3の翼の断面の変位方向が第1実施例と逆方向になる。即ち、翼の回転軸7に垂直な断面は、上カバー5側(上側)から下カバー6側(下側)に向かうほど、羽根車4の回転方向11と逆方向に一定の割合で連続的に変位する。この場合、翼の断面形状の外形は変化せず、その位置が変化する。言い替えれば、回転方向11と逆方向に変位している翼の各断面の形状は互いに相似形をしており、相似比が1である。
【0068】
本実施例の翼の外見的な特徴は次の2つである。第1は、翼を羽根車4の径方向から見た外形が概略平行四辺形をしていることである。第2は、翼を回転軸7の上側から見た場合、回転軸7に垂直な断面が羽根車4の回転方向11と逆方向にずれて見えることである。このようにして、三次元翼型の案内羽根3が構成される。
【0069】
このような特徴を備えることにより、案内羽根3を閉じた時に、隣接する翼の前縁15と後縁16とが互いに接する状態となる。従って、図17に示すように、十分な締め切り性能を維持できる。このようにして、本実施例では、締め切り可能な三次元翼型の案内羽根を構成できる。
【0070】
本実施例の場合、水車の運転時の案内羽根3を開いた状態において、案内羽根3と羽根車4の入口との距離は、下側の方が上側よりも遠い。このため、前述したように、羽根車4が有する渦層の影響は上流まで及ぶ。この結果、羽根車4の翼のバンド8側の前縁の流入角度は、従来よりも正圧面側から流入する。これにより正圧面側の圧力が上昇するので、低落差時に羽根車の入口のバンド側に発生し易いキャビテーションの防止に有効である。この効果は、発明者らによる解析でも確認された。
【0071】
以上のように、本実施例によれば、低落差時に羽根車4の正圧面側に発生するキャビテーションを効果的に防止でき、且つ締めきり可能な三次元翼型の案内羽根3を備えた水車を得ることができる。
【0072】
(実施例6)
次に、図18及び図19を用いて、本発明を適用した水車の第6実施例を説明する。図18は、第6実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図である。図19は、案内羽根3を閉じた状態を示す図である。案内羽根以外の構成は第1実施例と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0073】
本実施例の場合、案内羽根3の翼の断面の変位方向が第2実施例と逆方向になる。即ち、翼の回転軸7に垂直な断面は、上カバー5側(上側)から下カバー6側(下側)に向かうほど、羽根車4の径方向の外側に一定の割合で連続的に変位する。この場合、翼の断面形状は上側から下側に向かうほど大きくなり、互いに相似形をなす。即ち、翼の断面の弦長及び外周長さは、羽根車4の中心からの距離に比例した長さとなる。翼の断面積は、羽根車4の中心からの距離の2乗に比例した面積となる。
【0074】
翼の外見的な特徴は次の2つである。第1は、翼を羽根車4の径方向から見た外形が概略台形をしていることである。第2は、翼を回転軸7の方向から見た場合、回転軸7に垂直な断面が羽根車4の径方向の外側にずれて見えることである。このようにして、三次元翼型の案内羽根3が構成される。
【0075】
図18に示すように、案内羽根3の翼の下側の断面形状18は、上側の断面形状17を相似形に拡大して羽根車4の外側方向に移動させたものであり、単に平行移動したものではない。この場合、翼の各断面における対応する点を上側から下側まで結んだ線を、羽根車4の中心軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線は、この中心軸から径方向に伸びる直線の一部をなす。例えば、各断面における翼の前縁15(又は後縁16)の点を上側から下側まで結んだ線の投影線は、この中心軸から径方向に伸びる直線の一部をなす。
【0076】
このような特徴を備えることにより、案内羽根3を閉じた時に、隣接する翼の前縁15と後縁16とが互いに接する状態となる。従って、図19に示すように、十分な締め切り性能を維持できる。このようにして、本実施例では、締め切り可能な三次元翼型の案内羽根を構成できる。
【0077】
本実施例の場合も、水車の運転時の案内羽根3を開いた状態において、案内羽根3と羽根車4の入口との距離は、下側の方が上側よりも遠い。従って、第5実施例と同様に、低落差時に羽根車の入口のバンド側に発生し易いキャビテーションの防止に有効である。
【0078】
以上のように、本実施例によれば、低落差時に羽根車4の正圧面側に発生するキャビテーションを効果的に防止でき、且つ締めきり可能な三次元翼型の案内羽根を備えた水車を得ることができる。
【0079】
尚、第5実施例及び第6実施例に対しても、第3実施例や第4実施例の考え方は適用できる。即ち、第5実施例及び第6実施例において、案内羽根3の翼の断面の変位割合を上側から下側に向かうほど大きくしても良い。また、第5実施例と第6実施例の特徴を組み合わせても良い。
【0080】
また、第4実施例の場合、案内羽根3の翼の断面は、羽根車の周方向及び径方向の2つの方向に変位させた。この場合、変位方向は、互いのキャビテーションの防止効果を強め合う方向の組合せにした。しかし、変位方向の組合せは、互いの効果を強め合う方向のみに限定されない。即ち、互いの効果を弱め合う変位方向の組合せも、結果的に所望のキャビテーションの防止効果が得られる場合には、用いることができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、設計が容易な三次元翼型の形状を有し且つ締めきり可能な案内羽根を備え、低コストでキャビテーションの発生を防止できる水車を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した水車の第1実施例の概略横断面図。
【図2】図1のA−A矢視図。
【図3】本発明を適用した水車の第1実施例の概略構成図。
【図4】第1実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図。
【図5】第1実施例の案内羽根を閉じた状態を示す図。
【図6】第1実施例の案内羽根を開いた状態を示す図。
【図7】第1実施例の案内羽根を開いた状態において、隣接する3つの翼を上カバー側から見た図。
【図8】第1実施例によるキャビテーションの防止効果を解析的に求めた例を示す図。
【図9】第2実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図。
【図10】第2実施例の案内羽根を閉じた状態を示す図。
【図11】第2実施例の案内羽根を開いた状態において、隣接する3つの翼を上カバー側から見た図。
【図12】第3実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図。
【図13】第3実施例の案内羽根を閉じた状態を示す図。
【図14】第4実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図。
【図15】第4実施例の案内羽根を閉じた状態を示す図。
【図16】第5実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図。
【図17】第5実施例の案内羽根を閉じた状態を示す図。
【図18】第6実施例の案内羽根を閉じた状態において、案内羽根の一つの翼を上カバー側から見た図。
【図19】第6実施例の案内羽根を閉じた状態を示す図。
【図20】従来の水車を示す図で、(a)は概略横断面図、(b)は(a)のA−A矢視図。
【図21】羽根車の入口における速度三角形を示す図で、(a)は低落差時、(b)は定格運転落差時、(c)は高落差時を示す。
【図22】翼の先端における流体の流れの説明図。
【図23】羽根車の翼の先端における水の流れの説明図。
【符号の説明】
1…ケーシング、2…ステーベーン、3…案内羽根、4…羽根車、5…上カバー、6…下カバー、7…案内羽根の回転軸、8…バンド、9…羽根車の翼の前縁、10…クラウン、11…羽根車の回転方向、12…羽根車の翼の負圧面、13…羽根車の翼の正圧面、14…羽根車の回転軸、15…案内羽根の翼の前縁、 16…案内羽根の翼の後縁、17…上カバー側の断面形状、18…下カバー側の断面形状、20…羽根車の翼の後縁。

Claims (13)

  1. 羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の同一形状の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、
    前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の各翼の前記中心軸に垂直な断面は、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の周方向及び径方向の少なくとも一方に変位している(ここで、羽根車の周方向に変位しているとは、前記案内羽根の各翼の各断面における対応する点を前記一方から前記他方まで結んだ線を、前記羽根車の回転軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線が、前記羽根車の回転軸を中心とする円弧となるように変位していることをいう)と共に、
    前記変位している断面の各形状は、互いに相似形をなし、前記羽根車の回転軸からの距離に応じてその大きさが設定されていることを特徴とする水車。
  2. 羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の同一形状の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、
    前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の翼の前記中心軸に垂直な断面が、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の周方向に変位している(ここで、羽根車の周方向に変位しているとは、前記案内羽根の各翼の各断面における対応する点を前記一方から前記他方まで結んだ線を、前記羽根車の回転軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線が、前記羽根車の回転軸を中心とする円弧となるように変位していることをいう)ことを特徴とする水車。
  3. 請求項2において、前記案内羽根の翼の前記断面が、前記案内羽根の上カバー側から下カバー側に向けて、前記羽根車の回転方向に変位していることを特徴とする水車。
  4. 請求項2において、前記案内羽根の翼の前記断面が、前記案内羽根の上カバー側から下カバー側に向けて、前記羽根車の回転方向と反対方向に変位していることを特徴とする水車。
  5. 請求項2乃至4の何れかにおいて、前記変位している断面の前記羽根車の周方向への変位割合が、前記案内羽根の上カバー側から下カバー側に向けて大きくなるように構成されていることを特徴とする水車。
  6. 羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の同一形状の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、
    前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の翼の前記中心軸に垂直な断面が、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の径方向に変位していると共に、
    前記変位している断面の各形状は、互いに相似形をなし、前記羽根車の回転軸からの距離に応じてその距離が近いほどその大きさが小さくなるように構成されていることを特徴とする水車。
  7. 請求項6において、前記変位している断面の弦長が、前記羽根車の回転軸からの距離に比例して変化するように構成されていることを特徴とする水車。
  8. 請求項6において、前記案内羽根の翼の前記断面が、前記案内羽根の上カバー側から下カバー側に向けて、前記羽根車の径方向の内側に変位していることを特徴とする水車。
  9. 請求項6において、前記案内羽根の翼の前記断面が、前記案内羽根の上カバー側から下カバー側に向けて、前記羽根車の径方向の外側に変位していることを特徴とする水車。
  10. 請求項6乃至9の何れかにおいて、前記変位している断面の前記羽根車の径方向への変位割合が、前記案内羽根の上カバー側から下カバー側に向けて大きくなるように構成されていることを特徴とする水車。
  11. 羽根車と、前記羽根車の外側の周方向に複数の同一形状の翼が配列されて形成され、各翼が前記羽根車の回転軸に平行な中心軸の周りに回転可能に構成される案内羽根と、前記案内羽根の外側の周方向に複数の翼が配列されて形成されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、
    前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根の翼の前記中心軸に垂直な断面は、前記中心軸方向の一方から他方に向けて、前記羽根車の周方向及び径方向の両方向に変位している(ここで、羽根車の周方向に変位しているとは、前記案内羽根の各翼の各断面における対応する点を前記一方から前記他方まで結んだ線を、前記羽根車の回転軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線が、前記羽根車の回転軸を中心とする円弧となるように変位していることをいう)と共に、
    前記変位している断面の各形状は、互いに相似形をなし、前記羽根車の回転軸からの距離に応じてその距離が近いほどその大きさが小さくなるように構成されていることを特徴とする水車。
  12. 羽根車と、前記羽根車の外側に配置される三次元翼型の案内羽根であって各翼が同一形状の案内羽根と、前記案内羽根の外側に配置されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、
    前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根を構成する各翼を前記羽根車の径方向から見た外形が概略平行四辺形をなし、
    前記各翼をその回転の中心軸方向から見た場合、該中心軸に垂直な断面が前記羽根車の周方向にずれるように構成されている(ここで、羽根車の周方向にずれるように構成されているとは、前記案内羽根の各翼の各断面における対応する点を前記一方から前記他方まで結んだ線を、前記羽根車の回転軸に垂直な一つの平面上に投影して形成される投影線が、前記羽根車の回転軸を中心とする円弧となるように構成されていることをいう)ことを特徴とする水車。
  13. 羽根車と、前記羽根車の外側に配置される三次元翼型の案内羽根であって各翼が同一形状の案内羽根と、前記案内羽根の外側に配置されるステーベーンと、前記ステーベーンの外側を覆うケーシングとを備えた水車において、
    前記案内羽根の締め切り状態において、前記案内羽根を構成する各翼を前記羽根車の径方向から見た外形が概略台形をなし、
    前記各翼をその回転の中心軸方向から見た場合、該中心軸に垂直な断面が前記羽根車の径方向にずれるように構成されていることを特徴とする水車。
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